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IT Text 自然言語処理

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Academic year: 2021

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(1)書 評 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 天野真家・石崎 俊・宇津呂武仁・成田真澄・福本淳一(共著). 第 5 章 コーパスと統計処理 第 6 章 自然言語処理システム 第 1 章では,自然言語処理の黎明期である 1950 年ご ろから現在に至るまで,自然言語処理が,言語学,心理 学,脳科学,人工知能の各分野で,どのように研究され. IT Text 自然言語処理 オーム社 , 192p., 2,500 円 + 税 ISBN 978-4-274-20465-4. てきたかが述べられている.コンピュータに言語を理解 させるためには,人間についての広い知見が重要だとい うこと,また,自然言語処理は,人工知能の基本的な問 題をすべて含む難しい課題であることが示される. 第 2 章では,形態素解析について述べられている.形. 素晴らしい導入書はどんな分野の発展にも重要であ. 態素解析とは,文を,意味を持つ最小単位である形態素. る.本書は,自然言語処理という分野を,重要なポイン. に分割する処理であり,統語解析や意味解析を下支えす. トに絞り,できるかぎり分かりやすい言葉で紹介するこ. る最も基礎的な技術である.本章では,形態素解析に必. とに注力したものである.近年,かな漢字変換,ウェブ. 要な辞書の作り方と解析手順が示される.. 検索,機械翻訳など,自然言語処理は我々にとって非常. 第 3 章では,統語解析について述べられている.統語. に身近な技術になってきた.本書は,これらの技術の背. 解析とは,文中の形態素に品詞などの文法的役割を割り. 景や面白さを平易な言葉で伝えており,多くの読者に,. 当てる処理である.本章では,最もポピュラーな言語の. 自然言語処理の道に進む動機を与えることだろう.専門. 生成規則である文脈自由文法を用いた解析手法が主に説. 分野を決めたい学生,自然言語処理に興味があるがよく. 明されている.解析の過程がステップごとに示されてお. 分からないと思っている人に,ぜひ薦めたい.. り,処理の流れが理解しやすい.また,日本語と英語の. 自然言語処理の入門書はこれまでにもあった.最も有. 解析上の違いも示されていて興味深い.. 名なものは,長尾真(編) の「自然言語処理」 (岩波書店). 第 4 章では,意味解析について述べられている.コン. であろう.また,田中穂積(監修)の「自然言語処理─. ピュータが言語表現のみを解析できても,それらが何を. 基礎と応用─」(電子情報通信学会) ,James Allen(著). 指しているのか理解できなければ,役に立たないだろう.. の「Natural Language Understanding」(The Benjamin/. 意味解析とは,言語表現に事物や概念との対応を与える. Cummings Publishing Company, Inc.)も有名である.これ. 処理である.意味解析のための理論として,意味ネット. らの入門書は,自然言語処理の研究室には大抵置いてあ. ワーク,フレーム理論,スクリプト理論などが紹介され. り,参考書として,また,輪講書として広く用いられて. ている.また,応用として,比喩理解が紹介されている.. きた.しかし,どれも専門的な内容を含み,大学に入っ. 第 5 章では,近年盛んな統計的自然言語処理について. たばかりの学生や分野外の人には難しかった.自然言語. 述べられている.統計的自然言語処理とは,大量のテキ. 処理への関心が高まりを見せる中,本書のような導入書. ストデータ(コーパスと呼ばれる)を収集し,頻度や共. が求められてきたことは間違いない.. 起などの統計的な手がかりを用いて,自然言語処理を行. 本書の執筆陣は,日本語ワープロの生みの親として著. う技術の総称である.本章では,各種コーパスの紹介と,. 名な天野真家氏,意味解析の研究で著名な石崎俊氏のほ. コーパスからの形態素解析や統語解析に利用できる知識. か,統計的自然言語処理,コーパス言語学,検索システ. の自動獲得手法について述べられている.. ムの分野でそれぞれ活躍する,宇津呂武仁氏,成田真澄. 第 6 章では,2 〜 5 章で述べられた自然言語処理技術. 氏,福本淳一氏である.自然言語処理の第一人者・第. の応用例が紹介されており,かな漢字変換,機械翻訳,. 一線で活躍する研究者による広い視野からの分野の整理. 文書検索,質問応答が取り上げられている.ウェブ検索. は,明快で理解しやすく,最初のページから順番に詰ま. など,日頃使っている自然言語アプリケーションがどの. ることなく読んでいけるだろう.また,本書で扱われる. ように作られているか,本章を読むことで知ることがで. 問題の多くは,執筆者らが一人称で取り組んできたもの. きるだろう.なお,質問応答とは,まだ研究段階であるが,. であり,説明は具体的で直感的に理解しやすい.. ユーザの質問にずばり答えを出力するものであり,現状. 本書の構成は以下の通りである.. のウェブ検索の後継として期待されている技術である.. 第 1 章 自然言語処理の基礎. 本書について,惜しい点を挙げるとすれば,テキスト. 第 2 章 形態論:辞書と形態素解析. 処理に重点が置かれ,対話処理や話し言葉の処理につい. 第 3 章 統語論と統語解析. てほとんど触れられていない点である.また,いくつか. 第 4 章 意味論と意味解析. の分野について,最新の研究の紹介が少ないと感じられ. 168. 情報処理 Vol.50 No.2 Feb. 2009.

(2) た.たとえば,意味解析では,近年盛んなテキスト含. の進化とともに自然言語処理の重要性は増している.. 意認識や Semantic Role Labeling について触れられてい. Association for Computational Linguistics (ACL) の会長を. ない.機械翻訳についても,現在主流の統計的機械翻訳. 務めた Mark Steedman は,Computational Linguistics 誌で. について触れられていない.ただ,このことは,自然言. 次のように述べている: 「人間の知識は言語で表現され. 語処理の導入書としての本書の価値を損ねるものではな. ている.だから,計算言語学(自然言語処理の別称)は. い.本書で自然言語処理に興味を持てば,きっと次の書. とても重要なのだ」 .本書を手にすることで,多くの人. 籍に手が伸びるだろう.. が自然言語処理に興味を持ち,分野がさらなる発展を遂. 年々,自然言語処理に携わる研究者は増えている.ま. げることを期待する.. た,Google や Yahoo! などの躍進が表すように,ウェブ. . (東中竜一郎/ NTT コミュニケーション科学基礎研究所). 書評・会議レポート募集のお知らせ  情報処理学会会誌編集委員会では,会誌「情報処理」に掲載する書評,および会議レポートを広く会員の皆さま から募集しています. 1.募集対象  次の 2 種類の記事について,原稿を募集します.   a)書  評  :過去 2 年間に出版された,本学会員にとって有益な図書についての紹介もしくは批評.   b)会議レポート:情報処理に関する国際規模の会議・大会の報告など,時事性が高く,本学会員に広く知らせ            る価値のある話題. 2.応募資格   原則として本学会員に限ります. 3.応募の手続き   1)表  題:書評の場合は,著者名,書名,ページ数,発行所,発行年,価格,ISBN を書く.          会議レポートは,見出しを書く.書評,会議レポートの別を左肩に書く.   2)評者名(会議レポートの場合は筆者名) ・所属・評者連絡先(住所,E-mai,Fax など)の記載を忘れずに.   3)本  文:書評,会議レポートとも 2,100 字前後で書く.   4)(必要であれば)参考文献,付録,図,表をつける.   詳しくは「原稿執筆案内」 (http://www.ipsj.or.jp/07editj/toukou/shippitsu/kaishi.html)を参照してください. 4.原稿の取扱い   投稿された原稿は会誌編集委員会で審査し,採否を決定します.採用にあたっては原稿の修正をお願いすること   があります.あらかじめご了承ください. 5.照会/応募先   (社)情報処理学会 会誌編集部門 E-mail:[email protected]. 情報処理 Vol.50 No.2 Feb. 2009. 169.

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