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高校生の進路成熟と自己理解及び高校からの心理的距離との関連についての研究

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(1)高校生の進路成熟と自己理解及び高校から の心理的距離との関連についての研究. 専. 攻. コース. 学校教育学. 学校心理学. 学籍番号 M◎6082k 氏. 名. 長井 政寛.

(2) 目 次. は:じめに. 1. 第1章 問題と冒的. 2. 2. :第1節 高校生の進路成熟と自己理解. 高校生の進路成熟 進路成熟と自己理解. 第2節. 高校生の進路成熟と高校からの心理的距離. 第3節. 本研究の員的. ・・。. 調査の方法. …. 第2節. 分析の方法. 。・・. 第3章 結果 第1節. 進路成熟態度尺度. 7. 9. 10 10 12 14 14. 第2章 方法 第1節. 。. …. 尺度の得点化. 自己理解と教育的進路成熟との関連 自己理解と職業的進路成熟との関連. 自己理解と進路成熟についての数量化1類による分析 第2節 高校からの心理的距離尺度. 17. …. 高校からの心理的距離尺度の得点化と分析. 第4章 考察. …. 第1節 自己理解と高校生の進路成熟との関連… 第2節 高校生の高校からの心理的距離. …. 19 19 23. 高校生の高校からの心理的距離. 高校からの心理的距離と進路成熟との関連. 高校3年生の高校からの心理的距離. 第5章 おわりに 謝 辞 引用文献: 参考資料. … … … …. 26 29 3◎. 34.

(3) はじめに. 「失われた10年」と言われる、バブル経済崩壊以降の日本経済 の長期間の低迷による相次ぐ企業倒産や、また近年の政府の規制緩 和政策やそれに伴う構造改革によって国際競争力増強を求められた 企業の離合集散などによる人員整理によって、働く人の置かれた環. 境は大きく変化した。日本の伝統的雇用形態であった終身雇用劇や、 年功序列による賃金体系は、企業競争力を損なうものとして見直さ れた。企業は成果主義を導入し、会社にとって目に見える成果を求 め、職能ごとに決められていた賃金は、成果が反映された労働者個 個に決められるものとなった。こうした時代風潮は、個人の働き方 についての社会の受け止め方を変化させ、自分の能力を活かせる職 場や仕事の探求を可能にし、能力や働き方しだいで、他人よりも豊:. かな生活を手に入れることのできる可能性を人々に与えた。しかし 同時に、成果主義の社会は、安定した雇用に対する不安や、収入の 不安定さからくる生活への不安をもたらした。臼本、韓国、アメリ. カ、スウェーデン、ドイツの18歳から24歳の男女合計約5◎QO人を対 象として2◎03年に実施された第7回世界青年意識調査(内閣府, 2◎◎4)によれば、貝本の青年が自国社会の最大の問題としてとらえ ているのは、「就職が難しく失業も多い(64.6%)」であった。また 悩み事は「就職のこと(33.9%)」が最も多く、働くことについての. 社会の状況を反映している。転職に関する考え方では、一生一つの. 職場で働き続けるという回答が、韓国を除く他の国では5%以下で あったのに対して、目本の青年では10%を超えていた。また、職業 選択の重視点では、臨本の青年は「仕事内容」を選択した者が最も 多かった。日本の青年は職業を人生の生きがいと捉えてお吟、自分 の適性や興味にあった仕事を一生かけてやっていきたいという希望 を持っていることがわかる。しかし就職には悲観的で、自分の就職 や将来に明るい展望ぶ持てていない。こうした状況の中で、臼本の 青年は進路選択を行っている。 一1一.

(4) 第1章 問題と弱敵 第壌節 高校生の進路成熟と自己理解 高校生の進路成熟 進路指導は、個人の職業的自己実現を追求する教育の営みと理解. することができる、と野淵(1983)は述べている.菊池(1992>は、. 生徒の進路や職業や生き方についての主体的選択や意志決定の力を 育てることが、進路指導の員標であると述べている。宮内(1992). は職業指導の概念として、魑人の職業的自己実現を図ることができ るように職業を選び、その後も進歩発展していくことを指導し、援 助する活動であると述べている。また宮内(1992)は、進路指導は、 Career Guidahceと同じ意味で、学校教育;期間中の生徒の職業的側. 面の発達、成熟を順調に進めるための教育的な指導、援助を意駿し ているとも述べている。これらのことから進路指導とは、生徒の職 業や生き方についての主体的な選択や意志決定の力の発達を援助・ 指導する教育的活動であるといえる。. ところが、現代の高校生の中には、目的意識が希薄なまま高校生 活を送り、満足なキャリア発達も行われないまま社会に出て行く者 も少なくない(梅井,2◎01)。下由(1983)は高校生を対象とした調. 査から、進路の未決、既決を問わず、十分な自我同一性を確立せず 進路決定のレディネスがないままに、未熟な進路決定によって進路 選択としている姿を報告している。武衛(2◎◎◎)もまた、進路に対. する自覚が低く無気力・無白癩でキャリア成熟も未熟なまま不本意、 あるいは不適切な進路選択をしている高校生の姿を報告するなど、. 進路指導の成果が充分に生徒に身に付いていないと思われる状態に なっている。. こうした未熟な進路成熟による進路決定がもたらす姿の一つとし て、スチューゲント・アパシーと呼ばれる学生無気力症がある。岩 村(1990>によれば、このスチューゲント・アパシーの発症が大学 への満足度などが関係しているとし、自分の興味や適性によらない、 ・2・.

(5) 合格可能性などによる未熟な進路成熟による進路選択が無気力な学 生生活の原因になりやすいと述べている。スチューゲント・アパシ ーとは、大学生に見られる無気力・無感動・無筆心の現象で、真面 昌だった学生が、勉強以外の生活はふつうに保たれているにもかか わらず、専門分野についての勉強へのやる気を失い、留年や退学に 追い込まれるという現象である(土川,199の。また大井(199◎)で. は、大学生が本業をおりて副業に専念するという選択的無気力状態 とも言われている。自分の将来の希望の実現するための勉強するは ずの大学での勉強を放棄して、将来と関係のない活動に専心してし まう状態である。土川(1990)は、スチューゲント・アパシーの問 題は、一部の特別な学生だけに見られる事例ではなく、臼本の現代 社会の中で青年ぶ自我の確立を図る、ひとつの道程とさえなりつつ あると述べている。学校での進路指導が十分に機能しておらず、多 くの高校生が不十分な自我同一性による未熟な進路成熟の状態での 外的要因にすがった進路選択が、行っていることを示していると考. えられる。こうした状況ついて下出(1983)は、高校3年時に進路 の模索ができているためには、早い時期から自己の生き方について 能動的に取り組んでいる必要があると述べている。進路を決定せね ばならない学年になってから急に考えるのではなく、もっと早い段. 階から自分の生き方を考える必要を指摘している。また武衛 (2◎◎◎)は、高校生の貝的意識や進路に対する自覚が低いことから. 不適切な進路選択をしていることを報告している。そこでは自分の 進路に対する意欲的態度を育成されていないことを述べられていて. 学校や保護者といった大人のサポートの不充分さを示唆している。. 進路成熟と自己理解. これまで、現代の高校生の進路選択について述べたが、本研究で は、高校生が進路選択するための姿勢や態度、能力の状態をダ進路 成熟」という語で表現する。進路成熟は、坂擁(1991>によれば、 スーパー,D.£.(196◎)が用いた職業的成熟という語に始まるとして. 一3一.

(6) いる。スーパー,D.E.(1960)は職業的成熟とは、職業的発達の連続. 線上で到達した位置であると述べている。坂槻(1991)は、進路成 熟の概念について基本的特徴を整理している。進路成熟は進路発達 と並列的に用いられることぶ多いが、進路成熟の概念は、進路発達 の概念よりも人間としての望ましい方向への志向性、あるいは理想 の状態に向かっての進歩的変化という教育的価値が含まれていると 整理している。生徒の進路選択についての能力や態度を表す語はい くつかあるが、これらのことから、本研究では、進路成熟を用いる こととした。逓年キャリア教育、キャリア成熟などと言った語が用 いられている淋、宮内(1992)のCareer Guidar【ceと進路指導:に関. する記述や、坂梛(1993>でも我が国の進路指導においてもキャリ ア概念を反映して「生き方ま・「人生設計」の指導・援助が重視され. ていると述べられている。このことから本研究ではキャリアという 語を用いず、学校で長い間用いられている進路という語を用いるこ ととする。. さて、進路指導では、かねてから自分の内面の自己理解、そして. 自己理解された要素と現実との検討の必要性が述べられている。 Pars膿s,F.(1967)は、職業選択において、自分の素質、能力、興. 味、熱意、資源、限界の明瞭な理解が必要であると述べている。竹 内(1988>は、自己理解を正しく行い、現実との関連でこの自己理 解を修正しながら自己の進路選択をしていく能力を養うことが大切. で、自己理解は進路の選択に不可欠であると述べている。山口 (1986)も、自主的に進路選択しようとする時に、自分はどのよう. な人間でありどのような進路に対する希望や考えをもっているかな どをよく知ることである自己理解が不可欠で、自己の進路の主体的 選択のできる能力の育成を目的とする進路指導の申心的課題である と述べている。また、自己理解について内藤(1982)は、自己につ いての知識・情報を集めることと、同時に客観的に正しく自己を理 解し、評価していく過程であると述べている。野々村(198のは、 自己に関する知識を集積すると同時に、自己についての客観的評価 一4・.

(7) を高めていく過程で、自己概念として統合されると述べている。菊 池(1992)は、認識の客体としての自分自身すなわち自己について 知ることと述べ、自己とは自分の身体をはじめとして、自分に関わ る全てのこととしている。自分を客体化して自分に関する知識を集 め、それらの知識によって自分を客観的に評価することであるとい える。また菊池(1992)は、自己理解は青年期の発達課題で、客観 的で現実的しかも肯定的な自己概念を作る大切さを述べている。自 己理解によって形成されるものとして自己概念が挙げられている。. 梶田(1987)は、自己概念について、自分自身を支える潜在的な概 念構造を指し、毎βの生活の中で少しずつ形成、発展していく自分 自身にかかわる包括的なものであると述べている。下山(1983)も 指摘しているとおり、進路選択期前から少しずつ自分について考え ることぶ必要である。しかし、菊池(1992)は、現代の中学、高校 生が、自己探索をしても、未来がどうなるものでもないというある 種の見極めからか、真剣に自分と向き合う機会を持たず、深刻な自 己理解の努力を避けているように見えると指摘している。また俳藤 (198のは、学校で行われる進路指導の中での自己理解の指導は、 教師自身が自己理解の理論と実際的指導についての理解が乏しく、. 指導について困惑しているために、自分を知りたいと考えている生 徒に充分にこたえられていないと指摘している。進路選択において の中心課題であるはずの自己理解が、教師、生徒双方の事情により 充分に行われていない現状が見える。. さて、進路指導において用いられる自己理解の内容については、 寺田・小熊(2◎03)は自己を、体力や運動能力に関する身体的自己、. 生き方ややさしさなどに関する精神的自己、学力や学習場面での活 動に関する学業的自己、人間関係や他者への態度などに関する社会 的自己、学校での学年や係や当番などの役割に関する役割的自己と 上記のどれにも属さないその他に分類している。山口(1986)は、. 自己理解の内容として生徒の学力や行動の側面、身体的特性、性格 的特性、興味・関心、緬値観などを挙げている。竹内(1988>は、自. 一5一.

(8) 己理解を学力、性格、体力・健康、長所、興味・関心の5つの側面 に分類している。これは、山口(1986)の整理した内容にその特性 を端的に表す名称を付け、それに自己の肯定的側面を表す「長所」 を付け加えたと考えられる。(τable1)肯定的自己についての理解の. 必要性について佃(1983)は、自分の「できる」「優れている」「勝. っている」といった肯定的な面を理解することで困難を乗り越える 自信ができ、薪しい課題に挑戦し、未知の経験に自分を開いていく. ことができると述べている。肯定的な面の理解の必要性については 菊池(1992)でも述べられているところである。佃(1983)の言う 個人の「能力的側面を含む心理的事実」、「身体的事実」に肯定的側. 面である長所を加えた5側面によって大まかな個人の自己理解領域 Table 1自己理解の内容についての先行文献からの整理 (p齢◎ns,1967;出口,1986;竹内,1988;寺田・小熊,2003>. Parsons, F(1967) 素質 能力 興味 熱意 資源 由口(1986) 学力や行動 身体的特牲 姓格的特性 興味・関心 億値観 竹内(1988) 学力 性格 体力・健康 長所 興味・関心. 身体的自己 寺田・小熊(2◎03). 精神的自己 学業的自己 社会的自己. 役割自己 その他. が網羅されたと言える。竹内(1988>は、中学1年から3年生を対 象に、進路成熟と自己理解の関係についての研究を行った。進学に 対する成熟や態度を表す教育的進路成熟と、学力についての自己理 解には関連が見られたが、長所の理解の程度は最も低く、上級学校 への進学は、自己の学力や興味・関心との関連でとらえられていて 長所との関わりがなかったことが報告され、進路指導では長所など の自己の内面の世界に対する理解を深めることと、自己理解への積 極的態度を養うことの重要性を示している。. 進路成熟の規定因に関する研究は、那須(1992)の高校生に関す る研究や竹内・坂梛(1984)の中学生を対象とした研究がある。こ れらの研究では、進路成熟と職業言値観、啓発的経験、親の職業、. 親子の関わりなどとの関連を求めていた。本研究では、就職や進学 といった進路の選択期を迎えている高校生について進路成熟と自己 理解を調査し、進路成熟と自己理解の各側面との関連を検討するこ 一6一.

(9) とを第1の目的とする。自己理解の各側面は、学力、性格、体力・ 健康、長所、興味・関心とする。. 第2節 高校生の進路成熟と高校からの心理的距離. 人は常に何らかの環境の中にいる。人間と環境とは、お互いに影. 響しあって1つのシステムを形成している。このシステムは発達す るにつれ、未分化な状態から、分化し階層的に統合された状態に移 行する。システムが最も発達した統合された段階では、人間が環境 との関係を統御している状態で、現在の目標や長期的な目標等によ り環境に関れったり、環境から身を引いたりすることができる(山 本,1992)。ワプナー・カプラン(1974)では、この発達によって、. 安定した対象世界と安定した自我カミ形成され、両者が分極化してい くことを「距離化」としている。恥fsey, Rierdan,隔pner(1974)の. 卒業を控えた大学生を対象にした研究では、大学生に自分の在籍し ている大学のイメージを描画させ、描かれた絵と個人が持っている 将来に対する計画の確実性や具体性との関連を検討している。その 結果、今の環境を離れるしっかりとした具体的な計画を持っていな い者は大学と心理的な距離を置けていないが、新しい環境への明確 な計画を持っている者は、大学から心理的に距離を置いていると報 告している。将来の計画を持っている者は、人間と環境とが統合さ れた発達した状態である、発達によって安定した自我を形成され、. 現在の環境との距離化が見られていると考えられる。人生において の新しい環境への移行では、新しい環境と自分との統合による飼人 の発達から、古い環境の客観化、距離化が行われる。学校と距離を 置くという考え方は生徒の移行を考えるうえで大切であるが、距離 化という語に教員の側に学校との関係が疎遠になる、生徒カミ学校を. 疎んずるという感覚があるために検討の対象とならなかったと考え られる。本研究では、高校生が在籍している高校との問でとってい る心理的な距離を調査し、現代の高校生の学校との距離の検討と進 一7一.

(10) 路成熟と距離との関連についての検討を行う。その際、高校生と高 校との間で高校生が取っている距離を高校からの心理的距離と名付 けて検討を行う。心理的距離という語について、山口・土屋・藤本 (1996)では、ある人と人との問に存在する二者問の親密度・親野 性・親近感の度合いや程度を表すと定義している。美山(20◎3)は、. 親密度だけではなく相手から遠ざかることも距離を取ることと考え、. 人と人との問において、親密さだけでなく相手と融合しない、相手 に干渉しない、相手と関わらないなどの意味を込めて用いられると 述べている。これは、本研究での高校生が在籍する学校という環境 や高校での人聞関係との親密度や遠ざかりを扱おうとしていること と同一である。先行研究では共通して人と人との間の距離を表す概 念として心理的距離を用いているが、これは、由根(1987)では、. 心理的距離を自己と相手との親密感の意味で用いているが、非生物 との間では、自己側の一方的な心理的距離が一義的に自己と対象と の心理的距離となるとして、非生物との間での距離を想定した考え を述べていることから、人と無生物との距離についても心理的距離 という語で表すことは差し支えないと考える。さて、本研究で扱う 高校からの心理的距離では、高校生が自分の在籍する高校に対して 持つ親密度や遠ざけを表すものである。したがって、高校からの心 理的距離が近いことは、在籍する学校との親密度が高く、自分の学 校と充分な距離が取れておらず客観化もできていないことを意味す る。反対に心理的距離が遠いことは、目標ぶ闘らかになるなど、進 路についての成熟が進んでいて、高校生が心理的に学校を客観化で きていて、次の段階へ移行する準備ができている状態である。. 竹内・坂柳(1986)の進路成熟態度尺度では、下位尺度に、関心、. 自律、計画が設けられている。質問項目の内容から、進路成熟態度 尺度での「計画」は、進学先や就職先溺具体化されているか、進学 や就職までの段取りがわかっているかといったものである.これは、 恥fseyet a1(1974)での、古い環境1を離れるための現実的な討画. に通ずると考えられることから、古い環境との心理的距離と進路成 一8一.

(11) 熟との間には関連があると予測される。しかし、進路成熟と生徒が 持つ学校との心理的距離を検討した研究は見られない。そこで本研 究では、高校生の進路成熟と高校生の高校からの心理的距離との関 連を検討する。. 第3節 本研究の目的 本研究の目的は次の通りである。. 1.高校生の進路成熟と自己理解との関連の検討 高校生の進路成熟が進路成熟が充分でない理由の一つに、自己理 解の不十分が考えられる。それには、生徒溺自己理解に真剣に取り 組まないこともあるが、教師の自己理解への理解が不十分であるこ とから生徒の自己理解への意欲が充分に育成されていないこと考え られる。本研究では、高校生の進路成熟を高める自己理解を考える ことを貝的として、高校生の進路成熟と自己理解との関連を検討す る。進路指導では客観的な自己理解という文言が用いられるが、本 研究では自己理解の具体的内容と進路成熟との関連とを検討するの ではなく、どの側面を理解することが自己理解を促進する材料とな るかを検討することを目的とし、調査者が設定した自己理解の各側 面についての理解の程度を、個人の自己申告の形で調査したものを 用いた。進路成熟との関連を検討する自己理解の側面は、先行研究 から、学力側面、性格側面、体力・健康側面、長所側面、興味・関 心側面とした。. 2。高校からの心理的距離の学年及び性による差の検討と高校か らの心理的距離と進路成熟との関連の検討. 進学や就職という多方面への人生移行を迎える高校生を対象とし て、古い環境である在籍する高校との心理的距離を、最下級である. 1年生と進路決定期を向かえた3年生とについて調査し、学年によ る心理的距離の変化、また供せて性による差の検討をする。また、. 進路成熟との関連が予測されることから、心理的距離と進路成熟と ・9一.

(12) の関連を検討する。坂枷(1993)で、進路成熟は学年進行とともに 高くなっていることが報告されていることから、学年が進むにした がって、高校生は高校から分離していると考えられる。高校からの 心理的距離は、進路成熟の高い者ほど遠く、学年が高くなるほど遠 くなると推測される。. 第2章 方 法. 第1節 調査の方法. 調査参加者神奈川県内の公立高校2校(全霞麟普通科1校、全9劇. 総合学科1校)の1年生と3年生の男女546名が本研究に被調査者 として参加した。その内訳は普通科校434名(1年;男105名, 女125名,3年;男97名,女107名)、総合学科校112名(1年;男1 9名,女45名,3年;男22名,女26名〉であった。なお、普通科高 校は、学区内では中位に位置しており導入学生の9割が四年制大学、 短大、専門学校への進学を希望している。総合学科高校は、高校再 編により同一学区:内の2校が再編され設置された。総合学科高校と. は、基本科員である「産業社会と人間」という科霞を全員が共通履 修したうえで、単位制で多種多様な科冒の中から生徒が自分の興味 や適性、将来の進路希望などに応じて科目を履修していく新しいタ イプの高校である。. 質問紙の構成 質問紙及びフェースシートは、どちらの学校にも以 下の内容のものが配布され、調査が行われた。. ①進路成熟 現代の多くの高校生の進路希望は進学希望であるが、. 就職希望の者もいることから、進学、就職両方に対する心構えや関. 心を測定できる必要がある。そこで本研究では、竹内・坂柳 (玉986)の進路成熟態度尺度を進路成熟の測定に用いた。進路成熟 ・10一.

(13) 態度尺度は、上級学校に対する興味や進学への心構え、進学への計 画性や自律度を測定する教育的進路成熟15項頃と、職業に対する関 心や意欲、就職に対する心構えを測定する職業的進路成熟15項冒か ら構成されており、それぞれが独立した質問紙となっている。教育 的進路成熟、職業的進路成熟それぞれに下位尺度として、自律、計 画、関心が置かれている。各質問項貝は、進路での自律、誹画、関 心に関する事柄についての意見を表した短文3つから成っている。. 回答者には各質問の3つの短文から自分に最も当てはまると思うも のを1っ選んで罎答するように求めた。. ②自己理解 自己理解の程度を調査する側面は、竹内(1988)が 用いた自己理解の分類をもとに、学力、性格.体力・健康、長所、. 興味・関心の5側面とした。各側面について「よくわかっている」 ならば◎、「だいたいわかっている」は○、「あまりわからない」は. △、「わからない」ならば×を回答欄に記入するよう4件法によって 回答を求めた。. ③進路希望 進学希望(四年制大学、短期大学、専門学校、専修 学校、大学校など)、就職希望(正社員や常勤職員などの正規採用を. 希望する)、まだ決めていない、の3っのうちから1つを選択して回 答するよう求めた。. ④高校からの心理的距離 高校生の高校からの心理的な遠ざかり の程度を測定するために、神浦(2◎◎4)の対大学心理的距離測定尺. 度を質問の内容や文言を高校生向けに改め、高校からの心理的距離 尺度を作成して調査を行った。. Table2高校からの心理的距離尺度の質悶項目 1.卒業後も自分の担任に会いたい。. 対大学心理的距離測定尺度は、. 2.卒業後は、特溺な薦事ぶなければ高校には来ない。 4.高校には言二念になる思い出溺たくさんある。. 大学生が大学を卒業して就職. 5.卒業後も部活動の顧問の先生に会いたい。 6.卒業後も、文化祭や、その飽の行事に参撫したい.. するにあたって大学から自分. 7.卒業後もきっと再び高校を訪れるだろう。. 8.卒業後は高校とはすっぱりと縁が擁れる。. を心理的に切り離すこと解で. 9.卒業したら高校の先生のことは忘れてしまう。. 10.卒業後も部活動の練習に参加したい。. きているかを検討するために. 11.卒業後も高校の友達と会いたい。 12.卒業後、担任に悩みを相談したい。 13.私は高校に愛着はない。 14.卒業後も担任の先生に近況報告をするつも喚だ。. 作成されたもので、本研究で 測定したい高校生の学校から. 15.卒業後は高校生活を振り返ることはない。. ・11一.

(14) の心理的な遠ざかりを測定するのに適している。質問項目は、大学 での思い出や大学で得た友人との別離、施設や行事を含めた大学に. 対する思い、大学の教員に対する思いなど全21項目から成っている。 回答者には各質問に対してとてもそう思う、少しそう思う、ややそ う思う、全く思わない、の4件法で回答を求めていて、調査の結果、 「大学との別れ」、「学生國帰」、ゼ教師との絆」の3三子ぶ抽轡され. ている。各因子の内的一貫性は、「大学との別れ」因子が.88、「学. 生回帰」因子が.82、「教師との絆」因子が.77となっている。本研. 究では、調査の対象が高校生であることから、質問項霞から、現実 的に実現不可能な、高校に戻って学ぶとか、高校の図書館を使いた いや、母校の存続を願う気持ちといった高校生には現実味が感じに くいと思われる項目を劇除して15項臼に絞り、質問項冒の短文も文. 言や内容を高校生にあったものに改めた。回答は、とてもそう思う、 少しそう思う、ややそう思う、全く思わない、の4件法で回答を求 めた(Table2)。尺度得点の解釈は、尺度得点が高い者は高校からの. 心理的距離が遠い、すなわち高校を自分の中で切り離せている望ま しい状態で、尺度得点の低い者は高校に近寄っていて自分の中で高. 校を心理的に切り離せていない望ましくない状態であると解釈する、 ⑤フェースシート 質問紙照子の表紙となるフェースシートでは、 調査参加者の学年と性別について回答を求めた。. 手続き 調査は、質問紙冊子を用い、各学級単位で、ロングホーム. ルームやショートホームルームを利用して、各学級担任教論の指示 によって集団実施された。教示の内容を学級間で揃ったものとする ために、調査者によって調査実施の手引きが作成され、手引きの指 示に基づいて調査が行われた。. 第2節 分析の方法 進路成熟態度尺度について、教育的進路成熟と職業的進路成熟の. それぞれの合計点と平均点を算出し、学年と性及び進路希望を独立 ・12一.

(15) 変数とする2×2×3の3要因分散分析を行なった。また、教育的 進路成熟得点と職業的進路成熟得点の各々の平均得点によって、調 査参加者を教育的進路成熟高群・低群、職業的進路成熟高群・低群. の2群に分けた。自己理解と進路成熟との関連については、自己理 解に関する回答溺◎や○、△、×といった回答の形式であったこと から得点化せず、よくわかっているとだいたいわかっていると回答 した者を、自分のことを理解しているという意味から「自己理解積 極群」、あまりわからない、わからないと回答した者は、自分のこと をよく理解していないという意味から「自己理解消極群」とした。. 本研究の第1の演的である教育的進路成熟と自己理解の5側面との 関連、職業的進路成熟と自己理解との関連を検討するために、岩原 (1979)による比の差のテストのうちの角変換法による次の分析を行. った。この分析では、まず人数の集計を行う。自己理解各側面の自 己理解積極群に属する者が、進路成熟高群と低群にそれぞれ何人ず. ついるかを集計する。同様に自己理解消極群についても集団を行う. 人数は学年別に集計される。この集計が教育的、職業的進路成熟そ. れぞれで、本研究での自己理解5側面において行われる。集計され. た人数を、1年生の自己理解積極群は1年生の進路成熟高群・低群 での自己理解積極群を合計した人数で翻り、この値を百分率で表し た進路成熟高群での比が算出された。自己理解消極群についても同. 様に計算されて比ぶ算出された。3年生についても同様に値が算出 された。この百分率での値を角変換値に変換し分析に用いた。岩原 (1979)によれば角変換法は、この変換値を平均と考えるならば分. 散分析と同じ応用がきくとなっている。本研究ではこの角変換法を 用いて分散分析を行い、自己理解として定めた5側面それぞれにお いて、学年と自己理解の単純主効果と、学年と自己理解との交互作 用を検討した。たとえば自己理解側面の学力側面での学年と自己理 解での分散分析では、進路成熟高群での学年と学力側面の理解につ いての主効果ぶ検討された。このため、学年の主効果は、自己理解 の側面ごとに分析が行われた。 ・13一.

(16) さらに、自己理解各側面との教育的進路成熟と職業的進路成熟と の関連を検討するために、自己理解の各側面の自己理解積極群・消 極群を独立変数、教育的進路成熟、職業的進路成熟を従属変数とし. た数量化理論至類を用いた分析を行った。本研究では数量化1類に よる分析を次のように行った。質的変数である自己理解積極群・消. 極群に対して、自己理解消極群には0、自己理解積極群には1のダ ミー変数を割り振った。この変換を本研究での自己理解5側面につ いて行い、質的変数である自己理解積極群・消極群を量的変数とし た後に独立変数として投入し、進路成熟得点を従属変数とした重回. 帰分析を行った。この分析の結果では、ダミー変数を0とした自己. 理解消極群は、カテゴリーポイントが0となり、ダミー変数を1と して投入して算繊された自己理解積極群のカテゴリーポイントとの 問でレンジが計算された。. 高校からの心理的距離尺度得点については、2(学年)X2 (性)×3(進路成熟高低群)の3要困分散分析を、教育的進路成 熟一と職業的進路成熟それぞれについて行った。. 第3章 結 軍 機壌節 進路成熟態度尺度. 尺度の得点化. 進路成熟態度尺度については、各質問の3月頃意見を表した短文. について、2点、1点、0点の配点を行い、進路成熟態度を得点化 した。教育的進路成熟が0点から30点、職業的進路成熟が0点から3 0点の範囲で得点化された。教育的進路成熟得点と職業的進路成熟得. 点を合算した進路成熟態度得点は算出していない。尺度内の内的一 貫性を調べたところ、教育的進路成熟では。83、職業的進路成熟で は.82であった。. 一14・.

(17) 自己理解と教育的進路成熟との関連. 進路成熟と自己理解との関連については、教育的進路成熟と職業 的進路成熟とに分けて検討を行った。進路成熟高群と低群での自己 理解積極群・消極騨の学年ごとの人数、人数の割合と比の分散分析 丁窪b}e3教育的進賂成熟高群低群と職業的遊路成熟高群低群の中での自己理解積極群、霞己理:解消極群の人数の. 自己理解各側面での人数の学年ごとの集計と割合、角変換値 教育的閉路成熟高群 教育的進路成熟低回 自己理鯉 自己引湯. 極群 消極群 学力衡面 1年 人数 出規比(%). 角変換値 3年 人数. 極群. 性格儲面 1年. 53.重. 69.8. 32.58. 22.79. 57,42. 66。8玉. 42.99. 33.21. 46。72. 56.荏8. 唾3. 給韮. 74。0. 67.5. 25,9. 32.5. 61。7. 5σ.G. 38.2. 5σ.a. 59.34. 55.24. 3◎.33. 34.76. 5玉、a5. 4s.6の. 3&06 筆24. 45.◎◎. 55. 穏3. 20. 董◎. 163. 53. 7a5. 鐙7. 15.8. 84」. 46.3. 34.9. 23.19. 57.玉0. 6§.42. 42、71. 35.97. ?4.8. 66.0. 25。互. 59.67. 54.33. 30。oe. 3窯.58. 重49. 65. 35. 13. 50 173. 27.3. 23.2. 72.6. 31.31. 28.66. 58.37. 韮62 74.6 59.6?. 50. 18. 22. 47.01. 65.0 53.?3. 28. 伽. 25. 73. 33.9. 63.3. 47.1. 36.6. 52.8. 35.6?. 52.53. 43.28. 37.17. 46.43. 昭. 108. 76.7. 荏5.3. 61.oo. 4盆.正3. 13. 21. 37。5 3?.76 ’. 54、6. 62.5. 4?.58. 52.24. 55 25.3. 37.1. 62.6. 4a.8. 37.3. 52.24. 30.00. 3?.硅7. δ2.24. 4◎.69. 3?,4?. 重20. 74. §5. 璽36. 絡. 35. 霊30. 6念.8. 96. 4董. 53.6. 22 28. 20. 8遷. 81. 72. 齢. 57.1. 49.02. 93. 34.2. 18、9. 65、7. 8玉.0. 56.6. 37.1. 凄9、3. 62。8. 35.67. 25。48. 54.03. 64.16. 4§.29. 3?.47. 52.24. 1◎3. 48. 44.43. 8茎.§. 61.3. 18.4. 38.6. 73.5. 4δ.9. 29.4. 5婆.7. 6荏.52. 51.35. 25.48. 38.35. 57.10. 42.13. 32.90. 47.58. 119. 69. 人数. 崖現比(%〉. 65 9. 27. 総5. 盤.蓬. 16.0. 70.5. 32.90. 22.79. 57、10. 欝3. 轡境比(鵯〉. 角変換値. 27. 康71. 68. 墨現比(鵯). 角変換値 3年 人数. 8. 29。4. 猷剛比(%}. 角変換値. 37. 128. 肩叩比(%〉. 興味・関心翻面1年. 消極. 総 30.1. 体か健康衡面重年 人数 隣境比(%). 角変換値 3年 人数. 45. 46.8. 出環比(%). 角変換値: 長齎翻面 1年 人数. 極群 84.9. 平坪比(%). 角変換四. 消極群 70.9. 70. 霊57. 角変換値 3年 人数. 極群. 15.0. 人数. 角変換値 3年 人数. 消極. 29.O. 虚現比(%). 角変換値. 職業的進路成熟高群 職業的進路成熟低群. 自己理餌 自己理i解 難己理解 自己理解 自己理癬 自己理鰹. 2霊. 55. 41 51. 113. 16. 43. 58. 44. 121. 48.2. 26.6. §茎.7. 73.$. 67。21. 43.85. 30.98. 45.57. 58.6曾. 霊3. 138. 85.愈. 13. 80. 21’. 74.7. 6玉.7. 25.2. 38.2. 63.3. 38.2. 36.?. 6玉.7. 59.67. 5正.65. 3◎.00. 38.◎6. 52.53. 38、◎6. 37.17. 51.65. で用いた角変換値をTable3に示す。1年生に比べて3年生では、進 路成熟高群の人数が増えていた。. この分析で用いる値:は、進路成熟高群と進路成熟低群それぞれで. の自己理解積極群、消極群に属する者の割合で求められている。算 出の過程から、進路成熟高群の値と進路成熟低群の値は裏表の関係 であり、この値:を元にした角変換値によって行われる分析では、同. じ自己理解側面では進路成熟高群、群群の結果は嗣じものが得られ ている。そこで本研究では、生徒の進路成熟淋高まるζとを望まし 一15。.

(18) いことと考える立場から、進路成熟の高い者と自己理解の程度とが どのような関連を持っているのかを検討することとした。したがっ てこれ以下では進路成熟高群での結果を示し、これを元にして検討 を進める。. まず教育的進路成熟では、自己理解の各側面において学年の主効. 果が有意で、1年生に比べて3年生の人数ぶ増えていた(学力側. 面:κ2(1)・=81.00,P<.001;性格側面:κ彦(1). =92.60,P<.001;体力・健康側面:鑑2(1)=59. 52,P<。◎01;長所側面:冗2(1)=122.11,P<. 001;興味・関心側面:κ2(1)=68.64,P<.001)。 また自己理解の主効果は、体力・健康側面を除いた、学力、性格、. 長所、興味・関心の各側面で有意で、自己理解積極群の人数が自己. 理解消極群に比べて人数が多かった(学力側面:驚2(1)=4.4. 5,P<.05;性格側面:冗2(1>糞5.72, P〈.05;長 所側面:冗驚(1>=・22.25,P<.0◎1;興味・関心側面:. κ乞(1)鷺7.29,P〈.01>。学年と自己理解との交互作用 は、自己理解として定めた5側面いずれでも見られなかった。教育 的進路成熟で体力・健康側面の自己理解の主効果が得られなかった のは、進路成熟高群での、体力・健康側面の自己理解消極群の人数 が多く、自己理解積極群と消極群との差が小さかったからだと考え られる。. 自己理解と職業的進路成熟との関連. 職業的進路成熟では、学年の主効果は、自己理解の各側面のうち. で、学力、性格、長所、興味・関心側面では有意であったが、体 力・健康側面では有意な主効果は見られなかった(学力側面:冗2. (1)=g.66,p<.05;性格側面:冗2(1>霊8.1◎,. P〈.01;長所側面:x2(1)瓢1LO6,P〈.001;興 味・関心側面:冗2(1)=5.5◎,P<.◎5>。自己理解の主 効果はすべての自己理解側面で有意で、自己理解積極群の方が消極 一16一.

(19) 群よりも人数が多かった(学力側面:κ2(1)=6.23,P<.. ◎5;性格側面:κ2(1)=7。06,P<.05;体力・健康側 面:5.59,P<.05;長所側面:z2(1)=・2エ.18, P. <.001;興味・関心側面:κ2(1)瓢16.58,P<。00 1)。. 自己理解と進路成熟についての数量化1類による分析. 教育的進路成熟及び職業的進路成熟と自己理解との関連を検討す Tめ!e4自己理解を独立変数とした教育的進路成熟に対する. 数量化【類の結果 学力側面 消極群. ◎. 1.710 .113. 積極群. 1.710. 性格測面 消極群. ◎. 一.011 .17◎ 積極群 一。170. 体力・健康消極鮮 藝魁面. 積極群. 0. .819 .054 ,819. 畏薩翻颪消極群. 乳蹉85 積極群 2。285. T轟ble5自己理解を独立変数とした職叢的進路成熟に欝する. 数量化{類の繕果. 0. 学力鮒面 消極群. ◎. 1.474 積極群 1.474 ,103. 煙格側面 消極群. .234 積極群. ◎. .016 .234. 体力・健康消極群. 積擁礁 .・746. 側面. 0. .052. .746. 長所側面消極群. 0. .18{}圭.973 .1ξ}5 積極群 1.973. R2乗値距.Q84. R2乗値=、081. るために、数量化1類を用いた分析を行った結果では、教育的進路 成熟、職業的進路成熟ともに、長所側面、興味・関心側面、学力側 面の順で標準偏園帰係数淋高かった。性格側面、体力・健康側面は 教育的面一成熟、職業的進路成熟ともに、標準偏回帰係数が小さか った。(τabエe街5>. 第2節 高校からの心理的距離尺度について 高校からの心理的距離尺度の得点化と分析. 高校からの心理的距離尺度の得点化を行った。本研究では、高校 から心理的に離れていることを望ましいとする立場から、高校から 心理的に離れることを質問する項目では、「とてもそう思う」を4点、 「かなりそう思う」を3点、「少しそう思う」を2点、「全くそう思. わない」を1点として得点化した。逆転項跨については、配点を逆 一17一.

(20) にして得点を謙算した。質問項目すべてでの内的一貫性は.86であ った。 Table6高校からの心理的距離尺度得点の教育的進路成熟高低 群、職業的進路成熟高低群それぞれでの学年、性による平均得点と. 標準偏差 1年. 3年. 男 N=123. 女 一募一「二一. 授==170. N==119. Nl=134. 進路成熟冷感幽幽器闘. 職業的油滴灘搬槻欄. 高校からの心理的距 離の学年と性との関 連を検討するために、. 高校からの心理的距 離得点を従属変数と し、学年、性と教育. 進路成熟繍糊羅藩継鵬. 的進路成熟高低群を. 独立変数とした2(学年)×2(性)×2. (教育的進路成熟高低. 群)の3要因分散分析を行った結果では、学年くF (1,538) 二=11。 11,P<、 ◎1)、性(F(1, 538) =7. 98, P. <.01)、教育進路成熟高低群(F(1,538) =13. 91, P〈.◎1)の主効果が有意であった。職業的進路成熟においても、. 学年、性と職業的進路成熟高低群を独立変数とした2(学年)X2 〈性>X2(職業的進路成熟高低群)の3要因分散分析を行い、学. 年(F(1,538)器5.66,P<.◎5)、性(F(1,53 8)・=15. 20,. P<.. 001>、職業進路成熟高低. 群(F (1, 538)=1 0. 19, P〈。 001) で有意な主効果が見られ、. 熊1 ・・. l ・・!. ; 33. 学年と職業的進路成熟高低 30. 群との交互作用が有意であ. った(F(1,538)= 5. , 31. 雇年. 3年警. 蒋gロre董高校がらの心理的距離欝点での学隼と職業的進路. 成熟との交互作用. P〈. 05)(Table6)。主効果が有意であったものにつ. いて、学年では、教育的進路成熟、職業的進路成熟のいずれの場合. も、3年生の方が1年生に比べて高校からの心理的距離得点が有意 に高かった。また性では、男子の方ぶ女子に此べて得点が高かった。 教育的進路成熟高低群では、教育的進路成熟低群の方円ミ教育的進路 一18・.

(21) 成熟高群に比べて高校からの心理的距離得点が高く、職業的進路成 熟においても、職業的進路成熟低群の方が職業的進路成熟高鮮に比 べて高校からの心理的距離得点が高かった。学年と職業的進路成熟. 高低群との交互作用では、職業的進路成熟高群では、1年生と3年 生とで高校からの心理的距離得点に差は見られなかったが、職業的. 進路成熟低群では、1年生に比べて3年生の得点の方が高校からの 心理的距離得点が有意に高くなっていた(Figure1)。. 第4章 考 察 第年季 自己理解と高校生の進路成熟との関連. 高校生の進路成熟について、自己理解の程度との関連と高校から の心理的距離との関連を検討した。. 角変換値による比の差のテストでは、教育的進路成熟では、本研 究で自己理解とした5つの側面のうち体力・健康側面を除く、学力、 性格、長所、興味・関心側面で主効果が見られた。教育的進路成熟 が高まるうえで、体力・健康側面の主効果が見られなかったのは、 教育的進路成熟高群での自己理解積極群と消極群との人数:の差が小. さいためである。進路成熟高群での自己理解消極群の人数が多いと いうことから、体力に関する自己理解の程度が高くなくても進路成 熟が高くなるといえる。このことは、体育系の大学・学部や体育系 の専門学校への進学を希望している者を除き、進学先を決める際に 自分の体力・健康側面について考慮する者は多くないためであると いえる。職業的進路成熟では、教育的成熟とは異なり、体力・健康. 側面を含む、自己理解の5つの側面すべてで自己理解の主効果が見 られた。竹内(1988)では、職業的進路成熟で体力・健康側面との 強い関連が見られたと報告し、中学生であっても将来の職業を想起 する時に、自分の体力や健康が底流となっていると述べている。 一19一.

(22) 本研究での結果も、自分の職業を考える時には、その職業が自分の 興味や関心に沿ったものであるのか、自分の性格はその職業を遂行 していく上で適当なのか、就職試験に合格するだけの学力があるの か、また業務内容を理解して携わっていくだけの知識、教養、学力 があるのかということの上に、自分が知っている働く人々や職業の イメージから体力的な負荷を考え、仕事として長い期間継続してそ の職業に従事できるだけの体力が自分に備わっているか、現在の自 分の健康状態はどうかを考えることを示しているといえる。進路成. 熟と自己理解との関連をさらに検討するために行った、自己理解5 側面を独立変数、進路成熟得点を従属変数とした数量化1類による 分析の結果、教育的進路成熟、職業的進路成熟ともに、長所側面、. 興味・関心側面、学力側面の理解の程度との闘連が示された。この. 3側面と関連が見られたことについて考察する。長所側面との関連 については、佃(1983>や菊池(1992>が述べている肯定的自己理 解の必要性を支持しているといえる。八並・研地知(1999)は、高 校生を対象とした進路成熟についての調査から、肯定的自己概念と. 進路成熟との問に関連があることを報告している。さらに佐藤 (1995)の、高校2年生を対象にした調査での、自分を肯定的に捉. えている者は、近未来への志向性が強いとする報告や、都筑 (1984)の女子短大生を対象とした調査で、現実自己像の評価が高. い者は、低い者に比べて未来イメージがポジティブであると述べて いるなど、肯定的な自己理解と進路成熟については先行研究でも触 れられているところであるが、本研究においては、肯定的理解や肯 定的評価として自分の長所についての理解を深めることの有用性が 示されたといえる。長所の理解の程度と進路成熟との関連について は、松井・伊丹(1988)がセルフエスティーム(自尊感情)と進路 成熟とが密接な関連にあることを報告しているように自尊感情との. 関連が考えられる。松井・伊丹(1998)では、進路成熟を高め ること淋セルフエスティームを高めると述べている。遠藤(1981>. は、社会とのかかわりの中での特定の役割、価値観の達成を通して ・20・.

(23) 獲得される自己価値についての確信を自尊感情と呼んで良いと述べ ている。出村(20◎4)は、男子高校生の自:尊感情についての調査か. ら「特技」が自尊感情とかかわりを持っていると述べている。特技 は「何か自分にしかないものを持っている」ということで、このこ とカ{自尊感情を支えていると述べている。出村(20◎4)での「特. 技」は、その定義から本研究での長所と同一であるといえる。長所 という自分にしかないものを持っていると意識することで、自分は 独自の存在であるという自尊感情が支えられ、それによって進路成 熟が高まっているのだといえる。梶田(⑲87)は、職業選択を社会 での役割選択ととらえた時に、性格的技能的適性に関する自己概念 から自分に適合した役割を選択するというパターンを示している。. 本観究での長所の理解と進路成熟との関連は、長所の理解の程度が 高いことで自分の適性にあった役割を発見しやすくなり、それカミ進. 路成熟の高まりにつながっていくといえる。学力側面の理解と進路 成熟との関連については、下貼(1984)は、高校生を対象とした調 査の結果から、進路決定過程において成績要困が重要な意味を持っ ていることを報告している。鈴木・下山(1993)は、進路指導で、. 学力を重視することが学力方面での成功の鍵と考えている高校生の 意識をとらえており、学力の理解は、進路成熟や進路選択にとって 大切な位置を占めているといえる。進学では上級学校への進学に学 力試験が課されることや、大学や短大が偏差値によってランク付け され大学・短大進学と専門学校進学との判断基準が偏差値や学力で あることから、自分の学力の水準を理解していることは重要である。. 自分の学力の理解によって、自分の学力レベルにあった上級学校を 具体的に考えることができ、その学校での生活や授業の内容などと いった上級学校への興味ぶ増す。また、選択肢に入った学校の入学 試験に合格するためにどのような学習をすればよいのかといった受 験勉強の計画を作ることができる、就職に関しても進学と同じで、. 選択できる就職先が成績によって左右されることや就職試験の難易 度など、就職した後の業務遂行上の能力とあわせて、その前の段階 一21一.

(24) での就職先選定時の検討の要素として考えられていると考えられる。. 興味・関心については、高校生が進学先や就職先、また職業という ものを考えるうえで、自分の興味や関心を検討の要素としていたこ とになる。興味・関心側面が、教育的進路成熟、職業的進路成熟と もに規定因となっていたことは、高校生が自分の進路を考える時に、. 学力などの外的な要素だけでなく自分の内面的なものも選択の材料 としていたことになる。また鈴木・戸井(1993)は、高校生の進路 意識に関する調査を行った結果から、高校生の進路意識の中には、. 学力と適性は独立して存在するものではなく、相互に間わりをもっ た形で同居していると述べている。本研究において、学力側面と興 味・関心側面とが並び立って進路成熟との関連が見られたことは、 この先行硬究の結果を支持するものである。本研究において進路成. 熟との関連を持つものとして得られた3っの側面は、自己を肯定し 自分が独自の存在であることを表す長所側面、能力としての学力側 面そして、適性としての興味・関心側面であったということができ る。. ところで竹内(1988)は、長所側面理解群の少なさを報告し、自 己の内面の世界についての理解を深めさせる大切さを述べている。. 本研究も質的データに基づいて関連を検討していることから、教育 的進路成熟低群と職業的進路成熟低群の中で、自己理解各側面の自. 己理解消極群に属する生徒の人数を調べた結果、1年生では、教育 的進路成熟低群では長所側面の自己理解消極酵の人数が120名、性格. 側面では53名、興味・関心側面で51名という順で多かった。職業的 進路成熟低群では、長所側面での自己理解消極群の人数が93名で最 も多く、以下興味・関心側面の44名、次が性格渋面の41名となって. いる。3年生では、教育的進路成熟では長所側面が41名、次は性格 側面の18名であった。職業的進路成熟低群では長所側面ぶ58名、性 格側面が28名であった。教育的進路成熟、職業的進路成熟ともに長 所翻面の自己理解消極群の数が最も多く、本研究においても長所側 面を理解している者が少ないという結果が見られた。また進路成熟 一22・.

(25) 低群中での自己理解消極群の人数:は、性格、長所、興味・関心側面. で多く、高校生においても長所や性格といった自己の内面に関する 側面の理解が進んでいないことを示しており、竹内(1988)にもあ るとおり、高校生においても自分の内面理解の深化カミ必要であるこ とが示された。. 第2節 高校生の高校からの心理的距離 高校生の高校からの心理的距離. 高校生が高校からどの程度心理的な距離をおいているかを、高校 からの心理的距離尺度によって調査した結果、男子の方が女子より. も高校からの心理的距離が遠く、3年生の方が1年生よりも心理的 距離が遠いことがわかった。学年については仮説が支持された。ま た進路成熟との関係では、教育的進路成熟高低群、職業的進路成熟 高低群ともに、進路成熟高群に比べて進路成熟低群の高校からの心 理的距離得点の方が有意に高く、高校からの心理的距離が遠かった。. 学年と職業的進路成熟との閥に有意な交互作用が見られ、職業的進. 路成熟低群の得点が1年生よりも3年生で高くなっていた。職業的 進路成熟高群では得点の大きな変化は見られなかった。高校からの 心理的距離と進路成熟との関連での結果は、進路成熟が進んでいな い者の方が高校からの心理的距離が遠いという結果となり、仮説の、. 進路成熟の進んでいる者の方が高校を心理的に遠くに置けていると は異なる結果となった。. まず学年については、3年生は進路希望が固まる時期でもあり、 高校での思い出を大劔なものと思いながらも高校卒業後の進路にも 思いを馳せ、いつまでも高校生活に浸っていられないという意識ぶ. 現れているといえる。1年生については入学して問もないことでも あり、これから高校生活を送るわけであるから、入学当初から学校 生活に否定的である者を除けば、まだ心理的な距離を置く段階では ないといえる。高校からの心理的距離と性との閣連で、女子の心理 一23・.

(26) 的距離得点が男子より低かったことは、女子の方が男子よりも高校 との心理的距離が近く、高校を心理的に客観化できていないために、. 進学先や就職先に馴染むことができない状況であるといえる。しか し伊藤i(1993)の、10代から40代までの男女を対象とした個人の{圏. 人志向性と社会志向性の調査で、10代女子では自己を確立してい く過程で、個人の独自性よりも自分の属する社会とのつながりを優. 位に置くといった報告がある。諸井(1985)の高校1年生を被調査 者とした孤独感に関する調査での、男子の方が女子に比べて孤独感 が有意に強いことや、伊藤(1993)の研究での10代の男子は自分の 独自性を大切にしているという報告などからは、男子は集団から離 れるが、女子は所属する集団を大切にしている姿が見られる。また、 本研究で高校からの心理的距離を測定するために用いた高校からの 心理的距離尺度の質問平削は、卒業したら高校のことを忘れるとか、. 卒業したらもう高校を訪れることはないなど、高校との絆を断ち切 ることを問う内容であったことなどから、高校からの心理的距離尺 度得点淋低いことは、高校を客観化できていないのではなく、高校 との絆を断ち切ることを否定する態度の現れだと考えられる。これ らを考え合わせると、本研究の結果は、女子生徒が高校を客観化で きず高校生活を引きずり、男子生徒が高校を客観化できているとい うよりも、女子生徒が高校や高校の友人といった自分の所属する祉 会とのつながりを個人の中で優位に置いていることが、高校への心 理的な近さとして現れているといえる。女子が卒業時にサイン帳や 色紙を友人問で移すことなど、男子に比べて女子は自分の思い出を 大切にするということもいえる。それに対して男子は、自分の独自 性を大切にし、他人に頼ることなく孤高とも言える態度を求めて高 校生活の思い出や人間関係を意識的に断ち切ろうとしている姿が現 れているといえる。. 高校からの心理的距離と進路成熟との関連. 高校からの心理的距離と進路成熟との関連では、進路成熟の進ん ・24一.

(27) でいる者の方が高校からの心理的距離が近いという結果を得た。こ. の結果を本研究での高校からの心理的距離の仮説で検討すると、 恥fseyet a1(1974)と異なり、将来への計画のある者の方が、現 在の環境である学校から離れることができていないことになる。進 路成熟と学校生活との関連について松井(20◎1)は、中学生を対象 に行なった調査で、学校生活に満足しているものは進路成熟が進ん でいることを報告している。ここでの学校生活に満足しているとは、. 学級に馴染み、周囲からも認められているという状態を示す。また 松井・佐藤(2000)では、進路成熟の促進には、他者から承認が重 要なファクターであると述べられている。本研究で進路成熟が進ん でいる者が高校からの心理的距離が近いのは、進路成熟が進んでい る者は、周りから承認されている感覚カミ強く、学校に比較的適応し. 学校生活にも満足しているので、学校から離れる必要がないためで あるといえる。また、大谷(2003>は、進路選択自己効力感に一つい. ての高校生を対象とした調査で、進路選択に対して柔軟に対応でき るという自信が学校適応感に影響していると報告している。進路選 択への柔軟性とは、進路を実現させる方法が分からない時に、すで に実現した先輩に相談できるといったことである。これは、本研究 で用いた進路成熟尺度が測定している進路に対する関心や自律性と 同じであると考えられ、進路成熟が高いことによって学校への適応 が高まり、高校からの心理的距離が近くなるといえる。. 高校3年生の高校からの心理的距離 高校からの心理的距離得点を従属変数として、学年、性、職業的. 進路成熟高低群を独立変数とした3要因分散分析において、学年と 職業的進路成熟との交互作用が見られた。職業的進路成熟低群では. 1年生に比べて3年生の高校からの心理的距離得点が有意に高くな っているが、職業的進路成熟高群では1年生も3年生も心理的距離 得点に有意な差はない。また、1年生では進路成熟高群と進路成熟 春野との間に有意な得点差は見られない。これまでの考察から職業 一25一.

(28) 的進路成熟低群の者が学校を心理的に遠くに置いて客観視できてい て、次の段階にスムーズに移行できるようになっているとは考えに くい。松井(2◎◎1)は、中学生を対象に進路成熟と学校に対する適. 応との関連を調査した結果から、学校生活に不満足な者の職業的進 路成熟は学年が上がっても大きな{申びを示さず、学校生活に満足し. ている者に比べて職業的進路成熟が低いことを報告している。また 佐々木(1991)は、定時制高校生の作文を分類し、学習を含めた学 校生活全般に真面目に取り組まない高校生の置かれている状況を、 学校での学習や生活に対して、目的はなく意義も感じ’ていないが、. 高卒の資格を取らなければならないという気持ちから、出席日数を 稼ぐために毎日学校に通っていると述べている。進路成熟低群の者 は、松井・佐藤(2000>から、学校生活で自分の考えや意欲が反映 されるなど自分が認められること溺少なく、学校生活に満足するこ. とが少なかったのであろう。また3年生になっても進路に対する心 構えや計画ができないので、学校の進路指導や進路についての他の 生徒の動きについていくことぶできなくなってしまい、無自的な状 態で、客観化と言うよりも学校の活動を冷ややかに等閑視している 状態になり、学校との心理的距離が遠くなっていると考えられる。. 職業的進路成熟低群の3年生に見られた高校との心理的距離の取り 方は、進路の決断で最も大切な時期に学校との関わりを持とうとし ない生徒の様子が現れているといえる。進路選択ができていない生 徒だからと学校側が指導・援助しようとしても、本人が学校に対し て拒否的な態度にいるために指導や援助が本人に届かないという状 態になるといえる。. 第5章 おわりに 本研究では、高校生の自己理解の程度と進路成熟との関連とを検 討した。また環境移行の面から古い環境との心理的距離についても 調査を行い、進路成熟との関連を検討した。以上についての検討か 一26・.

(29) ら次の結果を得た。. 1.進路成熟と自己理解との関連が明らかになった、特に長所の 理解は進路成熟と正の関連がある。. 2.高校生の高校との心理的距離は、進路成熟進路成熟の進んで いる者は近い。. 自分の長所についての理解、自分を肯定的に評価することの必要 性が明らかとなった。また、高校からの心理的距離と進路成熟との 関連からは、将来への計画も関心も持てないことから学校に充分に 適応することができず、高校生活や高校にまつわる思い幾、高校生 活で得た人間関係と距離を置いている高校生の姿が見られた。. 本研究で得られた結果は、高校の進路指導での自己理解に関する 取り組みに、長所の理解の程度を高めることの必要性という方向性 を示すことができた。今後、自己理解の中で、長所理解を深めるた めの教材の作成や指導を行うことが求められる。また進路成熟と高 校からの心理的距離との関連から得られた結果から、進路成熟の進 まない生徒の置かれた状況を見て取ることができたことは、進路選 択期にある生徒の生徒理解に新しい知見を与えたといえる。本研究 では、自己理解を進路成熟の規定要因として調査を行った。進路成 熟の規定要因については様々な事柄淋考えられ、研究が行われてい. る。本研究での自己理解の程度を独立変数とした数量化1類による. 分析でR2乗値が小さかったことは、様々に進路成熟を規定する事 柄の存在が考えられることを示している。本研究での結果は、進路 成熟と関連があると予測されるものの一つである自己理解の中での 結果と考える必要ぶある。. 今後の課題として次のことが挙げられる。第一は、長所の内容に ついてである。一口に長所と言ってもその内容は幅広い。今後は長. 所の具体的な内容を、本研究の自己理解の長所側面を除いた4側面 に分類し、その内容と進路成熟との関連を検討すること必要がある、. 第二は、第一の課題に関連するが、本研究では自己理解の程度を調 査したが、理解している内容が肯定的か否定的かは調査していない。 一27一.

(30) 例えば、学力が低いという否定的な内容であっても、そのことをし っかり理解していればよいのか、それとも、学力が高いと言った肯 定的な自己理解であることが、進路成熟に影響を及ぼすのかを検討 する必要がある。また心理的距離については、本研究では心理的距 離と名付けて、高校生と学校の心理的な分離を測定した。測定の結 果は、先行研究とは異なり、進路成熟の進んでいる者が分離できて いないというものになった。Wofsey et a1(1974)では、古い環;境. のイメージを描画させたが、本研究では分離を質問紙によって測定 している。尺度は、逆転項目を多くするなど調査参加者に分離や別 離などの否定的なイメージを喚起しないように質問項目を作成した が、進路成熟の進んでいる者の方が学校からの心理的距離が近いと いうものとなり、恥fseyet a1(1974)での古い環境の客観化や距 離化を見ることはできなかった。今後は客観化や距離化の尺度を工 夫し、進路成熟の進んでいる者が高校と距離を置いている様子を検 討する必要がある。. 一28一.

(31) 謝 辞. この研究は、私が担任としてキャリア教育に関わる中で感じた不 全感がきっかけです。そんな思いつきとしか言いようのない取り組 みを形にするために様々にご指導、ご示唆を下さった浅川潔司先生 には心から御礼を申し上げます。また浅智先生には、研究以外にも、. 学会での発表やカウンセリングのケースなどの貴重な経験をさせて 頂きました。重ねてお礼を申し上げます。. また、この研究での調査を快くお受け下さった、神奈川県立大原 高等学校の望月正大校長先生、神奈川県立藤沢総合高等学校の深堀 公平校長先生にはお礼を申し上げます。望月先生は、自分の学校の 所属職員だからと渋々ながらお受け下さったのだろうと想像します。. そして両校の職員の皆さま、アンケートに回答して下さった生徒の 皆さんありがとうございました。神奈桝県のキャリア教育に少しで も貢献できるように今後とも頑張って参ります。. 今回の兵庫教育大学大学院への長期研修は、我が家族にとって負 担を強いるものでした。その負担に援助をしてくれた私の両親、義 理の両親の協力も、私が研究を進めるうえで欠かせないものでした。. そして一緒に兵庫に来てくれた家族。朔海は本来ならば地元の学 校にみんなと一緒に入学するはずでした。兵庫での学校生活は良い 思い出になったでしょうか。知茅は社の寄宿舎が自分のお家だと思 っていました。兵庫での経験が少しでも思い出に残ると良いと思い ます。みんな堅いたから辛い研究も乗り越えることができました。. そして、今回の県外での研修を快く許してくれ、兵庫まで着いてき て慣れない土地で頑張って子育てをしてくれた妻、直子さま、あり がとうございました。感謝の言葉もありません。あ吟ぶとうござい ました。この異境の地での経験が少しでも家族の絆を強くすること になっていれば嬉しく思います。. 最後に、私に関わって下さったすべての方々にお礼を申し上げま す。. ・29一.

(32) 引用文献 遠藤 辰雄 1981 人生周期と同一性 遠藤辰雄編著 アイデンテ ィティの心理学 ナカニシや出版 pp.20 伊藤 祐時 1980 進路指導 理論と技術 金子書房. 伊藤美奈子 1993 個人志向性・社会志向性に関する発達的研究 教育心理学研究,41(3),293−301. 岩村. 聡 1990 スチューゲント・アパシーと不本意入学 土川. 隆史 編 メンタルヘルスシリーズ スチューデントアパシー,. 3章1,96−97,同朋社出版 岩原信九郎 1979 新しい教育心理統計 ノンパラメトリック法 日本文化科学社. 梶田 叡一 1987 増補 子どもの自己概念と教育 東京大学出版. 会. 51−52. 神浦まどか 2004 女子大生の進路に関する心理学的研究 兵庫教 育大学卒業論文 非公刊. 菊池 武剋 1992 個人理解と自己理解 宮内博編著 学校進路指 導概論 文雅堂銀行研究社. 松井 賢二 2001 中学生の学校適応と進路(キャリア)成熟,自 己肯定感との関係(∬) 新潟大学教育人間科学部紀要,4(1),. 237−247 松井 賢二・伊丹奈穂子 1998 中学生の進路(キャリア)成熟と セルフ・エスティームの関係 新潟大学教育学部紀要,39(2),30. 1−308. 松井 賢二・佐藤i優子 2000中学生の学校適応と進路(キャリ ア〉成熟、自己肯定感との関係 新潟大学教育人間科学部紀要 (人文・社会科学編),3(1),157−166. 南 博文・山口 修司1991大学生活への移行山本多喜司,S.ワ. ップナー編著人生移行の発達心理学179−203 美山 理香2◎◎3大学生の友人との心理的距離に関する基礎的研究 一30一.

(33) 九州大学心理学研究,4,27−35. 宮内博1992職業的発達理論宮内博編著学校進路指導概論 文雅堂銀行研究社 pp.5,162−200. 諸井 克英1985高校生における孤独感と自己意識心理学概究,5 6(4>,237−24◎. 内閣府2004第7回世界青年意識調査 http://www 8.cao,go.jp/youth/kenkyu/worldyouth7/pdf/top.htm1. 内藤 勇次1982生徒理解と自己理解の方法 臼本進路指導学会編. 現代進路指導講座第1巻進路指導の理論と方法福村出版 pp。12 2. 那須 光章 1992高校生の進路成熟の要因に関する研究(1)滋賀 大学教育学部紀要,42,77−90. 野淵 龍雄1983進路指導の原理的理解水戸谷貞夫,山口政志,野. 淵龍雄編著講座進路指導第1巻進路指導の理論多賀出版pp. 45 野々村 新1984飼人理解仙崎武,野々村新編学校進路指導一理 論と実践福村出版pp.72 大井正己 1990スチューゲント・アパシーと登校拒否土州隆史編メン タルヘルスシリーズスチューデント・アパシー同朋祉出版pp.91. 大谷哲朗 2003高校生の進路選択自己効力感が学校適応感に及ぼす 影響比治山大学現代文化学部紀要,(10),147−154. Parsons,F 1967 CHOOSING A VOCATION with a new Intr◎duction by EUGENE PENNER, AGATHON PRESS, IN C., New York. 坂榔 恒夫1991進路成熟の測定と研究課題愛知教育大学教科教 育センター研究報告,(15),269−280. 坂柳 恒夫1993高校生の進路成熟に関する縦断的研究愛知教育 大学教科教育センター研究報告,17,127−136. 佐々木賢 1991 怠学の研究 三一書房 一31・.

参照

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