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「計画保全規定」の意義と機能(2) : ドイツ建設法典の都市計画策定手続と司法審査

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(1)「計画保全規定」の意義と機能(2) -ドイツ建設法典の都市計画策定手続と司法審査-. 高橋寿-. 目次 lはじめに. Jl建設管理計画の策定手続と衡量原則 1.建設管理計画の策定手続 2.衡量原則の概要 Ill都市建設法制における訴訟の状況と計画保全規定の導入 1.連邦行政裁判所法および連邦建設法の制定 2.法改正とその影響 lV. 2004年法改正法以前の計画保全規定の構造 1.規定の特徴 2.. Bプラン策定手続と計画保全規定(以上,前号). 計画策定手続と計画保全規定. v. 1.参加手続と司法審査 2.排除効. V1. 2004年改正法の基本的性格一計画保全規定を中心に1.近年の規範統制訴訟の動向 2.. 2004年改正法の内容. 31.

(2) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). 3.基本的年寺徴 Vll結びにかえて(以上.本号). V. 計画策定手続と計画保全規定. 1.参加手続と司法審査 計画保全規定は,このように手続的・形式的規定や衡量原則に関して生じる 塀庇を中心に,計画に与える影響を制限する制度であるので,計画策走に関す る事前手続と計画保全規定はいかなる関係として理解すればよいのか,という 疑問が生じる。この間題は,わが国においても,計画策走手続とりわけ参加手 続と司法審査のあり方との関係として議論されることがある40)。以下,この. 問題について検討する。 建設法典においては,参加手続としては,市民については,上記のように. (イ)■早期の市民参加(3条1項)と(ロ)最終的な計画草案に対する公告・縦. 覧手続における異議申立手続(同条2垣)があり,他の公共主体についても同 様の参加手続が用意されている(4条)。そして,かかる参加手続の機能とし ては,下記の3つの点が挙げられることが多い41)。 第一は,情報収集機能である。すなわち・,衡量手続においてより適切な利益. 衡量をするためには,なるべく多くの情報を予め市民や他の公益主体から収集 しておくことが適切であり,また必要でもある。 第二に,民主的機能である。計画裁量によって,策定主体であるゲマインデ は非常に大きな裁量の余地を有することになるため,それに民主的な統制を加 える必要があり,それが参加手続である,とするものである。換言すれば,上 記の参加手続があるがゆえに,策定されるBLプランに対して民主的正統性が付 与されるのである。 第三に,権利保護機能である。裁判所による事後的救済では物理的にも時間. 的にも適切な審査を受けることが期待できない場合が多いため,計画策走過程 32.

(3) 「計画保全規定」の意義と機能(2). において参加手続を通させることによって,市民の権利保護に資しよう,とい う考え方である。かかる機能は,. 「前置された権利保護」. Rechtsschutz) 42)とか「非司法的権利保護」. (vorgelagerter. (良echtsschutznicht-judizieller A什). 43). とか言われており,ここにおいて,参加手続と司法審査とのその存在根拠にお ける共通性が見られる。. ところで,上記の参加手続が有する機能の内の第三の機能を重視して,計画 保全規定の論拠付けを行う見解がある。すなわち, のだから,司法審査の対象は縮減されてもよい≫. ≪参加手続が充実している という論理である44)。この論. 理の下では,参加手続と司法審査はいわば代替関係(Alternativitat)にあるこ とになる。. ≪行政裁量や計画裁量は,元来行政庁の高度かつ複雑な専門的判断. が求められる分野であって,そこでは自ずと行政庁の判断をある程度重視せざ るを得ず,司法審査を手続的コントロールに縮減すべきである≫という議論は 以前より存在したのであるが,上記の議論は,事前手続の一環としての市民参加 手続の充実と司法審査の縮減とを代替的関係として捉えようとするものである。 これに対して,両者の代替(代償)関係を否定するのが,. Mtincbである。. 彼は,市民参加は自主主義原理に基づいているのに村して,司法的救済は個人 の権利保護を目的としているのでむしろ法治国家原理に基づいているといえ, 両者は交換的代替的関係にはなく,比較し得ないとする45)。またSchmidt-. AAmannも,市民参加手続の充実は訴訟の数を減少させるであろうが,だから と言って,市民参加の促進が司法的救済を代替することはでき・ないとする46)。 それでは,両者は代替関係にはないとして,相互間にはいかなる機能的関係 も存在しないのであろうか。. Hendlerは,. 「都市建設計画策定への市民の関与」. と題する教授資格論文においてこの問題を論じている47)。彼は,建設法典の前 身の連邦建設法の1976年改正において,早期の市民参加制度(2a条として実 現)を導入すべき旨を本書で詳細に論じているが,かかる制度は司法的救済が 限られている法システムの下においては特に重要である旨述べている。そして 当時o)ドイツにおいては規範審査制度の採用を各州の任意に委ねていたために 33.

(4) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). 司法的救済が不十分であり,市民参加制度の充実が必須であるとする48).こ の論理の限り■では, Hendlerも参加制厚と司法審査は代替繭係にあると理解し ているようにも思える。しかし,彼は,この両者の関係を代替関係ではなく,. 補完関係(Komplementaritat)であると捉えていた。すなわち,参加手続にお いては相互に異質で多様かつ多元的な価値観が競合し調整されるため,市民個 人が自己の意見を精確に計画の中に反映させることは困難であって,結局は, 多様な意見の最大公約数が計画の内容となる。したがって,そこではとりわけ. 少数者の利害が脱落させられる可能性が高い(しかも,少薮者は司法を通じて の事後的救済を求めたくても地域社会から疎外されることを恐れて訴訟に踏み 切れないことも多い)。すなわち,参加制度o)充実は,その反面として常に 「排除の論理」を内包しているのである。したがって,参加制度と司法審査は 代替関係として理解されるべきではなく,むしろ参加制度を充実させればさせ るほど,司法的救済システムには決定的とも言えるほどの重要性が付与される べきである。Hendlerは,このようにして,参加制度の充実と司法審査制度を,個. 人の権利保護を媒介としてむしろ補完関係にあると結論づけている49)。 し. 市民参加も含めた計画策定手続が制度上周到に仕組まれれば,個々の手続に 違反する可能性もそれだけ増大するのであり,その手続違背を事後的に裁判所 において審査することはむしろ当然である。換言すれば,事後的救済利度を用 意しておくことが事前手続の履践を事実上も担保していくことに繋がる。した がって,計画策走手続の充実は司法審査を少なくとも手続レヴュルにおいては 充実させることをむしろ要求するのである50)。他方で,実体的側面ではHendler の指摘がそのままあてはまるであろう。すでに述べたように,計画保全規定に おいては,衡量結果に影響を及ぼす‡臣庇は計画の無効要因となるが,少数者の 基本的人権を侵害するような計画は,衡量結果に影響を及ぼす畷痕といわざる をえず,司法審査はこのような実体的側面においてもその意義が否定されては ならない51)。. 34.

(5) 「計画保全規定」の意義と機能(2). 2.排除効 (1)建設法典の排除効の特色 ところで,参加手続と司法審査の相互関係は,今ひとつの興味深い法制度を 生み出している。それは排除効(Praklusionswirkung)といわれる制度であ る。排除効とは,参加の機会が付与されているにも拘らず,法定期間内に異議 申立をしなかった場合には,その後に続く参加の機会ないしは裁判上の救済の 機会の享受が拒否されるという制度であって,これによって行政手続の迅速化 が図られる。ドイツにおいては,部門計画において発達してきた制度であるが (連邦イミッシオン防止法10条3項,連邦遠距離道路法17条4項等),今日では 行政手続法にも導入されている(73条4項)。 この制度は,建設法典においては,官庁などの公益主体についてはすでに規 定されていたが(4条3項2文),. 2004年改正法によって,市民参加手続にも導. 入され,公益主体の場合と同様の規定の下に置かれた(4a条6項)。 ところで,建設法典の排除効の規定は,法定期間を徒過した異議は議会での BLプランの議決に際して原則と■して考慮されないが,一定の要件を満たす場 合には期間徒過後に出された意見であっても衡量手続に入れられる。その要件 とは,. (i)ゲマインデがその内容をすでに知っていた場合,. それを知らなければならなかった場合,. (ii)ゲマインデが. (iii)異議の内容がBLプランの適法性. にとって重要である場合,である。これらの妻件に該当する場合には,法定期 間の雁過後に提出された意見であっても,ゲマインデは衡量手続において,そ れを考慮に入れなければならない。このように例外を広く認める排除効規定は, 例外の認められる範囲が遥かに限定される連邦イミッシオン防止法や行政手続 法における排除効とは対称的であり,制限的実体的排除効(eingeschrankte materielle. Praklusion)と称されている。かかる制限的効果を伴った排除効が. 建設法典に導入された理由は,. (イ)手続の迅速化よりも衡量手続を重視する. ことを通じて計画の正統性の確保を優先することによって,成立したBLプラ ンが後日覆されるリスクを減少させること,. (ロ)行政手続法に規定されてい 35.

(6) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). る排除効は,計画確定手続についての規定であるが, 集中効があり,. (α)計画確定手続には. (β)起業案も予め詳細化・具体化されていることから,むし. ろ排除効に例外を認めないことが適切なのであるが,. (α)'集中効は認められていないし,. BLプランについては,. (β)'一定の地域的な広がりを対象. としており,建築案もBLプラン策定後に初めて具体化されてくることなどか ら,計画確定手続における排除効ほど厳格に解すべきではないと考えられてい ることなどである52)。. (2)参加手続・計画保全規定との関係 上記の理由の内とりわけ(イ)の理由は,計画の存続保護の問題であって, 機能的には計画保全規定とその趣旨を共通にしている。ただ,参加手続との関 係で極めて単純化して言えば,計画保全規定は,. ≪参加することができるのに. 自らの意思によらずに参加の機会を奪われた場合≫を念頭に置いて規定されて いるのに村して,排除効の場合には,. ≪参加することができたのに自ら巷加し. ないことを選択した場合≫の法制度であって,. 1の「参加手続と司法審査」と. は問題とされる局面が異なる。したがって,排除効の場合には,手続への参加 権を定めた規定が同時に,市民の参加責任(Mitwirkungslast)をも定めている53) としばしば評されることになる。. (3)効果 次に,この排除効の効果であるが,. (イ)提出されなかった意見の衡量手続. での不考慮のみにとどまるのか,それとも(ロ)後の訴訟手続からも排除され るのか,という問題がある。衡量過程においては,衡量されるべき利害関係を 有する者は,衡量されることを求める権利を有しており,かかる場合に自己の. 利害が衡量手続に入れられなかった場合には,訴訟(取消訴訟・規範統制訴訟 いずれも可)を提起することができるというのが連邦行政裁判所の判決である5年)ょ. したがって,自己の意見を提出する機会を自ら放棄した者は,衡畢されること を求める権利を有する者とは言えず,当該衡量手続に暇庇があったとしても, 訴訟を提起することはできないと考えるべきであろう55)。したがって,建設法 36.

(7) 「計画保全規定」の意義と機能(2). 典の排除効は,上記(ロ)の効果を生じさせるものといえよう。 以上のように,. 「参加手続と司法審査」の問題を考える場合でも,計画保全. 規定と排除効のいずれが問題となっているのかに注意する必要があろう。. v】. 2004年改正法の基本的性格一計画保全規定を中心に-. 計画保全規定は,. ⅠⅤ. ・. 1で述べたような内容お.よび構造を有するのであるが,. このような構造になるまでの間に,連邦政府は計画の存続効を強化する改正を 数度に亘って行っていた56)0 IVで分析した,蝦庇の類型化,異議主張手続,捕 完手続を内容とする「三層構造」. 57),ないしは「分節化された‡臣痕の処理」. (gestufteFehlerfolgeh)は,その過程で徐々に形成されてきたのである。以下 では,. 2004年改正法の内容とその意義を計画保全規定を中心として検討して. 行きたい。. 1.近年の規範続制訴訟の動向 規範統制訴訟は,. 1980年代前半まではBプランの効力を争う手法としてし. ばしば利用され,また原告の請求を認容する割合も高かったが,近年の傾向は どうなのであろうか58)。 この点に関しては,佐藤岩夫が現地で行ったアンケート調査が貴重である59)。 佐藤は,. 9つの上級行政裁判所から回答を得た結果から,下記の点を導き出し. ている。.. (イ)規範統制訴訟の内かなりの割合が都市計画関係の訴訟であり. (回答のあった州ではいずれも50%以上である),また,. (ロ)既済事件の中で. 原告の請求が認容された事件の割合は概ね17-25%である。佐藤は,これらの 事実から, 「以前ほどではないにしても,行政裁判所の司法審査はかなり厳格 に行われている」と結論づけている。これらの結果は,行政裁判所が規範統制. 訴訟をなお活発に運用していることを示すものとして貴重なものである。認容 率が以前よりも大きく低下している点は,計画保全規定に関する度重なる法改 37.

(8) .横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). 正の影響(注56参照)が徐■々に現れた結果であるとも考えることができよう。. 2.. 2004年改正法の内容. 本改正は, EU委員会が,. 2001年6月27日の「特定の計画およびプログラム. の環境影響評価に関する指令」を発したことを受けた改正であって,改正法案 の名称も, 「建設法典のEU指令-の適合に関する法律草案」 Anpassung Ban-EAG. des Baugesetzbuchs. an. EUIRchdinien. (Entwurf Gesetz. zur. (Europarechtsanpassungsgesetz. Bau)と称される60)。計画アセスの導入や環境評価の実施などが主た. る内容であるが,計画保全関連規定についても,.下記のような重要な改正がな されている。多少詳細に紹介しコメントを加えておく(コメントは「-」以下 を参照)。 (1)排除効の導入 BLプラン策定に際しての第三者の参加について,. 97年法では期間内に提出. されなかった行政庁の意見は後の衡量過程において考慮されないという排除効 の制度が導入されていたが,これを市民の意見提出についても導入した(4a条. 2項) (由出∨・2参照)。 (2)計画保全規定の強化 (a)衡量過程の環庇の問題を手続的規定違反の問題-解消 計画の実体的正統性を手続の遵守を通じて確保しようという目的が明示され る。. (イ)衡量過程の手続的規定への取込み:. 「建設管理計画の作成に際し. ては,衡量にとって意味のある諸利害(衡量素材)が,調査(ermi仕eln) され,評価(bewerten)されなければならないo」. (2条3項として新設). -BLプランの策定という手続的規定の中に,実体的規定に属する衡 量過程の中に従来は包摂されてきた「調査」や「評価」という要素が取 り込まれている61) (-Ⅰト2参照)。 (ロ) 2条3項の手続的規定達反の場合には,「当該利害が重要な点にお 38.

(9) 「計画保全規定」の意義と機能(2). いて調査または評価されておらず,かつ,当該堪庇が明白であり手続の. 結果に影響を及ぼす場合にのみ」計画の効力に影響を与える(214条1 項1文1号として新設)0 -. (イ)の2条3項違反が,. 214条1項1号の手続的および形式的規定. 違反の中に明確に位置付けられている。そして,それが司法審査の対象 となる場合は上記の通りであるが,その表現の仕方は,衡量過程の塀庇 に関する改正前の214条3項2文における暇痕の限定(明白性と因果関係) に加えて,. 「重要な点において」という更なる限定が加えられている。. (ハ) 214条3項2文を「1項1文1号の規定の対象となる塀庇は,衡量の. 暇痕として主張することはできない;その他の場合には,衡葺過程の蝦 痕は,それが明白でありかつ衡量結果に影響を及ぼす場合にのみ意味を 有する(erbeblich-計画の効力に影響を与える)」)へと修正した。 -前段は,従来は衡量過程の澱庇として捉えられていたものが,もは や衡量の問題ではなく,手続的規定違反の問題とされることを確認する 規定となる。. 後段は,旧規定と同じ表現(ただし,. 「その他の場合には」の付加に. 注意)である。改正法は衡量過程での諸段階を基本的に≪手続的正統性 の確保≫という観点から位置づけ直そうとするのであるが,そこでは捉 えきれない衡量の碍痕(たとえば改正法の2条3項のT調査」や「評価」 の解釈のみでは衡量原則の要件を満たせない場合62)等)についての司法 審査の範囲を従来と同様に限定するために,後段が置かれた。なお,政 府草案では衡量過程の暇痕はすべて手続的規定違反に帰一すると考えら 「後段. れていたので,この規定は用意されていなかった。したがって,. が復活した」という方が正確である。ちなみに,この規定は連邦参議院 の修正要求に基づいて復活させられた。この意味では,改正法では,級 段も従来のように衡量原則において独立の意義を有する規定ではなくな り,手続的規定違反の場合の計画の存続効を「補完する意義」. 63)が付与 39.

(10) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). -されたので■ぁる。したがって,規定の表現は同一でもその法的意義が大 ■きく転換したことに注意する必要がある。 (b)異議主張手続について 期間制限が統一された。すなわち従来は,. (イ)手続的規定違反の内,. 条1項1号・2号の違反のみが1年の期間制限に,また, 内,. 214. (ロ)実体的規定違反の. 214条3項の衡量の痕庇のみが7年の期間制限に各々服していたのである. が,期周制限が及ぶ場合を拡大し((a)の1頑1文1号および214条2項(実体 的規定)にも及ばせる),かつ,期間を2年に儀一した。. 「2年」というのは,. 1996年改正により短縮された規範統制訴訟の提訴期間に合わせたものである (行政裁判所法47条2項および注58参照)。 ただし,次の場合には上記の期間制限は適用されない。すなわち,この場合 は異議主張手続を経ることなくいつでも訴訟を提起することができる。一つは, 旧法でいう214条1項1文3号(改正法同4号). (ゲマインデがFプランや条例の. 決議をしていない場合などその有効要件にとって本質的な前提を踏まえていな い場合)であって,従来と同様である。第二は,衡量の塀庇の中でも衡量結果 の暇庇であり,その唱痕の重大性に鑑みた改正である。旧法ではこの点不明確 であった。. ■・(c)補完手続について 蝦痕の補完に関する215a条が削除された。ただし,これは,蝦痕の補完可 能性を否定したのではなく,むしろ逆の方向での修正である。 判例で確立した法理であるとして削除された。 遡及効を付与する2項の規定は,従来は,・. (イ) 1項は,. (ロ)塀痕が補完された場合に. 214条1項の手続的・形式的規定の. 違反を補完する場合にしか適用されなかったが,実体的規定違反や衡量の張痛 が補完された場合にも遡及効を与える親定-と修正され,条文の位置も214条 4項に移された。 照)。. 40. 215a条の削除は上記の改正の結果である(注56. (4)も参.

(11) 「計画保全規定」の意義と機能(2). 3.基本的年寺徴 以上の内容を有する改正法は,. Ⅰにおいても述べたように,ドイツにおいて. も戸惑いや反発をもって迎えられている。その意味も考えながら,本改正法の 特徴について検討する。 (i)今回の改正においては,計画保全規定との関係では,これまで計画保. 全規定やその間連制度に加えられてきた方向が一層促進されたこと古手は改めて 注意しておきたい。排除効規定の市民参加手続-の拡大や異議主張手続におけ る異議主張期間の短縮化,補完手続の拡大はもとより,衡量過程の手続法化の 問題も以下に述べるように同じ線上にある。この意味では今回の改正法は,塞 本的にはこれまでの法発展(注56参照)の延長線上で捉えることができる。 ・(ii)ただし,より仔細に見れば,改正法においては,これまでとは明らか に異なる方向が採用さ・れている。すなわち,従来は手続的・形式的規定で導入 された裁判所の関与を抑制する諸手法(異議主張手続,補完手続,遡及効の付 与等)が衡量規定にも徐々に適用される方向での改正であったのであるが,新. 法では≪衡童(過程)≫そのものを基本的には≪手続≫の問題に解消しようと する姿勢が明確に伺われる。前述したように,今次の改正のみではかかる試み は十分なものではない(それ故,本来は削除する予定であった214条3項2文 後段の規定を残さざるを得なかった)。しかし,この転轍がいかなる方向に進 んでいくのかという点については注意が必要である。すなわち,. BLプランの. 策定手続における「調査」や「評価」が≪衡量過程≫のいかなる程度までを包 摂するのであろうか。とりわけ,. 「調査」には,たとえば市民参加手続の遵守. の有無や内容などまでをも実体的に調べることまで含まれるのか。含まれると. すれば,ここでの「調査」は,前述した(衡量過程の-琴としての)「調査」 と重畳する。あるいは,. 「調査」は≪手続の履践を通して明らかとされた利害. を見落とさない≫というレヴュルでの意味にとどまるのか。そうであるとすれ ば,ここでの・「調査」は従来の衡量過程における「調査」とは明確に異なるも のとなり,手続的規定に純化して行くことになる。立法者は,. 「調査」の「手 41.

(12) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). 続的規定」としての性格を重視していたようである64)。ここで想起すべきは,. 早期の市民参加手続(3条1項)が,. 214条1項によって,従来より司法審査の. 対象から除外されていることである。早期の市民参加手続違反は,手続的規定. 違反を根準として計画の効力に影響を及ぼすことはできないが,有力学説およ び下級審の判例によれば,この問題を≪衡量過程の一環を形成する利害の調. 査・発見手続上の暇庇≫と捉えることによって,この問題は,衡量過程の問題 (すなわち214条3項の問題)として,計画の効力に影響を与えうる,と解され. ている65'。また,代替案についてはそれを作成しなかったことは計画の効力に 影響を与えないが,衡量原則カ?らは,代替案の作成は必要であると解されてい る(ⅠⅠ 2参照)。これらの点からすれば,法改正前の≪衡量過程≫においては, ・. 単なる≪手続≫の遵守の有無か-し程度のみならず,実質印こは実体的な判断 をも含んでいたのであって,この点で,改正法の手続的規定とはその性格を基本. 的に異にしていると考えるのが妥当であろう。多くの学説が改正法のこの転轍に 危倶を抱くのもまさにこの点なのである㈲67)。. (iii)レたがって,上記の2点を纏めると,改正法は, ≪手続規定の充実に よる実体的正統性の実現(上記(ii)). ≫に加えて≪そのようにして充実され. た手続的規定に関する司法審査の一層の縮減(上記(i)). ≫をも内容とし七. いることになる。後者については,上記で述べた異議主張期間の短縮化の他に ち, 「調査」 「評価」手続を経て発見された蝦庇については,従前からの限定. (明白性と国軍関係)に加えて,「重要な点において」という更なる限定が加え られた点にも表れている。それでは,上記の(i)と(ii)は,いかなる論理 的関係にあるのであろうか。これについては,. 2つゐ論理的可能性がある。一. つは,手続的正統性を確保すれば実体的正統性が自ずと実現されるのであるか ら,司法審査は限定的でよい,という論理である。すなわち,第Ⅴ章「計画策 走手続と計画保全規定」で述べた両者の理論的把捉をめぐる議論の内,相互の. 関係を代替関係として嘘える考え方である。今一つは,両者のかような論理的 関係を否定し, 42. (i)は(ii)とは直接の論理的関係はない,とする見解であ.

(13) 「計画保全規定」の意義と機能(2). る。結論的には,筆者は後者の見解を正しいと考えている。その根拠として, たとえば,改正法では,衡量の張庇についての異議主張期間を短縮する際のそ. 「(短縮化は-筆者注). の根拠づけとして,. -. (中略) -とりわけ,手続要件の. 詳細化に基づいてなされるBLプランの策定に際してのコントロール密度の高 度化によって正当化される」という説明がなされている6B)。これは,. ≪手続要. 件の詳細化によって司法審査の範囲が拡大するのであるから,これと代替的に 異議主張期間が短縮されてもよい≫. という論理である。このような論理は,. 1976年に計画保全規定が初めて連邦建設法に導入された際にも見られたもの である。すなわち,計画保全規定は,本来は前述したように(Ⅲ・2),規範. 統制訴訟の導入に伴い予想される訴訟の急増に対処す息ために設けられたので あって,事前手続の充実との代償関係として考えられていたわけではない。. 2004年改正法は計画保全規定のこれまでの位相に変イヒをもたらす可能性を内 包するようにも考えられうるのであるが,そこまでの論理は改正法には含まれ てはいないと考えるべきであろう69)。. Vll結びにかえて ところで,. EU理事会は,改正法が連邦議会に提出されたのとほぼ同時期の. 2003年5月26日に指令を出した70)。その指令は,. 「環境に関連する特定の計画. およびプログラムの策定に際しての公衆参加,ならびに公衆参加および裁判所 へのアクセスに関するEU理事会指針EWG85/337およびEG96/61の変更につ いて」と称し,廃棄物や水質汚濁などを減少・防止するための計画ヤプログラ ムを策定・変更する際に十分な市民参加の機会を保証し,・それを通じて個人の 生命や健康を保持することが目的とされている71)。本指令は,国連欧州経済委 員会において計40カ国が参加して策定されたAarhus条約を直接的契機として いる。. Aarhus条約は,. 2001年に発効し(2003年8月時点で締約国25カ国),環. 境保護の実効性を担保するために,. (イ)環境情報にア.クセスする権利の保障, 43.

(14) ・横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). (ロ)市民参加の促進,. (ハ)司法アクセスの容易化を進めようとするものである72). したがって,この指令も,. 《手続的規定の充実≫というEUの近時の流れに. 沿ったものなのであるが,注目すべき点は,そこにおいて,同時に裁判所-の アクセス手法の確保(原告適格の拡大など)と,裁判所におし).て行政の決定等 の実体法および手続法上の正統性を争う(取り消しうる)ことの重要性が説か れており,. 1985年の「特定の公的および私的プロジェクトにおける環境適合. 性審査に閲すろ指令」. (85/337/EWG,いわゆる環境影響評価指令)および. 1996年の「環境汚染の統合的回避・減少に関する指令」. (96/61/EG,大気や水. などの個別媒体毎の規制ではなく,環境全体-の影響を考慮して施設建設に際 しての許可の適否を決めてゆく方向での指令)にこの方向での条項がそれぞれ 付加されたことである(前者につき10a条,後者につき15a条)。すなわち, EUは2003年の指令で,一方で公衆参加手続を充実し詳細化すると共に,他方. で司法審査を重視し,争訟での原告適格を拡大したり,決定に関して手続的環 庇のみならず実体法上の暇痕をも争えるようにするこ・とを強調しているのであ る(3条および4条参照)。手続を重視するEUにおいても実体的審理をも含む 司法審査の重要性がなお認識されていることを,本指令から読み取ることができ よう。そして,このような観点から,ドイツの2004年改正法を批判的に検討する 学説も現れ始めている73)。. 最後に,以下の点を指摘しておく。以上のドイツにおける動向は,眉頭での わが国の現在の状況にとってすぐに参考になるような問題状況ではない。今後 都市計画争訟制度が導入され,ある程度実績を・踏まえた後に比較の対象とされ うるものであろう。今日までのドイツの以上の動向は,むしろ,とりわけ規範. 統制訴訟(および通常の訴訟に伴う付随審査)が大きな実効性を伴って機能し てきた(∵機能し過ぎた?)こと-の制度的対応という文脈において捉えられる. べきで奉り, 「事前手続の充実・強化」をもって司法審査消極論を説く.ことは 適切ではない。ましてや,単に「司法審査の縮小傾向」のみを取り出して,一. 般論としてわが国への導入を誘諭することはもとより論外であろう。 44.

(15) 「計画保全規定」の意義と機能(2) (信山社, 1996年). 40)見上崇洋『行政計画の法的統制』. 3291348頁参照。見上は,手続的統制論. を争訟制度との関連で論じることの重要性を強調している。 Baugesetzbuch,. 41) Battis/Erautzberger/I,6hr,. 9.Anfl.,. Rdn.. BVerfG,. 42)連邦憲法裁判所の1979年の決定の文言である。. 3. zu. §3.. BeschluLS. v.. 20.12.1979,. BVerfGE77,. S.381(406), 43). w.. s. Glaeser,. 44). Glaeser,. 45). I. v. M缶nch,. 46). E. Schmidt-A瓜mann, DVBl. 47). PartizipationanVerwaltungsentscheidungen,. VVDStRL. (調整・補填)関係であるとする。. a.a.0リS.204-207.彼は,両者の関係をAusgleich im. Gemeinschaftsaufgaben Probleme. des. Bundesstaat,. 3l, 1973, S. 207.. VVDStRL. 31, 1973,. S. 87.. StadtebausinVerfassungsrechtlicher. modernen. Sicht,. 1972, S.633.. Hendler,. a.a.0., S. 51ff.. 48)前注24)およびそれに関連する本文の叙述も参照。 49). Hendler,. a.a.0., S. 51-61.. 50)見上崇洋・前掲「都市行政と住民の法的位置」. 456A57頁も同趣旨を述べるo. 51)なお,佐藤も,司法審査の機能として,手続監視機能と少数者の権利保護機能を挙げている。 佐藤・前掲「都市計画をめぐる住民参加と司法審査」 52) Battis/Emutzberger/L6hr, Bau-. a.a.0.仏Ilm.41), Rdn.14. Wolmumgswesen,. und. 53). Gaentzsch,. 54). BVerwG,. Novellierung. a.a.0.仏11m.5), S. Urteil. v.. 24. 9.. 96頁。 zu. §4a; Bundesministerium. des Baugesetzbuchs,. 2002,. fur Verkehr,. Rdn.132.. 202.. 1998, NJW. 1998, S.592.. 55)すでに同旨の判例が奉る.BVerwG,. Urteilv.. 56)ここで,これまでの改正の内容を1976年,. 9. ll. 1979,BVerwGE59,. 1979年,. 1986年,. S.. 1997年,. 87(104).. 2001年について,脂. に簡潔に整理し(下線は筆者),簡単なコメント(「-」以下を参照)を加えておく。 (1) 1976年連邦建設法改正 ( i). 「条例成立に際しての手続的および形式的規定違反」と題する条文を設け,重盗 的および形式的規安達反の場合に限って,条例の暇痕を主張できる期間を設け(畳 議主張手縁),条例施行後1年間に制限した(155a条1文)0. -1年経過後は,原則と. してすべての梶庇が治癒される。 (ii). 条例の認可または公告に関する規定に反した場合には,. (i)の期間制限に服しな. い(同条2文) (iii) ■ 市民参加手続については, 内に提訴可能(同条3文後段). Bプランの縦覧手続に違反する場合にのみ上記の期間 -早期の市民参加手続違反を計画の効力に影響を及ぼ. す慣庇から排除した。 (2) 1979年連邦建設法改正 (i). 155a条を. 「Fプランおよ. び条例制定に際しての手続的または形式的規定違反」と. 改称し, Fプランも加え全体を詳細化した。 (ii)侶癖の補寄手続の導入:. Fプランおよび条例の藷可.公邸こ関する規定の手続的ま. たは形式的規定違反に基づく環痕の場合に串ける,ゲマインデによる暇症の除去の 45.

(16) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月) 可能性を認め,除去された場合にはFプランや条例の効力が遡及する(5項)。 (iii). 実体的憩宕について,計画の効力に影響を及ぼさない蝦庇を初めて列挙した (155b条「BLプラン策定に関するその他の規定違反」)。たとえば, を与えられなかった公益主体があった場合,. 由書が不完全であった場合,. (イ)参加の機会. (ロ) Fプランの説明書やBプランの理. (ハ) BプランのFプランからの展開原則に軽微な瑞庇. があった場合などである(1項)。 (iv). 衡量の荘症に関しては計画の効力に影響が及ぶ範囲を限定した(155b条2項2文 「衡量過程の塀痕は,それが明白でありかつ衡量結果に影響を及ぼす場合にのみ意味 を有する(erbeblicb)。」. (Ⅴ). 認可・届出手続を管轄する官庁の審査義務は,上記の司法審査の限定にも拘らず 存続する(155c条). -155b条のタイトルにいう「BLプラン策定に関するその他の規定革反」とは実体的規 定が中心である。ただし,上記の中には手続的規定に分類されるべきものが混入していた (たとえば上記(iii). (イ)早(ロ))ので,後にこれらは,手続的規定に関する条文に移. される。なお,衡量の鞍痕に関する規定(155b条2項)は実体的規定に属する。 (3) 1986年建設法典 建設法典は,従来連邦建設法と都市建設促進法とに分かれていた都市建設法制を一本の法 律に纏めたものであり,これによって,現行法の骨格が出来上がった。全体的には形式的な 整理が主であるといわれているが,計画保全規定との関係では,下記((ii). (Ⅴ))のように. 重要な改正を含んでいる。 ( i )計画保全規定群を第3編第2部第4章「有効要件(Wirksamkeitsvoraussetzungen)」 として独立させる。. (ii). 手続的および形式的親宕違反(214条1項) (限定)列挙し(例:3条2項および3項,. :計画の効力に影響が及ぶ蝦痕のみを 13条,. 22条9項,. 34条5項違反(1号)),. .その中で,計画の効力に影響を及ぼさないものをさらに列挙した(内的不考慮条項)0. 後考は, Bプラン草案の些少な変更・補充の際の縦覧手続の省略に関する規定(3条3 .項2文)違反などである。 (iii) 莫体的激安違反(2項). :. 及ぼさない場合を列挙(例:. 1979年法の基本的継承(すなわち,計画の効力に影響を Fプランからの展開原則違反,. BLプランの説明書や理. 由書の不備等) (iv). 衡量の蛇癌に関する規定の継承(214条3項2文). (Ⅴ). 異議手張手続の期間制限を衡喜の張痴の場合にまで及ぼす(Fプランまたは条例の 公告後7年以内). -以上の内,とりわけ,. (215条1項2号)0 (ii)において,従来は若干の法定の例外を除くすべての手続. 的規定違反に対して異議主張が可能であったが,本改正で法定された規定違反のみが計画 の効力に影響を及ぼす(そして,異議主張手続も必要)とされた。すなわち,手続的規定. に関してのみ従来の≪原則≫と ≪例外≫が転換され,原則的には手続的規定違反は計画の 効力に影響を及ぼさないこととされたのである。また, 46. (v)において,異議主張手続が.

(17) 「計画保全規定」の意義と機能(2) 衡量の蝦庇の場合にも導入されたことも重要である。これによって,衡量の王殴症について は, 1979年改正で司法審査の対象が限定されたことに加えて,本改正で異議を主張しうる. 期間も法定されたことになる。ただし,期間制限は,手続的規定の「1年」に比較すれば 「7年」と長い。 これらの親走の基本的構造は,本文ⅠⅤで述べた現行法の構造と基本的に類似している ことに気づくであろう。現行法の構造の基本的骨格は1986年改正によ')てできあがった といえよう。 その後,ドイツ統一に伴う時限立法がなされ,そこでは計画の効力に影響が及ぶ場合が さらに限定されたが(例:市民参加手続違反についてはすべて計画の効力古手影響を及ぼさ ない(建設法典措置法9条)),暫時的立法であったため詳細は省略し,. 1997年改正に飛ぶ. こととする。. (4) 1997年建設法典改正 ( i). 章のタイトルを「計画保全」. (Planerbaltung)に変更した。. (ii). 手続的および形式的規定違反(1項). :計画の効力に影響を及ぼす場合の列挙を1. つ増やした。 (iii). 実体的規定違反(2項). (iv). 蝦庇の補完手続の拡充:計画の効力に影響が及ぶ暇庇について,. :計画の効力に影響を及ぼさない場合の列挙を2つ増やした。 1979年改正法以. 来,手続的および形式的規定違反についてのみゲマインデによる除去可能性を認め (erg豆nzendesVerfahren)と称さ. ていたが,本改正では,かかる手続が「補完手続」 れることになり,また,かかる補完可能性が, 反にまで及ぼされた(215a条1項。ただし,. 214条2項および3項の実体的規定違 Fプランは除外される)0. -本改正においても,計画が無効となる可能性を低め,計画の保全を図る制度改正がな された(上記(iv))。ただし,遡及効は手続的または形式的規定違反の場合にのみ付与さ れるにとどまる(215a条2項)0 (_5) 2001年建設法典改正 本改正は,. 1997年にEU理事会(Rat)が発した「特定の計画およびプログラムの環境影. 響評価に関する指令のための提案」 Umweltauswirkungen. bestimmter. (vorschlag Plane und. ftir eine. Richtlinie. tiber. die. Prtifung. der. Programme)を受けてなされた改正であって,. 環境適合性審査に関する規定の追加が中心である。 (i). 手続的および形式的規定違反(1項) :環境適合性審査実施の有無について,. BL. プランの草案の縦覧公告の際に告知しなかった場合は,計画の効力に影響を及ぼさ ・ない(内的不考慮条項の追加) (ii) 環境適合性審査に関する規定違反の追加(1a項). :計画の効力に影響を及ぼさな. い場合を列挙(例:スクリーニング手続がなされなかった場合でも環境への重大な. 影響のおそれがないとき(1号),.スクーj-ニング手続を実施した琴合に環境適合性 審査を実施すべきか否かについて正しい判断が下されなかったとき(2号)) -総じて,. 1976年以前においては,. BLプランの策定手続違反については,その種類を. 問わずかつ無期限に,通常の訴訟の付随審査の中で計画の有効性を争うことができたが, 47.

(18) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月) 1976年改正以降は,法改正の度に,手続的規定違反および衡量の暇痕を中心として計画の 「計画保全」への配慮をより. 効力に影響を及ぼす範囲が事項的にも時間的にも限定され,. 重視してきていることがわかる。その際特徴的な点は,計画の安定性を確保するために当 初は手続的規定違反の場合にのみ導入されていた規定が衡量の塀庇の場合にも徐々に通用 されてきている点である(例:計画の効力に影響する堪庇の限定(1979年法),異議主張 期間の制限(1986年法),蝦庇の補完可能性の承認(1997年法))。このことは,衡量にお ≪衡量手続の手. いても計画保全の確保が重視されていることを示しているが,他方では,. 続法化≫ ともいわれる傾向が進行していたとも評することができる.。そして,このことが 2004年改正に繋がって行くことになるのである。 57)大橋洋一・九州大学教授のネーミングによる(2004年10月1日に開催された第4回都市計画 争訟研究会における大橋の報告レジュメ参照)。 58)なお,. 1996年には行政義判所法が改正されたが,この点について多少触れておこう。本改正. において,. (イ)規範統制訴訟の申立適格が,従来の「法規走又はその適用によって,杢利. 益(Nachteil)を被り,または近い内に被ることが予想されうる」場合から「法規走又はそ の適用によって,撞凪が侵害されるかまたは近い将来侵害されうる」場合に変更された(行 政裁判所法47条2項1文,下線は筆者)。また(ロ)出訴期間については以前は7年であった が,. 2年に制限され,さらに(ハ)蝦庇があるとされた場合に計画をすぐに無効とするので. はなく,環痕を治癒する機会を設けるなど,.計画q)存続効を強化する方向での改正が行われ た(BGBl.I. (i)係属事件の急増によって負担の増. S.1626)。連邦政府はこの改正を通じて,. (ii)手旗の簡易化・迅速化を通じたEU内での. 加している行政裁判所への負荷を軽減して,. ドイツの経済的競争力の強化を図ったのである(BTIDrs.. 13/3993,S.9)。しかし,. (イ)に関. しては,立法者の意図は学説によって批判され,また連邦行政裁判所も1998年2月24日の判決 ら′こおいて,「訴訟法上の規定の変更は,実体法上の請求権の存否にはいかなる影響も与え得な. いので,立法者の目的はこの方法では達成され得ない。」と述べ,建設法典1条6項(諸利益の 適正な衡量を求める権利)に関してであるが,単なる利益侵害であったとしても,規範統制訴 訟の申立適格に関しては,改正前と変更はないとした(BVerwG,Urteilv.24. S.592. 9. 1998,NJW1998,. (593))。したがって,この点については改正の前後で実質的な変化はない。なお,この時期. の規制緩和の動向やその他の法改正の内容については, 1996, DVBl. 1997, S.. B. Stder,. Die. Beschleunigungsnovellen. 326;高橋・前掲60-61頁参照。. 59)佐藤・前掲「都市計画をめぐる住民参加と司法審査」. 91-92頁。. 60)本改正の背景および内容の詳細については,高橋・前掲70頁以下参照。 61)本法案には, S%. Gaentzschを委員長とする「建設法典改正に関する独立委員会」. (Bundesministerium. Ba11geSetZbucbs,. ftir Verkehr,. Bau-. un'd. Wohnungswesen,. ・の提出した報 Novellierung. des. 2002)が大きな影響を与えている。本文指摘の点について,本報告書は以. 下のように述べている。 「 ≪衡量過程(Abw畠gungsvorgang) (zusammenstellung) 係」である。 48. (Rdn.138). ≫ と ≪衡量素材の調査(Ermittlung). ・評価(Bewertung)に関する手続の実施≫. ・収集 とはコインの表と裏の関.

(19) 「計画保全規定」の意義と機能(2) (Bewertung)と並んで,. 「調査」 (Ermittlung)や「評価」. 62)たとえば、従来はの衡量過程では,. "Gewich山ng"千"Bescbreibung"などの用語が用いられていた。改正法214条3項2文後段は, 改正法2条3項の採用した"Ermittlung"や``Bewertung''という文言のみでは上記の用語の概 「不安. 念すべてを包摂しきれないことを危供して設けられたのである。したがって,後段は, 条項」 (Angstklausel)とも称されている。 63) Bl-Drs.15/2996,. S.71.. 64) BTIDrs.15/2250,. S. 42.. 65). OVG. NW,. DVBl.. 66)たとえば,. 1990,. S.1119;. Battis/Krautzberger/I.6hr,. (Anm. 41) Rdn.4. a.a.0.. §214.. zu. ,. Erbguthは,改正法2条3項にいう「調査」も「評価」も手続のみには解消でき. ず,実体的判断を伴わざるをえないことを指摘し(Erbguth,. S.802), Stelkensは,こ. a.a.0.,. の点を捉えて,改正法の「調査」や「評価」手続では実体的判断が抜け落ちてしまう点を批 判する(U, BauGB,. Stelkens,. UPR2005,. Planerhaltung. S.81)。なお,. bei einer. Abgrenzung. §1. zwischen. Abs.. 7 und. §2. Abs.3. Hoppeは,結局改正法の下においても実際の運用は従前と. 変わらか、であろうと予想する(Hoppe,a.a.0.,S.905) 67)本文で指摘した点を換言するならば,連邦法レヴュルでは,早期の市民参加手続や代替案の 作成は,BLプランの策定手続にとってはessentialiaではないと評されているにもかかわらず, これらをBLプラン策定手続ないしは衡量過程にとってのessentialiaとして位置づけよう■と する学説や下級審判例も根強く存在する.のである。なお,ゲマインデの都市計画部局におい ては,早期の市民参加手続の重要性がしばしば強調されている(たとえば;フライブルク市 都市計画局長Daseking氏からの聞き取りによる)。 S.65.. 68) BT-Drs.15/2250,. 69)もっとも,改正法において,上記の説明にいう「コントロール密度の高度化」が図られてい るかは疑問である。衡量過程が手続的規定に取り入れられ,司法審査の対象とされているの で(214条1項1文1号),この意味では確かに手続的規定に関する司法的コントロールは高 度化(詳細化)しているのであるが,衡量過程については従来からすでに一定の要件の下で 司法審査の対象とされているのであり,実質的には改正の前後で大きな変化はないように思. われる。したがって,本文の(i)と(ii)との関係については改正法においてもなお明確 ではない,というべきであろう。 70). Richtlinie. des. 2003/35/EG. Par1aments. europaischen. Beteiligung. der Offentlichkeitbei der Ausarbeitung. programme. und. auf die. zur. Anderung. der Richtlinien. OfEentlichkeitsbeteiligungund. 71)したがって,この指針は,. den. und. des. Rates. bestimmter. 85/337/EWG. Zugang. zu. und. Gerichten,. 26. Mai. vom. Plane. umweltbezogener. 96/61/EG ABl.. die. 2003屯ber. des Rates. und. in Bezug. C. 156/17.. 2004年改正法の契機となった2001年のEUの指針とは重畳はしな. い。. 72). M.・moepfer,. Umweltrecht,. 3. Aufl., 2004,. S,710ff.なお,ドイツは,. Aarhus条約締結へ向けて. の各国間の協議においては,とりわけ司法アクセスの拡大の規定を設けるに際して消極的な 態度に終始していた。この点を批判的に検討する者として, Konvention. - Mehr. Btirgerbeteiligung. durch. umweltrechtliche. M.. Zscbiesche,. Standards?. ZUR. DieAarhus2001,. S1 177ff・. 49.

(20) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月) なお,. Aarhus条約についての近時の詳細な論稿として,. Umweltinformation,. 0丘endichkeitsbeteiligung,. がある。 73). 50. Erbgtlth,. a.a.0., S.802.. Zugang. T. zu. den. v.. Danwitz,. Gerichten,. Aarhus-Konvention: NVwZ. 2004,. S. 272ff..

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