アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援
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(2) アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援 前 野 雄 介*. Adolescent Social Withdrawal and its Support from the Viewpoint of Attachment Theory. 要 約 ひきこもりの要因や背景として中心的に考えられてきたのは,精神医学的視点や思春期心性などで あった.しかし,ひきこもりには,対人関係上の問題が深くかかわっていることが明らかになった.本 研究でははじめに青年期ひきこもりへの理解について先行研究をまとめた.特に,Bowlbyのアタッチ メント理論を,個人の情報処理と対人関係の機能という点に着目する対人関係の基礎的理論として取り 上げた.本論文は社会的引きこもりグループにおいて観察された対人関係エピソードとアタッチメント 方略との関連について3つの事例に基づいて検討した.事例に共通していたのは,幼少期に親子関係の 中で,危機的な状況に陥った際にアタッチメント対象から保護を得られず,またその後の社会的な場面 においても,それまでの経験から構築されたアタッチメント方略をその時の文脈に合わせて柔軟に変化 させられなかったことで,対人関係がうまく取れず,結果として,社会から孤立してしまうという結果 に至っていた点である.これらの事例は,アタッチメント方略は,アタッチメント対象との間で交わさ れた過去の相互作用の経験などに基づいて作られるということを示した結果となった.また,そのアタッ チメント方略が現在の対人関係場面にも利用され,深く関連していることも示唆された.. Ⅰ.はじめに. (1998/2002)は,ひきこもりの原因と思われる ものはきわめて多様かつ複合的か,あるいは全く. わが国では「ひきこもり」の状態にある青年が, 見当たらないとし,どの説も十分ではないことを 相当数存在すると言われてきた.ひきこもりの背. 指摘している.ひきこもりへの理解は,単一的な. 景は,厚生労働省(2007)のガイドラインで示さ. 解釈だけでは不十分であり,これまでとは異なる. れている通り,生物学的要因や心理社会的要因な. 角度から個別的な視点で検討することで,新たな. ど,多様であると理解すべきであるとしている.. 支援について模索していくことが求められる.. そして,近藤(2010b)も, 「 『ひきこもり』 『社. これまで,ひきこもりの要因や背景として中心. 会的ひきこもり』を単一の疾患単位であるかのよ. 的に考えられてきたのは,精神障害や発達障害と. うに扱う傾向がみられるが,それぞれの背景にあ. いった精神医学的視点や,思春期心性に代表され. る問題が多様であることに充分に配慮する必要が. る心理的要因であった.しかし,診断基準に当て. あり,その治療・援助についても一概に論じるこ. はまらない人たちの理解には,医学的な視点だけ. とは不可能である」と述べている.さらに,齊藤. では限界があり,さらに青年期のひきこもりとな. *. Yusuke MAENO:札幌大学 学生相談室 専門相談員. キーワード:アタッチメント理論,青年期引きこもり,DMM-AAI. 75.
(3) 学校臨床心理学研究 第18号(2020年度). ると,思春期心性との関連も大きいが,それだけ. 傾向があるとしている.また,近藤(2010a)は,. でもやはり説明しきれない点もある.そこで,本. 先のことを想像することの苦手さや実行機能の問. 研究は先行研究を概観してひきこもりの背景につ. 題などのため,漫然とした日常生活が長期化しや. いて整理し,青年期ひきこもりへの理解について. すく,現在の生活パターンを変えることや新しい. まとめた上で,新たな視点に着目し,検討してい. 体験などへの抵抗感も強いこととの関連も指摘し. きたい.. ている.. なお, 本研究で使用する「ひきこもり」とは, 「ふ だんは家にいるが,自分の趣味に関するときだけ. 1-3 ひきこもりと思春期心性. 外出する」といった,準ひきこもり(内閣府,. 先述した諏訪(2005)の指摘の通り,診断のつ. 2010)にあたる人々を指し,以後,そのような意. かない「一次性ひきこもり」は思春期青年期の心. 味合いで使用することとする.. 性にもつながるものとしての見方もある. 思春期の主たる発達課題は,「両親(とりわけ. Ⅱ.序 論. 母親)からの分離」と「自分探し,自分作り」で ある(厚生労働省,2007)とされている.林(2010). 1.ひきこもりの要因及び背景. によると,思春期では,同一化の対象が養育の場. 1-1 ひきこもりと精神障害. 以外の友人や同世代の集団,学校のクラスなどに. ひきこもりと精神障害との関連の代表的なもの. 移行することが多いという.そして,そこは他者. としては,統合失調症や気分障害,神経症,パー. の外観や特性を自分のものとし,その手本に従っ. ソ ナ リ テ ィ 障 害 な ど が 挙 げ ら れ て い る( 齊 藤. て,全体的あるいは部分的に変容していく場であ. 1998,諏訪 2005,厚生労働省 2007など) .また, ると述べている.そのような,仲間集団からの脱 ひきこもることで発症した二次的な精神障害もあ. 落は,その場所での適応における危機であり,そ. り,長く人に接触しない生活を続けることで,人. こでの失敗は強い挫折感となると同時に仲間関係. とのふれ合いが恐ろしくなり,結果として対人恐. や学校生活を回避させ,子どもを家にとどめる強. 怖症状が起こり,いっそう深くひきこもってしま. 力な原動力となるのである(厚生労働省,2007).. う悪循環が生じるとされている(齊藤,1998) .. また,齊藤(1998)は,ひきこもりと思春期心. また,諏訪(2005)は,上記に挙げた精神疾患. 性との関連として, 「ひきこもりが長期化する背. とは別に, 「診断のつかない群」がいることを挙げ, 景には,視野の狭さなどといった思春期独特の考 それを「一次性ひきこもり」とした.失敗の回避, え方や,自己愛的な構えがあることが多い」こと 視野の狭さ,はっきりしない希望,社会生活を維. などを挙げ,思春期に独特な葛藤パターンがある. 持する能力の弱さなどを特徴とするこの群も,周. と述べている.. 囲からの孤立や社会的な交流を回避している場合 2.アタッチメント理論に着目することの意義. が多い.. このように,これまでの青年期ひきこもりの理 1-2 ひきこもりと発達障害. 解は,精神医学的視点や思春期心性などを中心に. 厚生労働省(2007)のガイドラインでは, 「発. 捉えられてきた.そして,いずれが背景にあった. 達障がいの特性のいくつかがひきこもりとの親和. としてもひきこもりには対人関係上の問題が深く. 性を持っているのではないか. 」とされ,発達障. かかわっていることが明らかになった.また,齊. 害が背景にあるひきこもりは,対人関係がもちに. 藤(1998)も,たとえ始まりが個人の病理にあっ. くく,周囲から孤立する場合もあるとしている.. たとしても,経過とともに必ず対人関係の問題が. 星野(2011)は,自分の気持ちや考えをうまく言. 生じることを示している.これらのことから,対. 語化できないために,不適応に陥りやすいことや, 人関係の問題に着目することが,青年期ひきこも 感情や情動のコントロールが未熟で些細なことで. りの理解と支援には必要不可欠であることがわか. 落ち込み,失敗や挫折への恐怖が強いため,逃避. る. 76.
(4) アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援. この対人関係の問題を理解する上で注目を集め. 象への接近方法は,物理的な直接的接近から,電. て き て い る の がBowlby(1969/1982; 1973/1977;. 話やメールなどの間接的な接触も含むように広. 1980/1981)によるアタッチメント理論である.. がっていく.また,心の中のアタッチメント対象. アタッチメント理論の大きな特徴のひとつは,こ. の記憶が,内在化された安全基地として機能する. れまでの過去の親子関係の質を基盤として,現在. ようになる(林,2010).. の個人の対人関係の方略が確立されていくと捉え る点にある.アタッチメント理論は,個人が自分. 3-3 内的作業モデル. 自身や自分の子孫をいかに守るのかという対人関. Bowlby(1969/1982)は,安全基地としての主. 係の機能という視点から行動パターンを分類して. 要な人物がイメージとして内在化されることで,. いる(三上,2015b).そのような対人関係にお. 「その人物がここにいなくても必要な時は助けて. ける自己防衛的な「機能」に着目することで,従. くれる」,「自分は愛される存在である」というよ. 来の理解とは異なり,その個人のもつ対人関係の. うな,アタッチメント対象や自己に関する心的な. 方略というより個別的な視点から,青年期ひきこ. 表象モデルを構築するとし,それを内的作業モデ. もりの理解について検討していくことが可能にな. ル(internal working model)と呼んだ.内的作. ると思われる.. 業モデルは,ある状況に接した時に,過去のアタッ チメント対象とのやり取りの経験の中から,それ. 3.アタッチメント理論とは. が一般化され,再生されたものであり,関係性の. 3-1 アタッチメント理論. 記憶と対人的情報処理プロセスということができ. ア タ ッ チ メ ン ト 理 論 を 提 唱 し たBowlby. る(坂上 2005; 数井・遠藤 2007).つまり,内的. (1969/1982)によると,アタッチメントとは,. 作業モデルは,その個人の対人関係の様式を規定. 個人の危機的な状況に際して, 特定の対象と “くっ. するものということができる.. つく(=Attach)”ことで,それらの情動を低減 しようとする安全調整システム(safety regulating. 4.アタッチメントの個人差に関する研究. system)である.そして,特定の対象を安全基. 4-1 乳幼児期のアタッチメントの測定. 地(secure base)として利用し,自らが“安全. アタッチメント行動は,個人の状況や関係性に. であるという感覚(felt security) ”を得ることが. 応じて,変化する適応行動であるため,当然そこ. アタッチメント理論の中心である.. には個人差が現れることとなる.. この理論の根本は,環境への適応の方略であり, アタッチメントの個人差に関する研究の始まり 個体が生存していくために必要な行動(アタッチ. は,Ainsworthら(1978)による,ストレンジ・. メント行動)を取ることで,自らが生きていくた. シチュエーション法(Strange Situation Procedure:. めの保護を引き出すことである.. 以下SSP)である.SSPは,乳児がストレス状況 下で主要なアタッチメント対象に対してどのよう. 3-2 アタッチメント・システムと探索システム. なアタッチメント行動を向けるかよって,乳児の. 「アタッチメント・システム」とは,安全を維. アタッチメントの質をAタイプ(回避型) ,Bタ. 持するために保護的な役割をしてくれる他の個体. イプ(安定型),Cタイプ(アンビヴァレント型). に接近し,維持することで,安心感を得ようとす. の3つに分類した.その後,Mainら(1990)によっ. るものである.それが得られると,危険にさらさ. て,Dタイプ(無秩序・無方向型)が新たに組み. れて恐れを感じ高まっていた緊張が低減し,ア. 入れられた(ABC+Dモデル).子どものアタッ. タッチメント・システムの活性化水準が下がる.. チメント欲求はどのような親子関係においても一. そうなると,今度は「探索行動システム」の活性. 様に適切に満たされるわけではないため,子ども. 化水準が上がり,新奇刺激に接近して情報を得よ. はその関係の性質に応じて,特定のアタッチメン. うとする.. トスタイルを身につけざるを得ないことになると. また,大人になるにつれて,アタッチメント対. された(数井・遠藤,2005). 77.
(5) 学校臨床心理学研究 第18号(2020年度). 4-2 青年期・成人期のアタッチメントの測定. では不十分であることを指摘している.そこで,. 4-2-1 質問紙法. 近年注目されているのが,AAIを新しい形として. 現在の親友や恋人,配偶者などとの関係性に焦. 発展させてきた「アタッチメントと適応の力動-. 点を当て,質問紙法により,個々人のアタッチメ. 成 熟 モ デ ル Dynamic-Maturational Model of. ントの質を測定しようとするものがある.代表的. Attachment and Adaptation」 (以下,DMM). な も の に, ア タ ッ チ メ ン ト ス タ イ ル 質 問 紙. (Crittenden & Landini, 2011)である.DMM方. (Attachment Style Questionnaires)(Hazan &. 式によるAAI(以下,DMM-AAI)では,アタッ. Shaver, 1987) や4カテゴリー・モデル (Bartholomew,. チメントパターンを危機的な環境に適応するため. 1990)などがある.. に個人が身につけた自己防衛方略として捉え,そ れは成熟と経験によって複雑化し,多様化してい. 4-2-2 ア ダルト・アタッチメント・インタ. くと仮定されているため,アタッチメントパター. ビュー(Adult Attachment Interview:. ンをAAIよりもさらに詳細に分類できるものであ. AAI). るとしている(三上,2012) .両者が最も異なる. 過去の親子関係に焦点を当てた測定方法が,. のは,従来のAAIでは,その方略を「安心感を得. Mainら(1994)による,アダルト・アタッチメ. るため」としているのに対し,DMMでは,「目. ント・インタビュー(Adult Attachment Interview:. の前の危機に適応していくため」としている点で. 以下AAI)である.両親やそれに代わる主要な人. ある.そのため,アタッチメント方略とは,生涯. 物との間の関係について子ども時代のことを想起. を通じて安全でいられるために利用され,不適応. し語ってもらう中で,意識化し得ない内的作業モ. とは,それまでの文脈で使われてきた方略が,異. デルの特質を抽出するものであり,個人の無意識. なる文脈になった時に適応的でなくなったと捉え. 過程に焦点を当てるのが特徴である(数井・遠藤, られる.このようにDMMは,精神的な不適応を 2005/2007) .AAIでは,これまでの主要な人物と. いくつかの症状の集積としてではなく,対人関係. の関係についての語り方の特徴に基づき,自律型. における方略という観点から理解することを可能. (F) ,アタッチメント軽視型(Ds) ,とらわれ型. にするのである.. (E) ,未解決型(U)に分類し,それぞれ,SSP. そして,DMMにおける,アタッチメントのア. のBタイプ(安定型) ,Aタイプ(回避型) ,Cタ. セスメントは,どの情報が変容して行動につな. イプ(アンビヴァレント型) , Dタイプ(無秩序・. がっているのかを見ていく.例えば,権力的でパ. 無方向型)に対応すると仮定された(数井・遠藤, ワフルな環境に適応するために,自分の感情を抑 2005).乳幼児期におけるSSPが実際にその場に. えて,他の人が望むことをしたり,相手から一貫. いる主要な人物に対する「物理的な」近接方法を. した応答を得られない場合は,その応答を引き出. 取り上げるとすれば,AAIでは,記憶の中にある. すために,自分の感情を言葉にすることなく,挑. 過去の主要な人物に対する「表象的な」近接のあ. 発的で危険な行動を取ったり,相手を欺くような. り 方 を 取 り 上 げ る 手 法 で あ る( 数 井・ 遠 藤,. 行動をする.これらのように,DMMでは,情報. 2005) .. 処理や対人関係の機能に注目し,アセスメントを 行っていく(三上,2015a). DMMの目指すところは,現在の文脈の中で適. 5.アタッチメントと適応の動的-成熟モデル. 応的でなくなった過去に学んだ方略を改善し,現. (DMM) しかし,三上(2014)は,「そもそも乳児期と. 在の文脈にあった方略を見つけることで適応を目. 成人期では認知能力など様々な点で大きく異なる. 指すことにある.現在用いられている方略が過去. はずなのに,乳児期の4分類がそのまま成人期に. のどのような文脈の中で形成されてきたのか,そ. 対応していると仮定して良いのかという疑問もあ. こにどのような適応上の強みがあったのかを理解. る. 」と述べ,実際の複雑な生育歴を持つ臨床群. することによってクライエントをより深く共感し,. を捉えるには,Main方式によるAAIでの4分類. 現在の文脈へのより良い適応のあり方を共に考え 78.
(6) アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援. 入することにより,青年期ひきこもりの対人関係. ていくことが可能になると思われる.. に着目した新たな理解とその視点からの支援の可 6.アタッチメント理論から考える青年期ひきこ. 能性について検討し,示していくことを目的とす. もりへの理解について. る.本研究は,社会的ひきこもりグループにおい. ひきこもりについてアタッチメントの視点で考. て観察された対人関係エピソードとアタッチメン. えてみると,数井・遠藤(2005)は,親から離れ. ト方略との間にどのような関連があるのかについ. て自律的にふるまおうとする動きは,ある意味,. て3つの事例に基づいて検討した.. 一種の探索行動と捉えることができると指摘して. Ⅳ.方 法. いる.また,林(2010)は,社会参加を探索行動 ととらえると,その探索行動システムが活性化す るには,安全な空間と時間が必要であり,社会へ. 1.調査対象者. 参加していくためには,安定的なアタッチメント. X精神保健福祉センター 社会的ひきこもりグ. 関係が必要であると述べている.. ループの参加者3名.対象者は,いずれも20代,. さらに,DMM(Crittenden, 2015)では,個人. 男性であった.. の不適応をそれまで個人が取ってきたアタッチメ ント方略が,現在の文脈の中では,適応できなく. 2.調査期間. なった状態と捉えるため, 周りの文脈が変化し. 2015年5月から2015年9月まで.. たことで,結果としてひきこもりの状態に至った と捉えることが出来る.. 3.調査対象グループの特性. つまり,ひきこもりという表面に見える問題行. 週2回3時間程度のグループ活動である.活動. 動の背後にあるアタッチメント方略を理解するこ. 期間は原則1年間である.参加にあたっては,必. とによって,精神障害や思春期心性という従来の. ず事前に本人や親と面接を行い,主治医がいる場. 観点を超えて,ひきこもり支援に必要とされる個. 合には,許可が必要である.. 別的で具体的な支援の検討を行うことが可能とな 4.調査内容. ると思われる.. 4-1 観察調査と基本情報の聴き取り. Ⅲ.研究の目的. 対人関係場面において,個人がどのような方略 を用いているのか,それによってどのようなエピ. 1.研究目的. ソードが起こっているのかを観察するために,グ. 先行研究を概観した結果,ひきこもりには特定. ループ活動に参加し,「関与観察」(鯨岡,2005). の疾患や障害が関与している他,思春期心性が背. を行った.参加については,週1~2回の頻度で,. 景にあることが示された.そして,それらの要因. 全27回の参加であった.観察調査に加え,個別の. が対人関係上の問題として現れるということが示. 基本情報について,1人1回,30分~60分程度で. 唆された.したがって,ひきこもりの支援にはこ. 半構造化面接による聴き取りを実施した.. の対人関係上の問題を理解するための視点が不可 欠であると思われる.. 4-2 結果の整理. アタッチメント理論は,対人関係における自己. 観察場面から得られた印象的な場面を記録し,. 防衛的な「機能」に着目するものであり,豊富な. 整理したものと,聴き取りから得られた内容を加. エビデンスもある.そのため,ひきこもりの青年. え,アタッチメントの観点から考察した.また,. がどのようなアタッチメント方略を用いて,現在. そこからアタッチメント理論に着目した支援の可. の文脈の中でどのように活用され,どのように不. 能性についても検討した.. 適応につながっているのかを理解することに役立 つと思われる.本論文はアタッチメント理論を導 79.
(7) 学校臨床心理学研究 第18号(2020年度). 5.倫理的配慮. 時は,友人や家でも素の自分を出せずにいた.. 本研究の実施に当たって,北海道教育大学研究 倫理委員会の承認を得た(研究倫理審査番号 北. 2-1-2 グループ参加まで. 教大研倫2015021004) .対象者には事前に研究概. Aさんは,中学2年生の時,同級生からの嫌が. 要や目的を書面で説明し,同意を得た上でインタ. らせをきっかけに学校を休みがちになり,不登校. ビュー調査及び参与観察を実施した.また同意後. となった.高校は一年で辞め,父の仕事の手伝い. でも,対象者はいつでも研究への参加を取りやめ, やアルバイトをしたが,どれも長くは続かなかっ 同意を撤回できることを約束し,研究者は,研究. た.. 対象者のインタビューデータや観察記録等の個人. ちょうど同じ頃,気分が落ち込み,自ら母親に. 情報を本研究以外の目的で使用しないこと,対象. 精神科の病院へ連れていって欲しいと頼んだとこ. 者の匿名性を守り,インタビューデータや観察記. ろ,母からX精神保健福祉センターを紹介された.. 録等は鍵のかかる安全な場所で保管することとし. 相談員から,社会的ひきこもりグループ(以下,. た.さらに,インタビューデータ及び観察記録は. グループ)を紹介され,参加に至った.. 逐語録を作成後,速やかに削除した. 2-1-3 グループでの様子. Ⅴ.結 果. Aさんはグループでは,職員や他のメンバーと 会話はするが,感情が言葉や表情に表現されるタ. 1.グループ場面の抽出について. イプではなかった.. Crittenden(2015)は,場(文脈)とその時の. グループへの参加については,意欲的で,率先. 個人の行動との間に不一致がある場合, それは 「新. して発言したり,準備や後片付けなどにも自ら進. しい情報源である」と述べている.不一致とは,. んで行ったりすることが多かった.作業にも集中. 例えばいらだっている場面で満面の笑みを浮かべ. して取り組めており,技術的にも他のメンバーと. るなど,言葉と実際の行動が合っていないことを. 比べても高いものがあった.他のメンバーが困っ. 指す.グループ場面においても,場面と行動など. ている場面では,積極的に声をかけ,教える姿も. の違和感に注目し, 「個人の特徴をよく表してい. 見られた.. るような言動」「個人の特徴からは違和感のある 言動」 「その時の,その場の文脈にそぐわないよ. 2-1-4 特徴をよく表しているエピソード. うな言動」を中心に示していく.. 【黙々と投げ続けるAさん】 スポーツプログラムの野球でピッチャーとして. 2.事例による調査結果. 参加していた時である.Aさんのチームは,無失. 2-1 Aさん. 点に抑えながらリードしていた.Aさんは,自分. 2-1-1 ケースの概要. や仲間が点を入れた時やピッチャーとして三振に. 20代,男性.精神科の受診歴はない.家族構成. 抑えた時でもほとんど表情を変えず,他のメン. は,自営業を営む父とパート勤務の母と3人暮ら. バーは一喜一憂していても,その横で淡々と試合. し.その他に,同じ市内に住む姉がいる.小学生. に臨んでいた.試合が後半に差し掛かり,疲れも. の頃,父と母が喧嘩をし,父が家を出て行ったと. 出始めたころ,相手チームに逆転を許してしまう.. いうことがあった.その時,母から「もしかした. 周りのチームメイトは声をあげ,悔しがっていた. ら,離婚するかもしれない」と言われていた.. が,Aさんからは, 「悔しい」といった発言はなく,. 元々相手に申し訳ないと,あまり人に悩みを打. ただそれまで同様黙々と投げ続けていた.しかし,. ち明けるタイプではない.対人関係では,自分に. それは何も感じていないというよりは, “悔しさ. とって嫌な人のことは避ける.親に対しても,イ. を押し殺している”といった様子で,口をぎゅっ. ライラしてもあまりかかわらないようにしている. と堅く閉じ,悔しい感情が外に漏れださないよう にしているといった印象であった.マウンドから. いつも一番正しい正解を探しているため,学生の 80.
(8) アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援. 戻ってくると, 相手が喜んでいるその場から, スッ. いる.自らの感情表現を回避したり,それに伴っ. と離れ,体育館の端の方に歩いて行った.. て,人とのかかわりそのものから回避している様 子も伺える.. 2-1-5 違和感のあるエピソード. そのような文脈の中で,他のメンバーに対し,. 【不快な感情を表した一言】. 「イラッとする」と言葉にしたというエピソード. 作業で革細工を行う日であった.その日は,他. は,自分の感情に触れず,他者の意を組み取る形. のメンバー(Bさん)が二日酔いの状態で来所し. で対人関係を構築してきたAタイプの方略をもつ. ていた.Bさんは,酒の臭いが残り,テンション. 人にとって,自分自身の視点をもち,自分の本当. も高く,他のメンバーたちにちょっかいをかける. の感情を見せるという危険なことである. ような動きをしていた.. (Crittenden, 2015).. そのような状況の中,Aさんは突然「イラッと. Aさんは,グループへ参加したことでの変化に. する」とぼそっと言葉にした.特にBさんの方を. ついて,プログラム活動の休憩時間に,次のよう. 見るわけでもなく,自分の作業をしている手元を. に述べていた.「グループに来て,考え方が変わっ. 見たまま,しかし,確実にBさんに聞こえる声の. たと思う.昔から,他の人から『嫌われたくない』. 大きさで発言した.また,口調は強く,明らかに. と思っていた.今でも,小さい気づかいをして,. イライラしていることが伝わるような言い方で. 家に帰ったら結構疲れることがある.でも,皆の. あった.グループ内で, 感情 (特に否定的な情動). ことが大体わかってきた.段々,素の自分を出せ. を表現することは珍しい.しかし,言葉が強めな. るようになった.家でも,“素”が出せなかった.. 反面,Bさんの方を見ずに発言することで,相手. 自分を殺していた.感情がなかった.グループに. に対し,直接的な伝え方は避け,向き合うことは. 来て,一歩踏み出した気がしている.素の自分を. 避けたという印象である.. 出すことに,まだ少し戸惑いがあるが,開放感が ある.少し怖いけど,嫌ではない.家族にも出せ. 2-1-6 まとめ. なかった素を出せる所があるのはいい.今はまだ. Aさんのこれまでの経過を見てみると,小学生. 途中だが,グループに来ていつか『良かったな』. の頃の夫婦喧嘩のエピソードが本人にとって,自. と思うと思う.」. らの安全を脅かすひとつの要因となり得るが,そ. 自分の感情を表現することを避け,人に気遣い. の時に,安心を与えてほしかったはずの母親から. をし,感情を押し殺していたAさんが周りの他者. 「離婚」という言葉が出てきており,危機的状況. との関係の中で少しずつ自分の素(=感情)に触れ,. に対する保護がアタッチメント対象から得られな. 戸惑いながらも,表現出来るようになってきてい. かった可能性がある.そして, 「親へイライラし. ることが見て取れる.. ても,かかわらないようにしている」と感情表現 を回避しているように見える.さらに, 「一番正. 2-2 Bさん. しい正解を探している」ともあり,自分にとって. 2-2-1 ケースの概要. 正しい正解ではなく,他者にとって正しい正解を. 20代,男性.療育手帳を所持しており,軽度の. 探すことがAさんにとって重要であるように思わ. 知的障害がある.家族構成は,会社員の父,農家. れる.他者の視点から見て正しいことをするとい. 手伝いの母,その他に兄と妹がいる.本人は現在,. うのは,Crittenden(2015)によると,回避的な. 親元を離れ,ひとりで生活している.父は仕事ば. Aタイプの特徴であり, 本人にとって, 他者にとっ. かりで,家族と過ごすことはあまりなく,酒を飲. ての正解を見つけることが自分を脅威から守る手. み,怒りやすい.母は体格がよく,愚痴っぽく,. 段であることを示している.. 怒りっぽい.両親は夫婦仲がとても悪いという訳. グループでの対人関係においても,職員や他の. ではないが,夫婦喧嘩をするときもあり,Bさん. メンバーと会話はするが,そこに感情があまり表. が口を挟もうとすると, 「大人の世界に口を挟む. 現されず,親との関係と同様のパターンを見せて. な」と言われるため,本人はあまりかかわらない 81.
(9) 学校臨床心理学研究 第18号(2020年度). ようにしていた.小さい頃から,勉強が嫌いで,. 盤先制を許すが,逆転する.Bさんは味方や相手. 宿題を忘れると,母から手をあげられることも. のプレーに「やったー!いぇーい!!」と感情を. あった.. 前面に表現し,相手をやじるなどした.. 子どもの頃から,あまり周囲の人とうまくなじ. 試合も終盤に差しかかった時,逆転を許してし. めなかった.小学校の頃は,いじめを受けていた. まう.すると,味方から励まされたにも関わらず, 中学・高校も,友人は数名いたが,昼休みなどは. 突然床にグローブを叩きつけ,「どうせ,俺が悪. 他の同級生とかかわらないようにし,寝て過ごし. いんでしょ!」と声を荒げた.Bさんは,続けて. ていた.本人曰く,何か嫌なことがあると,その. 「失点されたのは,俺のせいだとみんな思ってい. 場から逃げるタイプ.就職した後も,周りとの対. るんだろう,どうせ!」とその場をウロウロと歩. 人関係にうまくなじめず,辞めてしまうことが多. き回りながら話す.まるで,自分の中に沸き起こっ. かった.. た失敗感や不安感を強い口調や激しい行動で,覆 い隠しているような印象であった.. 2-2-2 グループ参加まで 高校卒業と同時に,現在住んでいる街へ移り住. 2-2-5 違和感のあるエピソード. み,技術系の大手企業へ就職した.仕事は現場で. 【やり場のない想いの表現】. の作業だったが,網膜剥離になるなどして,1年. Bさんと筆者が2人でビリヤードを行っている. ほどで退職する.その後,アルバイトを転々とす. と,唐突に「昨日親父がふらっと地元からやって. るが,職場になじめず,人と接することも少なく. きて.ビッグマン持ってきて.『母親があと3ヶ. なっていき,自宅にひきこもるようになった.. 月だって』って.それで2人で飲んだ.」と話し. 夜眠れなかったため,役所の担当者から精神科. 始めた.初めはそのことをひとつの出来事のよう. 病院への受診を勧められ,初診.仕事もしておら. に淡々と話していたが,徐々に感情をあらわにし,. ず,人間関係も希薄な状態だったため,役所の担. 突然「くそ!あのクソ親父が代わりに死ねばいい. 当者からX精神保健福祉センターへの相談を勧め. のに!」と強めの口調で発言する.筆者が,その. られた.相談員から,社会的ひきこもりグループ. ような発言の理由を尋ねるが,Bさんは「親父が. を紹介され,参加した.. 死ねばいいんだ. 」といった内容を繰り返すのみ であった.. 2-2-3 グループでの様子 Bさんは口数も多く,人懐っこい印象である.. 2-2-6 まとめ. 職員や他のメンバーとも積極的にコミュニケー. Bさんが幼少期の親との関係で,印象的であっ. ションを取るが,日常の嫌なことについての話題. たエピソードとして挙げたのは,母から手をあげ. が中心であり,やや内容を誇張して話している様. られることであった.その一方で,Bさんの母親. 子も見られた.. は急に抱き着いてくるような正反対の行動を見せ. 活動は意欲的だが,積極的なものとそうでない. ることもあったという.このように母親の行動が. ものがあり, 嫌なものは休んだり, 参加しても「ダ. 予測不能である場合,子どもはアンビヴァレント. ルい, 帰りたい. 」などの発言を繰り返した.また, なCタイプのアタッチメント方略を発達させやす 勝敗が関係することになると,負けることに対し. いと考えられている.. て過度に反応する場面も見られる.時に,こだわ. グループでの対人関係においては,他者と積極. りが強く,他罰的になる場合もあった.. 的にコミュニケーションを取る姿がよく見られた. その話す内容は,嫌だったことが中心で,やや内. 2-2-4 特徴をよく表しているエピソード. 容を誇張して話すという傾向があり,他者からの. 【失敗した場面での激しい言動】. 注意を引き出すかのような対人関係のパターンで. スポーツプログラムで野球を行っていた時であ. あるかのような印象を伺わせた.そうなると結果. る.Bさんはピッチャーとして参加していた.序. 的に他の人たちは,本人に対して,「大丈夫?」 82.
(10) アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援. れられず,そのことに対して葛藤もあった.高校. と声をかけざるを得なくなるのである.このよう. に,他者から慰めを引き出そうとする対人関係が, 1年生の時,母の連れてきた2人目の男が酒飲み Cタイプの方略を用いる人の特徴を反映したもの. で,仕事もせず,家の中で暴れる人だった.本人. であると考えられる.. の部屋もメチャクチャにされるようなこともあり,. また,Bさんの印象的なエピソードとして挙げ. 「あぁ,俺殺されるのかな」と思った.母は泣く. た野球の試合などの勝負事で逆転された際の出来. ばかりであった.. 事では,本来であれば逆転されたことに対して罪 悪感を抱くはずであるが,逆に周囲に当たるよう. 2-3-2 グループ参加まで. な振る舞いをしていた.この時のBさんは逆転を. 高校2年生の時,アトピーがひどくなったこと. 許したことを「皆に申し訳ない」と自らの罪悪感. をきっかけに,学校でも話し相手がいなくなって. として体験することは難しかったのではないかと. いった.ちょうど同じ頃,母が2人目の男と別れ. 考えられる.代わりにBさんは周囲に罪悪感を抱. て,母方の祖母の家に引っ越した.その頃から,. かせるように振る舞い,同時に励ましや保護を引. 身体に異変が起きて,手が震え,学校でも変なク. き出そうとしていたように思われる.Cタイプの. スリをやっているのではといじめられるようにな. 方略を用いる人は,人の言葉に対する信頼が低く, り,次第に不登校となった.高校は通信高校へ転 言葉で交渉はしないため,言葉以外の非言語的な. 学し,卒業した.高校で大学の推薦をもらい,大. 方法で表すことが多いことから,周りからは未熟. 学へ進学した.しかし,学校が合わないと感じ,. に見えることがある(Crittenden,2015) .その. 1年で退学.中退後は,いくつかアルバイトをす. ようなBさんとのかかわりの中で,筆者に対して. るが,店長から叱責され,暴力を受けるといった. つぶやいた場面では,感情を他者に察してもらお. 経験もあった.その後,定職にはつかず,自宅に. うとするような言い方をすることすらあまりな. ひきこもるようになった.母からX精神保健福祉. かったため,違和感があった.Bさんのアタッチ. センターのことを教えてもらい,相談へ行き,セ. メント行動は情動を中心に組織化されていること. ンターの相談員から社会的ひきこもりグループを. が伺え,そのため情動を誇張して表出することし. 紹介され参加した.. かできず,筆者の質問に対して適切に応答するこ 2-3-3 グループでの様子. とが出来なかった可能性も見られた.. Cさんはグループでは,真面目に取り組み,他 2-3 Cさん. の人との受け答えも丁寧な印象である.その反面,. 2-3-1 ケースの概要. 自分に自信がない様子で,他の人のことをいつも. 「まぁ 20代,男性.精神科病院への受診歴は一度あり, 気にして,グループの中で何かが起こると, “パニック障害”の診断を受けたが,現在は通院. まぁ」と仲裁に入るようなこともあった.. していない.家族構成については,母と2人家族. 他者の意見をそのまま取り入れ,言われた通り. である.父は本人が小学校5年生の時に離婚して. に行うことが多いが,調理などの自信があるもの. おり,以降は離れて暮らしている.その他の親戚. に関しては,進んで役割を果たそうとし,積極的. づきあいも疎遠である.父は無口で真面目な人. に意見を述べ,他の人の意見よりも自分の意見を. だった.母も厳しい人であったが,習い事の送り. 主張し,通そうとすることも少なくない.. 迎えをよくしてくれた.両親は喧嘩が絶えず,毎 週日曜日になると喧嘩をしていた.そのような状. 2-3-4 特徴をよく表しているエピソード. 況から,本人は幼い頃,父も母も嫌いだった.4. 【自信が持てないCさん】. ~5歳の時,母が夕食を作らないで,家から飛び. ビリヤードを行っていた場面である.Cさんは,. 出し, 帰ってこなかったことがあった. その時, 「こ. グループに参加して間もない頃であり,ビリヤー. の人とは上手くやっていけないんじゃないか」と. ドを始めたばかりだったため,いつも勝てずにい. 感じた.離婚後,母の連れてくる男の人を受け入. た.しかし,その日は立て続けに連勝し,皆から 83.
(11) 学校臨床心理学研究 第18号(2020年度). の称賛の言葉に嬉しそうな様子であった.. 視点を「規範的」な形式で取り入れ,アタッチメ. しかし,その後Cさんは初歩的なミスをし,負. ント対象の限界を自己の力不足や環境上のやむを. けてしまう.その時, 「やっぱり俺,何やっても. 得ない事情によるものとしてアタッチメント対象. ダメなんですよ.」と伏し目がちに発言する.そ. を 免 責 す る と い う 特 徴 が あ る(Crittenden &. のミスは,初心者であれば誰でもするようなもの. Landini, 2011) .自信のないCさんが時折見せる. であったため,Cさんの発言に皆,驚いて少し戸. 自己主張には,このような規範的意識の強さが反. 惑ってしまうほどであった.Cさんは,その後も. 映されているように思われる.. プレーを続けるが,口数も減り,自信のない様子. 対人関係において,Cさんに最も特徴的であっ. は続いた.. たは,自分に対する自信がなく,それをいつも主 張するという点にある.誰でも初心者であれば犯. 2-3-5 違和感のあるエピソード. してしまうようなミスについても,皆が少し戸. 【それ言っちゃだめでしょ】. 惑ってしまうほど,「やっぱり俺,何やってもダ. Cさんが他のメンバーたちと会話をしていた時, メなんですよ」と話したり,何か自分が失敗した と感じるたびに,それを強調することが多く,日. 他のメンバーが別のメンバーに対して,少しから. かうような内容の発言をした際,Cさんが「いや, 常的に失敗に対しての敏感さが伺える.そして, それ言っちゃダメでしょ. 」と諭すような投げか. “ダメな自分”を強調し,失敗したことに伴う本. けをした.からかったメンバーはこれまでも,他. 当に言いたかった感情を抑制することによって,. の人に対して同様の発言をすることがあり,グ. 逆にそれを直面化することを避けているような印. ループ内の出来事としては日常的な場面で,Cさ. 象も与える.このように,自分を責めるというの. んもこれまで何度も目にしていた場面であった.. は,否定的な情動を自分に向けることで,周囲と. そして,それ以降,一般的に正しいと思われるこ. の軋轢が生じるのを避けていると解釈することが. とを「それは,~だ. 」と相手に向ける機会が徐々. 出来るかもしれない.これは,これまでの親との. に増えていった.そういったやり取りの多くは誰. アタッチメント関係の中で,親への否定的情動を. かが冗談を言ったり,茶化したりする場面に多く. 完全に排除したり,逆に親を責めるCタイプとは. 見られ, 「それは失礼だ」 「それは言い過ぎだ」な. 異なり,親への否定的情動は意識出来ているもの. どと,その場の雰囲気にそぐわない程であった.. の,それでもなお,親に対してその情動を向ける ことを回避し,自分を責めることで,親の否定的. 2-3-6 まとめ. 側面を見ないようにしてきたと思われる.そして. 高校1年生の時に,母の連れてきた男が暴れ,. それは,自己の視点よりも,他者の視点に立った. 本人の部屋もメチャクチャにされるエピソードで. 方略であることが伺える.両親の喧嘩と離婚,さ. は,本人にとってはまさに,生命の危機を感じる. らに母親の恋人からの暴力というより深刻な危機. ような場面で,唯一本人を守ってくれる存在で. を経験してきたCさんにとって,このような方略. あった母から保護を受けられなかったと本人は感. を発達させることは不可避であったと考えられる.. じている.. Ⅵ.考 察. グループ活動における,自分に自信がなく,他 の人の意見をいつも気にしており,他者の意見を. 1.青年期ひきこもりの新たな理解. そのまま取り入れ,言われたとおりに行うという. のは,回避的なAタイプの特徴とも言える.逆に, 今回の研究では,アタッチメント理論の視点か 「言っちゃだめでしょ」という発言に見られるよ. ら青年期ひきこもりについての新たな理解を検討. うに,社会的な規範を破るような他者の言動に対. してきた.. してはCさんは自己主張をしているように見える. これまでの疾患や障害を背景にもつひきこもり DMMに固有の方略であるA3(強迫的世話)や. は,現在の医学的な診断基準に合致する状態であ. A4(強迫的従順)には,アタッチメント対象の. るという大前提で理解される.しかし,このアタッ 84.
(12) アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援. と考えられる.. チメントの考え方は生得的に誰にでも備わってい る基本的な対人関係の理解を可能とし,障害の有. 2.アタッチメント理論からみた青年期ひきこも. 無によらない視点を与えてくれる.そのことは,. りへの支援の可能性. これまでと異なった形で,対人関係上の不適応に ついての理解を可能にし,アタッチメントの個人. 先に述べた通り,DMM理論に基づいた支援の. 差に目を向けることで,個人のこれまでの対人関. 基本的な考え方は,現在の文脈の中で適応的でな. 係の歴史を紐解き,どのように適応しようとして. くなった過去に学んだ方略を改善し,現在の文脈. きたかを考察していくことで,そのパターンを探. にあった方略を見つけることで適応を目指すとい. り,さらにそれを現在の文脈と照らし合わせるこ. うものになる.Crittenden(2015)は,成人期の. とで,より具体的な支援を提供できる可能性をも. 課題として,状況に応じた行動方略の使い分けが. つ.そのことは,これまでの様々な青年期ひきこ. 重要であり,それは人生を通じて絶えず再構成さ. もり理解の視点を超えた,統合性や包括性をもっ. れ,柔軟かつ適応的に方略を使用出来るようにな. た本人を理解するための共通の枠組みとなる可能. るとしている.Crittenden(2015)の述べる適応. 性がある.そのことは, 三上 (2015b) も同様に, 「ア. 的な成人となるためには,アタッチメント方略を. タッチメントは人間発達の基礎であるという点で, 単純なものから複雑なものまで,あらゆる情報変 心理療法各学派の対立点を超えた共通の理論的枠. 換を区別し,あらゆる方略を文脈にふさわしい方. 組みになり得る. 」と述べている.. 法で認識し,使用できるというバランスの取れた. 今回の研究で取り上げた3名の事例に共通して. 心的過程が必要である.. いたのは,幼少期に親子関係の中で,危機的な状. 対人関係に課題があるひきこもりの状態にある. 況に陥った際にアタッチメント対象から保護を得. 青年は,現在の文脈に対して使用している方略が. られなかった経験があるという点である.その後. 適応的ではない可能性があるため,現在の文脈に. の学校や職場などの社会的な場面においても,そ. 合わせて対人関係方略を柔軟に変化させていく必. れまでの経験から構築されたアタッチメント方略. 要がある.しかし,一次性ひきこもり(諏訪,. をその時の文脈に合わせて柔軟に変化させられな. 2005)のように,失敗の回避や視野の狭さがある. かったことで,対人関係がうまく取れず,社会か. 場合,柔軟に変化させていくことは容易なことで. ら孤立してしまうという結果に至っている.. はないだろう.また,現在のアタッチメント方略. アタッチメント方略は,アタッチメント対象と. は,これまでの対人関係の経験から獲得されてき. の間で交わされた過去の相互作用の経験とその時. た方略であり,ある意味,彼らが社会に適応しよ. その場で起こっている相互作用に基づいて作られ. うとしてきたひとつの結果であるため,それをす. ると想定されている(坂上,2005) .もっともこ. ぐに変えることも簡単ではないように思う.その. こで取り上げたエピソードだけに,本人たちのア. 点について,三上(2015b)は,クライエントは. タッチメント方略がすべて反映されているとは言. セラピストを「過去のアタッチメント対象」のよ. い切れない.また,これらのことが青年期ひきこ. うに扱い,「過去のアタッチメント関係」を心理. もりの特徴であるとも言えない.しかし,親子関. 療法関係に再現されるようなかかわりを無意識に. 係の経験が,その後のアタッチメント方略の発達. 引き出そうとすると述べている.さらに,社会的. に影響を与えているということは事例の中から推. な交流や対人関係が希薄なひきこもり青年にとっ. 察することが出来る.さらに,その方略が現在の. て,アタッチメント方略を変化していけるような. 対人関係場面にも利用され,深く関連しているこ. 機会は限られていることも考えられる.. とも示唆された.このことは,アタッチメントの. そのため,今回観察したようなグループの意義. 情報処理と対人関係の機能という視点をもつこと. は大きい.そこでは対人関係の交流があり,緩や. で,特定の診断名を超えて,青年期ひきこもりを. かな形で社会との接点をもつことが出来る.本研. これまでよりも幅広く,ひとつの共通した枠組み. 究では,グループでの支援の効果については検証. の中で理解することが出来る可能性を示している. していないが,齊藤(1998)は,意義ある「たま 85.
(13) 学校臨床心理学研究 第18号(2020年度). り場」としてグループの効果について述べている. 触れ,それを表出しても安全であるという体験が そういった場で,親密な友人をつくり,一人では. 重要である.他者の視点ではなく,自分の考えで. 決して得られなかったであろう自信を回復してい. 選択し,行動し,その結果を振り返り,自らが評. くと述べ,それがひきこもり事例に対して,有意. 価できるような支援の仕組みが必要である.また,. 義であると述べている.. アタッチメント行動はその時の文脈への適応行動. 支援の基本的な柱としては,三上(2015b)で. のため,本人の行動を変化させていくことだけで. 述べられているように,過去のアタッチメント関. なく,その場の環境も変化させていくことが必要. 係の文脈では,排除してきた情緒を体験し直し,. である.本人に感情を語ることのみを求めるので. それらを包括するようなより柔軟性に富んだ自己. はなく,語っても危険ではない,脅威にならない. 物語を語り直すという一連の作業を新しい文脈で. ような環境を整えることも必要となってくる.こ. 行うことである.そして, 支援者は, 過去のアタッ. のような視点から見ると,青年期のひきこもり支. チメント対象とは異なる振る舞いをして,新しい. 援のグループは,安全な枠組みの中で同世代との. アタッチメント関係を心理療法関係の場に作り出. 交流を通じて,引きこもりの青年が新しいアタッ. すことで,新しいアタッチメント関係の文脈をク. チメント関係のあり方を探索し,再構築していく. ライエントに提供することである.そういった意. ことを可能にする重要な環境であると考えられる.. 味で,クライエントのこれまでのアタッチメント 3.今後の課題. 関係をいい意味で裏切ることが大切と三上 (2015b) は述べている.このようなかかわりは, 「反. 今回の研究では,アタッチメント理論のもつ,. 証disconfirm」と「確証confirm」 (三上 2007/2015b). 個人の「情報処理」と「対人関係の機能」という. という観点から説明されている.セラピストは,. 視点から青年期ひきこもりをこれまでとは異なっ. クライエントが心理療法場面に無意識に持ち込む. た視点から考察してきたが,複雑で多岐にわたる. これまでの非機能的なアタッチメント方略を, 「反. 背景のすべてを理解することはできない.. 証」することを通して,クライエントがより適応. 本研究で対象としたのは,あくまでもグループ. 的な新しいアタッチメント方略を構築出来るよう. に参加できるひきこもり青年であり,自宅から出. に支援を行う.しかし,クライエントは反対に自. て,ある程度の対人関係を継続的にもつことので. 己の一貫性を保つためにこれまでのアタッチメン. きるケースである.自室にこもり,極度に対人関. ト方略をセラピストに「確証」させる“共犯者”. 係を避け,社会との接点がほとんどないという狭. の役割を引き受けさせようとするようにかかわっ. 義でのひきこもりのケースも多くいるとされてお. てくる.. り(内閣府,2010),両者のアタッチメント方略. 例えば,Aさんのように回避的なアタッチメン. の違いや,それが外に出られないという行動にど. ト方略をもつ場合,他者の考えていることに沿う. のように影響を与えているのかについては,検討. ということが第一選択となり,そのために自分の. が必要である.また,過去の生育歴の中で体験し. 感情を表現せず,結果として対人関係が希薄に. てきた“危機”が,今回対象としたメンバーと通. なっていくことが課題として挙げられる.回避的. 所できないケースとの間に果たしてどのくらい体. なAタイプのアタッチメント行動は,認知による. 験として差異があるのかという課題もある.. 組織化が中心で,自らの否定的な情動を極力排除. さらに,アタッチメントの質が,「どのような. することで,問題を最小化しようとするため,自. 他者との相互作用であるか,その個別の“関係性”. 己 を 軽 視 し, 他 者 の 視 点 を 重 要 視 す る. の性質を反映したものである可能性が高い」 (数. (Crittenden,2015) .そこから考えると,Aさ. 井・遠藤,2005)とするならば,ひきこもり当事. んが,グループでの対人関係場面でぼそっと「イ. 者と最も深い関係性を築いてきたであろう親世代. ラッとする」と口にしたことはまさに,否定的な. のアタッチメントの質への理解も当然必要となっ. 情動の表現をすることが出来たと考えることもで. てくる.親と子のアタッチメントの連続性に関す. きる.支援においては,このように自らの感情に. る研究は,アタッチメントの世代間伝達としてす 86.
(14) アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援. でに取り組まれており(遠藤 1992,数井・遠藤. Adult Attachment: A Dynamic-Maturational. 2005),近年注目されている分野である.そこで. Approach to Discourse Analysis. New York: W.. は相対的に,同様のアタッチメントの特質が子ど. W. Norton & Company, 2011. 三 上 謙 一( 監. もに伝達されやすいことが明らかにされている.. 訳):成人アタッチメントのアセスメント:動. 今後は,ひきこもりの子をもつ親と,その子ども. 的-成熟モデルによるアプローチ,岩崎学術出 版社,2018.. のアタッチメントの特徴との関連を調べるなどの. 7) C r i t t e n d e n , P . M . : 「 A t t a c h m e n t &. 研究も考えられる.. Psychopathology」講習会,東京医科歯科大学,. 謝 辞. 2015. 8) 遠藤利彦:内的作業モデルと愛着の世代間伝. 本論文は,2016年1月に北海道教育大学大学院. 達,東京大学教育学部紀要 32, 203-220, 1992.. 学校臨床心理専攻に提出した修士論文「アタッチ. 9) 林もも子:思春期とアタッチメント みすず 書房,2010.. メント理論から見た青年期のひきこもりとその支 援」の一部を基に加筆修正したものです.本研究. 10) Hazan, C., & Shaver, P. R. :Romantic love. の執筆にあたり,ご指導いただきました学校臨床. conceptualized and an attachment process.. 心理専攻 三上謙一准教授に深くお礼を申し上げ. Journal of Personality and Social Psychology, 52, 511-524, 1987.. ます.大学院修了後も貴重な時間を割き,様々な. 11) 星野仁彦:ひきこもりと発達障害,内閣府子. アドバイスをいただき,支えてくださった三上先. ども若者・子育て施策総合推進室:ひきこもり. 生に重ねてお礼申し上げます.. 支援者読本,内閣府子ども若者・子育て施策総. 引用文献. 合推進室,18-41, 2011. 12) 数井みゆき・遠藤利彦(編著):アタッチメ ント-生涯にわたる絆,ミネルヴァ書房,2005.. 1) Ainsworth, M. D. S. , Blehar, M. C. , Waterd,. 13) 数井みゆき・遠藤利彦(編著):アタッチメ. E. , & Wall, S. : Patterns of attachment: A. ントと臨床領域,ミネルヴァ書房,2007.. psychological study of the strange situation.. 14) 近藤直司:青年期のひきこもりと発達障害,. Hillsdale, NJ: Erlbaum, 1978.. 心身医学,50(4),285-291, 2010a.. 2) Bartholomew, K. : Avoidance of intimacy:. 15) 近藤直司(編):ひきこもりケースの家族援. An attachment perspective. Journal of Social. 助-相談・治療・予防,岩崎学術出版,2010b.. and Personal Relationships, 7, 147-178, 1990. 3) B o w l b y , J . : A t t a c h m e n t a n d L o s s :. 16) 厚生労働省:厚生労働科学研究費補助金ここ. Attachment. London: Hogarth Press, 1969. 黒. ろの健康科学研究事業「思春期のひきこもりを. 田実郎・大羽蓁・岡田洋子・黒田聖(訳) :母. もたらす精神疾患の実態把握と精神医学的治. 子関係の理論Ⅰ-愛着行動,岩崎学術出版社,. 療・援助システムの構築に関する研究(H19-. 1982.. こころ-一般-010) 」http://www.ncgmkohnodai. go.jp/pdf/jidouseishin/22ncgm_hikikomori.pdf,. 4) Bowlby, J. : Attachment and Loss: Separation.. 2007.. London:Hogarth Press, 1973. 黒 田 実 郎・ 大 羽. 17) 鯨岡峻:エピソード記述入門-実践と質的研. 蓁・岡田洋子・黒田聖(訳) :母子関係の理論. 究のために,東京大学出版会,2005.. Ⅱ-分離不安,岩崎学術出版社,1977. 5) Bowlby, J. : Attachment and Loss: Loss.. 18) Main,M., & Solomon, J. : Procedures for. London: Hogarth Press, 1980. 黒田実郎・大羽. identifying infants as disorganized/disoriented. 蓁・岡田洋子・黒田聖(訳) :母子関係の理論. during the Ainsworth strange situation. In M.. Ⅲ-対象喪失,岩崎学術出版社,1981.. T. Greenberg, D. Cicchetti& E. M. Cummings (Eds.), Attachment in the preschool years. 6) Crittenden, P. M. & Landini, A. : Assessing 87.
(15) 学校臨床心理学研究 第18号(2020年度). (pp.161-182) . Chicago: University of Chicago Press, 1990. 19) Main, M. , & Goldwyn, R. : Adult attachment scoring and classification system. Unpublished manuscript, University of California, Berkeley, 1994. 20) 三上謙一:愛着理論の心理療法への活用-ク ライエントの内的作業モデルを「反証」する治 療者の役割について-, 学校臨床心理学研究 (北 海道教育大学大学院研究紀要) ,5, 2007. 21) 三上謙一:愛着理論から考える心理療法-個 と関係性の統合へ向けて-,学校臨床心理学研 究( 北 海 道 教 育 大 学 大 学 院 研 究 紀 要 ) ,10, 2012. 22) 三上謙一:「新しい」アダルト・アタッチメ ント・インタビュー研修会に参加して-「ア タッチメントと適応の力動-成熟モデル (DMM) 」とは何か-,思春期青年期精神医学, 24, 2, 2014. 23) 三上謙一:アタッチメント理論から考える現 代の大学生像とその援助-アタッチメントと適 応の力動-成熟モデル(DMM)からの考察-, 思春期青年期精神医学,25, 1, 2015a. 24) 三上謙一:アタッチメント理論による心理臨 床の理論と実践, 「NPO法人MCR主催 不登校 ひきこもり支援者研修会」 ,北海道母子福祉セ ンター,2015b. 25) 内閣府:若者の意識に関する調査(ひきこも りに関する実態調査) ,http://www8.cao.go.jp/ youth/kenkyu/hikikomori/pdf_index.html, 2010. 26) 齊藤環:社会的ひきこもり-終わらない思春 期,PHP研究所,1998. 27) 齊藤環: 「ひきこもり」救出マニュアル, PHP研究所,2002. 28) 坂上裕子:アタッチメントの発達を支える内 的作業モデル, 数井みゆき・遠藤利彦(編著) : アタッチメント:生涯にわたる絆,ミネルヴァ 書房,32-48, 2005. 29) 諏訪真美:青年期の社会的ひきこもり-その 背景となる病理の鑑別,医療福祉研究 1, 78-84, 2005.. 88.
(16) アタッチメント理論から見た青年期のひきこもりとその支援. SUMMARY Adolescent Social Withdrawal and its Support from the Viewpoint of Attachment Theory Yusuke MAENO (Sapporo University Student counseling room counselor) Until now, psychiatric perspective and adolescence mentality have been the central focus of factors or the background of social withdrawal. However, it has become clear that social withdrawal is deeply related to interpersonal problems. In this study, the previous studies about the understandings of adolescent social withdrawal are summarized. In particular, Bowlby’s attachment theory was picked up as it is the basic theory of interpersonal relations, focuses on the functions of individual information processing and interpersonal relations. This paper studied the relationship between the interpersonal episodes which were observed in a day care for social withdrawal and attachment strategies based on 3 cases. What was common to the cases was that, in their childhood parent-child relationships, when they meet dangerous situations, they were not protected from their attachment figures. Also, in the subsequent social situations, the attachment strategies constructed from previous experience could not be flexibly changed according to the context at that time. Therefore, they couldn’t manage their interpersonal relationships properly. As a result, they were isolated from society. These cases suggested that the attachment strategies were constructed based on their past interaction experiences with their attachment figures. Also, it was suggested that the attachment strategies were also used and related in the current interpersonal relationship situations.. Key words : Attachmenttheory, Adolescentsocial withdrawal, DMM-AAI. 89.
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