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標準語教育のための基礎的研究 : 旭川市神居町富沢地区のことばづかい

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Academic year: 2021

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(1)Title. 標準語教育のための基礎的研究 : 旭川市神居町富沢地区のことばづかい. Author(s). 小野, 米一; 宮野, 輝男. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. A, 人文科学編, 33(1): 15-31. Issue Date. 1982-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4126. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 標準語教育のための基礎的研究 -- 旭川市神居町富沢地区のことばづかい --. 小野. 米- ◎ 宮野. 輝男. 1。 研究の目的と方法 教室 で授業を受けている子供達は, 小学校に入学するまでは 祖父母。父母。兄姉・友人 そし , , て地域の人達のこと ばづかいの中で生活している 入学しては じめて標 準語の教育を受ける 標準 . , 語教育は, まず方言と標 準語との認識, ことばづかいの自覚化から始めなくてはなら ない そのた . めには, 地域の人達 のことばづかいの実態をとらえることが必要 であると考えた そこで 基礎的 , 。 な調査を実施したのである (注1) 。 富沢地区は, 旭川駅から南西の 方角に約6・ km のところにある 沢地に水田が広がる純農村地帯 。 である。 地区の「開拓之碑」には, 明治25年( 1 892年) 伊藤伝三郎がはじ めての入植者として入っ , たと書かれている。 当時, 戸数は20~30戸 であり, 出身地は富山県が主 であったという (注2) . 調査は, アンケート方式をとった。 その内容は, 大きく三つに分かれている . 第一 (A) は, 北海道で広く使われていると思われることばの使用の実態を確かめるためのもの で, 「トーキ ビ」「ア ズマシイ」など26項目からなる. 回答は 「自分で使う」ものには○ 「使わな , , いが聞いたこと がある」 ものには△, 「まったく知らない」 ものには×をつけてもらっ た (本文2 .. 参照). 第二(B)は, 場面によることばの使い分けをみるため のもので 「家族や友だちなどとふだん 話 , すとき」 (以下 〈家族〉 と省略) と 「学校の校長先生にていねいに話すとき」 (以下 <校長〉 と省略). という二つの場面を設定 した。語桑関係14項目,文法関係5項目 である 回答は自由記入形式をと っ . たが, 参考欄に期待される言割ダ リをいくつか掲げた。 (本文3 0405参照) 第三 (C) は, ことばについての意識をみるための項目である (本文6参照) 。 調査用紙は, 1 980年9月1日に旭川市立富 沢小学校 (旭川市神居町富沢) の通学区域内の全世帯 ( 1 0歳以上の家族全員)に配布 した. 9月 7 日までに, 対象者124人中95人分の回答が寄せられた .. \. 表1 回答者の男女別・年代別内訳(単位は人) 6 0歳以上. 男. 10. 女. 9. 50 歳 代 11. 19. 40 歳 代 9. 18 7. 20・30歳 代 8. 19 10. 21 13. 10 歳 代. 計. 8. 46. 一 m. 18. 一 49. 95. 15.

(3) . 小野米一・宮野輝男. 回答率は76.6%である. 回答者の男女別・年代別内訳を表1に 示す. 各年代とも男女差はほとんど 0~24 2人と少なかっ た(特に20歳代は全員が2 ない. 年代別にみると, 20歳代が9人, 30歳代が1 歳) . それで統計処理上, 20歳代と30歳代とを一括してあつかった.. 2. 使用語o理解語・未知語 まず, 分野Aの項目をとりあげよう. 北海道で広く使われていると思われることばについての使 用の実態である. 項目は, 1. トーキビ(とう もろこし) , 4. , 3. イ ッ チョ マエ(一人前) , 2. ゴショイモ(じゃ がいも) バ チ ) ) 手袋をハク( はめる レル( ひどく寒い 6 7 デメントリ(日雇い労務者) シ , . ョー , . , 5. ス (さわる) , 11 , 10 , 9. オガル (成長する) . ご . タガク (持つ) , 8. バクル (とりかえる) は ん がア メ ル (腐 る), 12 . 猫 がカ ッ チ ャ . 犬 がカ ジ ル (か み つ く), 14 . ネ ッ パ ル (ね ばる), 13 ク (ひ っ かく), 15 . ア ズ マ シイ (ゆ っ . ご み をナ ゲ ル (捨 て る), 17 . ケ ッ パ ル (が ん ばる), 16 わ い し ), 20 メ ン コイ ( か ら い ナイ ( な い ) 1 容易 で た り して い る), 18 , 9 . マカ タ シナ . . エ ルク. イ (割にあわない) 1 , 23 .疲 , 22 ,2 . ハンカクサイ (ばかげている) . ミッタクナイ (みにくい) れてコワイ (きつい) , 26 , 24 , 25 . 年齢は . 値段はナンボ (いくら) . オッカナイ (おそろしい) ナンボ (いくつ). である. 「使う」と回答した人の 比率を使用率, 「聞いたことがある」という人の 比率を理解率, 「知 らない」 という人の 比率を未知率と呼ぶ. まず, 全年代で90%以上の使用率を示すものをみてみよう. 1. トーキビ100%, 8. バクル96. バ 8%(図1) .8% , 16 . ごみ をナ ゲル98.9%である. 次に使用率80%以上のものは, 5. シ レル96 (図 2), 6. 手 袋 をハ ク 96.8%, 23 . 疲 れて コ ワイ 95.8%, 24 . オ ッ カ ナイ 95.8% であ る. さ ら 犬 が ジ 1 4 カ ル 8 6 3% に, 70% 以 上 の も の を あ げて み る と, 13 . , . 猫 がカ ッ チ ャ ク 89.5%, 19 . メ . な ン コイ 91.6%,21 . ハ ン カ ク サイ 83.2% があ る. こ れ ら の 語 は か り 使 . ミ ッ タ ク ナイ 88.4%,22. われているといえる語である.. こ れ と は 逆 に, 使 わ れ なく な っ て いる 語 も あ る. 9. オ ガ ル, 10 . ごは ん がア メ ル, . タ ガ ク, 11. 20 . マカタシナイ がそう である. いま, 9. オガルを例にとってみよう. 図3に示すように使用率 は若い年代で急激に減少し, 未知率は1 0歳代 で急激に上昇している. 他の3語についても同様のこ と が い える.. ま た, しだ い に 使 わ れ なく な っ て いく と み ら れる も の が あ る. 2. ゴ シ ョ イ モ がそ れ であ る. 使. 用率の年代別推移をみると図4に示すように,40歳代で÷ 度は上昇するものの年代が若くなるにつ パ れ て 減 少 して い る. こ の ほ か, 12 . 値 段 は ナ ン ボ, 26 . 年 齢 は ナ ン ボ がこ の 傾 向 を . ネ ッ ル, 25 示 して い る.. 大人用語とみられるものがある. 例えば4. デメントリがそうである. 図5に示すように, 60歳 以上, 5 7 0歳代, 40歳代 での使用率が高く, 総体に未知率が低い. このほか, 1 . ア ズマシイ, 18 . えられる. が同様の傾向を示じている 今後も4 0歳以上で使われていくことが考 ユルクナイ . 若い年代で上昇しているものがある. 例えば3. イ ッ チョ マエがそれである. 使用率の年代別推. 移 は, 図 6 に 示 す よ う に, 若 い 年 代 で使 用 率 が 上 昇 して い る. こ の ほ か に, 7. チ ョ ー ス, 15 . ケッ. パ ルがある. 今後使われていくことが考えられる.. 16.

(4) . 標準語教育のための基礎的研究. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 50 40 20 10 図1. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 20 10 40 50 図2. バクル. 図3. シ バレ ル. 100%. 100%. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 40 20 10 50 オガル. 100. , // ′ /′. 4 ′ ′. 50%. . /. 50%. , 十 パア / /′ ′. / 、メ 理解率. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 10 20 40 50 図4. ゴショイ モ. 50%. / /. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 20 10 40 50 図5. デメ ン トリ. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 10 40 20 50 図6. イ ッ チョ マエ. 17.

(5) . . 小野米一・宮野輝男. 3. 語桑面の特色 以下の3・4・5に, 分野Bの諸項目をとりあげる. ここでは, 語桑14項目のなかから特徴的な 項目について考察する. 1. つ む じ. 「頭のてっ ぺんの毛がうずになっ ている所」 というようにきいた. 個人差の大きい項目である. 大別して次のような語がみられた. ○ツム ジ. 0 ウ ズ マ キ, ウ ズ. 0ギリギリ, ギリ, グリ グリ, グリ 0ギズギズ 0 マ キ ギリ. 0ナカハ ゲ こ れ ら の う ち 使 用 率 の 高 い ウ ズ マ キ, グリ グリ, ギリ ギリ, ツ ム ジに つ い て み て い こ う, (図 7 参. 照). ウズマキは, 特に10歳代で急激に上昇している. グリ グリは年代が若くなるにつれて 上昇してい るが, 10歳代で減少する. ギリギリは, 年代が若くなるにつれて減少している. 年代別にみると,. 0歳代では 0歳代, 40歳代 では, ギリギリが最も高く, 20・30歳代では グリ グリが, 1 60歳以上, 5 ウズマキが最も高い. 場面の変化に よる使用率の変化は, 表2に示す. よう に 全国 共 通 語形 のツ ム ジ が上 昇 は して い る. ’第 掌 多 リ ,. 表2. つ む じの 場面差 (単位は%). 聯奏鰹襟龍二篠繍, \遂. ウ ズ マ キ が 有 勢 であ る. (図 8 参 照) 2. か か と. 〆裏 面 使用 用語 語形 使 ム. ツ ッ. ジ. 15 7 .. リ リ. 38,9. 27.7. ズ. マ. キ. グ. リ. グ. ギ. リ. ギ. 「足のいちばんう しろのところ」 というように 表3. 校 長. I 2, 1 18.9 32.6. ウ. き い た. カ カ ト, カ ガ ト, キ ビ ス, ア ク ドと いう. 家 族. 24.1 24.1. 差 1 3,6 ・ 5.2 - 8.5 -14,5. かかとの場面差 (単位は%). 面 差 藷決 使 用語 家 族. し て い る が, 10 歳 代 で減 少 し て い る. カ ガ ト が 全 体 的に 有 勢 であ る が, 20・30 歳 代 は, カ カ ト が 上. 回 っ て い る. キ ビ ス は, 60 歳 以 上, 50 歳 代 に み ら. れる. 年代別にみると, 2 0・30歳代でカカトが最 も高くなっ ているほかは, カガトが有勢である.. カ 力. カ. ト. カ. ガ. ト. キ. ビ. ス. 26,3 66 3 . 6 3 .. 校 長. 2 6.2 70 ,2 4 2.. -。 0, I ” ,. 3. 9 - 3,9. 場面差による使用率の変化は, 表3に示すように, 全国共通語形のカカトはほとんど変らないが, カガトはわずかに上昇している. ここにカカトよりもカ ガトの方がていねいだとする意識がうかが える. 年代別にみると, 2 0・3 0歳代 でカカトがカガトを上回っ ている. (図10参照). 18.

(6) 標準語教育のための基礎的研究. 100%. 100%. 100%. イ . チ . 〆 . . ギ r 50%. . △十 , ′ , . ′ 0% 、 ′ 5 ′ ′ 4 ご J ム ハ ′、 、 , ・ x. . ノ ノ 癖 \. . 、. *. , ′ , ′ ,. \. 9. . 図7. . . . ′ 、\ /. コチ 、 、 、 、 \ ノ ′ 、′ノ. お x \ 励 . 605. 、 、. 〜 0 5 0 4. 桝 図 9 . . ー / / /′ ′. \ . ′. 50%. . 100%. ^ 穴. . . . 、. \ × A F. . . /″イγ / クツ. 19 〜 10 於. 9 . 〜. . く. . 図. ぐ、. 20. 100%. 100% . 力. △. 50%. . 脚. . ハ /. . W メ. . 、. 桝 〆恐 . △ ′ / f. 50% . 50%. 図. 39 〜 19 〜 20 10 . く校 粉. . 〜 御 59. 図船. ず〜. 40. 赫そ. 〜 10. . 、\. / ′ ′. . ン . \ ×. 励 . 払 05 〜 50. . . ′ ・ ′ , VA. . . /′. 〜 御. も. 図 12. げ. . . . . .

(7) . 小野米一・宮野輝男. 3. く す ぐっ た い. 「足のうらやわきの下などにさわられると, 笑いたく なるようなおかしな感じがします.」という ようにきいた. 個人差の大きな項目である. 大別して次のような語がみられた. 0 ク ス グ ッ タイ. 0 コ チ ョ バ シイ, コ チ ョ バ イ. O コ ン パ シイ,‐コ ン パイ, コ ソ ワイ 0 モ チ ヨ コイ, モ ッ チ ョ コイ. こ れ ら の う ち で使 用 率 の 高 い ク ス グ ッ タイ, コ チ ョ バ シイ, コ チ ョ バ イ に つ い て と り あ げ る. (図. 11参照). 0歳代と10歳代 でわずかに高いものの全体としては低迷して 全国共通語形のクス グッ タイは, 5. い る. コ チ ョ バ シイ は, 50 歳 代 と 20・30 歳 代 で高 く な る ジ グザ グ型 で あ る. コ チ ョ バ イ は, 60 歳. 0歳以上と10歳代では, コチョ バ 以上と10歳代で高くなるジグザグ型である. 年代別にみると, 6 バ イが最も高く, 他の年代 ではコチョ シイ が最も高い. 場面の変化による使用率の変化は, 表4に示す. よ う に ク ス グッ タイ は コ チ ョ バ シイ に 及 ば な い.. 0 コチョ バイ は減少している. 年代別にみると, 6 歳以上 でコチョ バイ が最も高く なっ て いる ほか は, コ チ ョ バ シイ が て い ね い な 語 と して 使 わ れ る. 傾向にある. (図12参照). 表4 くすぐったいの場面差 (単位は%). き面 使用語〆. 家 族. 校 長. ク ス グッタイ. 11.6. 23.2. コ チ ョ バ シイ. 51.6 26,3. 52,4 13.4. コ チ ョ バ イ. 差 11.6 0,8 -12,9. 4. く す ぐる. 「そのような感じをおこさせるようにわ ざと手を動かすことは?」 というようにきいた. 次のよ うな語がみられた. 0 ク ス グル. 0 コチョ バス ○ コ ソノミス. , コ チ ョ ガス. oモチヨ ガス 0 テ マ ネ, コ チ ョ コ チ ョ ス ル. こ れ ら の う ち 使 用 率 の 高 い ク ス グル, コ チ ョ バ ス に つ い て み て いく. (図 13 .参 照). コチョ バスは, 年代が若くなるにつれて上昇していく. 全国共通語形のクス グルは, 50歳代, 40 0歳代と減少している. 年代別にみても, 各年代とも 歳代 で高く なっ ているものの, 20・3 0歳代, 1 コ チ ョ バ ス が ク ス グル を 上 回 っ て い る.. 場面の変化によっ て, 表5に示すとおり, クス. グ ル が コ チ ョ バ ス を 上 回 る. 年 代 別 に み る と, 50. 歳代でコチョ バスがクス グルを上回っ ているもの. の,他の年代では,クス グルがコチョ バスを上回っ ている. (図14参照). くすくるの場面差 (単位は%). 表5. 使用語 契. 家 族. 校 長. 差. ル. 23.4. 58,O. 34.6. コ チ ョ バ ス. 66.O. 34,6. -31.4. ク. ス. グ. 面. 5. あ ざ (ができた) 「机の角などに足をぶつけたりすると, そのあとが色が変って2・3日消えないことがあります が, それを何と言いますか.」 というように, 「あ ざ」 のところの言い方をきいた。 大別 して次のよ 20.

(8) . 標準語教育のための基礎的研究. うな語がみられた。 0アザ 0アオタン 0 ブ ス グロ ク, ブ ス ク ロ ク, ブ ス グム ク. 0 ドズマ グロ ク, ド ズ マ グロ. 0 ク ロ ニ エ タ, ク ロ ジ ン ダ, シ ン ダ. 0 ア カ グロ ク 0アオク. 0 ケ ガ, ウ チ ミ, ダ ボク, ナ イ シ ュ ッ ケ ツ. このように個人差の大きい語である。 これらのうち使用率の高いアザ, アオタン ブス グロクにつ , いてみていく。 (図15参照) 全国共通語形のアザは, 20。30歳代でわずかに. 裏6 ぁざ(ができた)の場面差 (単位は%). ,雪 面 家饗皇 室 李 愛 窄 三 上 多 重 真 三 ℃ 寸 歩 三 選面 い 語溝 使 声 用 。蜜濁 求 繊 瀞. 家 族. 年 代 が若く な る に つ れて 減 少 して いく 年 代 別 に 。 み る と,6o 歳 以 上 で は ブ ス グロ ク が 最 も 多い が, 他 の 年 代 では ア オ タ ン が 最 も 多く な っ て い る 。. ア ァ. ザ. ア オ タ ァ. ン. プ ス グロク. 8 11, 48 .4. 12,9. . 差. 校 長 2, 2 2 O 3 7 0 ,. I 1,1 1. 4 1 0, -1 - 11,4 - 1,8. 場面が変化しても, 表6に示すよう に, アオタ ンの有勢は変らない。 年代別に最も高い語をみると, 60歳以上アザ, アオタン 5 , 0歳代アザ, ブス グロク, 4 0歳代アオタン, 20o30歳代アザ, 10歳代アオタンである。 (図16参照) 6。 最下位 「運動会のかけっ こで一番遅くなったら?」 というようにきいた 個人差の大きい 語である 次 。 。 のような語がみられた。 0 ビリ, ビ リ ケ ツ. o ピリ , べし 0 ゲ ッ トク ソ, ゲ ッ ツ, ケ ッ ツ 0 ゲ レ, ゲ レ ッノぐ , ゲ ッノぐ , ケ ッノぐ. こ れら の う ち使 用 率 の 高 い ビリ, ゲ ッ パ, ゲ レ ッ パ ピリ に つ い て と り あ げる (図 17 参 照) , 。. 全国共通語形のビリは, 6 0歳以上から20 ・30歳代にかけて上昇するが, 1 0歳代で減少している。 ピリは6 0歳以上から40歳代ま では上昇するが, 20 030歳代, 10歳代では使う者がいない。 ゲッパ は60歳以上から40歳代にかけて減少し, 2 0 630歳代, 10歳代と上昇している。 ゲレッ パは年代が 若くなるにつれて減少してい る。 年代別に使用率の高い語をみてみよう 6 0歳代ではゲ 。 0歳以上,5 レ ッ パ, 40 歳 代 では ピリ, 20030 歳代 では ビリ, ゲ ッ パ 10 歳 代 では ゲ ッ パ であ っ た , 。. 場面の変化による使用率の変化は表7に示すよ. う に,ビ リ の伸 び率 が 低 い。 ゲ ッ パ に 代 っ て ピリ が. 有 勢 であ る. ゲレ ッ パ も 減 少 し て い る 年 代 別 で 。. は, 60 歳 以 上, 50 歳 代, 40 歳 代 でピリ が, 20“30 歳 代 でビリ が,10 歳 代 で ゲ ッ パ が 最 も 高 か っ た 。 (図 18 参 照). 裏ァ 最下位の場面差 (単位は%). \\ 楊 面 而 \十 \選 蔀瀦を\二 使用語形 使 用語 ビ. リ. ピ. リ. ゲ ッ 、 レ ゲ ツ. パ ぐ ノ ノぐ. 1 ” 家 族 4 14, 17, 5 30.9 24,7. ” 校 - 長. - 差. 7. 3 1 8.4 2. 2, 9 1 0, 9. 0 21.O. - 9,9 - 7,4. 17.3. 21.

(9) . 小野米一・宮野輝男. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 10 40 20 50. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 10 20 40 50. 図13 く す ぐる 〈家族〉. 図15 あ ざ (ができ た) 〈家族〉. 100%. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 20 10 40 50. 図17 最下位 〈家族〉. 100%. 与. . アオタン. ヂ. ′. / ′ /. 50%. / / . 22. \ 、. . 50%. ピリ. リ ノ 弁ヒ \ 、. . / \ , △/. / /、 ・ / \ ・ / 、 ▽ /▼ 〆 /、 . 、 、 ” プスグログメ. x 、. /. を \ r・ 、 、 ,. 、 ン\. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 10 20 40 50. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 10 20 40 50. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 20 10 50 40. 図14 く す ぐる 〈校長〉. 図16 あ ざ (ができた) 〈校長〉. 図18 最下位 〈校長〉.

(10) . 標準語教育のための基礎的研究. ここ で, 〈家族〉の場面に限定して, 語藁面の特色をまとめてみよう。 場面の変化による使い分け 意識については後に述べる. いま, 全国共通語形と方言形との有勢の様をみるために, 全国共通語 形の占める割合と有力方言形の割合とを比較してみよう. 表8に示すように, 全国共通語形が有力方言形を上回っ ているのは, モノモライ, ヨ ダレ, カタ グルマ, ツメタイ である。 ふだんの言い方では, やはり方言形が大勢を占めていることがわかる 。 裏8 全国共通語形と有力方言形の割合 (単位は%). \. 番号・ 項. 目. 全国共 が 2な 有勢 . 麦 5. よ 通語形 頻臼 10 肩 . 12, 冷. 有 方 形. 項. 言. 形. モ ノ モ ラ イ ヨ. レ. 48.4 i 7.9 9. メ. れ 車. カ タ グ ル マ. 65,6. カ ザ グ ル マ. 10.8. い. ツ. 48.9. シ ャ ツ コ イ. 42,6. コ. 81,3. ャ. メ. 21.1. ギ. 1 j. 9 38, 66.3. 額. ダ メ. ヒ 視. タ タ. ン. ヤ. イ. 9.9. オ. ン. 3,2 18,9. ガ. チ. ギ. リ. む. じ. ツ. ム. ジ. か. と. カ. カ. ト. す. ぐ. る. 9, あざ(ができた). ク. グ. ス. ル. コ チ ョ バ シイ. 23,4. コ チ ョ バ ス. カ. ザ. 11.8. ア. ビ. リ. 14,4. ゲ. い. ア タ タ カ イ. む. イ. 3.2 3.1. 下. 位. 13, 暖. か. タ. デ. 2, 1 26.3 11,6. ア. 1, 最 1 14, 痛. ク ス グッタイ. ノぐ. ッ. イ. 6. か. が 7. く す ぐ っ た い 有 勢 な. 方. 腫. 4, つ. 8. く. 力. だ. ヤ プ ニ ラ ミ. 言. 目. 有. 粒. た. 1 ‐. 3, 斜. 力. 全 国 共 通 語 形. ム. ガ. オ. タ ッ. ト. 23,1. 51.6 66,O. ン. 48,4. ノぐ. 30.9. ア ッ タ カ イ. 53.2. ム. 41.2. ヤ. 4. 文法面の特色 文法5項目のなかから特徴的な項目をとりあげて分析する。 1. よ い だ ろ う. 「これで 「よいだろう」 と言うときには?」 というようにきいた。 人によっ て言い方の異なる個 人差の大きい項目である. 大別して次のような言い方がみられた. 0 ヨイ ダロ ー, イ イ ダロ ー. 0 ヨイ デシ ョ, イ イ デシ ョ ー, イ イ デ シ ョ, モ オイ デ シ ョ. Oイ ッ シ ョ, イ イ シ ョ, イ ー シ ョ, イ イ シ ョ ー 0 ヨイ ベ, イ イ ベ, イ ー ベ, イ ー ベ サ, イ カ ベ. 0ヨイ, イイ, イー, イイナ, イイカイ, イイヨネ 0イイ デスネ Oイ カ ロ こ れ ら の な か か ら使 用 率 の 高 いイ イ ダロ ー, イ イ デ シ ョ ー, イ ー ベ, イ ッ シ ョ, イ イ シ ョ を と り. あげる. (図19参照). 23.

(11) . 小野米一・宮野輝男. 0歳代とジ グザグ型を示しながら上昇している. イイ デショ 0歳代,1 イイ ダローは, 60歳以上,4 0歳代と横 ばいになり, 10歳代で0%となっ ーは, 60歳以上から 減少し, 50歳代, 40歳代, 20・3 0歳代から減少する. イ ッ 0・3 0歳以 上, 50歳代, 40歳代と横 ばいが続き, 2 ている. イーベは, 6 0 0歳代 で一度減少するものの年代が若く なるにつれて上昇している. イイ ショは, 5 ショ は, 20・3 0・30歳代で急に 上昇している. 年代別に使用率の高い語をあ 歳代と10歳代 で減少はする ものの2 0・30歳代はイイ ショ, 10歳代はイ ッショと 0歳代はイーベ, 2 0歳代, 4 げてみると, 60歳以 上, 5 イ イ ダロ ー であ る.. 場面の変化による使用率の変化は, 表9に示す. ょ いだろぅの 場面差 (単位は%). 表9. と お りイ イ デ シ ョ ー の 上 昇 率 が 大 き い. イ ー ベ,. \ 場 面 イイ シヨ が大きく減少している.イイ デシヨ ーは, 使 藷 爵 形支\\ご 語 使. 用語. 50 歳 代 で o % な の を 除 い て 他 の 語 と か け は な れ て 高 い 割 合 を 示 し て い る.イ イ ダロ ー は 60 歳 以 上. イ ダ ロ 「 イ ィ ィ - ィ デ ショ ー ィイ イ. から 2o.3o 歳 代 に か け て 減 少 し,10 歳 代 で 上 昇 し. イ ィ. て い る. イ ー ベ は 60 歳 以 上 か ら 40 歳 代 に か け て. ィ イ. 上 昇 し,20.30 歳 代 で 減 少 す る も の の 10 歳 代 で再 び 上 昇 す る. イ ッ シ ョ は 年 代 が 若 く な るに つ れて. イ イ ィ ィ イ ィ. ベ べ. ー - ツ ッ. 家 族 1 1, , I 5 Q. 4 I o , O 0 24.. ョ. 8.3. シ ョ イ ィ. 15.6. シ. 3 6.. 校 長 8 8, 5 25 . 6, 3 11,3 O 5.0. 3 6.. 差 - 2.7 I 1 5 ・ , .. -1 - 17.7 0 3.O -1 0, 6 - 1. ±. O 0. 0歳代 で上昇して いる. 年 上昇している. イイは1 代別にみると, 50歳代を除いてイイ デショ ーが有勢 である. 50歳代は, イイ ダロー, イーベ, イ ッ 0参照) ショ, イイ が同率である. (図2 2. 来 れ ば. 「あの人, 早く 「来れば」 いいのに, は?」 というように きいた. 次のような言い方がみられた.. ぐ レノミ O ク レノぐ , ク ルノ , コ O コイ バ, コ エ バ. 0 ク ル ト, キ テ ク レ ル ト, ク リ ャ. こ れ ら の う ち, 使 用 率 の 高 い ク レ バ, コイ (エ) バ, コ レ バ に つ い て み て い く. (図 21 参 照). ・30歳代で上昇するジ グザ グ型である. コイ バ, コエバは 全国共通語形のクレ バは, 50歳代と20 母音イとエの混同と考え, 同一のものとして処理した. 年代が若く なるにつれて上昇している. コ 0歳代では, クレバとコイ(エ) レバは, 年代が若く なるにつれて減少している. 年代別にみると, 5 バ が同率であるほかは, コイ (エ) バが有勢である. 次に, 場面の変化による使用率の変化をみてみ よう. 表loに示すように, クレ バ が使用率を伸ば. し, コイ (エ) バ が 減 少 し て い る. ク レ バ は20・ 30歳 代 で 上 昇 は す る も の の, 年 代 が 若く な る に つ. れて 減 少 し て い る. コイ (エ) バ は50歳代, 10歳. 代 で 上 昇 し て い る. 年 代 別 に み る と, ク レ バ が 各. 2参 年代ともコイ (エ) バを上回っ ている. (図2. 照). 24. 表,Q 来ればの場面差 (単位は%) \\ \\き き を面 差 族 校 長 使用語形 使 用語謡 \ 家 ク. レ. ぐ バ ノ. ィ (エ ェ) バ コ イ ぐ バ ノ レ コ. 4 35. O o 52.. 6.3. 6 6 3 . 0. O o o 2 O 5.o. 0 9 3 . -3 O 3 - 2. o 1. 3 -・.

(12) . 標準語教育のための基礎的研究. 100%. 1 00%ュ. 100%. メモ ,. ト ーキー--. r \. ”ダロ→. ′. \. 次戦. 、. ショー ソ. \ 、 、. × 、 、. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 40 20 10 50. 図19 よいだろう 〈家族〉 100% 1. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 20 10 40 50. 図23 起きなければならない 〈家族〉. 図21 来れば 〈家族〉 100%. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 10 50 40 20. 10α彫 1. 9 42.9オ オ キナケレバ ナ 40%. /. 今. 、 \. ′ /. 30%. . . ’ ク,. 、. ,. . ,ー、ハハH 汽. . イッショ. イメヤー ′. ナラナイ. オわ ナけ ナンナイ ▲ 41. , ,. 50%. 58.3. 十. . オキンキ ナラナイ. 20%. / ‘. 人. ィ(ェ い /. \. / ′. 、 / \ 、. ′. ・ o%. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 10 40 20 50. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 50 40 10 20. 図20 よ いだろう <校長〉. 図22 来れば 〈校長〉. , 、 、 、. ′ / ′ , /. \ \. ~ 6059 ~ 49 ~ 39 ~ 19 ~ 50 40 20 10. 図24 起き なければならない く校長〉 25.

(13) . 小野米一・宮野輝男. 3, 起きなければならない 「あすの朝は早く 「起きなければならない」」 というようにきいた. 個人差の大きな項目である. 大別 して次のような言い方がみられた. 0オキナケレバナラナイ, オキナケレバナイ 0オキナキャ ナラナイ, オキナキャイ ケナイ, オキナキャナラン, オキナキ ャナンナイ, オキナキャ. ナイ. 0 オ キ ン キ ャ ナ ラ ナイ, オ キ ン キ ャ ナ ン ナイ, オ キ ン キ ャ ナ ラ ン, オ キ ン キ ャ ナイ. 0オキナクチャ ナラナイ, オキナクチャナイ 0オキンクチャイケナイ, オキンクチャ ナイ 0オキナイ バナイ, オキネ バネ, オギネ バネ 0 オ キ ン バ ナ ン ナイ 0オキ ンナ ラン. こ れ ら の な か か ら, オ キ ナ ケ レ バ ナ ラ ナイ, オ キ ン キ ャ ナ ン ナイ, オ キ ン キ ャ ナ ラ ナ イ, オ キ ン. キ ャナイ, オキナキ ャナラナイ をとりあげる. (図23参照) 6 0歳代で1 7%しかなかっ だ.年代別にみると,5 全国共通語形のオキナケレバナラナイ は4. .7%, 0歳以上で低いものの, 他の年代ではほぼ横ば 2 0・30歳代で6.7%である. オキンキャナンナイは6 いである. オキンキャ ナラナイは総体と しては年代が若く なるにつれて減少している. オキンキャ ナイは5 0歳代 でわずかに 上昇するが, 年代が若く なるにつれて減少する. オキナキャナラナイは 0歳以上 2 0・30歳代から10歳代にかけて上昇している. 年代別に最も使用率の 高い語をみると, 6 0歳代がオキナキャ 0歳代, 40歳代,20・30歳代がオキンキャ ナンナイ,1 がオキンキャナラナイ, 5 ナラナイ である.. 場面の変化による使用率の変化は, 表11に示すとおり, オキナケレ バナラナイ が上昇し, オキン 0歳代,20・30歳代 で上昇するジ グザグ型 キャナンナイ を上回っている. オキナケレ バナラナイは5 0歳代で減少し年代が若くなるにつ れて上昇している.オキンキャ である.オキンキャナンナイは,5 0 ナラナイは40歳代で上昇するものの,50歳代と若い年代で減少 している.オキナキャナラナイは5 ナンナ 歳以上はオキンキ な言い方をみると 6 0 ャ 歳代と10歳代だけが使用 している.年代別に有勢 , 0歳代はオキンキ ャナラナイ, 10歳代はオキ イ, 5 0歳代と2 0・30歳代はオ キナケレバナラナイ, 4 ナキャナラナイ である. (図24参照) 表11 起きな けれ ばならないの場面差 (単位は%). \ き湯 使用語形 \\. 面. 家. 族. 校. 長. 差. オ キ ナ ケ レバナ ラ ナイ. 4,7. オキ ンキ ャ ナ ンナイ. 4 23,. 28.3 17.4. O - 6.. オキ ンキ ャ ナ ラ ナイ. 9,4. 8,7. - 0,7. オ キ. 7.8 7.8. O. - 7.8 3,1. ン キ ャ ナ イ. オキナキ ャ ナラ ナイ. 10.9. 23,6. 次に, 文法面の特色についてまとめてみよう. 動詞については, 仮定の条件を表わすのに, コイ (エ) バ が使われる. コイ バとコエ バは母音イ. とエとの混同による ものと考えられる. 26.

(14) . 標準語教育のための基礎的研究. 形容詞の活用は, オモシー (おもしろいの 「る」 が弱まって脱落したもの) が終止形よりも連用 形 (オモシクナイ) で多く使われる. 助動詞の推量は, 「べ」 が多く使われる。 他にイイ デショ ー (イイにデショ ーがついたもの) イ , イショ ” イ デショーの 「デ」 が落ちたもの) , イ ッショ ” イショの縮まっ たもの) , イイ ダロー (イイに ダローがついたもの) がみられる. 当為は, オキンキャナンナイ が多く使われる. オキナキャナラナイの音変化したものと考えられ る.. 全国共通語形と有力方言形の使用率の差に ついてみてみよう 表12をみると全国共通語形が有力 . 方言形を上回っ ているのは, 「 16おもしるい」「 17おもしろくない」 である.. 裏鴇 全国共通語形と有力方言形の割合 (単位は%) 番. 号・ 項. 15, よ 16, お. 全 国 共 通 語 形. 目. い. だ. ろ. う. イ. イ. ダ. ロ. ー. も. し. ろ. い. オ. モ. シ. ロ. イ. 有. 力. 方. 言. 形. 11,5. イ. ベ. 24,O. 71,3. オ. ー. 16,O. ー モ. シ. 17. お も し ろ く な い. オ モ シ ロ ク ナ イ. 59,1. オ モ シ ク ナ イ. 18, 来. ク. ノぐ. 35.4. バ. 28.O 52.O. オ キ ンキ ャ ナ ンナイ. 23.4. れ. ば. 19. 起きなければならない. レ. オ キナ ケ レパ ナラ ナイ. 4,7. コ. イ (エ). 5。 場 面 と こと ば. 日常の会話では, ていねいな言い方と ぞん ざいな言い方など場面の違いによって, また話す相手 によって言い方を変えるのが普通である. 調査では, ①家族や友だちとふだん 話すときのことば. ②学校の校長先生にていねいに話すときのことば の二通りについて書いてもらっ た. ここ では, 場面が変わることによってことばをどう使い分ける. か, その意識を全国共通語形と有力方言形の使用率の変化に視点をあててみていく 表13に示すよ . うに大きく三つの傾向がうかがえる.. 有力方言形から全国共通語形への切りかえが適切になされているものに,「額」「麦粒腫」「くすぐ. る」「冷たい」「来れば」がある. また, 共通語化の遅れが目立つものとして, 「斜視」「つむじ」「く す ぐったい」「あざ」 「暖かい」「起きなければならない」がある. さらに全国共通語形の使用 率が低 く, 方言形の力が強いものとして, 「最下位」「痛む」「よいだろう」 がある . 次に, 年代別に使い分け意識をみてみよう. 全国共通語形の1 9項目の平均を場面別・年代別に表 したのが表14である。 これによると2 0・30歳代が最も大きい, 学校教育の成果であろうか. 社会 的な地位が使い分けを必要とする年代でもあろう。 また, 年代が高くなるにつれて差は小さくなっ て い く.. 27.

(15) . 小野米一・宮野輝男. 場面差における全国共通語形と有力方言形の使用率の変化 (単位は%). 表13. \. 目. 1. 額 2. 麦. 腫. モ. 視. 、 ン. ヒ. 粒. 3. 斜. ヤ 4. つ 粟 5. よ. む. じ. だ. 家族 校長. 全国共通語形. 番号 ・ 項. イ. タ ノ. モ ヤ. フ. ツ. ニ. ラ. イ. 一 フ. ・ ミ. シ. ム. ジ. れ. ヨ. ダ. レ. と か 6. か 7. く す ぐ っ た い す ぐ ● る 項 8. く ざ(が できた) 9. あ. カ. カ. ト. 車. カ. 下. 位. ビ. た. い. ツ. 10. 肩 目 11. 最 12. 冷 13. 暖. 文 法 項 目. か. 14. 痛 15. よ. い. 16. お. も. だ. ろ. ク. ル. グ. ス. ザ. ア. い. ア. む. イ. う. イ. タ. グ. ル. マ リ. タ. イ. タ. メ タ. カ. イ. ロ. ー. ム. タ イ. ダ. イ イ デ シ ョ ー し. ろ. い. 17. お も し ろ く な い 18. 来. ク ス グ ッ タ イ. ば. れ. 19. 起きなければならない. オ. モ. シ. ロ. イ. 差. 家族 校長. 有 力方 言 形. 9.9 46.3 36,3 オ 48.4 69.I 20.7 メ 3.2 14.8 11,6 ガ 18.9 16,O -2.9. デ ッ チ. ャ. コ 81,3 ノぐ 23.1 メ 21.1. リ リ ギ 2,1 15.7 13.6 ギ 97.9 96.7 -1.2 ト ガ 26,3 26.2 -0,I カ 11,6 23.2 11.6 コ チ ョ バ シ イ 23.4 58,O 34,6 コ 11,8 22.2 10.4 ア. チ. タ. オ. 2.3 カ ザ i 2.9 ゲ 48.9 91.7 42,8 ン ャ 6 14.4 ア ッ 3.2 17. 65.6 67.9 14.4 17.3. 8.5 5.4 ヤ 7.4 -4.1 イ 10.4 21.I 10.7 71,3 91,5 20.2 オ. ョ. バ. ス. 51.6 O 66.. ン. 48.4. 消--145 一 . 徹 39 , 賜 0獅 剛胆 8 . 4 -31, 4 -1 1.. 10,8 ノぐ 30.9. ッ. コ. イ. 42.6. タ. カ. イ ム. 53.2 41.2. 測-09.39 削-36.6 鰯- 7,3 灘- 7.I. ベ. 24,O. 3 -1 7, 7 6.. ー. 16.O. ツ. ー モ. 66,3. .. ル. グ. 3,1. 11.5. 38,9. 差. 閣 鯛--3183.62 鰯- 7.5. シ. マ. オ モ シ ロ ク ナ イ 59.1 75.9 16.8 オ モ シ ク ナ イ イ (エ) バ ノぐ 35,4 66,3 30.9 コ レ ク 4.7 28.3 23.6 オ キ ンキ ャ ナ ンナイ オキナケ レバナラナイ. .. 2.4 -1 3,6 3 28,O 12,7 -1 5, O 52.O 20. -32. O O 23.4 17.4 - 6.. 4 場面差における年代別の使用率の変化 (単位は%) 表1. \. 40 歳 代. 20・30歳 代. 0歳代 1. 6 0歳以上. 50 歳 代. 家 族. 23,5. 34.7. 27.2. 30.1. 24.7. 校 長. 33,6. 46,8. 42,1. 52,2. 36.9. 差. 10,I. 12,I. 14.9. 22.1. 12.2. 6. 標準語意識 こ こ で は, 分 野 C の こ と ば に つ い て の 意識 を み て い こ フ.. は じめに, 「富沢のことば」は どんなことばだと思うか, ときいた. 表15に示すとおり, 「標準語 0歳代は, 「方言」 と 「標準語」 が同数である. に近い」 と思っている人が57 .1%いる. 5 次に, 「北海道のことば」 は どんなことばだと思うか, ときいた. ,表16に示すとおり 「標準語に. 近い」 という人が81 .5%に達している. 7 さらに, 「札幌のことば」と 「東京のことば」とどちらが標準語に近いと思うか. ときいた. 表1 %である に示すとおり 「札幌」 が43 .5 .5%, 「東京」 が23 . 以上のように富沢の人達は, 地元のことば, 北海道のことばを 「標準語に近い」 と考え, 「札幌」 のことばは 「東京」 のことばよりも 「標準語に近い」 と考えている. 標準語意識の強さをみること 28.

(16) . 標準語教育のための基礎的研究. ができる. このことは, 北海道の内陸諸地域の調査結果と同様である 例えば 十勝の豊 頃町二宮 . , では, 地元のことばを「標準語」とする人が36%おり, 北海道のことばを「標準語」とする人が70% いる。 標準語は 「札幌」 か 「東京」 かでは, 「札幌」46%, 「東京」23%であった (注3) . 裏15 富沢のこと ば. 事 項. 年 疋 \\ 0 歳 6. 以 上. 50. 歳. 代. 40. 歳. 代. 20 ・ 30 歳. 代. 10. 代. 歳. 数字は人数, ( ) 内は%. I. 2 5. 4) ( 29,. 2, (2 6). 事 項 \\ 上. 50. 歳. 代. 40. 歳. 代. 20 ・ 30 歳 代. 10. 歳. 計. (6 2,5). 代. I I. 2. ( 3) 13, O. I. O. 4. 事項欄は, 1. 方 言. 2, 標準語. 3. どち らと もい えな い. を表わす。. 3. ( 15 8) , 3. ( 17 6) . 17. (2 0 2) ,. 数字は人数, ( ) 内は% 3 12. (8 0. 0) 12. ( 8 0, 0) 12. 16. (8 4. 2) 14. 4) ( 8 2, 9) (4,. (25 0) .. 48. (5 1) 7,. ( 80, 0). (5.3). 4. 10. (58 8) .. 2. (6.6). (2 0 0) ,. 14. ( 73, 7). 4. (2 3,5). 3. 10. 2. (10. 5). 衷16 北海道のこと ば. 6 0 歳 以. (4 0. 0). 2. ( 12. 5). 4. (2 3. 5). 6. 19. 計. 年 粍. 8. (4 7. 1). 6. 0, 0) (4. 3. 66. 5) (8 1.. 2. ( 13 3) , I. (6,6) 3. ( 0, 0) 2. 事項欄は, 1, 方 言. 2, 標準語. 3. どち らとも いえ な い. を表わす。. 2. 5) ( 10. 3. 7 (1 6) . 11. (1 3 6) ,. 29.

(17) . 小野米一・宮野輝男. 数字は人数, ( ) 内は%. 表12 標準語は札幌か 東京か \\ 事 .項 年 代 \\ 0 歳 以 上 6 50. 40. 歳. 歳. 代. 代. 10. 代. 計. 4. 4. (22 .2) O. 9. (52. 9) 7. 9) (3 8. 8. 3, 3) (5 5. (2 7, 8) 7. (4 1, 2) 20. (23 .5). 4. 3. 2. 3.5) (2. 代. 20 ・ 30 歳. 歳,. 1. 7. (38 .9) 6. ( 35 3) , 37. (4 3. 5). I. (5,9) 5. (27 8) , 3. ( 20 0) , 4. (2 2 2) . I. (5.9) 14. 5) (16,. 3. (1 7 6) , 2. ( 1) 11, 4. 7) (2 6 , 2. 事項欄は,. 1. 東 京 2. 札 幌. 3. 同 じ 4. わか らな い. を表わす。. (1 1, 1) 3. ( 17 6) . 14. (1 6 ,5). 7. 標準語教育のために 以上にとりあげた資料は, 一部のしかもアンケート調査による限られたものである. その限られ たなか で標準語教育のため のまとめをしてみよう. ① 北海道で広く使われていることばについては, 広く 定着しているもの, 消えていくもの, 若 い年代 で再び使われようとしているものなどそのことばの趨勢 をしっ かりみきわめる必要があ る.. 語桑面については, 全国共通語形が有勢 なものと有力方言形が有勢なものとがある. 有力方 言形が有勢なものについては, 全国共通語形を適確に指導していかなくてはならない. ③ 文法面は, ことばの実態に即 して, 標準語の文法を指導していくことが必要と思われる.. ②. 場面による使い分けは, 明確になされているものとそう ではないものとがある. また, 10歳 代の使い分け意識はそれほど高くはなかっ た. 使い分けがなされていないものの指導に力を入. ④. れる必要がある. ⑤ 以上のように, ことばの実態としては, 北海道方言の特色が随所にみられるが, ことばにつ いての意識は, 富沢のことばや北海道のことばが標準語に近いと考えられている. 標準語に対 する意識化から始めなくてはならないと思う. ⑥ 標準語教育の実践にあたっ ては慎重に, ゆっくり進めなければならない. 単純に, 方言から 標準語へと言いかえることができない語, 表現が多いからである. これを踏まえて, 視写・聴. 写等の書くこと, 音読・朗読等の読むことを重視し, さらに, 文型を意識化させて発言力・発 表力を身につけさせたい. ⑦ 子 どもたちは, 富沢あるいは北海道という限られた地域で生活している. 方言の中での生活. である. しかし, 今後, 生活範囲の広がりにともなって言語生活も広 げていかなくてはならな い. 言語表現をつくりあげていく生活 を大切にしたい. 共通語を求め, 理想としての標準語を. 30.

(18) . 標準語教育のための基礎的研究. 育てあげていきたい. 今回の調査・研究は, そのための基礎 的研究である .. 付. 記. 調査には, 富沢地区の皆様の快 い協力を得ること ができ 特に中村秀忠氏 , 特に中村秀忠 , 畠山松治郎氏に は多 大のご協力をいただいた. 記して御礼 申し上げたい 。. 本稿の概要は, 北海道教育大学旭川分校国語教育学会第8回研究発表会 (1981 11 29 。 . ,. 教育大学旭川分校) で口頭発表した. 今回, 大幅に書き改め た .. 北海 道. (注1)この種の調査 の必要性については, すでに「北海道の 僻地における言 語生活の実態 -- 道 南南茅部町調査の中間報告 --」 , 「同 (その2) --標準 語教育のために --」 で論じた. G主2) 入植当時の様子は, 地区の古老畠山松治郎氏の話によ る . (注3)「北海道におけ る標準語意識」 に詳論した .. 参考文献 0北海道方言研究会『共通語化の実態 -- 北海道増毛町における3地点全数調査 --』(北海道方言研究会叢書第 1巻)197 8年 0北海道方言研究会『松前のことば -- 北海道松前町における共通語化 --』(北海道方言研究会叢書第2巻)1 9 80. 年. 0北海道教育大学旭川分校国語学ゼミナール 『ことのは1 9号 -- 寿都町字矢追町言語調査報告 --』1 9 81年 o小野米一 「北海道の僻地における言語生活の実態 -- 道南南茅部町調査の中間報告 --」(僻地教育研究第33 号)1 97 9年 o小野米- 「北海道の僻地における言語生活の実態 (その2) -- 標準語教育のために --」(僻地教育研究第35 号)1 9 81年 o小野米一 「北海道における標準語意識」(国語教育研究第2 6号)1 980年 o北海道新聞社 『ほっかいどう語 -- その発生と変遷 --』19 70年 0旭川市 『旭川市史』(第七巻)1 97 3年 o富沢小学校開校六十周年記念協賛会 『開校六十周年記念誌』1 95 9年 o旭川市立富沢小学校 『開校8 0周年記念 とみさわ』1 97 8年 (本学助教授・旭川分校, 旭川市立富沢小学校教諭). 31.

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