• 検索結果がありません。

超高速衝突におけるCFRPの貫通限界

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "超高速衝突におけるCFRPの貫通限界"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

超高速衝突における CFRP の貫通限界

*1

Ballistic Limit of CFRP Plates

東 出 真 澄

*2

・永 尾 陽 典

*2

・木 部 勢 至 朗

*2

・Alessandro F

RANCESCONI*3

・Daniele P

AVARIN*3

Masumi H

IGASHIDE

, Yosuke N

AGAO,

Seishiro K

IBE

, Alessandro F

RANCESCONI

and Daniele P

AVARIN

Key Words: Space Debris, CFRP, Hypervelocity Impact, Ballistic Limit Equation

Abstract: JAXA has carried out the hypervelocity impact tests of carbon fiber reinforced plastic (CFRP) plates together with University of Padova. Quasi-isotropic CFRP plates of 2.3, 3.5, and 4.7 mm in thickness were tested. Aluminum sphere of 0.8 to 2.9 mm in diameter was used as projectiles. With a two-stage light gas gun, the projectile was launched with a velocity range of 2 to 5 km/sec in the normal direction to the CFRP plate. Since the perforated hole and the crater on the CFRP plate after the impact are filled with flakes of the carbon fiber, it is difficult to determine the perforation of the projectile. Therefore, whether the projectile perforated the CFRP plate or not was decided by the craters on a copper plate installed behind the CFRP plate. After the impact, peeling along the fiber direction was observed on the surface of the CFRP plate. Moreover, internal delamination was generated near the surface. Finally, a ballistic limit equation of CFRP plates of 2 to 5 mm in thickness was calculated on the basis of the Cour-Palais equation. The ballistic limit equation was in good agreement with the test results.

記 号 の 説 明 ρp: 飛翔体密度 [g/cm3] ρt: ターゲット密度 [g/cm3] Vp: 飛翔体衝突速度 [km/sec] Vn: 飛翔体衝突速度の ターゲット板厚方向成分 [km/sec] H: ターゲットのブリネル硬さ Cn: ターゲット板厚方向の音速 [km/sec] dp: 飛翔体直径 [mm] dc: 飛翔体の貫通限界直径 [mm] P: クレータ深さ [mm] t: ターゲット厚さ [mm] tc: ターゲットの貫通限界厚さ [mm] 1. は じ め に 宇宙に残された不要な人工物体、スペースデブリは人類 の宇宙進出にとって大きな脅威となりつつある.現在,約 1 万 2000 個のデブリの存在が観測で確認されている.観測 できない 1 cm 以下の微小なデブリに関しては 3,500 万個に も達すると言われている 1).軌道上からデブリを積極的に 除去する手段はまだ確立されておらず,その数は年々増え 続ける一方である.それに加え宇宙機の運用寿命は年々長 期化する傾向にあり,軌道滞在年数の増加と共に宇宙機へ のデブリ衝突リスクは高まっている.低高度軌道でのデブ リ周回速度は平均 7 km/sec で,宇宙機への衝突速度は平均 10 km/sec にも達する.微小なデブリでも宇宙機に致命的な 損傷を負わせることが十分可能であり,デブリ衝突は宇宙 機にとって無視することのできない問題である. 宇 宙 機 構 造 に 多 く 用 い ら れ る 材 料 の 一 つ に CFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastic)がある.CFRP は軽量・ 高剛性の点から,近年急速に宇宙機構造への適用範囲が拡 大されてきた.宇宙機構造において CFRP は太陽電池パネ ルやアンテナ,構体等の大型でかつ宇宙に露出される部分 に使用されることが多い.つまり,デブリ衝突確率が極め て高い部位に使用される材料と言える.しかし CFRP への 超高速衝突に関する研究は世界的に見てもほとんど発表さ れておらず,CFRP で作られた宇宙機構造にデブリ衝突が 起きた場合どのような現象が起こるか予測がつかない.そ こで JAXA では,イタリアのパドバ大学と共同で CFRP 板 への超高速衝突現象に関する研究を行っている 2~4).パド バ大学の所有する二段式軽ガス銃を用いて超高速衝突実験 を行い,JAXA で試験後の CFRP 板の損傷観察を行った. 構造のデブリ衝突に対する防護性能の評価法として最も 一般的であるのが「貫通限界曲線」である.例として,第 1 図にアルミ板(厚さ 5 mm)の貫通限界曲線を,後述する Cour-Palais の式から求めて示す.横軸はデブリ衝突速度, 縦軸はデブリの貫通限界直径を表している.この曲線より 下の領域に位置するデブリはこの構造に対し非貫通で,上 の領域に位置するデブリはこの構造を貫通することを示し ている.構造が耐え得るデブリ衝突のパラメータ(デブリ 衝突速度と貫通限界直径)を表すのが,貫通限界曲線であ る. 本研究の目的は,CFRP の貫通限界を得ることである. 現在いくつかのデブリ環境モデルが開発されている 5~7) これらデブリ環境モデルでは軌道ごとにデブリの個数,密 度,速度等のフラックスを算出することができる.つまり, *1 ©2009 日本航空宇宙学会 平成 21 年 2 月 3 日原稿受理 *2宇宙航空研究開発機構 (JAXA) *3

(2)

新規に宇宙機を設計する際に予定軌道が決定すれば,衝突 頻度の高いデブリの大きさと衝突速度は予測可能なのであ る.従って CFRP の貫通限界曲線を得ることができれば, 設計の段階で宇宙機の CFRP 構造がデブリ衝突に耐え得る かどうか判断することができるようになる.すなわち衝突 実験を行わずとも,CFRP で作られた宇宙機構造の耐デブ リ設計を簡単に行うことが可能になるため,貫通限界曲線 の意義は大きい. 2. 超高速衝突実験

厚さ 2.2 mm(16 ply),3.3 mm(24 ply),4.5 mm(32 ply) の CFRP 板へ超高速衝突実験を行った.CFRP には高強度 繊維/高靭性エポキシ樹脂である IM600/133 を用いた.す べての CFRP 板は一方向プリプレグを疑似等方性に積層し てある. CFRP が宇宙機構造に用いられる場合,特定の方 向を強化する特殊な積層構成が使用されるケースもあるが, 本研究では一般的な疑似等方積層を採用した.飛翔体加速 器にはパドバ大学の所有する二段式軽ガス銃を使用した. 二段式軽ガス銃の外観を第 2 図に示す.パドバ大学の二段 式軽ガス銃は火薬とダイヤフラムを一切用いない機構が大 きな特徴である8,9).高圧の軽ガスと高速バルブを使ってポ ンプチューブの動作を制御しており,ピストンを試験ごと に交換する必要がない.火薬の燃焼ガスによる汚染もない ので,40~50 分に一発程度のサイクルで実験を行うことが 可能である.飛翔体にはデブリの材質として最も多いと考 えられるアルミを採用した.直径 0.8~2.9 mm のアルミ球 を二段式軽ガス銃で速度 2~5 km/sec まで加速し,CFRP 板 に垂直衝突させた.CFRP 板への超高速衝突では,貫通穴 の有無で貫通・非貫通を判断することが難しい.後で示す が,貫通穴が破断した繊維で埋まってしまいクレータと区 別がつかない場合が多くあるからである.そこで CFRP 板 の後方に銅板を設置し,銅板に飛翔体(アルミ)による損 傷があるか否かで貫通・非貫通の判断を行った.チャンバ に設置されたターゲットを第 3 図に示す.CFRP 板と銅板 を支えるジグが,バネでチャンバ内に設置されている.実 験条件と貫通・非貫通の結果を第 1 表から第 3 表に示す. 全体として,貫通のデータ 37 個,非貫通のデータ 17 個を 得ることができた. 第 1 表 実験条件と結果(16 ply) 試験 ID Vp [km/sec] dp [mm] 結果 6392 4.96 1.5 貫通 6493 4.09 1.5 貫通 6496 3.79 2.3 非貫通 6507 1.93 0.8 貫通 6513 2.05 1.5 貫通 6516 2.06 2.3 貫通 6576 5.01 2.3 貫通 6588 4.56 0.8 貫通 6616 3.83 0.8 貫通 7216 4.01 2.9 貫通 7234 2.12 2.9 貫通 7240 2.13 1.9 貫通 7254 4.31 1.9 貫通 7515 4.58 2.9 貫通 8349 3.17 0.8 非貫通 8350 3.15 0.8 非貫通 8354 2.38 0.8 非貫通 8355 2.38 0.8 非貫通 第 1 図 アルミ板(厚さ 5 mm)の貫通限界曲線 第 2 図 パドバ大学の二段式軽ガス銃 Impact Direction 第 3 図 チャンバ内に設置されたターゲット Impact Direction

(3)

第 2 表 実験条件と結果(24 ply) 試験 ID Vp [km/sec] dp [mm] 結果 6487 3.97 0.8 非貫通 6490 4.19 1.5 貫通 6495 3.67 2.3 貫通 6505 1.96 0.8 非貫通 6510 1.99 1.5 非貫通 6515 1.81 2.3 貫通 6575 5.00 2.3 貫通 6587 4.83 0.8 貫通 6658 4.98 1.5 貫通 7203 4.90 1.9 貫通 7215 4.00 2.9 貫通 7233 2.29 2.9 貫通 7253 3.63 1.9 貫通 7514 4.69 2.9 貫通 8339 3.19 1.5 貫通 8343 2.34 1.5 非貫通 8352 3.79 0.8 非貫通 8360 4.93 0.8 非貫通 第 3 表 実験条件と結果(32 ply) 試験 ID Vp [km/sec] dp [mm] 結果 6385 5.02 1.5 貫通 6486 3.81 0.8 非貫通 6489 4.07 1.5 貫通 6494 4.07 2.3 貫通 6502 1.98 0.8 非貫通 6509 2.09 1.5 非貫通 6514 2.03 2.3 貫通 6574 5.02 2.3 貫通 6581 5.17 0.8 非貫通 7202 5.09 1.9 貫通 7214 3.88 2.9 貫通 7217 4.18 1.9 貫通 7223 2.19 2.9 貫通 7235 2.41 1.9 非貫通 7513 4.85 2.9 貫通 8336 3.92 1.5 貫通 8337 3.19 1.5 貫通 8342 2.29 1.5 非貫通 飛翔体が CFRP 板を貫通した結果例を第 4 図から第 6 図 に示す.CFRP 板表面(左図・飛翔体侵入側)には最表層 の繊維方向に沿って貫通穴より広い剥離が観察された. CFRP 板裏面(右図・銅板設置側)も同様に,最裏層の繊 維方向に沿って広い剥離が生じている.また,貫通穴はき れいな円形にはならなかった.第 6 図のように内層から飛 び出した繊維で貫通穴が埋まってしまい,クレータと判別 がつかないケースも多くあった.次に,非貫通の結果例を 第 7 図から第 9 図に示す.CFRP 板表面は貫通の結果の場 合と同様に,繊維方向に沿った広い剥離が観察された.飛 翔体のパラメータが貫通限界から遠い場合は,第 7 図や第 9 図のように裏面に小さい亀裂が観察された.亀裂はすべ て繊維方向に沿って生じていた.飛翔体のパラメータが貫 通限界に近い場合,第 8 図のように,裏面に貫通の場合と 同様の,広範囲にわたる剥離が観察された.この時,クレ ータの底に相当する部分も大きく損傷した. 繊維方向に沿った剥離や亀裂は,衝突で生じた応力波が 自由表面に達した時にできた損傷と考えられる.衝突で生 じた圧縮波が裏面に達すると,自由表面で引張波になる. CFRP は繊維方向の強度に比べ,繊維に垂直方向の強度が 極端に低い.今回使用した IM600/133 は,繊維方向の引張 強度は 2.7 GPa だが,繊維垂直方向の引張強度は 0.06 GPa しかない.よって表面,裏面の最外層が引張の応力を受け ると層間剥離が生じると考えられる.同時に,最外層の面 内では一方向に並んだ繊維同士が剥がれる.このように, 繊維方向に沿った剥離と亀裂が進み,観察された損傷が生 じたと考えられる.超音波で CFRP 板の内層を検査すると, 第 10 図に示すように広範囲の層間剝離が存在しているこ とがわかった.この層間剥離は,貫通・非貫通のどちらの ケースでも表面付近と裏面付近にそれぞれ生じており,応 力波が自由表面に達した時に外層の剥離が生じるという考 察を裏付ける結果が得られた. Front Back 5 mm 5 mm 第 4 図 16 ply,貫通の結果 (Vp = 5.01 km/sec,dp = 2.3 mm) Front Back 5 mm 5 mm 第 5 図 24 ply,貫通の結果 (Vp = 4.69 km/sec,dp = 2.9 mm) 第 6 図 32 ply,貫通の結果 (Vp = 4.07 km/sec,dp = 1.5 mm) Front Back 5 mm 5 mm

(4)

3. 貫 通 限 界 曲 線 今までに開発されてきた貫通限界式のうち,代表的な式 の一つが以下に示す Cour-Palais の式である10,11).この式は 飛翔体が厚板に衝突した場合のクレータ深さを元に作製さ れている.クレータ深さをターゲット厚さに補正すること で,貫通限界を算出している.導出手順を以下に示す. 衝突面に対してターゲットの厚さが無限にあると仮定で きる時,クレータ深さは以下の実験式で表される. 5 . 1 < t p ρ ρ のとき 3 2 2 4 1 18 19 24 . 5 ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ = − n n t p C V H d P 1 ρ ρ (1) 5 . 1 ≥ t p ρ ρ のとき 3 2 3 2 4 1 18 19 24 . 5 ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ = − n n t p C V H d P ρ ρ (2) 飛翔体がターゲットを貫通する場合,クレータ深さ P と貫 通限界のターゲット厚さ tcとは以下の関係にある. P tc=1.8 (3) 式(3)に式(1),(2)を代入して dcについて解くと,式(4),(5) を得る. 5 . 1 < t p ρ ρ のとき 19 18 3 2 2 4 1 11 . 0 ⎪ ⎭ ⎪ ⎬ ⎫ ⎪ ⎩ ⎪ ⎨ ⎧ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ = − − n n t p c C V H t d 1 ρ ρ (4) 5 . 1 ≥ t p ρ ρ のとき 19 18 3 2 3 2 4 1 11 . 0 ⎪ ⎭ ⎪ ⎬ ⎫ ⎪ ⎩ ⎪ ⎨ ⎧ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ = − − n n t p c C V H t d ρ ρ (5) 第 1 図では,飛翔体,ターゲット共にアルミを想定し,式 (4)を使用した.Cour-Palais の式は様々な材料に適用できる ように作成されているが,CFRP のような異方性材料は含 まれていない.そこで本研究では,この Cour-Palais の式を 基礎として CFRP 板の貫通限界式を求めることにする. Cour-Palais の式と同じように貫通限界式を作成していくた めにはクレータ深さを計測する必要がある.しかし前述の ように,CFRP 板に生じるクレータは,破断した繊維で埋 まっていたり内層から繊維が飛び出したりしており,深さ を計測することは困難である.よって Cour-Palais の貫通限 Front Back 5 mm 5 mm 第 7 図 16 ply,非貫通の結果 (Vp = 2.38 km/sec,dp = 0.8 mm) Front Back 5 mm 5 mm 第 8 図 24 ply,非貫通の結果 (Vp = 2.34 km/sec,dp = 1.5 mm) 第 9 図 32 ply,非貫通の結果 (Vp = 2.09 km/sec,dp = 1.5 mm) Front Back 5 mm 5 mm 第 10 図 超音波探傷による内部損傷観察 (24 ply,Vp = 4.93 km/sec,dp = 0.8 mm) 5 mm 5 mm

(5)

界直径の式に実験データを回帰させて,CFRP 板の貫通限 界式を導出することにする. 実験では飛翔体にアルミ(ρp = 2.7 g/cm3),ターゲット に CFRP(ρt = 1.5 g/cm3)を使用したのでρpt = 1.8 となる. そこで式(5)を利用する.ターゲットの材質は変化させず, 板厚のみをパラメータとしたので,ブリネル硬さと密度比 は定数として表すことができる.すると,CFRP の貫通限 界式は定数αを用いて以下のように仮定できる. 19 18 3 2 ⎪ ⎭ ⎪ ⎬ ⎫ ⎪ ⎩ ⎪ ⎨ ⎧ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ × = − n p c C V t d α (6) 本研究では垂直衝突試験のみを考えているので,Vn = Vpと 置き換えた. 式(6)のαを実験データから最小二乗法で算出した結果, 以下の式を得た. 19 18 3 2 39 . 0 ⎪ ⎭ ⎪ ⎬ ⎫ ⎪ ⎩ ⎪ ⎨ ⎧ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ × = − n p c C V t d (7) また,貫通限界式を簡略化するために式(6)の 18/19 を 1 と 近似し,式(7)と同手順で以下の式を得た. 3 2 38 . 0 − ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ × = n p c C V t d (8) 実験結果と式(7),(8)を比較したグラフを第 11 図から第 13 図に示す.黒丸が貫通,白丸が非貫通の実験結果を表して いる.仮定した式と実験の貫通・非貫通結果はほとんど一 致しており,CFRP 板の貫通限界式として使用できる式を 得ることができた.貫通・非貫通の実験結果が貫通限界式 と逆転してしまった点は,式(7),(8)共に 3 点ずつあった. 貫通・非貫通が逆転した 3 点の飛翔体直径(実験値)と, 貫通限界式で算出された dcの差を比較した.両式共に誤差 の最大値は 0.17 mm で,誤差範囲は等しい値を示した.よ って 18/19 を 1 と仮定しても問題はないことがわかり,よ り簡略化された貫通限界式を得ることができた. 4. ま と め CFRP 板にアルミ球を超高速衝突させて,損傷の観察を 行った.また Cour-Palais の式を元にして,実験データから CFRP 板の貫通限界式を算出した.本研究で得られた知見 を以下に示す. ・ 超高速衝突後の CFRP 板の表面には,最表層に広範囲 にわたる剥離が観察された.剥離は最表層の繊維方向 に沿って生じた. ・ CFRP 板の裏面には,飛翔体貫通の場合,表面と同様の 剥離が観察された.非貫通の場合も繊維方向に沿った 亀裂や剥離が発生した. ・ 衝突で生じた貫通穴・クレータから,破断した繊維や 内層から飛び出した繊維束が観察された. ・ CFRP 板の表面,裏面付近には,それぞれ大きな内部損 傷が発生していた. ・ Cour-Palais の式を利用して求めた CFRP 板の貫通限界 式は,実験結果とほとんど一致した.更に簡略化した 式(8)も実験結果と良い一致を示した. ・ 厚さ 2.2~4.5 mm の CFRP 板(疑似等方積層)に対し, 速度 2~5 km/sec,直径 0.8~2.9 mm のアルミ球が垂直 衝突する時の貫通限界式を得ることができた. 第 11 図 CFRP 板(16 ply)の実験結果と貫通限界曲線 第 12 図 CFRP 板(24 ply)の実験結果と貫通限界曲線 第 13 図 CFRP 板(32 ply)の実験結果と貫通限界曲線

(6)

本研究では垂直衝突のみに注目したが,実際のデブリ衝 突は角度を持っている場合が多い.宇宙機構造の耐デブリ 設計に使用できる貫通限界式を作るため,今後は斜め衝突 実験も行っていく予定である.また試験数を増やし,提案 する式の精度と適用できる速度範囲の拡大に努める必要が ある. 参 考 文 献

1) The National Science and Technology Council: Interagency Report on Orbital Debris 1995, Committee on Transportation Research and Development, 1995. 2) 永尾陽典, 木部勢至朗, 醍醐加奈子, 原彩水: 炭素繊維複合材料へ の超高速衝突による損傷領域と残存強度について, 日本複合材料 学会誌, 35(2009), pp. 15-26. 3) 原彩水, 永尾陽典, 木部勢至朗, 新井和吉: 超高速および低速衝撃 による複合材料の損傷特性, 第 50 回宇宙科学技術連合講演会講演 集, 2006, pp. 620-623.

4) Daigo, K., Nagao, Y., Kibe, S. and Francesconi, A. : Hypervelocity Impact Studies on Composite Material, Proceedings of the 55th IAC, 2004.

5) 鳴海智博, 花田俊也, 河本聡美: 地球低軌道スペースデブリ環境に おける推移モデル, 宇宙技術, 7(2008), pp. 11-17.

6) Liou, J. C., Matney, M. J., Anz-Meador, P. D., Kessler, D., Jansen, M. and Theall, J. R. : The New NASA Orbital Debris Engineering Model ORDEM2000, NASA TP 210780, 2002.

7) Osward, M., Stabroth, S., Wegener, P., Wiedemann, C., Martin, C. and Klinkrad, H. : Upgrade of the MASTER Model, Final Report of ESA Contract 18014/03/D/HK(SC), 2006.

8) Pavarin, D., Francesconi, A., Niero, F. and Angrilli, F. : Active Piston Technique to Optimize the Chamber Pressure in Two-Stage Light-Gas Guns, Int. J. Impact Eng., 33(2006), pp. 562-604.

9) Pavarin, D. and Francesconi, A. : Improvement of the CISAS High-Shot-Frequency Light-Gas Gun, Int. J. Impact Eng., 29(2003), pp. 549-562.

10) Cour-Palais, B. G. : Hypervelocity Impact Investigations and Meteoroid Shielding Experience Related to Apollo and Skylab, NASA CP 2360, 1985, pp. 247-275.

11) Cour-Palais, B. G. : Hypervelocity Impact in Metals, Glass and Composites, Int. J. Impact Eng., 5(1987), pp. 221-237.

参照

関連したドキュメント

In this work we apply the theory of disconjugate or non-oscillatory three- , four-, and n-term linear recurrence relations on the real line to equivalent problems in number

Thus, in Section 5, we show in Theorem 5.1 that, in case of even dimension d &gt; 2 of a quadric the bundle of endomorphisms of each indecomposable component of the Swan bundle

Projection of Differential Algebras and Elimination As was indicated in 5.23, Proposition 5.22 ensures that if we know how to resolve simple basic objects, then a sequence of

She reviews the status of a number of interrelated problems on diameters of graphs, including: (i) degree/diameter problem, (ii) order/degree problem, (iii) given n, D, D 0 ,

We show that a discrete fixed point theorem of Eilenberg is equivalent to the restriction of the contraction principle to the class of non-Archimedean bounded metric spaces.. We

В данной работе приводится алгоритм решения обратной динамической задачи сейсмики в частотной области для горизонтально-слоистой среды

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

We present sufficient conditions for the existence of solutions to Neu- mann and periodic boundary-value problems for some class of quasilinear ordinary differential equations.. We