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金融発展と国際送金の貧困削減効果に関する実証分析

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(1)

金融発展と国際送金の貧困削減効果に関する実証分

著者

井上 武

雑誌名

国際学研究

6

3

ページ

75-82

発行年

2017-03-30

URL

http://hdl.handle.net/10236/00025642

(2)

1.は じ め に

多くの先行研究はこれまで金融発展の経済成長 に対する役割を明らかにしてきた。例えば、King and Levine(1993)、Demirgüç­Kunt and Maksi­ movic(1998)、Beck, Levine, and Loayza(2000)、 Levine, Loayza, and Beck(2000)、Christopoulos and Tsionas(2004)、Luintel et al.(2008)は、高 い水準の金融発展がより急速な経済成長と統計的 に有意に、そして頑健的に相関することを指摘し ている。このような金融発展と経済成長の間の緊 密な関係を前提に、金融仲介機能の発展と発展途 上国における貧困状況についての分析が近年行わ れるようになっている。分析の結果、関連する多 くの実証分析は金融発展が直接的に、そして経済 成長を通じて間接的に貧困削減に貢献することを 明 ら か に し て い る(例 え ば、Honohan, 2004 ; Jalilian and Kirkpatrick, 2005 ; Beck, Demirgüç­ Kunt, and Levine, 2007 ; Jeanneney and Kpodar, 2008 ; Quartey, 2008 ; Odhiambo, 2009 a, 2009 b ; Inoue and Hamori, 2012)。

金融発展による貯蓄動員を通じた国内の資金ソ ースに加えて、途上国は貧困削減を実現する重要 な資金ソースとして外国からの資金流入を利用し ている。こうした資金ソースのなかでも家族間で 受け渡しされる利他的な国際送金は、直接投資や 開発援助に比べて特に貧困削減効果が高いと考え られている。すなわち、国際送金は受取家計にと って追加的な所得となり、これは受取家計の消費 拡大を可能にし、生活水準を改善することにつな

井上

Financial Development, International Remittances, and Poverty Reduction

Takeshi INOUE

要旨:金融発展と国際送金は発展途上国の貧困緩和にどのように影響を及ぼし合うであろ うか?マクロデータを用いた実証分析の結果、国際送金と金融発展は相互補完的に途上国 の貧困削減に貢献していることが明らかになった。

Abstract :

We investigate the link between financial development and international remittances by con­ sidering their combined effect on poverty conditions in developing countries. Specifically, we es­ timate models in which the poverty headcount ratio is explained by financial development, remit­ tances, and their interaction term, as well as other standard control variables. By applying the general method of moments to panel data from 120 developing countries over 1980­2013, we find that financial development and remittance inflows help to ameliorate poverty conditions in developing countries. In addition, we find that financial development and remittances comple­ ment each other in the poverty­alleviation process.

キーワード:金融発展、国際送金、貧困削減

──────────────────────────────────────────── *

神戸大学大学院国際協力研究科准教授

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がる。また、受取家計は送金の一部を貯蓄に回 し、これがフォーマルな金融機関を仲介すること で、送金が受取国の金融発展につながることも考 えられる。 こうした先行研究の結果を踏まえて、本稿では 金融発展と国際送金が途上国における貧困状況に 対してどのような関係を持って影響を及ぼし得る かについて実証的な分析を行う。換言すると、送 金受取国の金融発展の水準が国際送金の貧困削減 効果を変化させ得るかについて検証する。具体的 には、途上国のパネルデータを用いて、貧困指標 が金融発展、国際送金、そしてその交差項によっ て説明されるモデルを推定する。推定の結果、貧 困指標に対して金融発展と国際送金の係数がマイ ナス、そして国際送金と金融発展の交差項の係数 はプラスの符号を持つ場合、国際送金と金融発展 の間には代替的な関係が見られることになる。す なわち、国際送金の貧困削減効果は金融がより発 展していない国でより大きくなる。他方、貧困指 標に対して金融発展と国際送金の係数がマイナ ス、そして国際送金と金融発展の交差項の係数も マイナスの符号を持つ場合、国際送金と金融発展 の間には補完的な関係が見られることになる。こ の場合、国際送金と金融発展は貧困削減に対して 相乗効果を持つことになり、これは新たな貧困削 減戦略の展開を示すことになるだろう 本稿の構成は以下のとおりである。2 節では関 連する先行研究をサーベイする。3 節ではモデル を提示し、データの定義と出所を明らかにする。 4 節では分析結果を示し、5 節で結論を述べる。

2.先行研究の概要

初めに、国際送金と金融発展に関する先行研究 は次の 2 つのグループに分けることができる。第 一のグループは、国際送金の金融発展に対する効 果 を 検 証 す る 分 析 で あ り、例 え ば、Martínez Pería, Mascaró, and Moizeszowicz(2008)、Gupta, Pattillo, and Wagh(2009)、Aggarwal, Demirgüç­ Kunt, and Martínez Pería ( 2011 )、 Chowdhury (2011)、Demirgüç­Kunt et al.(2011)、Ajilore and Ikhide(2012)、 Cooray(2012 a)、Brown, Car­ mignani, and Fayad(2013)、そして Ojapinwa and

Bashorun(2014)などがある。こうした研究は、 分析手法という点ではそれぞれ異なっているもの の、いずれも金融発展の程度を貨幣総量、銀行資 産、もしくは銀行貸付・信用の GDP 比で計測し ている。分析の結果、Brown et al.(2013)を除く すべての研究は、国際送金の流入は途上国の金融 発展の促進に貢献することを示している。このた め、送金受取家計の消費を上回る国際送金が銀行 に預けられ、これは銀行を通じて貸付可能な資金 供給を増やすことで金融発展につながっていると 考えられる。 金融発展と国際送金に関する先行研究の第二の グループは、経済成長を促進する上での国際送金 と金融発展の関係を分析している。こうした研究 では、国際送金は成長プロセスにおいて金融発展 を代替するもの、もしくは補完するものと見なさ れる。「代替性」仮説では、国際送金は受取家計 による流動性制約の克服を助けることで、十分で はない、もしくは存在しない信用市場を補うこと が 想 定 さ れ て い る(Bettin and Zazzaro, 2011, p.510)。この仮説では、送金受取国の金融部門が 拡大するほど、送金の成長効果は逓減することに なる。他方、「補完性」仮説は、発展した金融シ ステムが取引コストの引き下げを通じて国際送金 を生産的な活動に向け、その結果、送金受取国の 経済成長を促進することを想定している。幾つか の実証研究は代替性仮説を支持し て い る 一 方 (Calderón, Fajnzylber, and López, 2008 ; Giuliano and Ruiz­Arranz, 2009 ; Ramirez and Sharma, 2009 ; Bettin and Zazzaro, 2011 ; Ramirez, 2013)、 そ の 他 の 分 析 は 補 完 性 仮 説 を 支 持 し て い る (Mundaca, 2009 ; Cooray, 2012 b ; Nyamongo et al., 2012 ; Lartey, 2013 ; Abida and Sghaier, 2014)。このため、経済成長に対する国際送金と 金融発展の相互効果は計量的に一致した結論には 至っていない。

次に、送金の貧困削減効果に関する主な実証分 析としては、Adams and Page(2005)、Gupta et al. ( 2009 )、 Vargas­Silva, Jha, and Sugiyarto (2009)などがある。こうした研究はいずれもパ ネルデータを用いて、幾つかの関連する変数をコ ントロールした上で、被説明変数である貧困指標 関西学院大学国際学研究 Vol.6 No.3

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を国際送金で説明するモデルを推定しており、送 金流入は少なくとも貧困の深刻さの緩和に貢献す ることを指摘している。すなわち、Adams and Page(2005)は、途上国地域では出稼ぎ労働者の 人口割合は貧困率と貧困ギャップに対してマイナ スで有意になり、1 人当たり国際送金は貧困率、 貧困ギャップ比率、2 乗貧困ギャップ比率に対し てマイナスの有意な効果を持つことを明らかにし ている。Gupta et al.(2009)は、サブ・サハラア フリカでは貧困率及び貧困ギャップ比率と流入す る国際送金の間にマイナスの相関を検出し、被説 明変数として 2 乗貧困ギャップ比率の場合を除い て、この結果は常に統計的に有意となることを指 摘している。また、Vargas­Silva et al.(2009)は、 アジアの途上国では国際送金は貧困率に対しては 有意な効果を持たないが、貧困ギャップ比率に対 してはマイナスの有意な効果を持つことを明らか にしている。 以上のように、先行研究では国際送金の金融発 展に対する効果やその関係性、そして国際送金の 貧困削減に対する効果についての分析を通じて、 送金は総じて金融発展を促進し、貧困緩和に貢献 することを示唆している。本稿では、関連する先 行研究の分析結果を踏まえて、国際送金と金融発 展の相互関係が貧困削減にどのような効果を持ち 得るかについて分析を行う。

3.モデルとデータ

本研究で用いる推定モデルは次のように特定さ れる。 *)-/#0$"*)-/#0!"#!/!#!/"+#'/#0#!/#$"/#0 #!/$+#'/#0"$"/#0#!/%./#0#1/#1 (1) こ こ で、*)-/#0は/国 の 0時 点 で の 貧 困 率、 +#'/#0は/国の 0時点での国際送金の流入額、 $"/#0は/国 の 0時 点 で の 金 融 発 展 の 水 準、 +#'/#0"$"/#0は/国の 0時点での国際送金と金 融発展の交差項、./#0は/国の 0時点でのコント ロール変数、そして1/#1は/国の 0時点での誤差 項を示している。 (1)式の被説明変数である貧困率(*)-)は 1 人当たり 1 日 1.25 ドル(2005 年時点の購買力平 価価格)未満で生活する貧困層の人口に占める割 合 を 示 し て い る。こ の デ ー タ は World Bank (2014)の World Development Indicators(WDI)

より入手した。より高い貧困率はより貧困状況が 悪化していることを示している。 本研究において最も重要な説明変数は、国際送 金(+#')、金融発展($")、そしてその交差項 (+#' "$")である。国際送金は送金額の GDP 比、そして金融発展は民間部門向け国内銀行信用 の GDP 比として定義されている。国際送金と金 融発展の交差項は貧困状況に対して国際送金が影 響を与える際の金融発展の重要度を示している。 以上の変数のデータも WDI より入手した。 金融発展は貧困層の生産的な資産や生産性を高 めて彼らの信用制約を緩和することで貧困削減に 貢献すると考えられている(World Bank, 2001 ; Jalilian and Kirkpatrick, 2002)。また、出稼ぎ労働 者からの国際送金の拡大は本国に残した家族への 仕送りを通じて彼らの生活水準の向上につながる と考えられる。このため、(1)式の国際送金と金 融発展の係数はいずれもマイナスになると予想さ れる。また、貧困指標に対する金融発展の変化の 限 界 効 果 は%*)-$%$" $!##!$"+#' と な る。金融発展と国際送金が貧困指標に対してマイ ナスの符号を持つことを前提にすると、マイナス の符号を持つ交差項は国際送金が貧困削減プロセ スにおいて金融発展を補完することを示してい る。この場合、国際送金と金融発展は途上国の貧 困緩和に対して相乗効果を持つことになる。他 方、交差項がプラスの符号を持つ場合、国際送金 は貧困削減プロセスにおいて金融発展を代替する ことになる。この場合、国際送金の貧困緩和効果 は金融システムが発展していない国でより大きく なる。交差項の符号は先験的に決めることができ ないため、(1)式の推定を通じて明らかにする。 (1)式のその他の説明変数については、経済成 長(%"*)、教育水準(,!&)、そして対外開放 度()*#()をコントロールしている。このうち 経済成長は貧困緩和を説明する最も強力な説明変 数 の 一 つ と 考 え ら れ て い る。Dollar and Kraay (2002)や Jalilian and Kirkpatrick(2005)に基づ ― 77 ―

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き、より高い経済成長は貧困層の生活水準の改善 につながると考え、(1)式の経済成長の係数はマ イナスになると予想する。 教育水準は初等教育就学率で計測している。教 育水準の上昇により、労働者はより多くの知識と スキルを身につけることができ、これにより高い 付加価値を生む経済部門で働く機会が高まり、そ の結果、生活水準が向上すると考えられる。この ため、(1)式の教育水準の係数はマイナスになる と予想される。 最後に、対外開放度は輸出入の GDP 比で計測 している。これまで多くの研究は経済の対外開放 が途上国の貧困層にどのような影響を与えるかに ついて 分 析 を 行 っ て い る。例 え ば、Dollar and Kraay(2004)は複数国のサンプルにおいて貿易 統合で測られた経済開放度は貧困を緩和すること を観察している。しかし、幾つかの研究は貿易開 放が実際に貧困削減に貢献することを疑問視して い る(Mold, 2004 ; Wade, 2004 ; Milanovic, 2005)。理論・実証の双方で先行研究は経済開放 の貧困削減効果について一致した結論には至って いないため、ここでも経済開放の符号について先 験的に予想しない。 (1)式の推定に際しては 1980 年から 2013 年ま での途上国 120 ヶ国のアンバランスなパネルデー タを用いている。サンプルは 5 年ごとの平均値を 取っており、2010 年から 2013 年のみ 4 年間の平 均を取っている。その結果、サンプル数はモデル に応じて 184 から 214 となっている。表 1 は変数 の定義をまとめており、表 2 は記述統計を示して いる。また、付表 1 はサンプル対象国を挙げてい る。

4.分 析 結 果

(1)式の推定に際しては、一般化モーメント法 (GMM)を用いている。これは推定モデルの説明 変数にラグ付き被説明変数を含んでいるため、説 明変数の潜在的な内生性に対処していることによ る。 表 3 は推定結果を示している。この表ではモデ ルに含まれる説明変数に応じて 8 つのケースに分 けて推定結果を表示している。ケース 1 とケース 2 では金融発展と国際送金をそれぞれ説明変数と して用いている。ケース 3 では金融発展と国際送 金の双方が説明変数としてモデルに含まれてお り、ケース 4 ではケース 3 に金融発展と国際送金 の交差項を追加している。ケース 5 からケース 7 ではその他の説明変数として経済成長、教育水 準、もしくは対外開放をそれぞれコントロールし ている。そして、ケース 8 ではそれまでのすべて の説明変数を同時に用いている。 主要な分析結果は以下のようになった。第一 に、金融発展の係数はすべてのケースでマイナス の符号を持ち、統計的に有意になった。次に、国 際送金の係数もすべてのケースでマイナスの符号 を持ち、統計的に有意になった。このため、より 発展した金融システムと国際送金の流入拡大は途 上国の貧困状況を改善することが確認された。こ の結果は本稿で概観した関連する多くの先行研究 とも一致している。 さらに、金融発展と国際送金の交差項はすべて のケースでマイナスの符号を持ち、統計的に有意 になった。金融発展と国際送金の貧困削減効果を 前提にすると、この交差項の結果は金融発展と国 際送金が貧困削減プロセスにおいて互いに補完し ていることを示唆している。換言すると、金融発 表 1 変数の定義 変数 定義 POV 1 人当たり 1 日 1.25 ドル(2005 年時点の購 買力平価価格)未満で生活する人々の人口全 体に占める割合(%) FD 民間部門向け国内銀行信用の GDP 比の対数 REM 送金額の GDP 比の対数 GDP 1 人当たり実質 GDP の対数差分 SCL 初等学校入学率(%) OPEN 財・サービスの輸出入額の GDP 比(%) 表 2 記述統計量 変数 平均 標準偏差 最大 最小 POV FD REM GDP SCL OPEN 23.046 −1.484 −4.258 0.103 100.712 77.513 23.943 0.831 1.759 0.158 18.067 37.730 87.720 0.392 −0.131 0.828 148.534 226.871 0.000 −3.956 −10.869 −0.592 28.220 13.043 関西学院大学国際学研究 Vol.6 No.3 ― 78 ―

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展と国際送金は途上国の貧困削減に対して相乗効 果を持っていると考えられる。 コントロール変数に関しては、表 3 より、経済 成長と教育水準の係数はいずれもマイナスの符号 を持ち、統計的に有意であることが分かった。こ のため、1 人当たり所得の増加と教育水準の向上 は貧困削減に貢献していると考えられる。他方、 対外開放はケース 7 では貧困率に対してプラスの 符号を持ち、ケース 8 では貧困率に対してマイナ スの符号を持っており、その効果は一様ではな い。但し、いずれのケースも統計的に有意ではな いため、本研究では貧困層に対する対外開放の効 果は定量的に明らかにすることはできなかった。 最後に、表 3 はケースごとの過剰識別に関する J 統計量を報告している。この結果より、「過剰 識別制約を満たす」という帰無仮説は 5% 水準で 棄却されないことから、モデルの特定化はいずれ も支持されていることが分かる。

5.結

本稿は関連する先行研究の結果を踏まえて、金 融発展、国際送金、そして貧困削減の関係につい て分析を行った。先行研究は金融発展が貧困削減 に貢献し、国際送金が貧困削減に貢献し、そして 国際送金が金融発展を促進することを明らかにし ている。そこで本研究では国際送金の貧困削減効 果が送金受取国の金融発展の程度により影響を受 けるかどうか、そして影響を受ける場合、どのよ うな影響を受けるかについて分析を行った。 この問題を明らかにするために、我々は貧困指 標が金融発展、国際送金、これらの交差項、そし てその他のコントロール変数で説明されるモデル を推定した。1980 年から 2013 年までの 途 上 国 120 ヶ国のパネルデータを用いて、GMM でモデ ルを推定した結果、次のことが明らかになった。 第一に、金融発展と国際送金はいずれも途上国の 貧困状況の緩和に有益であることが分かった。こ 表 3 分析結果 ケース 1 ケース 2 ケース 3 ケース 4 ケース 5 ケース 6 ケース 7 ケース 8 POV(−1) 0.930 (0.000)*** 0.886 (0.000)*** 0.701 (0.000)*** 0.494 (0.000)*** 0.520 (0.000)*** 0.701 (0.000)*** 0.503 (0.001)*** 0.646 (0.000)*** FD −5.556 (0.068)* −8.042 (0.009)*** −35.741 (0.000)*** −30.788 (0.000)*** −20.383 (0.040)** −34.857 (0.004)*** −25.928 (0.007)*** REM −6.093 (0.000)*** −4.672 (0.000)*** −13.635 (0.000)*** −11.279 (0.000)*** −9.794 (0.000)*** −13.292 (0.000)*** −11.792 (0.000)*** FD*REM −6.266 (0.001)*** −5.441 (0.004)*** −4.108 (0.042)** −6.100 (0.005)*** −5.000 (0.011)** GDP −24.001 (0.032)** −3.325 (0.771) SCL −0.294 (0.000)*** −0.340 (0.001)*** OPEN −0.002 (0.986) 0.097 (0.379) J 統計量 16.418 (0.227) 10.720 (0.634) 8.577 (0.738) 5.966 (0.875) 6.647 (0.758) 3.901 (0.951) 6.433 (0.777) 2.717 (0.950) サンプル数 214 204 199 199 194 189 199 184 注 1)括弧内の数値は p 値を示している。 注 2)POV は貧困率、FD は民間部門向け国内銀行信用の GDP 比の対数、REM は送金額の GDP 比の対数、GDP は 1 人当たり実質 GDP の対数差分、SCL は初等学校入学率、そして OPEN は財・サービスの輸出入額の GDP 比をそれぞれ示している。 注 3)*、**、***は 10%、5%、1% で統計的に有意であることをそれぞれ示している。 ― 79 ―

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の結果は多くの関連する先行研究と一致してい る。第二に、国際送金と金融発展の交差項はマイ ナスの有意な符号を持っている。第一の結果と合 わせて考えることで、交差項の結果は国際送金と 金融発展が貧困削減において相乗効果を持ってい ることを示唆している。これは先行研究では明ら かにされていない新たな結果である。第三に、コ ントロール変数に関して、経済成長と教育水準は 途上国の貧困削減に対して効果的であるが、貿易 統合を通じた対外開放の貧困層に対する影響は明 らかにはならなかった。 金融発展と国際送金が貧困層の生活水準の改善 に関して互いに相殺せず、むしろ相互補完的な役 割を持っているという結果は、途上国に対して幾 つかの政策的含意を持っている。その一つは、国 際送金が国内の金融仲介を発展させるという先行 研究の結果と本研究の結果を考え合わせること で、途上国政府は送金手数料の引き下げや送金受 入国での金融機関の利便性向上などを通じて、国 際送金の流入拡大を梃に、一層の金融発展を図る ことができるということである。また、国内の金 融発展が遅れている途上国は、国際送金の流入を 拡大させることで、そして国際送金の流入が十分 拡大している途上国は金融発展を進めることで、 国内の貧困削減を一層促進することができるもの と考えられる。 本稿では金融発展を担う仲介機関として、フォ ーマルな金融機関の代表である商業銀行に焦点を 当てた。しかし、途上国の金融発展を支える金融 仲介機関は多様化が進んでおり、様々な金融機関 がフォーマル・セミフォーマルな金融サービスを 提供している。このため、今後、マイクロファイ ナンス機関などの商業銀行以外の金融機関が国際 送金を活用することで途上国の貧困解消に貢献し 得るかについて研究を進めることが重要な課題に なると考えられる。 参考文献

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付表 1 サンプル対象国 分析対象国は以下のとおりである。 アルバニア、アルジェリア、アンゴラ、アルゼンチン、アルメニア、アゼルバイジャン、バングラデシ ュ、ベラルーシ、ベリーズ、ベニン、ブータン、ボリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ボツワナ、ブラ ジル、ブルガリア、ブルキナファソ、ブルンディ、カーポベルデ、カンボジア、カメルーン、中央アフリ カ、チャド、中国、コロンビア、コモロ、コスタリカ、コートジボワール、クロアチア、コンゴ民主共和 国、コンゴ共和国、ジブチ、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、エチオピア、フ ィジー、ガボン、ガンビア、グルジア、ガーナ、グアテマラ、ギニア、ギニアビサウ、ガイアナ、ハイ チ、ホンデュラス、ハンガリー、インド、インドネシア、イラン、イラク、ジャマイカ、ヨルダン、カザ フスタン、ケニア、キルギス共和国、ラオス、ラトビア、レソト、リベリア、リトアニア、マケドニア、 マダガスカル、マラウイ、マレーシア、モルジブ、マリ、モーリタニア、モーリシャス、メキシコ、ミク ロネシア、モルドバ、モンテネグロ、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ネパール、ニカラグア、ニジ ェール、パキスタン、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、ルーマニア、ロシア、ルワン ダ、サントメプリンシペ、セネガル、セルビア、セイシェル、シエラレオネ、南アフリカ、スリランカ、 セントルシア、スーダン、スリナム、スワジランド、シリア、タジキスタン、タンザニア、タイ、フィリ ピン、ティモールレステ、トーゴ、トリニダートトバゴ、チュニジア、トルコ、トルクメニスタン、ウガ ンダ、ウクライナ、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナム、パレスチナ、イエメン、ザンビア 関西学院大学国際学研究 Vol.6 No.3 ― 82 ―

参照

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