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インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム参加報告

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Academic year: 2021

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1. はじめに

インターナショナル・ビジター・リーダーシップ プログラム (IVLP) は, アメリカ国務省の教育・ 文化局が主催して行っている交流プログラムである. このプログラムは 1942 年から続く, 歴史あるプロ グラムであり, 日本からは, 年間約 40 名が参加し, これまでに 2,500 人以上, 世界中では約 20 万人以 上が参加している. プログラムの目的は, ①職業上の関心事項につい てアメリカの専門家と直接意見交換をする機会の提 供とその分野に関するアメリカの現状とその背景, 将来の方向などについての理解の促進と, ②各地域 の様々なバックグラウンドをもった一般のアメリカ 人と交流することにより, 幅広くアメリカの文化に 触れ, その多様性についての理解の普及である. プログラム参加対象者は, 中央および地方の政府, マスコミ, 教育, 経済など日本とアメリカの双方に とって関心のある分野で指導的な立場にある者, あ るいは今後そうした立場に立つ可能性のある者など である. 年齢は, 30 代∼40 代で, 組織の中で中堅 として活躍している者, 米国への渡航経験が少ない 者が優先されて選ばれている.

2. 今回のプログラムの概要

「Disability Access and Inclusion」 をテーマと し, 3 週間にわたり, 4 つの都市 (ワシントン D.C., ピッツバーグ, コロラドスプリングス, シアトル) を訪問した. 目的は, アメリカの障害者政策を学ぶ こと, 障害者を支援するアメリカの企業・職場・ス ポーツの現場を視察すること, そして障害者権利に ついて学ぶことなどであった. 主な参加者は, 当事 者研究 (障害のある人自身の研究) 分野の専門家, 視覚障害のあるパラリンピアン, 地方議員, 障害者 の就労支援・自立支援事業者であった. 筆者は, 障 害者スポーツ分野の専門家として参加した. 主な視察先は, アメリカ合衆国国務省, インクルー シブ教育に取り組む公共施設, 障害者雇用に取り組 む企業やバリアフリーに配慮した施設, アメリカ・ オリンピック・トレーニングセンターなどであった. アメリカの障害者を取り巻く政策は, 1990 年 7 月 に 障 害 を 持 つ ア メ リ カ 人 法 (ADA: Americans with Disabilities Act of 1990) が基盤となってい る. その法律の成立により, 対象となる様々な機関 で障害者差別が禁止され, 障害者の人権保障と社会 参加が促進されることとなった. 本稿では, 今回視察した中でも特徴的なプログラ ムを挙げ, その内容について紹介する. 日本福祉大学スポーツ科学論集 第 2 巻 ― 67 ―

インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム参加報告

Report on the International Visitor Leadership Program

兒玉 友 Yu KODAMA

日本福祉大学 スポーツ科学部

Faculty of Sport Sciences, Nihon Fukushi University 活動報告

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3. 具体的なプログラム

3-1 インクルーシブ教育

インクルーシブ教育の視察先として, ワシントン D.C. にある Bridges Public Charter School を訪問 した. ここは 2005 年に設置された公立学校で, 障 害の有無にかかわらず教育が受けられ, その中では 生徒それぞれのニーズを満たす工夫やインクルーシ ブ教育を目指す取り組みが行われている. 生徒数は普通学校と大きな違いはないものの, 36 %が配慮を必要とする生徒であり, 障害のない子ど ものうちの半数が英語を第二外国語としている者と なっている. 障害の有無や程度にかかわらず, 1 人 の生徒につき 5 人程度の教員がサポートを行い, 授 業以外の昼休みや給食の時間などでも共に時間を過 ごしている. また, 教師との関わりとは別に, 特別支援教育チー ムが編成され, 作業療法, 言語療法, 音楽療法など のセラピストや各種障害の専門家が連携しながら, 幅広い生徒のニーズに対応している. 障害の有無にかかわらず共に学ぶことで, 障害の ある子どもは, 健常者との接し方を知る機会が得ら れ, 障害のない子どもは, 幼い頃から障害のある人 との接し方を理解していくことが可能となる. 我が国においては, 障害の種類や程度等に応じて, 特別な配慮の下に, 特別支援学校や小学校・中学校 の特別支援学級等で適切な教育を行うことが基本的 な考え方とされている. 確かに運動会やイベントな どの限られた機会の中で, 障害のある子どもとない 子どもが共に学び合う時間が設けられているものの, 両者の関わりの機会では大きな違いが見られる. 日本福祉大学スポーツ科学論集 第 2 巻 2019 年 3 月 ― 68 ― 写真 1 ミーティングの様子 写真 2 授業の様子① 写真 3 授業の様子② 写真 4 ブランコを活用したセラピー

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3-2 インクルーシブキャンプ

ピッツバーグにある BLOOM learning center で は, 就学前も含めた子ども全般を対象とし, 障害の 有無にとらわれず総合的な自立支援プログラムを展 開している. そこでは, それぞれのニーズに合わせ てキャンプや運動技能習得のためのプログラムを行っ ているが, 中でも特徴的なのは, リバースインクルー ジョンの考え方を用いたプログラムである. これは, 障害のある子どもたちのプログラムに, 障害のない 子どもたちが参加する形式のプログラムである. 通 常のプログラムを障害の特性に配慮して進めるので はなく, 障害のある子どもたちのニーズに合ったプ ログラムを, 障害のない子どもたちが一緒に行うこ とで, 互いの理解や障害の理解等を進めていくこと が目的とされている. 参加者は主に, 知的障害のある子ども, 肢体不自 由, 発達障害のある子どもとなっており, 介助者及 びカウンセラースタッフは, 過剰なサポートになる ことを避けながら一緒に参加をするスタイルが取ら れていた. プログラム内容には, スポーツレクリエーション も含まれており, 主に車いすバスケットボールや水 泳が実施されている. 地域で活動する障害者スポー ツ団体も参加し, 練習日や場所などの情報を提供し ながら, 継続的にスポーツを楽しむことができるよ う工夫がされている. 3-3 パラスポーツ強化 オリンピック・パラリンピックを目指す選手を対 象としたトレーニング施設であるコロラドスプリン グスにある, アメリカ・オリンピック・トレーニン グセンターを視察した. コロラドスプリングス市か らの財政的な支援等があるため, オリンピック・パ ラリンピックを目指す選手らは経済的負担なく日々 練習等を行っている. ここでのパラリンピックに対する取り組みとして は, 競技大会の開催や合宿の実施などがある. バス ケットコート 3 面分確保できる体育館では, パラバ ドミントンの国際大会などが行われ, 当日は, 車い すバスケットボールの選手が強化練習を行っていた. こうした活動の中で, 健常者と障害者が同じ場で共 同利用しながら, 強化を図っていく工夫も行われて いた. 日本福祉大学スポーツ科学論集 第 2 巻 ― 69 ― 写真 5 キャンプ場内 写真 6 プール内 写真 7 プール内看板

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4. まとめ

IVLP に参加し, 中でも特徴的な取り組みについ て紹介をした. アメリカでは, ADA などの法律に 基づき, 州ごとに政策を打ち出し事業を展開してい るが, 州によって対応や政策が異なることなどの課 題がある. しかし, 健常者と障害者が同じ場で活動 することや同じ施設を利用するといった考え方や取 り組みは, 我が国の今後の政策に対して大いに参考 になると考えられる. 例えば, アメリカのインクルーシブ教育やインク ルーシブキャンプの発想を我が国の障害者スポーツ の活動に取り入れていくことで, 新しい考え方を含 んだプログラムを展開していけるのではないだろう か. 障害者のスポーツを通じた社会参画やスポーツ を通じた心のバリアフリーの実現が目指されている が, 諸外国との交流により発想の幅を広げていくこ とも重要であると感じられる視察であった. 日本福祉大学スポーツ科学論集 第 2 巻 2019 年 3 月 ― 70 ― 写真 8 トレーニングルーム内① 写真 9 トレーニングルーム内② 写真 10 視察の様子 写真 11 車いすバスケットボールの練習の様子

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