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凍結前の鮮度が解凍魚鮮度に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)

凍結前の鮮度が解凍魚鮮度に及ぼす影響

著者

西元 諄一, 青木 伸實

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of

Fisheries Kagoshima University

20

1

ページ

169-172

別言語のタイトル

Correlation between the Fresh State before

Freezing and the Freshness of Thawed Fish

Muscle

(2)

凍結前の鮮度が解凍魚鮮度に及ぼす影響

西 元 諒 一 ・ 青 木 伸 責 * CorrelationbetweentheFreshStatebeforFreezing andtheFreshnessofThawedFishMuscle Jun-ichiNIsHIMoToandNobumiAoKI Abstract InthethawingatOoCoffrozenhorsemackerel,whichhasbeenalivebeforefreezin9, K−valuewasabout2、6timesgreatercomparedwithitbeforethawing,andincaseofhigher temperaturethanformer,itwasabout1.7times・VBN-increasewasobservedslightlylarge atthethawingofOoCincomparisonwiththethawingathighertemperaturethanOoC, whileinthesimilarexaminationusingmarketsample,theincreaseofK-valuewasmarkedly poor,whereastheincreaseofVBNwasidentifiedwiththelivingsample・ TheK−valueislargeinthethawingoflivingfishasdescribedabove,however,since thevalueatbiginingisextremelylow,suchthawingbeingsuitabletogetanicefresh muscle(‘‘sashimi,'),therefore,itisassumedthat,ingeneral,inthethawingprocess,itis preferabletothawbyrapidlyandhightemperature. 先に')ヌクレオチド分解を目安とすると鮮度普通魚(市販)の解凍条件は高温急速が適当であろ うとのべた.しかし,凍結前の鮮度が極めて新鮮なものでは,そのヌクレオチド組成が市販魚とは 異なり,解凍中のヌクレオチド分解の様相も相異するであろうことは過去の研究2)3)4)5)から推察さ れる.したがって,死後硬直前あるいは硬直中のような生理状態のものを凍結した場合,その後の 解凍条件を普通鮮度のものと同様にすることが妥当であるかわからないとくに富山6)のenzyma‐ ticfreshnessなる語で鮮度を表現すると解凍中のその変化は興味のあるところである.今回はア ジの活魚を研究材料とし,空気解凍における解凍媒体温度の相異が被解凍魚肉のヌクレオチド分解 に及ぼす影響を検討し,鮮度普通魚の場合の解凍条件と比較したので報告する. 実 験 方 法 アジ(Tmc〃”"s奴PC"jc"s)の活魚は,桜島水族館で蓄養してあったもの(体長14∼16.5cm, 体重26∼459)で,生きたままドライアイス中に入れ凍結し実験室にもちかえり実験に供した. 鮮度普通アジは,市販のもの(体長20∼22cm,体重135∼1409)を-25.Cで凍結した. 活魚試料は1回に3尾を用いなるべく個体差による影響を少なくするようにした.市販ラウンド 試料は1回に2尾用いたが,測定値の変化傾向がつかめなかったので確認のため100g円柱塊(細 本報では以下の記号を用いる. ATP:アデノシン三リン酸,ADP:アデノシンニリン酸,IMP:イノシン酸,HxR:イノシン, H x : ハ イ ポ キ サ ン チ ン *鹿児島大学水産学部水産保蔵学研究室(LaboratoryofFoodPreserationTechnology,Facultyof Fisheries,KagoshimaUniversity)

(3)

Drip (%) 鹿児島大学水産学部紀要第20巻第1号(1971) Kvalue (%) 砕混和肉)についても実験した.ヌクレオチド関連物質および揮発性塩基窒素(VBN)は前報')と 同じ方法で測定した. 結 果 お よ び 考 察 凍結直後の活魚試料は,ATP,ADPがほとんど検出されずIMPが多量(3.14〃moles/g)あ り,同時にHxR+Hx区分が0.68〃moles/g存在した.このようなATPの消失とIMPの出 現ならびにHxR+Hx区分の存在は,蓄養アジをドライアイス中で生きたまま凍結したので苦悶 死したことが原因と考えられる. Tablelは生きたまま凍結後種々の解凍媒体温度で解凍し,中心温度が0°CになったときのK 値,VBN量および所要時間を示す.K値は0℃解凍では対照より約4倍,6,17℃解凍で約3 倍に増加し,K値増加に関与する酵素の作用が活発なことがうかがわれる.VBN量は対照魚にか なりの量が検出されたが,小林7)によるとコイ肉のNH3−Nの死後0∼48時間にかけての増加はア デニンヌクレオチドのdeaminationによって生じたものであろうとのべているのでこの場合もお そらくそのためであろう. Table1.ChangesofKvalueandVBN−contentinhorsemackerel beingalivebeforefreezing,afterthawing. Control O 6 17 Thawingtime (hr.) Thawingtemp. (。C) Kvalue (%) V B N (mg96) Drip (%) Thawingtime (hr.) 44.86 48.99 47.62 45.82 Control O 6 17 6.34 23.31 16.93 16.79 8.39 11.04 9.60 9.53 0 0 trace 5.5 3.3 0.66 18.5 9.08 3.33 Table2は市販アジ(細砕混和肉)の解凍直後のK値およびVBN量を示す.(ラウンド試料 の測定値の平均値をTable3に示した).K値の増加は前報')と同じ傾向であった.一般にK値の 内容はHxR+Hxであるが,250および260m〃における吸光値の比からゑて,アジでは江平8)ら Table2.ChangesofKvalueandVBN−contentinmincedhorse mackerelmuscleafterthawing. Table3.ChangesofKvalueandVBN−contentinroundhorse mackerel(postrigor)afterthawing. Thawingtemp. (。C) VBN (m9%) 170 Drip (%) 19.0 7.5 3.75 trace O O Thawingtemp. (。C) Kvalue (%) 11.92 16.07 15.80 13.44 000 VBN (m9%) Thawingtime (hr.) 42.97 48.20 46.03 40.84 14.37 13.04 12.54 12.98 Control O 6 17

(4)

が報告しているように大部分がHxRと推察される.VBN量は高温解凍で生成量が少なかった.

ただ,この実験ではK値が約40%であるのにかなり低い値であったのは理解しがたい Table1,2からその増加量と最初の量との比(増加率)を求めたのがFig.1である. K値は,活魚(初めの値6.43%)では0.C解凍で初めの約2.6倍,6.17℃解凍では約1.7倍 となり,市販魚(初めの値約40%)では,増加率の大きい0℃解凍のときでも10%程度であっ て,両者の増加率に極端な差があった.ゆえに,極めて新鮮なアジの解凍中のヌクレオチド分解は 比率上非常に大きいといわねばならない VBN量は,活魚の0℃解凍においてその増加率は約30%,高温解凍で10%程度で,それらは 市販魚とほぼ同じであるが,初めの値が約8mg%で解凍後が10mg%前後であることから考え るとこれの生成は微生物作用によるよりむしろ筋肉中のdeaminaseの作用と考える方が妥当かも しれないしたがって市販魚の場合のVBN生成機構と異るものと想像されるが今後の研究にまち たい. 以上のように活魚を凍結し解凍した場合のK値の増加率は市販魚の場合より非常に大きいが,そ の増加率は0.C解凍>6または17°C解凍であり,最初のK値が極めて小さい(内山ら9)が報じ ている即殺直後魚類では10%以下である)ので,解凍後でも20%前後であった.このK値20% 前後は内山ら9)によると小売店舗の“さし身,,のレベルであることから,このように極めて新鮮な アジでも高温急速解凍がよいと考えられる.また,VBN量からみても,この実験の試料で測定し IncreaserateofK-valueI Fig.1.IncreaserateofbothKandVBNvaluesduringthawingin airatvarioustemperatures. ノ 。 ) 1 0 2 0 3 0 0 0 2 0 0 3 0 0 ( ・

06706打

1 ︵Qo︶Q日の畠 post-rlgor post-rlgor ) IncreaserateofVBNcontent 30(・ん 10 20

067067

1 1 ︵。。︶Q日の僧

(5)

アジの活魚を凍結,解凍した場合,K値は解凍中に0.C解凍で約2.6倍,高温解凍で約1.7倍 に増加した.VBNは0℃解凍ではかなり高い増加率であったが高温解凍では小さかった. 一方,市販アジでは,K値の増加率が種々の解凍温度の中でもっとも大きい0°C解凍でも10% 程度であり,VBNの増加率は高温解凍が小さかった. このように活魚の凍結解凍では〆市販魚の場合よりK値増加率が極端に大きい.しかし初めのK 値が小さく,解凍後も“さし身,,になりうるレベル(約20%)であるので,鮮度普通の凍結魚の解 凍条件と同じように高温急速解凍が適当だろうと推察した. 鹿児島大学水産学部紀要第20巻第1号(1971) 本研究の一部は昭和45年度文部省科学研究費(試験研究,代表者太田冬雄教授)によった.ま た,試料入手に格別の御配慮下さった桜島水族館長中原官太郎氏にも深く感謝します. た限り10mg%前後で高温解凍したものはそれより少ないレベルにあり,“さし身,,が15mg%前 後であったとの報告9)からも上のように推察される. 要 約 172 文 献

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123456789 西元諒一・青木伸実(1971):本誌,20,163. KAssEMsAN,B−O.,B・SANz,PEREz,J、MuRRAYandN.R・JONES(1963):J・FbodScj.,28,28. 内山均・鈴木たれ子・江平重男・野口栄三郎(1966):日水誌,32,280. 江平重男・姉川昌彦(1966):日水誌,32,716. 藤井豊・野口栄三郎(1966):日水誌,32,410. 日本水産学会シンポジウム(斉藤恒行編)(1966):日水誌,32,195. 小林邦男(1966):日水誌,32,166. 江平重男・内山均(1969):日水誌,35,1080. 内山均・江平重男・小林宏・清水亘(1970):日水誌,36,177.

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