添加剤が発泡鉄の気泡形成と組織に及ぼす影響
村上太一
*1,大豆生田剛
*2,葛西栄輝
*1Effect of the Additives on the Pore Formation and Microstructure
of Iron Foam
By Taichi Murakami, Go Omameuda and Eiki Kasai
Iron-based metal foam has several advantages over aluminum alloy foam, such as high strength and low cost. However, iron foam does not have high porosity and uniform pore size. It is known that both the decrease in the interfacial tension between molten iron and pores and the increase in the viscosity of the melt contribute to the stabilization of pores. The objective of this study is to investigate the effect of the addition of oxide and carbide powders, which are expected to act as stabilizers, on the porosity and pore size of iron foam. Blended powders of pure iron, 3.0 mass% graphite, 0.5 mass% Fe2O3, and a certain amount of additives were compacted. The
additives used were Al2O3, SiO2, SiC, Cr2O3, and WO3, whose composition ranged from 0.0 vol% to 5.0 vol%.
The porosity and the average pore size of the iron foam were measured after heating the precursor at 1563 K. The porosity of iron foam increased by the addition of 2.0 vol% Al2O3and SiO2powders to the precursor and
decreased by the addition of 2.0 vol% Cr2O3and WO3powders. The addition of SiC led to a great decrease in
the porosity. The addition of Cr2O3particles to the precursor led to the formation of a Cr2O3layer on the pore
surface of the iron foam and a change in its microstructure, while most of the added Al2O3particles rose up to
the top surface of iron foam.
(Received on January 18th, 2011)
Keywords: iron foam, reduction gas, foaming agent, porosity
1
緒言
発泡金属および合金は様々なユニークな機械的,熱的特性を持つため,衝撃吸収材や吸音材,断熱 材,軽量構造材料などの用途がある.発泡アルミニウムは,最も良く知られた発泡金属材料であり, TiH2の分解反応によって発生するH2が溶湯を発泡させることにより製造される.高い気孔率を持つ 発泡材が製造可能である.例えば,Miyoshiらは密度が0.18-0.24g/cm3で平均気孔径が4.5mmの発 泡アルミニウムの製造について報告している[1].しかし,発泡アルミニウムは高価であり,強度が低 いという課題がある.高強度化については合金化による検討がなされている.一方,同じ基幹金属材 料である鉄鋼系の発泡材料についての開発事例は少ない.鉄系発泡体の製造が可能となれば,アルミ ニウム系よりも安価であり,高強度な発泡体の提供が可能となる.さらに,鉄鋼材料は制振性に優れ ており,多孔質化することにより優れた制振材料となる可能性もある. そこで我々は,鉄鋼材料に適用できる新たな発泡鉄製造方法の開発ため,炭材による酸化鉄の還元 時に発生するCOおよびCO2ガスの利用に着目した.鉄と黒鉛,酸化鉄の混合粉体を加熱し,溶融 鉄−炭素合金を生成させ(式(1)),融液中炭素による酸化鉄の還元反応(式(2))を進行させて,発泡体 を製造するプロセスである. F e(s)+ C(s)→ F e-C(l) (1) F eOx(s)+ C(l in F e-C)→ F e(s)+ xCO(g)↑ (2) これまで,電解鉄,黒鉛,Fe2O3粉末を使用し,溶鉄中炭素によるFe2O3の還元に伴い発生するCOお よびCO2ガスを利用した発泡鉄製造の可能性を確認した[2].しかし,得られる発泡体の気孔率が最 大でも55%程度であった.さらに,気泡の凝集合体により粗大気泡が形成するため,気泡サイズが均 *1東北大学多元物質科学研究所 *2東北大学大学院環境科学研究科一でなく,またその形状がいびつであった.これらは,発泡体の強度低下の大きな要因となるため,材 料化のためには改善が必要である.気泡サイズの均一化および球状化は,アルミニウム系発泡体製造 に関して多くの研究があり,融液の粘性の増大や融液とガスとの界面張力低下が有効な手段であること が知られている[3].融液の増粘のため,前述の発泡アルミニウムでは金属Caを添加した後,溶湯を攪 拌している[1].他にも,増粘効果と共にコンポジット化による高強度化を狙ったAl2O3,SiCなどの 添加も検討されている[3, 4].また,アルミニウムは融点近傍での平衡酸素分圧がおよそ10−45Paと非 常に低く,溶融アルミニウム表面は非常に酸化されやすい.生成する酸化膜は非常に緻密で膜の成長速 度が遅いため,薄い酸化膜が形成される.これが気泡との界面張力を低下させる要因となっている.鉄 系の場合,このような薄い酸化膜を形成させることは困難であり,別の方法での安定化が必要となる. そこで,本研究では微細酸化物粒子の添加による発泡鉄の気泡の安定化について,アルミニウム発泡体 と同様にAl2O3, SiO2およびSiC,溶融鉄と比較的比重の近いCr2O3やWO3添加の影響を調査した.
Table 1 Properties of the additives.
Additives Powder diameter(µm) Specific gravity(-)
SiO2 < 4 2.20
SiC 2− 3 3.22
Al2O3 < 1 3.96
Cr2O3 < 3 5.21
WO3 < 1 7.16
Table 2 Chemical composition of the precursors.
Bulk Additives Additive amount(vol%) Standard (Fe-3.0%C-0.5%Fe2O3) SiC, SiO2, WO3 2.0 Al2O3 0.5, 1.0, 2.0 Cr2O3 0.5, 1.0, 2.0, 5.0
2
実験
2.1
発泡用試料(プリカーサ)の
作製
試 薬 の 粒 径 150µm 以 下 の 電 解 鉄 粉 , 無 定 形 黒 鉛 粉 末 ,平 均 粒 径 1µm の Fe2O3 粉 末 を 使 用 し た .黒 鉛 粉 末 の 平 均 粒 径 は 2µm で あ っ た .添 加 剤 に は , Al2O3, SiO2, SiC, Cr2O3, WO3粉末を使用 した.尚,これらの粒径と比重をTable 1に,走査電子顕微鏡(SEM)により撮影した各粉末の形状を Fig.1に示す.形状に多少の違いはあるが,どの粉末もTable 1に示した粒径とほぼ等しい.以上の粉 末をTable 2に示す組成で秤量し,V型混合機を用いて60rpmで15分間混合した.添加剤は鉄に対 して体積当たり所定量になるように混合した.なお,添加剤を混合していない試料を以降,無添加試 料と記述する. 混合粉末を約8.2g秤量し,14mmϕのダイスを用いて,一軸両端プレス機により180MPaで冷間成形Fig.2 Experimental apparatus for prepa-ration of foaming iron samples.
し,高さ約10mmの圧粉体を得た.その後,加熱中に 試料表面の炭素が消費され,試料表面の溶融と試料の溶 融が阻害されるのを防ぐため,圧粉体の上下面及び側面 にカーボンペーストをおよそ0.1g塗布し,発泡用試料 (以降プリカーサと記述)を得た.
2.2
発泡実験
プリカーサの加熱には,急速昇温が可能な高周波誘導 加熱法を用いた.Fig.2に本装置の模式図を示す.添加 した粉末の影響で加熱特性が変化することを防ぐため, 加熱媒体としてプリカーサを内径14mm,高さ15mm の鉄チューブを使用した.プリカーサはこの鉄チュー ブ内に入れた.また,鉄チューブ上面から4mmの位置 にR型熱電対を設置した.高周波加熱装置(最高出力: 15kW)のコイル中に内径41.5mmの石英炉心管を設置 した.その管内にアルミナ管(外径18mm)とアルミナ レンガで作製した台座を設置した.これらはプリカーサ がコイル中央に設置できるように調整した. プリカーサ設置後,反応管内部を真空引きし,Arガス を流し置換した後,発泡温度である1563Kに1minで 到達するようなプログラムにより加熱した.発泡が開始 し,試料の体積が最大になったと見なされるところで加 熱を中止し,試料内部の温度が200℃以下になるまで空 冷した後,試料を取り出した.同一条件のもと各試料に ついて発泡体を5個以上作製した.2.3
発泡体の評価
得られた発泡体は縦に半分に切断し,樹脂埋め後,鏡面研磨を行い,組織の観察に供した.気孔率 および気泡形状の解析のため,2値化したマクロ組織を用いて,気孔率および気泡径分布を測定した.また,一部試料では,走査電子顕微鏡(SEM)によりミクロ組織の観察とEPMAやEDXによる構成
相の組成分析を実施した.さらに試料断面を,ナイタール液(エタノール95%+硝酸5%)によりエッ
チングし,光学顕微鏡を用いて発泡体の組織観察を行った.
Fig.3 Porosity of the
Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3precursor with various
ad-ditives.
3
結果および考察
3.1
発泡率に及ぼす影響
添加剤が発泡特性に及ぼす影響を調査するため,無添 加試料(Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3)およびそれに
Al2O3, Cr2O3, SiO2, SiC,およびWO3 粉末を2.0vol%
添加した試料を加熱して,発泡実験を行った.SiC添加
以外の各試料の気孔率をFig.3に示す.
無添加試料の気孔率は49%であり,パイプを用いな
い既存の方法 [2]と比較して低下している.添加した
は0.1MPaで95mLのCOガスが発生する.試料体積は1.5cm3程度であるため,気泡体積は気孔率 50%で0.75cm3 となり,発生したガス全てが残留すると仮定すると12.7MPaという高圧になる.こ のことから,パイプによるガスの離脱と膨張が制限されることにより内圧が上昇し,気泡形状の不安 定化を引き起こし,結果的にパイプがない場合よりもガスの離脱を助長した可能性が考えられる. SiC添加試料の気孔率はFig.3には示していないが,7.3%と極端に小さくなった.Al合金の場合, SiCは有効な増粘剤として働くことが報告されている[3].一方,Fe融体はSiやCの溶解度が高いた め,下記に示す反応式(3)によってSiとCとしてFe融液中に溶解する.また,Siの一部はFe2O3を 還元しSiO2となる.
SiC = Si(in Fe)+ C(in Fe) (3)
さらに,溶解したSiはFe融液の粘性を下げるため[4, 5],発泡ガスは容易に試料外へ離脱する.そ
のため,発生した気泡だけでなく,加熱前からプリカーサ中に存在していた気泡まで離脱し,初期気 孔率を下回る気孔率が得られたと考えられる.
一方,SiO2やAl2O3添加試料の気孔率は無添加よりも高く,Cr2O3やWO3添加試料では低い.SiC
Fig.4 Cross-sections of iron foams obtained us-ing the precursor of Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3
-2.0vol% additives. 添加試料を除く5種類の試料の断面マクロ組 織をFig.4に示す.比較的比重の小さく,鉄 との濡れ性の悪いSiO2 やAl2O3 添加試料 は,無添加試料に比較して気泡が球状に近く, またセル壁も割と薄くなっている.なかでも Al2O3添加試料の気泡は最も球状を示してお り,気泡の球状化に対する添加剤の有力な候 補といえる.一方,比重が大きく,濡れ性の 比較的良い傾向のあるCr2O3 やWO3 添加 試料では気泡形状がいびつでセル壁も厚い. Cr2O3添加試料は直接加熱時には気孔率が上 昇し,気泡形状にも改善がみられるなど,条 件次第では粘性上昇を期待できる.そのため Al2O3とCr2O3添加試料に着目し,添加剤が 発泡体の気孔率,気泡形状やミクロ組織に及ぼす影響を検討した.
3.2
Cr
2O
3添加が発泡機構に与える影響
Fig.5 Effect of composition of additives on poros-ity of iron foam obtained using the precursor of Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3. Fig.5にCr2O3およびAl2O3添加量と気孔率 の関係を示す.Cr2O3 添加試料では添加量が増 加するとともに気孔率は減少した.Fig.6に0.5 および5.0vol%Cr2O3 を添加した発泡体の断面 図を示す.0.5vol%添加試料は,無添加と比較 すると気孔率に大きな差はないが,気泡径は減 少し,そのばらつきも小さくなっているだけで なく,球状化が進んでいる.また気泡数が増加 し,セル壁が無添加試料と比較して薄くなってい る.このことから,0.5vol%Cr2O3添加は気泡の 球状化に効果があることが分かった.Cr2O3添 加量を増加させると試料の膨張が抑制されてお り,2.0vol%添加試料では試料上部が膨張せずに
亀裂が発生している.5.0vol%添加試料には,プリカーサからの形状の変化はほとんど見られず,微 細な気泡が,試料内に均一に分散しているが,得られる気孔率は初期値よりも低い.これは過度な増 粘効果もしくは融液生成量の減少による融液の流動性の低下に起因していると考えられる.
そこで,添加したCr2O3 の存在形態を調査するため,Fig.7に1.0 および5.0vol% 添加した
Fig.6 Cross-sections of iron foams obtained using the precursor of Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3
with 0.5 and 5.0 vol%Cr2O3.
Fig.7 Back scattered electron images at the cell wall of the foam obtained using the precursor of Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3with 0, 1.0 and
5.0 vol%Cr2O3.
Fig.8 Relation between volume of Cr2O3 layer
and its content added to the precursor.
発泡体の断面ミクロ組織を示す.1.0vol%添加試 料の気泡表面には1∼3µmの微細な粒子の層が 観察される.この粒子はFig.1に示した添加前の Cr2O3粒子の形状に酷似している.このことか ら,添加したCr2O3粒子の多くは気泡表面に凝 集して存在していたと推測される.5.0vol%添加 した試料でも同様に気泡表面に粒子が観察され るが,1.0vol%と比較して多くない.しかし,表 面と樹脂の間に空隙があり,研磨中にその多くが 離脱したことを示唆している.つまり,発泡後の 試料には1.0vol%よりも厚いCr2O3層があった と予想される. こ の Cr2O3 層 に 着 目 し ,膜 状 に 凝 集 し た Cr2O3量と添加量の関係をFig.8に示す.凝集 量は,平均気泡径から算出した表面積と気泡数 の積が総気泡表面積であるとして,総気泡表面 積と平均層厚の積から算出した.添加量の増加 とともに膜の厚さが増すため,凝集量が増加し ている.しかし,点線で示す添加したCr2O3の 総体積と比較すると凝集した量は一部である. 添加量の増大と共に一部のCr2O3粒子は試料上 部表面へ浮上する.上部に堆積したCr2O3粒子 の厚さは気泡表面に凝集した粒子厚さとあまり 変わらない.気泡表面積と比較して試料上部の 面積は非常に小さい.そのため,浮上した粒子 は少量であると推測される.EDXによりCrの 元素Mappingを実施したが,試料融液中への Cr2O3粒子の残存は確認されなかった.そのた め,Cr2O3 粒子の分散による増粘効果は発生し ていない. 一方,Cr2O3/Crの平衡酸素分圧はCrの活量 を1と仮定すると1563Kで5.8× 10−12Paで ある.溶解反応が完全には終了しておらずグラ ファイトが残留しているため,炭素の活量を1と すると,C/COで決まる酸素分圧よりもこの酸 素分圧は高い.また,1530Kにおいて両者は等 しくなる.このことはCOガスによるCr2O3の 還元が進行する可能性を示唆している.さらに, グラファイトはプリカーサ中で鉄粉のみだけで なく,Cr2O3粒子とも接触しており,熱炭素還
元が進行する[6].
Fig.9 Microstructure of iron foam using the pre-cursor with 0, 0.5, 2.0, and 5.0 vol%Cr2O3.
Fig.10 Analyzed compositions in the matrix of iron foam and equilibrium compositions calcu-lated using the software FACTSAGE on the phase diagram at 1563K. The base composition of pre-cursor is Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3, and the
additive amount of Cr2O3is from 0 to 5 vol%.
Cr2O3がCにより還元されると,C濃度が低 下する.還元されたCrは溶融Fe-C中へと溶解 する.これらは,液相線温度を変化させる.結 果として,発泡鉄母相の組成が変化するため,得 られる発泡鉄組織の変化が予想される.そこで, Fig.9に光学顕微鏡により観察した各発泡体の断 面ミクロ組織を示す.無添加材では,初晶オー ステナイト相の間にリング状のセメンタイトと オーステナイトの共晶組織が存在する.また,初 晶オーステナイト粒内ではパーライト化が進行 している.このような組織は,典型的な硬くて脆 い白鋳鉄で観察されるレーデブライトである[7]. Cr2O3の添加量が増加するにつれ,共晶組織を 示す面積が減少している.このように組織の変 化からも,母相中のCrやCの濃度の変化が示唆 される.そこで,Cr2O3 添加に伴う,母相中の 組成変化について検討した. 各プリカーサに使用したCr2O3,Fe,Cおよ びFe2O3組成において,1563Kで到達する平衡 組成を熱力学計算ソフトFactsage [8]で計算し た.さらに,Cr2O3添加量の異なる発泡体の母 相中のCおよびCr組成をEPMAにより決定 し,熱力学計算ソフトThermo-Calcにより計算 したFe-Cr-C系状態図上に平衡計算結果と共に プロットし,Fig.10に示す.計算の対象とした 組成範囲では,CrやFeの酸化物は存在せず,金 属中に固溶する.また,COやCO2などのガス が共存する.Cr2O3添加量の増大と共に,母相 の計算組成は低Cかつ高Cr側に移動している. 結果的に,液相率の減少も計算組成では認められ る.一方,実測値は分析誤差があるものの,総じ て平衡値よりも低Crかつ高C側にわずかにず れている.しかし,その変化の傾向は計算値と一 致する.平衡値からのずれが,気泡界面に膜状に残留したCr2O3に対応すると考えられる.そのた め,Cr2O3添加は固液比の減少による融液の粘性増加をも引き起こす. さらに,プリカーサに加えたCr2O3 の還元は鉄の浸炭による溶融開始前にCOやCO2ガスの発 生と共に開始する.それゆえ,この発生したガスは融体の発泡に利用することができない.これは, Cr2O3添加量の増加が鉄の溶融開始後の発泡ガスの発生に利用する炭素量の減少を意味する. このことから,Cr2O3添加によって気泡界面の皮膜形成による気泡の安定化だけでなく,組成の変 化による液相率の減少が構造粘性を増加させ,融液の流動性が低下したことおよび発泡前の炭素の消 費による発泡ガス発生量の減少により,気泡の凝集合体を抑制したと推測できる.結果として,Cr2O3 添加量の増加と共に気泡が微細化され,気孔率が低下したと考えられる.
3.3
Al
2O
3添加が発泡機構に与える影響
Fig.11 Cross-sections of iron foams obtained using the precursor of Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3 with various
amount of Al2O3.
Fig.12 Back scattered electron images at the cell wall of the foam obtained using the precursor of Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3with 1.0, 2.0, and 3.0vol%Al2O3.
Fig.13 Back scattered electron images at the upper part of the foam obtained using the precursor of Fe-3.0mass%C-0.5mass%Fe2O3with 1.0 and 3.0vol%Al2O3.
Al2O3 添加試料はFig.4に示すよう に,1.0vol%添加で気孔率は最大となり 平均62.3%,最大で68.7%と無添加試 料に比べて大きな気孔率を示す.さら なる添加によって気孔率は徐々に減少 する.Al2O3を1.0∼3.0vol%添加した 試料の断面マクロ組織をFig.11に示す. 2.0vol%添加試料は前述したとおり,そ の下部に複数の非常に真円度の高い気 泡が形成している.さらにセル壁が非常 に薄いところが試料下部で確認できる. 3.0vol%でも,2.0vol%と同様な球状の 気泡が得られたが,その気孔率は低い. また,試料下方に大きな気泡が形成して いる.一方,1.0vol%では,周囲に微細な 球状の気泡も見られるが,中央部に凝集 した巨大な気泡が観察される.しかし, この気泡は側面の鉄パイプとすでに接し ており,パイプによる制約のない自由発 泡がなされた場合は気泡内のガスは試料 外部へと離脱し,気泡は消滅していた可 能性が高い. Fig.12にAl2O3 添加試料の断面ミク ロ組織を示す.各試料ともCr2O3 の時 と同様に気泡表面にAl2O3 粒子の凝集 が確認できる.また,添加量と共に凝 集 量 が 増 加 す る 傾 向 は 認 め ら れ る が , Cr2O3と比較して全体的に少量である. これはAl2O3がCr2O3よりも比重が小 さく,溶融鉄との濡れ性も悪いため,よ り多くの粒子が試料上部へ浮上したと考 えられる.実際,実験後の試料上部に多 量の白色粉末の存在が確認された. そこでFig.13に1.0および3.0vol%添 加した発泡体上部断面の観察結果を示 す.気泡表面と同様にAl2O3 粒子が観 察され,その量は気泡表面よりも多い. また,1.0vol%添加試料と比較して,3.0vol%添加試料で大量に凝集している.Cr2O3添加試料から も上部への凝集は確認されたが,Al2O3を同量添加した試料の凝集量の方が明らかに多くなった. また,Al2O3添加時についてもCr2O3と同条件でFACTSAGEによる平衡組成計算を行ったが, Al2O3添加量が増大しても溶融鉄中の炭素濃度には変化がなかった.さらに溶鉄中のAl濃度は非常
に低かった.この結果は,溶鉄中の炭素とAl2O3との反応は,Cr2O3とは異なり無視できるほど少な いことを示している.このことから,Al2O3添加によって試料上部にAl2O3粒子が凝集し膜を形成し たため,発泡ガスの離脱が抑制され,結果的に気孔率が無添加試料よりも高くなったといえる.その 一方で,気泡表面に凝集するAl2O3粒子はCr2O3添加時に比べると少なくなるため,気泡の凝集が 進行しやすくなり,無添加試料と類似した気泡形態をとる.結果的に,Al2O3粒子は発泡鉄製造の添 加剤としては適さないといえる.
4
結言
酸化鉄の還元反応を利用した発泡鉄の製造に添加剤が及ぼす影響を調査し,発泡挙動の解明や気泡 形状均一化の検討を行い,以下の結論を得た.1. Al2O3,Cr2O3,SiO2,SiC,およびWO3粉末を添加した発泡実験により,Al2O3およびSiO2
添加試料は気孔率が増加し球状の気泡を得ることができ,Cr2O3およびWO3添加試料は気孔 率が減少し,気泡の形状もいびつになった.一方,SiCは鉄中に溶融し粘性を大きく下げたた め,気孔率の大幅減少を引き起こした. 2. Cr2O3添加試料では,添加量の増大と共に気孔率は2.0vol%までは徐々に,それ以上は急激に 減少した.添加したCr2O3粒子は一部,気泡表面に凝集し膜を形成することで気泡の安定化を 促進させ,また一部は直接還元が進行し,黒鉛を消費するため融液の液相率低下を引き起こす. 0.5vol%添加試料は,後者の影響が比較的小さく,無添加と比較すると気孔率に大きな差はな いが,前者の影響により気泡径は減少し,そのばらつきも小さくなっているだけでなく,球状 化が進んだ.また気泡数が増加し,セル壁が増粘剤無添加試料と比較して薄くなった.このこ とから,Cr2O3添加の効果は気泡表面の安定化と組成変化による液相率減少によるものと考え られる. 3. Al2O3添加試料では1.0vol%添加で気孔率は最大となり無添加試料に比べて大きな気孔率を示 した.さらなる添加によって気孔率は徐々に減少した.添加したAl2O3粒子は,一部Cr2O3 粒子と同様に気泡表面に凝集するがその量は少なく,その多くは試料上部に浮上する.その結 果,ガスの離脱を抑制し気孔率は上昇するが,気泡の成長過程にはほとんど影響を与えず,気 泡の巨大化を促した.
文 献
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