山梨大学工学部研究報告 第51号 2002年
光エレクトロニクス半導体デバイス
電気電子システム工学科加藤孝正
当研究室では光エレクトロニクス半導体デバイスに関する研究を行っている.主な研究テーマ
は,1)有機ELデバイスの作成とその電気的特性 の評価,2)Cu−Ga−ln−S系半導体の成長・評価と光 デバイスへの応用,3)Si, GaAs基板上への(ln, Ga)−Se系M−・VI半導体のMBE成長と光デバイス への応用である. 有機ELデバイスは液晶とは異なり,それ自身で 発光し,しかも薄型であること,高速応答性を有す ることなどから注目されている.しかしながら,デ バイスの性質に関する研究はあまりなされていな い.本研究室では,電気的・光学的な性質を明らか にすることにより,現在問題となっているデバイス の劣化メカニズムを解明しようと研究を進めてい る.図1は低分子系ELの容量の印加直流バイアス 依存性である.素子容量がピークをもつこと,ピー ク位置やピーク容量値が測定周波数に依存すること などがわかる.この容量の変化は,有機層内の電荷 トラップへのキャリヤの捕獲と中和が原因と考えら れる.現在このトラップの性質や存在位置,素子劣 化との関係などを解明すべく,素子構造などを変え て実験を進めている.また,高分子系のEL素子の 開発も併せて行っている. Cu(Gai 一。ln。、)orS。半導体は,青色発光材料のCuGaS2と赤外発光,太陽電池材料のCulnS2を含
み,1Ky≦5(2〈z〈8),O≦x〈1の範囲でカ
ルコパイライト,欠損カルコパイライト,六方晶の 各構造をとる半導体である.これまでにCuGaS2を エンドメンバーとした0≦x≦0.25の結晶の硫黄蒸 気圧制御温度差法による成長条件,結晶学的性質, 光学的性質を明らかにしてきた.現在はこれに加え,太陽電池材料としての可能性を探る目的で
CulnS2をエンドメンバーとして,結晶成長条件, 電気的,光学的性質を研究している. 発光デバイスや光通信用フォトダイオードなどの オプトエレクトロニクス用化合物半導体は,電子回 路を構成するIcやLSIの材料であるSi半導体とは 結晶構造や格子定数が異なる.このことがSi基板 上へのこれらの化合物半導体の成長を困難にしてい る.ヘテロ成長が可能となれば,一つのLSI内に 両者の機能を含めることができる.本研究は,弱い 力で基板との結合が可能なファン・デア・ワールス 璽 芭 5 4 3 2 50Hz 500Kz 5kHz 50kHz 鱒鱒騨醐翻輔欝 V(V) 図1 有機ELの容量一電圧特性 Io 8菖6
蔦竣4
2 ◎ ◎ 至◎◎ 2◎◎ 30◎ 400 5◎0 長さ[醐図2 GaSe成長層表面のAFM像
一15一山梨大学工学部研究報告 エピタキシイによって,基板の影響を受けないバッ ファ層を成長させ,その上に目的とする化合物半導 体を成長させようとするものである.図2は層状構