生産機械システムのダウンサイジング
木村 広幸
*Downsizing of manufacturing machine systems
Hiroyuki KIMURAAbstract:
Many industrial products such as cellular phones and medical devices are continuously being downsized, and so the need for small and high-performance components is increasing. Small manufacturing systems to produce such micro components are expected to achieve major savings of energy, space, and resources. Consequently, micro-machine tools and micro-factory (desktop production system) technology have been proposed. In this research paper the state and the future prospect of the development of those micro manufacturing machine systems are described.
KEY WORDS : Manufacturing machine system, Downsizing, Micro-machine tool, Micro-factory, Micro-lathe 要旨: 携帯電話や医療機器に代表されるような工業製品は,ますますダウンサイジングしており,小型で高機能な部品 の必要性が増している。それらの微小部品の製造を,小型の製造装置で行うことにより,大幅な省エネルギー,省 スペース,省資源が達成されるとの考え方から,マイクロ工作機械およびマイクロファクトリ(机上生産システム) 技術が提唱されている。本論文では,それらのマイクロ生産機械システムに関する開発の現状と将来展望について 述べる。 キーワード:生産機械システム,ダウンサイジング,マイクロ工作機械,マイクロファクトリ,マイクロ旋盤
1.はじめに
従来型の工作機械および生産機械システムを大幅 にダウンサイジングしたマイクロ工作機械およびマ イクロファクトリは,「小さなものを,小さな機械や 工場で合理的に生産する」1)という思想で開発・研究 されてきており,省エネルギー,省スペース,省資 源などに著しい効果が期待できる。 日本におけるこの分野の最初の取り組みとしては, 1991~2000 年の通商産業省(現経済産業省)による マイクロマシン研究開発プロジェクトがあった。そ の中で,通商産業省工業技術院機械技術研究所は, 1996 年に図 1 に示すような大きさが 30mm 立方のマ イクロ旋盤を開発2)し,さらに2000 年に図 2 に示す ポータブル型の生産システムの実証機を開発3)した。 これを契機として,民間企業,大学などにおいても 小型工作機械および小型生産システムの研究開発が 進められた。 また,2006 年には,経済産業省が策定した「技術 戦略マップ2006」の「工場とモノづくり技術」4)に 図3 のようなマイクロファクトリが示されており, 未来型の夢の技術として期待されていることが十分 理解できる。 現在では,従来型の生産機械・システムを1/2~1/5 程度にダウンサイジングした製品が,多くのメーカ ーから市販されるような状況になってきている5~7)。 しかしながら,マイクロファクトリの実現を図るた めには,従来の工作機械に比べて寸法が1/10~1/50 にした超小型工作機械(マイクロ工作機械)の実用 化が必要である。この分野に関しては,多くの開発 事例8~14)があるが,実用化例は少なく,いまだ研究 段階と考えられる。 *湘南工科大学 工学部 総合デザイン学科 講師工作機械を大幅に小型化すると剛性が低下し,加 工精度を低下させると考えられてきた。しかしなが ら,この現象が理論および実験から明らかにされて いる訳ではない。マイクロ加工においては,切込み 深さが小さくなるので,切削力も微小になる。した がって,工作機械を小型化しても剛性低下の影響を 受けない可能性もあるが,マイクロ工作機械を用い た微小切削における切削力特性に関する研究報告は 少なく,定量的なデータは,ほとんど示されていな い15・16)。 本論文では,従来型の生産機械・システムを大幅 にダウンサイジングしたマイクロ生産機械・システ ムに関する開発の現状と将来展望について述べる。
2.生産機械システムのダウンサイジング
生産機械・システムの適切なダウンサイジングに よって得られるメリットは広範囲にわたるが,著者 が所属する公益社団法人 精密工学会 マイクロ生 産機械システム専門委員会のレビューには以下の様 に整理して記述されている17)。 ①省エネルギー,省資源,省スペース 機械・システムの動力,空調,照明 ライン機器間の搬送距離短縮・迅速化 ②低エミッション,環境制御の容易さ 熱・騒音・振動・廃棄物の減少 温度や清浄度の局所管理,廃液等処理の容易さ ③作業者や人手作業との親和性 セル生産方式や工場以外での製造の容易さ 熟練者以外による作業の容易さ ④ポータビリティ 工場レイアウトの再配置が容易,立体配置も可 工場設置,運搬,調達の容易さ ⑤高速化,高精度化,不確かさの要因の削除 可動部質量や慣性モーメントの最小化 共振周波数の上昇,熱変形の均一化 ⑥設計の自由度,製造の容易さ 組み付けや精度出しの容易さ 加工力の減少(剛性自体の見直し) 小型化は静剛性よりも動剛性の優位性有 これらのメリットは,現状における生産機械・シ ステムで求められている多くの改善改良に関する要 求項目を含んでいる。したがって,前述した「小さ なものを,小さな機械や工場で合理的に生産する」 というマイクロ生産機械・マイクロファクトリの思 想は,今日でも時代の要請に適応した当然の考え方 であるともいえる。 ポータビリティの優位さについては,1990年代よ り構想されており,現場工場(オンサイト生産),必 要な時だけ使う,レンタルなども可能となり,災害 時における迅速な応急対応などに期待されていた。 図1 マイクロ旋盤(初代)2) 図2 マイクロファクトリ(ポータブル型)3) 図3 経済産業省 技術戦略マップ20064)3.マイクロ旋盤を用いた切削力特性
マイクロ生産機械の設計上の問題として,生産機 械が通常の工業製品のような強度設計ではなく,剛 性設計を重視していることが挙げられる。したがっ て,小型化による剛性低下が,加工精度の低下とは 直接結びつかないことを加工データにより実証する 必要がある。 一方で,マイクロ生産機械による機械加工におい ては,必然的に微小切込み深さとなり,切削力も微 小となることが多くなるが,この領域に関する研究 も少ない。 以上のことから,この章では,マイクロ生産機械 の代表であるマイクロ旋盤を試作し,旋削時に発生 する切削力および表面粗さを測定・解析した結果を 述べる。 図4 は,試作したマイクロ旋削加工装置(マイク ロ旋盤)を示す18)。本装置は,ステンレス製ベース 板(300×200×10mm),Z 軸微動ステージ上に搭載 した主軸ユニット(構成品;主軸,ハウジング,コ レットチャック,工作物),X 軸微動ステージ上に刃 物台ユニット(構成品;刃物台,切削工具,微小切 削力検出器),刃物台および主軸の移動量を測定する 変位センサで構成されている。 主軸系には,回転速度5,000~60,000rpm の市販 軸(ナカニシ製 NR-453E)を使用した。この軸の 回転精度のカタログ値は1μm 以内である。切削実験 に使用する被削材は直径3mm であり,設定回転数範 囲の切削速度は47~565m/min となり,通常の旋削 加工における切削速度から高速切削領域までの幅広 い切削速度範囲にて実験を行うことが可能となって いる。 主軸ユニットを搭載しているストローク15mm の Z 軸微動ステージの送りには,電動マイクロメータヘ ッド(ステッピングモータ式)を用いた。このステ ッピングモータの1 パルスあたりの移動量は 0.03μm であり,最大速度は74μm/sec となっている。刃物台 ユニットを搭載しているX 軸微動ステージには,ス トローク10mm の市販ステージを利用し,刃物台上 に切削工具および微小切削力検出器を搭載している。 被削材に与える工具の切り込み量は,X 軸微動ス テージのマイクロメータヘッドによって手動で設定 される。主軸ユニットおよび刃物台ユニットの移動 量は,レーザ変位計(キーエンス LC-2440,分解 能 0.2μm,測定範囲±3mm)によって測定した。 レーザ変位計の出力信号は,サンプリング周波数 10kHz でレコーダ(NEC Avio omniace Ⅱ RA1300) により記録し,解析した。 切削力測定装置としては,水晶の圧電効果を用い た切削力センサが市販されており,高剛性で切削3 成分の同時測定が可能であるという特徴を持つ。し かしながら,最も小型の市販センサでも本研究のマ イクロ旋盤の工具台に搭載するには大きすぎること と,市販センサの測定可能最小切削力が本研究で目 標とした1mN には及ばないこと,圧電効果を用いる 方式は,基本的には切削力の直流成分の測定には適 さないなどの点から,本研究では,新たに微小切削 力測定装置を試作した。 図5 は,試作した微小切削力検出器およびそれを 用いた測定方法を示す。微小切削力検出器は,工具 ホルダーとエクステンションバーからなる。工具ホ ルダーには,切欠き部分を設け,微小な切削力に対 応した刃先部分のたわみ量を測定しやすい形状にし ている。 後述するように,本研究では,このたわみ量をレ ーザ変位計で測定し,切削力に換算している。工具 のたわみ量は,エクステンションバー(長さ63mm, 断面12×12 の L 字形状)により,約 4 倍に拡大し, 図4 マイクロ旋削加工装置(マイクロ旋盤)18) 図5 微小切削力検出器18) Displacement sensor (Feed force) Displacement sensor (Principal force) Holder Cutting tool Extension bar Micro-cutting force detectorz
x
y
Xstage
Z stage
Main spindle Housing Tool rest Displacement sensor Collet chuck Feed motor Displacemen t sensor Micro-cutting force detector Work pieceエクステンションバー先端部のたわみ量をレーザ変 位計で測定する。このエクステンションバーの長さ を変えることによって,測定感度を変更することが 可能である。 切削力は,主分力,送り分力および背分力の3 分 力からなるが,背分力は,他の2 分力に比べて小さ い値となることが報告されていることから19),この 測定システムでは,主分力と送り分力のみを測定す る構造を採用した。図5 に示すように,主分力に対 応する工具刃先変位は,垂直方向のレーザ変位セン サ(キーエンス LC-2430,分解能 0.02μm,測定範 囲±0.5mm)により測定する。送り分力は,水平方 向のレーザ変位センサ(キーエンス LK-010,分解 能0.1μm,測定範囲±1.0mm)によって測定する。 微小切削力測定装置のキャリブレーションは,工 具刃先部分に静荷重を負荷した時のエクステンショ ンバー先端のたわみを測定する方法で行った20)。切 削力と変位の関係は,垂直方向(主分力)が54.1 mN/μm,水平方向(送り分力)が 50.9 mN/μm であ った。したがって,微小切削力検出器の測定感度は, 垂直方向のレーザ変位センサの分解能が0.02 μm で あるので,約1.08mN であり,設計目標に近い。水 平方向の測定感度は,機材の関係で5.09mN である。 表1 は,実験に用いた被削材,切削条件,工具デ ータを示している。切削実験は,送り速度を一定に し,主軸回転数および切込み深さを変えて切削力(主 分力と送り分力)を測定した。非鉄金属の旋削には, 単結晶ダイヤモンドバイトを使用した。ステンレス 鋼の旋削には,超硬バイトを用いた。ただし,両バ イトの形状は同一とし,切削油は使用しないで旋削 加工した。 図6 は,切削力(主分力)と表面粗さに対する切 削断面積の影響を示している。切削速度は565m/min (60,000rpm)で,切り込み深さ 6 種類を切削断面 積に換算して横軸にとっている。また,同一条件に おいて3 回旋削実験しプロットしている。 図6(a)から,全ての被削材とも,主分力は,切削 断面積の減少と共に小さくなり,非鉄金属の場合, 0.1 μm2近傍以下では,10mN 以下の微小値になるこ とがわかる。 図6(b)は,切削断面積に対する表面粗さを示して いる。切削断面積の減少とともに表面粗さは小さく なり,最高でRa30nm が得られ,精密級の仕上がり であることがわかる。 以上のことから,切削断面積の減少により,切削 抵抗である主分力が小さくなり,表面粗さが良好に なる傾向であることが推察される。切削条件では, 高主軸回転数,微小切込み深さ,低送り速度の状態 を設定することになるが,もう少し詳細な実験によ り検証したいと考えている。 表1 実験条件
Workpiece (φ3×ℓ15) A5056,C3604 SUS303 Spindle speed rpm 312.5–60,000 Cutting speed m/min 2.9–565
Feed rate μm/s 73.5 Depth of cut μm 1–40 Area of chip section
2 2 0.0735–38.4
Cutting tool
Single-crystal Cemented Rake angle: 0 deg Clearance angle: 11 deg
Nose radius: 200 μm
(a) Principal cutting force
(b) Surface roughness 図6 切削力特性:切削断面積の影響 (切削速度:565m/min) 1 10 100 1000 10000 0.01 0.1 1 10 100 Pr incipal C u tting for ce mN
Area of chip section m2
A5056 C3604 SUS304 10 100 1000 10000 0.01 0.1 1 10 Sur face ro ug hn es s nm
Area of chip section m2
4.マイクロ生産機械システムの現状
1990 年代のマイクロ生産機械の黎明期から 2000 年代のマイクロファクトリ発表などを経て,現在で は,従来型の生産機械を1/2~1/5 程度にダウンサイ ジングした製品が市販されるようになってきた。本 研究の最終目標である1/10~1/50 には,もう少し開 発時間を要するが,この章では,筆者が所属する公 益社団法人 精密工学会 マイクロ生産機械専門員 会のメンバー企業が生産機械の大幅なダウンサイジ ングに取り組んだ製品について事例紹介したい。 図7 は,実用に耐えうる十分な性能を持たせると いう目標を掲げて2002 年に民間企業から市販され た超小型精密CNC 旋盤(MTS1,㈱ナノ)である21)。 実用化マイクロ生産機械の数少ない草分け的な存在 ともいえる製品である。機械本体のサイズは,150× 100mm ではがきサイズ(A6)でありながら,主軸, X-Z 軸テーブル,工具台が搭載されており,直径 5mm, 加工長10mm 以下に限定した微小ワークを対象とし ている。 試験切削データとして,C3604,φ5 外径 直線切削でRa30nm,真円度 P-V190nm が示されて いる。 この企業は,現在までマイクロ生産機械の開発設 計を継続しており,超小型精密CNC 旋盤およびフラ イス盤などのMTS シリーズは,現在,図 8 のような 超小型フライス盤MTS5R22)に進化している。旋削, ミーリング,研磨の3 つの加工がこの 1 台で可能で あり,本体サイズは414×450×470mm で,世界最 小の設置面積であるとの記載がある。 前述のように初代マイクロ旋盤MTS1 の機械本体 サイズがA6 であるのに対して,2 代目 MTS2 は,ツ ーリング,ワーク着脱などの作業性,工作主軸の出 力などのバランスを検討した結果,A4 サイズに設計 変更しており,実用的な最小サイズであると結論づ けている23)。その後のMTS5R までの開発状況から は,マイクロ部品の精密加工に特化した実用機を目 指していることが明瞭であり,マイクロ生産機械の コンセプトを受け継ぎながらも,形状のダウンサイ ジングには,ある収束値があるように推察される。 図9 は,自動車部品等を量産する製造現場のライ ンに組み込み可能なように,自動化対応を考慮した 生産機械である超スリムCNC 旋盤(USL-300,USL -480,㈱高松機械工業)5)を示す。先に開発されたの は図9(a)に示す工作物の大きさをφ30×L50mm と し,機械幅300×奥行 1225×高さ 1230mm とした USL-300 であった。このモデルは,市場からの要求 でもあった「対象工作物の加工径に対して機械幅が 10 倍程度の大きさ」にダウンサイジングした実用機 である。しかしながら,納入実績は数例あったもの の,ライン化する上で,機械幅の小ささから取り付 けられる工具本数が少ないこと,工具交換時の作業 スペースが小さいことなど使い勝手に関する改善も 望まれていた。 図7 マイクロ旋盤(MTS1,㈱ナノ)21) 図8 超小型フライス盤;MTS5R,㈱ナノ22)(a) USL-300 (b)USL-480 図9 超スリム CNC 旋盤;㈱高松機械工業5)
この様な背景から,図9(b)に示す機械幅 480mm の 旋盤を新たに開発している。搭載可能な工具数を 2 倍にして 1 台当たりの加工能力を向上させ,対象工 作物の大きさをφ40×L50mm に引き上げているの である。機械幅300 の製品に比較して,設置スペー スは約2.3 倍となったが,高さを 1500 に抑えて工場 内を見渡せるように配慮している。 この製品も,前述したマイクロ旋盤と同様に,従 来型の生産機械を大幅にダウンサイジングするコン セプトを受け継ぎながらも,市場のニーズである実 用化のラインに組み込むために,適切な形状にダウ ンサイズが収束している。
5.マイクロ生産機械システムの将来展望
マイクロ生産機械およびシステムの将来展望とし て,ここでは3 つの取り組みについて紹介したい。 一つ目は,現在、筆者が委員長を務める公益社団 法人 精密工学会 マイクロ生産機械システム専門 員会24)である。前身である加工機械のマイクロ化分 科会(2002~2004 年)の活動を引き継いで,2005 年5 月に発足している。 本専門委員会は、マイクロ生産機械およびマイク ロファクトリに関する専門領域の諸問題を検討する 国内唯一の組織である。また、2018 年 5 月からは、 小型工作機械メーカーの技術集団である日本精密機 械工業会と交流を開始し、各種生産機械システムの ダウンサイジングについても研究を行っている。 委員会の目的は,マイクロ生産機械システムの技 術開発および実用化の加速度的な推進を図るために, ①関連情報の収集,②関連技術データの整備,③応 用分野における課題の明確化を行い,生産技術の新 たな展開を通して精密工学の進歩・発展に寄与する ことである。委員会開催は年4 回であり,マイクロ 工作機械、マイクロファクトリ、小型工作機械、周 辺技術に関する研究・開発・実用化事例の調査・話 題提供・技術講演の内容となっている。技術講演等 により最新の研究成果を知るとともに,製品開発事 例の紹介や関連する企業・研究所・研究室などを見 学し,様々な分野の研究者・技術者・経営者と情報 交換している。 二つ目は,精密機械工業が伝統的に盛んな長野県 諏訪地方において,複数の企業が参加して2000 年に 発足したDTF(DESKTOP FACTORY)研究会1)で ある。コンセプトには,机の上に乗るくらい小さな 機械や工場で,①小さなものを,小さな機械や工場 で合理的に生産する。②短い納期と低コストですば やく形にする。③大量生産ではなく多品種変量の生 産を行う。④小さな工場や機械を実現し,最適な場 所で生産することで,ユーザーとの連携を高め豊か で創造的な価値を生み出す。と記載されている。こ れらの項目は,日本の工業技術の将来目標とも合致 すると考えられ,今後の活動に大きな期待が持たれ る。 三つ目は,ユーザーが市民である「ファブラボ」 の急速な展開である。「ファブラボ」は,デジタルか らアナログまでの多様な工作機械を備えた市民工房 のネットワークであり,個人による自由なものづく りの可能性を拡げ,「自分たちの使うものを,使うひ と自身がつくる文化」を醸成することを目指してい る25)。 日本で17 カ所,世界には 550 カ所もの広がりを見 せており,レーザカッターや3D プリンタなどととも にCNC ルータなどのデジタル工作機械が誰でも利 用できる環境になっている。モノづくりの現場にあ った工作機械が,市民向け・個人向けに新しい展開 として登場してきているのである26)。 以上のことから,生産機械・システムのダウンサ イジングが,生産現場である工場のみならず市民生 活や教育現場など,これからの日本のモノづくりに 大きく寄与して行くことが推察できる。 また,今後は工作物の大きさだけでなく,ユーザ ーの必要性に適合した,最適なサイズの生産機械が さらに数多く開発されてくるものと予測される。6.おわりに
本研究では,従来型の生産機械・システムを大幅 にダウンサイジングしたマイクロ生産機械・システ ムに関する開発の現状と将来展望について検討した。 その結果,以下のことが得られた。 (1)マイクロ旋盤を用いた旋削実験においては,切削 断面積が小さくなる条件で,切削力は微小(10mN 以下)になり,表面粗さも良好になる傾向を持つ。 Ra30nm が達成されている。 (2)現状では,ダウンサイジングの追求よりも市場ニ ーズに応えた実用的な寸法形状の精密加工機が製 品化されている。 (3)工業製品のダウンサイジング,高機能化がさらに 進むと考えると,部品の寸法に見合ったマイクロ 生産機械・システムの研究開発の重要性は増す。 (4)超小型のマイクロ生産機械・システムは,大学・ 研究機関などにおいて開発段階ではあるが,小型 高機能の標準部品およびデバイスが市販されるよ うになってきた。したがって,研究開発の促進が 大いに期待できる。参考文献
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