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地域から雇用を考える(PDF:133KB)

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Academic year: 2021

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鳥取県における現下最大の課題の一つはやはり 雇用問題である。 国と地方の仕事の割り振りでい えば一応この分野は中央政府の受け持ちとされて いるものの, 県政としてもことのほか力を入れて いる。 まずは雇用そのものの創出である。 雇用の創出 は民間の力によるところ大である。 鳥取県では民 間による雇用創出策の一環として, 地場の中小企 業の活性化策, とりわけ産官学の連携による技術 の高度化や市場での競争力の強化に努めている。 例えば県によって開発された氷温技術や民間研究 機関が保有する菌類遺伝資源を活用した産業クラ スターづくりなどである。 これら先端的分野のみ ならず, 農業についても地産地消による支えや輸 出による海外市場の開拓などを通じてその活路を 見出そうとしている。 また, 酒造や陶磁器, 和紙 などの伝統産業についても, その品質が県内外の 市場において消費者から正当な評価を受け, 地域 の技術と雇用を維持する重要な産業として今後と も発展してもらうよう種々施策を講じている。 さらに, 将来を見通して木質バイオマスによる 新エネルギー産業の芽生えにも期待を寄せている。 京都議定書の発効を引き合いに出すまでもなく, わが国は早々に化石燃料からの転換を図らなけれ ばならない。 その際木質バイオマスが代替エネル ギーとして有望であることから, さしあたり木質 ペレットストーブなどの普及に力を入れている。 石油やガスに代わって木や炭が新しい装いのもと に再び燃料として重宝されるようになれば, それ はひとつの産業として地域とりわけ中山間地域に 少なからぬ雇用の場を提供するに違いない。 ところで最近の雇用環境を見て気になっている ことがある。 それは正規雇用の割合が減少し, こ れまでともすれば例外的な扱いをされていたパー トなどの非正規雇用の割合が急速に増大している ことである。 これらは労働者の側の働き方の多様 化の要因もあろうが, 主として企業の側が経営上 の 「身軽さ」 を確保しておきたいとの思惑に起因 しているはずだ。 残念だがこの雇用環境の変化の 是非をここで論ずるだけの暇はない。 ただ, 非正 規雇用が必ずしも例外的でなくむしろ普遍化して いる現状にかんがみれば, それに見合った法制度 が社会に用意されなければならないということだ けを指摘しておきたい。 例えば子育て支援である。 少子化対策も最重要 課題である今日, 育児休業など企業の子育て支援 策も少しずつではあるが充実してきている。 しか し, それらの施策を享受できるのは総じて正規雇 用の労働者だけである。 また, 年金制度について も制度の基本は終身雇用を前提としている。 キャ リアのすべてを一企業で終えた労働者と, いわば 「こま切れ」 に年金制度を渡り歩いた労働者との 間に一体どれほどの格差がつくのか検証してみる 価値はある。 このほか労働組合法制なども見直す 必要がありはしないか。 労働組合も正規雇用の労 働者をメンバーとして成立することを想定してい るとすれば, 非正規雇用労働者の権利は誰によっ て守られるのか。 併せて, 不安定な雇用状態が普 遍化する社会にあっては一人一人の労働者がわが 身を守る術 (すべ) をちゃんと身につけなければ ならない。 そのためには司法教育とりわけ実践的 司法教育がことのほか重要になるし, それに応え られる司法制度が用意されなければならない。 新 たに導入される労働審判制度もこうした観点から 運用が点検されるべきである。 雇用については, その量が維持拡大されなけれ ばならないことはいうまでもない。 同時にその質 も問われなければならないし, その質を実質的に 担保するため, これまでの社会のあり方を前提に して成り立っている制度や仕組みもこの際見直さ なければならないということである。 (かたやま・よしひろ 鳥取県知事) 1

地域から雇用を考える

片山 善博

参照

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