Title
[報文]サヤインゲン種子抽出物の抗酸化活性
Author(s)
和田, 浩二; 高良, 健作; 玉村, 隆子; 屋, 宏典; 仲宗根, 洋子;
江川, 宜伸
Citation
南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical
resources technologists, 15(1): 17-20
Issue Date
1999-10-01
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/14162
サヤインゲ ン種子抽出物の抗酸化活性
和 田 浩 二*.高 良 健 作*・玉 村 隆 子' 屋 宏 典+・仲宗根 洋 子*・江 川 宜 仲川
'琉球大学農学部, H 国際農林水産業研究セ ンター沖縄支所
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KojiWADA暮,KensakuTAKARA',TakakoTAMAMURA●,
HirosukeOKU●,YokoNAKASONE`andYoshinobuEGAWAH 'FacultyofAgn'cultulle,UniversityofTheRyukyus,
SenbanL-1,Nishihara,Okinawa903-0213,Japan
HOkinawaSubtropicalStation,JapanIntemationalResearchCenterfor
AgricultureSciences(JIRCAS),
Ishigaki,Okinawa90710002,Japan
緒 言 生育適温 を越える高温は,作物 に高温障害を 引き起 こ し低生産性の因子の一つ となることか ら.熱帯 ・亜熱帯地域 においては耐暑性作物の 開発が望 まれている.高温障害発生のメカニズ ムを明 らかに しようと生理学的 ・遺伝学的な研 究1)は行われているものの,種子の有す る成 分 と耐暑性 とのかかわ りに関 しての報告はほとん ど見当た らない.種子は一つの生命体であ り, 種の保存のため,将来の発芽や成長 にかかわ る 貯蔵物質を酸化的障害か ら保護す るための防御 物質を含んでいることが推測 され る. 本研究では,国際農林水産業研究セ ンター沖 縄支所でスク リーニ ング し育成 された,耐暑性 に極めて優れたサヤインゲ ン品種である 「ハ イ ブシ」種子抽出物の抗酸化活性を測定す るとと もに,異なる品種 のサヤインゲ ン種子抽出物の 持つ抗酸化能 との比較を行 った. ●沖縄 県中頭郡西原町千原1 日沖縄 県石垣市字真栄星川良原109ト1 ##*法 1.試料および栽培法 1998年の各時期におけるサヤインゲ ンの収量 は耐暑性品種であるハ イブシと一般的な市販品 種であるケ ンタ ッキーワンダーを用いて比較 し た.サヤ インゲ ンは防虫ネ ットを張 ったパ イプ ハ ウスにおいて,キ ュウ リネ ット仕立てで畝幅 1m,株間25cmと し1品種あた り5m2(20株 ) 栽培 した,一方,抗酸化活性測定用品種 と して は収穫 されたハ イブシ,ケ ンタッキーワンダー, ライ トグ リー ン,および種実用 インゲ ンマメと して市販の金時を用いた.なお,標準物質 と し て
α
-トコフェロールお よび ブチル ヒ ドロキ シ アニソール (BHA)を用いた.2.
抗酸化活性測定用試料の調製および活性測定
抗酸化活性測定用抽出物の調製は各種子試料 5gを ミキサーで粉砕 したのち.50mi のメタノー ルで一晩抽出す ること古手より行 った.得 られた 抽 出液の一部を採取,乾固 し収量を求めた後, エ タノ-ル :水 (5 :1)溶液 で 1mg/mlに南方資源利用技術研究会誌 表1.各期 (1998年)におけるサヤインゲンの収穫量 (20個体あた り)と良策率 播英 日 2月即 日 4月10日 5月13日 収穫期間 4月14日∼ 5月12日 5月26日∼6月25日 6月25日-8月3日 品種名 合計 良策率 合計 良英率 合計 良策率 ハ イプシ 9535 1215 70 ケ ンタッキーワンダー 8720 776 45 5521 2333 1029 63 537 10 1129
0
206 28 0 上段 :新鮮重 (g) 下段 :英数 良英率 (%) :良英数 ・合計英数一 1・100 濃度を調製 したものを活性測定用試料 と した. 抗酸化活性の測定法 はOsawaら2)の ロダ ン鉄 法を一部改変 して行 った.す なわ ち, 10ml容 褐色瓶に試料200FLl(抽 出物0.2mgを含む ), エタノール (99.5%)0.23m1,50mMリン較緩 衝液 (pH7.0)0.8ml.蒸 留水0.37mlお よび2.5 % リノール酸エタノール溶液0,4mlを加 えた反 応液を調製 し,40℃ に保温 した.この反応液を 経時的に100〃l採取 し,75%ェクノール溶液4.7 m1,30%チオシアン酸ア ンモニ ウム溶液0.1ml および20mM塩化第一鉄3.5%塩酸溶液0.1mlを 加えた後, 3分後 の500nmの吸光度 を測定 し た.一方,標準物質であ るα-トコフ ェロール およびBHAもそれぞれ0.2mg含まれ るように調 製 した.なお, リノール薮は東京化成 (生化学 用 ),他は市販特級試薬を使用 した. 結果および考察 1.各期におけるサヤインゲンの収量 インゲ ンマメは.若菜 を野菜 と して利用す る サヤインゲ ン用と,煮豆.アンなどに加工 され る乾燥種実用に分煩される.サヤインゲ ンはイ ンゲ ンマメの若美であるが.乾燥豆を食べ る種 実用 インゲンとは品種が異なり,その形か ら代 表的なものと して ドジ ョウインゲン,丸英 イン ゲ ン,平莱 インゲ ンに大別 されている3
)
.本研 究で栽培 されたケ ンタッキーワンダーは ドジ ョ ウインゲンであ り.ハイブシは英の形か ら丸英 と平素 インゲンの中間的なものと考え られた. 8 6 4 N 0O
(U 0 O OSd
.
0 0 2 4 6 8 10 12 14 時間 (日) 図 1. ロダ ン鉄法によるハイブシ種子抽出物の 抗軽化活性の評価0.
コン トロール ;●.ハイプシ ;雷
.
α
-トコフェロール :▲.BHA
表1に各期におけるハイブシおよびケンタッキー ワンダーの収穫量 と良美率を示 した.両品種 と も5月中旬までの栽培では十分収穫できたが. それ以降の夏季高温条件下では収量が減少 した. 特にケ ンタッキーワンダーにおいては6
月2
2
日 以降.着花はす るものの.その後ほとんどの花 器が落下 して しまい若菜は収穫できなか った. この原因の一つに.サヤインゲ ンの花粉は高温 により,主に花粉四分子期以降に顕著な障害を 受けることが報告 されている4).一方. ハ イブ シは夏季高温条件下でも良薬率は低下 したもの の収穫は可能であ り,ケ ンタッキーワンダーに比べて強い耐暑性を示 した. 2.ハ イプシ種子抽出物の抗軟化性 ハ イブシが醜い耐暑性を示 した ことは.次世 代への生命の継承に大 き く寄与 している種子に も何 らかの防御機能が備わ っていることが予想 された.そ こで,生体防御系の一つである抗酸 化的機能に関 して検討 した.図1にハ イブシの メタノール抽 出物の抗酸化性を ロダン鉄法 によ り経時的に測定 した結果を示 した.ロダン鉄法 は脂質の過酸化によ って生成す る過酸化脂質 を 測定す るものである5).す なわ ち.過酸 化脂 質 により酸化 された3価鉄がチオシアン酸 アンモ ニ ウム と反 応 して生 成 した赤 色 の ロダ ン鉄 (Fe(SCN)3)を比色定量す る方法であ り. 500 nmの吸光度 の値が高 くなるにつれ系 の酸化 が 進んでいることを意味す る,図1からハ イブシ のメタノール抽 出物 は. 合成抗酸化剤 であ る BHAには若干劣 るものの, 代表 的 な天然抗酸 化剤である
α-
トコフ ェロール よ りも強 い抗酸 化活性を有す ることが示 された.一方,ハ イブ シに含 まれ る トコフ ェロールの抗酸化活性への 寄与を明 らかにす るために.高速液体 クロマ ト グラフ ィー法を用いてその含量を測定 した結果, 種子100gあた り3.7mgと低 く, トコフ ェロール のみ による活性 とは考え られ なか った.この こ とは,Ts
uda
ら6)の種 々の種実用の イ ンゲ ンマ メのもつ抗酸化活性 と トコフ ェロール含量の関 係の報告 と同様であ った. 3.サヤ インゲ ン種子抽出物の抗酸化性の比較 種実用 インゲ ンマメは,形,大 きさ,色な ど の相違 によ り多 くの種類が存在す る7). サヤ イ ンゲ ン種子に関 しても同様であることか ら,3
種頬のサヤインゲ ン種子および種実用 インゲ ン マメ (金時 )のメタノール抽出物の抗酸化性 を ロダン鉄法によ り比較 し.結果を図2
に示 した. 各種子の種皮はハイブシでは黒色,ケンタッキー ワンダーでは茶色, ライ トグ リー ンでは白色, 金時では赤色を呈 していた,図2か ら明 らかな ように3種頬のサヤインゲ ンの中ではハ イブシ が強い抗酸化活性を示 し, それ はα-トコフ ェ ′ヽイブシ ケ ンタッキーワンダー ライ トグ リー ン 金時 BHA α-トコフェロール コン トロール 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0.D.500 図2.
サヤインゲンおよび インゲ ン種子抽出物 の抗酸化性の比較 (ロダン鉄法,10日日) ロールよりはるかに強いものであ った.Ts
uda
ら68)は 白色種皮.赤色種皮および黒色種皮 を もつ 3種類の種実用 インゲ ンマメについて種皮 と旺乳部 に分け抗酸化性を比較 した結果,活性 は種皮部 について認め られ.赤色および黒色の ものが強い抗酸化性を示 したことを報告 してい る.図2に示 したようにサヤインゲ ン種子につ いても同様であ り, またその抗酸化性は種実用 インゲ ンマメである金時 に類似 していることか ら,種子の生物機能を維持す るために酸化的ス トレスに対 して種皮の色素が防御擬能を果た し ていることが推定 された.一方. インゲ ンマメ だけでな く米種子で も品種により酸化ス トレス に対す る防御効果が異なることが報告 されてい る91t).すなわ ち.長期保存や γ線照射 とい う 酸化的障害を与えたインデ ィカ種 とジャポニカ 種の発芽試験を行 った結果,野生種のインデ ィ カ種が高い発芽率を示 し, さ らに籾が らに存在 す る成 分が高い抗酸化的防御効果を有す ること が観測 されている. また,同 じインデ ィカ種 に 属 していても黒米が最 も保存 ・貯蔵性 に優れ 赤米. 白米の順で酸化的なス トレスに対 して抵 抗性を有す ることが報告 されている11). 国際農 林水産業研究セ ンター沖縄支所でスク リーニン グ し育成 されたサヤインゲ ン 「ハ イプシ」 は黒 色の種皮 を有す る野生種 に近 い品種であ り,そ のメタノール抽 出物が高い抗酸化性 を示 したこ とか ら,ハ イブシが酸化ス トレスに対す る高い防御効果機能を有 していることが示唆 された. 本研究は生研機構基礎研究推進事業の援助 に より行いま した. 要 約 国際農林水産業研究セ ンター沖縄支所でス ク リーニ ング し育成 された,耐暑性 に極めて優れ たサヤインゲ ン品種である 「ハ イプシ」種子抽 出物の抗酸化活性 を測定す るとともに,異 なる 品種のサヤインゲ ン (ケ ンタ ッキーワンダー, ライ トグ リー ン)およびインゲ ン (金時 )種子 抽出物の持つ抗酸化能 との比較 を行 った. 各期 における収量および良英率 をハ イブシお よびケ ンタ ッキーワンダーで比較 した結果,ハ イブシが強い耐暑性を有することが明らかとなっ た.次 に,ハ イプシ種子のメタノール抽 出物の 抗酸化性を ロダン鉄法によ り測定 した結果
α-トコフェロールよりかな り強い活性 を示 した. また, 3種類のサヤインゲ ン種子抽出物の中で はハ イブシの抗酸化活性が最 も高 く, インゲ ン 種子抽出物の抗酸化活性の結果 もあわせ て種皮 の色素が大 きな役割 を果た していると推定 され た. これ らの ことか ら,ハ イブシ種子が酸化ス トレスに対 して高い防御機能を有 していること が示唆 された. 文 献1)Monterroso,Ⅴ.A.andWien,H.C.Flower andpodabscissiondueto heatstress in beans.:I.Am.Soc.Hort.Sci" 115,
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