アジ研ワールド・トレンド No.249(2016. 7)
44
ワ
ー
ク
シ
ョ
ッ
プ
「
欧
州
の
研
究
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
専
門
家
か
ら
学
ぶ
国
際
連
携
研
究
で
求
め
ら
れ
る
ス
キ
ル
と
役
割
」
を
開
催
近
年、
国
内
の
大
学
で
は、
R
U
11(
Research
University
11
:
学
術
研
究
懇
談
会
)
⑴
を
中
心
に
U
RA(
University
Research
Administrator
)と
呼ばれる新しい人材が活躍しています。URA
は、
大学各部門とも連携しながら、
海外の大学
・
研究機関等との国際連携研究の調整や、研究助
成
金
の
獲
得
支
援(
プ
レ・
ア
ワ
ー
ド
)、
獲
得
後
の
支
援(
ポ
ス
ト・
ア
ワ
ー
ド
)、
学
内
の
研
究
者
が
知
り合う機会づくり、外部への発信力の強化など、
研究事業を支える様々な取組みを進めています。
アジア経済研究所でも、二○一三年より「研
究マネジメント職」を採用し、研究プロジェク
トの企画・調整、海外の研究機関との連携や所
内外をつなぐコーディネーターなどの業務に携
わっています。
こうした人材の役割が重要視され、また国内
の研究機関において国際連携研究事業の重要性
が高まるなか、研究支援を実際どう進めればよ
いのかを議論するため、三月九日にワークショ
ップを東京大学政策ビジョン研究センター(P
ARI)と共に開催しました。
ワークショップでは、オランダ・エラスムス
大学においてEUと大学の関係構築や国際連携
研究のコーディネートを長く実践されてきたマ
ルヨライン
・
ファン
・
グリータイゼン氏(
Global
Scientific
Business
Innovations
社
代
表、
エ
ラ
ス
ム
ス
大
学
European
Affairs
and
Innovation
Office
元
所
長
)
が
基
調
報
告
を
行
い
ま
し
た。
同
氏
はこれまでオランダにおいて研究事業の開発を
行われてきた自身の経験を交えて、EUの研究
を巡る政策や動向、国際連携研究の重要性や進
め方について報告しました。
国際連携研究を推進するには、研究内容や研
究者をよく理解するために丁寧に話を聞きなが
ら、外部、内部のコーディネートを行うことが
大切であること、また、大学としての研究戦略
を構築するうえでは、データを用いた客観的な
分析が重要になるとの指摘がありました。さら
に
E
U
で
の
外
部
資
金
獲
得
の
競
争
激
化、
Horizon
2020
等
研
究
助
成
金
等
の
変
遷
な
ど、
欧
州
を
取
り
巻く研究環境の変化についても報告がありまし
た。
日
本
の
研
究
連
携
を
取
り
巻
く
状
況
に
つ
い
て
は、
群馬大学産学連携・共同研究イノベーションセ
ンターの伊藤正美教授に「異セクター・異分野
間の連携研究による価値創造を目指して――そ
の陥穽と克服への道程――」と題してご報告い
ただきました。国内の産学連携を中心に、異セ
クターでの連携の制約条件や「多能工型」人材
の
育
成
の
重
要
性
が
指
摘
さ
れ、
「
制
約
条
件
を
理
解
し、連携の構造をイメージして能動的に提案を
していくことが重要である」と指摘されました。
後半のパネルディスカッションでは、村上壽
枝・東京大学政策ビジョン研究センター特任専
門職員(URA)の進行のもと、EU側、日本
側が研究支援の現状や課題をあげ、グリータイ
ゼン氏からは専門家としてこれまで苦労した体
験、これからの人材へのアドバイスをいただき
ました。
トム・クチンスキー氏(駐日EU代表部科学
技
術
部
科
学
ア
ド
バ
イ
ザ
ー)
、
マ
シ
ュ
ー・
ピ
ー
氏
(
EURAXESS
日
本
担
当
)
か
ら
は
Horizon2020
の概要や欧州との連携研究を進めるうえでの支
援
体
制
な
ど
の
説
明
が
あ
り
ま
し
た。
ピ
ー
氏
か
ら
は
特
に、
「
な
ぜ
国
際
連
携
が
重
要
な
の
か?」
に
つ
い
て
各
国
の
デ
ー
タ
を
も
と
に、
国
際
連
携
研
究
の
実
施
の
割
合
が
高
い
国
ほ
ど、
イ
ン
パ
ク
ト
が
大
き
い
研
究
の
実
施
割
合
が
高い、との報告がありました。また、現場の視
点として東京大学生産技術研究所URA(特任
専門員)の西村薫氏、アジア経済研究所研究マ
ネジメント職の佐々木晶子がパネリストとして
参加し、議論を深めました。
会場からは研究開発を進めるうえで、アメリ
カでは国の研究助成体制や研究機関との連携体
制が明確だが、欧州ではEUと各国の二重構造
になっているが、そうした体制への影響はある
のか、などの質問があり、少人数ながら中身の
濃い時間となったと思います。
今回、欧州での研究環境や研究を支える立場
の人材について学び、また、研究の周辺で重要
な役割を果たしている専門家からアドバイスな
どもいただくことができました。今回得た学び
を、これからの研究マネジメントの仕事のなか
で活かしていきたいと思っています。
(文責:研究マネジメント職
佐々木晶子)
《注》
⑴RU
11:研究高度人材の育成に重点を置いた
大
学(
Research
University
)
の
な
か
で
一
一
の
国立大学、私立大学で組織するコンソーシアム。
(二〇〇九年発足)
(RU
11ホームページ参照)
。
ワークショップ当日の様子
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