今、日本の英語教育が大きく変わろうとしています。東京オリン ピック・パラリンピックが開催される2020年には、小学校で英語 が正式な「教科」になることが予定されています。現在の小学5・6 年生は、教科ではない「外国語活動」の中で英語に触れています が、2020年度からは外国語活動が3・4学年まで降りて行き、5・6 年生は教科としての英語を受けるという計画です。 もともと英語教育の文化がなかった小学校教育の6年間のうち 4年間英語が入って来るということですから、非常に大きな変化に なると言えます。そしてこの計画は、これから小学校教員になろうと する教育学部の学生の皆さんに、大きな影響を与えることが予想 されます。小学校英語は若い先生が担当になりやすく、新卒採用 後、いきなり外国語主任になるケースもあります(本学卒業生にも います)。滋賀大教育学部は、学生の皆さんが将来、小学校で英語 教育に力強く対応できるように、様々な取り組みを行っています。 小学校英語では、「話す・聴く」といった音声面が重視される傾 向があり、英語スピーキング能力が高い教員が求められます。も ちろん、英語の音声はCDなどの音声教材や外国人のALT(外国 語指導助手)に頼るという考えもあります。しかし、児童にとって 教師は英語使用者・英語学習者のモデルであり、自ら積極的に 英語を話す姿勢を見せることが重要です。その中で、教師自身の スピーキング力が高いに越したことはありません。 教育学部では、学生のスピーキング力を向上させるために、平 成26年度の秋学期に、ベルリッツ・スピーキング講座を中心とした プロジェクトを実施しました。大手英語学校の一つであるベルリッ ツは、スピーキング教育で高く評価されています。希望した32名の 学生に対して、ベルリッツ講座を15回、無料で、しかもキャンパスで 受けられるようにしました。ベルリッツ内で確立された指導方法を 用いるネイティブ講師によって、少人数クラスで英語発話を丁寧に 指導してもらえたおかげで、期待通りの成果があがりました。 また、ベルリッツ講座期間の前後に、GTEC(ジーテック)という、 英語の4技能試験を学生に受験してもらいました。4技能試験とは、 「読む・書く・聴く・話す」の4つの英語技能の全てをテストする、日本 ではまだ珍しいもので、これによりベルリッツ講座の効果を知るこ とが出来ました。さらに、学生がベルリッツ講座をより効果的に利 用できるように、日本人の講師による事前・事後指導を行いました。 平成27年2月21日には、教育フォーラム「小学校英語の未来」 を開催しました。フォーラムの目玉として、文科省で小学校英語 を担当する外国語教育推進室の室長である圓入由美氏と、小学 校英語教育学会の会長で筑波大学大学院教授の卯城祐司氏 に、それぞれ「今後の小学校英語の充実について」、「小学校外国 語活動を踏まえた小中連携の課題と展望」というテーマで、1時 間ずつ講演していただきました。 その他、本学部附属小学校・外国語主任教諭の仲村晴美氏と、 その前任者で現在、守山市立吉身小学校教諭の永石利行氏によ る、小学校における「外国語活動実践報告」があり、最後に執筆 者の尾島が「滋賀大学の取り組み」というテーマで、教育学部が どのように小学校英語に取り組んでいるかを説明しました。教育 フォーラムは様々なテーマで毎年開催されていますが、今回は 例年より多い130名ほどの参加者がありました。学生の参加も多 く、フロア全体での質疑応答で発言する学生もいて、実り多い会 になりました。 普段の教育・研究活動でも、小学校英語に関して様々な取り 組みをしています。「英語科授業研究」という授業では、小学校 英語教育の実践力を育てるために、学生が小学校英語の授業 案を独自に考えて、模擬授業を行うなどの活動があります。ま た、普段から英語の音声面を強化するため、英語教育学の専門 の授業を英語で行ったり、毎週学生の英語スピーチを実施した りするなどの試みがあります。教育実習以外でも小学校英語の 現場経験を積ませるために、小学校からの要請に応じて、英語 教育講座の教員が学生をボランティアとして派遣する活動も 行っています。 また、小学校で英語が教科になると、教科書が必要になるの で、教科書に近い欧米の児童英語教材や、韓国の小学校英語教 科書などを研究・分析しています。また、英語教育講座には、人間 の脳の働きを通して言語学習を研究してきた教員が二人いる (大嶋秀樹教授と執筆者の尾島)ので、そうした研究を推進する ための言語学実験室があります。今後もこのような教育・研究の 取り組みを推進し、小学校英語の未来を担える学生を育てること を目指します。 6
滋賀大学のいま 「教育学部が担う小学校英語の未来」
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