D07
汀線沿いに位置する斜面の高頻度変位量観測
Short-time-interval monitoring of displacement in a coastal landslide
〇松浦純生・大澤 光・土井一生・柴崎達也・土佐信一〇Sumio MATSUURA, Hikaru OSAWA, Issei DOI, Tatsuya SHIBASAKI and Shinichi TOSA
To clarify the fluidization mechanism of the moving body of a landslide, we measured pore-water pressure and displacement at a reactivated coastal landslide in eastern Hokkaido. A long-distance landslide occurred during a heavy rainstorm of Typhoon No. 20. In this presentation, we report on the dynamic fluctuation properties of pore-water pressure and landslide displacement, which were monitored every 50 ms during the study.
1.はじめに 北海道東部の海岸斜面は、崩壊や地すべりの多 発地帯となっており、汀線の後退が著しい。斜面 変動の誘因としては、降雨や融雪、波浪などが考 えられるが、詳しいことは明らかになっていない。 一方、本地域は基盤地質の固結度が弱い上に再活 動型地すべりが多いことから、移動体が流動化す ることも多い。このため、気象や海象条件に加え、 地震を含む複合的な誘因によって発生する斜面変 動の発生機構や流動化のメカニズムを明らかにす るため、再活動型の海岸地すべりを試験地として 設定し、変動量や間隙水圧などの高頻度観測を実 施した。観測中に地すべりが発生し、動的な変位 等の観測に成功したので、予察的に報告する。 2.観測場所および観測方法 試験地は、北海道東部の厚岸湾に沿った丘陵地 帯に位置する、再活動型の小規模な海岸地すべり に設定した。過去から繰り返し活動しているため、 風化泥岩を主体とする移動体は著しく破砕され攪 乱されている。地すべり地周辺は比高30~50m の 丘陵が海岸沿いに広がっているものの、後背山地 は存在しない。しかし、地下水は豊富で斜面末端 では地下水の流出がみられる。本試験地に、2015 年9 月に孔内伸縮計や間隙水圧計などを増設し、 従来からの10 分間隔に加え、20Hz サンプリング による動的観測を開始した。 3.結果と考察 長距離の移動を伴う地すべりが9 月 19 日の深夜 に発生した。これは、台風20 号の影響により、19 日の午後から夜にかけて、20mm を超える時間降 水量とともに、総量で約 200mm に達した降雨に よるものである。多量の降雨により間隙水圧は上 昇したものの、斜面下部(BV-15-4)の間隙水圧は 19 日 の 夕 方 か ら 降 下 し た 。 一 方 、 斜 面 中 下 部 (BV-15-3)の間隙水圧は 40kPa 以上に上昇した後、 大きな変位にともなって一時的に負圧まで下がっ た(図-1)。これは、下部からの変位が累積する ことによって移動体内部に新たな亀裂などが生じ、 間隙水が急速に消散したためと考えられる。同様 な現象は自然斜面を使った現地実験1) や急激な変 位を示した地すべり地などでも報告されている。 一方、降雨が止んだ19 日の 23 時頃から地すべ りの微小な変位量が観測された。初期は3~5 分ご とに5~7mm の変位が間欠的に発生した。したが って、累積変位量はステップワイズ的な特徴を示 す。その後、変位速度は徐々に大きくなり、約 2 時間後の20 日午前 1 時頃には、最大 12mm/s の変 位速度を記録し、約5 時間後には微小変位に移行 した(図-2)。10~12mm/s の変位速度は約 10 分 間 継 続 し 、 こ の 間 に お け る 累 積 変 位 量 は 4,446mm に達した。 参考文献
1) Ochiai, H. et al. (2004): A fluidized landslide on a natural slope by artificial rainfall, Landslides, 1, 211-219.
-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 250 300 350 2 2: 3 0 2 2: 3 9 2 2: 4 8 2 2: 5 7 2 3: 0 7 2 3: 1 6 2 3: 2 5 2 3: 3 5 2 3: 4 4 2 3: 5 3 0 :0 3 0 :1 2 0 :2 1 0 :3 1 0 :4 0 0 :4 9 0 :5 9 1 :0 8 1 :1 7 1 :2 7 1 :3 6 1 :4 5 1 :5 4 2 :0 4 2 :1 3 2 :2 2 2 :3 2 2 :4 1 2 :5 0 C u m m u la tiv e d is p la ce m en t (m m )
Elapsed time (50msec)
図-1 降雨とそれに伴う間隙水圧及び地すべり変位量の観測結果 図-2 地すべり変位量の観測結果 0 2 4 6
18-Sep 19-Sep 20-Sep 21-Sep
P re ci p ita tio n (m m /1 0m in ) 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 -10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 D is p la ce m en t (m m ) p or e -w a te r pr e ss u re (k P a) BV-15-3(-2.9m) BV-15-4(-3.2m) BV-15-2(-3.2m)