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送電混雑コスト評価プログラムの開発―送電線増設によるコスト削減効果の検討―

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 送電混雑コスト評価プログラムの開発 ―送電線増設によるコスト削減効果の検討― 背 景 競争環境下における電力流通設備計画の評価において、広域的卸電力取引の活性化により得られる経済的効 果と供給信頼度を維持する価値とを融合させた新たな考え方が必要である。その際には、需要変動以外にも、 新規電源立地計画の変更や電力取引に伴う送電混雑の発生など従来とは異なる新たな不確実性も考慮する必要 がある。. 目 的 本研究では、電源の計画外停止や送電線故障を考慮し、送電線増設によって得られる送電混雑緩和および供 給支障回避などの効果を検討するために、送電混雑コスト評価プログラムを開発する。. 主な成果 1.送電混雑コスト評価プログラムの開発 地点別供給コストの検討のために当所で開発した「ノーダルプライス評価プログラム」に、電源の計画外 停止と送電線故障を考慮し、電源間の発電出力調整と負荷遮断も含む TLR ベースによる送電混雑解消機能 を付け加えた「送電混雑コスト評価プログラム」の開発を行った(図 1)。この評価プログラムを用いるこ とで、電源の計画外停止や送電線故障を考慮し、送電混雑解消に要した増分発電コストと地点別不足電力量 (負荷遮断量(期待値) )に停電コスト単価を乗じた値から成る送電混雑コストを定量的に把握することがで きる。 2.簡易系統モデルによる送電線増設の送電混雑コスト削減効果の検討 本研究では、送電線増設有無の送電混雑コストの差分を送電線増設により得られる送電混雑コスト削減効 果とし、簡易系統モデル* 1 を用いたシミュレーションにより、主に以下のことが明らかとなった。 (1)想定した電源・系統構成や停電コスト単価に依存するものの、送電線増設後に得られる効果は、電源間 の発電出力振替による増分発電コストの軽減効果よりも、送電制約に起因する地点別不足電力量(期待 値)を抑制する効果の割合が大きい。 (2)電源事故時でも送電混雑が解消されるような場所に送電線を増設しないと、運用開始時期にかかわりな く送電線増設による送電混雑コスト削減効果を得ることが出来ない場合や(図 2、送電線 L8 を増設した 場合)、送電混雑や地点別供給支障を悪化させ送電混雑コストの増加を招いてしまう場合がある(図 2、 送電線 L3 を増設した場合)。また、想定外の電源追加による系統内の電力潮流パターンの変化をもたら し、送電線増設による送電混雑コスト削減効果を低下させてしまう場合もある。. 今後の展開 多地域系統モデルへの拡張等の本評価モデルの改良や、我が国の実情に即した想定シナリオの検討などを通 じて、流通設備形成に関する定量的な評価手法の確立を図り、それに基づき競争環境下に適合した流通設備形 成の考え方を検討する。 主担当者 関連報告書. 社会経済研究所 上席研究員 岡田 健司 「送電混雑コスト評価プログラムの開発─送電線増設によるコスト削減効果の検討─」電力 中央研究所報告: Y07031(2008 年 5 月). * 1 :簡易系統モデル: 8 母線(ノード)、11 送電線、8 電源、5 需要家。なお、石油および LNG 電源の燃料関数の経年 変化を想定。各需要は年 1.5 %で増加するものと仮定。. 64.

(2) 4.電力流通/先進保守技術 ステップ①関連データの設定 電源事 故想定. 関連データ(需要・電源・系統データ). ステップ ③ 各電源事故想定下における送 電線N-1基準を満たす送電混雑管理. ステップ② 各電源事 故想定下における 需給バランスの確保. TLRベースによる送電混雑解消:米国・NERC (National Electric Reliability Corporation)に よって開発されたTLR(Transmission Loading Relief)を参考にした送電混雑管理方法。具体 的には、電源間の発電出力調整のみで送電混 雑が解消できない場合に、混雑送電線の過負 荷潮流削減貢献度(潮流分流係数から求めら れる過負荷解消係数)に応じて、地点別に負 荷遮断と電源の発電出力調整によって送電線 混雑を解消する。. ※ 1: 負荷遮断後に送電混雑が発生しなければ 「送電線制約に起因する供給不足電力量」をゼ ロとする。 ※ 2: 発電費用最小化ベースで発電機出力決定 後に送電混雑が発生しなければ「増分発電コ スト」をゼロとす. 供給不足有り. 供給不足のチェック. 需要の大きさに比例して供給不 足量を負荷遮断量として各需要 に配分し,各電源の発電出力を 最大出力制約値に固定. 無. 発電費用最小化ベースで 各電源の発電出力の設定 (負荷遮断なし). 有. 送電線故障を考慮 した送電混雑発生 のチェック(※1). 比例配分 ベースの負 荷遮断量. 有. 供給不足無し. 送電線故障を考慮 した送電混雑発生 のチェック (※2). 電源間の発電出力調整 による送電混雑解消. TLRベースによ る送電混雑解消 TLRベー スの負荷 遮断量. 送電線故障を考 慮した送電混雑 有 発生のチェック +. − 送電線制約に起因する供給不足電力. 停電コスト 単価. 停電コスト (期待値). 送電混雑コスト (期待値). 無. 送電運用制 約を考慮しな い場合の総 発電コスト 無. +. −. 送電運用制 約を考慮し た場合の総 発電コスト 増分発電コスト 増分発電コスト (期待値). 電源事故想定の状態確率. 図1 送電混雑コスト評価プログラムの概要. 80. 送電線 L8 を増設の場合、増設送電 線の運用開始時期に関わらず送電混 雑緩和や供給支障回避等の効果を得 ることはできない。. コスト改善 送電 混雑コスト改善率 [% ]. 60 40 20 0 -20 -40 -60 コスト悪化 -80 現時点. 5年 後. 10年後. 15年後. 20年後. 増 設 送 電線運 用開始 時期 送 電線L1を1回線増設(送電 容量 140MW 増加) した 場合 送 電線L8を1回線増設(送電 容量 190MW 増加) した 場合 送 電線L3を1回線増設(送電 容量 170MW 増加) した 場合. 送電線 L3 増設の運用開始時期を 20 年後まで遅らせれば、需要増加と燃 料費の経年変化による電源運転パ ターンの変化により送電混雑コスト の悪化が抑制される。. 図2 各増設送電線の運用開始時期の違いによる送電線増設によるコスト削減効果の比較 *停電コスト単価を 700 円 /kWh、割引率を 3%とし送電線運用開始に得られるコスト削減効果を、現時 点の現在価値に変換。各送電線を増設ケースとも、25 年間は新規電源の建設は無いものと想定。 *送電混雑コスト改善率(%)=(送電線増設を行わない場合の送電混雑コスト−増設送電線運用後の送電 混雑コスト)/(送電線増設を行わない場合の送電混雑コスト)×100. 65. 4.

(3)

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