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神経難病在宅療養ハンドブックの全面的見直しと出版

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Academic year: 2021

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(1) . テーマ: 神 経 難 病 在 宅 療 養 ハ ン ド ブ ッ ク の 全 面 的 見 直 し と 出 版. 申 請 者 名 :医 療 法 人 財 団 老 蘇 会 静 明 館 診 療 所 矢 崎 一 雄. 助 成 対 象 年 度 :2014 年 度 前 期. 1 / 123.

(2) . 神経難病在宅療養バンドブック改訂版 (タイトル未確定) 出版社:メディカルレビュー社. 2 / 123.

(3) . 執筆者一覧 (50 音 順 ). 執 筆 者 大達清美 松阪中央総合病院 神経内科 荻野美恵子. 北里大学医学部付属新世紀医療開発センター(北里大学東病院神経内科) 高橋貴美子 札幌中央ファミリークリニック 武井麻子 北祐会神経内科病院 神経内科 成田有吾 三重大学医学部看護学科 難波玲子 神経内科クリニックなんば 橋 本 司 訪 問 診 療 ク リ ニ ッ ク 六 花 ・ 愛 媛 医 療 セ ン タ −神 経 内 科 矢崎一雄 静明館診療所 薬 剤 表 岡本明大 三重大学医学部附属病院薬剤部 杉本浩子 三重大学医学部附属病院薬剤部 協力者 生駒真由美 愛媛大学医学部附属病院 老年神経内科 難病コーディネーター. 3 / 123.

(4) . 目次: under construction. 4 / 123.

(5) . ハンドブックチャート: under construction. 5 / 123.

(6) . 第1章 緩和ケアの概念 (神経内科における緩和ケアの必要性) これまでの日本における緩和ケアはがんを中心に発展してきました。しかし、すでに 2002 年 の WHO の 定 義( コ ラ ム 1 )で 示 さ れ て い る よ う に 、緩 和 ケ ア は が ん の み な ら ず 全 て の「重い病を抱える患者やその家族一人一人の身体や心などの様々なつらさをやわらげ、 より豊かな人生を送ることができるように支えていくケア」 ( 日 本 緩 和 医 療 学 会 )を 意 味 し ま す 。 こ れ は ま さ に 神 経 難 病 分 野 で 行 っ て き た 診 療 そ の も の と い え ま す 。 神 経 難 病 で は 、移 動 、整 容 、摂 食 、排 泄 、呼 吸 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、思 考 、記 憶 な ど 、 さ ま ざ ま な 機 能 に 支 障 を き た し ま す 。 医 療 技 術 は 日 々 進 歩 し て お り 、 iPS 細 胞 に 代 表 さ れ る再生医療にも大きな期待が寄せられていますが、実際の臨床応用が実現するにはまだま だ時間が必要です。特に変性疾患に代表される神経難病では、現在のところ進行を止める ことすら困難です。原因が解明されておらず治療方法が確立していない疾患では、診断時 に難病であると告げられるだけで精神的苦悩を生じます。さらに、診断がつく前から患者 さんは症状とともにあり、診断確定までにはかなりの時間がかかることもあります。発症 からの時間経過は患者さんを苦しませ不安に追い込んでいます。その意味でも発症早期か ら 様 々 な 苦 し み を 「 緩 和 」 す る た め の ケ ア の 導 入 が 求 め ら れ ま す 。 近年はさまざまな情報に患者さん・ご家族も容易にアクセスできる時代になりしたが、 ときにそれらの情報が、不安や妥当ではない期待や予測を生じさせます。初診からそれほ ど時間が経過していなくとも、症状進行時の苦悩を予見して不安を生じたり、実際に進行 を自覚し、出現しはじめた息苦しさなどの症状から先行きを悲観して自殺まで考える患者 さんもいます。息苦しさや痛みなどの苦痛症状を抱えたままでは前向きに考えることが難 しくなります。心理的支援やケアに加えて、薬物や補助機器を適切に使用することは、患 者 さ ん の 苦 悩 を 軽 減 し 、生 命 の 延 長 と 生 活 の 質( QOL)の 改 善 が 期 待 で き 、こ れ ら を 含 め て 緩和ケアと捉えることができます。しかし、これまで神経難病と呼ばれる領域おいて、特 に終末期の緩和ケアの概念や捉え方、具体的な対処方法が十分に教育されてきたとはいえ ま せ ん 。 そ こ で 、 神 経 疾 患 ・ 神 経 難 病 と と も に 現 在 を 生 き る た め の 対 応 を 支 援 す る 「 緩 和 ケ ア 」 の 方 法 論 と 具 体 的 手 段 に つ い て 、医 療 処 置 の 選 択( 胃 瘻 造 設 、非 侵 襲 的 人 工 換 気( NPPV)、 吸引、カフアシストなど)、苦痛となる諸症状とその対応、病気についての告知、コミュ ニ ケ ー シ ョ ン 支 援 、 在 宅 で の 看 取 り ま で 、 事 例 を 交 え て の 解 説 を 6 名 の 筆 者 が 担 当 し 、 で きるだけ率直な表現での小冊子(ブックレット)化を試みました。また、本書の読者を、 在 宅 療 養 を 担 当 す る 医 師 お よ び 医 療 専 門 の 多 職 種( 訪 問 看 護 師 、保 健 師 、理 学 療 法 士( PT)、. 6 / 123.

(7) . 作 業 療 法 士 ( OT) 、 言 語 聴 覚 士 ( ST) な ど ) と し て 、 神 経 疾 患 や 神 経 難 病 を 専 門 と は し て いない方々を念頭に置きました。療養者(患者さん・ご家族)にも理解していただけるこ と を 期 待 し て い ま す 。 唾 液 分 泌 過 多 へ の ス コ ポ ラ ミ ン 製 剤 の 使 用 な ど 、 本 邦 に お い て 現 時 点 で は 保 険 収 載 さ れ ていない事項でも、文献上および筆者らの使用経験から有効性を実感できた内容を記載し ました。但し、現在、施用にあたっては、各医師の自己責任であることをご理解下さい。 きわめてエビデンス化しにくい領域であり臨床研究での裏付けは容易ではありませんが、 神経疾患に関しての報告ばかりでなく、先行する「がん」緩和ケアの知識も応用しての実 践 経 験 が 記 載 さ れ て い ま す 。 オ ピ オ イ ド は 、 す で に が ん の 疼 痛 緩 和 を 中 心 に 先 進 諸 国 で 使 用 さ れ る よ う に な っ て 久 し い状況です。総使用量でみると、米国、カナダ、豪州、欧州などの欧米諸国で世界全体の 消 費 量 の 90~ 98% を 占 め て い ま す 1 ) 。な か で も 米 国 は 群 を 抜 い て 多 く 、本 邦 の 10 倍 を 超 え て い ま す 1,2) 。 し か し 、 ア ジ ア に 目 を 転 ず る と 本 邦 の 使 用 量 は 東 南 ア ジ ア 諸 国 と 比 較 し て 決 し て 少 な く は あ り ま せ ん 3) 。 が ん へ の 疼 痛 対 応 を 中 心 に 使 用 経 験 も あ る 程 度 蓄 積 さ れ て き て い る と も 理 解 で き ま す 。 経 済 ・ 社 会 の 発 展 レ ベ ル と は 無 関 係 に オ ピ オ イ ド の 使 用 量 に 差 が あ り 、 そ の 差 が 継 続 、 拡大する理由として、医療職の教育や使用経験の不足から使用にあたっての知識が限られ ていること、および国ごとのオピオイドの使用範囲や管理に関連する制度や施策の違いが 挙 げ ら れ て い ま す 4) 。 神 経 疾 患 患 者 さ ん な ど 、 非 が ん 患 者 さ ん の 呼 吸 困 難 感 へ の オ ピ オ イ ドの使用については、有用性の報告とともに、相対的過量投与により呼吸抑制をきたす可 能 性 、 不 測 の 副 作 用 か ら 死 を 早 め る の で は な い か な ど さ ま ざ ま な 議 論 が あ り ま す 5) 。 し か しながら、オピオイドの受容体は脳内より呼吸器内にはるかに密に存在していることが知 ら れ て い ま す 6 , 7 )。オ ピ オ イ ド の 呼 吸 困 難 感 へ の 投 与 量 は 鎮 痛 で 用 い る よ り も 通 常 少 な く 、 少 数 例 な が ら 有 効 性 と 安 全 性 に つ い て の 報 告 も み ら れ る よ う に な っ て き ま し た 8 , 9 )。た だ 、 エビデンスを積み重ねるうえでも、呼吸困難感へのオピオイド使用にあたっては詳細な状 況 を ト レ ー ス で き る よ う に 記 録 す る 必 要 が あ り ま す 。 米国では終末期だけでなく、慢性疼痛などにオピオイドが用いられているため、国全体 の 使 用 量 が 多 く な っ て い ま す 。 非 が ん 性 疼 痛 に 3 ヵ 月 以 上 オ ピ オ イ ド を 使 用 し た 9,940 例 を 診 療 録 か ら 検 討 し た コ ホ ー ト 研 究 が 報 告 さ れ て い ま す が 、51 例 に 用 量 超 過 が 疑 わ れ 、副 作 用 の 年 間 頻 度 は オ ピ オ イ ド 1 日 量 20 mgま で の 群 で 0.2% 、 同 50 ~ 99 mg の 群 で 0.7% 、 お よ び 同 100 m g を 超 え る 群 で 1.8% と 算 出 さ れ ま し た 1 0 ) 。本 邦 で も 、期 待 さ れ る 効 果 と 同 時にリスクの可能性まで十分に説明できる知見の集積が求められています。アジア諸国か ら も 本 邦 の 緩 和 ケ ア の 動 静 は 注 目 さ れ て い ま す 1 1 ) 。 神 経 難 病 患 者 さ ん の 不 安・抑 う つ に は 、抗 不 安 薬 や 抗 う つ 薬 の 使 用 、精 神 科 医 へ の 対 診 、 臨床心理士などへの依頼など、病初期から躊躇するべきではありません。自殺企図は病初 期でも起こりうるものです。また、人工呼吸器を選択した場合も安定した療養体制構築と. 7 / 123.

(8) . ともに継続した緩和ケアが必要です。緩和ケアは人工呼吸器の選択や個人の生命観に直接 左 右 さ れ る も の で は な く 、個 々 に 異 な る 苦 悩 を 軽 減 す る た め の 医 療 上 の 方 策 の 1つ と し て 行 われるものであり、患者さん・ご家族の必要に随時対応できるよう知識を整理しておきた いものです。医師ひとりでできることはきわめて限られています。心理、薬物、看護、理 学療法、作業療法、構音/摂食/嚥下の支援、コミュニケーション機器支援など、多方面 にわたる支援チームの形成が欠かせません。特に在宅では、社会資源の確保と連携がなけ れ ば 支 援 は 成 り 立 た ず 、患 者 会 、医 療 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー( MSW)、訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン 、 難 病 医 療 専 門 員 な ど の ネ ッ ト ワ ー ク へ の 相 談 が 強 く 勧 め ら れ ま す 1 2 - 1 6 ) 。 コ ラ ム 1 WHO2002 年 緩 和 ケ ア の 定 義 緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、 痛 み や そ の 他 の 身 体 的 問 題 、 心 理 社 会 的 問 題 、ス ピ リ チ ュ ア ル な 問 題 を 早 期 に 発 見 し 、的 確 な ア セ ス メ ン ト と 対 処( 治 療・処 置 )を 行 う こ と に よ っ て 、 苦 し み を 予 防 し 、和 ら げ る こ と で 、 ク オ リ テ ィ ・ オ ブ ・ ラ イ フ を 改 善 す る ア プ ロ ー チ で あ る 。 WHO ホ ー ム ペ ー ジ ( 英 語 原 文 )( http://www.who.int/cancer/palliative/definition/en/) 日 本 緩 和 医 療 学 会 http://www.jspm.ne.jp/link/index3.html (成田有吾、荻野美恵子) < 参 考 文 献 > 1) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/07/dl/s0706-2f_0009.pdf 2) http://www.incb.org/pdf/technical-reports/narcoticdrugs/2009/en_comments.pdf 3) Wright M: appendix 1. Average daily consumption of defined daily doses of morphine per million inhabitants, 2003-05; countries o f C entral, S outh, a nd E ast A sia. I n H ospice a nd P alliative C are i n S outheast A sia, ed by Wright M. Oxford, Oxford University Press, 205, 2010 4) http://www.incb.org/pdf/annual-report/2009/en/AR_09_English.pdf 5) Mahler D A, S elecky P A, H arrod C G, e t a l: American C ollege o f C hest P hysicians c onsensus s tatement on the management of dyspnea in patients with advanced lung or heart disease. Chest 137: 674-691, 2010 6) Cabot PJ, Dodd PR, Cramond T, et al: Characterization of non-conventional opioid binding sites in rat and human lung. Eur J Pharmaco 268: 247-255, 1994 7) Zebraski SE, Kochenash SM, Raffa RB: Lung opioid receptors; pharmacology and possible target for nebulized morphine in dyspnea. Life Sci 66: 2221-2231, 2000 8) Clemens KE, Klaschik E: Morphine in the management of dyspnea in ALS. A pilot study. Eur J Neurol . 8 / 123.

(9) . 15: 445-450, 2008 9) Mazzocato C, Michel-Nemitz J, Anwar D, et al: The last days of dying stroke patients referred to a palliative care consult team in an acute hospital. Eur J Neuro 17: 73-7 l, 2010 10) Dunn KM, Saunders KW, Rutter CM, et al: Opioid prescriptions for chronic pain and overdose; a cohort study. Ann Intern Med 152: 85-92, 2010 11) Wright M : Introduction. i n H ospice a nd P alliative C are i n S outheast A sia, e d b y W right M . O xford, Oxford University Press, 1-12, 2010 12)牛 久 保 美 津 子 : 米 国 の 診 療 と ケ ア .中 島 孝 監 ,ALSマ ニ ュ ア ル 決 定 版 ! .松 戸 ,日 本 プ ラ ン ニ ン グ セ ン タ ー , 212-215, 2009 13) 岩 泉 康 子 : 「 自 宅 で 過 ご し た い 」 と い う 願 い に 応 え て . 中 島 孝 監 , ALS マ ニ ュ ア ル 決 定 版 ! . 松 戸 , 日 本 プ ラ ン ニ ン グ セ ン タ ー , 227-230, 2009 14) 本 田 彰 子 : 医 療 福 祉 制 度 変 更 に よ る 経 済 的 影 響 . 中 島 孝 監 , ALS マ ニ ュ ア ル 決 定 版 ! . 松 戸 , 日 本 プ ラ ン ニ ン グ セ ン タ ー , 237-240, 2009 15) 関 本 聖 子 , 栗 原 久 美 子 : 在 宅 療 養 に 関 す る 相 談 へ の 対 応 . 吉 良 潤 一 編 , 難 病 医 療 専 門 員 に よ る 難 病 患 者 の た め の 難 病 相 談 ガ イ ド ブ ッ ク . 福 岡 , 九 州 大 学 出 版 会 , 27-43, 2008 16) Maddocks I, Brew B, Waddy H, et al: 在 宅 ケ ア の 実 際 . 葛 原 茂 樹 , 大 西 和 子 監 訳 , 神 経 内 科 の 緩 和 ケ ア . 大 阪 , メ デ ィ カ ル レ ビ ュ ー 社 , 203-207, 2007 . 9 / 123.

(10) . 第 2章 神経難病の告知と面談の仕方 (診断名・現状および見通しを患者さんやご家族に伝える) ポイント ・神経難病の告知は、ショックを慮り、十分に配慮した告げ方をした上で、告知されてよ かったと患者や家族がメリットを理解できるように心掛ける。 ・い た ず ら に 告 知 の 内 容 を 控 え た り 、ご ま か し た り す る こ と は か え っ て 患 者 や 家 族 の QOL を低下させることがあることを自覚する。 ・うつ状態や認知機能低下がある場合も、相手の許容範囲を見極め、できる範囲で伝える ように努力する。 神 経 難 病 は そ の 希 少 性 か ら 診 断 に 至 る ま で に 時 間 が か か る こ と が 多 い 。 例 え ば ALS で は 診 断 ま で も 10~12 カ 月 か か る と い わ れ て お り 、 診 断 に 行 き つ く ま で に す で に 苦 悩 が 始 ま っ ています。自分自身の体に起こった変化に不安を感じていた後に、治療の方法が非常に限 られる難病であると告知されるわけですから、難病の告知は、患者にとってショックを受 ける内容です。患者のショックが予見できるため、告げる方にも躊躇があるのも当然で、 ど の よ う に 、 ど こ ま で 話 し た 方 が よ い の か 迷 う こ と も 多 い . ま ず 、 「 何 の た め に 告 知 を す る の か 」を 告 知 す る 側 は 認 識 し な け れ ば な り ま せ ん 。当 然 で す が 、患 者 の た め に 告 知 す る の で す 。 「 患 者 が 告 知 さ れ て よ か っ た 」と 思 う よ う な 告 知 、も しくはなぜ告知された方がよいのかを理解できるような告知が望ましい。そのためにはた だ病名や病態を説明するのではなく、今後の起こりうることと、本人が知っておくと何が よいのかを説明する必要があります。治癒は難しくとも少しでも病状を安定させ、生活を しやすくする治療やケアはあること、それに関わる様々な医療・介護スタッフがいて、決 して見放されることはないこと、様々な制度の利用をすることにより、介護や経済的問題 にも対処の方法があること、など、孤立化しないように支える医療があることを伝えなく て は な り ま せ ん 。 20 年 ほ ど 前 は 、が ん を 含 め 、予 後 の 悪 い 疾 患 に つ い て は 患 者 に 知 ら せ な い こ と が 多 く あ りました。現在はむしろ知らせないことが後に責任を問われる時代で、医療側は「知らせ なくてはならない」という意識で告知が行わることもあります。また、多くの難病は検査 機器が揃っている医療機関で行われます。主治医となるのも比較的若い世代で、急性期医 療を中心に診療していることが多い。つまり、自分が告知する患者さんが進行期にどうな っていくかを診たことがない医師が告知をすることとなります。進行期には様々な知識や ネットワークを動員して地域を巻き込んだ究極のチーム医療が必要となります。しかし、 そのような経験がない場合には、適切な告知にならない場合もあります。しかし、病気の. 10 / 123.

(11) . ことをインターネット等で知ることと、医療者から話をされることで、一番異なる点は、 当該患者の個別性を考慮して話すことができること、および、何より今後の病気と付き合 っていかなければならない患者の気持ちを慮って話がされることです。この患者への思い は 経 験 が な く て も 持 つ こ と の で き る も の で す 。 難病の告知は患者に対して過酷な内容となるため、医療者も躊躇しがちですが、患者調 査からは病気についてできるだけ早い段階で十分に知りたいという結果がうかがえます。 ALS の 調 査 で も 、 で き る だ け 早 い 段 階 で 詳 し く 全 体 像 を 話 し て ほ し い と い う 結 果 と な っ て います. 1,2). 。段階的告知と言っても、現代ではインターネットで調べることで、医療者が. 話す前に知ってしまうことも多く、段階的告知にならないという問題があります。事前に イ ン タ ー ネ ッ ト で 知 る こ と に つ い て 、 注 意 を 促 し て お く こ と も 必 要 な 時 代 で す 。 どのように告知するかは「1患者がそれを求めるならば、情報を差し控えてはなりませ ん。2.患者がそれを求めないならば、情報を強要しない。3.告知に対する患者の反応 を評価し、対応するべきです てはなりません. 3). 。4.伝える内容が残酷であっても、伝え方が残酷であっ. 4). 」。と い わ れ て い る よ う に 患 者 自 身 が ど こ ま で 知 っ て お き た い と 思 っ て い. るかを把握する努力が必要です. 2-6). 。 . ま た 避 け る べ き 表 現 は「 根 治 療 法 は あ り ま せ ん 」 「 死 に 至 る 病 気 で す 」の よ う な 過 度 に 直 接 的 な 表 現 や 、「 治 療 法 は あ り ま せ ん 」「 当 院 で す る こ と は あ り ま せ ん 」 な ど 実 施 可 能 な 治 療までも否定するような言い方は慎むべきであり、前向きな考えや、希望を持てるように 説 明 し ま す 。 欧 米 で も 告 知 の 重 要 性 が 報 告 さ れ て お り 、Borasioら は 、告 知 に は 高 度 の ス キ ル が 必 要 で あり、もし適切に行われないと患者にダメージを与えるだけでなく、医師患者関係が壊れ て し ま う と 報 告 し て い ま す 7 ). 悪 い 予 後 を 伝 え な け れ ば な ら な い こ と も あ り ま す 。 緩 和 ケ アの第一歩であり、患者のペースに合わせて、家族も一緒の場を設定し、情報提供を進め ます。最新の治療や研究についてはもとより、今後起こりうる症状も緩和ケアを十分に行 うことで対処できること、患者の治療に対する意思決定は尊重されることを説明して、前 向きな気持ちを失わせないようにします。希望を与えることが重要です。そのためには十 分 な 時 間 を か け る こ と が 必 要 で す 8 - 9 ) .症 例 毎 に 異 な る 対 応 が 求 め ら れ る 場 合 も あ り ま す が 、 参 考 ま で に 、 告 知 の 際 に 話 し て お い た 方 が よ い と 思 わ れ る 項 目 を 表 1 に 示 し ま し た 。 告知の前には患者の精神状態を評価し、うつ状態や認知症がある場合にはどのように告 知するか、慎重な検討と配慮が必要です。高齢者であっても本人が告知を望んでいる場合 や、十分に受け入れられる精神状態と認知機能がある場合は、配慮の上、告知したほうが よ い 場 合 が 多 く あ り ま す 。告 知 す る こ と で 、前 向 き に 病 状 と 取 り 組 む 動 機 付 け が で き ま す 。 周囲も嘘を重ねることになると、本人が孤独になってしまういます。また、確定診断がつ いていない場合でも、その診断の可能性が高い時には、疾患について言及しておいた方が よい場合もあります。また、進行に応じて、その都度、病態の説明は継続されて行われる べきです. 9). 。 . 11 / 123.

(12) . 球麻痺による誤嚥のリスクがある場合、または呼吸筋麻痺により十分は排痰ができない 場合など、窒息による急変が生じます。このような危険性が予測される時には、急変のと き に ど の よ う な 医 療 処 置 を 望 む の か 、 事 前 に 意 思 確 認 が 必 要 と な り ま す 。 特に気管内挿管や気管切開、気管切開を伴う人工呼吸器の使用など侵襲的な医療処置に ついて、差し控えることはできても、開始後の中止は現実には困難なことが多いため、選 択によるメリットとデメリット、選択しない場合の対処方法について十分な説明が必要で す 。 情 報 提 供 が 十 分 で な け れ ば 自 己 決 定 に は 至 り ま せ ん 。 告 知 に お い て 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 問 題 が 、 多 く の 報 告 で 指 摘 さ れ て い ま す 。 コ ミ ュ ニケーションは双方向であり、患者の言葉(捉え方や理解など)に耳を傾け、患者の立場 に 立 っ て 説 明 す る こ と が 重 要 で す 。癌 の 領 域 で は SPIKESと い う 方 法 が 推 奨 さ れ て お り 、ALS に も 応 用 で き る と 思 わ れ ま す 。SPIKESを 踏 ま え た ALSの 告 知 に つ い て 、参 考 と し て 付 録 に 示 し ま す 5-9) . (荻野美恵子) 文 献 1) 水 町 真 知 子 、 若 林 佑 子 、 川 上 純 子 、 吉 本 佳 預 子 .筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の イ ン フ ォ ー ム ド ・ コ ン セ ン ト ALS と と も に 生 き る 人 か ら 見 た 現 状 と 告 知 の あ り 方 医 療 2002; 56 ( 6): 338-343 2) 荻 野 美 恵 子 、 荻 野 裕 、 川 浪 文 、 坂 井 文 彦 : ALS の 告 知 の あ り か た に つ い て ― 患 者 ア ン ケ ー ト 調 査 よ り ― . 臨 床 神 経 学 43:1027,2003. 3 ) Maguire P, Fairbairn S, Fletcher C. Consultation skills of young doctors: I-Benefits o f f eedback t raining i n i nterviewing a s s tudents p ersist. B r M ed J ( Clin Res Ed). 1986 Jun 14;292(6535):1573-6 4) 白 浜 雅 司 .イ ン フ ォ ー ム ド・コ ン セ ン ト .医 療 ビ ッ グ バ ン の 基 礎 知 識 - 医 療 の 大 変 革 を 理 解 す る た め に - 日 本 内 科 学 会 ( 認 定 内 科 専 門 医 会 編 ) 1999, pp.52-57. 5) Walter F. Baile,a Robert Buckman,b Renato Lenzi,a Gary Glober,a Estela A . B eale,a A ndrzej P . K ucelka b . S PIKES― A S ix-Steps P rotpcol f or D elivering Bad News:Application to the Patient with Cancer h t t p : / / t h e o n c o l o g i s t . a l p h a m e d p r e s s . o r g / c g i / r e p r i n t / 5 / 4 / 3 0 2 6) The EFNS Task Force on Diagnosis and Management of Amyotrophic Lateral Sclerosis. EFNS gidelines on the Clinical Managiment of Amyotrophic Lateral Sclerosis (MALS)-reviced report of an EFNS task force. European J of Neurology 2012,19:360-375. 7 ) Brasio GD, Sloan R, Pongratz DE. Breaking the news in amyotrophic lateral sclerosis.J Neurol Sci. 1998 Oct;160 Suppl 1:S127-33. 8) McCluskey L , C asarett D , S iderowf A . Breaking t he n ews: a s urvey o f A LS p atients and c aregivers. Amyotroph L ateral S cler O ther M otor N euron D isord 2004;5:131-135. 9) 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 2013. 「筋萎縮性側索硬化症診療ガイドライン」 作 成 委 員 会 編 、 日 本 神 経 学 会 監 修 、 南 江 堂 、 東 京 2013 . 表 1 告 知 に 際 し て 話 す べ き こ と チ ェ ッ ク リ ス ト . 9). 12 / 123. .

(13) . * 告 知 を す る 前 に 環 境 を 整 え 、 準 備 状 況 を 確 認 し 、 十 分 な 時 間 を 確 保 す る . * 患 者 が 現 状 を ど の よ う に 捉 え て お り 、 病 気 を ど の 程 度 知 り た い と 思 っ て い る か を つ か む . * 全 て の 情 報 を 一 度 に 伝 え る 必 要 は な い . 必 要 に 応 じ て 数 回 に わ け て 詳 し く 説 明 し て い く . *重要な情報は最初に伝えるようにする.その際、患者にとって厳しい情報は良い情報とともに伝え る こ と . 患 者 の 動 揺 が 大 き い か ら と い っ て 悪 い 情 報 を 伝 え た の み で 終 わ る こ と の な い よ う に す る . * 患 者 や 家 族 の 反 応 を 見 な が ら 、 伝 え る 内 容 、 量 、 伝 え 方 を 調 整 す る . *全体を通して病状や予後など個人差が大きい疾患であり、インターネットや本に書いてあることが 必 ず し も 当 て は ま ら な い こ と を 説 明 す る . *治癒を望めない状態だからといって見捨てられるわけではなく、病状を改善する様々な方法がある こ と を 伝 え る . * ど う し て こ の よ う な 伝 え 方 を し た か に つ い て も 説 明 を 加 え る 1 . 診 断 に 至 っ た 理 由 診 察 所 見 の ま と め や そ こ か ら わ か る こ と 検 査 の 目 的 、 結 果 、 そ こ か ら わ か っ た こ と 2 . ALS に つ い て の 一 般 論 ( 原 因 ・ 遺 伝 性 ・ 頻 度 ・ 発 症 要 因 は 特 定 困 難 ・ 病 態 の 概 略 ) 主 な 症 状 ( 四 肢 麻 痺 、 球 麻 痺 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 障 害 、 呼 吸 筋 麻 痺 ) 今 後 の 予 想 さ れ る 症 状 お よ び そ の 対 処 ( リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 、 補 助 療 法 、 経 管 栄 養 、 呼 吸 補 助 機 器 等 ) 治 療 の 選 択 は 自 己 決 定 が 原 則 で あ り 、 自 ら 理 解 し 選 択 す る こ と が 必 要 と な る こ と 症 状 を 緩 和 す る 方 法 が 種 々 あ る こ と 3 . 現 在 提 供 で き る 治 療 リ ル テ ッ ク に つ い て 完 治 さ せ る 薬 で は な い が 予 後 を 改 善 す る 可 能 性 が あ る こ と 過 度 で は な い 範 囲 で 希 望 を 奪 わ な い よ う に 1 ) 提 供 可 能 な 治 験 に つ い て 4 . 研 究 が ど の よ う に 進 ん で い て 、 今 後 の 見 通 し は ど う か 諸 外 国 の 状 況 も 踏 ま え て 説 明 す る 5 . 社 会 制 度 利 用 に つ い て 特 定 疾 患 制 度 ・ 介 護 保 険 ・ 障 害 者 総 合 支 援 法 、 患 者 会 等 6 . 今 後 の 生 活 を 支 え る シ ス テ ム に つ い て 介 護 の 補 助 、 在 宅 医 療 、 施 設 や 病 院 な ど 7 . 経 済 的 支 援 に つ い て ( 休 職 手 当 、 傷 病 手 当 金 、 障 害 年 金 、 生 命 保 険 高 度 障 害 、 特 定 疾 患 制 度 等 ) ( 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 2013よ り ) . SPIKES を 踏 ま え た ALS の 推 奨 さ れ る 告 知 9 ) S T E P 1 : S E T T I N G U P t h e I n t e r v i e w 面 談 の 設 定 ・ 静 か で 心 地 よ く 、 プ ラ イ バ シ ー の 保 て る と こ ろ で 対 面 し て 座 っ て 行 う . ・ 十 分 な 時 間 を と っ て ( 少 な く と も 45~ 60分 ) 中 断 さ れ な い よ う に 準 備 し て 、 院 内 コ ー ル も 預 け る も し く は サ イ レ ン ト モ ー ド に す る .時 間 が 限 ら れ て い る 場 合 は 予 め 患 者 に 伝 え る . ・ 家 族 が 多 数 参 加 す る 場 合 に は 代 表 者 を 指 定 し て も ら う . ・家 族 、精 神 状 態 、社 会 的 立 場 、病 歴 、問 題 と な る 検 査 結 果 な ど の 患 者 情 報 を 知 っ て お き 、 全 て の 情 報 を 手 元 に 持 っ て お く . ・ 可 能 で あ れ ば 専 門 の 看 護 師 や ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー を 確 保 し 、 同 席 の 許 可 を え る . S T E P 2 : A S S E S S I N G T H E P A T I E N T ’ S P E R C E P T I O N 患 者 の 認 識 を 評 価 す る ・患者が自身の体に起こっている異変をどのように捉え、どの程度知っているかを確認す る . (「お身体の状態について、今までどのようなことを伝えられたことがありますか」「検 査 を 行 う 理 由 に つ い て ど の よ う な お 考 え を お 持 ち で す か 」 な ど ) ・患者の理解に誤解がないか、どのように感じているのか(悲観的なのか、非現実的な期 待 を 持 っ て い な い か な ど ) を 探 る . S T E P 3 : O B T A I N I N G T H E P A T I E N T ’ S I N V I T A T I O N 患 者 か ら の 求 め を 確 認 す る ・ 患 者 が 自 身 の 疾 患 に つ い て ど の 程 度 知 り た い と 思 っ て い る か を 探 る . ・ 悪 い 知 ら せ を 聞 く こ と か ら 目 を そ む け る こ と は 妥 当 な 心 理 学 的 対 処 方 法 で あ る . ・できれば検査を始める前に悪い知らせだったとしても聞いておきたいかを聞いておく. (「どのように検査結果をおしらせしましょうか、悪い結果であったとしても全ての情報 を 知 ら せ て ほ し い で す か 」 な ど ) ・ 患 者 自 身 が 聞 き た く な い と き に は 他 の 誰 に 話 し て お い た ら よ い か 指 定 し て も ら う 13 / 123.

(14) . S T E P 4 : G I V I N G K N O W L E D G E A N D I N F O R M A T I O N T O T H E P A T I E N T 患 者 に 知 識 と 情 報 を 提 供 す る ・悪い知らせであることを予め予告する.(「申し上げにくいのですが・・」「少し厳し い 話 に な り ま す が ・ ・ 」 ) ・患者が理解しやすい知識や語彙を用いること、過度に直接的な表現(「根治療法はあり ません」「死に至る病気です」)、実施可能な治療までも否定するような表現(「治療法 は あ り ま せ ん 」 、 「 当 院 で は す る こ と は あ り ま せ ん 」 ) は す べ き で な い . ・今のところ完治させることはできず、症状は少しづつ悪くなることを伝えるが、根治が 難しくとも症状緩和のための治療はあること、実際の生活を少しでも楽に過ごすためのケ アや補助があること、合併症は治療できること、最後まで責任をもって関わっていく医療 機 関 が あ る こ と を 、 前 向 き な 考 え や 、 希 望 を 持 て る よ う に 説 明 す る . ・患者が病気の経過を知りたい場合にはおおよその進行と予後について正直に話すが、個 人 差 が 大 き い こ と や 、 予 測 に は 限 界 が あ る こ と を 認 識 さ せ る . 予 後 は 変 動 が 大 き く 、 5年 、 10年 も し く は そ れ 以 上 生 存 す る 人 も い る こ と に 言 及 す る . ・進行抑制薬(例リルゾール)や現在行われている研究や参加できる治験について知らせ る . ・ 簡 単 な 絵 を 描 い て 疾 患 に つ い て の 解 剖 を 説 明 す る . ・ 質 問 す る 時 間 を 十 分 に と る ・患者の機能を維持するためにあらゆることを行い、患者の治療に対する意思決定は尊重 さ れ る こ と を 保 証 す る . ・ 患 者 の こ と を 継 続 的 に 気 に か け 、 決 し て 見 捨 て る こ と は な い こ と を 保 証 す る . ・患者支援組織(患者会など)について伝え、患者が望めばセカンドオピニオンにも同意 す る . S T E P 5 : A D D R E S S I N G T H E P A T I E N T ’ S E M O T I O N S W I T H E M P A T H I C R E S P O N S E S 患 者 が 抱 く 感 情 に 共 感 を 込 め て 対 応 す る ・患者の感情は、ショック、孤独感、悲しみ、沈黙から疑い、涙、否定や怒りまでさまざ ま で あ る . ・医師の共感的対応(患者の気持ちを推察し、必要に応じて言語化して確認する.非言語 的コミュニケーションや沈黙も共感的な対応となりうる.医師としてももっと良い知らせ ができたらよかったのにと思っていることやそのような感情を抱くのは無理もないと理解 し て い る こ と を 伝 え る 、 な ど ) は 患 者 を さ さ え 、 連 帯 意 識 を 与 え た り す る こ と が で き る . ・温かみをもち、注意を払い、尊重すること、正直で思いやりをもつこと、過度に感傷的 に な ら な い こ と ・ 相 手 の ペ ー ス に 合 わ せ て 話 す こ と S T E P 6 : S T R A T E G Y A N D S U M M A R Y 方 針 と ま と め ・ 治 療 計 画 に つ い て 議 論 す る 心 の 準 備 が で き て い る か を 患 者 に 尋 ね る ・実施可能な治療の選択肢を提示し、期待される効果を具体的に議論することで治療効果 を 誤 っ て 理 解 し て い な い か 確 認 す る . ・ 話 し 合 い の 内 容 を ま と め て 話 し 、 記 載 も し く は 録 音 し て ま と め て お く . ・告知後の最初の外来は2~4週後とし、今後定期的なフォローアップをしていくこと、 治 ら な い か ら と い っ て 見 捨 て ら れ る わ け で は な い こ と を 説 明 す る ・以下のことはさける:診断を保留する、不十分な情報を与える、患者が知りたがらない 情 報 を 与 え る 、 無 感 情 に 情 報 を 伝 え る 、 希 望 を 失 わ せ る ( 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 2013 よ り 改 変 ). 14 / 123.

(15) . 第 3章 医療処置の選択に対する説明と施行のポイント 担当:橋本 司 先生. 15 / 123.

(16) . 第 3 章 医 療 処 置 の 選 択 に 対 す る 説 明 と 施 行 の ポ イ ン ト 1. 医 療 処 置 の 説 明 全 般 に つ い て ポ イ ン ト ● 神 経 難 病 で は 、そ の 疾 患 の 特 性 上 、様 々 な 医 療 処 置 を 選 択 す る か し な い か を 決 め る 必 要 が あ り ま す 。 ●患者・家族が「治療の選択」を行う際に、医療処置の説明は重要(説明を受けたいかどうかの意 思 確 認 も 必 要 で す )。 ● な か で も ① 嚥 下 機 能 に よ り 不 足 す る 水 分 ・栄 養 の 補 給 ② 呼 吸 機 能 低 下 に よ る 呼 吸 不 全 へ の 対 応 は 重 要 で す 。 ◎ 口 頭 だ け で な く 図 や 写 真 ・ パ ン フ レ ッ ト な ど を 用 い て 説 明 し ま す 。 ◎ で き れ ば 実 際 に 使 う 医 療 器 具 の サ ン プ ル な ど を 見 せ な が ら 説 明 し た 方 が よ い で し ょ う 。 ◎説明時には環境に配慮し時間をかけて複数回じっくりと説明します。 (説明を十分に行うことで、 効 果 が 上 が り ( 理 解 が 深 ま り ? )、 か つ そ の 後 の 療 養 生 活 が ス ム ー ズ に な り ま す 。) ◎ ALS の ケ ア 、医 療 処 置 の 選 択 に 関 し て は 、2013 年 日 本 神 経 学 会( 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 2013)、 2009 年 米 国 神 経 学 会 よ り ガ イ ド ラ イ ン が 出 て い ま す 。 1)2) ■ 医 療 処 置 の 説 明 を 受 け た い か ど う か の 確 認 を し ま す 。 ALS や パ ー キ ン ソ ン 病 な ど は 製 薬 会 社 が い ろ い ろ な 説 明 に 使 用 で き る パ ン フ レ ッ ト な ど が 提 供 さ れ て い ま す 。以 下 に 入 手 ・ ア ク セ ス し や す い 神 経 難 病 の パ ン フ レ ッ ト の 例 を 示 し ま す 。( ウ ェ ブ サ イ ト の URL は 2014 年 7 月 31 日 現 在 )。 【 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 】 ・ ” LIVE TODAY FOR TOMORROW” ( LIVE T ODAY F OR T OMORROW プ ロ グ ラ ム 委 員 会 、東 邦 大 学 医 療 セ ン タ ー 大 森 病 院 岩 崎 康 雄 教 授( 神 経 内 科 ) ほ か 編 、 サ ノ フ ィ ・ ア ベ ン テ ィ ス 株 式 会 社 ) * DVD も 制 作 さ れ て い ま す 。 http://www.als.gr.jp/index.html に も 同 様 の 情 報 が あ り ま す 。 【 パ ー キ ン ソ ン 病 ・ パ ー キ ン ソ ン 病 関 連 疾 患 】 ・「 パ ー キ ン ソ ン 病 と 関 連 疾 患 ( 進 行 性 核 上 性 麻 痺 、 大 脳 皮 質 基 底 核 変 性 症 ) の 療 養 の 手 引 き 」 難 治 疾 患 克 服 研 究 事 業 神 経 変 性 疾 患 に 関 す る 調 査 研 究 班 編 http://plaza.umin.ac.jp/neuro/files/inside/tebiki/tebiki.pdf ・「 パ ー キ ン ソ ン 病 よ ろ ず 相 談 所 」 フ ァ イ ザ ー 株 式 会 社 http://www.parkinson.gr.jp/ ・「 パ ー キ ン ソ ン 病 サ ポ ー ト ネ ッ ト 」 協 和 発 酵 キ リ ン 株 式 会 社 http://www.kyowa-kirin.co.jp/parkinsons/index.html ・「 パ ー キ ン ソ ン .jp」 ノ バ ル テ ィ ス フ ァ ー マ 株 式 会 社 . 16 / 123.

(17) . http://www.parkinson.jp/index.html 【 脊 髄 小 脳 変 性 症 ・ 多 系 統 萎 縮 症 】 ・「 SCD サ マ リ ー 脊 髄 小 脳 変 性 症 知 っ て お き た い 病 気 の こ と 」 田 辺 三 菱 株 式 会 社 編 http://www.mt-pharma.co.jp/general/pdf/spin.pdf ・「 脊 髄 小 脳 変 性 症 の 理 解 の た め に 」 東 京 都 立 神 経 病 院 編 http://tmnh.jp/m1/07-3.pdf ・「 SCD・ MSA ネ ッ ト 」 田 辺 三 菱 製 薬 http://scd-msa.net/ 神 経 難 病 そ れ ぞ れ に 患 者 団 体 が あ り 、 難 病 情 報 セ ン タ ー ( http://www.nanbyou.or.jp/) の ホ ー ム ペ ー ジ に そ の 一 覧 が あ り ま す( http://www.nanbyou.or.jp/entry/1364)。患 者 団 体 へ の 紹 介 や( 患 者 会 を 通 じ て ) 他 の 患 者 の 療 養 生 活 を 見 学 さ せ て い た だ く の も 一 つ の 方 法 で す 。 ■ 説 明 の 準 備 ど こ で 、 ど の く ら い の 時 間 を か け て 説 明 を 行 う か 。 1. 個 人 情 報 が 漏 れ な い よ う な 環 境 で 説 明 し ま す( 病 院 で あ れ ば カ ン フ ァ レ ン ス 室 や 面 談 室 な ど )。 2. 疾 患 の 種 類 や 対 症 療 法 の 種 類 、 患 者 ・ 家 族 の 状 況 ・ 質 問 の 量 に よ っ て 異 な り ま す が 、 患 者 や 家 族 の 満 足 度 や 集 中 力 ・ 疲 労 を 考 え る と 1−2 時 間 で の 説 明 を 予 定 し て お き ま す 。 あ る い は 1 回 30 分 程 度 で 日 を 改 め て 説 明 を 繰 り 返 す 、前 述 の 神 経 難 病 の パ ン フ レ ッ ト に 沿 っ て 説 明 す る な ど の 方 法 も あ り ま す 。 3.1 回 で 説 明 す る 必 要 は な く 、徐 々 に 詳 し く 、あ る い は 患 者・家 族 の 理 解 の 状 況 に 応 じ て 数 回 に 分 け て 行 い ま す 。 4. 医 師 か ら 一 方 的 に 話 す だ け で は な く 、 時 々 患 者 ・ 家 族 の 反 応 を 見 る た め に 質 問 や 確 認 を は さ み ま す 。 5. 患 者 や 家 族 が 同 意 し 可 能 で あ れ ば 、 医 師 の み で な く 担 当 看 護 師 や ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー 、 臨 床 心 理 士 、担 当 保 健 師 、 ( す で に 決 ま っ て い れ ば )ケ ア マ ネ ー ジ ャ ー な ど に も 同 席 を 求 め て 説 明 し ま す 。 都 道 府 県 に よ っ て は 難 病 医 療 専 門 員 な ど に 連 絡 し て 同 席 を 依 頼 す る 方 法 も あ り ま す 。 6. 日 程 の 調 整 は 医 療 連 携 室 が あ れ ば 同 所 の ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー な ど 担 当 者 に 調 整 を 依 頼 す る 方 法 も あ り ま す 。 7 .「 多 職 種 連 携 チ ー ム 」 の 編 成 :「 多 職 種 連 携 チ ー ム 」 が 動 き 出 す と 、 そ の 後 は 必 ず し も 医 師 主 導 で 調 整 す る 必 要 は な く 、 医 師 の 負 担 軽 減 に も つ な が り ま す 。 医 師 の 中 に は 詳 し い 説 明 を 本 当 は 行 い た い が 時 間 が と れ な い 、と い う 声 も よ く 聞 き ま す 。し か し 時 間 を か け て 患 者 さ ん ・ご 家 族 に き ち ん と 説 明 を 行 う と こ は ,患 者 さ ん ・ご 家 族 に と っ て は 治 療 の 選 択 に 役 立 つ ば か り で な く 満 足 度 も 上 が り ま す 。最 初 に 十 分 に 時 間 を か け る こ と で 結 果 的 に そ の 後 の ト ー タ ル の 説 明 の 時 間 が 短 く て す む こ と も よ く 経 験 し ま す 。十 分 な 時 間 を 共 有 す る こ と で 、信 頼 関 係 の 構 築 に 役 立 ち 、結 果 的 に ト ラ ブ ル が 起 こ り に く く な っ て ト ラ ブ ル に 費 や す 時 間 が 減 り 、そ の 結 果 診 療 が ス ム ー ズ に 運 ぶ こ と も あ り ま す 。 ■ 説 明 す る 方 法 と 内 容 1. で き る だ け 専 門 用 語 を 使 わ な い よ う に し ま す 。 2. 具 体 例 を 挙 げ て 説 明 し ま す 。 3. そ れ ぞ れ の 利 点 ( 医 療 処 置 施 行 に よ り 期 待 で き る 点 ) と 欠 点 ( リ ス ク な ど ) を 説 明 し ま す 。 4. 判 断 能 力 に 問 題 の な い 疾 患 や 状 態 の 場 合 「 治 療 の 選 択 」 を 行 う 上 で 療 養 方 法 の 詳 し い 説 明 は 必 須 で す 。 . 17 / 123.

(18) . 5. 患 者 の 自 宅 の 周 辺 が 医 療 ・ 介 護 資 源 に 乏 し い な ど 地 域 に よ っ て も 状 況 が 異 な る の で 、 そ の 地 域 に赴任しているあるいは赴任したことがある医療関係者に確認するなど患者の療養地域の状況を 確 認 し て お く こ と も 必 要 で す 。 告 知 時 な ど 、医 療 処 置 の 説 明 不 足 を き っ か け に そ の 後 の 経 過 に 影 響 を お よ ぼ す こ と が あ り ま す 。ま た 医 療 処 置 の 多 く は 病 院 で 施 行 ・導 入 さ れ ま す 。 し か し 、 病 院 で の き ち ん と し た 説 明 が な い ま ま 在 宅 療 養 に 移 行 し た 場 合 に ト ラ ブ ル が 生 じ や す く な り ま す 2.嚥 下 機 能 低 下 に 対 し て ● ポ イ ン ト 神 経 難 病 で 嚥 下 機 能 低 下 に 対 し て よ く 行 わ れ る 医 療 処 置 と し て 、経 鼻 胃 管 、胃 瘻 、腸 瘻 な ど が あ り ま す 。 い ず れ も 嚥 下 機 能 低 下 の 程 度 に よ り 経 口 摂 取 と 併 用 す る こ と も あ り ま す 。 1. 経 鼻 胃 管 • 胃 管 先 端 の 位 置 の 確 認 が 必 要 で す 。 • 薬 品 な ど が 詰 ま る 可 能 性 も あ り ま す が 、意 識 が は っ き り し て い る 患 者 に は 最 初 は で き る だ け 細 め の サ イ ズ を 選 択 ( 6~ 8 Fr) し ま す 。 2. 胃 瘻 ( PEG) • 使 用 頻 度 が 高 い 方 法 で す 。 • 造 設 前 に 呼 吸 機 能 ( %FVC、 動 脈 血 ガ ス な ど ) の 検 査 が 必 要 で す ( 球 麻 痺 例 で は 咽 頭 麻 酔 は 誤 嚥 の 危 険 性 が あ り 避 け た 方 が 無 難 で す 。 施 行 医 と 前 も っ て 打 ち 合 わ せ し ま し ょ う )。 ・パ ー キ ン ソ ニ ズ ム で は 腸 管 が 胃 の 全 面 に 来 て し ま う 場 合 が あ る の で 、CT 等 で 事 前 の 確 認 が 必 要 で す 。 位 置 に よ っ て は 施 行 で き な い の で 、 経 皮 経 食 道 瘻 な ど 他 の 方 法 を 考 慮 し ま す 。 • A LS で は 胃 瘻 造 設 後 、誤 嚥 性 肺 炎 の 合 併 や 初 回 注 入 時 な ど に 呼 吸 機 能 悪 化 の 報 告 も あ り ま す 。PEG 造 設 の 判 断 に お い て は 、 今 後 の 方 針 に 従 っ た 予 後 予 測 も 重 要 で す 。 PEG 造 設 時 の ( 呼 吸 機 能 の ) 目 安 は 、( % FVC で ) 60%以 上 は 比 較 的 安 全 。 50-60%は 注 意 し な が ら ( 特 に セ デ ー シ ョ ン 時 や 痛 み が 強 い と き に は コ ン ト ロ ー ル が 必 要 で す 。 3. 腸 瘻 • 全 身 麻 酔 下 で 造 設 さ れ る た め 、 リ ス ク が 増 大 し ま す 。 • 経 鼻 胃 管 や 胃 瘻 に 比 べ る と 下 痢 の 頻 度 が 高 い よ う で す 。 4. 経 皮 経 食 道 胃 管 ( PTEG:Percutaneous Transesophageal Gastrostomy) ・ 胃 切 除 後 な ど 胃 瘻 の 作 成 が 困 難 な 場 合 に 選 択 肢 と な り え ま す • 胃 瘻 ほ ど は 広 ま っ て お ら ず 、施 行 で き る 施 設 が 胃 瘻 よ り は 限 ら れ ま す 。一 時 期 保 険 適 応 か ら 外 れ ま し た が 、 2011 年 4 月 1 日 か ら 胃 瘻 造 設 が 困 難 な 患 者 に 対 し て の み ・ 専 用 の 「 PTEG キ ッ ト 」 の み 対 象 と い う こ と で 再 度 保 険 適 応 に な り ま し た 。 ( http://www.sumibe.co.jp/ww-attaches/339.pdf 住 友 ベ ー ク ラ イ ト 社 )。 • 造 設 時 の 呼 吸 へ の 負 担 が 胃 瘻 時 の 内 視 鏡 よ り 少 な く 多 少 呼 吸 機 能 が 悪 く て も 可 能 で す 。 • 瘻 孔 の 位 置 が 下 部 頸 部 で 、気 管 切 開 の カ ニ ュ ー レ を 固 定 す る 紐 ・ バ ン ド の 邪 魔 に な る こ と が あ り ま す 。 • 胃 瘻 よ り 細 い チ ュ ー ブ を 使 用 す る こ と が 多 く 、 詰 ま り や す い 場 合 が あ り ま す 。 ・ 瘻 孔 の 状 態 が 安 定 す れ ば 、 解 剖 学 的 に 食 道 /胃 以 外 に チ ュ ー ブ 先 端 が 迷 入 す る こ と は ま れ で 、 交 換 し や す い と い う 利 点 も あ り ま す 。 . 18 / 123.

(19) . ・ 噴 門 を 通 過 す る の で 、 経 鼻 胃 管 と 同 様 に 胃 内 容 物 が 逆 流 し や す く な る 場 合 が あ り ま す 。 5. 中 心 静 脈 栄 養 ・ 中 心 静 脈 栄 養 ポ ー ト 留 置 • 神 経 難 病 で は 胃 や 腸 に 何 ら か の 問 題 が あ り 、胃 瘻 や 経 皮 経 食 道 胃 管 な ど の 方 法 が と れ な い と き に 限 ら れ ま す 。 • 感 染 予 防 が 必 要 な た め に 取 り 扱 い に 注 意 が 必 要 で す 。 6. そ の 他 の 嚥 下 障 害 へ の 対 処 気管分離・食道吻合術、喉頭分離術があります。しかし、比較的侵襲の大きな手術であり、全身麻 酔 下 で 施 行 す る 場 合 の 人 工 呼 吸 器 離 脱 困 難 の 可 能 性 や 合 併 症 の 危 険 性( 感 染 ・ 出 血 、喉 頭 閉 鎖 不 全 な ど )、 疾 患 の 急 速 な 進 行 に も 考 慮 し な け れ ば な り ま せ ん 。 ■ 嚥 下 障 害 に 対 す る 医 療 処 置 の 導 入 時 期 と そ の 指 標 ● ポ イ ン ト ・ 嚥 下 機 能 低 下 に 対 し て の 医 療 処 置 に 生 命 延 長 効 果 な ど の エ ビ デ ン ス は レ ベ ル B で す 。 ・ 早 め に 施 行 す る 方 が 確 実 に 安 全 に 施 行 で き ま す 。 ・ ALS の 場 合 、 体 重 減 少 が 予 後 を 悪 化 さ せ る 報 告 が あ る こ と を 説 明 し 、 胃 瘻 造 設 に は で き る だ け 体 重 減 少 を 防 ぐ と い う 意 味 合 い も あ る こ と を 説 明 し た 方 が よ い で し ょ う 。 3)4)5) ・ 呼 吸 器 を 選 択 し な い 事 例 で は 、有 効 に 活 用 で き る 予 後 の 長 さ が あ る か か ど う か を 考 慮 し 選 択 ・ 施 行 す べ き で す 。 PEG 造 設 の 判 断 に は 、 今 後 の 方 針 に 従 っ た 予 後 予 測 も 重 要 。 PEG 造 設 時 の ( 呼 吸 機 能 の ) 目 安 は 、( % FVC で ) 60%以 上 は 比 較 的 安 全 。 50-60%は 要 注 意 ( 特 に セ デ ー シ ョ ン 時 や 痛 み が 強 い と き に は コ ン ト ロ ー ル が 必 要 )。 * 施 行 を 考 え る 時 と そ の 指 標 ・ALS の 場 合 、自 覚 症 状 が な く と も 急 激 な 体 重 減 少 を 認 め る 時 で は 経 口 だ け で は 不 十 分 で す 。 (病前 体 重 の 10% 以 上 低 下 、 あ る い は BMI:body mass index<18.5 kg/m2)。 栄 養 障 害 や BMI の 減 少 が 予 後 を 規 定 す る 因 子 と し て 重 要 で あ る 、と い う 報 告 も あ り ま す 。3)4)5)す な わ ち ALS の 場 合 、誤 嚥 予 防 で 経 口 摂 取 の 代 わ り の 手 段 と い う よ り 、体 重 減 少 を 防 い で 予 後 の 悪 化 を 予 防 す る 、と い う 目 的 も あ り ま す 。 ・ ALS の 胃 瘻 造 設 の 場 合 、 %FVC が 50%以 上 の 時 に 行 う べ き と さ れ 、 経 口 摂 取 が で き る 段 階 で も 適 応 と な り え ま す 。 1)2)6) ・ 呼 吸 機 能 が 低 下 し て い る 場 合 に は NPPV を 併 用 し た 胃 瘻 造 設 も 考 慮 し ま す 。 パーキンソン病の場合など服薬が時間通りにできると経口摂取できるようになったりするため、 wearing off の 対 処 の た め に 行 う 場 合 も あ り ま す 。 . 19 / 123.

(20) . < 図 1 ALS の 球 麻 痺 患 者 に お け る 栄 養 に 関 す る 対 症 療 法 の ア ル ゴ リ ズ ム ( 米 国 神 経 学 会 ガ イ ド ラ イ ン よ り ) > R. G. Miller、 C. E. Jackson、 E. J. Kasarskis、 J. D. England、 D. Forshew、 W. Johnston、 S. Kalra、 J.. 20 / 123.

(21) . S. Katz、 H. Mitsumoto、 J. Rosenfeld、 C. Shoesmith、 M. J. Strong、 and S. C. Woolley Practice Parameter update: The care of the patient with amyotrophic lateral sclerosis: Drug、 nutritional、 and respiratory therapies (an evidence-based review): Report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology、 Neurology. 2009 Oct; 73: 1218 - 1226.よ り 改 変 .. 以 下 の よ う な 指 標 に よ っ て 経 管 栄 養 な ど の 医 療 処 置 を 検 討 し ま す 。 【 比 較 的 主 観 的 な 指 標 】 ⅰ ) 水 分 摂 取 不 良 、 脱 水 傾 向 ⅱ ) 内 服 薬 の 服 用 困 難 ⅲ ) 食 事 形 態 の 工 夫 を し て も 食 事 量 が 減 少 ⅳ ) 食 事 形 態 の 工 夫 を し て も 食 事 時 間 が 1 時 間 以 上 か か る ⅴ ) 流 涎 が 増 加 ま た は 常 時 あ る 【 比 較 的 客 観 的 な 指 標 】 ⅰ ) 体 重 ・ BMI の 急 激 な 減 少 ⅱ ) %FVC の 低 下 ・・・た だ し ALS の 場 合 安 全 に 行 う に は 50%以 上 ⅲ ) PCF( 最 大 呼 気 流 速 ) ・・・270ml/分 未 満 ⅳ ) 動 脈 血 ガ ス ・・・PaCO2 45-50mmHg 以 上 ⅴ ) 胸 部 CT で 不 顕 性 の 誤 嚥 性 肺 炎 を 確 認 ⅵ ) 誤 嚥 性 肺 炎 の 初 回 罹 患 ⅶ ) 可 能 で あ れ ば 嚥 下 造 影 検 査 ( VF)・ 嚥 下 内 視 鏡 検 査 ( VE) * 実 際 に は 上 記 の 指 標 を 組 み 合 わ せ て 判 断 し ま す 。 * た だ し 、進 行 が 早 い 場 合 や ALS な ど で 呼 吸 機 能 低 下 も 同 時 に 進 行 す る 場 合 、上 記 の 市 場 で は 安 全 に 施 行 で き な い こ と が あ り 、 上 記 の 指 標 よ り 早 い 段 階 で 施 行 し た 方 が よ い こ と も あ り ま す 。 * ALS の 場 合 嚥 下 障 害 が 軽 度 で 人 工 呼 吸 器 を 行 わ な い と 決 め て い る 場 合 、 早 い 段 階 で 行 い 胃 瘻 を 使 用 し な い ま ま 死 亡 と な る 例 も あ り 、 状 況 を よ く 考 慮 す る 必 要 が あ り ま す 。 ・ ALS 患 者 さ ん で %FVC を 測 定 す る 際 、測 定 に 通 常 使 用 す る マ ウ ス ピ ー ス を 使 用 す る と 口 輪 筋 の 筋 力 低 下 の た め 、 呼 気 の 漏 れ が 生 じ 正 確 な 値 と な ら な い こ と も よ く み ら れ ま す 。 ・ 当 初 か ら マ ウ ス ピ ー ス の 代 わ り に マ ス ク を 使 用 し て 測 定 す る ほ う が よ い で し ょ う 。 ・ 臥 位 で 測 定 す る こ と で 初 期 の 低 下 を 早 期 に キ ャ ッ チ で き る と い わ れ て い ま す 。 ■ 嚥 下 障 害 に 対 す る 医 療 処 置 に 関 す る 説 明 ● ポ イ ン ト ・ ま ず 嚥 下 機 能 低 下 に 対 し て 、何 ら か の 医 療 処 置 の 説 明 や 施 行 を 受 け る 意 思 が あ る か ど う か を 確 認 し ま す 。 ・ 意 思 を 確 認 し 、 必 要 性 に 加 え て 医 療 処 置 の メ リ ッ ト と デ メ リ ッ ト 、 施 行 方 法 な ど を 説 明 し ま す 。 ・ 医 療 処 置 の 希 望 が な い 場 合 は 、誤 嚥 性 肺 炎 や 窒 息 な ど の 危 険 性 を 患 者 と 家 族 に 十 分 に 説 明 し た 上 で 経 口 摂 取 を 続 け る こ と に な り ま す 。誤 嚥 性 肺 炎 や 窒 息 を 起 こ し た 時 の 対 処 を ど う す る か 、例 え ば 在 宅 療 養 中 で あ れ ば 訪 問 診 療 医 や 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン へ の 連 絡 、入 院 が 必 要 と 判 断 さ れ た 場 合 の 入 院 先 の 確 認 、 医 療 処 置 を ど こ ま で 希 望 す る か の 確 認 な ど が 必 要 で す 。 . 21 / 123.

(22) . * 経 鼻 経 管 と 胃 瘻 に つ い て ・経 鼻 経 管 と 胃 瘻 の 優 劣 に つ い て は 一 長 一 短 が あ り ま す 。管 理 の し や す さ や 非 侵 襲 的 人 工 換 気( NPPV) マ ス ク へ の 影 響 か ら 胃 瘻 が 多 く 行 わ れ て い ま す が 、 経 鼻 経 管 で も 十 分 に 対 応 が 可 能 で す 。 ・ 呼 吸 機 能 が 極 端 に 低 下 し て お り 予 後 が 数 ヶ 月 と 予 測 さ れ る 場 合 に は 、胃 瘻 の メ リ ッ ト は 少 な く 経 鼻 経 管 が よ い 場 合 も あ り ま す 。 ・ い ず れ の 場 合 で も 胃 か ら の 逆 流 に よ り 誤 嚥 を き た し や す い の で 、 臥 位 に す る と き も 30 度 以 上 、 上 半 身 の 挙 上 を 心 が け ま す 。 1. 医 療 処 置 に つ い て の 説 明 ① な ぜ 経 口 摂 取 が 厳 し く な っ て き た か ・ 嚥 下 に 関 係 す る 筋 肉 の 働 き が 弱 く な っ た こ と な ど 、具 体 的 に 経 口 摂 取 が 厳 し く な っ て き た 理 由 を 説 明 し ま す 。 • 患 者 さ ん ・ ご 家 族 は で き る だ け 経 口 摂 取 を 続 け た い 、と い う 希 望 が 強 い こ と が 多 い で す が 、ま ず 経 口 摂 取 が 厳 し く な っ て き た と い う 認 識 を 確 認 し 共 有 し ま す 。 • 経 口 摂 取 の み に 頼 る こ と で 栄 養 障 害 が 進 行 し 、失 わ れ て し ま う 筋 力 を 取 り 戻 す こ と は 困 難 で あ る こ と を 説 明 し ま す 。 • 経 口 摂 取 の み で は 誤 嚥 性 肺 炎 の 危 険 性 が 高 く な り 、重 症 度 に よ っ て は 命 に 関 わ る 事 態 を 招 く 可 能 性 が あ る こ と 、 窒 息 の 危 険 性 も 高 く な る こ と を 説 明 し ま す 。 ・パ ー キ ン ソ ン 病 の よ う に 服 薬 に よ り ADL を 改 善 し う る と き に は 経 口 薬 の 投 与 経 路 と し て も 重 要 で あ る こ と を 説 明 し ま す 。 ② 経 口 摂 取 に 対 す る 医 療 処 置 の 種 類 と メ リ ッ ト ・ デ メ リ ッ ト • 胃 瘻 な ど の 処 置 を 行 う こ と に よ っ て 、 必 要 な 水 分 /栄 養 が 確 保 で き る こ と を 説 明 し ま す 。 • 経 鼻 胃 管・胃 瘻・腸 瘻・PETG な ど で は 抗 パ ー キ ン ソ ン 病 薬 や 緩 和 ケ ア の た め の 薬 も 含 め 内 服 薬 が 確 実 に 投 与 で き る こ と を 説 明 し ま す 。 • 方 法 そ れ ぞ れ に 特 有 の メ リ ッ ト ・ デ メ リ ッ ト を 説 明 し ま す 。 • 処 置 の 中 で 患 者 さ ん に も っ と も 適 応 が あ る と 思 わ れ る 療 法 を 提 示 し ま す( 神 経 難 病 の 場 合 、胃 瘻 の 頻 度 が 高 い )。 • 患 者 さ ん ・ ご 家 族 に ど の 対 症 療 法 を 希 望 す る か を 確 認 し ま す ( 治 療 方 法 の 選 択 )。 ③ ど の よ う に し て 医 療 処 置 を 行 う の か • 医 療 処 置 そ れ ぞ れ に つ い て 施 行 方 法 を 説 明 し ま す 。 • 胃 瘻 の 場 合 、 内 視 鏡 を 使 用 し て 造 設 す る こ と を 説 明 し ま す 。 • 胃 瘻 や 腸 瘻 ・ PTEG・ IVH/IVH ポ ー ト の 施 行 時 の 麻 酔 や 造 設 に か か る 時 間 、 リ ス ク を 説 明 し ま す 。 ④ 医 療 処 置 を 行 っ た あ と は ど う す る の か • 施 設 や 施 行 後 の 経 過 に よ っ て 異 な り ま す が 、安 静 の 期 間 や 実 際 使 用 し は じ め る 時 に つ い て 説 明 し ま す 。 • 施 行 後 、 安 静 解 除 時 ま で の 排 尿 ・ 排 便 ・ 栄 養 /水 分 補 給 な ど に つ い て 説 明 し ま す 。 • 胃 瘻 や 腸 瘻 ・ IVH/IVH ポ ー ト 施 行 後 の 疼 痛 管 理 に つ い て 説 明 し ま す 。 . 22 / 123.

(23) . • 経 鼻 胃 管 ・ 胃 瘻 ・ 腸 瘻 ・ PTEG の 場 合 : ◇ 栄 養 剤 を 注 入 す る 場 合 は 、 ど の よ う な も の か 、 ど れ だ け の 量 を 注 入 す る か 説 明 し ま す 。 ◇ 交 換 の 必 要 性 と 次 回 交 換 の 時 期 に つ い て 説 明 し ま す 。 ◇ 患 者 さ ん ・ ご 家 族 に 注 入 の 方 法 を 練 習 : 看 護 ス タ ッ フ と 日 程 調 整 を し ま す 。 ◇ 瘻 孔 や 刺 入 部 の 周 囲 の ケ ア に つ い て 説 明 し ま す 。 ◇ 抜 去 時 の 対 応 に つ い て 説 明 し ま す 。 • IVH/IVH ポ ー ト 留 置 の 場 合 : ◇ 感 染 の 危 険 性 と 発 熱 な ど 感 染 時 の 徴 候 、 感 染 時 の 対 応 に つ い て 説 明 し ま す 。 ◇ 在 宅 療 養 を 行 う 場 合 、 訪 問 診 療 医 や 訪 問 看 護 な ど の 在 宅 療 養 体 制 の 確 認 を し ま す 。 ⑤ 患 者 の 状 況 に よ っ て 、 さ ら に 付 け 加 え て 説 明 す る べ き こ と • 経 口 摂 取 が 食 事 形 態 の 工 夫 な ど に よ り あ る 程 度 可 能 な 場 合・ま だ 嚥 下 機 能 に は 大 き な 問 題 が な い も の の 呼 吸 状 態 等 に よ り 事 前 に 胃 瘻 を 行 う 場 合 は 、経 口 摂 取 で き る も の は 経 口 摂 取 で 行 い 、補 助 的 に 栄 養 や 水 分 ・ 内 服 薬 を 胃 瘻 か ら 注 入 す る 「 併 用 」 も 可 能 で あ る こ と • 経 鼻 胃 管・胃 瘻・腸 瘻・PTEG の 場 合 に 呼 吸 状 態 の 急 激 な 悪 化 や 、注 入 で 横 隔 膜 が 押 し 上 げ ら れ 呼 吸 不 全 が 生 じ る 可 能 性 も あ る こ と 。 2. 以 上 の 説 明 を 必 要 に 応 じ て 複 数 回 行 い 、 患 者 さ ん や ご 家 族 が 十 分 に 理 解 で き た こ と を 確 認 し た 上 で 、 ど の 対 症 療 法 を 希 望 す る か 確 認 し ま す ( 治 療 方 法 の 選 択 )。 ま た そ れ ら 医 療 処 置 を 行 わ な い 場 合 の リ ス ク や 対 症 療 法 に つ い て も 説 明 ・ 確 認 し ま す 。特 に 誤 嚥 性 肺 炎 や 窒 息 な ど の 危 険 性 に つ い て と そ の 処 置 に つ い て 説 明 し ま す 。 3. 患 者 の 意 思 を 確 認 で き な い 場 合 : 家 族 に よ く 説 明 す る こ と が 重 要 4. 経 管 栄 養 を 選 択 し な い 場 合 ① 水 分 補 給 • 食 物 の 形 状 な ど に 工 夫 し つ つ 経 口 摂 取 を 続 け ざ る を 得 ま せ ん 。 • 経 口 摂 取 の 減 少 と と も に 薬 の 内 服 も 不 可 能 に な っ て き ま す 。 • 当 初 は 末 梢 か ら の 補 液 で 対 応 で き る も の の 、次 第 に 脱 水 等 か ら 末 梢 の 静 脈 が 虚 脱 し 、末 梢 静 脈 路 が 確 保 で き な い 状 況 に な る こ と も あ り ま す 。 ま た 補 液 も 希 望 し な い 場 合 も あ り 得 ま す 。 • 持 続 皮 下 注 を 行 う こ と も で き ま す が 、こ れ の み に よ り 脱 水 や 栄 養 不 足 を 改 善 す る の は 困 難 で 、倦 怠 感 や 意 識 レ ベ ル の 低 下 、 低 蛋 白 血 症 に よ る 浮 腫 な ど も 生 じ て き ま す 。 ② 緩 和 ケ ア を 行 う こ と が 重 要 で す 。 ■ 呼 吸 状 態 が 悪 い 状 況 下 で の 胃 瘻 造 設 ・嚥 下 障 害 に 対 す る 医 療 処 置 の う ち 、胃 瘻 が も っ と も ADL の 制 限 や 負 担 が 少 な い と い わ れ て い ま す 。 し か し 内 視 鏡 を 使 用 す る 胃 瘻 造 設 時 、呼 吸 状 態 に よ っ て は 患 者 に 対 す る 負 担 や 危 険 性 が 高 く な り ま す 。 ・ 胃 瘻 造 説 時 の 疼 痛 管 理 と し て 術 中 に 鎮 静 を 行 う 場 合 に は 、 ALS で 呼 吸 機 能 低 下 を 来 し た 症 例 な ど で は 容 易 に 呼 吸 不 全 を 来 す の で 、十 分 に SPO2 な ど を モ ニ タ ー し な が ら ゆ っ く り 少 量 か ら 鎮 静 剤( ド ル ミ カ ム な ど ) を 投 与 す る 必 要 が あ り ま す 。 ま た 、 非 侵 襲 的 人 工 喚 起 ( NPPV) を 用 い な が ら で あ れ ば 酸 素 投 与 を 併 用 し な が ら 施 行 す る 場 合 も あ り ま す 。%FVCga30% 程 度 の 呼 吸 状 態 で も 、NPPV の 鼻 の み の マ ス ク ( 一 部 施 設 で は 内 視 鏡 対 応 鼻 口 マ ス ク ) を 使 用 し な が ら の 胃 瘻 造 設 も 行 わ れ て い ま す 。 . 23 / 123.

(24) . . 24 / 123.

(25) . 3.呼 吸 機 能 低 下 に 対 し て ■ 呼 吸 不 全 に 対 す る 医 療 処 置 の 種 類 と 注 意 点 ● ポ イ ン ト ・ 神 経 疾 患 で は 呼 吸 筋 麻 痺 ( ALS な ど )、 声 帯 麻 痺 や 中 枢 性 呼 吸 障 害 ( 多 系 統 萎 縮 症 ( MSA) な ど ) で 考 慮 し ま す 。 ・近 年 、MSA で は CPAP( continuous p ositive a irway p ressure)/BiPAP( biphasic p ositive a irway pressue) を 使 用 す る こ と が 多 く な っ て い ま す が 、 と き に 睡 眠 時 の 喉 頭 軟 化 症 ( sleep-induced laryngomalacia)の 報 告 も あ り 7)8)、導 入 時 に は 注 意 が 必 要 で す 。ま た ALS で も floppy e piglottis ( 喉 頭 軟 化 症 ) を 起 こ し た 症 例 の 報 告 も あ り 9)、 ALS で も 導 入 時 に 注 意 が 必 要 で す 。 ・ 人 工 呼 吸 の 選 択 、 特 に 気 管 切 開 下 人 工 呼 吸 器 ( TPPV) 装 着 に 関 し て は 個 々 人 に よ っ て 考 え は 異 な り ま す 。装 着 後 在 宅 療 養 を 希 望 す る の か ど う か 、介 護 力 等 可 能 か ど う か 、地 域 に よ っ て は 入 院 し て の 療 養 が 難 し い と こ ろ も あ る と い う こ と を ふ ま え て 、そ の 後 の 病 気 の 進 行 、介 護 負 担 、在 宅 支 援 体 制 に つ い て の 十 分 な 情 報 提 供 と 、着 け て「 生 き る 」と い う 患 者 さ ん の 強 い 意 志 と ご 家 族 の 協 力 が 必 須 で す 。可 能 で あ れ ば 、在 宅 人 工 呼 吸 療 養 中 の 患 者 さ ん ・ ご 家 族 に 会 っ て も ら う こ と も よ い で し ょ う 。 ・神 経 疾 患 で は 、痰 の 喀 出 困 難 に よ り 急 性 呼 吸 不 全 に 陥 る こ と が 少 な く あ り ま せ ん 。ALS な ど で TPPV の 選 択 を 希 望 し な い 場 合 は 、苦 痛 を 緩 和 す る こ と を 重 視 す べ き で し ょ う 。十 分 に 考 慮 し た 意 思 決 定 が な い ま ま 緊 急 人 工 呼 吸 器 装 着 と な り 苦 悩 し て い る 患 者 さ ん ・ ご 家 族 も お ら れ ま す 。 1. 酸 素 吸 入 • 初 期 の 呼 吸 機 能 低 下 、特 に SpO2 の 低 下 に は 0.5-1ℓ/分 、動 脈 血 二 酸 化 炭 素 の 値 に よ っ て は 2ℓ/分 程 度 の 低 容 量 で も 効 果 が あ る こ と が 多 い よ う で す 。 • 導 入 に 際 し 、 侵 襲 は な く 練 習 も 不 要 で す 。 • 高 容 量 、 で は ( 患 者 さ ん の 状 態 に よ っ て は 低 容 量 で も ) CO2 ナ ル コ ー シ ス を お こ す 危 険 性 が あ る の で 注 意 が 必 要 で す が 、人 工 呼 吸 器 使 用 を 希 望 し な い 終 末 期 の 場 合 は 苦 痛 を 緩 和 す る こ と が 重 要 で あ り 、 使 用 を 躊 躇 す べ き で は な い で し ょ う 。 • 在 宅 で 酸 素 使 用 中 の 患 者 さ ん の 周 囲 は 火 気 厳 禁 で す ( た ば こ に よ る 引 火 ・ 火 災 例 あ り )。 2. 気 管 切 開 • 痰 の 吸 引 を 目 的 に 行 わ れ る こ と が 多 い で す が 、痰 の 除 去 の 効 果 や 死 腔 の 減 少 な ど に よ り 、呼 吸 状 態 が 一 時 的 に 改 善 す る こ と も あ り ま す 。 • MSA で は 声 帯 外 転 筋 麻 痺 に 対 し て の 根 本 的 な 治 療 法 に な り ま す 。 3. 輪 状 甲 状 間 膜 穿 刺 ( 商 品 名 「 ミ ニ ト ラ ッ ク 」) •気 管 切 開 に 比 較 す る と 侵 襲 が 少 な く 手 技 的 に も 容 易 で す が 、 ブ ラ イ ン ド で 行 う た め 、 稀 に 施 行 時 に 出 血 を お こ し 命 に 関 わ る こ と が あ り ま す 。 •痰 が 多 い 例 に 施 行 し 、 NPPV と 併 用 し た 例 も あ り ま す ( NPPV 施 行 時 に ミ ニ ト ラ ッ ク の ふ た を し て 、 痰 の 吸 引 時 に ふ た を あ け ま す )。 ・ 1~ 2 週 間 で 交 換 が 必 要 で す 。 •長 期 の 留 置 で 気 管 内 に 肉 芽 が 発 生 す る こ と も あ り ま す ( ア ル ゴ ン レ ー ザ ー 等 で の 治 療 が 必 要 に な る 場 合 も あ り ま す )。 ・ 同 じ 輪 状 甲 状 間 膜 穿 刺 キ ッ ト で も 、 直 線 の 形 状 の も の ( 商 品 名 「 ト ラ ヘ ル パ ー 」) は 長 期 間 留 置. 25 / 123.

(26) . で は 吸 引 の 際 な ど 気 管 後 壁 を 傷 つ け る 可 能 性 が 高 い の で 、 L 字 型 の も の ( 上 記 ) が 望 ま し い で す 。 4. CPAP •気 道 閉 塞 に 対 し て 持 続 的 に 陽 圧 を か け て 送 気 を 行 う も の で 、 人 工 呼 吸 器 で は あ り ま せ ん 。 •閉 塞 性 呼 吸 障 害 に 対 し て 使 用 す る も の で 、MSA の 場 合 、吸 気 時 の 陰 圧 に よ っ て 喉 頭 蓋 や 披 裂 部 も 尾 側 方 向 に 引 っ 張 ら れ 上 気 道 が 閉 塞 す る こ と が あ り ま す 。floppy a rytenoids あ る い は sleep-induced laryngomalacia と い わ れ 、程 度 に も よ り ま す が CPAP/NPPV 導 入 で か え っ て 上 気 道 閉 塞 が 悪 化 す る こ と も あ り 、 そ の 場 合 は 耳 鼻 科 的 な 診 察 が 必 要 で す 7 ) 8 )。 ま た 仰 臥 位 で 呼 吸 困 難 を 訴 え る 時 に は 注 意 が 必 要 で す 。 5. 非 侵 襲 的 人 工 換 気 ( NPPV/NIV、 商 品 名 BiPAP な ど ) •導 入 に あ る 程 度 の 練 習 が 必 要 で 、 患 者 さ ん 自 身 の 協 力 と 意 志 、 患 者 さ ん ・ ご 家 族 に 取 り 扱 い の 知 識 習 得 が 必 要 で す 。 ・ 最 近 で は 肺 炎 な ど の 急 性 期 疾 患 合 併 時 で も 用 い ら れ る こ と も あ り ま す 。 •ALS の 場 合 な ど 当 初 は 患 者 さ ん が マ ス ク の 着 脱 が で き て い て も い ず れ は 筋 力 低 下 に よ っ て で き な く な る の で 、 着 脱 で き る 介 護 者 が い る こ と が 必 要 で す 。 •マ ス ク の 圧 迫 に よ る 皮 膚 病 変( 潰 瘍 な ど )の 合 併 が 長 時 間 の 施 行 時 な ど で は 高 頻 度 に 出 現 し ま す 。 褥 瘡 の 時 に 使 う シ リ コ ン シ ー ト ( 商 品 例 ス ミ ス ・ ア ン ド ・ ネ フ ュ ー CICA-CARE( シ カ ケ ア )) な ど の 皮 膚 保 護 材 を 使 用 す る こ と も あ り ま す 。 •日 中 の 練 習 の の ち 、呼 吸 抑 制 の あ る 睡 眠 中 の 装 着 か ら 開 始 し ま す が 、ALS な ど の 場 合 徐 々 に 装 着 時 間 が 延 長 し 最 期 に は 24 時 間 連 続 装 着 に な り 、 か つ 必 ず 「 限 界 」 が き ま す 。 そ の と き に は ほ と ん ど の 患 者 さ ん で 呼 吸 苦 を き た す の で 、TPPV を 選 択 し な い 場 合 は 、苦 痛 を 緩 和 す る 医 療 が 必 須 と な り ま す 。特 に ALS で は 患 者 さ ん /ご 家 族 に こ の 点 も し っ か り 説 明 し て NPPV を 導 入 す る か ど う か 、ど こ ま で 使 用 し 続 け る か 検 討 す る 必 要 が あ り ま す 。 • ALS で は 、 24 時 間 装 着 に な る 前 に 自 分 の 意 思 で 装 着 を 中 止 す る 例 も あ り ま す 。 • 近 年 、 機 器 の 進 歩 で 自 発 呼 吸 が か な り 少 な く な っ て も NPPV で 対 応 で き る よ う に な っ て き て い ま す が 、 そ れ で も 気 管 切 開 下 人 工 換 気 ( TPPV) に 代 わ る も の で は あ り ま せ ん 。 内 臓 バ ッ テ リ ー の な い 機 種 も あ り ま す の で 、24 時 間 装 着 に な っ た ら 必 ず 外 部 バ ッ テ リ ー や ア ン ビ ュ ー バ ッ グ を 用 意 し 、メ ー カ ー と の 相 談 に な り ま す が で き れ ば 予 備 器 の 準 備 も し た ほ う が よ い で し ょ う 。 6. 気 管 切 開 下 人 工 換 気 ( TPPV) • NPPV が 限 界 に な っ た と き や NPPV が 困 難 な 方 で 、 か つ 装 着 を 希 望 す る 場 合 が 対 象 に な り ま す 。 • 現 在 使 用 さ れ て い る 人 工 呼 吸 器 は 陽 圧 式 で あ り 、生 理 的 な 呼 吸 と は 逆 に な り ま す 。適 正 な 設 定 を し な い と 肺 の 圧 損 傷 や 頭 部 な ど の 浮 腫 が 出 現 す る こ と も あ り ま す 。 • 在 宅 療 養 が 基 本 で あ り 、 回 路 交 換 、 稼 働 状 況 の 確 認 、 気 管 カ ニ ュ ー レ の 管 理 ( 抜 け た 場 合 の 処 置 も 含 む ) な ど 人 工 呼 吸 器 の 取 り 扱 い の 知 識 を ご 家 族 に 知 っ て い て い た だ く 必 要 が あ り ま す 。 • 現 在 、日 本 で は 、24 時 間 連 続 で 人 工 呼 吸 器 を 装 着 し て い る 場 合 、患 者 さ ん・ご 家 族 が 希 望 し て も 人 工 呼 吸 器 を 外 す こ と は 困 難 で す 。 • ALS の 場 合 、10% 程 度 と 報 告 さ れ て い ま す が 1 0 )、人 工 呼 吸 器 を 装 着 し て 数 ~ 十 数 年 経 過 す る と 四 肢 の 動 き だ け で な く 眼 球 の 動 き な ど も な く な っ て 意 志 疎 通 の 手 段 が 全 く な く な る「 完 全 閉 じ 込 め 症 候 群 」( Totally Locked-in Status、 TLS) に 至 る 患 者 さ ん も い い ま す ( 神 経 因 性 膀 胱 、 体 温 調 節 障 害 、 血 圧 変 動 ・ 発 作 性 頻 拍 な ど の 自 律 神 経 症 状 も 出 現 )。 7. 陽 ・ 陰 圧 体 外 式 人 工 換 気 ( Biphasic Cuirass Ventilation、 商 品 名 「 RTX」) 1 1 ) キ ュ イ ラ ス と 呼 ば れ る 「 胸 当 て 」 を 胸 腹 部 に 装 着 し て 、 キ ュ イ ラ ス 内 に 機 械 本 体 か ら 陰 圧 ・ 陽 圧 を か け て 横 隔 膜 を 動 か す こ と で 呼 吸 を 補 助 し 、生 理 的 な 呼 吸 に 近 い 動 き を さ せ る も の で す 。キ ュ イ. 26 / 123.

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