脳卒中高齢者に関わる看護師の専門職的自律性と影
響を及ぼす要因についての検討
著者
新山 真奈美
雑誌名
東洋大学大学院紀要
巻
51
ページ
349-367
発行年
2014
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00007313/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja― 349 ― 本研究は、脳卒中高齢者に関わる看護師の専門職的自律性(以下、自律性)に影響を及ぼす 要因を明らかにすることを目的とした。脳卒中医療に従事する看護師に対し、菊池・原田 (1997)の考案した自律性測度尺度を47項目5件法で、認知能力、実践能力、具体的判断能 力、抽象的判断能力、自立的判断能力、の5項目と自律性に影響を及ぼす要因について検討 した。自律性に影響を及ぼす要因として、性別、脳卒中医療における経験年数、認定資格取 得 の3因子と5項目の自律性との関係性を分析した。結果、回収651部(有効回答率100%)、 性別、脳卒中経験年数、認定資格取得と職業的自律性には関連性がみられた。特に脳卒中看 護経験5年以下の看護師は認知能力、各判断能力に影響がみられた。性別では、男性は抽象 的判断能力や自立的判断能力に差がみられた。認定資格取得では、同年代の看護師より資格 取得者は各項目で高い傾向を示していた、このことから、いずれも各因子は職業的自律性と の関連性は高いことが示唆された。 キーワード 専門職的自律性 脳卒中高齢者 看護師 目次 Ⅰ.緒言 Ⅱ.研究の方法 1.調査対象 2.調査方法 3.調査期間 4.倫理的配慮 Ⅲ.結果 1.対象の基本属性
脳卒中高齢者に関わる看護師の専門職的自律性と
影響を及ぼす要因についての検討
福祉社会デザイン研究科ヒューマンデザイン専攻博士後期課程3年
新山真奈美
― 350 ― 2.脳卒中高齢者に関わる看護師の専門職的自律性との関連 3.脳卒中医療の経験年数と専門職的自律性の関連 4.認定資格者と専門職的自律性の関連性 5.性別と専門職的自律性の関連性 Ⅳ.考察 1.脳卒中高齢者に関わる看護師の専門職的自律性の特徴 2.脳卒中高齢者に関わる看護師の専門職的自律性の課題 3.脳卒中医療に従事する看護師に対する支援の提言 Ⅴ.結論 Ⅵ.研究の限界と今後の課題 謝辞 引用文献
Ⅰ.緒言
先進医療の発展に伴う高度化・複雑化、人口の高齢化、人々の価値観の多様化など、さまざ まな変化により、医療現場における看護師の役割は大きな課題ともいえる。昨今、高齢者人 口の増加、肥満や喫煙等が関与する生活習慣病やストレス社会などの環境的因子がもたらす 将来的影響により、脳卒中の発症リスクは高まっている1)。また脳卒中は、機能障害の主因 でもあり、突然の発症によりそれまで不自由のなかった日常生活動作を突然阻害する機能障 害に、高齢者は発症初期より戸惑い、混乱や不安を生じやすい。発症初期からの心理的ダメ ージは、その後の治療や生活に影響を来しやすく、障害により引き起こされるさまざまな心 理的葛藤を乗り越え、障害をもちながらもライフスタイルを再編成していく。そのためには、 脳卒中発症初期から継続的かつ個人に合わせたサポートが必要であり、脳卒中高齢者に携わ る看護師の職業的自律性が関与してくるのではないかと考えた。 米国看護協会(1980)の「看護の社会的役割に関する方針声明書」2)では、看護師の自律的 行動が看護の専門職としての質保証を伴うと言及している。また、看護師が専門職的自律性 を持つことについて菊池(1999)3)は、高度な専門技術に基礎づけられた自主的・主体的判 断と適切な看護実践という、看護活動における専門的な能力の発揮を意味すると述べている。 また中嶋(1991)4)は、看護の専門性について看護者の独自の判断と責任の基になされるも ので、基本的には、患者の日常生活行動への援助と述べている。つまり、看護師が自律性を 持つためには、高度な知識や技術を有する専門性を必要とし、さらに看護の専門性には日常 生活援助の場において、根拠に基づいた判断を行い、実践する専門場自律性が必要である。 看護師の職務遂行の際の専門職的自律性には、職位や教育、仕事への意欲や自信、満足感な― 351 ― どの内的特性が強い影響を与えること、経験年数が多いほど自律性が高い(菊池,1999)3)。 脳卒中高齢者に関わる看護師の専門職としての自律性に着目した研究は、研究者の知る限り ではない。 本研究は、脳卒中高齢者に携わる看護師の専門職的自律性に影響を及ぼす要因を明らかにす ることを目的とした。本研究は、脳卒中高齢者を擁護する責任を遂行するため、自律性を育 成するための資料として有効であると考える。
Ⅱ.研究の目的
本研究では、脳卒中高齢者に関わる看護師の自律性に関する要因として考えられる、性別や 脳卒中看護の経験年数、認定資格取得、に着目し、専門職的自律性への影響を及ぼす要因を 明らかにすることを目的とした。Ⅲ.研究方法
1.調査対象 脳卒中学会に所属し、脳卒中急性期医療を展開する施設から無作為に抽出し、全国280施設 の看護師職に対して1100部の質問紙調査票を配布し、返却された質問紙調査票を対象とし た。 2.調査方法 1)看護師の専門職的自律性尺度 脳卒中急性期医療に従事する看護師に対し、菊池・原田(1997)5)が考案した「看護婦の自 律性測度尺度」の内容を検討し、本研究の主旨に合致するように、「看護師」を「脳卒中急 性期医療に従事する看護師」、「患者」を「脳卒中高齢者」のように一部修正した質問紙調査 票を用い、各施設に発送し回答を依頼した。この尺度は、看護師の職務上の自律性に関し て、現在の脳卒中高齢者の状況をどれだけ正確に知覚し理解できるのかという力量を認知能 力(14項目)、判断した看護方法を主体的に実行し的確に成し遂げる行動がとれる力量を実 践能力(14項目)、訴えや症状など脳卒中高齢者が示す具体的な手がかりに基づいて対処方 法を的確に判断できる力量を具体的判断能力(7項目)、脳卒中高齢者の内面的状況(気分、 感情、不安のような心理的状況)を察知し、それに応じた看護の方法を組み立てる力量を抽 象的判断能力(7項目)、他者に依存することなく自ら独自に必要な看護方法を考察する力量 を自立的判断能力(5項目)、の5領域47項目から成る信頼性と妥当性が確認された尺度であ る。回答形式は、5件法とし、開発者の採点方法に従い、「全くそう思わない」1点、「あまり そう思わない」2点、「どちらともいえない」3点、「少しはそう思う」4点、「かなりそう思う」 5点の、5段階評価で得点化した。― 352 ― 2)分析方法 看護師の自律性測定尺度は、看護師の専門職的自律性を「認知能力」「実践能力」「具体的判 断能力」「抽象的判断能力」「自立的判断能力」の5つの側面からとらえようとするものであ ることから、5項目に分け集計を行い、性別、脳卒中看護の経験年数及び認定資格取得の比 較検討のために、一元配置分散分析を行った。また、自律性に影響を及ぼす要因の中で、脳 卒中医療の看護経験年数をあげ、脳卒中看護経験年数の区分は、Sovieのキャリア発達モデ ル6)を参考に、対象者を、脳卒中看護経験(0)1年未満(第1因子)、(1)1~3年未満(第2 因子)、(2)3~5年未満(第3因子)、(3)5~7年未満(第4因子)、(4)7~9年未満(第5因 子)、(5)9~11年未満(第6因子)、(6)11年以上(第7因子)、の7因子に分類した。看護師 の背景のうち、脳卒中医療の看護経験年数、認定資格取得を独立変数、専門職的自律性を従 属変数とした2要因の分散分析を行い、看護師の専門職的自律性に関連する要因を検討した。 また認定資格取得や性別と自律性との関係性も同時に分析した。分析は単純集計、1元配置 分散分析およびF検定を行った。また、要因に関するものを独立変数、専門職的自律性を従 属変数とした2要因の分散分析を行い、看護師の専門職的自律性を検討した。統計解析には IBM SPSS Statistics ver.21を用いた。統計学的有意水準を5%とした。
3.調査期間:2013年5月1日~8月30日 4.用語の定義 1)看護師の専門職的自律性:脳卒中高齢者のライフスタイルを尊重し、専門的知識に裏 付けされた判断のもと、看護師として自らの価値観や信念に従って判断し、主体的に行 動を決定し、実践する能力とした。 2)脳卒中高齢者:本研究で述べる高齢者は、WHOでいう65歳以上を基準とし、脳卒中を 経験した対象について脳卒中高齢者とした。 5.倫理的配慮 質問紙調査票に、調査の主旨及び厳重にデータを保管すること、研究目的以外に使用しない こと等を質問紙調査票にも標記した。質問紙調査票は匿名で記入し、得られたデータは統計 的に処理し、個人が特定されないようにIDとし、取得情報のデータ化および解析は、個人 が特定できないように行った。またデータはパソコンには保存せず、研究用の外付けハード ディスクに保存し、鍵付きのロッカーで厳重に管理した。データは研究以外に使用すること はなく、調査結果に関する学内や学会発表、論文作成に関しても、個人名ならびに個人が特 定できるような特徴は一切、公表しない。本研究の終了時に回答用紙は速やかにシュレッダ
― 353 ― ー処理を行い。研究終了後すべて消去すること、本調査に協力されないことによる不利益は ないこと、調査用紙の返送をもって同意とみなす旨を研究協力依頼文書に明記した。本研究 は、各協力施設ならびに東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科倫理委員会の審査を受け、 承認を得た。
Ⅲ.結果
全国の脳卒中医療を展開する施設に勤務する看護師1100名に対し、質問紙調査票を配布し、 651部を回収、651部を有効回答数とした。 1.対象者の基本属性 対象者の属性は、平均年齢が43.33歳で、性別は15.2%が男性、74.8%が女性であった。最終 学歴の主たるものは、63%が専門学校であった。免許取得後の看護職としての臨床経験年数 は、平均12.36年であった。そのうち、脳卒中医療の経験年数の平均は10.7年、さらに脳卒中 急性期医療では平均5.3年であった。勤務場所としては、約74%が総合病院であった。取得 している認定資格として、脳卒中リハビリテーション認定看護師、認知症ケア専門士、ケア マネージャー、呼吸療法士であった。 15 ⑨図表― 354 ― 2.脳卒中高齢者に携わる看護師の専門職的自律性との関連 自律性測定尺度の全項目および各下位尺度の構成項目の合計得点について、各尺度の項目数 が異なるため、得点を指数で表し、表2に示した。各項目の記述統計量の算出では、天井効 果や床効果はみられなかった。因子数は、菊池・原田(1997)5)の考案した質問紙調査表と 同様に5因子とし、全47項目について、探索的因子分析を行った。各自律性の平均値は、「認 知能力」47.96点、「実践能力」47.14点、「具体的判断能力」22.26点、「抽象的判断能力」 23.69点、「自立的判断能力」10.18点であった。データが正規分布するか否かを客観的に判断 するために、shapiro-wilkの検定を実施したところ、経験年数1年未満のみ各因子において 正規分布していた(p>0.05)。その他の経験年数ではいずれの因子においてp=0.000(p<0.01) であった。 表2は、関連要因と各自律性を検討した結果についてまとめたものである。各要因において 差が有意であったものは、第1因子では、「2 私は患者に将来起こるであろう危機を予測する ことができる」が勤務先0.11%**、学歴0.15%**、性別0.16%**、経験年数0.22%**、脳卒中経験 年数0.21%**、脳卒中急性期経験年数0.16**%であった、「3 私は治療が患者に及ぼす身体的影 響を予測することができる」は、勤務先0.15%**経験年数0.18%**、脳卒中経験年数0.25%**、 脳卒中急性期経験年数0.24%**であった。「13 私は患者の検査結果と症状との関連を理解する ことができる」では、勤務先0.15%**、脳卒中経験年数0.24%**、脳卒中急性期経験年数 0.23%**であった。第2因子では、「14私は援助に必要な情報を直ぐに集めることができる」 は、勤務先0.14%**,経験年数0.15%**,脳卒中経験年数0.18%**、脳卒中急性期経験年数0.19%**で あった。「15 私は緊急時にも落ち着いて援助を行うことができる」は、勤務先0.14%**、経験 年数0.19%**、脳卒中経験年数0.21%**、脳卒中急性期経験年数0.19%**であった。「16 私は患 者の急激な生理的変化(嘔吐、意識喪失など)に対応することができる」は、勤務先 0.15%**、経験年数0.15%**、脳卒中経験年数0.18%**、脳卒中急性期経験年数0.17%**であった。 「17 私は手際よく援助ができる」は、経験年数0.14%**、脳卒中経験年数0.16%**、脳卒中急 性期経験年数0.14%**であった。「18 私は患者が落ち着いて援助が受けられるよう常に配慮が できる」は、学歴0.15%**、経験年数0.16%**、脳卒中経験年数0.17%**、脳卒中急性期経験年 数0.18%**であった。第3因子では、「29 私は患者の多くの情報から必要な援助を選択するこ とができる」では、勤務先0.13%**、経験年数%0.21%**、脳卒中経験年数0.18%**、脳卒中急 性期経験年数0.18%**であった。「35 私はカンファレンスで患者の問題を主体的に提供するこ とができる」は、経験年数0.16%**、脳卒中経験年数0.14%**、脳卒中急性期経験年数0.14%** であった。「36 私は医療モデルを用いて援助方法を決定することができる」は、勤務先 0.11%**、経験年数0.17%**、脳卒中経験年数0.18%**、脳卒中急性期経験年数0.17%であった。 「38 私は将来起こるであろう問題に向けて援助方法を選択できる」では、経験年数0.13%**、 脳卒中経験年数0.14%**、脳卒中急性期経験年数0.15%**であった。第4因子では、「39 私は患
― 355 ― 者の変化(結果)を予想して援助を選択することができる」は、経験年数0.17%**、脳卒中 経験年数0.21%**、脳卒中急性期経験年数0.19%**であった。「40 私は充分な情報がなくても 現在の状況から適切な援助を推測できる」は、経験年数0.19%**脳卒中経験年数0.24%**、脳 卒中急性期経験年数0.23%**であった。第5因子では、「41 私は立案した計画はいつもスタッ フの承認が得られる」は、勤務先0.15%**、経験年数0.15%**、脳卒中経験年数0.18%**、脳卒 中急性期経験年数0.17%**であった。「42 私は患者の症状や検査結果を統合して適切な援助方 法を選択できる」は、0.13%**、勤務先0.14%**、経験年数0.17%**、脳卒中経験年数0.24%**、16 勤務先 学歴 性別 経験年数 脳卒中経 験年数 脳卒中急性期 経験年数 第1因 子2 私は 患者に将 来起こるで あろう危 機を 予測 すること ができる Pearson の 相 関 係数 0.11* 0.15** 0.15** 0.16** 0.22** 0.21** 第1因 子3 私は 治療が患 者に及ぼ す身体的影 響を 予測 すること ができる Pearson の 相 関 係数 0.15** 0.11* 0.09* 0.18** 0.25** 0.24** 第1因 子13 私は 患者の検 査結果と症 状との関 連を 理解 すること ができる Pearson の 相 関 係数 0.15** 0.12* -0.09 0.16* 0.24** 0.23** 第2因 子14 私は 援助に必 要な情報を 直ぐに集 める こと ができる Pearson の 相 関 係数 0.14** 0.06 -0.05 0.15** 0.18** 0.19** 第2因 子15 私は 緊急時に も落ち着い て援助を 行う こと ができる Pearson の 相 関 係数 0.17** 0.08 -0.04 0.19** 0.19** 0.19** 第2因 子16 私は 患者の急 激な生理的 変化(嘔 吐, 意識 喪失など )に対応す ることが でき Pearson の 相 関 係数 0.15** 0.04 -0.03 0.15** 0.18** 0.17** 第2因 子17 私は 手際よく 援助ができ る Pearson の 相 関 係数 0.14** 0.07 0.01 0.19** 0.21** 0.198* 第2因 子18 私は 患者が落 ち着いて援 助が受け られ るよ う常に配 慮ができる Pearson の 相 関 係数 -0.07 0.07 -0.09 0.14** 0.16** 0.14** 第2因 子21 私は 他職種と 連携を上 手に取るこ とが でき る Pearson の 相 関 係数 0.15** 0.09* -0.07 0.17** 0.23** 0.21** 第2因 子22 私は 援助の優 先順位を立 てて計画 的に 1日 を過ごす ことができ る Pearson の 相 関 係数 0.09 0.15** -0.01 0.16** 0.17** 0.18** 第3因 子29 私は 患者の多 くの情報か ら必要な 援助 を選 択するこ とができる Pearson の 相 関 係数 0.13** 0.06 -0.05 0.21** 0.18** 0.18** 第3因 子30 私は 患者の心 理的変化( 不安,怒 り, 焦り など)に 応じて援 助方法を選 択す Pearson の 相 関 係数 0.45 0.14** -0.03 0.18** 0.12* 0.11* 第3因 子31 私は 患者のニ ーズに一 致した援助 を選 択す ることが できる Pearson の 相 関 係数 0.04 0.09* 0.04 0.15** 0.09* 0.10* 第3因 子32 私は 突然の患 者の生理的 変化(血 圧低 下, 悪寒など )に応じ て援助方法 を変 Pearson の 相 関 係数 0.11* 0.12* -0.06 0.17** 0.19** 0.16** 第4因 子33 私は 患者の多 くの問題の 中から最 も優 先す べき問題 を選択で きる Pearson の 相 関 係数 0.15** 0.16 0.04 0.23** 0.18** 0.15** 第4因 子34 私は 援助方法 を自分ひ とりで選択 でき る Pearson の 相 関 係数 0.18** 0.01 0.03 0.19** 0.20** 0.18** 第4因 子35 私は カンファ レンスで患 者の問題 を主 体的 に提供す ることが できる Pearson の 相 関 係数 0.16** 0.10* -0.04 0.20** 0.20** 0.19** 第4因 子36 私は 医療モデ ルを用い て援助方法 を決 定す ることが できる Pearson の 相 関 係数 0.07 0.05 -0.09 0.15** 0.14** 0.14** 第4因 子38 私は 将来起こ るであろ う問題に向 けて 援助 方法を選 択できる Pearson の 相 関 係数 0.11** 0.06 -0.05 0.17** 0.18** 0.17** 第5因 子39 私は 患者の変 化(結果) を予想し て援 助を 選択する ことができ る Pearson の 相 関 係数 0.08 0.10* -0.01 0.13** 0.14** 0.14** 第5因 子40 私は 充分な情 報がなくて も現在の 状況 から 適切な援 助を推測で きる Pearson の 相 関 係数 0.08* 0.05 -0.02 0.17** 0.21** 0.19** 第5因 子41 私は 立案した 計画はいつ もスタッ フの 承認 が得られ る Pearson の 相 関 係数 0.06 0.05 -0.03 0.19** 0.24** 0.24** 第5因 子42 私は 患者の症 状や検査結 果を統合 して 適切 な援助方 法を選択で きる Pearson の 相 関 係数 0.13** 0.14** 0.05 0.18** 0.24** 0.21** **. 相 関係数は 1% 水準で 有意 (両 側) *. 相 関係数は 5% 水準で 有意 (両 側) 表2 専門職的自律性の相関分析 n=651
― 356 ― 脳卒中急性期経験年数0.20%**であった。 看護師の専門職的自律性について、看護師と項目と相関関係を調べると、認知能力(p< 0.001)、実践能力(p<0.001)において強い相関がみられた。具体的判断能力(p<0.001)、 抽象的判断能力(p<0.001)においては中程度の相関がみられた。自立的判断能力(p< 0.001)ではほとんど相関がみられなかった。 3.看護師の性別と専門職的自律性との関連 脳卒中高齢者に携わる看護師の性別によって専門職的自律性に影響するかをみるために各項 目と性別で一元配置分析を行った(表3)。対象の性別は、女性は93.09%、男性は6.91%であ った。2群のt検定を行ったうえで、5つの項目について、男女ともには有意差は認められな かった。性別に分け、5項目での平均値は、「認知能力」は男性49.20、女性47.90、「実践能 力」は男性48.31、女性47.09、「具体的判断能力」は男性23.82、女性23.70、「抽象的判断能 力」は男性22.76、女性22.25、「自立的判断能力」は男性19.36、女性20.00であった。いずれ も認知能力や実践能力は有意に高く、各判断能力の項目においては、有意に低いことが示さ れていた。また自立的判断能力では、女性より男性の方が有意に低かった。 17 表3 専門職的自律性と各要因との相関関連 n=651 合計の 平均値 性別 経験年数 認定資格の 有無 認知能力 47.94 -0.12** 0.26** -0.01 実践能力 47.16 -0.17** 0.26** -0.12** 具体的判断能力 23.71 -0.15** 0.25** -0.17** 抽象的判断能力 22.27 -0.08* 0.22** -0.15** 自立的判断能力 19.96 -0.07 -0.03 -0.07 * P〈0.05 ** P〈0.01 専門職的自律性同士との関連性は、表4、5の通りである。 Pearsonの積率相関係数において、性別と自立的判断能力に明らかな相関関係がみとめられ た(表4)。認知能力は実践能力、具体的判断能力、抽象的判断能力において(r=0.71~ 0.81,p<0.01)で強い相関を示していた。実践能力では認知能力、具体的判断能力、抽象的 判断能力において(r=0.76~0.91,p<0.01)で強い相関を示していた。具体的判断能力では認 知能力、実践能力、抽象的判断能力において(r=0.71~0.91,p<0.01)で強い相関を示してい た。抽象的判断能力では認知能力、実践能力、具体的判断能力において(r=0.81~0.87,p<
― 357 ― 0.01)で強い相関を示していた。自立的判断能力に注目すると、全ての項目に対して強い負 の相関を示しているが有意差がなかった。 18 19 表5 性別による専門職的自律性の比較 男性n=46 女性n=605 相関係数 Flsher 相関係数 Flsher 認知能力 0.15 13.79 0.22 13.79 実践能力 0.14 -2.20 0.16 -2.20 具体的判断能力 0.13 6.90 0.15 8.18 抽象的判断能力 0.13 -7.96 0.15 -8.55 自立的判断能力 0.08 -13.36 0.09 14.27 4.脳卒中医療の経験年数と専門職的自律性との関連性 看護師の脳卒中看護経験年数によって、看護師の専門職的自律性尺度の5項目の得点に差が あるかをみるために一元配置分散分析を行った。結果は、表6に示した。看護師の脳卒中看 護経験年数の7群を独立変数として、看護師の自律性尺度の5項目各得点を従属変数とした。 分析の結果、脳卒中看護の経験年数1年未満で他の因子よりも「認知能力」の得点が有意に 低く、「実践能力」および「各判断能力」は有意に高い傾向を示していた(p<0.01)。脳卒 中看護の経験年数5~7年においては、「認知能力」は他の因子よりも高い得点ではあるが、 「実践能力」および「各判断能力」の得点が有意に低い傾向が示されていた。
― 358 ― 20 従属変数とした。分析の結果、脳卒中看護の経験年数1年未満で他の因子よりも「認知能力」 の得点が有意に低く、「実践能力」および「各判断能力」は有意に高い傾向を示していた(p <0.01)。脳卒中看護の経験年数5~7年においては、「認知能力」は他の因子よりも高い得点 ではあるが、「実践能力」および「各判断能力」の得点が有意に低い傾向が示されていた。 専門職的自律性同士との関連性は、表7、図1の通りである。 Pearsonの積率相関係数において、性別と自立的判断能力に明らかな相関関係がみとめられ た(表7)。認知能力は実践能力、具体的判断能力、抽象的判断能力において(r=0.56~ 0.70,p<0.01)で中程度の相関を示していた。実践能力では認知能力、具体的判断能力、抽 象的判断能力において(r=0.70~0.82,p<0.01)で強い相関を示していた。具体的判断能力で は認知能力、実践能力、抽象的判断能力において(r=0.64~0.82,p<0.01)で中程度の相関を 示していた。抽象的判断能力では認知能力、実践能力、具体的判断能力において(r=0.54~ 0.70,p<0.01)で強い相関を示していた。自立的判断能力に注目してみると、実践能力、具 体的判断能力、抽象的判断能力の項目に対して負の相関を示し、認知能力では、ほとんど相 関がなかった。
― 359 ― 21 5.認定資格取得と専門職的自律性との関連性 認定資格を取得している看護師は12名であった。認定資格を取得することによって、自律性 尺度の5項目に影響があるかをみるために、12名の看護師のデータに対して一元配置分散分 析を行った。「自立的判断能力」の標準偏差は最も低かった。「実践能力」と「具体的判断能 力」「自立的判断能力」と認定資格取得では、明らかな相関関係がみられていた。 Pearsonの積率相関係数においては、認定資格取得と自立的判断能力に明らかな相関関係が みとめられた(表8)。認知能力は実践能力、具体的判断能力、抽象的判断能力において (r=0.74~0.87,p<0.01)で中程度の相関を示していた。実践能力では認知能力、具体的判断 能力、抽象的判断能力において(r=0.84~0.91,p<0.01)で強い相関を示していた。具体的判 断能力では認知能力、実践能力、抽象的判断能力において(r=0.81~0.91,p<0.01)で強い相 関を示していた。抽象的判断能力では認知能力、実践能力、具体的判断能力において (r=0.74~0.91,p<0.01)で強い相関を示していた。自立的判断能力に注目してみると、認知 能力実践能力、具体的判断能力、抽象的判断能力の項目に対して弱い相関を示していた。
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Ⅳ.考察
一般に専門職的自律性の概念については、1)社会的に不可欠で、しかも独自な活動を行い、 その範囲や機能が明確である、2)独自な学問的理論に裏付けられた高度で複雑な知的技術 を行使する、3)業務の規格化が困難で専門的判断および措置について職務上の自律性を持 つ、4)業務の有効適切な遂行のために専門職従事者の自治的な団体が従事者の業務水準の 維持改善に責任を持ち、倫理綱領を実施し、免許・就業・除名などの規制を行い、準備教育 および研究などを自主的に行う、5)社会的に専門職としての権威と特権を認められる(伊 東、1995)7)が挙げられている。看護においても専門職としての自律性について検討されて いる。看護が専門職であるためには、体系的知識に基づく学問的基盤を必要とし、個人の資 質において専門職業人としての自覚、すなわち自律性をもつ必要性がある(山口、2009)8) との見解もあった。このことから、脳卒中高齢者に携わる看護師に焦点をおき、自律性に関 連する要因について考察していく。 1.脳卒中高齢者に携わる看護師の専門職的自律性の特徴 脳卒中高齢者看護に携わる看護師の自律性のすべての項目において、相関がみられた。先行 研究5)と同様の結果が得られたといえる。性別において、男性看護師は、脳卒中高齢者の現 在の状況を正しく捉え、的確な看護を主体的に行動できる実践能力は高いが、脳卒中高齢者 の内面的状況を把握する抽象的判断能力や、他者に依存することなく、自ら独自に必要な看 護方法を考察する自立的判断能力が低い傾向を示していた。自立的判断能力に関しては、女 性看護師も同様の傾向を示していた。このような特性については、わが国の男性看護師数は 年々増加しているものの、厚生労働省医政局看護課調べ9)で2012年では、男性看護師63,321 名、男性准看護師23,148名とし、女性看護師1,004,439名、女性准看護職354,608名である。比 率で女性の看護師が圧倒的に多く、このような集団における少数者である男性看護師は、自― 361 ― 己の異質性を強く意識する存在(松田・定廣・他、2004)9)であった。看護においての共感 は、相互理解という親密な関係性を確立していくためのプロセスの表れで、患者とお互いの22
図1 脳卒中看護経験年数と専門職的自律性の関係
22図1 脳卒中看護経験年数と専門職的自律性の関係
― 362 ― 気持ちや反応を確認しあう相互作用ともいわれている(小代、1989)10)。この「確認」と「関 係性」において、女性看護師・男性看護師間の有意差がみられた。女性看護師の方が患者の 共感を意識し、評価できる関係性から始まり、患者が自己の個別性と自尊心を確認するとい う、段階的に進むプロセスが可能であったことが示唆されていた。また、女性看護師は患者 に対してケアを行いながら、患者の思いに寄り添うことで、患者は女性看護師の共感を意識 し評価していた(松岡・藤田、2011)11)ことが示唆されていた。このような背景も、男性看 護師の抽象的判断能力が低いと評価していたと推測する。 一方、女性看護師においては、「役割葛藤」「質的負担」「医師との関係性」のような自立的 判断能力の点で、男性看護師よりも有意に得点が高く、この点から強いストレッサ―を感じ ている(大植・森山他、2010)12)ことが考えられた。しかし、看護の歴史には女性が先行し ており、女性らしさが重なり、脳卒中高齢者には女性の看護師が思いやりや優しさあると認 識し、信頼や安心できる対象と認知されていたと推測する。しかしながら、豊富な経験年数 や個々人の特性により、男性看護師においても安心・安全な技術や脳卒中高齢者を思いやる 心をもってケアできることは否めない。脳卒中高齢者が求めているのは、性差ではなく、い かに自分を理解し、専門性の高い知識と技術をもって看護を提供できる看護師であることは 忘れてはいけないと考える。 年齢と自律性の各項目の関連性を報告している先行研究13)とは一致していた。報告では、関 連性のある根拠として考えられる点では、管理職も含むすべての看護師を対象としており、 地位の高い看護師ほど年齢が高く、併せて経験が豊富であることやさまざまな状況下でも適 応できる能力を学んでいることにあると述べている。本研究においては、年齢よりも脳卒中 医療の経験年数に焦点を絞ったため、本研究の対象の年齢層から、看護師としての経験年数 が長かったとしても、脳卒中医療の経験年数が必ずしも長いとは言えず、また経験豊富とも 一概には言い切れず、先行研究14)とは一致しない結果が得られたと考える。1年未満の経験 年数の看護師では、全因子において看護経験年数が看護専門職としての自律性の形成に関連 性があると、認定資格取得と自律性との関係では、本研究対象が自発的に資格の取得を目指 したものかは判断できないが、資格を取得するにあたり、合格するための学習は自己の余暇 時間を短縮しながら、進めていったものといえる。また、資格取得の動機においても、本研 究からは読み取ることはできないが、質の高いケアの提供を目指し(宮首・亀岡、2012)15)、 活動継続していくための意気込みであったとも考えられた。一方で、看護職継続を躊躇する ほど、認定看護師の活動継続が容易ではない状況にある者が存在する(宮首・亀岡、 2012)15)と報告されている。その理由として、資格の活用や上司における理解度・認知度の 低さ、休暇のリフレッシュが十分にできない等が誘因となっている特徴があげられていた。 このことから、認定資格取得者の活動継続に向けて、管理者が認定資格取得者の役割を理解 し、活動継続ができるよう支援することが重要であり、仕事に満足できていない状況、十分
― 363 ― にリフレッシュできていない状況の原因を解明し、認定資格取得者の活動が可能な状況にし ていくことが重要である。これらが解決していくことで、さらに資格を取得する希望者が増 加し、一層、脳卒中高齢者における看護の質が高まるものと期待する。 2.脳卒中高齢者に携わる看護師の専門職的自律性と課題 すべての尺度の得点を看護師の経験年数別にみた報告では、看護経験3年を境に大きく高ま ることが示され(菊池、1999)3)、3年未満の看護師に多くの支援が必要であった。本研究に おいては、脳卒中の看護経験年数の区分に1年未満のグループを設定し分析したことにより、 経験の少ない看護師の中でも、どの時期に特に支援が必要となるのか、客観的に示すことが できたといえる。また、看護職としての専門性が十分に発揮できるには、少なくとも10年の 経験年数が必要であるとされている(菊池、1999)3)。本研究における7年以上の看護師の評 価が全ての自律性において高く、脳卒中看護の質を高めるためには、継続した経験が必要で あることを示していると考える。本研究での7年以上の看護師268名のうち、256名が脳卒中 看護の経験があり、うち、224名が脳卒中急性期看護の経験があり、経験年数が影響を与え ていたとも考える。 特に、先輩看護師や他者の指示に従った行動から、経験を積むことによって徐々に専門的知 識や技術を習得し、主体的に行動できるようになり、自立的判断能力が高まったと考えられ る。しかし、脳卒中高齢者の精神面への理解の難しさから、抽象的判断能力が他の自律性と 比較して低い値を示していたと考えられる。脳卒中医療に携わる看護師は、身体面や精神面 において危機的状況にある患者の生命の維持、安全・安楽を中心としたケアの提供が重要と される(KimLuzen and Brolin、1994)16) 。しかし、脳卒中の発症に伴い、身体機能障害を
併発する場合もあり、疾病の罹患の衝撃のみならず、これまで何不自由のなかった体の不具 合に対し、怒りやさらなる衝撃を受ける場合もある。これにより、発症初期よりうつ状態や アパシー、不安の増強による心理的ダメージのリスクも高まり、その後の生活にも影響をき たすと考える。高齢者、特に重篤な疾患からの回復期や介護施設に入所している虚弱高齢者 にとって深刻な影響をもたらすことがわかっている(KimLuzen and Brolin、1994)16)。Katz
ら17)によって提唱された増幅仮説によると、抑うつは身体的・心理社会的・行動的な機能の 側面を悪化させる。また、介護施設に入所している高齢者は、生活に適応できなかったり、 日常のケアや治療への拒否、社会的に孤立しやすい18)。このことから、高齢者にとって脳卒 中の発症や身体機能の障害が重篤であればあるほど、心理的ダメージの発生する確率は高 く、身体面のみならず心理社会的にも重症化しやすい18)。特に、急性期医療の在院日数は一 般的に短縮している傾向にあり、心理的ダメージは見逃してはならない重大な健康上の問題 である。本研究結果より、抽象的判断能力の低下は,看護の専門性の困難感であると考える。 専門職的自律性とは、他者の価値観及び権利を尊重・擁護し、権威に従属せず、自らの信
― 364 ― 念・価値観に基づいて意思決定し、その結果に責任を持つことにある(倉田、2011)19)。こ れは、看護師は専門職業人として、道徳性と規範性を持ち、脳卒中高齢者を尊重した行動が とれることが課題である。 3.脳卒中医療に従事する看護師に対する支援への提言 看護師の自律的行動が看護の専門職としての質保証を伴うことについて(米国看護協会,看 護の社会的役割に関する方針声明書,1980)、看護師の専門性を高め、職務遂行するためには、 専門職的自律性は重要であると再認識できた。しかし、脳卒中医療の経験の少ない看護師が 確実で安全な実践能力や自立的判断能力を高めていくためには、サポーターの支援を受けな がら、自ら判断し実践していくための専門的知識や技術を身につけていくことが必要である。 看護経験1~3年の新人の時期である看護職の専門職的自律性は低く(石渡・臼井・長島、 1997)12)、入職4~5年目に看護師としてのアイデンティティが確立する時期であり8)、経験の 少ない看護師への支援の意義は大きいもとのいえる。さらに経験のある看護師に対しては、 これまでの経験を活かした看護実践や教育にむけた支援を実施していく。経験のある看護師 は、専門職への意識や関心領域をもつことによって、例えば脳卒中リハビリテーション認定 看護師のような資格を取得することで、脳卒中看護の実践による自律性への意識が高まって いくものと考える。 脳卒中高齢者とその家族に関わる看護師が経験年数に関わらず、対象との関係性の構築の難 しさがあると倉田(2011)19)は分析している。本研究において、新人のみならず、全体的に 他の自立的判断能力や抽象的判断能力が特に低い評価であり、さらにこの項目のみ5~7年の 評価が低く、短い関わりの中で対象をとらえることの難しさやコミュニケーション能力の困 難さを改めて実感し、悩みや戸惑いが生じた結果を示すものと考えた。よって、新人看護師 に問わず、脳卒中高齢者やその家族の心理状態のアセスメントを看護実践に活用できる支援 が必要になることが示唆された。さらに、コミュニケーション技術を高める体験学習等を取 り入れ、継続して教育や訓練していく。看護師の専門職的自律性には、専門性、経験や知 識、仕事に対する意欲、自信、充実感や満足度、職務継続意思などの内的特性が関連 し8)13)14)、特に看護の仕事に対するキャリア意識が、経験年数を問わずどの看護師にも共通 する要因であった(菊池、1999)3)。本研究対象の専門職的自律性を高めるためには、仕事へ の意欲を維持でき、専門職として常に成長できるように、支援していくことが必要である。 そのために、教育体制と学習環境を提供し、教育プログラムのマニュアル化、ガイドライン の作成に取り組み、看護師の専門職的自律性が高まるよう支援していく必要がある。専門職 的自律性が高まることで、脳卒中医療に邁進できる看護師の人材育成にもつながると考える。
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Ⅴ.結論
1.脳卒中高齢者に携わる看護師の専門職的自律性の要因には、性別、脳卒中看護の経験 年数、認定資格の取得が関連しており、特に自立的判断能力が有意に低かった。 2.脳卒中医療に従事する看護師の経験年数が長くても、脳卒中看護の経験年数によって、 自律性に影響をきたすことが示唆された。 3.脳卒中高齢者のライフスタイル再編成にむけた看護師育成には、脳卒中看護に対する 性別・経験年数・認定資格取得に応じた学習ツールや教育プランを構築していく。ま た、さまざまな状況に対応できるためのアセスメントツールや教育プランを、継続的に 取り入れていく。Ⅵ.研究の限界と今後の課題
本研究は、脳卒中医療における看護師の専門職的自律性をひとつの尺度を用いて測定したこ とや性別や経験年数、認定資格の取得との関連性では、対象者の人数が少なかった点から研 究の限界が考えられる。今後は、本研究と並行して実施した面接調査結果と併せて、看護師 への支援の具体的方法を探索していく。また、要因を性別、経験年数、認定資格取得の3点 に焦点を当てた研究であったが、その他に関連する要因を検証していくことや、対象の度数 から研究結果の精度をあげ、専門職的自律性と要因を明らかにしていくことが課題である。謝辞
研究へのご協力をいただいた全国の脳卒中医療を展開する施設に勤務されております、看護 師の皆様に心より感謝申し上げます。引用文献
1) 厚生統計協会,2008,厚生の指標 国民衛生の動向,55(9),39‐40. 2) アメリカ看護婦協会、日本看護協会出版会編,小玉香津子訳:いま改めて看護とは 看護の社会的 役割に関する方針声明書,1984. 3) 菊池昭江,1999,看護専門職における自律性と職場環境および職務意識との関連 経験年数ごと にみた比較,看護研究,32(2),92-103. 4) 中嶋カツエ,1991,「専門看護婦制度」の動きを受けて、看護の専門性と看護の専門分化を考え る、久留米大学医学部附属看護専門学校紀要,11,47-52. 5) 菊池昭江,原田唯司,1997,看護専門職における自律性に関する研究;基本的属性・内的特性との関 連,看護研究,30(4),285-297.6) Sovie, M. D.,1982, Fostering professional careers in hospitals:The role of staff development, part1,Nurse Educator,7(6),28-32.
― 366 ― 7) 伊東敬,1995,澤柳政太郎の教職論における専門性と自律性-小学校教師を中心として-,静岡大 学教育部研究報告,人文・社会学篇,45,181-199. 8) 厚生労働省医政局看護課調べ(2014閲覧), http://www.nurse.or.jp/home/publication/toukei/pdf/toukei05.pdf http://www.nurse.or.jp/home/publication/toukei/pdf/toukei04.pdf 8) 山口佳子,2009,看護専門職の自律性に関する要因の分析-一般属性 看護職自身および部下が評 価する看護師長のリーダーシップとの関連-,日本赤十字看護学会誌,10(1),1-10. 9) 松田安弘,定廣和香子,舟島なをみ,2004,男性看護師の職業経験の解明,看護教育研究,13,1,9-21. 10) 小代聖香,1989,看護婦の認知する共感の構造と過程,日本看護科学学会誌,9,2,1-3. 11) 松岡真弓、藤田倫子,2011,性差により看護師-患者関係における共感と信頼の特徴-女性看護 師と男性看護師との相違から-,看護・保健科学研究誌,10(1),210-219. 12) 大植崇,森山美知子,中谷隆,2010,病棟に勤務する看護師において性差とジェンダー・タイプのど ちらがストレッサ―とバーンアウトの知覚に影響するか,広大保健学ジャーナル,9(1),7-14. 13) 石渡祥子,臼井陽子,長島文子,1997,20代ナースの経年別にみるキャリア形成過程(その3) -卒後 4-5年目のナースの満足度と看護実践の評価,第28回日本看護学会集録,看護管理,28,233-236. 14) 伊東敬,1995,澤柳政太郎の教職論における専門性と自律性-小学校教師を中心として-,静岡大 学教育部研究報告,人文・社会学篇,45,181-199. 15) 宮首由美子,亀岡智美,2012,認定看護師の活動継続意思の現状と活動状況との関係,Nurs Studies NCNJ,11(1),1-9.
16) KimLuzen and Brolin,1994, Coneseptualization and Instrument of nurses Moral Sensitivity in Psychiatric Practice.International J Methods in Psychiatric Reaerch,4,241-248.
17) Katz IR,1996,On the inseparability of mental and physical health in aged persons. Lessons from depression and medical comorbidity. Am J Geriatr Psychiatr.1996;4:1-16.
18) 猪下光,1999,看護職のキャリア・ストレスのモデル分析,香川医科大学看護学雑誌,3(2),15-21. 19) 倉田節子,2011,短期入院の子どもと家族に関わる看護師の看護実践に関する認識,日本小児看護
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Affiliation:Welfare Society Research Design Major, Toyo University Graduate School Abstract: To identify the relationships between autonomous judgment and the quality of nurses, with the aim of elucidating the lifestyle restructuring support of elderly persons. In order to identify the relationship between nurse performance, authorization qualification acquisition, years of clinical experience, sex difference, a test was given to 651 nurses at stroke medical institutions based on the Scale for Measuring Nurse’ Autonomy as Specialists, developed by Dr. Kikuchi in 1997. A result, analyzing issues affecting nurses’ autonomy as specialists, there were significant difference of autonomous judgment ability and Nursing Experience of stroke.