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0歳児保育を利用する母親への保育所支援の視点―A市における育児休業利用状況実態調査を手がかりとして― 利用統計を見る

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0歳児保育を利用する母親への保育所支援の視点―A

市における育児休業利用状況実態調査を手がかりと

して―

著者

樋口 和子

著者別名

HIGUCHI Kazuko

雑誌名

東洋大学大学院紀要

50

ページ

377-397

発行年

2014-03-15

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006566/

(2)

0 歳児保育を利用する母親への保育所支援の視点

── A 市における育児休業利用状況実態調査を手がかりとして──

福祉社会デザイン研究科ヒューマンデザイン専攻博士前期課程修了

樋口 和子

要旨

 0 歳児の子育て期は、安定した母子関係性が子どもの心身の発達の基礎を培うと共に、母 親も親としての養育力を形成していくという相互作用があり、重要な時期であるという認識 がされている。  現代の日本では、働いているすべての者に育児休業制度が原則 1 年間認められているが、 保育所の 0 歳児保育を利用する母親は増え続けている現状である。しかも、0 歳児産休明け 直後で入所した母親の中に子どもとの感情交流が希薄な様子など、気になる姿が確実に増加 しており、保育所での適切な対応が求められている。  そこで、こうした母親の状況を理解し、保育所における適切な支援を展開させるためには、 育児休業を早期に切り上げる理由を明らかにし、0 歳児保育を利用する母親の背景と、母親 の抱えている子育て実態と育児に対する感情を理解することが重要だと考えた。  本研究の目的は、育児休業利用状況別に、母親の育児に関する不安感や負担感などの状況 と夫・父母や保育所の支援状況がどのように関連しているのかを調べることを通じて、保育 所支援の視点を明らかにすることである。対象は、保育所に 0 歳児で入所させた母親 251 名 であり、母親の育児休業利用状況を基に操作的に 3 群(「満了群」、「前倒し群」、「転職・求 職群」)に分類し、3 群の養育状況・就労状況の特徴を整理した。また、群別に母親の育児 に関する感情と夫・父母や保育所のサポートとの相関分析を行い、それぞれの有意性に着目 して支援視点を群別に考察した。 キーワード:0 歳児保育、母親、保育所支援

目次

Ⅰ 問題意識と目的

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Ⅱ 研究方法  1 調査の実施方法および調査対象   (1)調査の手続き   (2)調査対象と地域特性   (3)調査期間   (4)調査内容   1)基本属性   2)養育状況   3)入所理由   4)育児感情尺度   5)夫・父母・保育所に関わるサポート尺度   (5)分析方法   1)育児休業利用状況の分類   2)分析視点 Ⅲ 結果  1 育児休業利用状況から見た入所理由と養育状況・就労状況   (1)群別に見た入所理由   (2)群別に見た養育状況・就労状況   2 群別に見た育児感情の差異  3 群別に見た育児感情とサポートの相互関連性   (1)「満了群」   (2)「前倒し群」   (3)「転職・求職群」 Ⅳ 考察  1 育児休業利用状況から見た入所理由と養育状況・就労状況の特徴  2 群別に見た育児感情の差異  3 群別に見た育児感情とサポートの相互関連性  4 総合的な考察 Ⅴ 結論と今後の課題

Ⅰ 問題意識と目的

 近年、働く母親が増え、育児休業制度が整備されてきている一方で、保育所に入所する 0 歳児は増えている。全国の 0 歳児保育所利用児童は、2008 年では 88,189 人であったが、

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2012 年には 108,950 人となっており、保育所利用児童割合は 8.1%から 10.2%へ増加している。 女性の就労に対する意識の変化や社会経済の変化に伴って、今後、育児期に就労する女性は さらに増加し、保育所の需要はますます高まることが予想される。  こうした状況の中で、2008 年に改訂された新保育所保育指針においては、保育所に入所 している「保護者支援」の必要性が明文化された。すなわち、保育者にとって、単に子ども の育ちを支援するだけではなく、保護者に対しても子育てに関わる相談・助言といった援助 活動が重要な業務として位置づけられたのである。筆者は、35 年間に渡って保育所保育に 携わってきたが、近年、0 歳児産休明け直後で入所した母親の気になる行動が目立ってきて いる。例えば、お迎えの際、母親の表情は硬く、降園の準備を淡々と行い、子どもとの感情 交流が非常に希薄な様子が観察される。0 歳児といえば発達の始期であり、母子の愛着関係 を基盤として多様な発達を遂げていく重要な時期である(ボウルビィ 1976)。母親にとって も生理機能・運動機能が未熟な子どもの子育てを通して、親としての養育力を培っていく大 事な時期といえる。さらに、(鯨岡 2002)は、安定した母子関係性が子どもの心身の発達の 基礎を培うと共に、母親も親としての養育力を形成していくという相互作用がありこの時期 は重要な時期であるとしている。このように、0 歳児における母子関係性の重要性が指摘さ れているにもかかわらず、この時期における母親の気になる姿が確実に増加し、保育所での 対応が求められている。  こうした問題意識を手がかりにして、母親支援に関わる先行研究を概観した。「育児不安」 「育児感情」(育児感情とは母親の子育てに対する負担感や不安感および肯定的感情である) 「育児ストレス」といったテクニカルタームで多くの研究が展開されており、その実態や影 響要因が検討されている。主な研究結果として、(荒牧 2008)は、育児を巡る否定的感情や ストレスに対して出生順位が関与し、第 1 子群にその傾向が強いことを明らかにしている。 また、母親の育児不安に、夫婦間のコミュニケーション頻度や父親の育児参加状況が影響を 与えていること(牧野 1982、住田ら 1999、村松 2006)、さらに、夫・保育者・友人らのサポー トが影響を与えていること (荒牧ら 2008)などが明らかにされている。しかしながら、こ れらの先行研究は、保育所、幼稚園に通う 0 歳児~ 5 歳児を持つ母親を対象としており、0 歳児に特化した研究は皆無であった。  0 歳児の子育て期は、子どもにとっては発達の、母親にとっては子育ての始期にあたる重 要な時期である。0 歳児産休明け直後で入所した母親の中に子どもとの感情交流が希薄な様 子など、気になる姿が増加しており、保育所における母親支援のあり方を検討することは非 常に重要であるいえる。  そこで私は、こうした母親の状況を理解し、0 歳児入所の母親の保育所における適切な支 援を展開させるために、育児休業を早期に切り上げる理由を明らかにし、0 歳児保育を利用 する母親の背景と、母親の抱えている子育て実態と育児に対する感情を理解することが重要

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だと考えた。  本研究においては、0 歳児保育を利用する母親の入所前提となる育児休業制度の利用状況 に応じて操作的に 3 群に分類し、母親の育児に関する不安感や負担感などの状況と夫・父母・ 保育所の支援が、どのように関連しているのかを調べることを通じて、保育所支援の視点を 明らかにすることを目的とする。

Ⅱ 研究方法

1 調査の実施方法および調査対象

(1)調査の手続き  まず、調査実施にあたり、私立保育園長連絡協議会(園長会)に調査協力を依頼し、了承 を得た。そして、平成 23 年 9 月 1 日から平成 24 年 8 月 31 日に入所した 0 歳児を把握した後、 各園に調査票と返信用封筒を配布した。 (2)調査対象と地域特性  園長会に配布した調査票は、582 部であり 258 名から回答を得た(回収率 44.3%)。また、 記入漏れは分析から除外した為、最終的に得られたサンプル数は、251 名である(有効回収 率 43.1%)。  対象地域である A 市の保育所では、「就労せずに、求職中の方でも入所できる現状」であ ることから、待機児童がいない地域である。すなわち、A 市における本研究は、母親が育 児休業制度を前倒しする理由が、待機児童とならないためという外部的な要因ではなく、母 親の就労環境や母親の育児環境と育児感情によるところが大きいと考える。また、A 市では、 待機児童がいないために、育児休業期間終了 1 か月前から、慣らし保育期間として保育所に 入所できる地域である。よって、育児休業満了の場合は、母親が希望すれば、子どもが 11 か月で入所することになる。  また、A 市は人口 34 万 2,691 人の中核市であり、就業者の産業別割合は、第 3 次産業が 約 7 割を占めている。家族形態は、平成 17 年国勢調調査の結果によると、「核家族世帯」が 59.6%であり、核家族化が進展している地域である。 (3)調査期間  平成 24 年 10 月 10 日~ 10 月 26 日 (4)調査内容 1)基本属性  対象者の年齢、子どもの月齢、子どもの数 2)養育状況  経済状況、子育て意識

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3)入所理由 「育児休業が切れるから」、「経済的な理由から」、「子どもといるのが辛かったから」、「早 く仕事にもどりたかったから」、「社会とつながっていたいから」など 8 項目を設定し、第 1 の理由、第 2 の理由を尋ねた。 4)就労状況と育児休業利用状況  雇用形態、育児休業制度の状況 5)育児感情尺度 荒牧(2008)が開発した育児感情尺度を適用した。育児感情尺度は、5 つの下位尺度で 構成されており、すでに信頼性妥当性が確認されている。それぞれの質問に対し 4 件法で尋 ね(まったくない- 1 点、あまりない- 2 点、ときどきある- 3 点、よくある- 4 点)下位 尺度別に加算集計して尺度化した。具体的な質問内容、項目数、信頼性係数は表 1 の通りで ある。なお、下位尺度の内容を考慮し、「育ちへの不安感」、「子どもの態度・行為への負担感」、 「育て方への不安感」の 3 つを子どもに対する直接的感情とし、「育児への束縛による負担感」、 「育児への肯定感」の 2 つを子育てを通した間接的感情と位置づけ、分析時の考察の観点と した。  6)夫・父母・保育所に関わるサポート尺度 宗像(1995)を参考にした。宗像 は、支援ネットワークの内部構造を「手段的サポート」 と「情緒的サポート」の 2 つに分類している。「手段的サポート」は問題解決の方法が得ら れる、「情緒的サポート」は安心感・信頼感が得られると説明している。その考え方を参考に、 夫・父母・保育所という 3 つの観点からそれぞれの項目をリストアップし、4 件法(まった 表 1 育児感情尺度の内容 下位尺度 (項目数) 信頼性分析 α 具体的な内容 育ちへの不安感 (4 項目) α =.85 同年齢の子どもと比べて、自分の子どもは幼いと感 じるなど 子どもの態度・行為への 負担感 (5 項目) α =.72 子どものことを考えるのが面倒になるなど 育て方への不安感 (4 項目) α =.82 自分の育て方でよいのか不安になるなど 育児への束縛による負担感 (4 項目) α =.67 自分一人だけで子育てをしているような気がするなど 育児への肯定感 (4 項目) α =.72 子どもの成長が楽しみに感じるなど

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くあてはまらない- 1 点、あてはまらない- 2 点、ときどきあてはまる- 3 点、よくあては まる- 4 点)で回答を求めた。夫・父母・保育所別に因子分析(主因子法、プロマックス回 転)を行い、解釈可能性の観点から尺度化した。  夫・父母のサポート尺度は 10 項目の中から 2 因子を抽出し、保育所のサポート尺度は 8 項目の中から 1 項目を削除し、最終的に 7 項目の中から 2 因子を抽出した。いずれの因子分 析結果についても、第一因子は当初想定していた母親を認めたり、支持するなど情緒的側面 からのサポート内容であることから「情緒的サポート」因子と命名し、第 2 因子は子育てを 行う中での具体的な援助行動や情報提供であることから「手段的サポート」因子と命名した。 具体的な質問内容、項目数、因子固有値、信頼性係数は表 2 の通りである。 (5)分析方法 1)育児休業利用状況の分類 育児休業利用状況から、操作的に 3 群に分類した。慣らし保育を含め 11 か月入所の母親 を「満了群」、2 か月~ 10 か月入所の育児休業を早期に切り上げた母親を「前倒し群」、出 産前と出産後の職場の違う母親および入園時に就労していない母親を「転職・求職群」とし た。分類後のサンプル数は、「満了群」107 人、「前倒し群」94 人、「転職・求職群」50 人であっ た。群別の入所状況を表 3 に示す。 表 2 本研究で使用した尺度Ⅱ 尺  度 (項目数) 固有値 具体的な質問内容 信頼性係数α 夫のサポート 手段的サポート (5 項目) 1.039 子どもの送迎をしてくれる 子どもと遊んでくれるなど α =.795 情緒的サポート (5 項目) 5.547 一緒にいると心が落ち着く あなたを評価し、認めてくれるなど α =.91 父母のサポート 手段的サポート (5 項目) 6.414 子どもの送迎をしてくれる 子どもと遊んでくれるなど α =.886 情緒的サポート (5 項目) 1.194 一緒にいると心が落ち着く あなたを評価し、認めてくれるなど α =.939 保育所のサポート 手段的サポート (3 項目) 3.953 子育ての方法を教えてくれる 子どもの発達について教えてくれるなど α =.779 情緒的サポート (4 項目) 0.915 保育士は、いつでも話を聴いてくれる 保育士は、あなたを評価し認めてくれるなど α =.846 (プロマック法による回転)

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2)分析視点 ① 群別に第 1・2 の入所理由を加算し、各項目の総指摘件数を算出した(項目は図 1 参照)。 その後、指摘件数に対して総サンプル数で除し割合を算出し、上位 3 項目を概観して群別 の入所理由を整理する。 ② 育児休業利用状況別の 3 群において、養育状況・就労状況といった項目に人数の偏りがあ るかを検討するために、χ2検定および残差分析を行った。 ③ 群別に育児感情にどのような差異が認められるかを確認するために、一元配置の分散分析 を行い、有意差が認められた場合のみ、LSD 法による多重比較を行った。 ④ 群別に育児感情と夫・父母・保育所のサポートの相互関連性をピアソンの積率相関で有意 性に着目して作図し検討した。  以上の分析から育児休業利用状況別の 3 群の特徴を考慮に入れ、育児休業利用状況別にど のような支援が保育所に求められているのかを検討した。なお、分析においては統計ソフト SPSS を使用した。

Ⅲ 結果

1 育児休業利用状況から見た入所理由と養育状況・就労状況

(1)群別に見た入所理由  群別にみた入所理由は図 1 の通りである。第 1 の理由と第 2 の理由をそれぞれ尋ねた。「満 了群」においては、“育児休業が切れるから”が 91.4%と最も多く、次いで“経済的な理由 から”が 44.8%、“仕事を休めない”が 10.5%であった。「前倒し群」においては、“経済的な 理由から”が 43.0%と最も多く、次いで“育児休業が切れるから”が 39.2%、“仕事を休めな い”が 25.8%であった。「転職・求職群」においては、“経済的な理由から”が 61.2%と最も 多く、次いで“育児休業が切れるから”、“気分転換したかったから”、“その他”が 18.4%であっ た。 表 3 群別の入所状況 全体 満了群 前倒し群 転職・求職群 入所状況 251 人 107 人(42.6%) 94 人(37.5%) 50 人(19.9%) 入所月齢の平均 9.3 ヶ月 11.2 ヶ月 7.9 ヶ月 7.9 ヶ月

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(2)群別に見た養育状況・就労状況  育児休業利用状況別の 3 群において、養育状況・就労状況といった項目に人数の偏りがあ るかを検討するために、χ2検定および残差分析を行った。その結果を表 4 に示す。子ども の数(χ ²(2)=18.371,p<0.001)、経済状況(χ2(2)=21.96,p<0.001)、雇用形態(χ2(12) =89.30p<0.05)、就労継続意識(χ2(8)=16.118,p<0.05)に有意差が認められた。なお、対 象者の年齢および、子育て意識においては、有意差は認められなかった。  子どもの数において残差の結果を見ると、「満了群」は、“1 人”の割合が高く、「前倒し群」、 「転職・求職群」は“2 人以上”の割合が高いと解釈することができる。  経済状況においては、「満了群」は“安定している”割合が高く、「転職・求職群」は、“苦 しい”割合が高いと解釈することができる。  雇用形態においては、「満了群」は、“一般従業員(常時雇用)”の割合が高く、「転職・求 職群」は、“パート・アルバイト”の割合が高いと解釈することができる。  就労継続意識においては、「前倒し群」は、“できるだけ長く今の仕事は続けたい”の割合 が高く、「転職・求職群」は、“考えたことがない”の割合が高いと解釈することができる。 図 1 育児休業利用状況別入所理由(第 1 の理由、第 2 の理由合算)

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表 4 育児休業利用状況別の養育状況・就労状況クロス集計 満了群 前倒し群 転職群求職・ χ2検定 度数(%) 度数(%) 度数(%) 養     育     状     況 <対象者の年齢> ns 20 歳代 26(24.3%) 21(22.3%) 16(32.0%) 30 歳代 72(67.3%) 63(67.0%) 29(58.0%) 40 歳以上 7(6.5%) 9(9.6%) 5(10.0%) <子どもの数> 18.371*** 1 人 59(55.1%)+ 30(31.9%)- 12(24.0%)- 2 人以上 47(43.9%)- 63(67.0%)+ 38(76.0%)+ <経済状況> 21.96*** 安定している 75(70.1%)+ 61(64.9%) 16(32.0%)- 苦しい 31(29.0%)- 31(33.0%) 33(66.0%)+ <子育ては楽しい> ns はい 74(69.2%) 58(61.7%) 36(72.0%) いいえ 33(30.1%) 35(37.2%) 14(28.0%) <子育ては経済的に大変> ns はい 37(34.6%) 33(35.1%) 22(44.0%) いいえ 70(65.4%) 60(63.9%) 28(56.0%) <子育ては精神的に大変> ns はい 36(33.6%) 39(41.5%) 15(30.0%) いいえ 71(66.3%) 54(57.4%) 35(70.0%) 就     労     状     況 <雇用形態> 89.30*** 経営者・役員 2(1.9%) 3(3.2%) 1(2.0%) 一般従業員(常時雇用) 86(80.4%)+ 60(63.8%) 3(6.0%)- 派遣社員 0(0.0%) 1(1.1%) 3(6.0%)+ パート・アルバイト 15(14.0%)- 24(25.5%) 30(60.0%)+ 自営業 0(0.0%) 1(1.1%) 3(6.0%)+ その他 1(0.9%) 4(4.3%) 3(6.0%) <就労継続意識> 13.93* できるだけ長く今の仕事は続けたい 51(47.7%) 54(57.4%)+ 18(36.0%) 当分の間は今の仕事を続けたい 41(38.3%) 32(34.0%) 18(36.0%) 今の仕事はやめてもかまわない 13(12.1%) 3(3.2%)- 6(12.0%) 考えたことがない 2(1.9%) 4(4.3%) 5(13.9%)+ +期待度数以上(P<0.05, 残差分析) 期待度数以上(P<0.05, 残差分析)

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2 群別に見た育児感情の差異

 育児休業利用状況別(「満了群」、「前倒し群」、「転職・求職群」)に育児感情の差異が認め られるかを確認するために、一元配置の分散分析を行った。その結果を表 5 に示す。  分散分析の結果、群別の育児感情においては、有意な差異が認められなかった。

3 群別に見た育児感情とサポートの相互関連性

 母親の育児感情の育児感情下位尺度と夫・父母・保育所サポート相互関連性を検討するた めに、育児休業制度の利用状況別(「満了群」、「前倒し群」、「転職・求職群」)にピアソンの 積率相関を求めた。相関図を作成して全体の特徴を捉えた。 (1)「満了群」  育児感情尺度の下位尺度間とサポート間の相関分析を行った結果を表 6 に示す。 表 5 育児感情尺度の下位尺度間の分散分析 満了群 前倒し群 転職・ 求職群 F 値 多重比較 (LSD) 子どもに対す る直接的感情 育ちへの不安感 (2.7)7.1 (2.6)6.7 (2.2)6.4 0.2 ns 子どもの態度・行為へ の負担感 9.5 (2.9) 10.3 (3.0) 10.1 (3.1) 1.3 ns 育て方への不安感 (2.8)10.0 (2.9)9.8 (3.3)9.7 0.2 ns 子育てを通し た間接的感情 育児への束縛による 負担感 8.9 (2.7) 9.6 (2.9) 10.1 (2.7) 2.6 ns 育児への肯定感 (1.8)14.8 (2.0)14.6 (1.6)14.8 0.2 ns 数値 :M ( )内 :SD ns:not significant 表 6 満了群の育児感情とサポート間の相関 保育所の サポート 夫の サポート 父母の サポート 手段 情緒 手段 情緒 手段 情緒 子どもに対する 直接的感情 育ちへの不安感 -.049 -.212* -.014 -.100 .066 -.044 子どもの態度・行為への負担感 -.070 -.109 -.155 -.049 -.044 -.181 育て方への不安感 -.048 -.158 -.154 -.235* .047 -.334** 子育てを通した 間接的感情 育児への束縛による負担感 .056 -.049 -.166 -.295** -.170 -.251* 育児への肯定感 .077 .153 .238* .179 .005 .281** *:P<.05,**:P<.01(両側検定)

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 表 6 の通り、夫・父母のサポートと育児感情下位尺度間に強い相関が認められ、保育所の ポートと下位尺度間に相関が認められた。有意な相関が認められたものを図 2 に示す。  「満了群」は、5 つの育児感情下位尺度間に 7 つの相関が認められた。保育所の情緒的サポー トが育ちへの不安感と負の相関、夫の手段的サポートが、「育児への肯定感」と正の相関、 夫の情緒的サポートは、「育て方への不安感」や「育児への束縛による負担感」と負の相関 が認められた。父母の情緒的サポートが「育て方への不安感」や「育児への束縛による負担 感」と負の相関、「育児への肯定感」と正の相関が認められた。 (2)「前倒し群」  育児感情尺度の下位尺度間とサポート間の相関分析を行った結果を表 7 に示す。 図 2 「満了群」の育児感情とサポート間の相関図 ※ 「子どもの態度・行為への負担感」は「態度・行為への負担感」に「育児による束縛による負 担感」は「育児束縛負担感」に「育児への肯定感」は「肯定感」と記す。

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 表 7 の通り、保育所のサポートと、育児感情下位尺度間に強い相関が認められた。また、 夫のサポートと下位尺度間に相関が認められた。有意な相関が認められたものを図 3 に示す。 表 7 「前倒し群」の育児感情とサポート間の相関 保育所の サポート 夫の サポート 父母の サポート 手段 情緒 手段 情緒 手段 情緒 子どもに対する 直接的感情 育ちへの不安感 -.194 -.172 -.042 -.056 .009 .109 子どもの態度・行為への負担感 -.289* -.304** -.016 .010 -.018 -.069 育て方への不安感 -.363** -.369** -.127 -.177 -.197 -.025 子育てを通した 間接的感情 育児への束縛による負担感 -.236* -.228* -.113 -.291* -.208 -.159 育児への肯定感 .002 -.054 -.039 .121 -.042 .110 *:P<.05,**:P<.01(両側検定) 図 3 「前倒し群」の育児感情とサポート間の相関図 ※ 「子どもの態度・行為への負担感」は「態度・行為への負担感」に「育児による束縛による負 担感」は「育児束縛負担感」に「育児への肯定感」は「肯定感」と記す。

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 「前倒し群」は、5 つの育児感情下位尺度間に 7 つの相関が認められた。保育所の手段的 サポートは、「子どもの態度・行為への負担感」や「育て方への不安感」、「育児への束縛に よる負担感」と負の相関が認められた。保育所の情緒的サポートは、「子どもの態度・行為 への負担感」や「育て方への不安感」、「育児への束縛による負担感」と負の相関が認められ た。夫の情緒的サポートは、「育児への束縛による負担感」と負の相関が認められた。 (3)「転職・求職群」  育児感情尺度の下位尺度間とサポート間の相関分析を行った結果を表 8 に示す。  表 8 の通り、夫と父母のサポートと育児感情下位尺度間に強い相関が認められた。保育所 のサポートは「肯定感」と負の相関が認められた。有意な相関が認められたものを図 4 に示 す。 表 8 「転職・求職群」の育児感情とサポート間の相関 保育所の サポート 夫の サポート 父母の サポート 手段 情緒 手段 情緒 手段 情緒 子どもに対する 直接的感情 育ちへの不安感 -.013 -.179 -.201 -.083 -.151 -.143 子どもの態度・行為への負担感 .108 -.047 -.093 -.191 -.053 .137 育て方への不安感 .008 -.168 -.309 -.315* -.078 -.236 子育てを通した 間接的感情 育児への束縛による負担感 .071 -.099 -.135 -.447** -.242 -.312* 育児への肯定感 -.314* -.139 .117 .343* .091 .180 *:P<.05,**:P<.01(両側検定)

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 「転職・求職群」は、5 つの育児感情下位尺度間に 5 つの相関が認められた。保育所の手 段的サポートは、「育児への肯定感」と負の相関が認められた。夫の情緒的サポートは、「育 て方への不安感」や「育児への束縛による負担感」と負の相関、「育児への肯定感」と正の 相関が認められた。父母の情緒的サポートは、「育児への束縛による負担感」と負の相関が 認められた。

Ⅳ 考察

1 育児休業利用状況から見た入所理由と養育状況・就労状況の特徴

 「満了群」の入所理由は、本群の特性を反映し、“育児休業が切れるから”が 9 割と 3 群の 図 4 「転職・求職群」の育児感情とサポート間の相関図 ※ 「子どもの態度・行為への負担感」は「態度・行為への負担感」に「育児による束縛による負 担感」は「育児束縛負担感」に「育児への肯定感」は「肯定感」と記す。

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中で最も多いことが確認された。また、他群と比べ、子どもの数が少なく、経済的に安定し、 常勤が多いことが明らかとなった。これらのことから、「満了群」においては、3 群の中では、 育児休業制度が整った職場環境で、子ども一人を、経済的に安定している状況の中で、子育 てが行われていることが確認された。  「前倒し群」の入所理由は、“早く仕事にもどりたかった”、“仕事を休めない”を合算する と 4 割であり、「前倒し群」の母親は、仕事に対する積極性と責任感がうかがえる。また、 他群に比べ、就労継続意識が強いことが明らかとなった。「前倒し群」においては、職場環 境整備が十分とはいえない中で、仕事に対する責任感と就労意欲を持って働いている状況の 中で子育てが行われていることが確認された。さらに、保育所の入所理由や就労意欲から入 所時期を主体的に選択し、仕事に対して前向きであることが推察される。  「転職・求職群」の入所理由は、“経済的な理由”が 6 割と 3 群の中で最も多く、次に、“気 分転換したいから”、“社会とつながっていたいから”と続き、経済的な事情と心身の問題が 複雑に絡んでいることが推察される。また、他群と比べ、パート・アルバイトが多く、経済 的に苦しい状況であることが明らかとなった。「転職・求職群」においては、基本的に結婚・ 出産・育児などで退職し、「母の手で育てよう」としたと考えられるが、経済的な事情を背 景に自分で育てることが難しくなった状況が推察される。また、こうした状況の中で子ども と向き合うとき、“気分転換がしたい”、“社会とつながっていたい”といった複雑な気持ち が錯綜し、不安定な心理状況を抱えつつ、保育所入所に至ったのではないだろうか。これら のことから、「転職・求職群」は、パート・アルバイトといった臨時的雇用形態が中心であり、 経済的にも精神的にも不安定な状況の中で子育てが行われていることが確認された。  なお、“子育ては楽しい”、“子育ては経済的に大変”、“子育ては精神的に大変”などの子 育て意識においては、群別に差異は見られなかった。  以上、3 群の特徴を概観したわけだが、家庭の経済状況、雇用形態、就労継続に対する意 識などが複雑に絡み合いながら、家庭の子育て環境が形作られるといえる。3 群 3 様の子育 て環境が浮かび上がってくる。母親の心理的安定が子どもに大きな影響を与えることを考慮 したとき、それぞれの家庭の状況に配慮した支援を保育所は模索する必要があるといえる。

2 群別に見た育児感情の差異

 前述した「群別に見た養育状況・就労状況」から子育て意識に差異は見られなかった。ま た、「満了群」は経済的に安定し、第 1 子が多いことから、育児感情も安定していると推測 したが、3 群間で育児感情において有意な差は認められず、「満了群」において育児感情が 安定しているという結果は示されなかった。  そこで、荒牧(2008)の研究と本研究の母親の育児感情尺度得点と比較を行った。荒牧が 行った、第 1 子群における幼稚園入園後の母親の育児感情と本研究を比較すると、本研究の

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方が育児への否定的感情は総体的に低く、育児への肯定的感情の得点は高かった。特に「子 どもの態度・行為への負担感」においては、荒牧は 11.88 であり、本研究は 8.58 であった。「育 ちへの不安感」においては、荒牧は 8.54 であり、本研究は 6.39 であった。この結果から、 幼稚園入園後の母親より、保育所を利用する 0 歳児の母親の方が負担感と不安感が少なく、 育児感情が良好であるという傾向を見て取ることができる。このことは、幼稚園の母親は時 間的余裕があることから、子どもと一緒にいる時間が長く子どもとべったりと関わり、年齢 的に子どもの発達が顕著に現れる中で、特に第1子は順調に育つのか、育っているのかとい う意識が高まっていると考えられる。それに対して保育所の母親は、登降園が時間差であり、 他児と比較することが少なく、0 歳児という年齢から発達の個人差も比較的少ない。よって、 幼稚園ほど子どもとの密着が時間的に少なく意識的にも少なくなるといえる。さらに、A 市は待機児童がいない地域であり、職場復帰 1 か月前から「慣らし保育」で入所でき、さら に、「就労せずに、求職中の方でも入所できる」ため、保育整備が充実している地域である。 このような保育整備の充実が母親に余裕のある職場復帰を可能にし、安心感を与えていると 考えられる。  さらに、同研究では、育児を巡る否定的感情やストレスに対して出生順位が関与し、第 1 子群にその傾向が強いことを報告している。しかし、本研究では、第 1 子が多い「満了群」 とその他の群との育児感情に差異は見られず、そのような傾向は示されなかった。このこと は、今後検討する必要があるだろう。

3 群別に見た育児感情とサポートの相互関連性

 「満了群」は、保育所の情緒的サポートと母親の育児感情(「育ちへの不安感」)との間に 負の関連性が 1 か所確認された。一方で、夫・父母の情緒的サポートと母親の育児感情との 間の関連性は 5 か所確認され、夫の手段的サポートとの関連性は 1 か所確認された。よって、 「満了群」は、母親の育児感情と夫・父母のサポートが保育所のサポート以上に関連しており、 特に情緒的サポートとの関連性が顕著であった。よって、夫・父母に対して、母親に対する 夫・父母の情緒的支援の有効性を啓発し、母親の子育てに対する肯定性が高まる環境づくり が必要といえる。  「前倒し群」は、保育所の手段的サポートと情緒的サポートと母親の育児感情(「子どもの 態度行為への負担感」、「育て方への負担感」、「育児への束縛による負担感」)との間に 6 か 所の関連性が確認された。一方で、夫の情緒的サポートと母親の育児感情との関連性は 1 か 所であった。よって、「前倒し群」に対しては、保育所は子育ての頑張りを認めるという情 緒的側面、具体的な育児方法・情報を提供するという手段的側面の双方から母親に積極的に 働きかけることが重要といえる。  「転職・求職群」は、保育所の手段的サポートと母親の育児感情(「育児への肯定感」)と

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の間に 1 か所の負の関連性が確認され、手段的サポートが多いほど「育児への肯定感」が低 下するという関連性が認められた。一方で、夫の情緒的サポートと母親の育児感情との間の 関連性は 3 か所確認され、父母の情緒的サポートとの関連性は 1 か所確認された。よって、「転 職・求職群」に対しては、保育所は夫を介した母親支援の視点が重要であり、母親に対して 具体的な育児方法・情報を提供する際も言葉がけや態度には十分に留意すべきであることが 明らかとなった。また、本研究の結果では、3 群の中で最も 20 代が多く若い群である。森 田(2012)が、「10 代母親は地域の子育て支援事業が受容的でないと拒否的になる。」と指 摘するように、若年の母親には受容されているという実感が持てる関係性を築くことが重要 な視点であり、母親に対する言葉がけや態度には十分配慮が必要であるといえるだろう。さ らに、「転職・求職群」の母親は、入所理由が経済的な理由からが多く、経済状況も苦しい という結果からも、自分の意志ではなく、保育所入所に至ったと考えられる。これらのこと から、保育所の支援が素直に受け入れられない状況にあると推察される。

4 総合的な考察

 まず、働く母親と保育所のサポートについて考えると、以下のことがいえる。  先行研究において、今田ら(2006)は、育児休業制度は、単独ではなく、親族援助や保育 所の利用を組み合わせることで、雇用継続を高めているとしている。さらに、荒牧ら(2008) は、育児に対する「負担感」などの否定的感情は、夫・保育者・友人らのサポートが多いほ ど低いと指摘している。本研究の結果から、特に「前倒し群」の母親においては、保育所は 働く母親の負担感と不安感を低くし、子育て支援を担っているといえる。「満了群」、「転職・ 求職群」 においては、夫や父母を通して保育所のサポートをしていく重要性が示された。こ れらのことから、働く母親には、育児休業制度の充実と、夫や父母のサポート、さらに保育 所のサポートが重要であるといえる。  次に、群別に育児感情と保育所・夫・父母のサポートとの関連性について考えてみると、 以下のように 3 群においてそれぞれ重点的に機能しているサポートが明らかとなった。「満 了群」は父母のサポート、「前倒し群」は保育所のサポート、「転職・求職群」は夫のサポー トがそれぞれ最も有効に機能していた。そして、相関分析の結果から、3 群 3 様のサポート 状況を示すことができ、保育所における群別に応じた支援の必要性を示せたといえるだろう。 したがって、保育所は母親の置かれている立場を十分に理解し、母親に対する協力体制に合 わせた支援が求められているのである。つまり、母親に対する家族のサポート状況や職場の 理解・協力体制を把握し、母親の良き理解者、良きパートナーとなることが重要であるとい えるだろう。  さらに、群別に応じた保育所のサポートについて考えると、先にも述べたように、「満了群」、 「転職・求職群」においては、夫や父母がキーパーソンだといえる。それゆえ保育士は、夫

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や父母との関係性の構築を今まで以上に築く必要がある。具体的には、夫や父母が保育所の 子どもの送迎等で来園した際に、保育士は、夫や父母とのコミュニケーションを心がける必 要がある。その際に、まず、夫や父母の母親に対する支援を認め、母親の頑張りを伝えるこ とが大事になってくる。そうすることにより、母親の子育てを通した不安感や負担感が軽減 できると考える。また、夫や父母が参加できるような機会を、今まで以上に企画、提供して いくことが重要になってくるだろう。また、誰でもが希望通りに保育所に入所でき、職場復 帰前の 1 か月間を「慣らし保育」として利用できるような保育所整備の充実も望まれる。

Ⅴ 結論と今後の課題

 本研究の目的は、育児休業利用状況別に、母親の育児に関する不安感や負担感などの状況 と夫・父母や保育所の支援状況がどのように関連しているのかを調べることを通じて、保育 所支援の視点を明らかにすることである。対象は、保育所に 0 歳児で入所させた母親 251 名 である。分析方法としては、母親の育児休業利用状況を基に操作的に 3 群(「満了群」、「前 倒し群」、「転職・求職群」)に分類し、3 群の養育状況・就労状況の特徴を整理した。また、 群別に育児感情尺度とサポート尺度との相関分析を行い、それぞれの有意性に着目して支援 視点を群別に考察した。その結果、以下の点が明らかとなった。  まず、3 群の特徴を整理したところ、「満了群」は他群と比べ、子どもの数が少なく、経 済的に安定し、常勤が多いことが明らかとなった。「前倒し群」は他群と比べ、就労継続意 識が強いことが明らかとなった。  次に、群別の相関分析の結果より、3 群の特徴に応じた保育所サポートの必要性が明らか となった。「満了群」は、母親の育児感情と夫・父母のサポートが保育所のサポート以上に 関連しており、特に情緒的サポートとの関連性が顕著であった。よって、母親に対する夫・ 父母の情緒的支援の有効性を啓発し、母親の子育てに対する肯定性が高まる環境づくりの必 要性が示唆された。「前倒し群」は、母親の育児感情に保育所のサポートが密接に関連して おり、子育ての頑張りを認めるという情緒的側面、具体的な育児方法・情報を提供するとい う手段的側面の双方から、母親に直接的に働きかける重要性が示唆された。「転職・求職群」 は、母親の育児感情に夫のサポートが最も関連している一方で、保育所のサポートが母親の 子育てに対する肯定感を低下させるという関連性が認められた。よって、夫を介した母親支 援の視点が重要であり、母親に対して具体的な育児方法・情報を提供する際も言葉がけや態 度には十分留意すべきであることが明らかとなった。  最後に、本研究では、群別に応じた保育所における母親の支援のあり方について、その支 援の方向性は示せたが、具体的な支援方法までを示すところまでには至らなかった。よって、 今後は、事例検討などで具体的な支援方法を模索する必要があるだろう。

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謝辞  本研究を進めるにあたり、A 市の私立保育園長連絡協議会の園長先生方や、調査票にご 記入いただいたお母さん方の調査へのご協力、東洋大学社会学部森田明美教授、東洋大学ラ イフデザイン学部嶋崎博嗣教授による多くのご指導をいただきましたことに、深く感謝申し 上げます。

引用文献・参考文献

1)厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 保育課「保育所関連状況取りまとめ」 2)J・ボウルビィ(1976)『母子関係の理論』岩崎学術出版社 改訂 1 刷 3)鯨岡峻(2002)『<育てられる者>から<育てる者>へ』日本放送出版協会 4)荒牧美佐子(2008)「幼稚園への入園前後における母親の育児感情の変化」『家庭教育研究所 紀要』30,139-149. 5)牧野カツ子(1982)「乳幼児を持つ母親の生活と<育児不安>」『家庭教育研究所紀要』3 号 34-56. 6)住田正樹・中田周作(1999)「父親の育児態度と母親の育児不安」『九州大学大学院教育研究 紀要』第 2 号(通巻第 45 集)19-38. 7)村松十和(2006)「育児中の母親の心理(衝動的感情と育児不安)と夫との関係に関する研究」 『三重看護学』8,11-20. 8)荒牧美佐子・無籐隆(2008)「育児への負担感・不安感・肯定感とその関連要因の違い:未就 学児を持つ母親を対象に」『発達心理学研究』 19,87-97. 9)前喝書 4) 10)総務省統計局 国勢調査 11)宗像恒次(1995)『ストレスサバイバル解消学』小学館 183. 12)前喝書 4) 13)森田明美(2012)「10 代母親の現状と支援の課題」『月刊福祉』11,40-45. 14)今田幸子・池田心豪(2006)「出産女性の雇用継続における育児休業制度の効果と両立支援の 課題」『日本労働研究雑誌』48(8)(通号 553)34-44. 15) 前喝書 4)

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Perspectives on childcare center support for mothers

who use childcare during the first year of infancy:

insight from a survey of maternity leave use in city A

HIGUCHI, Kazuko

 Child-rearing during the first year of infancy is recognized as being an important period. It is marked by an interaction in which a stable mother-child relationship establishes the foundation for the mental and physical development of the child, and the mother develops the capacity for nurturing as a parent.

 Under the present-day maternity leave system in Japan, leave is generally granted to anyone who has worked for 1 year. However, the number of mothers who use childcare during the first year of infancy at childcare centers continues to increase. Moreover, worrisome developments, such as weak emotional interactions with the child, have been steadily increasing among mothers who enroll their child in a childcare center immediately after the end of maternity leave during the first year of infancy, and appropriate responses are required at childcare centers.

 In order to understand the circumstances of these mothers and to provide appropriate support at childcare centers, it is important to elucidate the reasons why mothers end maternity leave early It is also important to understand the background of mothers who use childcare during the first year of infancy, as well as the emotions that they experience regarding childcare and the realities of parenting.

 The purpose of this study was to elucidate perspectives on childcare center support by examining, based on the status of maternity leave use, how factors such as the sense of anxiety and burden felt by the mother with regard to childcare were related to the support provided by her husband, her parents, and the childcare center. The study subjects comprised 251 mothers who enrolled an infant at a childcare center during the first year of infancy. The method of analysis involved operationally classifying the subjects into the following 3 groups based on the status of maternity leave use by the mother: a “completion group”; and “early termination group”; and a “job change/job-seeking group”. The characteristics of the parenting and work circumstances of the 3 groups were then

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identified. In addition, correlations were analyzed between groups in the mother’s emotions with regard to childcare and the support provided by her husband, her parents, and the childcare center. Perspectives on support were then examined for each group by focusing on the significance of these correlations.ities.

表 4 育児休業利用状況別の養育状況・就労状況クロス集計 満了群 前倒し群 求職・ 転職群 χ 2 検定 度数(%) 度数(%) 度数(%) 養     育     状     況 <対象者の年齢>20 歳代 26(24.3%) 21(22.3%) 16(32.0%) ns30 歳代72(67.3%) 63(67.0%) 29(58.0%)40 歳以上7(6.5%)9(9.6%) 5(10.0%)<子どもの数> 18.371***1 人59(55.1%)+30(31.9%)-12(24.0%)-2 人以上4

参照

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