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閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析--ホンネ,ナマの姿を探る 利用統計を見る

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(1)

閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析--ホン

ネ,ナマの姿を探る

著者

坂田 期雄

著者別名

T. Sakata

雑誌名

東洋法学

28

2

ページ

1-76

発行年

1985-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003592/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析

    ホンネ、ナマの姿を探る

坂 田

期雄

 地方自治経営学会︵会長・磯村英一氏︶︵昭和五九年五月設立︶では、昭和五九年度の研究事業 として﹁地方議会・議員の実態分析﹂をテ⋮マに作業を進めているが、私がその調査分析、とり まとめの担当責任者にあたっているので、ここでは、現在進められている調査の中からクpーズ アップされてきたいくつかの問題を中心に、申間段階ではあるが、私なりに︸応のまとめを行い、 学会のご了解も戴いて、ここに紹介することとしたい。なお、学会としての正式発表は、本年 ︵六〇年︶四月上旬の総会にかけられ、四月下旬頃になる予定である。したがって、以下に掲げる ものは、あくまでも私見を中心にしたものであり、正式な学会報告そのものではもちろんないこ とをあらかじめお断りしておきたい。      ︵昭和六〇年一旦三日︶   目  次 はじめに 東 洋法 学 一

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閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析

日総論

 王 実態面からみた今日の地方議会・議員ーそのホンネの姿   ω 一般住民の感覚、常識と非常にかけ離れた世界   ω 地方議会本来の機能が殆んど果たされていない   ㈲ 選挙に多額な金ーそれでも議員になりたい  2 最近の地方議会にみる新しい変化1その兆候     −改革への機運

圃各論

 一 住民意思の代表機能     i﹁住民の議会離れ﹂といわれる中で

δ九八七六五四三二

議員の資質、能力、勉強、議会体質等 地方議会と税金の使われ方の監視 議員定数と報酬 選挙とカネ 地方議会と政党 地方議会と執行部 地方議会の実態についての危機感 地方議会にみられる最近の新しい変化 地方議会の活性化iどうはかるか 二

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はじめに  今獄の地方自治経営をみる場合、執行部と並んで車の両輪である地方議会が、果たしてどのようにその機能を果た しているか、どこにどのような問題があるのかを解明することは、極めて重要であるが、今日まで地方議会の実態は、 住民からは距離が遠くてよく見えず、また、比較的その姿をよく知っている執行部側も、その立場上議会については 表立って問題を指摘することは避け、このため、地方議会は今日までヴェールに包まれたまま、ほんとうの姿、実態 がつかめないままに来たといえる。  そこで、今回、地方議会について単なる制度の外側からみた議論でなく、その実態、中身に立ち入って真の問題を 把握することを阻いとして、地方自治経営学会が研究に着手したものである。  研究の進め方としては、三十数名の地方議員によるホンネでみた徹底討論︵数名ずつ交替で︶や、一般住民、執行 部側職員等からのアンケ⋮ト回答︵約二〇〇名︶をもとに、分析、まとめを行ったものである。これにより、これま では一般に殆んど知られていなかった地方議会、議員の実態、その問題点がはじめてかなり浮き彫りにされたといえ よう。

日総論

東 洋 法 学 三

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析      四

1 実態面からみた今日の地方議会・議員1そのホンネの姿

 今回の調査では、地方議会・議員の実態について、いくつかの重要な事柄がク・⋮ズアップされてきたが、その中 でとくに注目されるもの、抜本的な改革が望まれるものとして、次のような点があげられる。  ① ︸般住民の感覚、常識と非常にかけ離れた世界  まず第一は地方議員の意識感覚が、一般住民と非常にかけ離れている。一般住民とはやや別世界、閉ざされた世界 にいるということである。  ﹁はじめて地方議員になった時、議会の中味、実態をみて非常に驚いた点は何か﹂コ般住民の感覚、常識と非常に かけ離れていると思われる点は何か﹂⋮地方議員に向けてのこの質問に対し、今回の討論、文書回答で、比較的最 近議員になった人達は、殆んど異口同音に次のような点をあげている。 ▽ 想像していた以上に議員の質が低いこと ▽ タテマエとホンネの違い、議会とは、ホンネをいわないでタテマエをいうところ。  形式が優先している世界、このため、物事を進めるのに長時間を要する。とくに革新系議員にホソネとタテマエの  使いわけが多く目につく。 ▽ 政策論議が皆無に等しい。古い議員になれぽ如何に市長にうまくとり入って、自分の仕事︵地域エゴ又は個人的  利得につながる仕事︶をウラ取引きするかに憂身をやつしている。市民が期待するまちづくりのビジョン、展望等

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 はまるで議論されていない。市長もまた、これをうまく自らの保身に利用している向きがある。 ▽ 保守か革新か、与党か野党かといった点が尺度の基準となり、ともすれば市民中心より政党中心になりがちな論 議が多い。多数決による政党依存、政党寄生主義。 ▽ 地方議員は、市町村議も県議も一種独得の雰囲気があり、議員族として別の人間の集団のようである。 ▽ 議員の信念の無さ。平気でウソが通る根回しのうまさ、ホントの事を発言しない立ち回りのうまい役者 ▽ まるで軍隊かヤクザの社会かと思った。議会運営の基本ルールや一般常識よりも、力関係や序列支配の感情が優  先する。あらゆる政党議員が権威主議的である  また、議会審議をみて驚いた点として ▽ 議会が殆んど全案件を満場一致で可決すること。議案に対して、イエスかノーかでしか自分の権限を行使でぎな  いこと、議会にかかったものについては、ここをこうしたらとかいっても全く無駄なこと ▽ 侃々謬々の議論が全くない。少しシツコク質問すると仲間内からうるさがられる︵早く議会を終りたい︶。議員  同志が﹁同じ穴のムジナ﹂というような意識で会派に関係なく結ばれあっている感じ。 ▽ 先輩議員の不勉強と執行機関とのなれあい的な議事運営。 ▽ 町の財政は自分の家計の如く、しかも他人の金であるから実に気前がいいこと。  ② 地方議会本来の機能が殆んど果たされていない  第二は、地方議会の本来の機能が殆んど果たされていない状況にあることである。     東洋法学      五

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析      六  議会の役割、機能のうち、極めて重要なものとしては、①住民意思の﹁代表機能﹂、②対立する地域利害の﹁調整 機能﹂、③納税者に代って税金の使われ方を﹁監視する機能﹂等があげられるが、今回、一般住民を対象に行ったア ンケート回答では ①﹁地域のさまざまな問題について、住民はどこにその解決を持ち込んでいるか﹂の質問に対し、自治会・町内会  へH二二・六%、市役所へ“四五・四%で、これをあわせたものが七割近くにのぽり、地方議員へというのは僅か  二割程度にとどまっている。﹁住民の議会離れ﹂という傾向が閉瞭に出ている。 ②また﹁地方議会議員は、住民全体の民意をよく反映しているか﹂の質問に対し、九割近い人︵八七・二%︶が、  ﹁議会は一般市民と離れている。一部特定の支持者とだけの接触だ﹂と答えている。 ③﹁地域の対立する利害、地域エゴが十分調整されているか﹂の質問に対しては、﹁調整している﹂というのは一  割程度、あとの七割程度は﹁殆んど調整されていない。住民要求をナマのままとりつぐだけ﹂と答えている。 ④﹁議会は税金の使われ方の監視を行っているか﹂の問いに対しては、八割近い人︵七九・三%︶が﹁殆んど行わ  れていない﹂と回答しており、﹁比較的よく行っている﹂との回答は一割にも満たない。  このように地方議会の大事な三つの機能いずれについてみても、住民の側からは﹁殆んど果たされていない﹂とみ られており、ここに地方議会の今日のもう一つの大ぎな問題が横たわっている。  ③ 選挙に多額なカネーそれでも議員になりたい  第三は、地方議会の選挙に、依然として多額なカネがかかっている、そういうカネを用意でぎる人でないと議員に

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は容易になれないということである。今回の調査、討論の中で、多くの議員からその実際の状況が報告されたが、そ れによると、都市でサラリーマンから議員に立候補したような場合、退職金とか、カンパ中心に数百万円であげてい る人もいる︵しかし、これを続けることは非常に苦しい、困難だと訴えている︶が、これはごく例外であり、通常は、 一般に市の場合、大体三千万円位、最低でも一千万円かかる。中には七千万円かけて落選した人もいる。人欝四万の 町で町議会議員の報酬二一万円のところでも、選挙費用一千万円は少ない方だという。  これらのカネは、主に、選挙事務所借り上げ、ポスター代、アルバイト代、車借り上げ代、後援会の人達の集会、 選挙期間中の事務所での飲食費等にかかるものであり、かつてのように食いあいの票を確実に押さえるために、ボス に現金を握らせるというようなことは殆んどなくなったという。とくに大ぎい選挙ではそういう金は要らなくなった というが、しかし、松山の奥の小さな町では最後は一票五万円払う人もいる。山形県のある町でも最後は一票三万円 といわれている。奈良市では選挙民一人一人に本人が直接五千円札を握って握手をして歩くというケースも現在ある  ヤ    の としう  このようなカネを調達するために、農村出身議員は、かなりの人が選挙の度に田を売っている。A市では一反五千 万円で売って毎回選挙に出ている人もいる。  このように、現在の選挙では、数千万円のカネを調達でぎる人fそういった財産があるか、事業をやっているか、 あるいは組織のある人でないと議員になれない。議員への道は非常に難しいという実態にある。一般のサラリ⋮マン や普通の庶民生活をしている市民は容易には議員になれない、大きな壁がある。

    東洋法学       七

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析      八  しかも、議員に当選しても、選挙に投じたこのカネの回収は殆んどできないという。だから一般の市民感覚の人で あれば、こんなカネをかけてまで議員になりたいなどとは思わないのが常識であろう。それにもかかわらず、選挙の 度に何千万というカネを使って相変らず出てくる、そうまでして議員になりたいという心理は、地城のために働くこ とに使命感を感じて議員になるというのもごく一部あるが、大部分は、議員は麻薬みたいなもの、一たんなるとやめ られない。目的も何もない。パッジつけて市会議員、 ﹁先生﹂といって貰いたい。要するに名誉が欲しい。選挙に勝 って議員になると堂々と市長に会える。誰でも連れて行ける。そういうことを満喫できる。それが生き甲斐、独得の 議員心理だという。  しかし、このような動機、満足感で議員になっている人が現在の議員の大多数だというところに、今日の地方議会 の大きな問題があるといえよう。毎回、田を売って何千万円というカネをつくって選挙に出てくる人に限って、当選 しても議会で二︸葭も発言なし、名誉職的に座っているだけの議員にとどまっている。今後、ここに根本的な改革のメ スを入れなけれぽ地方議会の抜本的な改革は困難であろう。

2 最近の地方議会にみる新しい変化ーその兆候

   改革への機運  このように、今日の地方議会の実態は①一般市民とはかなりかけ離れた感覚の閉ざされた世界、②代表、調整、税 金監視といった機能も殆んど果たされてない、③選挙に多額のカネが使われ、一般市民から議員への道は極めて遠い、

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特殊の人しか議員になれない等、重要な問題をかかえている。このままでは、地方議会の存在自体、代表民主制それ 自体が否定される危険性も包蔵しているといえる。  だんな衆議員が減り、常識、理論、勉強の議員が  しかし、このような従来の古い体質から、最近新しい方向︵よい方向︶への変化の兆しが多くの地方議会で出てき ている  今回の調査で多くの人がこのような動きがある、出て来ていると答えていることは注霞される。具体的に は、 ①議員の質の面では、 ①だんな衆、隠居型の議員が少なくなり、若い実務型議員、四〇代が多くなってきた。 ②大学卒、知識層の議員が若干多くなり、一定の常識が分るようになってきた。 ③ボス的議員が少なくなり、理論に強くないとハパがきかなくなってぎている。 ④現在の地方議会の体質を何とか改革しなけれぽという議員が出てきた。 ⑤行動範囲も広がり、自分の町内一辺倒ではなくなってきた。 ⑥新人議員又は若い議員が従来の習慣やしきたりにかかわらず、自分の考え方を積極的に発表するようになって  きた。 ⑦議員の特権意識的なものが薄れつつある。 ⑧従来の名誉職という考え方から使命感に変ってぎている。    東 洋法 学       九

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       一〇 ω 議員の勉強の面でも  ①積極的に勉強会、研修会等を持つようになってきた。  ②長老議員に負けない新人グループが活発になってきた。  ③政党の枠を超えた政党グル㌧フや勉強会ができつつある。 ⑥ 議会審議の面でも   審議が活発、真剣になった。議会の独自性と活動が活発になってきた。 などの点がこれまでになかった最近の新しい動き、変化としてあげられている。  その要因、背景は  戦後長らく遅れた閉鎖体質の中にあった地方議会が何故最近になって、今までになかったこのような新しい方向へ の動き、兆しが出始めたのだろうか。その要因、背景を探ってみると、①ここ数年来の全国的な議員定数削減の動き、 ②日本青年会議所のウオッチ・ザ・議会等の運動、③高給与、高退職金の是正を求める住民運動︵議会の監視不足︶、 さらに④選挙で従来とは違った型の議員︵新しい感覚でものを見、改革意欲に燃えた人︶が少しずつ出てぎたこと等 があげられている。  戦後改革にかかわらず地方議会の地位低下  戦後、地方自治制度が創設され、地方自治行政に関しては、上︵国︶からの監督でなく、首長と議会とが車の両輪 として相互のチェックアンドパラソスの上に進められることが期待された。﹁国−地方﹂というタテ、上下の監督関

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係でなく、﹁長ー議会﹂というヨコの牽制へと切り替えられたのである。それが戦後改革の狙いだったのである。  しかし、実際には、中央各省庁による上からのタテの統制支配が一層強固に広がり、それによって地方自治の場に おいてヨコの関係からチェックすべき立場にある地方議会の地位は相対的に低下して行った。全般的に議員の資質、 能力の低下、それに加えて、議員の資質の低さ、したがって議会審議内容レベルも低く、しかも議会は住民からも、 選挙の時以外は、遠い離れた存在で、古い独得の雰囲気の世界、閉鎖体質の中に閉じ込もってきたということが、議 会の地位低下に一層拍車をかけたともいえる。  ﹁地方の時代﹂の中で﹁長﹂の地位は高まったが議会は置いてきぼり  そういった中で車の両輪の一方である長の側は、周知のように昭和四十年代後半から、いわゆる﹁地方の時代﹂と いわれる中で、大幅な変容、新しい展開をみせ始めた。  各地方がそれぞれの特性を生かし、創意工夫、“チエ”と“アイデア”で地方の”独自行政”を生み出すーーそれ はそれまでの国の単なる執行機関ではなく、自らの政策を“自ら考えて”“自ら創り出す“という主体となってきた のである。  中央からの国庫補助金でしぽられた中にありながら、よくそれをはね返し、まず四〇年代には環境、生活、福祉、 過密など高度成長から生じたさまざまな問題にいち早く対応、つづいて五〇年代に入る頃から、うるおいとやすらぎ の都市づくり、地域おこし、むらおこしなど地域の産業経済の振興と活性化、また市民の力、エネルギーをまちづく りに引き出して行政と市民共同のまちづくりへ、さらには行政の効率的経営、行政改革への取り組みなど、住民に身     東洋 法 学      一一

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       二一 近かな行政、新しい行政課題に関しては、国に先がけ、国を先導するという新しい形、新しい流れを作ってぎた。  “中央主導”から“地方主導”へ、それまでの流れを一八○度変える形が各地に噴出してきた。  しかし、この間、地方議会にはそれらしい変化は殆んどみられなかった。そればかりか、上のような長の側の積極 的、意欲的な取り組みによって住民の目は議会より長の方に向けられ、住民の議会離れに一層拍車をかけたともいえ る。地方の時代といわれる中で、長の側は大きくクローズアヅプされてぎたが、車の両輪のもう一つの輪鞭地方議会 は、殆んど注目されることもなく、むしろ相対的にはその地位を低めて行った感すらある。  変革の原動力 住民のカ、住民の側からのプレッシャーの高まり  しかし、ここに来て、その地方議会にもいま新たな変容の兆しが見えはじめた。長らく閉ざされた社会であった地 方議会がいまその内部に改革の火がつきつつある感がある。地方の時代といわれはじめてやっと十年、長の側の変革 からやや遅れたが、いま地方議会も、徐々に地殻変動を起しはじめた、その兆しが見える。  そしてこのような改革機運を引き起した要因、キッカケは先にも見たように、それは“住民”の力、住民の側から のプレッシャ⋮の高まりであったといえよう。地方財政窮迫、行政改革をというきびしい環境の中で議会は一体何を しているのか、議員定数も削減を、といった状況の中で、議会・議員もその姿勢、意識を大幅に転換することが強く 求められてきたといえる。それとともに、最近の地方議会選挙において、これまでのだんな衆議員に代って一般の住 民の意識、庶民感覚を持った若手議員が登場し、新たな目で議会を見つめ、改革の必要性を強く痛感し動き始めたと いうこともあげられよう。

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 ともあれ、十年前、自治体︵長の側︶が、それまでの上からの法令、通達による行政、上からいわれた通りに忠実 に事務を執行する国の”下請け蘇“手足”という姿勢から脱し、地域の間題を自らの頭で考え、そこで自らの政策を 生み出すという一八○度の転換をみせたーその原動力が、住民運動、住民からの突き上げであったのと全く同様に、 今回の地方議会変革のキッカケ、原動力もまた〃住民〃であったということは、深く注目されなければなるまい。  新しい芽をどう伸ばすか  しかし、このような新しい胎動、その力は全体からみればまだほんの僅か一部分である。このままでは、折角の新 しい芽も旧来の大きな力に結局は押しつぶされてしまう恐れも十分ある。この時期を逃さず、地方議会の活性化、よ みがえりに向けて、国も自治体も議会も住民も改革への大胆な方途を講ずる必要があろう。

目各論

一、住民意思の代表機能ー﹁住民の議会離れ﹂といわれる中で

1 代表機能の役割を果たしているか  ω 住民の議会離れの頃向     東 洋 法 学 一三

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       一四  ここ十数年来、多くの自治体で、執行部側が市民の中に入り、市民二ーズを吸い上げるという市民参加行政が大き く進められたが、反面、﹁住民の議会離れ﹂という傾向が全国的にひろがってきた感がある。  一般住民は、議員に頼むより長に頼んだ方が早いと直接執行部に行く、長の方もできるだけ住民と直接接触を持と うとする。このため議員が知らない間に自治会長の方がよく情報を知っているというケースも随所にみられたりする ようになった。  今回、本学会が一般住民︵前述の青年会議所、マスコミ関係者︶を対象に行ったアンケ⋮ト調査によると、﹁地域 のさまざまな問題について、住民はどこにその解決を持ち込んでいるか﹂の質問に対し   自治会、町内会へ      二二・六%   市役所へ       四五・四%   地方議員へ       一九・六%   その他    よく分らない    泣き寝入り    持ち込み先探しに苦労している        計 一〇〇% で、﹁自治会、町内会と市役所﹂をあわせたものが七割近くにのぼり、地方議員へというのは僅か二割程度にとどま

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っている。  さらに、今回、前記一般住民向け調査で﹁住民の側からみて、地方議会議員はよく働いているか﹂の質問も行った が、その回答では ①わがまちのためによく働いている      一四・○%  ②わがまちのためにあまり働いていない    六四・○%

③よく分らない       壬丁○%

      計 一〇〇% で﹁よく働いている﹂という回答は一割余りで、三分の二近い人が﹁あまり働いていない﹂と答えている。  ② 一部特定の支持者、支援団体だけの代表に  また、今回の調査で﹁地方議会議員は、住民全体の民意をよく反映しているか﹂の質問に対し、一般住民の方々か らの回答は  〇一部支持者だけとの接触が大部分︵一般市民とは離れている︶八七・二%  ○住民全体︵一般市民︶の民意をおおむね反映している     三・五%  ○よく分らない      九・三%        計 一〇〇%   で九割近い人が﹁議会は一般市民と離れている、一部特定の支持老とだけの接触だ﹂と答えている。

    東洋法学       

、      一五

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       一六   さらに、同じ質問を地方議員と執行部職員にも行ったが、その際﹁全体の議員数を一〇〇として   ①一般市民の民意を十分に反映していない議員数②反映している議員数の割合をそれぞれ%で記入﹂を求めた  ところ 執行部側職員の回答では ①一般市民の民意を十分に反映していない議員数の割合︵特定の地域・団体だけの代弁︶ 六三・七% ②ひろく一般市民の民意をかなり反映している議員数の割合      三六・四%  で、全体の約三分の二の議員は特定の地域や団体だけの代弁に終っているとしている。  また、地方議員の回答では ①ひろく民意を十分に反映していない議員の割合  五六二% ②民意をかなり反映している議員の割合      四三・九% とややよい評価をしているが、①の﹁民意を反映していない議員の割合﹂乏して七〇∼八○%の数字をあげた回答も 半数近くあった。  ③ 地域の対立する利害、地域エゴが十分調整されていない  地方議員や議員の役割、機能として地域の対立する利害や地域エゴを調整するいわゆる﹁調整機能﹂が期待されて いるが今回の調査によってみても次のように﹁殆んど調整されていない﹂との見方が多く、これも住民の議会離れの 一つの要因だといえよう。

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 まず一般住民を対象とした調査では﹁地域の対立する利害、地域エゴを地方議員は十分調整しているか﹂の質問に 対し  ①比較的よく調整している       一〇・六%  ②殆んど調整されていない住民要求をナマのままとりつぐだけ    七〇・六% ③よく分らない       一八・八%       計 一〇〇% で﹁調整している﹂というのは一割程度あとの七割程度は﹁調整されていない、単なるとりつぎだけ﹂と答えている  また、地方議員を対象とした調査では、全体の議員数を一〇〇とした場合  ①殆んど調整をしていない議員数の割合       六四・七%  ②かなり調整している議員数の割合      三五・三% また、執行部職員からの回答も  ・殆んど調整していない議員数の割合       七〇・六%  ・かなり調整している議員数の割合      二九・四% で約七割の議員は殆んど調整役を果たしていない、住民要求をナマのままとりつぐだけだとしている。 2  ﹁議会離れ﹂を引き起した議会、議員側の責任     東洋法学       一七

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       一八  このような状況を招来したことは、議員の側にも大きな責任がある  ・議員は当選するまでは、住民の代弁者という意識があるが、当選してしまうと閉鎖的になり、﹁議員族﹂という 意識になる人が多い。  ・自分の選挙活動の時は歩くが、あとはあまり歩かない  ・自分の支持者とか、自分の政党の支持者だけはよく面倒をみる。しかしそれ以外の一般の住民と接触することは 殆んどない。まちのボス達の個人的利害や自分の属している組織の利害だけの代表にとどまり、一般の市民との間が 切れている。一般市民は話の持って行くところがない。議員との接点がない。  ﹁議会は誰の代表をしているのか﹂という疑問が投げかけられている。 ・とくに大都市及びその周辺では、一般住民は地方議員との接点が殆んどない。住民は議員の顔も名前も知らない。 選挙の時は、住民は、中央政党のモノの考え方を無意識に基準にして選んでいる。  東京のような大都市では、地元の面倒をみる議員が殆んどいない。 3  ﹁議会離れ﹂ll住民の側の問題  次に住民の側にも問題がある。 ・住民は﹁地域全体の代表を選ぶ﹂というより議員は﹁使うもの﹂という認識が強く、そのためそれに一生懸命応え る人が選ばれる。

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 このため地域全体、まち全体、市民全体を考えるいわゆる市民派議員は選挙では非常に損、弱い。 ・都市部では、もともと、はじめから一般住民は地方議員に殆んど関心がない。たとえば女子大生グループに聞くと 全然投票所に行ったことがないという。  ﹁誰がやっても政治なんて同じ﹂﹁面倒くさい﹂という意識が強い。一般の住民にとって﹁議会無用論しといった感 さえある。 ・一般に都市部では、インテリ層が若年層を中心に地方議会への関心が薄い。インテリが多いところは地方議会議員 選挙での投票率が低い。下町は属人的な要素で投票率が高いが山手の方の住民は、よく理解していながら参加しよう としない。 ・もっとも大都市周辺都市で人口急増地帯などでは、住民は生活環境への関心は非常に強いが、その問題解決には、 殆んどが直接執行部の方へ行ってしまう。 4 今後の方向、あり方  ω 議会議員の活動を住民のみえるところへ  現在は、議会と住民との距離が遠く議会のことも議員のことも殆んど分っていない、よく知っていない住民が大部 分である。このため ・よく勉強をし、地域全体を考える議員が必ずしも当選するとは限らない、むしろ、首をかしげたくなる人が通り、     東洋法学      一九

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       二〇 立派な人が意外に落ちる。 ・選挙になると、金とか何とか分らない組織から出てくる人がいる。  したがって、今後の方向としては、まず、議会の中の状況、議員の活動の真の姿を、正確に選挙区住民に伝え、住 民に実態をよく分?て貰うということが必要である。  これまでは、議会側が住民に正しい情報を提供していなかったーそれが住民の議会離れの大きな要因だったとい える。  このため、これからは、議員がもっと住民との接点を持つこと、そのためには、議員から積極的に住民に働きかけ ることが必要である。議員から積極的に機会をつくらなければ住民はいつまでたっても議会や議員に関心を持って来 ない。  現在は、議員に対する議会内での評価と、ちまたの評価とは全く違う。ここから改善をはかって行くことが必要で ある。  ② 住民に知らせる方法  ①マスコミを媒体に  議会を住民に知らせる最もよい方法は、マスコミを媒体にすることであるが、たとえば都道府県議会や比較的大き い都市ではその審議内容が比較的マスコミ報道されるため、議会もマスコミに非常に敏感になり、選挙もマスコ、・・に よって当落か左右されるヶ⋮スも出てぎている。しかし、一般の中小地方都市や町村地方議員の活動や意見は通常新

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聞等にはのらない。事件めいたことは地方紙にのるが地道なまちづくりとか行政改革問題についての議会審議は、武 蔵野市など特殊なケース以外は一般には中々とり上げられない。  この点、今後の地方議会の活性化のためにも、マスコミ、地方紙の協力を期待したい。  また京都和東町等では、CATVによって地方議会の状況を地域住民に流しているが、ここでは年寄りがこの中継 をよく見、翌日、町の話題になっているという。  ともあれ、現在、地域の情報、議会の状況を伝える媒体で適切なものはない。  コミュニティのメディアをもっと考える。住民が読んでくれる、見てくれるメディアを本気で考える必要がある。

 ②議会報で市民にーその改革

 第二は議会報による方法だが、現在の議会広報紙は一番読まれていない。  ・途中経過や議論の中身が出ていない  ・各会派がまんべんなく顔を出す  ・地方議会によっては、広報には議員個人の名前を出さない  ・名前を出す場合でも、一般質問は一人五行︵一行一五字︶程度にまとめるため中身は全く抽象的なものになって   しまう。  ・都合の悪いことも出さない。  今日、各種さまざまな情報が溢れる世の中で、こんな面白くない広報を墨しても一部の支持者が見る程度で、一般     東洋法学      二一

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       二二 の市民からは振り向かれない。  これを改善するには  ・討論内容、審議経過を中心に編集する  ・一般質問だけでは通常、きれいごと、タテマエが多いので編集は一般質問を並べる形とはしない  ・争点となっている問題を中心に編集、かつその争点をでぎるだけはっぎりさせる  ・どの政党、会派、どの議員がどのような主張でどのように対応したかその違いをはっきり出す  ・また各議員の出席日数、質問回数等ものせる等が必要であろう

 ③議会傍聴

 現在、本会議は公開制とされているが、実際にはそれ以前に実質的な討論や意見調整は、委員会審議であるいは全 体協議会で、あるいは裏側の根回しの世界で殆んど終っている場合が多い。そのため本会議は単なる儀式セレモニ⋮ となっていることが多い。  このような本会議を公開し、住民が傍聴してもあまり意味がないし面白くもない。そこで今後の方向としては、実 質的な討論の場を住民の見えるところに出し住民は、それを傍聴でぎるようにすることが必要である。ある市の例で は、委員会に傍聴者が来ると途端に空気がピソと張りつめる、活気が出るという。  ただこのように議会公開を進める場合の問題点、留意点としては  ・料金改定等の審議に傍聴人を入れること。日本の現在の段階ではただ﹁値上げ反対﹂という姿勢、態度が強いた

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  め公正な審議が妨げられるおそれがある。  ・議会運営にあたっては、事前に審議の日程を公表し、審議の時間を厳守し、傍聴希望の住民がその時間に来れば   必らず傍聴できるようにすること  ・ある市議会では、共産党が議事録の都合のよいところだけはさみで切って利用しているが、このように公開が逆   に利用されることがないように留意すること等が必要であろう  ④議員個人個人で住民との対話をもっと積極的に  第四は、議員個人個人が住民との対話を積極的に進め、市政報告等を密に行うことである。一般住民と常に接触し、 あらゆる機会をとらえて町役、議会の話をすること、市の実情を話すこと、本来あるべき姿について等、自分のもつ 情報を市民に伝えていくことである。議員の側からの不断の情報、ニュースの提供を行い、住民の前に身体をさらけ 出して報告することが必要である。議員が住民の中へもっととけこむ必要がある。  そのほか、公聴会制度を簡素化して、住民が容易に意見を述べやすくすること、VTR、OHP等を使用でぎる審 議を行うことができるようにすること等の工夫も望まれよう。  ⑤第五は、一般住民とくにサラリーマンとか昼間仕事を持っている人でも気楽に議会傍聴ができるよう、議会は 土曜日午後とか、日曜日とかあるいは夜間に開催すること等が望まれよう。また必ずしも議事堂の中においてでなく、 駅前広場に出て行う等の試みも望まれる。 東 洋 法 学 二三

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       二四

      二 議員の資質、能力、勉強、議会体質 等

1 議員の質が低い、議会審議のレベルが低い  本学会の会員である、ある新人議員は﹁議会に入ってすぐ感じたこと、それは想像していた以上に議員の質が低い ことだった﹂といっている。  本学会が今回、一般住民に対して行ったアンケート調査で﹁地域議会議員は、直ちに住民代表として推したい人が 出ているか、議員にふさわしい資質、識見、能力があるか﹂との質問に対し  ・そうは思わない  七一・三%  ・おおむねそう思う  一三・八%  ・よく分らな“    一四。九% で﹁真に住民代表としてふさわしい人が出ている﹂との回答は一割強に過ぎず、七割以上の人が﹁議員にふさわしい 資質、識見、能力がない﹂と答えている。  また、地方議員と執行部側職員に対しての﹁現在の議員の中で真に住民代表として推したい人は何%いるか﹂﹁議 員にふさわしい資質、識見、能力がある人が何%位いるか﹂の質問についてはコ○%位﹂﹁二〇%位﹂という答え がほぽ半ぽを占め、つづいてコ一五%﹂﹁三〇%﹂が続いていた。しかし逆に﹁一〇%以下﹂﹁五%位﹂という回答も

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いくつかあった。  このほか今回の討論や調査で現在の地方議会の議員の資質、能力、勉強の状況について本学会会員である議員から 次のような指摘が出されている。  ・議員の中には   ①名誉的な地元代表的な議員と   ②熱意、能力あり、調査、研究し執行部乏わたりあう議員と二通りある。  ・理事者にどんな質問をしていいのか、自分では分らない議員が結構多い。  ・四年間、一回も発言しなかった議員が四∼五名いる。しかし選挙には強い。  ・本来的な議員の仕事をし、リーダーシップのとれる議員は全体の一割位︵三人位︶、しっかりものが言える議員   は三人位。あとはまともにものが言えない。恥をかくより黙っていよう、だから根回し、まあまあ主義で話がつ   く。  ・ある市の一〇〇条調査委員会委員二二名中、六名は発言一回もなく居眠り、メモもなし。  ・議会には、発言しないのが立派みたいな意議、発言しないのが美徳論といったようなものがある。  ・ある市では、常任委員会で全然発言しない人がいる。俗にいう“弁当理事”ー弁当を食うために理事になって   いる。  ・出面かせぎー視察の時、バスのところまで来て帰る。それでも出席扱い。

    東洋法学      二五

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   閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       二六 ・一般に保守系議員は不勉強。 ある市では、保守系議員で自分で質問原稿を書くのは三分の一位、執行部職員が書く場合もある。﹁あれは誰が 書いた質問だ﹂とすぐ分る。 共産党はよく勉強しているが、すべて党勢拡張のため、社会党は、わが田に水を引く議論ぽかり ・職員や市長は、内心では議会をかなり馬鹿にしている。 執行部側から説明しなければ議員は何も分らない、議案の内容もろくろく分っていないと見ている。 ・行政をチェックできる専門的知識の議員が非常に少ない。 ・執行部答弁にかぶせて再質問する訓練がでぎていない。 ・なお、最近の新人議員や若手議員の中には、保守系だがよく勉強し、毎回発言し従来の議員の質、議員のタイプ とは違った新しい型の議員が出て来ている。

2

特有な議会体質、議員意識 さらに現在、議会体質、議員意識には、次のように非常に特有なものがある。 ・ある議員は議員になってえらく違うと感じたことは、ホンネを言わないで、タテマエを言うことだと言っている。 ・議会の世界は歌舞伎の世界によく似ている。キマリが沢山ある。議会運営が慣行化、固定化しすぎている。 ・多数決による、政党依存、政党寄生主義。

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 ・役職の獲得の仕方は綱引き、貸し借り 表ではいい格好をして裏ではヤミ取引き。黙っていて﹁議長﹂になれる   というのは絶対にない。  ・はじめて出てきた若い議員、最初は誇りと責任を感じて入って来るが、やがて先鋭分子になるか、ものわかりの   いい議員になるかいずれかを辿る。  ・とくに議会の中で次第に上層部になり常任委員になると、行政側もご馳走を用意する。たとえば質問の時など。   そのため、次第に執行部との慣れあいになってくる。  ・議会改革の敵は、仲間の議員である。共産党から自民党まですべて現状肯定型。議会改革の困難性は、その内部   の体質、議員意識にある。  ・ある議員は、﹁学校で教師をしていた時教科書で一生懸命﹃議会とは﹄と教えていたが、実際に議員になってみ   るととんでもない。大変な違いがある。﹂と述かいしている。 3 今後の改革の方向  このような現状の問題を今後どうやって打破して行くか。それにはまず議員は自らの足で現場を歩くこと、そして、 そこに横たわっているさまざまな問題をひろい集めることである。そうすれば、そこには執行部とわたりあえるネタ はいくらでもある。  理屈や手続き論では執行部にはかなわない。そうではなく、自分で住民の声を聞き、末端の現場の問題をとり上げ

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、      二七

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析 て行政をつくー行政側は、それを非常にこわがるものである。 住民と協力して事実の是正を迫る気概が必要である。それがないと議会は、 てしまう。執行部側は、もの分りのいい議員を歓迎しているからである。 二八 後追いの手続き機関、追認機関になっ

三、地方議会と税金の使われ方の監視

1 議会の税金の使われ方の監視  ω 殆んど行われていない、極めて不十分  地方議会議員は、その本来の役割である税金の使われ方に対する監視をどの位行っているのであろうか。  今回、本学会が行った調査によると ▽一般住民からの回答では、税金の使われ方の監視が  ・殆んど行われていない   七九・三%  ・比較的よく行っている    六・九%  ・よく分からない      二二・八%       計 一〇〇%

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で、八割近い人が﹁殆んど行われていない﹂と園答しており、 ﹁比較的よく行っている﹂との回答は、一割にも満た ない。  また、全体の議員数を一〇〇とした場合、 ﹁税金の使われ方の監視をかなり行っている﹂﹁殆んど行っていない﹂ 議員数のそれぞれの割合は、  ▽地方議員からの回答では   ・殆んど行っていない議員数  五五・九%   ・かなり行っている議員数   四四二%        計 一〇〇% と﹁半数近い議員がかなり監視を行っている﹂と答えているが  ▽執行部職員からの回答では   ・殆んど行っていない議員数  七三・九%   ・かなり行っている議員数   二六・一%        計 一〇〇% で、 ﹁かなり監視を行っている﹂のは、全体の四分の一程度の議員に過ぎないと答えている。このほか、税金の使わ れ方の監視が極めて不十分な現状その実態を今回の議員討論やアンケート回答の中で、次のように指摘している。  ② その実態

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       三〇  たしかに、これまで、議員の税金の使われ方の監視は、極めて不十分で弱かった。今回の議員討論の中でも﹁税金 の使われ方を監視している議員は全体︵四〇人︶の中で三人位、八年位前は気違い扱いされた﹂と報告されている。  これまで、そういう観点でものをみる議員が極めて少なかった。  一般にこれまでは、地方では、農家議員が殆んどであったこともあり、問題意識が薄く、職員給与、休暇等のこと については、理事者側のこととして突込んで考えることが少なかった。  これらの問題については、議会側は受身でこれを追認する姿勢が強かった。もっとも最近では、きびしい財政環境 下で自治体の行政改革に住民やマスコミの関心や監視が強まってきた中で、漸く議会議員の意識も少しずつ変ってぎ た感があるが、それでも民間委託、給与等については、ごく少数の議員が一般質問でとり上げる程度であり、内容に ついても特定の問題を意識しての質問の域を出ず、客観性のある突込んだ論戦はまだまだ少ないようである。逆に給 与の適正化や民間委託に反対の姿勢を示す議員もおり、このため、議会全体として行革について積極姿勢がとれない というのが多くの議会の実情のようであった。  また個々の議員についてみても一般質問等では﹁行政改革、職員数の抑制を﹂と演説しながら、他方では、自己の 推進または協力をする事業課等の人員を増員するよう強く要望し、あるいは自分が関係している団体の補助金につい ては削減、縮小は困るといった自己矛盾。総論賛成・各論反対行動を平気で行う者も多い。  以上のほか、次のような状況も間題点として指摘されている。  ・税金の使われ方を監視している議員は全体の中で三人位、八年位前は気違い扱いされた。

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 ・署名運動があると議会は建設後の運営費も考えないですぐ全会一致してしまう。  ・議会の対組合の姿勢。   労使交渉の結果、高見の見物といった姿勢 納税者の代表という意識がない  ・議会が税金のムダ遣いを助長し、スクラップアンドビルドを阻害している。   議員は、各論反対、自分の選挙区に関係のある補助金や事業の縮小、廃止なると常に反対。   議会が自治体行革を阻害する大きな要因になっている。  ・革新系議員は、職員組合に迎合、税金の使われ方、職員給与等のチェックは全く行われない。その擁護に回って   いる。住民に背を向けている。 2 税金の使われ方の監視が十分に行われていない理由  もともと、地方議会は、納税者に代わって、税金の使われ方を監視するのが、本来の役割だがその機能が十分に果 たされていない理由は何故か、このような点があげられる。  ω 議員の勉強不十分  一般に現在の地方議員は概して地方行政の制度や仕組みも十分に分っていない者が多いが、とりわけ地方公務員に かかる給与体系、行政組織、服務関係等については、その仕組み、内容等の面で複雑なものが多い。これらの中味に ついて議員は本会議や常任委員会の席上で質問するが、十分に質聞しぎれない者も多いという。

    東洋法学       

三一

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       三二  とくに多数を占めている保守系議員は総体的に勉強不足、提案された議案等について審議するだけ、市長提案以外 のことについて自ら調査研究することが少ない。  このような状況であるので、効率的経営とかコストという面から行政をみるなどは、殆んどでぎていない現状にあ る。  職員も有権者であり、したがって議員は職員にいい顔をしたいという意識がある。  ② 地方議員の場合、職員イコール縁者  給与手当の調査はタブー視、嫌われたくない。  職員の給与問題、勤務条件の問題等については、議員は職員の中に知人、親せぎがいる、自分の地域出身者がいる、 とかで殆んどとり上げない。とくに小さな町では、議員は職員給与について言いづらい、勇気がいる。  また、これらの問題をとり上げて職員に嫌われると、今度は逆に議員が、自分の選挙区の事業のことで陳情に行っ ても職員に要領よく断わられる。給与問題などとり上げても何のプラスもない。票にもならない、むしろマイナスだ。 黙っていてさわらない方がトクだという意識がある。  ③ 革新系議員は行革に反対、消極的  革新系議員︵とくに社会党、共産党︶は、職員の給与、退職金手当、休暇等職員の勤務条件の改善問題には、常に 保護的代弁者になる。国民、住民から、これ程批判の強い高給与、高退職金の是正についても常に職員の既得権、擁 護に回り、行政改革の足を引張っていると今回の調査回答の中でもかなり指摘されている。

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 ㈲ その他 ①首長選挙では、行革が選挙の争点にもなるが、地方議員選挙では、 ﹁効率のよい税金の使い方﹂というだけでは選  挙は戦えない。 ②国会と違ってマスコミ監視が行き届かない。甘くなる。 ③大阪府下の組合︵衛都連︶は、議員が組合にタテつくと、赤旗、宣伝力i、チラシで徹底的にたたかれる。あるこ  とないこと書かれる。  普通の保守系議員はまずつぶされてしまう、言いたくても言えない現実がある。 3 今後の改革の方向  地方議会にとって﹁税金の使われ方の監視﹂は、極めて重要な役割、機能であるから、一日も早く、この機能を備 え発揮しなければならない。  とくに、国、地方ともに行政改革が最大の課題とされている今日、地方議会がこの機能を果たさず現状のまま推移 すれば、地方議会の存在自体が疑われ否定されてくるおそれもあろう。さらにそれは、地方自治全体にとっても﹁議 会による監視﹂が機能していないままでは地方自治、地方分権そのものまで否定されてくるおそれがある。  とくに最近﹁高給与、高退職金、デラックスな庁舎﹂等が、たとえそれが一部自治体であるにせよ、各方面から地 方自治体全体への不信の声となって強い批判が寄せられている今日、地方議会は一臼も早くしっかりとした監視機能

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三三

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       三四 を持ち、これら住民から批判の強い給与、退職金等の是正を早急にはかることが是非とも必要であろう。  そのためには、当面次のような改革が急ぎ進められることが必要である。  ω 議員自らの勉強と研修を、議会内に行革特別委員会を  給与、退職金等職員の勤務条件や各種事業のコスト︵公、民のコスト比較︶等について議員自らがもっと勉強し、 議員への研修や勉強会をもっと時間をかけて徹底的に行うこと。  それとともに議会内に行政改革特別委員会等を設置し、議会全体としてこれへの取り組みを行うこと等も必要であ ろう  ㈹ 行革度を測るマニュアルづくりを  自治体経営について、これまで経営的視点からものをみるということが執行部、議会ともに殆んどなかったので、 その具体的な物指しともいうべき﹁自治体行革度︵経営効率度︶を測るマニュアルづくり﹂を早急に作成し、それを もって各議員がそれぞれ自治体の行政を分折できるようにすること︵地方自治経営学会において、このマニュアルを 六〇年度につくる予定︶。  ⑥ 議会から積極的に資料要求や議員提案を  給与、退職金等について間題がある自治体や民間委託が遅れている自治体あるいは職員数が多い自治体にあっては、 議会は執行部からの提案を待つだけでなく、積極的に現状の問題点や改革によってどの位財源が浮くか等の資料の提 出を求め、さらに執行部の対応が遅い時には、議会の方から進んで改革の議員提案を行うようにすること。

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 ㈲ 労使交渉の内容を地方議会に公開を  現在、殆んどの地方議会は労使交渉の結果はできるだけこれを尊重すべきとの名分で、事実上ノータッチのところ が多い。すべて市長部局の極秘事項であり、議会はノータッチが慣例化しているところが多い。タッチすべきでない と考えているのが殆んどである。また、その交渉内容結果も議会は、殆んど知らされていない。最近一部の自治体で 定例議会で首長の行政報告の中に述べられるところもあるが殆んどは極めてお座なりである。  したがって今後は議会の方から積極的に内容の公開を求めオ⋮プンにし、住民の見えるところに出して論議される ことが必要である。組合と行政との密室の中での癒着は、議会の力によって打破されなければならない。  ⑤ 議員は納税者の代表として行動を  議員は、納税者の代表として納めた税金が一円でも無駄なく効率よく使われているかを監視することがその基本的 立場である。一部職員組合や関係団体の代弁者に迎合することがないよう、かりそめにも一般納税者に背を向けるこ とがないよう常に自らの立場をしっかりと踏まえるよう心掛けることが大切である。  ㈲ マスコミや住民の協力、応援を  上記⑥及び㈲で閉らかになった事項、問題点を議会は積極的に住民やマスコミに公表してそれらについての認識と 理解を深めて貰い、住民、マスコミ等の協力、応援をとりつけ、その上に立って改革を進めることが必要であろう。 東 洋 法 学 三五

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       三六 4 最近地方行革で地方議員が立ち上つた例  それでも最近ではいくつかの自治体で地方議会側が行革推進の先頭に立ち、執行部側を逆に引っ張るという動ぎも 出てきている。  ・特定政党が、準要保護、要保護の家庭を探して歩き、援助金を受けるように勧誘する。決算委員会で保守系議員   がおかしいと指摘、是正させた︵堺市議会︶。  ・共産党の﹁生活を守る会﹂が生活保護を貰いなさい、貰いなさいと勧誘して歩く。その不合理を保守系議員が議   会で指摘︵堺市議会︶。  ・議会がわたりの改善を執行部側に求め、行われなければ議員提案で出すと要求。遂に執行部側が折れ、わたり改   善案を議長提案として提出してぎた︵山形県温海町議会︶。  ・議会の行革委員会で国の補助金業務等で市職員がどの位手間と時間をとられているか。自治体だけで行革できる   余地がいかに少ないか、国からの干渉、関与の実態を調査︵長野大町市議会︶。  ・職員定数増の要求を議会が半分おさえた。ただ形は議会修正でなく当局からの再提案として出されたが。

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四 議員定数と報酬

 近年きびしい行政改革への要請の中で、議員定数や議員報酬︵とくに期末勤勉手当や年金︶についても削減、引き 下げあるいは廃止をという声が全国的にかなり強く出されてきている。  このような情況の中で多くの地方議会では国に先がけ、議員定数の減少がはかられているが、今後のあり方として これをどう考えるか。 1 議員報酬の現状と問題  現在、議員報酬は 府県       五〇〇千円∼七〇〇千円 政令指定都市   五六〇千円∼七三〇千円 五〇万人以上市  四三〇千円∼五〇八千円 四〇∼五〇万人市 三八○千円∼五一〇千円 三〇∼四〇万人市 三三〇千円∼四五〇千円 二〇∼三〇万人市 一八五千円∼四四〇千円   東 洋 法 学 三七

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       三八   一〇∼二〇万人市 二四〇千円∼四三〇千円   五∼一〇万人市  一八五千円∼四四〇千円   五万人未満市   一四五千円−三〇千円   町村        七〇千円∼二五〇千円  また、実際の手取りでは、上記のおおむね七〇%程度になっている。注、上記のうち、市については、全国市議会議長 会調べ五九年一月一日現在による。  このように、議員報酬といっても府県と市と町村とではかなり相違があり、また同じ市でも人口段階によって相当 大きな差がある。人艮三〇万以上市では平均月額がおよそ四〇万円以上である。したがって、議員報酬を論ずる場合 も、この実際をよく見た上でなされることが必要である。  なお、議員報酬の最高は   大阪市   七三〇万円   京都市   六六〇万円   神戸市   六六〇万円   名古屋市  六五〇万円 であり、逆に最低は   両津市   一四五万円

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議員・三役の報酬

東洋法学

市数 議長 副議長 議員 市長 助役 収入役 5万人未満(20)229 262.9 227.6 209.4 582.7 469.6 422.9 5万人以上∼ 10万人末満 22王 (19) 3王1.3 273.7 253.6 622.8 515.7 盈66.5 10万人以上∼ 20万人未満 103 (8) 372.4 332.7 308.4 675.5 557.3 499.7 20万人以上∼ 30万人未満 41 (8) 428.4 389.5 363.6 728.4 604.8 530.4 30万人以上∼ 40万人未満 23 (0) 467.0 422.6 393.2 755.1 628.3 552.3 40万人以上∼ 50万人未満 15 (0) 525.王 472.8 434.7 801.8 657.0 564.5 50万人以上 9︵ 2) 568.3 521.8 曽477.2 834.1 671.王 564.5 指定都市 10 (0) 786.0 696.0 627.0 976.0 773.0 603.6 全園平均 (57)65工 332.6 293.9 271.6 640.8 525.0 469.5 飯山市 美弥市 四五万円 五五万円 (注) 全團市議会議長会調査による。59年玉月王田現在 九 三

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       四〇   五泉市   一五五万円   長門市   一五五万円   村上市   一五五万円 で最高と最低との問には、五倍近い開きがある。  次に議員報酬を、市長、助役、収入役と比べてみるといずれの人β規模の市においても市長、助役の報酬の方が議 員より高いが、収入役と比較すると政令指定都市だけ議員の方が高いだけで、他の市は、いずれも議長の方が低く、 人P一〇万未満市では、議員報酬は収入役のほか、半分あるいは、それ以下という額になっている。  これが高いか低いか。またどの程度の額が適正かを①地方議員の生活費︵出費︶の面と②議員としての仕事量との 両方の面からみてみよう。  ω 地方議員の必要生活費︵出費︶の面からー議員はどの位カネがかかるか  現在、地方議員は報酬だけで生活している人と、別に収入のある人とあるが、一般には後者が大部分であり、報酬 だけで議員をつとめるのはかなり苦しい状態にある。  それは、議員は通常の人と違い選挙を控えているため。  ・四年間、盆、暮れに出費が多くかかる。  ・冠婚葬祭に最低三、○○○円から五、○○○円つつむ︵都道府県議員では一日に葬式が四つも五つもあることも   ある︶。

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 ・各町内の祭りや盆踊りに︵シーズンには一日四ヵ所も五ヵ所も︶顔を出す︵最低二升は持って行く︶。 等、選挙の時以外、日常カネがかかる。このように日常、地域住民と平素のつぎあいをして、自分の地盤を固めてお かないと選挙の当選が困難になる。  また、東京都議会議員の場合には、事務所を持ち、秘書をおいている人も多いが、これももちろん本人負担である。  報酬だけで生活している議員は、このような出費に耐えられない、カンバを行ったり色々に苦労をしている。  さらに、地方議員は将来の生活の保証もない、四年後の選挙で落選すれば失業保険も退職金も、健康保険も年金も ない。報酬だけの議員は、家族をかかえて大変不安な中におかれている。  ② 議員としての仕事の量の面から  次に、現在の報酬を議員としての仕事の面からみると、これまでの一般的な見方は、  ・議会開催日数は年間を通じて五〇∼六〇程度。  ・しかも住民の側からみると  議員は一般的には特定の支持者と接触している程度で、一般市民と離れてしまっている︵一般市民からみるとひろ   く﹁代表機能﹂を果たしているとは晃えない。  とくに大都市で、は住民は議員の名前も顔も知らない︶  ・議会の重要な役割である﹁税金の使われ方に対する監視﹂が二∼三の議員を除いては殆んど果たされていない。  このような点からみて、現在の報酬でも高過ぎるという批判がある。しかし他方、熱心に動いている議員は昔と違

    東洋法学      四一

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    閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析       四二 って今は毎日のように議会に出る。  地域も歩く、市役所の中も歩く、勉強もする。そうしなければ、とても議員はつとまらない、片手問ではつとまら ないと主張される。現にそのような熱心な議員も若干ではあるがどこの議会にもいる。  ちなみに、今回の調査で﹁議員の日常生活のうちどのようなことに時間を費しているかしの調べによると、議員か らの回答では  ・議員としての議会活動に費される時間       五〇・○%  ・地元の会合、冠婚葬祭等への顔出しや世話役の引受け等に費される時間   二六・二%  ・その他自分の職業、事業等に費される時間       二三・八%        計 一〇〇% と約半分の時間が議会活動に使われている。  しかし、議会活動、地域活動といっても、そのうち実質的には自分の選挙活動と考えられる部分もかなりある。本 学会会員の一人は選挙活動八○%議員活動二〇%位とみるのが妥当と分析判断している。 2 議員定数をめぐる論議  ここ数年、多くの地方議会において、議員定数の減員が行われているが、昭和五九年一月一日現在は、法定数より 減員を行っている地方議会は

(44)

 ▽団体数でみると

  府 県

   市    八一・一%

  町 村

 ▽減員を行った議員数の比率︵減員率︶でみると

  府 県

   市    一七・四%

  町 村

となっている。  議員定数については、  ω 多過ぎる削減すべきだ、という意見としては  ・欧米の地方議会に比べて、日本の地方議会は議員定数が多過ぎる。  ちなみに、わが国主要都市について、アメリカ姉妹都市の議員数と報酬とを比較してみると、  ・議員数では、わが国はアメリカより四・五倍から一〇倍以上しかも報酬は、アメリカは殆んどの市がわが国の半   分以下という状況にある。  ・定数を少なくした方が質が高まる。

    東洋法学       

四三

(45)

日本とアメリカとの地方議員の定数,報酬比較 日  本 (A) アメリカ  (B) ムB 札 幌      68人         1,030万門 ポートランド    護人         1,128万円 王7.0倍 0.9倍 仙 台       56人          843万円 リバーサイド    7人          201万円 8。0倍 4。2倍 横 浜      96人         1,0婆7万円 サンジェゴ     8人          618万円 12.0倍 1.7倍 川 崎      64人          946万円 ボルチモア     19人          468万円 3.4倍 2.0倍 千 葉      56人          8i6万円 ヒューストソ    M人          6王1万円 4.0倍 i.3倍 水 戸       36人          537万円 アナハイム     4人          230万円 9.0倍 2。3倍 瀞 岡       52人          760万円 オマハ       7人          255万門 7。4倍 3.0倍 長 野       44人          608万円 クリアウォーター  4人          240万円 11.0倍 2.5倍 名古麗      77人         1,098万円 ロサンゼルス    15人         1,054万円 5ほ倍 1.0倍 大 津        40人          616万円 ランシング     8人          204万円 5.0倍 3.0倍 京 都      72人         王,王15万円 ボストン      9人          648万円 8.0倍 1.7倍 大 阪       94人         1,237万円 サンフランシスコ  11人          5窪万円 8.5倍 2.2倍 神 戸       72人         王,115万円 シアトル      9人         i,191万円 8.0倍 0.9倍 広 島      60人          963万円 ホノルル      9人          420万円 6。7倍 2.3倍 松 山       48人          698万円  8人 147万円 6.0倍 4。7倍 (注) サンケイ新聞調べ、58年ユ月1日現在、報酬は年額(期末手当を含    む) 1 ドノレ240円で計算 閉ざされた古い体質・地方議会の実態を分析 四四

(46)

・議員の定数は、一次的には仕事の量から判断すべきだ、現在の地方議会議員の仕事、働きの内容からみるとこん  なに多くの議員は必要ない。 ・議会は十分に機能していない。議員はあまり働いていない。税金の使われ方もあまり監視されていない。そのよ  うな現状であれば議員を沢山おくのは税金のムダ遣いだ、減らすべきだ。 ・﹁議員の数を減らすと、住民意思が十分反映されなくなる。﹂という意見があるが住民意思が多様化している今  日においては、議員の数をどんなに増やしても住民意思のすべてはとても代表できない。 ﹁代表制﹂はある程度  名目のものでよい。 ・会議を行う場合の理想としては二〇人位が最も適当だ。 また、 ② 議員定数はあまり減らすべきでないという意見としても ・議員定数はその地方団体の人隣、面積等との相関で何人位が望ましいか、という定数力学から慎重に検討する必  要がある。ただ減らせばよいという単純な発想やム:ドだけで動かされるべきでない。 ・議員を減らせばたしかにそれだけ予算も少なくてすみ減量になるが、それよりも議会にもっと税金の使われ方を  しっかり監視して貰ってそれによって自治体全体の減量をはかって貰う方が何倍、何十倍というはるかに大ぎい  効果があるのではないか。 ・議員定数を減らすとそれだけ行政への住民意思の反映が少なくなる。議員の数は多い方がより多く住民意思が行    東洋法学       四五

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