Q.57 放 牧 地 管 理 の留 意 点 について教 えてください。 解 説 1 .各 種 草 地 管 理 指 標 や 、こ の Q & A 等 に 従 っ た 放 牧 地 管 理 を 心 が け ま し ょ う 。 草 地 管 理 指 標 は 、放 牧 地 管 理 を 含 め た 草 地 畜 産 を 実 施 す る 上 の 教 科 書 的 役 割 を 担 う 書 物 で す (写 真 )。 日 本 草 地 畜 産 種 子 協 会 か ら 出 版 さ れ て お り 、 「 草 地 の 維 持 管 理 編 」 「 草 地 の 放 牧 利 用 編 」 「 放 牧 牛 の 管 理 編 」 「 草 地 の 管 理 作 業 編 」 「 草 地 の 採 草 利 用 編 」 「 草 地 の 土 壌 管 理 お よ び 施 肥 編 」「 草 地 の 多 面 的 機 能 編 」等 が あ り ま す 。 ま た 、 こ の Q & A に 記 載 さ れ て い る こ と も 大 切 な 留 意 点 で す 。 2 . 牛 の 生 育 ス テ ー ジ ( 繁 殖 牛 ・ 育 成 牛 等 ) と 牧 草 種 ( 寒 地 型 牧 草 地 、 暖 地 型 牧 草 地 、 シ バ 型 草 地 、 野 草 地 ) の 特 徴 と 組 み 合 わ せ に 留 意 し ま し ょ う 。 (1)家 畜 が 要 求 す る TDN 含 量 は 、 乳 用 種 育 成 牛 は TDN60~ 67%、 肉 用 種 繁 殖 牛 は TDN50%で あ り 、 育 成 牛 は 繁 殖 牛 と 比 較 し 高 い 栄 養 状 態 の 牧 草 を 与 え る 事 が 必 要 で す (図 1)。 (2) 牧 草 種 と 栄 養 価 の 関 係 に つ い て 、 寒 地 型 牧 草 種 は 、 シ バ 型 草 種 や 野 草 よ り TDN 含 量 が 高 い 傾 向 に あ り ま す (図 2)。よ っ て 、育 成 牛 に は 寒 地 型 牧 草 の 給 与 が 適 し て お り 、 繁 殖 牛 に は シ バ 型 草 種 や 野 草 を 含 め た 幅 広 い 草 地 で 利 用 出 来 ま す 。 (3) 寒 地 型 牧 草 に お い て 、 放 牧 草 で は 採 草 よ り 栄 養 価 が 高 く な る 傾 向 に あ り ま す (図 2)。ま た 、イ ネ 科 放 牧 草 は 草 高 が 短 い 方 が TDN 含 量 が 高 く な る 傾 向 に あ り ま す (図 3)。但 し 、余 り 短 か す ぎ る と 牧 草 種 に よ っ て は 衰 退 し ま す の で 、 注 意 し て く だ さ い 。 A. 各 種 草 地 管 理 指 標 等 に従 った 放 牧 地 管 理 を心 がけましょう。ま た、牛 の生 育 ステージ(繁 殖 牛 ・育 成 牛 等 )と牧 草 種 (寒 地 型 牧 草 地 、暖 地 型 牧 草 地 、シバ型 草 地 )の特 徴 と組 み合 わせに留 意 しましょう。 図 1.育 成 牛・繁 殖 牛 が 要 求 す る 飼 料 中 TDN 含 量( 日 本 飼 養 標 準 肉 牛 お よ び 乳 牛 よ り 作 図 ) 写 真 .草 地 管 理 指 標
(4)牧 草 は 季 節 に よ り 再 生 速 度 が 変 化 し ま す (図 4)。寒 地 型 牧 草 の 再 生 速 度 は 春 先 に 増 加 し 、そ の 後 夏 に 下 が り 、秋 に 多 少 増 加 し ま す 。( 地 域 に よ り 秋 の 増 加 が 無 い 場 合 が あ り ま す )。暖 地 型 牧 草 の 再 生 速 度 は 春 先 か ら 夏 に 向 け て 増 加 し 、そ の 後 秋 に か け て 減 少 し ま す 。一 方 、牛 の 牧 草 要 求 量 は 基 本 的 に 春 か ら 秋 に か け て 漸 増 し ま す が 、草 の 再 生 速 度 が 増 加 す る 時 期 に は 、草 が 余 る (草 高 が 高 く な る ) 場 合 が あ り 、 そ れ は (3)で 示 し た よ う に 牧 草 の 栄 養 価 が 下 り 、育 成 牛 で は 十 分 に 草 を 食 べ て い る に も か か わ ら ず 増 体 し な い 状 況 に 繋 が り か ね ま せ ん 。 そ の た め 、牧 草 の 再 生 が 牛 の 要 求 量 を 上 回 る 時 期 は 、一 部 を 採 草 利 用 し た り 、放 牧 圧 を 高 め る 等 の 方 策 を と り 、草 丈 を 短 く 維 持 管 理 し 、栄 養 価 の 高 い 牧 草 を 食 べ ら れ る 状 態 に す る 事 を 心 が け る と 良 い で し ょ う 。 3 . そ の 他 (1)繁 殖 牛 の シ バ 型 草 地 放 牧 は 、 定 置 放 牧 が 基 本 と な り ま す 。 草 高 10cm 程 度 で 1~ 2 頭 /ha と な る よ う に し て く だ さ い 。 (2)放 牧 地 管 理 す る 上 で 、 牧 草 や 雑 草 の 様 々 な 特 性 を 理 解 し つ つ 、牛 に 出 来 る こ と は 牛 に し て も ら う 事 を 考 え ま し ょ う ( 雑 草 を 食 べ さ せ る 等 )。そ れ で ダ メ な 場 合 に は 、 人 手 に よ る 制 御 ( 掃 除 刈 り 等 ) を 試 み ま し ょ う 。 図 3. イ ネ 科 放 牧 草 の 利 用 高 さ と TDN 含 量 ( 日 本 標 準 飼 料 成 分 表 よ り 作 図 ) 図 2. 採 草 と 放 牧 草 の TDN 含 量 ( 日 本 標 準 飼 料 成 分 表 よ り 作 図 ) 図 4. 季 節 に よ る 牧 草 の 生 産 量 ・ 牛 要 求 量 の 変 動 と 牧 草 余 剰 時 の 対 策 ( 模 式 図 )
Q.58 放 牧 草 量 の簡 便 な調 査 方 法 について教 えて下 さい。 解 説 1 . ラ イ ジ ン グ プ レ ー ト メ ー タ ー と は ラ イ ジ ン グ プ レ ー ト メ ー タ ー は 、放 牧 地 の 草 量 を 測 定 す る た め の 道 具 で す (写 真 )。 こ の ラ イ ジ ン グ プ レ ー ト メ ー タ ー を 草 地 で 垂 直 に 置 く と 、 シ ャ フ ト ( 中 央 の 棒 の 部 分 )の 部 分 は 地 面 ま で 達 し ま す が 、プ レ ー ト( 円 板 部 分 ) は 草 の 量 だ け 上 が り 、 そ の 上 が っ た 量 が 積 算 カ ウ ン タ ー で 計 測 さ れ ま す (図 1)。一 牧 区 当 た り 50 回 以 上 、ラ イ ジ ン グ プ レ ー ト メ ー タ ー を 「 置 い て 」 「 上 げ る 」 操 作 を 繰 り 返 す こ と に よ り 、 カ ウ ン タ ー が 積 算 し て 計 測 さ れ 、 牧 区 全 体 の カ ウ ン タ ー の 平 均 値 が 出 ま す 。 カ ウ ン タ ー 平 均 値 か ら 草 量 を 求 め る 下 記 換 算 式 を 基 に 、 牧 区 の 草 量 を 求 め る こ と が 出 来 ま す 。 換 算 式 : 現 存 草 量 ( DMkg/10a)= カ ウ ン タ ー 平 均 値 ×9.45-29.8 ( カ ウ ン タ ー 平 均 値 = ( 測 定 後 カ ウ ン タ ー 数 値 - 測 定 前 カ ウ ン タ ー 数 値 )/ 測 定 回 数 ) こ の 方 法 は 他 の 放 牧 草 量 調 査 法 ( 例 え ば 、 一 牧 区 内 に お い て 一 定 面 積 を 複 数 箇 所 刈 取 計 測 す る 方 法 、等 )よ り 、精 度 は 落 ち ま す が 圧 倒 的 に 高 速 か つ 簡 易 で 、現 場 レ ベ ル の 放 牧 地 草 量 測 定 に 適 し ま す 。 2 . ラ イ ジ ン グ プ レ ー ト メ ー タ ー に よ り 測 定 し た 草 量 の 活 用 に つ い て 牧 草 の 生 産 量 や 時 期 毎 の 生 産 速 度 は 、 各 牧 場 の 各 牧 区 の 植 生 や 季 節 に よ り 変 化 し ま す 。 ま た 、 そ れ を 採 食 す る 牛 の 頭 数 も 、 各 年 に お い て 異 な り ま す 。 そ の 中 で 、 Q57 の 解 説 に あ る よ う に 、季 節 に よ り 再 生 量 が 変 動 す る 放 牧 草 を 、TDN 含 量 等 の 高 い 短 草 状 態 で 維 持 管 理 し つ A. ライジングプレートメーターの利 用 を検 討 してください。 写 真 . ラ イ ジ ン グ プ レ ー ト メ ー タ ー 図 1. ラ イ ジ ン グ プ レ ー ト メ ー タ ー の 原 理
つ 、繁 殖 牛 に 十 分 量 採 食 し て も ら う た め に は 、( 1 )今 、草 地 に ど れ だ け 草 が あ る か 、( 2 ) 1 日 で 牛 が ど れ だ け の 量 の 牧 草 を 採 食 す る か 、( 3 )草 地 が 1 日 で ど れ だ け 再 生 す る か( 何 日 後 に 元 の 草 量 ま で 戻 る の か 、牧 場 全 体 の ロ ー テ ー シ ョ ン に 使 っ て い る 牧 区 の 数 と 日 数 を 考 え る と 、 こ の 先 草 は 余 る の か 、 不 足 す る の か ) を 知 る 必 要 が あ り ま す 。 各 牧 区 で 入 牧 直 前 (① )と 退 牧 直 後 (② ) に ラ イ ジ ン グ プ レ ー ト メ ー タ ー で 草 量 を 測 定 す る こ と に よ り 、 下 記 の こ と が 分 か り ま す 。 ( 1 ) 入 牧 時 の 採 食 可 能 草 量 (① )。 ( 2 ) 1 日 あ た り 放 牧 牛 の 採 食 草 量 ((① - ② )/ 牛 の 頭 数 / 滞 牧 日 数 )。 ( 3 ) 1 日 あ た り 草 の 再 生 速 度 ((次 回 の ① - 前 回 の ② )/ 禁 牧 日 数 )。 こ れ を 全 牧 区 で 行 う こ と に よ り 、牧 場 全 体 で 、今 後 放 牧 草 が 余 る の か 、不 足 す る の か 、判 断 す る こ と が 出 来 ま す 。例 え ば 、放 牧 後 の ② か ら 、何 日 で 放 牧 前 で あ る ① ま で 牧 草 が 生 長 す る の か 、 ( 3 ) か ら 計 算 で き ま す ( こ こ で は 10 日 と し ま す ) 。 一 方 で 、 現 在 放 牧 に 使 っ て い る 放 牧 地 の 牧 区 数 な ど か ら 、退 牧 後 か ら 入 牧 ま で 帰 っ て く る 期 間 が 分 か り ま す( こ こ で は 15 日 と し ま す ) 。 そ う す る と 、 現 在 の 時 期 で は 草 が 余 る た め 、 5 日 分 の 牧 区 は 採 草 利 用 可 能 と 判 断 で き ま す 。ま た 、全 牧 区 を 使 っ て も 牧 草 が 不 足 す る と し た ら 、ど こ の 牧 区 に 施 肥 す る と 良 い か( 牧 区 毎 の 再 生 速 度 (3)か ら )、補 助 飼 料 は ど の 程 度 与 え れ ば よ い か( 採 食 量( 2 ) と 採 食 可 能 草 量 ( 1 ) の 差 か ら )、 数 値 を 基 に 対 応 す る 事 が 出 来 ま す 。 ま た 、春 先 に 全 て の 牧 区 の 草 量 を 調 査 し 、多 い 牧 区 か ら 並 び 替 え る こ と に よ り 、ど の 牧 区 か ら ど の 順 番 で 放 牧 を す れ ば 良 い の か 、 判 断 す る 事 も 出 来 ま す ( 図 2) 。 草 量 の 変 動 は 、 季 節 以 外 に も 、 牧 場 の 植 生 、 立 地 条 件 、 施 肥 管 理 、 そ の 年 の 気 候 や 放 牧 牛 の 頭 数 等 、様 々 な 要 因 で 変 化 し ま す 。こ れ ら に 対 す る 対 策 を 講 じ る 上 で 、本 法 で 測 定 さ れ る 草 量 は 一 助 と な り ま す 。 Q.59 放 牧 地 の植 生 改 善 の方 法 について教 えて下 さい。 図 2 . 牧 区 を 草 量 の 多 い 順 に 並 べ 替 え た と こ ろ ( フ ィ ー ド ウ ェ ッ ジ ) (模 式 図 ) ( 下 の ア ル フ ァ ベ ッ ト は 牧 場 全 て の 牧 区 (こ こ で は 21 牧 区 )を 便 宜 上 a~ u の 番 号 で 表 示 )
解 説 1 . 放 牧 草 地 の 植 生 診 断 基 準 が あ る の で 、 そ れ と 現 在 の 草 地 植 生 と の 比 較 検 討 を 行 い ま す 。 植 生 診 断 基 準 は 各 地 域 毎 に 作 成 さ れ て お り 、「 草 地 診 断 の 手 引 き 」「 草 地 管 理 指 標 -草 地 の 維 持 管 理 編 」 等 に 記 載 さ れ て い ま す (表 1 に 関 東 ・ 中 部 の も の を 示 し ま す )。 表 1.放 牧 草 地 の 植 生 診 断 基 準 ( 関 東 ・ 中 部 ) a) 生 産 量 が 目 標 よ り 少 な か っ た り 、 牧 草 の 栄 養 価 が 低 く 、 施 肥 量 を 増 加 さ せ て も 改 善 が 望 め な い 場 合 や 、 新 し い 草 種 を 導 入 し た い 場 合 に は 更 新 す る 。 b) 施 肥 管 理 や 利 用 法 の 改 善 で 回 復 可 能 か ど う か を 判 断 し 、 回 復 不 可 能 の 場 合 は 更 新 す る 。 更 新 す る 場 合 は 簡 易 更 新 で も 可 。 c) 簡 易 更 新 で も 可 。 2 .こ こ で「 更 新 検 討 」で あ れ ば 、施 肥 、追 播 、放 牧 強 度 の 変 更 、掃 除 刈 り 等 の 方 法 で 、希 望 す る 草 地 植 生 の 改 善 を 試 み ま す 。 1)施 肥:土 壌 調 査 に 基 づ き 、施 肥 等 を 行 い ま す 。マ メ 科 が 多 い 場 合 は 、窒 素 施 肥 を 診 断 基 準 内 で 行 い ま す 。 ま た 、 苦 土 ・ 石 灰 等 も 土 壌 診 断 に 基 づ き 施 用 す る こ と を お 勧 め し ま す 。 2)放 牧 強 度 の 変 更:牛 が 採 食 可 能 な 雑 草 が 多 い 場 合 に は 、放 牧 強 度 を 高 め て 食 べ さ せ る 事 を 検 討 し ま し ょ う 。 3)掃 除 刈 り :牛 が 採 食 し な い 雑 草 が 多 い 場 合 に は 、退 牧 直 後 に 掃 除 刈 り を し ま し ょ う 。ま た 、 A. 寒 地 型 牧 草 ・暖 地 型 牧 草 の場 合 、現 在 の植 生 を放 牧 草 地 の植 生 診 断 基 準 に照 らし合 わせ、 基 準 値 内 の 場 合 は施 肥 、放 牧 強 度 の 変 更 、 掃 除 刈 り、 追 播 等 を行 い、 基 準 値 を 外 れる場 合 は完 全 更 新 をしてください。シバ型 草 地 は、定 置 放 牧 、草 高 10cm 以 下 の管 理 、追 播 ・移 植 をしてください。
マメ科牧草被度
40%以下
マメ科牧草被度
40%以上
10%未満
更新不要
a)要更新
c)更新検討
b)要更新
10~
30%未満
更新検討
b)(雑草防除)
要更新
c)(雑草防除)
30%以上
要更新
(雑草防除)
全放牧草被度
雑
草
被
度
50~80%
50%未満
80%以上
掃 除 刈 り に は 牧 草 の 密 度 を 高 め る 効 果 も あ り ま す (Q60 参 照 )。 4)除 草 剤 散 布 等 の 雑 草 対 策:こ れ ら 方 法 を と っ て も 、除 草 し き れ な い 強 害 雑 草 で あ る 場 合 に は 、 Q 84 等 を 参 照 と し 、 除 草 剤 散 布 な ど の 雑 草 対 策 を 取 り ま し ょ う 。 5)簡 易 更 新( 追 播 ): 雑 草 対 策 後 、目 的 と す る 植 生 に 見 合 う よ う 、簡 易 更 新 を 行 い ま す 。簡 易 更 新 に 関 す る 方 法 は Q88~ 91 を 参 照 と し て く だ さ い 。蹄 耕 法 と い う 表 面 に 播 種 し て 牛 に 踏 ま せ る 方 法 や 、簡 易 草 地 更 新 機 を 用 い て 帯 状 に 草 地 を 更 新 す る 方 法 等 が あ り ま す 。な お 、寒 地 型 牧 草・暖 地 型 牧 草 へ の 簡 易 更 新 で は 、更 新 直 後 に 周 辺 の 既 存 牧 草 種 の 生 長 に よ り 、追 播 牧 草 の 幼 植 物 が 庇 蔭 さ れ る 事 が あ る の で 、定 期 的 に 短 期 間 放 牧 し 、周 り の 既 存 牧 草 種 等 を 抑 圧 す る と 良 い で し ょ う 。簡 易 更 新 直 後 の 定 置 放 牧 は 、追 播 牧 草 の 幼 植 物 が 牛 の 踏 圧 に よ り 衰 退 す る 事 が あ る の で 、避 け て く だ さ い 。例 外 と し て 、シ バ 型 牧 草 種 は 幼 植 物 で も 牛 の 踏 圧 に 強 い た め 、 放 牧 を 継 続 し て く だ さ い 。 3 . 植 生 診 断 基 準 「 要 更 新 」 で 簡 易 更 新 も 出 来 な い 場 合 に は 、 完 全 更 新 を し て く だ さ い 。 4 . シ バ 型 草 地 更 新 の 必 要 な 荒 廃 草 地 を シ バ 型 草 地 へ 変 更 す る 際 に は 、定 置 放 牧 に よ り 草 高 を 10cm 以 下 に 維 持 し て く だ さ い 。掃 除 刈 り も シ バ 型 草 地 造 成 に と っ て 有 効 で す 。ま た 、セ ン チ ピ ー ド グ ラ ス 種 子 の 播 種 も 効 果 的 で す 。ノ シ バ が 近 隣 に 生 息 し て い る 場 合 に は 、糞 上 移 植 法 を 勧 め ま す ( 写 真 1) 。 シ バ 型 草 地 は 造 成 完 了 ま で に 3 年 ほ ど 見 て く だ さ い 。 5 . そ の 他 ケ ン タ ッ キ ー ブ ル ー グ ラ ス は 、 人 に よ り 「 雑 草 」 と み な さ れ る 事 が あ り ま す が 、 混 播 草 種 造 成 時 に も 含 ま れ る よ う に「 牧 草 」と し て も 価 値 が あ り ま す 。ケ ン タ ッ キ ー ブ ル ー グ ラ ス 優 占 草 地 に ホ ワ イ ト ク ロ ー バ ー と 組 み 合 わ せ 短 草 利 用 す る こ と に よ り 、乳 用 牛 育 成 牛 が 高 い 増 体 を 示 す こ と か ら 、ケ ン タ ッ キ ー ブ ル ー グ ラ ス が 多 い 場 合 、ク ロ ー バ ー 導 入 に よ り 上 手 く 活 用 で き な い か 検 討 す る 事 も お 勧 め し ま す ( Q80 参 照 ) 。
113 Q.60 退 牧 後 の草 地 管 理 について教 えて下 さい。 解 説 1 . 適 期 に 追 肥 を し て く だ さ い 。 適 切 な 草 種 の 維 持 管 理 や 、目 標 と す る 収 量 を 得 る 上 で 、追 肥 は 重 要 な 要 因 で す 。追 肥 か ら 次 の 入 牧 ま で の 期 間 は 、出 来 る 限 り 長 く 時 間 を 取 る 事 が 望 ま し い 事 か ら 、追 肥 を 行 う 場 合 は 退 牧 直 後 に 行 っ て く だ さ い 。追 肥 は 土 壌 診 断 や 草 種 、目 標 収 量 、生 育 時 期 を 勘 案 し て 実 施 し て く だ さ い 。 施 肥 に 関 し て は 草 地 管 理 指 標 「 草 地 の 土 壌 管 理 お よ び 施 肥 編 」 、 お よ び Q51~ Q56 を 参 照 し て く だ さ い 。 2 . 雑 草 が 多 い 場 合 に は 対 策 を し て く だ さ い 。 場 合 に よ り 掃 除 刈 り も 検 討 し て く だ さ い 。 退 牧 時 に 、 草 地 に 雑 草 が 多 い 場 合 に は 、 対 策 を 講 じ る こ と が 必 要 で す 。 基 本 的 に は 「 Q84 強 害 雑 草 の 防 除 法 に つ い て 教 え て 下 さ い 。」に 記 載 さ れ た 対 策 を 、可 能 な 限 り 講 じ て 下 さ い 。 も し 、牛 が 採 食 し て 問 題 な い 雑 草 種 で あ れ ば 、放 牧 強 度 を 高 め る 等 に よ り 、採 食 し て も ら っ て く だ さ い 。牛 に よ る 採 食 が 難 し く 、地 上 部 の 刈 払 い が 効 果 的 で あ る 場 合 に は 、掃 除 刈 り を し て く だ さ い (写 真 1 ) 。 そ の 場 合 で も 、 退 牧 前 の 時 点 で 少 し 強 め に 放 牧 し 、 地 上 部 草 量 を 減 ら す 事 に よ り 、雑 草 の 庇 蔭 に よ る 牧 草 生 長 の 抑 圧 を 、最 小 限 に し て く だ さ い 。な お 、雑 草 が 多 す ぎ る 場 合 に は 、掃 除 刈 り 後 に 雑 草 を 乾 燥・ロ ー ル と し 、放 牧 地 の 外 へ 持 ち 出 す と 、そ の 後 の 草 地 の 被 度 維 持 や 生 産 量 の 向 上 に 優 れ る こ と か ら 、検 討 し て く だ さ い( 図 1 、表 1)。 A. 適 期 に追 肥 をしてください。雑 草 が多 く、放 牧 強 度 を強 くしても採 食 しない場 合 には、 雑 草 種 の特 定 を基 に対 策 を講 じ、掃 除 刈 りも検 討 してください。 図 1. 退 牧 時 刈 払 い 処 理 に よ る 各 草 種 の 乾 物 重 の 変 化 ( 刈 払 い 処 理 を し な い と 、 草 地 は 雑 草 に 覆 わ れ 、 牧 草 は 生 育 で き ず 、 雑 草 が 優 占 す る 場 合 が あ る 。 ) 写 真 1 . 退 牧 直 後 の 雑 草 シ ロ ザ ( 右 側 ) ( シ ロ ザ は 退 牧 直 後 の 掃 除 刈 り で 抑 圧 で き る 。 た だ し 、 写 真 の よ う に 多 す ぎ る と 刈 草 に よ る 庇 蔭 が 大 き い す ぎ る た め 、 外 へ 持 ち 出 す 必 要 が あ る 。 )
3 .退 牧 時 に 草 が 余 剰 の 場 合 、寒 地 型 草 地・暖 地 型 草 地 な ど で 育 成 牛 を 放 牧 飼 養 す る 場 合 に は 、放 牧 草 を 高 栄 養 状 態 で 給 与 す る た め 、短 草 状 態 で 放 牧 草 を 採 食 さ せ る こ と が 望 ま れ ま す (Q60 参 照 )。も し 退 牧 時 に 草 が 余 っ た 場 合 、 次 回 入 牧 ま で に 草 が 伸 び す ぎ 、放 牧 草 の TDN 含 量 低 下 を 招 く 可 能 性 が あ り ま す 。ま ず は 、現 在 の 状 態 で 、次 回 入 牧 ま で に 草 が 伸 び す ぎ な い か ど う か 、 草 量 把 握 と 、再 生 速 度 の 傾 向 か ら 検 討 し て く だ さ い (Q58 参 照 )。も し 、 草 が 伸 び す ぎ る 事 が 予 想 さ れ る 場 合 、現 在 の 退 牧 予 定 を 変 更 し 、育 成 牛 を も う 少 し 滞 牧 し て 草 を 食 べ さ せ ら れ な い か( 他 の 牧 区 を 採 草 利 用 に 供 試 し 、牧 場 全 体 の 放 牧 地 面 積 を 減 ら せ な い か )、ま た は 繁 殖 牛 な ど の 放 牧 に よ り 余 剰 草 の 採 食 利 用 が 出 来 な い か 等 、牧 場 全 体 の 草 地 の 状 況 も 踏 ま え て 検 討 し て く だ さ い 。も し 、 そ れ ら 方 策 が 難 し い よ う で あ れ ば 、掃 除 刈 り の 実 施 を 検 討 し て く だ さ い 。そ の 際 、刈 草 の 量 が 多 く 、牧 草 の 株 を 庇 蔭 す る よ う で あ れ ば 、刈 草 を ロ ー ル サ イ レ ー ジ に し て 給 与 す る 、ま た は 乾 草 と し て 敷 料 利 用 す る 事 等 を 検 討 し て く だ さ い 。な お 、掃 除 刈 り に よ り 草 の 生 産 量 は や や 低 下 し 、草 種 構 成 割 合 は 差 は 変 化 は な く 、残 草 が 2t 以 上 で は 草 地 の 高 密 度 維 持 に 有 効 で 、 栄 養 価 は 高 ま り ま す 。 4 . そ の 他 放 牧 地 の 糞 塊 を パ ス チ ャ ー ハ ロ ー や ツ ー ス ハ ロ ー で 散 ら す 場 合 が あ り ま す 。こ の 理 由 と し て 、( 1 )退 牧 後 に 休 牧 期 間 を 設 け 、そ の 後 に 採 草 利 用 す る 場 面 に お い て 、手 持 ち の 作 業 機 械 で は 、採 草 作 業 時 に 多 量 の 糞 塊 混 入 が 避 け ら れ な い 場 合 、( 2 )牧 場 が 観 光 牧 場 等 を 兼 ね る 等 の 事 情 か ら 、人 目 が 付 く と こ ろ の 草 地 中 の 糞 塊( ま た は 不 食 過 繁 地 )を 無 く し た い 場 合 、 等 々 が あ り ま す 。草 地 を 短 草 利 用 し て 育 成 牛 を 放 牧 す る 場 合 、多 く の 場 合 本 作 業 を 実 施 し な く て も 放 牧 飼 養 で き ま す が 、労 力 や 資 源 、牧 場 の 置 か れ て い る 状 況 や 牧 場 主 の 考 え 方 に 合 わ せ て 、必 要 な 場 合 に は 実 施 し て く だ さ い 。ま た 、掃 除 刈 り で 目 的 が 達 成 で き な い か も 、検 討 さ れ る と 良 い で し ょ う 。 表 1 . 退 牧 時 刈 払 い 有 無 お よ び 刈 草 持 ち 出 し 有 無 が 、 次 回 入 牧 時 の 植 生 に 与 え る 影 響
Q.61 草 高 から入 退 牧 時 期 を判 断 する目 安 について教 えて下 さい。 解 説 1 . 育 成 牛 の 放 牧 に つ い て 育 成 牛 の 放 牧 で は 、 高 栄 養 化 の 牧 草 を 給 与 す る た め 、 短 草 利 用 が 重 要 で す ( Q57、 Q65 参 照 )。草 種 毎 の 短 草 利 用 時 の 入 牧 時 草 高 を 表 1 に 示 し ま す 。寒 地 型 牧 草 に つ い て は 、多 く の 場 合 30cm 以 下 と な り ま す 。 な お 、 ペ レ ニ ア ル ラ イ グ ラ ス に つ い て は 、 他 の 草 種 よ り 短 く 利 用 さ れ る 場 合 が 多 い よ う で す 。 退 牧 時 の 草 高 は 10cm 程 度 と し て く だ さ い 。 ま た 、春 先 の ス プ リ ン グ フ ラ ッ シ ュ の 頃 に は 、や や 短 い 草 丈 で 入 牧 し ま す 。例 え ば 、ペ レ ニ ア ル ラ イ グ ラ ス で 15cm(通 常 20cm) 、 オ ー チ ャ ー ド グ ラ ス で 20cm(通 常 25cm)と な り ま す ( 北 海 道 宗 谷 支 庁 2002)。 図 1 に 時 間 の 経 過 と 草 量 の 増 加 の 関 係 の 模 式 図 を 示 し ま す 。短 草 利 用 で 放 牧 す る 範 囲 の 草 量 に お い て 、牧 草 は 草 量 が 少 な い 頃( 草 丈 が 短 い 頃 ) に は 生 育 が 遅 く 、草 量 が 増 え る に 従 い 生 育 が 早 く な り ま す 。そ の 程 度 は 春( 赤 色 )で 秋( 黒 色 )よ り 大 き く な り ま す 。春 に お い て 、 青 色 で 示 す よ う に 最 初 の 草 量 が 15 の 時 に 、 時 間 1 が 経 過 す る と 、 草 量 は 25 に な り ま す ( 草 量 の 増 加 は 10)。 一 方 、 緑 色 で 示 す よ う に 最 初 の 草 量 が 20 の 時 に 、 時
表 1 . 草 種 と 入 牧 時 草 高
草種
入牧時草高
草高(引用)
ペレニアルライグラス
15~30cm
20cm(北海道宗谷支庁2002、川崎1992)
15-20cm(道立上川農試天北支場2007, 小松2010)
30cm(栂村2005)
オーチャードグラス
20-30cm
30cm(小松2010)
20-25cm(北海道宗谷支庁2002)
リードカナリーグラス
25-30cm
25-30cm(山本2010)
チモシー
30cm
30cm(酒井ら1996, 小松2010)
メドウフェスク
25-30cm
25-30cm(須藤2004)
図 1. 草 量 増 加 と 時 間 の 関 係 ( 模 式 図 )(New Zealand Pasture and Crop Science, Fig11.6 よ り 作 図 )
A. 草 種 に適 した草 高 での入 退 牧 としてください。育 成 牛 では、寒 地 型 牧 草 では入 牧 草 高 約 25cm 以 下 、退 牧 草 高 10cm 程 度 が一 つの目 安 となります。繁 殖 牛 では、入 牧 草 高 は育 成 牛 よ り高 くても大 丈 夫 です。草 高 が 高 すぎ、放 牧 によ り草 の踏 み倒 しが懸 念 され る場 合 には小 牧 区 に仕 切 って短 期 輪 換 放 牧 を検 討 し てくださ い。なお 、シバ型 草 地 では草 高 10cm 以 下 に維 持 してください。
間 1 が 経 過 す る と 草 量 は 42 に な り ( 草 量 の 増 加 は 22) 、 最 初 の 草 量 が 15 の 時 と 同 じ 時 間 が 経 過 し た に も か か わ ら ず 、草 量 の 増 加 は 倍 以 上 に 大 き く な り ま す 。こ の 春 の 時 期 に 一 端 草 が 余 り 気 味 に な る と 、そ の 牧 区 を き ち ん と 牛 に 食 い 込 ま せ て い る 間 に 、他 牧 区 の 草 量 が さ ら に 増 加 す る 等 、牧 場 全 体 と し て 短 草 状 態 で の 放 牧 圧 の 維 持 が 上 手 く い か ず( 草 量 は 増 え 、草 高 は 高 く な り 、牧 草 栄 養 価 は 低 く な る こ と か ら )、育 成 牛 の 増 体 が 悪 く な る 悪 循 環 に 陥 る 事 が あ り ま す 。こ の よ う な 事 態 を 可 能 な 限 り 避 け 、牧 場 全 体 を 適 切 に 短 草 利 用 す る 上 で 、ス プ リ ン グ フ ラ ッ シ ュ 時 の 少 し 短 め の 入 牧 は 、草 量 の 増 加 が ゆ っ く り し た 範 囲 で 放 牧 利 用 出 来 る こ と か ら 適 し ま す 。(ス プ リ ン グ フ ラ ッ シ ュ の 対 応 の 詳 細 は 、 Q69 を 参 照 し て く だ さ い )。な お 、短 す ぎ る 草 地 の 管 理 は 、牧 草 衰 退 の 原 因 に も な り ま す の で 、そ の 点 も 留 意 し て く だ さ い 。 2 . 繁 殖 牛 の 放 牧 に つ い て 繁 殖 牛 の 放 牧 で は 、基 本 的 に 様 々 な 状 態 の 草 地 に 入 牧 し て も 、多 く の 場 合 栄 養 価 的 に は 問 題 は あ り ま せ ん ( Q57 参 照 ) 。 但 し 、 草 高 が 高 す ぎ る と こ ろ へ 放 牧 す る と 、 牛 が 牧 草 を 押 し 倒 し て 踏 み 付 け 、草 を 無 駄 に す る 部 分 が 増 え る と 共 に 、押 し 倒 さ れ た 草 に 牧 草 の 株 が 庇 蔭 さ れ て 、 牧 草 の 再 生 が 悪 く な り 、場 合 に よ り 株 が 枯 死 し て 草 地 の 衰 退 を 招 き ま す 。も し 、そ の よ う に 草 地 の 草 丈 が 高 く な り す ぎ た 場 合 、採 草 利 用 す る か 、そ れ が 難 し い よ う で あ れ ば ス ト リ ッ プ グ レ ー ジ ン グ を 検 討 し て く だ さ い( 写 真 1 )。ス ト リ ッ プ グ レ ー ジ ン グ は 、草 地 の 境 界 か ら 数 十 m 先( 牛 の 採 食 量 に 合 わ せ て 設 定 )に ポ リ ワ イ ヤ ー に よ る 電 気 牧 柵 を 張 り 、そ の 区 間 を 牧 草 の 押 し 倒 し を 少 な く 牛 に 食 べ て も ら う 方 法 で す 。基 本 的 に 毎 日 電 気 牧 柵 を 移 動 さ せ る 必 要 が あ る た め 、手 間 や 労 力 と 、草 地 や 牧 場 の 状 況 を 勘 案 し 利 用 を 検 討 し て く だ さ い 。 シ バ 型 草 地 を 利 用 ( 造 成 を 含 む ) す る 際 に は 、 草 高 を 10cm 以 下 と し て く だ さ い ( 写 真 2 ) 。 10cm 以 下 に シ バ 型 草 地 を 維 持 す る 放 牧 方 式 と し て 、輪 換 放 牧 よ り 、定 置 放 牧 が 適 し ま す 。そ の た め 、複 数 の 牧 区 の ゲ ー ト を 開 い た 状 態 に 保 ち 、 牛 が 自 由 に 牧 区 を 行 き 来 出 来 る 状 態 と し て く だ さ い 。放 牧 開 始 時 期 と 放 牧 圧 が 適 切 で あ れ ば ( 1-2 頭 /ha)、 上 手 く 複 数 の 牧 区 全 体 を 牛 が 食 べ 歩 い て く れ ま す 。 写 真 1 . ス ト リ ッ プ グ レ ー ジ ン グ 写 真 2 . シ バ 型 草 地 は 草 高 10cm 以 下 で
Q.62 ササ地 の放 牧 利 用 の方 法 について教 えて下 さい。 解 説 1 . ネ ザ サ (pleioblastus chin) 類 の 放 牧 利 用 ネ ザ サ 、 ア ズ マ ネ ザ サ は 冷 温 帯 ~ 暖 温 帯 の 二 次 林 や 草 原 で 多 く み ら れ ま す 。 東 海 地 方 か ら 九 州 地 方 に は ネ ザ サ が 、 東 北 地 方 か ら 関 東 ・ 東 山 地 方 に は ア ズ マ ネ ザ サ が そ れ ぞ れ 分 布 し ま す 。 新 葉 は 4~ 5 月 に か け て 展 開 し 、 葉 量 は 夏 季 の 7~ 9 月 に 最 大 と な り ま す 。8 月 の 地 上 部 乾 物 現 存 量 は 、 ネ ザ サ で 5~ 7t /ha、 ア ズ マ ネ ザ サ で 17t /ha に 達 す る と い わ れ て い ま す 。一 方 、地 下 部 量 は 、 地 上 部 量 が 最 大 と な る 夏 季 に 低 下 し 、 地 上 部 か ら の 転 流 が 起 こ る 晩 秋 か ら 初 冬 に か け て 最 大 と な り ま す 。 ネ ザ サ 類 は 、牛 の 被 食 を 受 け る こ と で 急 激 に わ い 性 化 し 、 生 産 量 も 低 下 し ま す 。 そ の 影 響 は 、 葉 部 に 比 べ て 茎 部 で 大 き い た め 、適 度 な 放 牧 を 続 け る と 茎 部 の 割 合 は 低 下 し ま す 。一 度 わ い 性 化 す る と 、そ の 状 態 は 長 期 間 維 持 さ れ 、植 生 は 安 定 し ま す 。ネ ザ サ 類 に 対 す る 放 牧 の 影 響 は 、夏 季 に 大 き く 、 冬 季 に は 小 さ く な り ま す 。 そ の た め 、放 牧 利 用 は 夏 季 以 降 を 中 心 に 行 い 、生 長 期 に は 控 え め に 行 う よ う 心 が け ま す 。 放 牧 圧 に つ い て は 、 体 重 500kg 換 算 の 牛 200 頭 ・ 日 /ha の 放 牧 圧 で 5~ 10 年 の 利 用 が 、100 頭 ・ 日 /ha 前 後 で は 20 年 以 上 の 利 用 が 可 能 と さ れ て い ま す 。ネ ザ サ 類 の 飼 料 成 分 ( 乾 物 中 ) は 、 可 消 化 養 分 総 量 ( TDN) 45~ 48% 、 可 消 化 粗 蛋 白 質 ( DCP)9.5~ 12.3% で あ り 、 施 肥 を す る こ と で 飼 料 価 値 は 向 上 し ま す 。ま た 、ネ ザ サ は 冬 季 に 落 葉 し ま す が 、ア ズ マ ネ ザ サ は そ の 程 A. ササ類 の放 牧 に対 する抵 抗 性 は、種 類 や放 牧 時 期 によって大 きく異 なります。 ネザサ類 (ネザサ、アズマネザサ)については、夏 季 以 降 を中 心 とした利 用 を行 うことで、 高 い牧 養 力 が長 期 間 維 持 されます。他 のササ類 (チシマザサ、チマキザサ、ミヤコザサ、 クマイザサ)については、再 生 力 が比 較 的 弱 いので、夏 季 以 降 を中 心 とした隔 年 利 用 が 望 まれます ネ ザ サ 群 落 の 断 面 ( 島 根 県 ) 放 牧 によってわい性 化 したネザサ
度 が 小 さ く 、 雪 が 少 な い 地 方 で は 冬 季 の 利 用 が 可 能 で す 。 2 . そ の 他 サ サ 類 の 放 牧 利 用
他 の サ サ 類 と し て 、日 本 海 型 気 候 域 に は チ マ キ ザ サ( Sasa palmata)、チ シ マ ザ サ( Sasa
kurilensis ; 別 名 ネ マ ガ リ ダ ケ ) が 、 太 平 洋 型 気 候 域 に は ミ ヤ コ ザ サ ( Sasa nipponnica)が 、そ し て 両 気 候 型 の 接 す る 地 域 に は ク マ イ ザ サ ( Sasa senanensis) が そ れ ぞ れ 分 布 し ま す 。 い ず れ も 林 床 の 主 要 な 構 成 種 と な る こ と が 多 く 、 ネ ザ サ 類 に 比 べ て 再 生 力 が 弱 い の で 、 強 度 の 利 用 は 控 え る よ う に し ま す 。 利 用 可 能 な 年 限 は 体 重 500kg 換 算 の 牛 100 頭 ・ 日 /ha 前 後 の 放 牧 圧 で 1 ~ 3 年 、 ま た 、 60 頭 ・ 日 /ha 前 後 で は 5 ~ 10 年 と さ れ て い ま す 。利 用 の 時 期 は 、 再 生 に 必 要 な 養 分 が 地 下 部 に 貯 蔵 さ れ る 10 月 ~ 翌 年 5 月 ま で を 中 心 と し 、連 年 利 用 を 避 け る こ と が 植 生 の 衰 退 を 防 ぐ 要 点 と な り ま す 。 葉 部 の 飼 料 成 分 ( 乾 物 中 ) は 、 TDN が 新 葉 で 40~ 70% 程 度 、 2 年 葉 で 30~ 35% 程 度 で 、 ク マ イ ザ サ が ミ ヤ コ ザ サ よ り や や 高 い 値 を 示 し ま す 。 一 方 、 DCP に つ い て は 、 ク マ イ ザ サ ( 新 葉 で 6~ 9% 、2 年 葉 で 5% 程 度 )が 、ミ ヤ コ ザ サ( 新 葉 で 10~ 12% 、2 年 葉 で 8% 程 度 )に 比 べ て 低 い 値 と な っ て い ま す 。 カ ラ マ ツ 林 の 林 床 に 生 育 す る ミ ヤ コ ザ サ と 黒 毛 和 種 の 放 牧 ( 山 梨 県)
Q.63 シバ草 地 (ノシバ、シバ型 牧 草 )の放 牧 利 用 方 法 、 施 肥 の必 要 性 について教 えて下 さい。 解 説 1 . シ バ (Zoysia japonica) の 放 牧 利 用 シ バ 草 地 の 管 理 は 、 基 本 的 に は 牛 に よ っ て 行 い ま す 。 種 子 は 牛 の 排 糞 に よ っ て 散 布 さ れ 、 他 草 種 と の 光 競 合 は 牛 の 採 食 に よ っ て 緩 和 さ れ る た め 、 放 牧 は 植 生 の 維 持 ・ 拡 大 に 必 要 不 可 欠 と な り ま す 。 施 肥 は 、 競 合 他 種 の 生 育 を 助 長 し 、 シ バ を 抑 圧 す る 可 能 性 が あ る の で 注 意 が 必 要 で す 。放 牧 面 積 が 充 分 で あ れ ば 施 肥 は 必 要 あ り ま せ ん が 、 増 収 が 必 要 な 場 合 は 、 植 生 維 持 の 兼 ね 合 い か ら 肥 料 3 要 素( N,P,K)各 3kg/10a 程 度 が 実 用 的 で す 。 シ バ 草 地 の 生 産 量 は 、 地 域 や 利 用 法 に よ っ て も 異 な り ま す が 、無 施 肥 条 件 下 で の 年 間 乾 物 生 産 量 は 1~ 4t/ha と さ れ 、 季 節 生 産 性 は ほ ぼ 安 定 し て い ま す 。乾 物 中 の 可 消 化 養 分 総 量( TDN)は 放 牧 期 間 の 平 均 で 48.7% 、 粗 蛋 白 質( CP)は 10.2% で あ り 、栄 養 比 か ら み て 肉 用 繁 殖 牛 に 適 し て い ま す 。シ バ 草 地 で の 放 牧 は 、生 育 が 始 ま る 春( 平 均 気 温 10℃ 以 上 )か ら 、 終 了 す る 秋 ( 10℃ 以 下 ) ま で の 6 か 月 程 度 が 基 本 で あ り 、 生 育 期 間 の 長 い 暖 地 で は 4 月 か ら 11 月 、 寒 地 で は 5 月 下 旬 か ら 10 月 ま で が 放 牧 期 間 と な り ま す 。 1ha 当 た り の 放 牧 頭 数 は 、 肉 用 繁 殖 牛 で 0.5~ 1.5 頭 が 適 正 と さ れ 、シ バ の 生 産 量 と 牛 の ス テ ー ジ ( 授 乳 期 ・ 妊 娠 末 期 ・ 維 持 期 ) に 見 合 っ た 放 牧 を 心 が け ま す 。 退 牧 は シ バ の 草 高 で 判 断 し 、 授 乳 牛 で 5cm、 妊 娠 末 期 牛 で 4cm、 維 持 牛 で 3cm が 実 用 的 な 目 安 と さ れ て い ま す 。
ほふく茎
ほふく茎
シバとほふく茎
A. シバ(通 称 ノシバ)草 地 は、北 海 道 南 部 から本 州 、四 国 、九 州 に分 布 し、無 施 肥 条 件 下 で も一 定 の牧 養 力 が得 られる、放 牧 に最 も適 した在 来 草 種 の一 つです。外 来 牧 草 類 にも同 様 の性 質 を持 つものがあり、寒 冷 地 ではケンタッキーブルーグラス、暖 地 ではバヒアグラス、 バー ミューダ グラス、セ ンチピー ドグラスなどが用 いられ ていま す。これ らのシバ型 牧 草 は、 低 施 肥 条 件 下 でも利 用 は可 能 ですが、施 肥 を行 うことでより高 い牧 養 力 を得 ることができ ます。シバ草地に放牧された黒毛和種 (島根県・隠岐)
2 . シ バ 型 牧 草 の 放 牧 利 用 ( 1 ) 寒 冷 地 向 き シ バ 型 牧 草 ケ ン タ ッ キ ー ブ ル ー グ ラ ス (Poa pratensis) 放 牧 用 の 牧 草 と し て 古 く か ら 利 用 さ れ て い ま す 。 草 丈 は 30~ 70cm で 、 耐 寒 性 は 極 め て 強 い 反 面 、夏 の 暑 さ と 干 ば つ に は 弱 い と い う 特 徴 を 持 ち ま す 。 栄 養 価 ( TDN : 64.2 % 、 CP : 20.0 % ; 乾 物 中 、 放 牧 期 間 の 平 均 ) は シ バ に 比 べ て 高 く 、 黒 毛 和 種 繁 殖 牛 の 放 牧 で は 過 肥 に な る こ と が あ る の で 注 意 が 必 要 で す 。 ( 2 ) 暖 地 向 き シ バ 型 牧 草 セ ン チ ピ ー ド グ ラ ス (Eremochloa ophiuroides) 従 来 は 主 と し て 法 面 緑 化 に 用 い ら れ て い ま し た が 、 造 成 の 容 易 さ 、 牛 の 嗜 好 性 の 高 さ か ら 、 近 年 に な っ て 放 牧 用 草 種 と し て も 注 目 さ れ る よ う に な り ま し た 。 放 牧 耐 性 は シ バ 並 み に 強 く 、 一 定 の 耐 寒 性 を 有 し 、 栄 養 価 ( TDN: 51.4% 、 CP: 12.5% ) も シ バ 以 上 と 見 積 も ら れ て い ま す 。 バ ヒ ア グ ラ ス (Paspalum notatum) 九 州 を 中 心 に 利 用 さ れ 、 西 日 本 の 低 標 高 地 帯 で は 越 冬 し ま す 。 草 丈 は 40~ 50cm 前 後 で 、 再 生 力 は 強 く 、 高 密 度 の 草 生 を 維 持 し ま す 。 栄 養 価 ( TDN: 49.6 % 、 CP : 10.9 % ) は 、 ほ ぼ シ バ 並 み で す が 4 倍 体 品 種 で あ る 「 ナ ン オ ウ 」 は 嗜 好 性 が 良 い 傾 向 に あ り ま す 。 バ ー ミ ュ ー ダ グ ラ ス (Cynodon dactylon) 四 国 ・ 九 州 な ど の 温 暖 な 地 域 に お い て 、 永 年 草 地 と し て 利 用 さ れ て い ま す 。バ ヒ ア グ ラ ス に 比 べ て 草 丈 は や や 低 い も の の 、栄 養 価( TDN: 53.6% 、 CP は 15.5% ) は 高 く 、 耐 乾 性 も 強 い と さ れ て い ま す 。
ケンタッキーブルーグラス草地
牛道ができても崩れにくく、傾斜地での
利用性および永続性は高い
ほふく茎
ほふく茎
セ ン チ ピ ー ド グ ラ ス と ほ ふ く 茎
Q.64 放 牧 地 の放 牧 強 度 について教 えて下 さい。 解 説 1 . 放 牧 強 度 を 示 す 数 値 と し て 、 ス ト ッ キ ン グ レ ー ト や 放 牧 利 用 率 等 が あ り ま す 。 1)ス ト ッ キ ン グ レ ー ト (頭 /ha) : 単 位 面 積 当 た り の 放 牧 頭 数 ( 放 牧 頭 数 / 放 牧 面 積 (ha) ) を 表 し ま す 。 な お 、 カ ウ デ ー (CD, 頭 ・ 日 /ha)は 、 ス ト ッ キ ン グ レ ー ト の 放 牧 頭 数 を 、 体 重 500kg に 換 算 し た 頭 数 に 変 更 し 、 放 牧 日 数 を 乗 じ た も の で す 。 2)放 牧 利 用 率 (%): 1 日 1 頭 あ た り の 採 食 量 (kg)×放 牧 頭 数 ×放 牧 日 数 / 牧 草 の 現 存 量 (kg) ×100 で す 。 牧 草 の 現 存 量 に 対 す る 採 食 量 の 割 合 を 表 し ま す 。 2 . 放 牧 強 度 は 、 放 牧 草 の 良 好 な 維 持 管 理 と 育 成 牛 の 増 体 に 影 響 を 与 え ま す 。 1)草 の 生 長 は 、季 節 、そ の 年 の 気 象 、草 種 、品 種 、植 生 、施 肥 、事 前 の 放 牧 管 理 状 況 等 に よ り 変 動 し ま す 。 草 の 生 長 が 優 れ る 時 に は 放 牧 強 度 を 強 め 、 草 の 生 長 が 悪 い 時 に は 放 牧 強 度 を 弱 め て く だ さ い ( 図 1)。そ う す る こ と に よ り 、 牧 草 を 短 い 状 態 で 給 与 す る こ と に よ り 、 育 成 牛 の 良 好 な 発 育 に 繋 が り ま す 。 2) 草 の 生 長 に 対 し 、 放 牧 強 度 が 足 ら な い と 、 草 が 大 き く な り す ぎ ま す 。 こ れ は 、 牧 草 の 栄 養 価 の 低 下 を 招 き 、 育 成 牛 の 発 育 不 良 に 繋 が り ま す 。 ま た 、 牛 に よ る 牧 草 押 し 倒 し に よ り 草 地 が 衰 退 す る 原 因 に も な り ま す 。 ま た 、 草 の 生 長 に 対 し A. 放 牧 強 度 は、草 地 の単 位 面 積 に対 する放 牧 頭 数 などで表 されます。放 牧 牛 、特 に育 成 牛 の良 好 な発 育 には、放 牧 草 の良 好 な維 持 管 理 を行 う事 が必 要 であ り(Q57 参 照 )、その ような草 地 管 理 をする為 には、放 牧 強 度 を適 正 に保 つことが重 要 です。放 牧 強 度 は、放 牧 草 の種 類 や時 期 放 牧 牛 の生 育 ステージ等 を勘 案 し、調 整 する事 が肝 要 です。 図 1 . 草 の 生 長 と 放 牧 強 度 が 合 っ て い る 場 合 図 2 . 草 の 生 長 と 放 牧 強 度 が 合 っ て い な い 場 合
放 牧 強 度 が 強 す ぎ る と 、草 地 の 衰 退 と 、放 牧 育 成 牛 の 餌 が 不 足 す る 事 に よ る 発 育 不 良 に 繋 が り ま す 。 3 . 放 牧 強 度 は 、 放 牧 草 の 種 類 や 時 期 放 牧 牛 の 生 育 ス テ ー ジ 等 の 状 態 を 勘 案 し 、 調 整 す る 事 が 肝 要 で す 。 1)例 え ば 、 寒 地 型 牧 草 で は 、 春 先 に 生 長 が 大 き く な り ま す の で 、 そ の 時 期 に は 放 牧 地 の 一 部 に 牛 を 集 め 、 放 牧 強 度 を 上 げ ( ス ト ッ キ ン グ レ ー ト を 高 く し ) 、 残 り を 採 草 利 用 し ま す( 図 3)。夏 以 降 に 牧 草 の 生 長 が 小 さ く な っ た と き に は 、 採 草 地 を 放 牧 利 用 し 、 放 牧 強 度 を 低 く し ま す 。 2)カ ウ デ ー に つ い て は 、必 要 TDN 量 を 基 に 、牛 の 月 齢 と 体 重 に よ る 発 育 ス テ ー ジ で 換 算 す る こ と が 出 来 ま す 。 例 え ば 、 牛 は 500kg の 繁 殖 牛 ( 維 持 牛 ) と 、 340kg の D.G.0.4kg の 育 成 牛 で 同 じ 程 度 の TDN 量 を 必 要 と す る た め 、カ ウ デ ー は 同 じ と 考 え ら れ ま す( 表 )。そ の ほ か 、 月 齢 、体 重 、発 育 ス テ ー ジ に よ り 、カ ウ デ ー を 換 算 す る こ と が 出 来 ま す 。な お 、カ ウ デ ー を 基 に 、こ の 草 地 で ど の 発 育 ス テ ー ジ の 牛 が 何 頭 飼 え る か( ど の 程 度 の 放 牧 圧 に す れ ば 良 い か ) 考 慮 す る 上 で 、草 地 の 植 生 に も 留 意 し て く だ さ い 。な ぜ な ら 、体 は 小 さ い が 増 体 が 必 要 な 乳 用 種 育 成 牛 で は 、 体 は 大 き い が 体 重 維 持 で 良 い 肉 用 種 繁 殖 牛 と 比 較 し 、 必 要 と す る TDN 量 が 同 じ で も 、 胃 の サ イ ズ が 小 さ く 採 食 量 が 少 な い た め 、 相 対 的 に 栄 養 価 が 高 い 牧 草 を 採 食 す る 必 要 が あ る か ら で す 。 ( 詳 細 は Q57 を 参 考 と し て く だ さ い 。 ) 図 3. 寒 地 型 牧 草 に お け る 草 地 の 生 長 に 合 わ せ た 放 牧 強 度 変 更 の 一 例 ( 模 式 図 ) 表 .月 齢 と 体 重 に よ る 発 育 ス テ ー ジ 別 CD 換 算 係 数 ( 草 地 管 理 指 標 草 地 の 放 牧 利 用 編 よ り )
Q.65 育 成 牛 の放 牧 利 用 における草 地 管 理 ・利 用 の留 意 点 について教 えて下 さい。 解 説 1 . 地 域 に 適 し た 高 栄 養 草 種 の 草 地 を 短 草 で 放 牧 利 用 す る 。 乳 用 種 育 成 牛 を 日 増 体 量 0.6 ~ 0.7kg で 育 て る た め に 必 要 な 飼 料 中 TDN 含 量 は 60~ 67%で あ り 、 肉 用 種 繁 殖 牛 の 維 持 に 必 要 と な る TDN 含 量 の 50%と 比 較 し 高 い 値 で す ( Q57 図 1 参 照 )。一 方 、良 質 な 混 播 草 地 の 放 牧 利 用 時 の TDN 含 量 は 、放 牧 期 間 を 通 じ て 67%を 超 え る こ と か ら 、 育 成 牛 の 放 牧 利 用 に 適 し ま す( 図 1 )。し か し 草 地 の 状 態 が 良 く な い と 、育 成 牛 が 必 要 と す る TDN 含 量 を 満 た す こ と が 出 来 な い 場 合 が あ り ま す 。育 成 牛 が 増 体 す る 放 牧 草 地 の 維 持 管 理 と し て 、下 記 に 注 意 し て く だ さ い 。 ( 1 ) 地 域 に 適 し た 高 栄 養 草 種 ・ 品 種 を 用 い る 。 育 成 牛 を 放 牧 で 増 体 さ せ る た め に は 、 草 地 に 高 栄 養 の 牧 草 種 を 用 い る こ と が 必 須 で す 。 栄 養 価 の 高 い 牧 草 と し て 、ラ イ グ ラ ス 類 、チ モ シ ー 、メ ド ウ フ ェ ス ク 、オ ー チ ャ ー ド グ ラ ス 等 の 牧 草 が あ り ま す( Q47 図 2 参 照 )。各 牧 場 の 気 象 条 件 に 適 し た 草 種 を 利 用 し て く だ さ い 。 品 種 に つ い て も 、 近 年 育 成 さ れ た 品 種 を 中 心 に 検 討 し て く だ さ い 。 Q47「 採 草 ・ 放 牧 ・ 兼 用 地 に 導 入 す る 草 種 ・ 品 種 の 選 定 の ポ イ ン ト を 教 え て 下 さ い 」 も 参 照 と し て く だ さ い 。 ( 2 ) マ メ 科 を 活 用 す る 。 草 地 に お い て 、ホ ワ イ ト ク ロ ー バ ー な ど の マ メ 科 は TDN71.9-73.9、 CP26.8-27.8 と 高 い 事 か ら 、高 栄 養 イ ネ 科 牧 草 と の 混 播 利 用 に よ り 、放 牧 地 の 栄 養 価 向 上 が 期 待 で き ま す 。た だ し 、食 べ 過 ぎ る と 鼓 脹 症 な ど の 心 配 が あ る た め 、被 度 で 40%以 下 に 管 理 し て く だ さ い 。詳 細 は「 Q80 適 正 な マ メ 科 率 を 維 持 す る た め の 草 地 管 理 の ポ イ ン ト を 教 え て 下 さ い 。」を 参 照 と し て く だ さ い 。 A. 育 成 牛 の飼 養 は繁 殖 牛 より高 い栄 養 価 が必 要 なので、放 牧 にお いても高 い栄 養 価 の草 地 が必 要 です。地 域 に適 した栄 養 価 の高 い草 種 ・品 種 で構 成 された雑 草 の少 ない草 地 を 短 草 で放 牧 利 用 してください。また、ケンタッキーブルーグラス・ホワ イトクロー バー草 地 の 短 草 利 用 も適 します。 図 1. 放 牧 草 の TDN 含 量 ( 日 本 標 準 飼 料 成 分 表 2009 年 版 よ り 作 図 )
( 3 ) 雑 草 の 少 な い 草 地 管 理 を す る 。 育 成 牛 放 牧 に お い て 、 雑 草 は 、 放 牧 草 地 の 栄 養 価 を 下 げ る 要 因 の 一 つ で す 。 そ の た め 、 放 牧 期 間 を 通 じ て 草 地 の 雑 草 被 度 を 少 な い 状 態 に 管 理 維 持 す る 必 要 が あ り ま す 。 雑 草 被 度 を 、 可 能 で あ れ ば 10%以 下 、 最 低 で も 30%以 下 に 抑 え る 草 地 管 理 を し ま し ょ う 。 具 体 的 方 法 は 、 Q82~ Q87 を 参 照 と し て く だ さ い 。 ( 4 ) 牧 草 を 放 牧 期 間 を 通 じ て 短 草 利 用 す る 。 牧 草 は 草 高 が 高 く な り 、 生 育 ス テ ー ジ が 進 む に つ れ 、 TDN 含 量 等 は 低 く な り ま す (図 2 )。 よ っ て 、育 成 牛 の 増 体 に は 、放 牧 草 を 生 育 ス テ ー ジ が 若 く TDN 含 量 等 が 高 い 短 草 状 態 で 放 牧 利 用 す る こ と が 必 要 で す 。一 方 、牧 草 に は 季 節 に よ り 再 生 速 度 に 違 い が あ り 、例 え ば 寒 地 型 牧 草 で は 、再 生 速 度 は 春 先 に 増 加 し 、そ の 後 夏 に 下 が り 、秋 に 多 少 増 加 し ま す( 地 域 に よ り 秋 の 増 加 が 無 い 場 合 が あ り ま す )( Q57 図 4 参 照 )。そ の た め 、牧 草 の 再 生 速 度 が 大 き い 春 先 は 、面 積 当 た り の 牛 の 採 食 量 を 大 き く す る た め 、放 牧 地 面 積 を 狭 め 、単 位 面 積 当 た り の 牛 の 頭 数 を 増 や し ま す( 図 3 ) 。そ の 後 、 牧 草 の 再 生 速 度 が 下 が る に つ れ 、放 牧 地 面 積 を 大 き く し ま す 。こ の よ う に 、草 の 再 生 と 牛 の 採 食 の バ ラ ン ス を 取 る こ と で 、放 牧 期 間 中 に 牧 草 を 高 栄 養 で あ る 短 草 状 態 で の 維 持 が 可 能 と な り ま す 。放 牧 利 用 し な い 草 地 は 採 草 利 用 し ま す 。 採 草 作 業 を 考 慮 し 、放 牧 面 積 の 変 化 は 放 牧 期 間 中 1 ~ 2 回 程 度 と な り ま す 。 各 牧 場 に お け る 草 量 の 変 動 は 、季 節 以 外 に も 、牧 場 の 植 生 、立 地 条 件 、施 肥 管 理 、 そ の 年 の 気 候 や 放 牧 牛 の 頭 数 等 、様 々 な 要 因 で 変 化 し ま す 。そ の た め 、図 3 に 記 載 し た 放 牧 地 と 採 草 地 の 面 積 割 合 は 、各 牧 場 に 合 わ せ て 調 整 し て く だ さ い ( Q58 参 照 ) 。 2 .ケ ン タ ッ キ ー ブ ル ー グ ラ ス・ホ ワ イ ト ク ロ ー バ ー 混 播 草 地 の 活 用 も 、省 力 的 で 育 成 牛 の 高 増 体 が で き ま す 。 詳 細 は 「 Q 48」 を 参 照 し て く だ さ い 。 図 2. オ ー チ ャ ー ド グ ラ ス に お け る 放 牧 草 利 用 草 高 ・ 採 草 時 期 の 違 い が TDN 含 量 に 与 え る 影 響 ( 日 本 標 準 飼 料 成 分 表 2009 年 版 よ り 作 図 ) 図 3 . 時 期 別 の 草 地 の 兼 用 利 用 方 法 ( 草 地 管 理 指 標 -草 地 の 維 持 管 理 編 -p71 よ り )
Q.66 夏 季 用 牧 区 、晩 秋 用 牧 区 の準 備 の仕 方 について教 えて下 さい。 解 説 1 . 寒 地 型 牧 草 1)夏 季 用 牧 区 の 準 備 に つ い て 寒 地 型 草 地 は 、 春 先 に 最 も 生 産 性 が 高 く な り 、 そ の 後 減 少 す る 傾 向 に あ り ま す (図 1) ( な お 、 地 域 に よ り 秋 に 生 産 が 上 が る 場 合 が あ り ま す ) 。 従 っ て 、 春 先 の 旺 盛 な 草 の 生 長 に 合 わ せ 、放 牧 強 度 を 高 め た 放 牧 を 続 け る と 、夏 季 に は 草 の 生 長 が 落 ち て く る た め 、採 食 可 能 な 草 が 足 り な く な り ま す 。そ の た め 、放 牧・採 草 兼 用 地 で 、春 先 に 採 草 利 用 し た 牧 区 の 一 部 を 、夏 季 放 牧 用 牧 区 と し て 用 い ま す 。こ の よ う に 、草 の 生 長 に 合 わ せ て 放 牧 利 用 牧 区 の 面 積 を 広 げ 、 牛 の 放 牧 強 度 を 弱 め ま す (図 2)。 A. 寒 地 型 牧 草 地 において、夏 季 用 牧 区 は、放 牧 ・採 草 兼 用 地 を活 用 し、春 先 に採 草 利 用 した牧 区 の一 部 を夏 季 に放 牧 利 用 します。晩 秋 用 牧 区 は、晩 夏 ・初 秋 に放 牧 草 地 の一 部 を休 牧 して草 を保 存 し、他 の 牧 区 の 草 が無 くなった 晩 秋 後 に放 牧 利 用 しま す。暖 地 型 牧 草 地 ・シバ型 草 地 においては、夏 季 用 牧 区 は必 要 ありません。晩 秋 用 牧 区 は、 Q73 を参 照 としてください。 図 1. 地 域 別 の 季 節 生 産 分 布 (梨 木 ら 1981 よ り ) 図 2. 時 期 別 の 草 地 の 兼 用 利 用 方 法 ( 草 地 管 理 指 標 草 地 の 維 持 管 理 編 よ り )
2)晩 秋 用 牧 区 の 準 備 に つ い て
晩 夏 ・ 初 秋 に 放 牧 草 地 の 一 部 を 休 牧 し 、 休 牧 直 後 に 施 肥 を 行 っ た 後 、 約 2 ヶ 月 再 生 期 間 を 設 け て 草 を 備 蓄 し 、 晩 秋 に 放 牧 利 用 し ま す (図 3)。 こ れ を ASP( Autumn Saved Pasture) と 呼 び ま す 。こ の 方 法 は 草 地 に 余 裕 が あ る 場 合 に 活 か せ る 技 術 で す 。こ の 草 地 に は 、高 栄 養 値 を 求 め な い 繁 殖 牛 に 向 き ま す 。 2 . 暖 地 型 牧 草 、 シ バ 型 牧 草 、 野 草 1)夏 季 用 牧 区 の 準 備 に つ い て 暖 地 型 牧 草 、 シ バ 型 牧 草 、 野 草 は 、 通 常 夏 季 に 最 も 生 育 が 優 れ る た め 、 夏 季 用 牧 区 の 準 備 は 必 要 あ り ま せ ん 。 2)晩 秋 用 牧 区 の 準 備 に つ い て 暖 地 型 牧 草 、 シ バ 型 牧 草 、 野 草 は 、 左 記 放 牧 地 以 外 に 別 途 晩 秋 用 放 牧 地 を 造 成 利 用 し ま す 。 草 種 は 短 年 性 の 寒 地 型 牧 草 で あ る イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス や ラ イ ム ギ の 利 用 が 適 し ま す 。 9 月 中 下 旬 に 造 成 し 、11 月 上 旬 頃 か ら 放 牧 利 用 し ま す 。こ の 場 合 、育 成 牛・繁 殖 牛 双 方 で 利 用 す る こ と が 出 来 ま す 。 詳 細 は Q 73 を 参 照 し て く だ さ い 。 図 3 . ASP 草 地 の 準 備 と そ の 利 用 ( 草 地 管 理 指 標 草 地 の 維 持 管 理 編 よ り )
Q.67 放 牧 強 度 と牧 草 生 産 量 について教 えてください。 解 説 牧 草 の 生 産 量 (再 生 速 度 )に 見 合 っ た 放 牧 強 度 で は 、草 地 利 用 率 や 品 質 も 高 く な り ま す 。放 牧 強 度 が 牧 草 の 生 産 速 度 に 追 い つ か な い と 、無 駄 が 生 じ て 利 用 率 や 品 質 も 低 下 し 、嗜 好 性 も 劣 り 、牧 草 の 再 生 産 に も 悪 影 響 を 及 ぼ し ま す 。逆 に 放 牧 強 度 が 高 す ぎ る と 、放 牧 牛 の 乾 物 摂 取 量 が 不 足 す る ば か り で な く 、踏 圧 に よ っ て 草 地 内 の 牧 草 密 度 が 低 下 す る と と も に 、牧 草 再 生 産 量 が 低 下 し 、 さ ら に 草 量 が 不 足 す る 悪 循 環 と な り ま す 。 牧 草 生 産 量 は 、基 本 的 に は 草 種 に よ っ て 異 な り 、施 肥 等 の 草 地 管 理 に よ り 牧 草 生 産 量 が 変 動 し 、こ れ に 応 じ た 適 正 放 牧 強 度 が あ り ま す 。一 般 的 に 寒 地 型 牧 草 の 生 産 量 は 、春 季 か ら 初 夏 に か け て 旺 盛 な 生 育 を 示 す 一 方 、夏 季 に は や や 生 育 が 低 迷 し 秋 季 に 回 復 す る 2 山 型 の 生 育 パ タ ー ン を 示 し ま す( 図 1 )。暖 地 型 牧 草 で は 夏 季 の 低 下 が 小 さ く な り 1 山 型 に 近 づ き ま す 。 こ の よ う な 牧 草 生 育 の 季 節 変 動 に 応 じ て 、放 牧 圧 強 度 も 変 動 す る こ と が で き れ ば 、草 地 利 用 率 の 高 い 放 牧 管 理 が 可 能 で す 。し か し な が ら 放 牧 地 全 体 の 放 牧 強 度 を 増 減 さ せ る こ と は 、放 牧 頭 数 を 変 動 さ せ る こ と と な り 、現 実 的 で は あ り ま せ ん 。放 牧 地 で は 早 春 施 肥 を 控 え る な ど の 施 肥 管 理 等 に よ り 牧 草 生 産 量 を で き る だ け 平 準 化 す る こ と も 必 要 で す 。ま た は 牧 草 生 育 が 旺 盛 な 時 期 に は 、一 部 の 牧 区 は 採 草 利 用 と し 牧 区 数 を 少 な く し て 輪 換 間 隔 を 短 く し ま す( 図 2 ) 。 A. 牧 草 生 産 量 は、基 本 的 には草 種 によって異 なり、施 肥 等 の草 地 管 理 により牧 草 生 産 量 が 変 動 し、これに応 じた適 正 放 牧 強 度 があります。この適 正 放 牧 強 度 よりも低 いと、利 用 率 が低 下 して無 駄 となり、高 すぎると放 牧 牛 の乾 物 摂 取 量 が不 足 します。
ま た 暖 地 型 牧 草 の 生 産 量 は 、 夏 季 の 生 長 が 旺 盛 な 1 山 型 の 生 育 パ タ ー ン を 示 し ま す ( 図 1 )。暖 地 型 牧 草 は 寒 地 型 牧 草 に 比 べ て 、品 質 が や や 劣 る こ と が 多 く 、と く に 伸 ば し 過 ぎ る と 、嗜 好 性 も 大 き く 低 下 す る こ と か ら 、や や 強 め に 放 牧 し 、草 高 を 低 く 維 持 し て 再 生 草 の 割 合 を 高 く す る こ と が 必 要 で す 。 寒 地 型 牧 草 お よ び 暖 地 型 牧 草 の い ず れ も 、一 般 的 に は 施 肥 量 を 増 大 さ せ る こ と に よ り 生 産 量 も 増 大 し ま す の で 、放 牧 頭 数 に 応 じ て 施 肥 量 を 変 化 さ せ て も よ い で し ょ う 。し か し な が ら 、 過 度 の 多 肥 は 、雑 草 の 侵 入 を 招 き 、高 窒 素 含 量 に よ る 牧 草 嗜 好 性 を 低 下 さ せ た り 、低 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 (グ ラ ス テ タ ニ ー )や 硝 酸 態 中 毒 に 陥 る こ と も あ り ま す の で 注 意 を 要 し ま す 。ま た 近 年 の 肥 料 価 格 高 騰 も あ り 、十 分 な 放 牧 地 面 積 が 確 保 さ れ る の で あ れ ば 、む し ろ 放 牧 頭 数 に 見 合 っ た ケ ン タ ッ キ ー ブ ル ー グ ラ ス 等 の シ バ 型 低 投 入 草 地 へ 変 換 す る こ と も あ り ま す 。 在 来 野 草 は 、暖 地 型 牧 草 と 同 じ 1 山 型 の 生 育 パ タ ー ン を 示 し ま す が 、原 則 的 に 施 肥 は 必 要 と せ ず 生 産 量 は 低 く な り ま す 。し た が っ て 放 牧 強 度 も や や 低 め に 設 定 す る こ と で 、持 続 的 利 用 が 可 能 と な り ま す 。
Q.68 適 正 な放 牧 利 用 計 画 について教 えてください。 解 説 放 牧 は 、牧 草 生 産 量 の 変 動 に 対 応 し て 実 施 し ま す 。し た が っ て 、A S P 草 地 や 冬 季 イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス 草 地 等 の 冬 季 放 牧 草 地 を 除 け ば 、基 本 的 に 牧 草 地 の 放 牧 利 用 期 間 は 春 か ら 秋 ま で と な り ま す 。 寒 地 型 牧 草 は 、気 温 5 ℃ 前 後 か ら 生 長 を 開 始 し ま す の で 、春 の 放 牧 開 始 時 期 は 、平 均 気 温 8 ℃ ぐ ら い (ソ メ イ ヨ シ ノ 開 花 期 、 カ ラ マ ツ 萌 芽 期 に 相 当 )と し ま す 。 イ ネ 科 牧 草 の 草 高 が 10-15cm、 草 量 が 生 草 1.5-2.0t/ha の 頃 が 目 安 と な り ま す 。 実 際 に は 、 牧 場 全 体 の ス プ リ ン グ フ ラ ッ シ ュ 抑 制 の た め 、 こ れ よ り 早 く ( 草 高 5 cm) 放 牧 し た 方 が 良 い 結 果 が 得 ら れ ま す 。 南 斜 面 草 地 等 の 日 射 量 が 多 く 、早 春 の 草 の 伸 び が 早 い 牧 区 か ら 放 牧 を 開 始 し ま す 。暖 地 型 牧 草 は 、 平 均 気 温 が 10℃ ぐ ら い に な っ て 生 育 を 開 始 す る の で 、 寒 地 型 牧 草 よ り 1 ヶ 月 ほ ど 遅 れ ま す 。一 方 、秋 季 に 牧 草 の 伸 長 が 停 止 し 、放 牧 牛 に 必 要 な 草 量 が な く な っ た 時 点 で 終 牧 と な り ま す 。一 般 に 、寒 地 型 牧 草 で は 平 均 気 温 8 ℃ 前 後 (カ エ デ 、ウ ル シ の 紅 葉 期 )、暖 地 型 牧 草 地 で は 15℃ 前 後 を 目 安 と し ま す 。 放 牧 牛 は 、 晩 秋 か ら 初 冬 の 低 温 期 に か け て 食 欲 が 旺 盛 で 、 不 食 過 繁 地 も 目 立 た な く な る ほ ど 採 食 す る の で 、 残 草 を 少 な め に し て 終 牧 し ま す 。 し た が っ て 寒 地 型 牧 草 の 放 牧 期 間 は 、 寒 冷 地 で は 5 月 中 旬 か ら 10 月 中 旬 ま で の 150 日 前 後 か ら 、 温 暖 地 で は 3 月 下 旬 か ら 11 月 下 旬 の 250 日 ほ ど と 地 域 に よ っ て 変 動 し ま す 。 温 暖 地 で の 暖 地 型 牧 草 利 用 で は や や 短 く な り ま す が 、沖 縄 八 重 山 地 域 で は 周 年 放 牧 が 可 能 と な り ま す 。 寒 地 型 牧 草 の 輪 換 放 牧 で は 、1 牧 区 の 滞 牧 日 数 は 、放 牧 管 理 の 集 約 度 に よ っ て 異 な り ま す が 、草 地 や 家 畜 生 産 上 、で き る 限 り 短 く す る 方 が 望 ま し く 、目 安 と し て は 3-5 日 、長 く て も 1 週 間 以 内 と し ま す 。搾 乳 牛 を 放 牧 す る と き は 、乳 生 産 を 安 定 さ せ る た め に 毎 日 輪 換 す る( ワ ン デ イ グ レ イ ジ ン グ )方 が よ い と さ れ ま す( 図 1 )。休 牧 日 数 は 季 節 に よ っ て 変 動 し ま す が 、 牧 草 の 生 長 が 旺 盛 な 春 季 に は 10-15 日 、緩 慢 な 夏 季 は 20-30 日 、秋 季 は 15-25 日 を 目 安 と し 、 短 草 利 用 を 心 が け ま す ( 表 1 ) 。 各 牧 区 に お い て は 、 草 高 15-20cm で 入 牧 し 、 5-10cm 退 牧 し て 次 の 牧 区 へ 転 牧 し ま す 。暖 地 型 牧 草 地 で は 、休 牧 期 間 が 長 い と 品 質 が 低 下 し 嗜 好 性 も 劣 る こ と か ら 、 牧 区 数 を 少 な く し て 輪 換 す る か 、 定 置 放 牧 と し ま す 。 野 草 を 利 用 す る 場 合 は 、 原 則 定 置 放 牧 と し ま す 。 牧 草 の 牧 養 力 は 、地 域 や 標 高 お よ び 土 壌 や 草 地 管 理 で 異 な り ま す が 、お よ そ 400-700CD/ha と さ れ て お り 、 年 間 で 平 均 す る と 3-4 頭 /ha 程 度 が 目 安 と な り ま す 。 野 草 地 で は 1-2 頭 /ha A. 適 正 な 放 牧 利 用 は 、 良 好 な 放 牧 牛 の 発 育 お よ び 草 地 の 維 持 に とっ てき わ め て 重 要 で す。放 牧 は、牧 草 生 育 の始 ま りとともに開 始 し、季 節 変 動 する牧 草 生 産 量 に応 じて放 牧 強 度 をコントロールしながら放 牧 利 用 することにより、放 牧 牛 摂 取 量 に過 不 足 が生 じない ようにします。
程 度 で す 。 ( 手 前 が 放 牧 後 、 奥 が 放 牧 前 ) 図 1 . 短 期 輪 換 放 牧 草 地 表 1 . 寒 地 型 牧 草 地 の 輪 換 計 画 作 成 の 目 安 項 目 春 夏 秋 入 牧 時 の 草 量 (t/ha) 6 6 5 放 牧 利 用 率 (%) 6 0 5 0 7 0 採 食 可 能 量 (t/ha) 3 6 3 0 3 5 滞 牧 日 数 (日 ) 5 4 5 休 牧 日 数 (日 ) 1 8 3 0 2 4 必 要 牧 区 数 5 9 6 牧 区 面 積 は 10ha 、 牛 群 頭 数 140 頭 、 牛 群 の 採 食 量 は 7t/ 日 と 仮 定
Q.69 スプリングフラッシュの緩 和 対 策 について教 えてください。 解 説 放 牧 牛 の 1 日 あ た り の 牧 草 採 食 量 は お よ そ 体 重 比 2%DM と さ れ 、 育 成 牛 の 養 分 要 求 量 は 春 季 か ら 秋 期 に か け て や や 漸 増 す る も の の 季 節 を 通 し て 大 き く 変 わ り ま せ ん 。 こ れ に 対 し て 、 家 畜 に 供 給 さ れ る 牧 草 な か で も 寒 地 型 牧 草 の 生 産 量 は 、夏 季 や 秋 季 に 比 べ て 春 季 に 旺 盛 な 生 長 (ス プ リ ン グ フ ラ ッ シ ュ )に よ っ て 高 ま り 、年 間 の 生 産 量 は 一 定 し て い ま せ ん( 図 1 )。草 の 生 産 量 に 応 じ て 放 牧 頭 数 を 増 減 で き れ ば よ い の で す が 、あ ま り 現 実 的 で は あ り ま せ ん 。そ こ で 、放 牧 地 で は 牧 草 の 季 節 生 産 量 を で き る だ け 平 準 化 す る こ と が 望 ま れ ま す 。春 季 の 旺 盛 な 生 長 を 抑 え る こ と が で き れ ば 、 夏 以 降 の 牧 草 生 育 も 比 較 的 安 定 さ せ る こ と が で き ま す 。 早 春 施 肥 は 、春 季 の 牧 草 生 育 を 促 進 す る た め に 、全 牧 区 へ の 一 様 な 施 肥 は ス プ リ ン グ フ ラ ッ シ ュ を 助 長 し 、大 量 の 余 剰 草 を 生 じ て 利 用 率 の 低 下 に つ な が り ま す 。こ の た め に 、早 春 施 肥 は 最 初 に 放 牧 す る 一 部 の 牧 区 に 限 定 し 、他 の 牧 区 は 施 肥 を 控 え る こ と に よ り 、こ の 時 期 の 牧 草 生 育 を 抑 制 し ま す ( 表 1 ) 。 ま た 、草 丈 が 10-20cm 程 度 の 短 い 時 期 か ら 放 牧 を 開 始 し 、最 初 は 全 牧 区 を 開 放 す る か 牧 区 の 滞 牧 期 間 が 短 い 短 期 輪 換 放 牧 に よ り 、放 牧 地 全 面 を 軽 く 採 食 さ せ る こ と で 、牧 草 生 育 を 抑 制 し ス プ リ ン グ フ ラ ッ シ ュ を 抑 え る こ と が 可 能 と な り ま す 。早 め に 放 牧 開 始 す る と き に 、必 要 に 応 じ て 乾 草 等 の 補 助 飼 料 を 給 与 し て も よ い で す が 、や り す ぎ る と 放 牧 草 の 採 食 量 が 低 下 す る の で 注 意 し ま す 。 A. 放 牧 草 地 においては、早 春 施 肥 を控 えるとともに、草 丈 が短 い時 期 から早 めに放 牧 を開 始 し、最 初 に全 牧 区 開 放 あるいは短 期 輪 換 放 牧 によって草 地 全 面 を軽 く採 食 させること により、春 季 の牧 草 生 育 を抑 え、スプリングフラッシュを緩 和 します。
表 1 . 放 牧 開 始 時 期 と 施 肥 時 期 別 の 季 節 生 産 性 ( 早 川 ・ 宮 下 1972) 処 理 区 牧 草 量 ( 生 重 kg/10a) 後 半 / 年 間 (%) 前 半 (7 月 中 旬 ま で ) 後 半 (7 月 中 旬 以 降 ) 早 春 放 牧 ・ 初 夏 施 肥 区 ( 4/28 放 牧 開 始 ・ 7/10 施 肥 ) 2 , 5 2 3 2 , 6 4 7 5 1 . 2 早 春 放 牧 ・ 早 春 施 肥 区 ( 4/28 放 牧 開 始 ・ 4/25 施 肥 ) 4 , 0 8 6 2 , 2 5 4 3 5 . 6 慣 行 区 ( 春 放 牧 ・ 初 夏 施 肥 ) ( 5/15 放 牧 開 始 ・ 4/25 施 肥 ) 4 , 2 3 2 2 , 0 5 3 3 2 . 7
Q.70 暖 地 型 草 種 を主 体 とした草 地 の放 牧 期 間 延 長 技 術 について教 えて下 さい。 解 説 暖 地 型 草 種 、特 に 、暖 地 型 イ ネ 科 草 種 が 放 牧 草 地 の 主 体 と な る 地 域 と し て 、暖 地 低 標 高 地 帯 と 言 わ れ る 九 州 の 平 地 や 中 国・四 国 の 沿 岸 地 域 で は 、シ バ 型 の 暖 地 型 草 種 で あ る ノ シ バ を 優 占 草 種 と す る 場 合 と バ ヒ ア グ ラ ス を 優 占 草 種 と す る 事 例 が ほ と ん ど で す 。こ れ ら の 草 種 の 放 牧 期 間 は 、通 常 3 月 か ら 10 月 で す 。暖 地 型 イ ネ 科 牧 草 の 生 育 適 温 は 30〜 35℃ 、著 し い 生 育 遅 延 あ る い は 休 眠 を 始 め る 生 育 気 温 は 10〜 15℃ と 考 え ら れ て い ま す 。 暖 地 低 標 高 地 帯 で 平 均 気 温 が こ の 温 度 を 下 回 る の が 10 月 下 旬 〜 11 月 上 旬 か ら 翌 3 月 上 旬 で あ る た め 、休 牧 を 余 儀 無 く さ れ る 期 間 が 11 月 か ら 翌 2 月 と い う こ と に な り ま す 。 こ れ ま で 放 牧 期 間 の 延 長 は い ろ い ろ な 技 術 で 試 み ら れ て き ま し た 。そ の う ち 、放 牧 対 象 畜 種 を 繁 殖 牛 と 設 定 し た 場 合 、暖 地 型 イ ネ 科 草 種 の み を 用 い て 、放 牧 期 間 を 延 長 す る 方 法 と し て 、 生 育 の 盛 ん な 夏 季 の 放 牧 を 抑 え 目 に し 、 施 肥 後 、 ASP( Autumn saved pasture、 秋 期 立 毛 貯 蔵 牧 草 地 )の よ う に 、立 毛 状 態 で 冬 季 ま で 保 存 し 冬 季 に 放 牧 利 用 す る 方 法 が 知 ら れ て い ま す 。地 上 部 は ほ ぼ 枯 死 し て お り 、高 い 栄 養 価 は 望 め な い で す が 、乾 物 生 産 量 を 確 保 す る こ と に よ っ て 、放 牧 延 長 を 可 能 と し て い ま す 。ま た 、十 分 な 草 地 面 積 を 有 す る 場 合 に は 、暖 地 型 草 種 主 体 草 地 と 寒 地 型 草 種 主 体 草 地 の 両 方 を 年 間 を 通 じ て 利 用 す る こ と も 考 え ら れ ま す 。 し か し 、最 も 導 入 し 易 い 技 術 は 追 播( オ ー バ ー シ ー デ ィ ン グ )で す 。バ ヒ ア グ ラ ス を 主 体 と す る 草 地 で は 、寒 地 型 草 種 、特 に 、生 育 期 間 に お け る 再 生 が 旺 盛 な イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス の 追 播 栽 培 技 術 が あ り ま す 。 こ れ ま で 、 九 州 農 業 試 験 場 ( 現 九 州 沖 縄 農 業 研 究 セ ン タ ー )、 宮 崎 県 、 宮 崎 大 学 農 学 部 、 長 崎 県 で の 試 験 研 究 報 告 に そ の 実 証 事 例 を み る こ と が で き ま す 。 そ の 実 証 技 術 を 総 括 す る と 次 の 通 り で す 。 す な わ ち 、 バ ヒ ア グ ラ ス 草 地 で 管 理 放 牧 を 行 っ た 後 、 生 育 が 遅 延 す る 10 月 下 旬 に 、 リ ノ ベ ー タ 等 を 用 い て イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス( 早 生 種 )の 追 播 を 行 い 、発 芽 ・ 定 着 の 後 、2 月 下 旬 に 最 初 の 放 牧 を 行 い 、5 月 下 旬 ま で イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス で 放 牧 を 行 い 、そ の 後 、バ ヒ ア グ ラ ス の 生 長 回 復 と 共 に 、バ ヒ ア グ ラ ス 主 体 の 草 地 へ 移 行 す る こ と に な り ま す 。こ の よ う な 追 播 に よ り 、 早 春 の 30-60 CD/ha の 放 牧 延 長 が 期 待 で き ま す ( 図 1 )。 イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス 追 播 時 の 定 着・播 種 を よ り 確 実 に す る 方 法 と し て 、リ ノ ベ ー タ( 作 耕 型 簡 易 草 地 更 新 機 ) の 他 に 、( マ ク ロ ) シ ー ド ペ レ ッ ト を 用 い る 方 法 も あ り ま す 。 簡 便 法 と し て 。播 種( 散 播 )後 に 短 時 間 の 再 放 牧( 種 子 を 土 壌 に 密 着 さ せ る た め の 踏 圧 放 牧 ― 蹄 耕 ) や 退 牧 直 後 の 糞 上 播 種 も 効 果 的 で す 。 A. 暖 地 型 草 種 を主 体 とした草 地 利 用 による放 牧 期 間 延 長 技 術 として 、以 下 の3方 法 が考 えられます。 1)暖 地 型 草 種 自 体 を ASP 等 の管 理 方 法 で冬 季 まで利 用 する延 長 2)暖 地 型 草 種 主 体 草 地 と短 期 間 の寒 地 型 主 体 草 地 の連 続 利 用 による延 長 3)暖 地 型 草 種 主 体 草 地 への寒 地 型 草 種 の追 播 による冬 季 から春 季 の延 長