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球面的モンテシノス絡み目の幾何

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Academic year: 2021

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全文

(1)

球面的モンテシノス絡み目の幾何

川口 悠太

近畿大学附属広島高等学校・中学校東広島校

2019 年 12 月 20 日

(2)

モンテシノス絡み目とは

定義

r ≧ 1, b Z , α

i

≧ 2, g.c.d.(α

i

, β

i

) = 1 とする.

モンテシノス絡み目 L = L(b; (α

1

, β

1

), · · · ,

r

, β

r

)) とは下図に示された S

3

内の絡み目である.

L(3; (2, 1), (3, 1), (5, 2))

(5, 2) 有理タングル

(3)

諸概念

定理

1. r ≧ 3 のときモンテシノス絡み目 L のイソトピー類は以下の 2 つの データによって決まる.

(i) Z

を法とする有理数の組

11, β22,· · · , βrr)(Q/Z)r

.但 し,巡回置換と反転を法とする.

(ii)

オイラー数

e=12(bPr

i=1βii)Q

2. r ≦ 2 のとき,モンテシノス絡み目 L は二橋絡み目 K(p, q) となる.

但し, p ≧ 0, g.c.d.(p, q) = 1

K(p, q) = K(p

, q

) p = p

, q

q

±1

mod p

(4)

諸概念

二橋絡み目 K(5, 2)

(5)

諸概念

命題

M

2

(L) : モンテシノス絡み目 L で分岐する S

3

の二重分岐被覆.

このとき M

2

(L) はザイフェルトファイバー空間である.

言い換えると M

2

(L) 2 次元軌道体 S

2

1

, · · · , α

r

) 上の S

1

束.

但し, (α

i

, β

i

) 型の特異ファイバーを持つ.

(6)

諸概念

定義

L : モンテシノス絡み目とする.

L : 球面的モンテシノス絡み目.

M

2

(L) が球面構造を持つ.

i.e. M

2

(L) = S

3

/G. ( 但し有限群 G < Isom

+

S

3

GS

3

: 自由. )

次のいずれかが成り立つ.

(1) r ≦ 2 i.e. L = K(p, q) . ( 但し p ≧ 1) (2) e 6 = 0 かつ r = 3 のとき 1

α

1

+ 1 α

2

+ 1

α

3

> 1, i.e.

1

, α

2

, α

3

) = (2, 2, n), (2, 3, 3), (2, 3, 4), (2, 3, 5)

(7)

諸概念

性質

L : 球面的モンテシノス絡み目.

τ : M

2

(L) の被覆変換.

このとき τ M

2

(L) = S

3

/G 上の等長変換とできる.

観察

˜

τ : τ の普遍被覆 S

3

への持ち上げ.

Γ := ˜ hG, τ ˜ i < Isom

+

S

3

このとき

(S

3

, L) = (M

2

(L), Fix τ )/τ

= (S

3

, Sing ˜ Γ)/ Γ ˜ 但し, Sing ˜ Γ = { x S

3

| ∃ γ Γ ˜ \{ 1 } , γx = x } = F

Fix ˜ τ

よって (S

3

, L) は球面的軌道体の構造を持つ.これを O(L) と書く.

(8)

諸概念

定義

球面的モンテシノス絡み目 L から定まる球面的軌道体 O (L) に対して特 異集合 L のチューブ半径 TR(L) を以下で定義する.

TR(L) := sup{r R

+

| |N

O(L)

(L, r)| ∼ = L × D

2

}

本論文の目的

全ての球面的モンテシノス絡み目 L に対して,チューブ半径 TR(L) を

求めることである.

(9)

主定理

定理 (1)

球面的モンテシノス絡み目 L のチューブ半径 TR(L) は以下で与えら れる.

1. r = 2 よって L = K(p, q) のとき. TR(L) = π 2p

2. r = 3 のとき.

2-1. L=L(−b; (2,1),(2,1),(α, β))

のとき.m

= (b+ 1)α+β=2αe

と する.TR(L) =

π

4|m|α

(10)

主定理

定理 (2)

2-2. L = L( b; (2, 1), (3, β

2

), (3, β

3

)) のとき.

m = 6b + 3 + 2(β

2

+ β

3

) = 12e とする.

(i) g.c.d.(m,12) = 1

のとき.

TR(L) = π 12|m|

(ii) m

m≡0 mod 3

を満たす奇数のとき.TR(L) =

π 24|m|

2-3. L = L(−b; (2, 1), (3, β

2

), (4, β

3

)) のとき.

m = 12b + 6 + 4β

2

+ 3β

3

= 24e とする.

TR(L) = π 16 | m | 2-4. L = L( b; (2, 1), (3, β

2

), (5, β

3

)) のとき.

m = 30b + 15 + 10β

2

+ 6β

3

= 60e とする.

TR(L) = π

20 | m |

(11)

主定理の証明

定義

L : 球面的モンテシノス絡み目.

S

3

M

2

(L) : 普遍被覆.

M

2

(L) S

3

: 二重分岐被覆.

このとき,合成写像 p : S

3

S

3

による L の逆像 p

1

(L) L ˜ で表し,

L から定まる測地的絡み目と呼ぶ. τ ˜ は S

3

の等長変換なので, Fix ˜ τ は 測地線である.

S

3

||

p

L ˜

= Sing(˜ Γ) = F Fix ˜ τ

M

2

(L)

##

S

3

L

(12)

主定理の証明

補題

モンテシノス絡み目のチューブ半径に関して以下の式が成り立つ.

TR(L) = 1 2 md( ˜ L)

但し, md( ˜ L) := min{d

S3

(K, K

) | K, K

L ˜ の成分 }

(13)

計算のための準備

G ˜ = { S

3

内の向き付け測地線 }

= G ˜

2

( R

4

) = { P R

4

| 向きのついた 2 次元部分空間 } このとき以下の補題が成立する.

補題 (Gluck-Warner) G ˜

2

( R

4

)

 //

=

&&

Λ

2

R

4

= E

+

E

S

2

× S

2

但し, E

±

作用素の ± 1 固有空間.

(14)

計算のための準備

G ˜

2

( R

4

)

 //

Λ

2

R

4

= R

6

P =< u, v >

/

u v = ω

P

但し, u, vP の向きを定める順序付き正規直交基底である.

は次の可換図式を満たす唯一の線形写像である.

G ˜

2

( R

 _4

)

//

G ˜

2

( R

 _4

)

Λ

2

R

4 //

Λ

2

R

4

(15)

計算のための準備

補題

作用素は次で定まる.

: Λ

2

R

4

Λ

2

R

4

e

1

e

2

7→ e

3

e

4

e

3

e

4

7→ e

1

e

2

e

2

e

3

7→ e

1

e

4

e

1

e

3

7→ − e

2

e

4

但し, e

1

, , e

4

は R

4

の正規直交基底.

(16)

計算のための準備

定義

H : 四元数体 q H とする.

q = a + bi + cj + dk (a, b, c, d R)

| q | = p

a

2

+ b

2

+ c

2

+ d

2

ここで, H S

3

S

2

S

1

を次で定める.

S

3

= { q H | | q | = 1 } ∼ = S

1

S

1

j S

2

= S

3

R[i, j, k]

S

1

= { z C H | | z | = 1 }

(17)

計算のための準備

Λ

2

R

4

= Λ

2

H E

±

: ± 1 固有空間とし,以下の対応を考える.

H S

2

3 q e

±q

:= 1

2 { (1 q) ± ∗ (1 q) } ∈ E

±

すると,

E

±

= R [i, j, k]

S

±2

: 上の三本のベクトルを含む球面 以下

S

±2

= S

2

H

e

±q

q とみなす.

(18)

計算のための準備

補題-再掲 (Gluck-Warner) G ˜

2

( R

4

) −→

=

S

+2

× S

2

= S

2

× S

2

P 7−→

P+

, ω

P

)

H P =< 1, q > ( 但し, q S

2

= S

3

R [i, j, k]) ω

P

= 1 q

= 1

2 { (1 q) + (1 q) } + 1

2 { (1 q) − ∗ (1 q) }

= e

+q

+ e

q

(e

+q

, e

q

) S

+2

× S

2

(q, q) S

2

× S

2

(19)

計算のための準備

定理 (Sakuma)

L : 球面的モンテシノス絡み目 このとき L ˜ G ˜ = ˜ G

2

(R

4

) = S

2

× S

2

これは次で与えられる.

{

1l

j, ω

2l

j) | 0 ≦ lp 1) } 但し (ω

1

, ω

2

) =

e

π(q+1)i

p

, e

π(q−1)ip

C

m

× { C

S

0

} { C

2m

× C

} ∪ {

ωC

2m

× { i }} 但し ω = e

πim

C

m

× E

O

但し C

m

=

l

j | 0 ≦ lm 1}

{ C

m

× E

O(0)

} ∪ { ωC

m

× E

O(1)

} ∪ { ω

2

C

m

× E

O(2)

} 但し ω = e

2πi3m

C

m

× { E

O

V

O

}

C

m

× E

I

(20)

計算のための準備

(21)

計算

補題

P, Q G ˜

2

( R

4

) に対して

θ

+

= arg(ω

+P

, ω

+Q

), θ

= arg(ω

P

, ω

Q

) とする.このとき平面 P, Q の距離は以下の式で与えられる.

md( ˜ L) = 1

2 | θ

θ

+

|

(22)

計算

今回は r = 2 のとき,特に L が (5, 2) 型の二橋絡み目のときについて実 際に計算する.

このとき

L ˜ = {(ω

1l

j, ω

2l

j) | 0 ≦ l ≦ 4} 但し

1

, ω

2

) = (e

3πi5

, e

πi5

) と表される.

このとき任意の元の対の S

2

× S

2

における Isom

+

S

+2

× Isom

+

S

2

を法

とする相対的位置関係は, (j, j)

1l

j, ω

2l

j) の相対的位置関係と同じ

である.従って, 2 つの対が作る距離を求めることで, (5, 2) 型の二橋絡

み目におけるチューブ半径が求まるのである。

(23)

計算

θ

+

= 3πl

5 , θ

= πl 5

であることがわかるので, md( ˜ L) は以下の式で与えられる.

md( ˜ L) = 1 2

πl 5 3πl

5

= 1 2

2πl 5

= π

10 | 2l |

(24)

計算

ここで, l = 1 としたとき最小値を取るので md( ˜ L)π

5 であることがわ かる.したがって, (5, 2) 型の二橋絡み目のチューブ半径は以下の通りで ある.

TR(L) = 1 2 md( ˜ L)

= 1 2

π 5

= π

10

(25)

前の定理の Type 1 について (p, q) = (5, 2) のときの球面的モンテシノス

絡み目に対して定まる測地的絡み目 L ˜ は以下の図のようになる.

(26)

このとき, (p, q) = (5, 2) のときの二橋絡み目 L においてチューブ半径 は以下の部分に現れる.

課題

一般の球面的モンテシノス絡み目に対してチューブ半径を実現する

(S

3

, L) 内の弧を求めよ.

参照

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