市原 一裕
日本大学文理学部数学科
佐野日本大学高校 SSH研究者講演
2014.6.13
「だまし絵」とは...
Ê もとは美術⽤用語 トロンプ=ルイユ(Trompe-l‘oeil)
⾒見見ている⼈人の錯覚を引き起こす絵画
Ê 典型例例の⼀一つ
Ê 「現実では存在しないような構造の 物体・建築」を描いた作品
⇒
「不不可能物体」
M.Escher, Waterfall ,1961
http://www.mcescher.com/gallery/impossible-constructions/waterfall/
これって実現可能? 不不可能?
もし実現できるとし たら...
図の中の「線分」は 3通りに分類される!
•
たにおり線(ー)
•
やまおり線(+)
•
輪輪郭線(↑)
もし実現できるとしたら...
図の中の「線分」のラベルは,
上の
13通りのどれかに必ずなる!
では,判定してみよう
ただし
この⽅方法で,いつでもうまくいくとは限らない...
ペンローズの三角形
3次元空間内では 実現不不可能!!
µ ひとやすみ
ペンローズの三角形は,「普通の」空間では 実現不可能
⇒
では他の空間では?
例えば
トーラス (torus)
トーラス・ゲーム
Jeffrey Weeks
•
「フリー」の数学者
•
プログラマとしても活躍
次元をあげると
• 「
3次元トーラス」
トーラス・ゲーム
実は,ペンローズの三角形が...
(G.K.フランシス「トポロジーの絵本」)
宇宙の形
「地球はまるい」 → 宇宙の形は?
「地球の表面」 : たて・よこ →
2次元「宇宙」 : たて・よこ・高さ →
3次元
全体としてはどうなってるかわからない...
けど,小さな範囲では「
3次元」の座標
3次元多様体 (3-manifold)
•
多様体 (manifold) とは�
�全体としては曲がっているかもしれないが�
�局所的にはまっすぐに広がっているとみなせる空間�
� �(例: 球面は2次元多様体)�
�
•
われわれの 「宇宙」は3次元多様体 !! �
�( 「時間」軸をいれると4次元多様体�
� �⇨「相対性理論」 非ユークリッド的!)�
宇宙の形をしらべよう!
•
NASAWMAP
衛星
(2001年打ち上げ
)宇宙マイクロ波背景放射の観測
宇宙の形は・・・
Weeks氏らの研究(Natureに掲載)によれば 宇宙の形(の現時点での候補)は・・
ポアンカレ十二面体空間!!
これから...
n
位相幾何学と宇宙物理学
「宇宙の形の決定に向けて」
(宇宙位相幾何学【Cosmic Topology】)
いつか未来の教科書には
「宇宙のかたちは・・・」
蛇足:なぜ数学を学ぶのか
(数学教育学)
✏
知識・理解
✏
論理的に考える力
✏
自ら学ぶ力(創造性の基礎)
✏
数学を活用する力
✏
数学の有用性・おもしろさ・美しさ
「幾何学」とは
(geometry)代数学
解析学 幾何学
数学の
3つの柱
⽅方程式,ベクトル,⾏行行列列
関数,微分積分 図形,三⾓角⽐比
「まるい」とは?
円 : ある点(中心)から
距離の等しい点があつまった平面上の図形 球面 : ある点(中心)から
距離の等しい点があつまった空間内の図形
「地球の表面」 は 「球面」
(おおよそ
)「まるい」 vs 「まるくない」
連続的に変形しても
「まるい」ものは「まるい」?
→
「図形の 本質 」とは?
幾何学( Geometry )
もの (図形) の形を研究→ 幾何学
「幾何学」の目的:
n
図形の持つ性質を調べる
n
図形の分類→ どれが「おなじ」か
図形の分類
分類には基準が必要
基準 = どの図形が「おなじ」か
例. ユークリッド幾何では 「合同」な図形はおなじ
もっと 「おおざっぱ」 に考えよう→
「ぐにゃぐにゃ」動かしても
本質はかわらない!
位相幾何学�
トポロジー (Topology)
ぐにゃぐにゃ動かして
(連続的に変形して)
重ねられる図形は
「おなじ」ものとみなす
19世紀末に生まれた 新しい幾何学
アンリ・ポアンカレ
今日はなしたいこと
3 次元多様体の研究と応用について
• 2002〜2003年に衝撃的な進展
• その影響と結果 (2006年夏〜秋)
例:3次元トーラス
普通の
3次元空間とは違う
宇宙はこんな形???
中から→
III .空間の形と懸賞付き問題
「ミレニアム問題」:
21世紀を迎えて クレイ数学研究所(アメリカ)が
数学の未解決問題に 懸賞金 を設定
全部で 7 題
→1題につき 100 万ドル
ポアンカレ予想
✏
「ミレニアム問題」のひとつ
✏ 1904
年 ポアンカレが予想
「まるい」3次元多様体の特徴付け →
W.Pサーストンにより一般化
「幾何化予想」
(1980年代
)およそ
100年未解決・・・
W.P.サーストンとうとう解決???
§ 2002
年
G.ペレルマン
(ロシアの数学者
) Internet上で論文公開
(2002-2003, 3本
)§
「幾何化予想を解決!!」
(
NewYork Timesに記事
(2003.4)
しかし本当なのか・・・・・・
G. ペレルマン (G.Perelman)
§ 1966
年ロシア生まれ
§
専門は
,大域解析・微分幾何学
国際数学者会議
International Congress of Mathematicians
• 4年に一度,国際数学連合(IMU)に
より開催「数学界最大の会議」
•
2006年スペイン・マドリードで開催 110を超える国と地域から,
3600名以上の数学者
20の主調講演,164の招待講演,
684のショートコミュニケーション
•
いくつかの授賞式
フィールズ賞 (Fields Medal)
•
1936年より「数学のノーベル賞」
• 40歳以下に限定,ICMで授賞式(四年に一度)
•
個人に対し贈られる (結果に対してでなく)
•
日本人受賞者は現在まで3名
2006年のフィールズ賞は...
§ G.ペレルマンが受賞!!!
しかし,辞退…⋯.
「自分の証明が正しければ賞は必要ない」
ミレニアム問題の賞金も辞退(2010.6)
ちなみに...
• 「宇宙マイクロ波背景放射」観測�
� �1989年にはじめての衛星「COBE」�
� �主任研究員�
� �ジョージ・スムート,ジョン・マザー�
è