77
時間外受診を含めた初期救急医療体制について地域の 医療施設全体を含めた救急医療体制がないまま、市内3 大病院が競い合う形で毎日
24
時間随時1次から3次救急 までをそれぞれ引き受けている当地域にあっては、受け 入れ側病院の救急担当部門は、医師看護師ともに大変で す。当院救急診察室では、平成12年より専従看護師をおく 体制になりましたが、専従医はおいていませんので、臨 床各診療科の医師からなる当直医は基本的にはプライマ リ・ケア救急を担当することとしております。初診にて 専門診療科の診察が必要と考えた時点で担当専門科の医 師に連絡するon call体制ですみやかに駆けつける体制を とっています。当直医もご苦労ですが、on callされる各 診療科の協力体制を基礎に当院の救急診療体制は成り立 っています。昨今はとくに小児患者の専門医受診志向が 強く当院でも小児科医は多忙を極めています。
平成16年
4
月より地域のメディカルコントロール体制 確立のため救急隊からの直通電話(PHS)を当院でも医 師が直接受ける体制になって、時間外受診患者を含む救 急外来受診患者に加えて、PHSを通じた救急車での搬入 患者をも受け入れ、救急診察室当直医のストレスは過大 なものがありました。平成17
年2月より当院でも集中治 療室(ICU)が開設され、ICU当直医をおくこととなっ たため病院全体として当直医が複数体制をとれるように なり、救急診察室当直医のストレスは以前に比べればや や改善されました。平成13年より心肺停止例搬入に際しては「CPAOAチ ーム」、平成
14
年からは、重症外傷患者が搬入された際 には、外科、整形外科、脳外科、心臓血管外科、形成外 科、さらに麻酔科など外科系の医師からなる「外傷チー ム」体制を整えてきました。救急治療マニュアル第6版が出版されました。今回は 従来からの各科救急マニュアルに先立ち最初に救急蘇生 の項を持ってきました。活用して下さい。
平成
17
年の当院救急診察室の患者動態を月別の変動を含め、図1に時間外受診患者数(図1a)、救急車搬入例 数(図1b)、救急入院患者数(図1c)、搬入時心肺停止
(CPAOA)症例についてそれぞれ示します。いずれも、
月別変動はあるが、救急車搬入例数は5―9月の夏期に はやや減少する傾向がみられました。図2には同じ項目 について平成
11
年からの年次推移を示します。時間外受 診患者総数、救急車搬入例数、救急入院例数ともに平成11
年より年毎に増加していたのが、平成17
年度には時間 外受診患者総数は11,521例で前年よりやや減少しました が、救急車搬入例数は1634例でほぼ前年と同数でした。とりわけ、室蘭市消防からの搬入は1320例で室蘭市内の
37.9
%を受け入れ、平成12
年以来室蘭市の救急車による 患者搬入先が市内病院中最多となっています。救急診察 室での診療後ただちに入院した患者数も1854
例と前年と ほぼ同数で、救急車で運ばれてきたり、入院を必要とす る重症例も多いことを示しています。搬入時心肺停止(CPAOA)症例は
21
例でした(図1 d)
。 うち、室蘭市消防よりの搬入が20例、登別消防からの搬 入が1例でした。心肺停止を来した原因についてみると、外因が5例(入浴中溺水2、縊頸2、アナフィラキシー ショック1例)、内因は
16
例(急性心不全13
例、急性心 筋梗塞1、上部消化管出血1、肺気腫急性増悪1例)で、前者の平均年齢は
72.8
±3.7
、後者は70.6
±15.6
歳でした。2例(急性心不全と肺気腫急性増悪)が心拍再開し、入 院となりましたが意識は回復せず死亡されました。
時間外診療を含む多数の救急外来受診患者と救急車で 搬入される重症救急患者を受け入れるのに、各科医師に よるローテーション当直体制では負担が多くまた、対応 が不十分な面があると内外から指摘されております。し かし、現状では救急科を新設するアイデアについても中 心になるべき救急医や総合診療医がまだきわめて少ない 現状では、多くの自治体病院と同様に当面は特定の診療 科や医師への負担軽減をはかりながら、現在の救急診療 体制を維持せざるをえないのが現実と思われます。
市立室蘭医誌(第
31
巻 第1号 平成18
年12
月)平成17年救急診察室の活動と時間外患者統計について
市立室蘭総合病院 救急診察室長
東海林 哲 郎
は じ め に
患 者 統 計
お わ り に
78
図2d:搬入時心肺停止症例(CPAOA)数 図1a:月別時間外患者数
例数
971 1,028 1,297
938 1,129
885 809 898 950 678
957
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1,400
1,200 1,000 800 600 400 200 0
年間総例数:11,521例 月平均:960例
938 1,129
981 950 957
図2a:救急患者数
例数
10,387 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0
10,457 10,977
11,792 12,248 12,606 11,521
平成11 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 平成17 11,521
図2b:救急車搬入例数
例数
1,141 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0
1,338
1,519 1,490
1,611 1,632 1,634
平成11 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 平成17 1,141
1,338
1,519 1,490
図1b:月別救急車搬入数
例数 149 147
161 138
121 114 108 121 120
154 144 157
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 180
160 140 120 100 80 60 40 20 0
年間総例数:1,634例 月平均:136例 149
114 108
154 157 147
図1c:月別救急入院数
例数 166
151 190
169
155 143 136
119
160 163 123
179
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 200
180 160 140 120 100 80 60 40 20 0
年間総例数:1,854例 月平均:155例 166
151 190
169 155
136
図2c:救急入院例数
例数
1,137 2,000 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0
1,123 1,283
1,579
1,798 1,897 1,854
平成11 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 平成17 1,137 1,123
1,283
1,897
例数
22 40 35 30 25 20 15 10 5 0
17
22
34
16
21
平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 平成17
図1d:月別CPAOA例数
例数
3 5
1 1
3 3
0 1
3
0 1
0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 6
5 4 3 2 1 0
年間総例数:21例 月平均:1.8例