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通 じて み た 日本 の 行 政 不 服 審 査 法 の 改 正 方 向 一

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199

〈研 ノ.̲̲̲̲ト

日本 の行政 不 服 審 査 法 と東 ア ジア の行 政 不 服審 査 制 度 との比 較 研 究 序 説(そ の1)

一 日本 ・韓 国 ・台 湾 ・中 国(大 陸)の 比 較 を

通 じて み た 日本 の 行 政 不 服 審 査 法 の 改 正 方 向 一

龍 澤

目 次 は じめ に

第1章 日本 の行 政不服 審査 制度 の利 点 と 問題 点

第2章 日本 の現行制度 の問題点 と韓 国 ・ 台湾 ・中 国(大 陸)と の比 較

第1節 異議 申立 ての基本 的性 格 の問題 点

第2節 審査 請求 の基 本構 造 の問題 点 第3節 不服 申立 ての対象 の問題点

第4節 不 服 申立人適 格 の問題 点 第5節 二 段階 の不 服 申立 ての問題 点 第6節 ロ頭意 見陳述 に関す る問題 点 (以上 、本 号) 第7節 裁 決 ・決定 の態様 に関す る問題

第8節 そ の他 の問 題 点m行 停 止 と 期 間 一

結 び にか えて

は じめ に

こ こ10数 年 ほ どの 間 に、韓 国 、 中 国(大 陸)、 台 湾 の行 政救 済 制 度 は大 き な 変貌 を遂 げ て きた。 日本 の植 民地 で あ った韓 国 と台 湾 で は 、 かっ て は植 民地 法 制 とい う歪 な枠 の中 で 、宗 主 国 で あ った 日本 の法律 と法 律学 が 移 入 され て い た。

よ く、「植 民地 とは 、 国 内法 的 に は 外 国 で あ り、 国際 法 的 には 国 内 で あ る」 と いわ れ る。 「これ は植 民地(住 民)に は 国 内 法 的 な権 利 保 障 も 国 際 法 上 の保 護

も与 え られ て い ない こ との謂 で も あ る」 が 、植 民地 支配 の過 程 にお い て搾 取 さ れ っ づ け て政 治 的 に も経 済 的 に も何 らの 蓄積 の なか った韓 国 と台湾 が戦 後 の 冷

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戦 構 造 の中 に放 り込 まれ た とき 、植 民地 時 代 と同様 、法 は 民衆 を守 るも ので は な く、支 配 の た めの 道具 と して のみ 機 能 す る こと に な った。 韓 国 と台湾 にお い て は 、 いわ ゆ る 「開 発 独 裁」 とい う権 威 主 義 的政 権 が 、 それ で も共 産 主 義 政 権 へ の対 抗 上 か ら 「自由 民主 主 義」 を標 榜 して いた た め に、 憲法 違 反 の立 法 で は あ って も、一 応 は法 と い う形 式 ・手段 を もち い て統 治 して きた が 、 中 国大 陸 に お い て は 、共 産 党 に よ る一 元 的指 導 の原 則 とい う名 分 の下 に、 文化 大 革 命 期 の 極 端 に 左傾 化 した偏 狭 な共 産 主 義 イデ オ ロギ ー は 、法 を ブル ジ ョア社 会 の産 物 で あ り、社 会 主 義社 会 に は邪 魔物 で あ る とみ な して、 法 そ の もの を否 定 す る ま で に な ってい った。

しか し、韓 国 と台湾 で は、 そ の経 済 的 社会 的 成 熟 に歩 を合 わせ て政 治 的 民 主 化 が 進 み 、 そ の体格 に あ った 法 制 度 を確 立す るよ うに な って きた 。 また 、 中 国 (大 陸)に あ って も、1970年 代 末 か ら始 ま った 、 い わ ゆ る 「改 革 ・開 放 政 策 」 の進 展 によ り、「社 会主 義的 法 治」 の確 立が 叫 ばれ 、「依 法治 国」 を 目指 して様 々 な立 法 が な され て い る。

不 幸 な歴 史 的 経緯 に よ り、 韓 国 と台 湾 は 日本法 の強 い影 響 を受 け て、 日本 と 類 似 した 法 制 度 を維 持 して来 た が 、 今 や 新 しい立 法 が盛 ん に行 わ れ てお り、 行 政 救 済 制 度 に っ い て も、 韓 国で は1985年 に 「行 政 訴 訟 法 」 が全 面 改 正 さ れ る

2)

と とも に 、か っ て の 「訴願 法 」 を廃 止 して新 た に 「行 政 審 判 法 」 が 制 定 され た し、 台 湾 に お い て も 、1998年 に か っ て の 「訴 願 法 」 を全 面 的 に 改 正 した 新

3}

「訴 願 法 」 が 制 定 され た。 そ して 、 中 国(大 陸)に あ って も、行 政 不 服 審 査 制

度 の基 本 法 と して1990年 に制 定 され た 「行 政復 議 条 例 」(国 務 院 が 制 定 す る も の で あ り、 日本 の政 令 に相 当)で の経 験 と そ の後 の状 況 の変 化 を も とに、1999

5)

年 に新 し く法 律 の形 式 に よ る 「行 政 復 議 法 」 が 制 定 され た の で あ る。

韓 国 と台湾 は 、 そ の歴 史 的経 緯 と社 会 体 制 の類 似 状 況 か ら、新 た な立 法 に際 して 日本 法 が参 考 に され る場 合 が 多 いが 、 中 国大 陸 に あ っては 、 そ の社 会 体 制 の違 い か ら 日本法 が どの程度 参 考 に され て い るのか 必 ず しも明確 で は ない。 し か し、 筆 者 が 目に した 中 国大 陸 の法 律 文献 に は 、 日本 の法 律 及 び法 学 者 の 引用 が 少 な くな い こ とか ら して、 相 当程度 に参 考 とされ て い る こ とは 間違 い ない で あ ろ う。

と こ ろで 、 翻 って 日本 の実 定 法 制度 をみ る とき 、 そ の基 幹 部 分 にお いて は あ

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日本の行政不服審査法と東 アジアの行政不服審査制度 との比較研究序説(そ の1)201 ま りに も 旧態 依 然 と して い る こと に愕 然 とす る。 少 な くと も、 日本 の 行 政 救 済 制 度 の基 幹 を なす 行 政 事 件 訴 訟 法 と行 政 不 服 審 査 法 は、 っ と にそ の 問 題 点 が指 摘 され 、制 度 疲 労 を来 して い る といわ れ て久 しい に もか か わ らず 、 い まだ に改 正 され な いで い る実情 で あ る。

本稿 で は 、植 民地 支配 とい う不 幸 な歴 史 的経 緯 の ため に、 そ の 意 図 は と もか く、結 果 と して 日本 の影 響 の下 に似 通 った法 制 度 を有 して いた韓 国 と台 湾 が 、 近 時 の政 治的 経 済 的成 熟 を背景 と して独 自の立 法 内 容 を豊 富 に盛 り込 ん だ 韓 国 の 「行 政 審 判 法 」(1984年12月15日 公 布 、1985年10月1日 施 行 。 最 新 改 正 1998年12月28日)と 台 湾 の 新 「訴 願 法 」(1998年10月28日 公 布 、2000年7

s)

月1日 施 行 。 最新 改 正2000年6月14日)、 そ して 、1980年 代 に入 って急 速 に 行 政 法 制 度 を構 築 して い る中 国大 陸 の 「行 政 復 議 法 」(1999年4月29日 公 布 、 1999年10月1日 施 行)の 内容 を 、 日本 の 行 政 不 服 審 査 法 と比 較 しな が ら検 討 す る こ とで 、 日本 の行 政 不 服審 査 法 の 問題 点 と改 正 方 向 を探 ってみ よ う とす る も ので あ る。

なお 、行 政不 服 審 査制 度 にっ い て は、 総 務 庁 か らの 働 行 政 管 理 研究 セ ンター に対 す る委 託 調 査 研 究 の報 告 が 、 平 成10年 に事 後 救 済 制 度 調 査研 究 会(委 員 長=小 早 川 光 郎)『 事 後 救 済制 度 に関 す る調査 研 究 報 告 書 』 と して 出 され て い

7)

る。 この報 告 書 で は、 日本 の現 行 の行 政 不 服審 査 制 度 にっ い て諸 外 国(ア メ リ カ、 イギ リス、 ドイ ツ、オ ー ス トリア 、 フ ラ ンス 、 ス ウ ェー デ ン、韓 国)と の 比 較 法 的 観 点 か らも検 討 され て い る。筆 者 も、第 二 回調 査 研 究 会 で 韓 国 の行 政 審 判 法 にっ いて の報 告 を した 経 緯 もあ り、 日本 の行 政不 服審 査 制 度 の問 題 点 に っ い ては 、 この研 究 委 員 会 の報 告 書 が 指 摘 した事 項 を 中心 に と りあげ 、 そ れ に 対 応 す る形 で 、 韓 国 、台 湾 、 中 国(大 陸)の 不 服 審 査制 度 を考 察 す る こ と に し た い。 また 本 文 〔 〕 内は 中 国語 及 び韓 国語 の原 語 で あ る。

1)橋 本 誠 一 「植 民 地 法 制 」 山 中 永 之 佑 編 『日 本 近 代 法 論 』(法 律 文 化 社 、1994年)所 収 、308頁 。

2)韓 国 の 行 政 審 判 法 は 、 制 定 後 に 実 質 的 な 改 正 が 三 度 な さ れ て い る 。 す な わ ち 、1995

年12月6日 、1997年8月22日 、 そ し て1998年12月28日 で あ る 。 こ の う ち 最 も 大

き な 改 正 は 、1995年 の 改 正 で あ っ た 。 邦 訳 と し て は 、 制 定 当 時 の 「行 政 審i判 法 」 の

全 訳 と し て 、 拙 稿 「韓 国 に お け る 行 政 審 判 法 の 特 質 と 問 題 点 に つ い て 」 『創 価 法 学 』

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第16巻 第3・4号(1987年)の 論文 の 後 ろに収 録 され て い るものがあ り、1995年 の 改正 を踏 まえ た全訳 と して、拙 著 『韓 国行 政 審判 制度 の研 究』(創 価 大学 ア ジア研 究 所 、1996年)に 収 録 され て い る ものが あ り、1997年 の改 正 を踏 ま えた全 訳 と して 、 拙訳 「韓 国の行 政審 判法 一 解 説 と全訳 一 」『創 価法 学』 第28巻 第1号(1998年) が あ る。 また 、X997年 と1998年 の改 正 内容 にっ い ての紹 介論文 と しては 、拙 稿 「韓 国行 政審 判法 の第二 次 改正(1997年)と 第三 次改 正(1998年)の 内容及 び運 用実態 」

『通 信教 育部論 集』 第5号(2002年)が あ る。

3)台 湾 の新 「訴願 法 」 の邦 訳 と しては、拙 訳 「台 湾訴願 法 一 解説 と全 訳 一 」『創 価 法学 』第31巻 第3号(2002年)が あ り、 また、 この新 「訴願 法 」 の 内容 にっ い て 考 察 した もの と して は、拙稿 「台湾訴 願法 の主要 内容 と問題 点 にっい て」『創 価法学 』 第31巻 第3号(2002年)が あ る。

4)中 国行政復 議条例 にっ い ては、拙稿 「中国 におけ る行 政不 服審査 制度 の特 色 と問題 点 にっ い て」 高 田敏=畑 博 行編 『憲法 と行政 法 の現在』(北 樹 出版 、2000年)所 収 、 を参照 され た い。

5)中 国(大 陸)の 行 政復議 法 の邦訳 と しては 、拙 訳 「中 国行政 不服 審査 法(行 政復議 法)の 解 説 と全 訳 」『創 大 アジ ア研究 』 第23号(2002年)の ほか 、外 間 寛=葉 陵陵

「中華 人 民共 和 国行 政 不服審…査 法」 『比 較法 雑誌 』第34巻 第3号(2000年)、 小 高剛 e申 順 芥 「中 華人 民共和 国行 政不 服 審査 法」『名 城法 学』 第49巻 第2号(1999年)、

法 務大 臣官 房 司法 法制 調査 部職 員 監修 『現行 中華 人 民共 和 国六法 』(ぎ ょうせ い)所 収 の 「行政 再議法」 が あ る。 また 、行 政復 議法 の 内容 と問題 点 にっ いては 、拙 稿 「中 国の行 政不服審査 法(行 政 復 議法)の 主要 内容 と問題 点 にっ いて(そ の1)」 『創 価法 学 』 第32巻 第1・2号(2002年)及 び同 「中 国の行 政不 服審 査法(行 政復 議法)の 主 要 内容 と問 題点 にっ い て(そ の2)」 『創 価 法学』 第32巻 第3号(2003年)を 参照 された い。

6)施 行 前 に台湾省 と福建 省 が地方 自治 団体 で な くな った こ とに伴 い、 それ に関す る部 分改正 が施行 前 に なされ た ので あ る。

7)こ の報 告 書 の3章 及 び4章 は、「行 政救 済制 度 の課 題 一一事後 救 済制 度 調査研 究委 員 会報 告書 一 」『ジ ュ リス ト』 第1137号(1998年)と して公表 され て い る。参 照 の 便 宜 を考慮 して、本稿 では 、引用 にお いては 「行 政救 済制度 の課題 」 と して、頁数 も

この 『ジ ュ リス ト』 の頁 数 を示す ことにす る。

第1章 日本 の行政 不服審 査制度 の利点 と問題 点

行 政 不 服 審 査 制 度 の利 点 と して は 、通 常 、 ① 柔 軟 か っ 簡 易迅 速 な手 続 、 ② 審査 範 囲 と裁 決 ・決 定 態 様 の広 さ 、③ 行 政 の 自己 統 制 、④ 裁 判 所 の負 担 の軽

I)

減 が あ げ られ る。 そ れ らの 内容 を簡 単 に ま とめ る と、っ ぎ の通 りで あ る。

(1)柔 軟 かっ 簡 易 迅 速 な手 続

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日本の行政不服審査法 と東 アジアの行政不服審査制度 との比較研究序説(そ の1)203 不 服 審 査 にお い て は 、職 権 審 理 主 義 及 び 書面 審 理 主i義が と られ て い るが 、職 権審 理 主 義 に よ って 、不 服 申立 人 の 主 張 や 事 実 関係 が不 明確 な場 合 で あ って も 職権 で そ れ を 明確 にで き(な お 、 明 文 の規 定 は ない が 、 一般 に職 権 探知 主 義 ま で 認 め て い る と解 され て い る)、 特 に審 査庁 が 上 級 庁 で あ る と き に は、 監 督 権 の発 動 に よ って迅 速 な事 実 の解 明が 期待 で き るの で あ り、 また 、 書面 審 理 主 義 に よ って 、裁 決 の基 礎 と な る陳 述 がす べ て 不服 申立 人 の審 査請 求 書 と反 論 書 、 及 び処 分庁 か らの弁 明書 に記 載 され る こ とに な り、審 理 を簡 易 迅 速 に行 う こ と が で き る と され る。

(2)審 査 範 囲 と裁 決 ・決 定 態様 の広 さ

不 服審 査 の裁 決 ・決 定 な どは行 政権 の作 用 で あ るので 、裁 判 制 度 に 内在 す る 制約 を受 け ない。 した が って、 不 服審 査 にお い て は、 処 分 の違 法 性 だ けで な く、

裁量 権 の範 囲 内 にお け る裁 量処 分 の不 当性 も 、そ の審 査 の対 象 と な る。 また 、 行 政 事件 訴訟 と異 な り、 審 査請 求(再 審 査 請 求)の 場 合 で 、か っ 、審 査 庁 が 処 分庁 の 上級 行 政 庁 で あ る と きは 、 裁決 で 処 分 の変 更 をす る ことが で き 、 異 議 申 立 ての 場合 に も 、決 定 で 処 分 の変 更 をす るこ とが で き る。 さ らに 、行 政 事 件 訴 訟 にお い て は事 実 行 為 の差止 め ・撤 廃 の可 否 にっ い て は争 いが あ るも の の 、審 査請 求(再 審 査 請 求)の 場合 で 、 かっ 、審 査庁 が処 分庁 の上級 庁 で あ る とき は 、 裁決 で 命ず る ことが で き、 また 、 異議 申立 て の場 合 に は、 決 定 で 事 実 行 為 の全 部 若 し くは一 部 の撤廃 又 は 変 更 をす る ことが で き る。

(3)行 政 の 自己統制

不 服 審 査 制 度 は、違 法 又 は不 当 な行 政 の作 用 か ら国民 の権 利 利益 の 救 済 を 図 る と同時 に、 国 民か らの 不服 審 査 の請 求 を契機 と して、行 政 庁 自 らが そ の作 用 を見 直 す と い う 自己統制 の機 会 を与 え る こと を も 目的 と して い る。 また 、特 に 裁 決 にっ い ては(異 議 申立 ての 決定 に は処 分 庁 に対 す る拘 束 力 を認 め て い な い。

審 査 法48条 で43条1項 を準 用 して い な い)関 係 行 政 庁 を拘 束 す るの で 、 将 来 起 こ るべ き 同種 の事案 にお け る違 法 又 は 不 当 な行 政 作 用 を 予 防す る と と も に 、 行 政 の統 一 性 を確 保 す る効 果 を持 ってい る。

(4)裁 判所 の負 担 の軽 減

訴 訟 の前 に審 査 請 求が 前 置 され る こ とで 、審 査 請 求 の段 階 で紛 争 が解 決 され る とい う濾過 の結 果(フ ィル ター効 果)に よ って訴 訟 の提 起 が減 少 し、 また 、

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審 査 請 求 の段 階 で 、争 点 が 整 理 され 、 か っ 、事 実 認 定 のた め の 証拠 資 料 が収 集 され る こ とで 、裁 判 所 の審 理 が 容 易 に な る。 と くに、 専 門技 術 的 な知 識 が 要 請 され る場 合 や 、大 量 的 集 団的 に発 生 す る場合 に は、 この フ ィル ター効 果 は大 い に期 待 され る。

事 後 救 済制 度 調 査 研 究 会 の 『事 後 救 済制 度 に関す る調 査研 究 報告 書 』 は 、現 行 の 日本 の行 政 不 服審 査 制 度 につ い て、 この よ う な利 点 を承 認 す る一方 で 、っ ぎ の よ う な 問題 点 も指 摘 して い る。 す なわ ち、 ① 異 議 申 立 て の 基 本 的 性 格 の 問題 点 、② 審 査 請 求 の基 本構 造 の 問題 点 、 ③ 不 服 申 立 て の対 象 の 問 題 点 、 ④ 不 服 申立 人 適 格 の 問 題 点 、⑤ 二 段 階 の 不 服 申立 て の 問題 点 、 ⑥ 口頭 意 見 陳述 に関す る問題 点 、⑦ 裁 決 ・決 定 の態 様 に 関す る 問題 点 で あ る。

1)「 行 政 救 済 制 度 の 課 題 」160〜161頁 及 び 南 博 方 『紛 争 の 行 政 解 決 手 法 』(有 斐 閣 、 1993年)101〜106頁 を 参 照 。

第2章 日本 の 現 行 制 度 の 問 題 点 と韓 国 ・台 湾 ・中 国(大 陸)と の 比 較

以 下 で は 、事 後 救 済制 度 調 査 研 究 会 の 『事 後 救 済制 度 に関 す る調 査 研 究 報告 書 』 が 挙 げ た 日本 の行 政 不 服 審 査 法(以 下 、 「審 査 法 」 と略 称 す る)の7つ の 問題 点 に筆 者 が加 えた 一 つ の問題 点 の合 計8項 目にっ いて 、韓 国 の 「行 政 審判 法」(以 下 、 「審 判 法 」 と略 称 す る)、 台湾 の 「訴願 法 」、 そ して 中 国(大 陸)の

「行 政復 議 法 」(以 下 、 「復 議 法 」 と略 称す る)は 、 どの よ う な対 応 を して い る の か を 、 比較 考 察す る こ とにす る。 論述 の仕 方 と しては 、各 項 目ご とに 、 まず 日本 の 現 状 と問題 点 を簡 単 に述 べ た 後 、韓 国 、 台湾 、 中 国(大 陸)の 順 で 考 察 す る こと にす る。 これ は 、現 行 の行 政 不 服審 査 制 度 に関 す る基 本法 が制 定 され た順 番 で あ る と と も に、法 体 系 の似 通 って い る韓 国 と台 湾 の訴 願法 を先 に考 察 した の ち に 、 社 会 主 義 的 法 治 国 を 目指 して 急 激 に 法 整 備 の 行 わ れ て い る中 国 (大 陸)の 復 議 法 を比 較 す る こ とが、 特 に、 立法 論 を も視 野 に入 れ た 実践 的 な 比 較 法 研 究 に と っては 有益 だ と思わ れ るか らで あ る。

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日本 の行政不 服審 査法 と東 アジア の行 政不 服審査 制度 との比 較研 究序 説(そ の1)205

第1節 異 議 申立 ての基 本的性 格 の 問題 点

日本 の審 査 法 は、処 分庁 又 は不 作 為 庁 以 外 の行 政 庁(通 常 は 直 近 行 政 庁 で あ る)に 対 して不 服 を 申 し立 て る 「審 査 請 求 」 制 度 を中 心 に据 え る、 審 査 請 求 中 心 主 義 を採 用 して い るが 、例 外 と して 、処 分 庁 又 は不 作 為 庁 に対 す る不 服 申立

てで あ る 「異 議 申立 て 」 の存 在 を認 め て い る。

これ は 、「処 分 庁 と異 議 申立 人 との 紛 争 を一 方 の 当 事 者 た る処 分 庁 が 審 理 ・ 裁 断 す る とい う片面 審 理 構 造 と も呼 ぶ べ き構 造 に な って い る。 また 、 … …執 行 の た め の調 査 権(罰 則 規 定 に よ って実 効 性 が 担 保 され て い る場 合 も多 い)と 審 理 のた め の調 査 権 とが 事実 上 区別 で き な い場 合 が あ る。 また 、処 分 庁 の 内部 に お いて 、執 行 と分 離 して異 議 申立 て の審 理 担 当 の職 員 を置 いて い ない場 合 も多 い も の と思 わ れ る。 そ こで 、 処 分 庁 は 、 処 分 の 不 利 益 変 更 は禁 止 され て い る (第47条 第3項 但 書)も の の 、新 た な調 査 の過 程 で 収 集 した 新 証 拠 に よ り、

処 分 を維 持 した り、 さ らに 、別 途 追 加 処 分 を行 う可 能性 も残 され て い る。 … ・・ 他 方 、異 議 申立 人 は、行 政 手 続 法 の施 行 に よ り処 分 の理 由は提 示 され る(行 政 手 続 法 第8条 第1項 、 第14条 第1項)が 、処 分 関 係 書 類 の 閲 覧 請 求 が 認 め ら

17

れ てい な い ので 、処 分庁 に比 べ ると、 主 張 ・立 証 面 で不 利 な立 場 に あ る」 と指 摘 され て い る。

(i)韓 国

まず 韓 国 の審 判法 で は 、原 則 と して 処 分 庁 の 直近 上級 行 政 機 関 が 裁 決 庁 と な るが(審 判 法5条1項)、 例 外 的 に 、① 国 務 総 理 、 行 政 各 部(日 本 の 省 庁 に 相 当)長 官 及 び 大統 領 直 属 機i関の長 、② 国 会 事 務 総 長 、法 院行 政 処 長 、 憲 法 裁 判 所 事務 処 長 及 び 中 央 選 挙 管理 委 員会 事 務 総 長 、 ③ そ の他 所 管 監 督 行 政 機 関 が ない行 政庁(例 えば 、 国会議 長 、 大法 院 長 、 憲法 裁 判所 長 、 公 正取 引 委 員 会 、 労 働 委 員会 な ど)の 処 分 又 は不 作為 の場 合 に は 、 当該 処 分 庁(不 作 為 庁)が 裁 決 庁 とな るの で あ るか ら(5条2項)、 この場 合 は、 日本 の異 議 申立 て に 相 当 す る こ とに な る。

も っと も、 国務 総 理 や 行 政 各部 長 官 の場 合 は 、 上級 庁 は大 統領 で あ るが 、 大 統 領 の事 務 の特 殊 性 と大 量 性 を考 慮 して 、 当該 処 分庁 自身 を裁 決 庁 と した の で

(8)

あ り、 国会 事 務 総 長 、 法 院 行政 処 長 な どの場 合 は 実 質 的 に上級 行 政 機 関が な い ので 、 当該 処 分 庁 自身 を裁 決 庁 と した。 しか し、 処 分 庁 自体 が裁 決 庁 とな るの は公 正 性 の点 で 問題 が あ る ので 、 これ らの機 関 の う ち行 政 各 部長 官 の処 分 又 は 不 作 為 に対 す る審 判 事 件 は、 その 審理 及 び議 決 にっ い て は 国務 総理 行 政 審 判 委

員会 で行 う こ とに して い る。

(11)台 湾

台 湾 の訴 願 法 は 、 各級 地 方 政 府 の行 政 処 分 に不 服 の場 合 は、 そ の一 級 上 の政 府 に訴願 を提 起 し(た だ し、直 轄 市 政 府 の場合 には 、 中央 各 部 に訴願 を提 起 す る)、 県(市)及 び 直轄 市 政 府 の所 属 機 関 の行 政 処 分 に不 服 の 場 合 は 、 当該 政 府 に訴 願 を提 起 し、 中央 各 部 の所 属 機 関 の行政 処 分 に不 服 の場 合 には 当 該 中 央 各部 に訴 願 を提 起 す る こ とが 原則 で あ る。 しか し、 中央各 部 及 び五 院(行 政 院 ・ 立 法 院 ・司法 院 ・考 試 院 ・監 察院)の 行 政 処 分 に不 服 が あ る場 合 に は、 当該 各 部 及 び当 該 院 に訴願 を提 起 す る こ とに な って お り(訴 願 法4条)、 この場 合 が 、

日本 の異 議 申立 て に該 当す る こ とに な る。

(iの 中 国(大 陸)

中 国(大 陸)の 場 合 で は 、行 政 復 議 の管 轄 の基 本 原 則 は 、直 近 上級 の行 政 機 関 が 管轄 す る こ と に な って お り、 県 級 以 上 の各 級 人 民 政 府 の 業 務 部 門 の処 分

〔具 体 行 政 行 為 〕 に対す る不 服 の場 合 は、 不 服 申立 人 〔復議 申請 人 〕 の選 択 に よ り、 当該 部 門 の所 属 す る当 該 人 民政 府 に行 政 復 議 を 申請す るか 、 また は 、そ の一 級 上 の主 管 部 門(通 常 、 直近 上 級 の人 民政 府 に所 属す る同種 の業 務 機 関) に行 政 復 議 を 申請 す る こ とが で き る。 また 、 各 級 人 民 政 府(省 級 人 民政 府 を除

く)が 行 った処 分 〔具 体 行 政 行為 〕 に対 す る不 服 は、 直 近 上級 の 人 民政 府 に不 服 を 申 し立 て る こ と に な って い る(復 議 法12条1項 及 び13条)。 これ は 、 中 国 憲 法 の定 め る監 督 精 神 で あ る、各 級 人 民政 府 が 当該 人 民政府 の 業務 部 門 を監 督 し、上級 人 民政府 が 下 級 人 民政 府 を監 督 す る とい う精 神 に沿 った も ので あ る。

も っと も、 人 民政 府 が 直 接 に処 分 を行 う もの は 、土 地 、 鉱 物 資 源 、森 林 草 原 資 源 な どの 管理 領 域 にっ い てだ け であ るか ら、通 常 は、復 議 申請 人 の選 択 に よ り、

当 該 部 門 の所 属 す る当該 人 民 政府 か 、 また は 、 そ の一 級 上 の主 管 部 門 に行 政 復

(9)

日本の行政不服審査法と東アジアの行政不服審査制度 との比較研究序説(そ の1)207 議 を 申請 す る こ と に な る。

と ころで 、 この よ う な行 政 復 議 管 轄 にっ い て の原 則 の例 外 と して 、 日本 の異 議 申立 て に相 当す る もの が存 在 して い る。 す なわ ち、 国務 院 の部 門(日 本 の省 庁 に相 当)ま た は 省 ・自治 区 ・直 轄 市 の人 民 政 府 が 行 った 処 分 にっ い て は、 管 轄 の原 則 に従 えば 、 国務 院 が管 轄 す る こと に な るが 、 国務 院 の 性 質 ・地 位 ・職 権 及 び 中 国 の行政 機 関 の実 際 の設 置 状 況 を考慮 して、 当該 処 分 を行 った 国務 院 の部 門 また は省 ・自治 区 ・直轄 市 の人 民政 府 に復 議 を 申請 す る こ と に した ので あ る。 も っと も、 当該 機 関 に よ る復 議 決 定 に不 服 の あ る場 合 には 、 人 民 法 院 に 行 政訴 訟 を提起 す る こ とも で き る し、 また は 国務 院 に裁 決 を 申請す る こ と もで き るが 、 国務 院 に裁 決 を 申請 した場 合 には 、 もは や 行 政 訴 訟 は 提起 で き な い と 規 定 して い る(復 議 法14条)。

この よ う に見 て くる と、韓 国 、台 湾1中 国(大 陸)と も、 異 議 申立 て に類 似 した制度 を用 意 して い る ことが 分 か る。 しか し、 そ もそ も異議 申立 類 似制 度 は、

行 政組 織 が ピ ミ ッ ド構 造 を な して、 上 級 行 政庁 が 下 級 行 政 庁 を 指揮 監 督 す る と い う関 係 に あ る以 上 、 そ の最 上 級 行 政 庁 にっ いて は 、 論 理 必然 的 に残 る も の と い う こ とも で き、 した が って 、韓 国 ・台湾 ・中 国(大 陸)に お い て も、 異 議 申 立 て に類 似 す る制 度 が存 在 す る こと は、 あ る意 味 で 当 然 の こ とで もあ ろ う。 む しろ 問題 は 、そ の よ う な制 度 が 存 在 す る こと にあ るの で は な く、 どの程 度 に例 外 的 な も の と して扱わ れ て い るか と い う こ と にあ るが 、韓 国 ・台湾 ・中 国(大 陸)の いず れ も、 日本 の審 査 法 以 上 に限 定 的 で あ る こ とが 分 か る。

まず 、 第 一 に、 法条 文 の形 式 にお いて は 、 いず れ も 日本 の審 査 法6条3号 の よ う な 「法 律 に異 議 申 立 て をす る ことが で き る 旨の定 め が あ る とき」 の よ う な 正 面 か ら個 別 法 に よ る異議 申立 て を認 め る よ う な規 定 が存 在 しな い ことが 挙 げ られ る。 も ち ろん 、個 別 法 が 一 般 法 よ り優 先 す るの は 当然 の こ とで あ るが 、 こ の よ う な規 定 の有 無 が 、 それ らの法 律 の性 格 を大 き く規 定 す る こと も否 定 で き な いで あ ろ う。

第 二 に、 そ もそ も、不 服 申立 ての種 類 と して 、「審 査 請 求(再 審 査 請 求)」 と

「異 議 申立 て 」 に二 分(三 分)し 、 そ の 審 査 の結 論 を そ れ ぞ れ に 「裁 決 」 と

「決 定」 に 分 け る規 定 も な い。 た だ 、 中 国(大 陸)の 復 議 法 に あ って は 、 国務 院 にお け る行 政 不 服 審 査(行 政 復議)の 審 査 の結 論 を 「裁 決 」 と称 して、 そ れ

(10)

以外 の場 合 の 「決 定 」 と区別 して い るが 、 これ は 「裁 決 」 の場 合 に は最 終 裁 決 を意味 し、 も はや行 政 訴 訟 を提 起 で き ない とい う効果 が 生ず るか らで あ る。

そ して第 三 に、 後 述す る よ う に、韓 国 ・台湾 ・中 国(大 陸)と もに 、 そ の程 度 にお い て差 が あ る とは いえ 、 審理 機 関 と裁 決 機 関 を分 離す る とか 、裁 決 機 関 の内部 に一 定 程度 の独 立 性 を有 す る組 織 を設 置す る とか の工夫 を こ らす ことで 、 裁 決 機 関 の第 三 者 性 を高 め て い るた め に 、異 議 申立 制 度 の 欠 点 の相 当部 分 が 解 消 され て い る と い う ことが いえ よ う。

1)「 行 政 救 済 制 度 の 課 題 」161頁 。

第2節 審 査請 求 の基 本構 造 の問題 点

審査 請 求 は 、通 常 は直 近 上 級 庁 に対 す る不 服 申 立 てで あ る。 こ の点 で 、争 い の 当事 者 に対 す る不服 申立 てで あ る異 議 申立 て に比 べ れ ば独 立 性 が あ る とい え、

そ の た め に審 査 法 は審 査 請 求 中心 主i義を採用 して い る。 しか し、 審 査 請 求 に お い て も、審 査 庁 が 上級 庁 で あ る場 合 は、 処 分 庁 と監督 権 限 で繋 が ってお り、依 然 と して審 査庁 の独 立 性 ・中立 性 に は疑 問 が 提示 され て い る。

(i)韓 国

韓 国 の審 判 法 は 、 あ らゆ る裁 決 庁 は、 そ の裁 決庁 また は 国務 総 理 所 属 下(裁 決庁 が 国務 総理 又 は 中央 行 政 機 関 の長(各 部 長 官;大 臣)で あ る場 合 な ど)に 設 置 され て い る行政 審判 委 員 会 が審 理 ・議 決 す る と こ ろに従 い裁 決 して い る。

行 政 審 判 委 員 会 の議 決 は 裁決 庁 を 拘束 し、裁 決 庁 は た とえ行 政 審 判 委 員 会 の 議 決 内容 に不 服 が あ って も、 再議 要 求 な どの異 義 を提 起 す る こ とはで き な い。 し た が って 、実 質 的 に は行 政審 判 委 員会 が 裁 決 す る と い う こ とが で き る。

国務 総 理 行 政 審 判 委 員 会 とそ れ 以外 の行 政 審 判 委 員 会 で 、 そ の構 成 に相 違 点 も あ るが 、 共 通 す る点 と して は、 「委 員 会 」 と 「会議 」 の 構 成 を別 にす る二 元 的 な構 成 を と って い る こ と、 また 、必 ず 過 半 数 以 上 の弁 護 士 や法 律 学 等 の教 授 な ど外 部 委 員 を含 む ことが 義 務 づ け られ て い る こと、 委員 の任 命 はす べ て裁 決 庁 が す る こ と、 で あ る。

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日本の行政不服審査法 と東 アジアの行政不服審査制度 との比較研究序説(そ の1)209 も っ と も、特 別 市 長 ・広 域 市 長 ・道知 事 の処 分及 び 自 らの処 分 に対 す る行 政 審 判 の裁 決 庁 と な る中央 行 政 機 関 の行 政 審 判 を審 理 ・議 決 す る とい う点 で極 め て重要 な位 置 を 占め て い る 国務 総理 行 政 審 判 委 員 会 の場 合 は、 委 員 の全 部 を第 三 者 的位 置 に あ る国務 総 理 が 委 嘱 して い る こと で 、 よ り一 層 、 第 三 者 性 を 高 め

てい る とい う こ とが で き る。

国 務 総 理 行 政 審 判 委 員 会 は委 員 長(法 制=処長)を 含 め て50人 以 内 の委 員 で 構 成 され 、 委 員 は 、 ① 弁 護 士 の 資 格 の あ る者 、 ② 大 学 で 法 律 学 等 を教 え る副 教 授 以 上 の職 に あ るか 又 は あ った 者 、 ③ 行 政 機 関 の4級 以 上 の公 務 員 で あ っ た 者 又 は そ の 他 行 政 審 判 に 関 す る知 識 及 び経 験 が あ る者 、④ 大 統 領 令 が 定 め

る行政 機 関 の公 務 員 、 の なか か ら国務総 理 が 委 嘱 又 は指 名 す る者 が な るが 、具 体 的 な行 政 審 判 案 件 を...::す る国務 総理 行 政 審 判 委 員 会 の会 議 は、 委 員 長(法 制 処長)及 び常 任 委 員1人 並 び に委 員 長 が 毎 会 議 ご とに指 名 す る9人 の委 員 で 構 成 され 、 そ の う ち5人 以 上 は、 上 記 の ① か ら ③ に該 当す る者 が含 まれ て い なけれ ば な らな い(6条 、6条 の2)と 規 定 され て い るの で あ る。 実 質 的 に は 、 日本 の行 政 法 学 の講 学 上 の 概 念 で 言 う、 いわ ゆ る 「行 政 審 判 」 に相 当す る とい

う こ と もで きよ う。

なお 、 国務 総 理 行 政 審 判 委 員 会 以外 の行 政 審 判 委 員 会 は、 委 員 長1人 を含 む 15人 以 内の 委 員 で構 成 され 、委 員 長 は 裁 決庁 が な り、 委 員 は、 上 記 の ① か ら

③ ま で に該 当す る者 又 は 裁 決 庁 所 属 公 務 員 の 中か ら裁 決 庁 が 委 嘱 又 は 指 名 す る者 が なるが 、行 政 審 判 委 員 会 の会 議 は 、委 員 長 及 び委 員 長 が 毎 会議 ごと に指 名す る6人 の委 員 で 構成 され 、 そ の う ち4人 以 上 は上 記 の ① か ら ③ ま で に該 当 す る者 が 含 まれ て い なけ れ ば な らない(6条)。

さ らに 、委 員 の除 斥 ・忌避 ・回避 にっ い て も規 定 して い る(7条)。

(ii)台 湾

台湾 の訴 願 法 に あ って も、 訴願 機 関 は訴 願 を処 理 す るため に 、 二 分 の 一 を下 回 らない外 部 人 士 に よ って構 成 され る訴 願 審 議 委 員 会 を設 置す る こ と、 また 、 訴 願 の決 定 は、 訴願 審 議 委員 会 の決 議 を経 なけれ ば な らな い こ と に な って い る の で 、韓 国 ほ どで は ない が 、 第三 者 性 を高 め る よ う工 夫 が な され て い る と い え よ う。

(12)

訴 願 審 議委 員 会 の構 成 員 にっ い て は 、「法 制 に詳 しい者 〔具 有 法 制 専 長 者 〕」

を原 則 とす る こと、 また 、委 員 は 当該 機 関 の高 級 職 員 及 び外 部 か ら招 聴 した 社 会 的 に公 正 な人 〔社 会 公 正 人士 〕、学 者 、 専 門 家 と し、 そ の う ち社 会 的 に 公 正 な人 、学 者 、 専 門 家 の 人 数 が二 分 の 一 を下 回 って は な らな い と規 定 して い る

(52条)。 さ らに、 委 員 の 回避 にっ い て も規 定 して い る(55条)。

(iii中 国(大 陸)

中 国(大 陸)の 復 議 法 で は、 行政 復 議 を対 外 的 に担 当す る 「復 議 機 関 」 の 中 に 、復 議 事 件 の受 理 、審 査 及 び復 議 決 定 を実 質 的 に担 当す る 「復 議 機構 」 と称 す る専 門 的 事 務 機 構 を 内 部 組 織 と して設 置す る こ とが 規 定 され て い る。 こ の

「復 議 機 構 」 は法 制 業 務 を担 当す る機 構 が兼 ね る こ とが 原 則 で あ る。 そ して 、 復 議 決 定 は 、 この復 議 機 構 の意 見 を基 に、復 議 機 関 の 同意 を得 て、復 議 機 関 の 名前 で 出 され る。 したが って、 復 議 機 構 の職 員 は 、法 制 業 務 を担 当す る職 員 で あ る。 復 議 機構 の構 成 員 に対 す る 回避 につ い て は規 定 され て い な い。

なお 、行 政不 服 審 査 を主 宰 す る者 に対 す る独 立 性 ・中立 性 を制 度 的 に保 障す るた め には 、 委員 の身 分 保 障 も必 要 で あ る。 この 点 にっ い て は、 韓 国 の審 判 法 が 、行 政 審 判 委員 会 の委 員 の任 期 及 び身 分保 障 に つ い て は大 統 領 令 に委任 す る と して 、 そ の行 政 審 判 法施 行 令7条 で 「① 委 員 は 、禁 固 以 上 の 刑 の 宣 告 を 受 け 、 また は 長 期 間 の心 身 衰 弱 に よ り職 務 を遂 行す る こ とがで き な くな った と き を除 い ては 、 そ の 意 思 に反 して免 職 又 は 解職 され な い。 た だ し、裁 決 庁所 属 の 公 務 員 で あ る委 員 の場 合 には 、 こ の限 りで な い。 ② 委員 会(小 委 員 会 を含 む) の会 議 に 出席 し、 又 は案 件 を検 討 した 委 員 に対 しては 、 予算 の範 囲 内で 出席 手 当 ・案 件 検 討 手 当及 び旅 費 を支 給 す る」 と規 定 して い るが 、 台湾 の訴 願 法 及 び 中国(大 陸)の 復 議 法 に は 、 この よ う な規 定 は見 当た らない。

日本 にお い て は 、「行 政 上 の不 服 申 立 て と くに審 査 請 求 に関 す る 専 門 の 担 当 課 を 設 け て い る の は、 お そ ら く東京 都 ぐ らいで は な いか と思わ れ る。 … …特 別 の審 査 機 関 を有 して い る と ころ は別 と して 、 国 の行 政 に関す る不 服 申立 て の実 情 を 全 体 的 に掌握 して い る省 庁 は存 在 しな い よ うで あ る。 また 、個 別 の省 庁 内 で も 、 国税 庁 を除 いて 、 当該 省 庁 の行 政 に関 す る不 服 申立 て の実 情 を全 体 的 に

2)

掌 握 して い る部 局 は 存 在 しない よ うで あ る」 と いわ れ てい る。 韓 国 ・台湾 ・中

(13)

日本の行政不服審査法 と東アジアの行政不服審査制度 との比較研究序説(そ の1)2.11 国(大 陸)の それ ら と比 較 す る とき 、行 政 機 関 の 自己統 制 と しての 性 格 が あ ま

りに も強 く出過 ぎ て い る と言 わ ざ るを得 ない。 せ め て、 情報 公 開 審 査会 の よ う な諮 問機 関 へ の諮 問 の制度 を、行 政 不 服 審 査 一 般 にっ い て も設 け る こ とが 必 要 で あ ろ う。

1)李 源 「日本9行 政 不服 申立制 度動 韓 国9行 政 審判 制度9比 較 」『法制 』 第 494号(1999年)44頁 、参 照 。

2)宮 崎 良夫 『行 政争訟 と行政 法学』(弘 文堂 、1991年)122頁 。

第3節 不服 申立 ての対 象 の問題 点

日本 の審 査 法 は、 不 服 申 立事 項 にっ い て一般 概 括 主 義 を採 用 して い るが 、 数 多 くの特 例 が 法 律 上 定 め られ て い る こ とが 指 摘 され て お り、「さ らに 、 あ る種 の処 分 にっ い ては審 査法 に よ る申立 て も、特 別 の 申立 て もで き な い 、っ ま り行 政 上 の不 服 申立 て の制 度 が 一 切 な い もの もあ る。 す なわ ち 、審 査 法 は、 同法 の 適 用 除 外処 分 を列 挙 し、 かっ 別 の法 律 で 適用 除 外 規 定 が 置 か れ る こ と を予 測 す る とと も に、 これ ら適 用 除外 処 分 にっ い て も特 別 の不 服 申立 て の制 度 が 置 かれ る こ とを妨 げ な い も の と して い るが(四 条)、 適 用 除 外 処 分 にっ い て特 別 の不

服 申立 制度 が 置 かれ て い な い場 合 もあ る」 ので あ る。事 後 の 行 政 上 の 手 続 で あ る行 政 不 服審 査 制 度 は 、裁 判 と異 な り多様 な もの とな らざ るを得 ない し、 また 、 国税 や 社会 保 険 の よ うに 、審 査 法 よ りも慎 重 な形 で審 査 が行 わ れ る領 域 が 存 在

2)

す る こ と も認 め ざ るを得 な い ことで あ るので 、 これ は審 査 法 自体 の 問題 と い う よ りは 、む しろ そ の運 用 の問 題 とい うべ きで あ ろ う。

も っと も、審 査 法 が規 定す る適用 除外 事項 にっ い て は 「各 号 を個別 に検 討 し、

か っ 立 法 当時 以降 の学 説 ・裁 判例 の展 開 に照 ら してみ る と、再 考 が 必 要 な もの

もあ り、 当該 適 用 除外 規 定 の合 理 的根 拠 を あ らた め て検討 してみ る必 要 が あ る」

の も事 実で あ る。

参 考 まで に、 日本 の審 査 法 の よ うに行 政 不 服 審 査 の基 本 法 の 中で 適 用 除 外 を 列 挙 して い る条 項 は 、 韓 国 の審 判 法 、 台 湾 の 訴願 法 、 中 国(大 陸)の 復 議 法 の

4)

いず れ に も見 当た らな いが 、 た だ 中 国(大 陸)の 復 議 法 は、 一般 概 括 主義 を規

(14)

定 す る と と もに 行政 復 議 の対 象 につ いて復 議 申請 で き る対 象 の例 示 を も列 挙 す る とい う方 式 、 いわ ゆ る 「概 括 と列 挙 の 結合 方 式 」 といわ れ る方式 を と って い る。 この こ と は、 一 面 に お い て は、 復 議 事項 を よ り明確 化 す る とい う利 点 が あ る もの の 、 列 挙 され た 意 味 の解 し方 に よ って は 、一 般 概 括 主 義 を空 洞化 ま た は 有 名 無 実化 す るお それ もあ ろ う。

また 、 日本 の審 査 法 は、 不服 申 立 て の対 象 を、行 政庁 の処 分(公 権 力 の行 使 に 当た る事 実 上 の行 為 で 、 人 の収 容 、物 の留 置 そ の 他 そ の 内 容が 継 続 的性 質 を 有 す るも の を含 む)及 び不 作 為 と規 定 して い る。 公 権 力 的継 続 的 事 実行 為 を不 服 申立 て の対 象 に含 ませ た 点 は 、 立 法的 に行 訴 法 に比 べ て優 れ た点 で あ るが 、 実 際 の運 用 に お い て は判 例 学 説 の 発 展 に伴 って行 訴 法 の い う 「処 分 」概 念 に公 権 力的 継 続 的事 実行 為 が 組 み 込 まれ る に従 い 、不 服 申立 ての 対象 と して独 自の 発展 を遂 げ るはず で あ った 公 権 力 的 継続 的事 実 行 為 が 逆 に行 訴法 の 「処 分 」 概 念 に よ って枠 づ け られた 観 が あ るの は残 念 で あ る。

韓 国 ・台 湾 ・中 国(大 陸)と も、 新 しく制 定 され た行 政 不 服審 査 制 度 の基 本 法 に お い て は 、 不 服審 査 の対 象 を 旧法 よ りも拡 大 しよ う と努 力 して い る。

(i)韓 国

韓 国 の審 判 法 も処 分 と不 作 為 を行 政 審 判 の対 象 とす るが 、処 分 にっ い て は

「処分 とは、行政庁が行 う具体的事実1ラ関す る法執行 と しての公権 力の行使 又 はそ の拒 否 及 び そ の他 これ に準 ず る行 政 作 用 を い う」(2条1項1号)と 定 義

して、 「そ の他 これ に準 ず る行 政作 用 」 とい う包括 的 概 念 を用 いて い るた め に 、 一 部 の学 説 で は、拘 束 的 行政 計画 ・行 政 指 導 ・処 分 法 令 ・対 物 的 処 分 な どもそ

5)

の対 象 に含 まれ る とまで 主張 して い る。

(ii)台 湾

ま た 、 台湾 の 訴願 法 で も、 同 じ く処 分 と不 作 為 を訴 願 の対 象 とす るが 、行 政 処 分 を 「① こ の法 律 で い う行 政 処 分 と は 、 中 央 又 は地 方 機 関 が 公 法 上 の具 体 的 事 件 に っ い て なす と ころの 決 定 又 は そ の他 公 権 力 の措 置 で 、 法律 効 果 を対 外 的 に直 接 発 生 す る一 方 的 行 政 作 用 〔行 政 行 為 〕 を指 す 。② 前 項 の 決 定 又 は措 置 の相 手方 が 特 定 され な くて も、 一般 的 な特 徴 に よ って そ の範 囲 を確 定す る こ

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日本の行政不服審査法 と東アジアの行政不服審査制度 との比較研究序説(そ の1)213 とが で き る場 合 に は 、行 政 処 分 とす る。 公 物 の設 定 、 変 更 、廃 止 又 は 一 般 使 用 に関 す る場 合 も、 また 同 様 とす る」(3条)と 規 定 す る こ とで 、 一 般 処 分 と公 物 につ い ての処 分 が 明示 され た だ け で な く、解 釈 に よ っては行 政処 分 の概 念 を

s)

相 当拡 大 す る こ とが期 待 され て い る。 も っと も、訴 願 法 は、 訴願 を受 理 しな い 場 合 と して 、 訴 願 書 の不 備 や 法 定 期 間 の 経 過 な どの形 式 的 事 由 の ほ か に 、 「す で に存 在 しな い 〔已不 存 在 〕 行 政処 分」 「非 行 政 処 分 」 「他 の法 律 に よ って 訴願 が提 起 で き ない行 政 処 分」 が 挙 げ られ て い る(77条)。 台 湾 の 判 例 学 説 を 見 る 限 りは 、「す で に存 在 しな い 〔已不 存 在 〕 行 政 処 分 」 「非 行 政 処 分 」 「他 の法 律 に よ って訴 願 が 提起 で き ない行 政 処 分 」 に該 当す る と して訴 願 が 提 起 で き な い

7)

と され る事 項 は、 日本 とほぼ 同 じ状 況 で あ る こ とがわ か る。

㈹ 中 国(大 陸)

中 国(大 陸)の 復 議 法 は 、 「具 体 的 行 政 行 為 〔具 体 行 政 行 為 〕」 と そ の不 作 為 だ け で な く、 一 部 の 「抽 象 的行 政 行 為 〔抽 象 行 政 行 為 〕」(行 政 立 法)ま で も復議 の対 象 と して い る(2条 、6条 、7条)が 、具 体 的行 政 行 為 にっ い ては 、 復 議 法 で は何 ら定義 され て い ない。

も っと も、復 議 法 が た とえ 一 部 で は あれ 抽 象 的 行 政 行 為 を行 政 復 議 の 対 象 に 含 めた こ とは 、 比較 法 的 に見 て も大 変 珍 しく、 画 期 的 な もの で は あ る。 日本 に お い て は 、「行 政 機 関 に よ る 自己 統 制 と して の性 格 の 故 に 、行 政 不 服 審 査 機 関 に は法 令 審 査権 は な く、 明示 の規 定(参 照 、 国税 通 則 法 九 九条)の ない か ぎ り

g}

は 上級 機 関 の発 す る通 達 の適 法 性 に関す る審 査 権 も有 しな い と解 され て い る」

の で あ るが 、 しか し、 日本 は も ち ろん 、 そ も そ も世 界 の殆 どの国 で 行政 立 法 に つ い てはす で に何 らか の 司法監 督 を及 ぼ してい るので あ るか ら、 中 国 の場 合 は 、 抽 象 的行 政 行 為 を行 政復 議 の範 囲 に入 れ る こ とで 、や っ と行 政 立 法 にっ い て の 過 渡 的 な司法 監 督 の制 度 が 成 立 した とい うべ き で あ ろ う。

1)塩 野 宏 『行 政 法(第 二 版)』(有 斐 閣i1994年)11頁 。 2)高 橋 滋 「行 政 争 訟 」 『法 学 教 室 』 第226号(1999年>35頁 。

3)室 井 力 ・芝 池 義 一一 ・浜 川 清 編 著 『〔コ ン メ ン タ ー ル 行 政 法 〕 行 政 手 続 法 ・行 政 不 服

審 査 法 』(日 本 評 論 社 、1997年)291頁(渡 名 喜 庸 安 執 筆)。

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4)な お 、公務 員 の懲戒処 分 その他 人事処 理決定 にっ い ては例 外的 に 、中国(大 陸)の 復 議法 は、 明文(8条)で 適 用除外 と してい る。

5)劉 尚絃 『韓 国行政 法(上)』(州 書、桓 仁 出版社 、1995年)533頁 。

6)陳 慈 陽 「訴願法 修正 後相 関問題 之探 求」『第 四回東亜行 政 法学術研 討論 会』(台 湾 行 政 法学会 、 台北 、2000年)所 収 、5〜8頁 。

7)蘇 嘉 宏 ・洪 栄 木杉 『行政 法 概論 一 行 政救 済法 一 』(永 然 文化 出版股aO有限 公 司、

台北 、1999年)57〜67頁 。 8)高 橋滋 、前 掲論 文 、35頁 。

第4節 不服 申立 人適格 の 問題 点

日本 の審 査法 は 、「行 政 庁 の処 分 に不 服 の あ る者 」(4条1項)と 定 め るだ け で あ るが 、判 例 で は 「行 政 庁 の処 分 に不 服 の あ る者 」 とは 「当該 処 分 にっ い て 不 服 申立 て をす る法律 上 の利 益 が あ る者 、 す なわ ち 、 当該 処 分 に よ り自己 の権 利 若 し くは 法 律 上保 護 され た 利 益 を侵 害 され 又 は必 然 的 に侵 害 され るお それ の あ る者 を い う 」(最 判 昭 和53・3・14民 集32巻2号211頁)と 解 され 、 取 消 訴 訟 の原 告 適 格 と同 義 に解 され て きた 。 そ こに は 、「不 服 申立 て に対 す る特 別

1}

の配慮 は な い」 とい って も過 言 で は な い。 さ らに 、審 査 法 は 、不 作為 に対 す る 不 服 申立 人 適 格 にっ い て は 、「法 令 に基 づ く申請 」(2条)を した 者 とい う要件 さえ 課 して い るの で あ る。

そ れ ゆ え 、 学 説 で は 、 国 民 の権 利 利 益 の 救 済 と と もに行 政 の 自己 統制 とい う 目的 を も有 して い る行 政 不 服 審 査 制 度 の 性 格 を考慮 して 、不 服 申立 人 適格 を 取 訴 訟 訟 よ り も拡 大 す る こ とを 主 張 す る も の も決 して 少 な く ない。 と くに、 「従 来 はや や もす れ ばい わ ゆ る反 射 的利 益 な い し事 実 上 の利 益 とされ て きた もの の 中 に も、 付 近 住 民 の 生 活環 境 上 の利 益 な どの よ う に、特 定可 能 性 を もっ 具 体 的 か っ 個 別 的 な利 益 と して そ の 性格 を 捉 え直 す 必 要性 が 高 ま って い るも のが あ る

23

と考 え られ る」 ので あ る とい う認 識 は 、学 説 にお い ては ほぼ共 通 した ものに な っ て い ると い え よ う。

また 、 日本 の審 査 法 で は 「国 民 」 とい う言 葉 が 使 われ てい るため に、 地 方 公 共 団体 も審 査 法 の利 用 主 体 に な り得 るか とい う問 題 が提 起 され た 。 も っと も、

審査 庁 等 の 教 示 に 関 す る審 査 法57条4項 で は 「前 三 項 の規 定 は 、 地 方 公 共 団 体 そ の他 の公 共 団体 に対 す る処 分 で 、 当該 公 共 団 体 が そ の 固有 の資 格 にお い て

(17)

日本の行政不服審査法 と東 アジアの行政不服審査制度 との比較研究序説(そ の1)215 処 分 の相 手 方 と な る もの につ い て は、 適 用 しな い」 と規 定 して い るの で 、 この 規 定 の趣 旨か ら学 説 は 、地 方 公 共 団体 が 固有 の 資格 で 処 分 の相 手 方 に な る と き は審 査 法 の 適 用 を 受 け ない が 、一 般 私 人 と同 様 の 立 場 に地 方 公共 団 体 が 立 っ 場

3)

合 に は 、 当該地 方 公共 団体 は不 服 申立 てが で き る と解 釈 してい る。

(3)韓 国

韓 国 の審 判法 は 、不 服 申 立適 格 〔請 求 人 適 格 〕 を取 消 訴 訟 と同 じ く 「処 分 の 取 消 し又 は変 更 を求 め る法 律 上 の 利 益 が あ る者 」(9条)と 規 定 す る こ と で 、 結 果 的 に 日本 以 上 に制 限的 に規 定 す る こ と に な った た め に、 そ の制 定 当時 か ら 激 しい批 判 を浴 び 、 これ は行 政 不 服 審 査制 度 と行政 訴 訟 制 度 との制 度 的機 能 を 全 く無 視 した もの で あ り 「重 大 な立 法 上 の過 誤 」 で あ るの で 改正 す べ きで あ る

4)

との有 力 な学 説 まで が登 場 し、韓 国の 行 政 法学 界 で 一 大 論 争 を惹 起 しで い る。

地 方 公 共 団体 が不 服 申立 適 格 を有 す るか 否 か にっ い て は 、韓 国 の審 判 法 には 明文 の規 定 が 存 在 しな い。 しか し、 韓 国 にお い て は 、 日本 の審 査 法57条4項 の よ う な手 掛 か りと な る規 定 が な い と は いえ 、公 共 団 体 が 一般 私 人 と同様 の 立 場 に立 っ 場 合 には 、 そ の請 求 人 適 格 が 否 定 され る理 由は な い と思 わ れ る。

(ii)台 湾

台湾 の訴願 法 は 、 訴願 申請 人 適 格 につ いて 「そ の権 利 又 は利 益 に損 害 を もた らす 〔致 損 害 其 権 利 或 利 益 〕 と認 め る場 合 」(1条)と 規 定 して い るだ け で あ る。 文 言 上 か らは 、 台湾 の訴 願 法 も 日本 の審 査法 と同様 、解 釈 の余 地 が 存 す る ため に、 学 説 で は 「権 利 保 護 説 」 と 「法 規保 護説 」 の対 立 が存 在 す るが 、 現 在 の 台湾 の訴願 制 度 は 「権 利 保 護 説 」 を基 本 的 立場 と して構 成 され て い る とい わ

5)

れ て い る。

地 方 公 共 団 体 の不 服 申立 適 格 に つ い て は、 台湾 の 訴 願 法 は 、 そ の20条2項 にお い て 「地 方 自治 団体 、法 人 、法 人 で ない 団体 は 、 そ の代 表 人 又 は管 理 人 が 訴 願行 為 を しなけれ ば な ら ない」 と規 定す る こ とで 、 明確 に地 方 公 共 団体 に 訴 願 申請 適 格 を 与 え て い る。 も っ と も 、「地 方 公 共 団体 が 行 政 主 体 の地 位 で も っ

6)

て統 治 組 織 の一 部 分 を なす とき に は、 も と よ り訴願 の権 能 は な い」 と され て い る。

(18)

(iii)中国(大 陸)

中 国(大 陸)の 復 議 法 は 、 行政 訴 訟 法 との繋 が りを強 く意 識 して制 定 され た た め に 、行 政 訴訟 法2条 と同 じく 「適 法 な権 利 利 益 〔侵犯 其 合 法 権 益 〕 を侵 害 した と認 め る と き」(2条)と 規 定 して い る。 した が って 、復 議 法 の解 釈 論 と して は復 議 申請 人 適 格 は狭 く解 され る こ とに な り、「① 必 ず 行 政 機 関 が 行 った 具 体 的 行 政 行 為 と特 定 の行 政 法 律 関 係 の 存 在 が なけ れ ば な らな い。 ② 必 ず 公 民 、 法 人 そ の他 の組 織 で な け れ ば な らな い。 ③ 必 ず 当 該 具 体 的行 政 行 為 が 適 法 な権 利 利 益 を侵 害 した と認 め られ 、 か っ 、 明確 な復 議 申請 の 意 思表 示 を有 し て い な け れ ば な らな い。 ④ 復 議 を 申請 す る具 体 的 行 政 行 為 は必 ず 法 に よ って 復 議 申請 を提 出す る こ との可 能 な行為(行 政 復 議 法 の規 定 す る受理 範 囲 に適 合

7?

す る)で なけ れ ば な らな い」 と理解 され て い る。

地 方 公 共 団 体 の不 服 申立 適 格 にっ いて は 、 中 国(大 陸)の 復 議 法 は 、韓 国 の 審 判 法 と同様 に 明文規 定 が ない 。 しか し、 そ もそ も中 国(大 陸)に お い て は 、

「行 政復 議 は 、行 政 主 体 と行 政 の相 手 方 との 間 の行 政 争 議 又 は 紛糾 を そ の処 理 内容 及 び 適 用範 囲 とす る ので あ る。 行 政主 体 と公 務 員 の間 の紛糾 及 び行 政 主 体

8)

相 互 の間 の 紛 糾 の解 決 は、 す べ て行 政 復議 で は な い」 と され て い るの で あ るか ら、 地 方公 共 団 体 に は復 議 申請 人 適 格 は 否 定 され て い る と解 す るほ か な いが 、

「この方 面 にお いて 、 中 国 台湾 の訴 願 法 が規 定す る行 政 主 体 相 互 の 間 の紛糾 解 決 の構 造 は、 中 国大 陸 行 政 復 議 制 度 の更 に一 歩完 全 なも の とす るの につ いて比

9)

較 的 多 くの参 考 と な る価 値 を有 して い る」 との指 摘 もあ る。

1)塩 野宏 、前掲 書、19頁 。

2)「 行政 救 済制度 の課 題」X62頁 。 も っとも、「(不服 申立 人適格 を拡 大す る… …引 用 者)立 場 をと ると、不 服審 査手続 を通 じて救 済 を与 え られ ない者 の なか に訴訟 を提 起 で きない者 がで て くる帰結 を認 め ざるを得 な くな る。多種 多様 な利益 を行政 が付与 す るに際 して法 令が 国民 に申請権 を認め て いる場 合 に、 申請 に対す る拒 否決 定(一 部 拒 否 を 含 む)は 処 分 と して取 消 訴 訟 の提 起 を認 め られ る(申 請 の定 義 に っ い て 、 行 政 手 続 法2条3号)。 この点 とのバ ラ ンスを考慮 す るな らば、上述 した結 論へ と繋 が る解 釈 を採 用す るこ とは現 行法 体系 上 は困難 といえ よ う」(高 橋 滋 、前掲 論 文、36頁)と

の見解 もあ る。

3)塩 野宏r前 掲 書、19〜20頁 。

4)詳 しくは 、趙 元 済 『韓 国 に お け る 国 民 の権 利 救 済 体 系 』(信 山社 、2001年)55

(19)

日本 の行 政不 服審査法 と東 アジアの行政 不 服審査 制度 との比 較研究序 説(そ の1>217 頁〜79頁 。

5>双 榜編 輯委員会 編著r行 政 法(増 訂 二版)』(双 榜 文化 事業 出版 社 有限公 司、 台北 、 2000年)508頁 。

6)呉 庚 『行 政争訟 法論(修 訂版)』(三 民書局 、台北 、1999年)294頁 。 7)宋 雅 芳 主編 『行 政復 議法通 論』(法 律 出版社 、北京 、1999年)91〜92頁 。

8)楊 建 順 「論行 政復 議 一 中 国大 陸行 政 復 議 的現 状 与課 題 一 」 『第 四回 東 亜行 政 法 学術 研討会 報告書 』(台 湾行 政法 学会 、台北 、2000年)所 収 、4頁 。

第5節 二 段階 の不服 申立て の問題 点

日本 の審 査 法 は、 原則 と して審 査 請 求 又 は異 議 申立 ての 一 段 階方 式 を採 用 し てい るが(い う まで も な くそ の うち で も審 査 請 求 を 中心 とす る審査 請 求 中 心 主 義 で も あ る)、 法律 で も って異 議 申 立 て と審 査 請 求 の 順 で 、 また は 、 審 査 請 求 と再審 査 請 求 の順 で 二段 階 にす る こと を認 め て い るた め に、場 合 に よ って は迅 速 性 を 阻害 す るお そ れ が あ る と指 摘 され て い る。

(i)韓 国

韓 国 の審 判 法 は一 段 階 方 式 を と ってお り、 審 判 法 自体 に は例 外規 定 は 存 在 し

ユラ

ない。 しか し、個 別 法 に よ って、 二段 階 方式 を定 めて い る場合 もあ る。例 え ば 、

「公 共機 関 の情報 公 開 に関す る法 律」 は、情 報 公 開の 処分 等 に不 服 の あ る者 は 、 当該公 共 機 関 に異 議 申立 て 〔異議 申請 〕 を し、 さ らに不 服 の と きは審 判 法 に基 づ く行 政 審 判 を請 求 す る こ と もで きる し、異 議 申立 て を経 ず に直接 、行 政 審 判 を請 求す る こ と もで き る(16条 、17条)。 これ らいず れ の場 合 で も、 審 査 請 求 の裁 決 に不 服 の あ る と きは 、行 政 訴 訟 を提 起 す る ことが で き る と規 定 して い る

(18条)。

また 、「老 人福 祉 法」 は 、 同法 に基 づ く福 祉 措 置 に対 して異 議 を有 す る者 は 、 当該福 祉 実 施 機 関 に審 査 を請 求す る ことが で き 、 さ らに 当該 審 査 ・決 定 に 不 服 の場 合 は、 そ の 通 知 を受 け た 日か ら90日 以 内 に審 判 法 に よ る審 査 請 求 を提 起 す る こ とが で き る と規 定 し(50条)、 「障 害 人 福 祉 法 」 も、 同 法 に基 づ く福 祉 措 置 に対 して異 議 を有す る者 は 、 当該 障 害 人 福 祉 実 施 機 関 に審 査 を請 求す る こ

とが で き、 さ らに そ の審 査 ・決 定 に不 服 の場 合 に は 、審 判 法 に よ る行 政 審 判 を 提起 で きる と規 定 して い る(75条)。

(20)

(ii)台 湾

台湾 の 訴 願 法 は 、 そ の制 定 過 程 にお い て 、 ① 訴 願 → 再 訴 願 → 中 央 行 政 法 院 と ② 訴 願 → 地 区 行 政 法 院 → 中央 行 政 法 院 とい う二 っ の 行 政 救 済 の方 途 を認 め る、 いわ ゆ る 「双 軌 制 」 が検 討 され たが 、 結 局 、 訴願 → 高等 法 院 → 最 高 行 政法 院 の方 途 だ け を認 め る 「単 軌 制 」 に落 ち着 いた 。

(III}中国(大 陸)

中 国(大 陸)に あ って は、 か つ て の行 政 復 議 条 例 で は 「法律 及 び行 政 法 規 に 他 の定 め が あ る場 合 を 除 い て、 行 政 復 議 は 一 審 制 復 議 〔一 級 復 議 〕 とす る」

(5条)と 定 め て 、「一 審 復 議 制 原 則 」 を規定 して い たが 、現 行 の復 議法 で は 、 この条 項 は削 除 され た 。 しか し、復 議 法 の下 で も学 説 は 「一審 復 議 制 原 則 」 を 行 政 復 議 制 度 の基 本 原 則 の一 つ と して掲 げ るほ どで あ る。

復 議 法 自身 が 定 め る唯 一 の例 外 と して は 、 国務 院 の部 門 又 は省 ・自治 区 ・直 轄 市 の 人 民政 府 の具 体 的行 政行 為 に対 して不 服 の あ る場 合 に は、 当 該 国務 院 の 部 門又 は 省等 に復 議 を 申請 で き るが 、 さ らにそ の復 議決 定 に不 服 の あ る とき は、

人 民 法 院 に行 政 訴 訟 を提 起 す るか 、 又 は 国 務 院 に裁 決 を 申請 す る こ とが で き、

しが し、 国務 院 の裁 決 は最 終 裁 決 で あ って行 政 訴 訟 は提 起 で き ない とす る規 定 が あ る(14条)。 個 別 法 で例 外 を 定 め た もの と しては 、 例 え ば 「税 関 法 〔海 関 法 〕」 が あ るが 、 これ は税 関 に対 す る関 税 決 定 に不 服 が あ る場 合 は 、一 級 上 の 税 関 に復 議 を 申請 し、 さ らにそ の復 議決 定 に不 服 が あ る と きは、 税 関 総署 に復 議 を申 請す る ことが で き る。 そ の復 議決 定 に不 服 の とき に 、 は じめ て人 民法 院

2)

に行 政 訴 訟 を提起 で き るので あ る。

1)国 務 総 理 行 政 審 判 委 員 会 ・法 制 処 『行 政 審 判9理 論 卦 判 委 員 会 ・法 制 処 、 淵 暑 、1998年)475頁 、 参 照 。

2)宋 雅 芳 主 編 、 前 掲 書 、49〜50頁 。

実際』(国 務 総理行 政 審i

第6節 口頭意 見陳 述 に関す る問題 点

日本 の審査法 の大 きな問題点 の一っ が、審査請求人 の手続的権利 の不備で あ

(21)

日本の行政不服審査法と東 アジアの行政不服審査制度 との比較研究序説(そ の1)219 る。

具 体 的 に は、 第 一 に、不 服 申立 て の方 式 で あ る。 日本 の審 査法 は 書面 に よ る 不服 申立 提 起 を 原 則 と し、 例 外 的 に 口頭 に よ る提 起 を許 して い る(16条)。 こ

れ に対 して は、 口頭 によ る不 服 申立 提 起 の途 を広 げ るべ きだ との主 張 が あ る。

第 二 に、 審 理 は 原 則 と して書 面 で 行 う書面 審 理 主 義 を採 用 して い るが 、 審 査 法 は審 査 請 求 人 等 の 申立 てが あ った ときは 口頭 で 意 見 を陳述 す る機 会 を 与 え な けれ ば な ら ない と規 定 してい る(25条)。 この 口頭 で の意 見 陳述 の 機 会 の付 与 が審 査 請 求 人 等 の 申立 て に よ って 、 いわ ば羅 束 的 に付与 され て い る こ とは 、韓 国 の審 判 法 、 台 湾 の訴願 法 、 中 国(大 陸)の 復 議法 の いず れ に も見 られ ない 、 日本 の審 査 法 の大 き な特 色 で あ る。 しか し、 「意 見 陳述 の 方 法 に関 して は 、審 査 法 は 明確 な規 定 を置 い て い な いが 、 本 則 との 関係 、処 分庁 の 出席 が 認 め られ て い な い こと な どの点 か らす る と、 公 開 、対 審 構 造 まで は要 求 され て い ない も

2)

の と解 され る」 と され て い る。

第 三 に、 審査 請 求 人 に弁 明書 の要 求 権が 認 め られ るか どうか にっ い て も学 説 ・ 判 例 にお い て争 い が あ るが 、 これ にっ い て も 「弁 明 書 の提 出 を求 め るか ど うか が 審 査 庁 の 裁 量 に あ る こ とを前 提 とす る と、法 が特 別 の規 定 を置 い て い ない 以

3)

上 、 審 査請 求 人 の副 本請 求 権 を認 め る こ とは 困難 の よ うに思 わ れ る」 と され て い る。

さ らに第 四 に 、審 査 法 は審 査 請 求人 に、審 査 庁 に対 して処 分 庁 か ら提 出 され た 書 類 そ の 他 の物 件 の 閲 覧 を 求 め る こ とが で き る と規 定 して い るが(33条2 項)、 そ の 閲 覧 請 求 で き る物 件 は処 分 庁 か ら任 意 に提 出 され た も の に 限 られ る

とす るの が 多数 説 で あ り、 そ もそ も、審 査 法 は 、審 査 庁 の職 権 に よ る調 査 で 、 裁 決 の基 礎 とす る証 拠 の開 示 にっ い て は な ん ら規 定 して い な い ので あ る。

(i)韓 国

韓 国 の 審 判 法 は 、 「審 査 請 求 の 内 容 を客観 的 に 明 白 にす る こ とで 紛 争 の 素 地 を な く し、 審 理 を促 進 で き る よ うにす るた め に、審 判 請 求 は 必 ず 書 面 です る よ

4)

う に した」 の で あ る。 また 、制 定 当時 の韓 国の 審判 法 は、 書 面審 理 主 義 を原 則 と し、 ただ し当事 者 の 申請 が あ る と き、又 は行 政審 判 委 員 会 が 必 要 と認 め る と きは 、 口頭 審 理 を行 う ことが で き る(26条2項)と 規 定 して い た 。 しか し、

(22)

そ の 後 、1995年 の 改 正 で 、26条2項 は 「行 政審 判 の審 理 は 、 口頭 審 理 又 は 書 面 審 理 とす る。 た だ し、 当事 者 が 口頭審 理 を申請 した ときは 、 書面 審 理 のみ で 決 定 す る こ とが で き る と認 め られ る場 合 を除 くほ か 、 口頭審 理 を しなけれ ぼ な らな い」 と改 正 され た。 これ は 、書 面 審 理 主 義 の 原則 を 口頭 審 理 と書 面 審 理 の 併 用 に改 め ると 同時 に、運 用 に よ っては 、 事 実 上 、 当事 者(請 求人 及 び被 請 求 人 の双 方 と も)に 口頭審 理 の 申請 権 を付 与 した結 果 と なろ う。

また 、1997年 の 改 正 に よ って 、 国 務 総理 行 政 審 判 委 員 会 で審 理 及 び議 決 を す る審 判 請 求 の場 合 には 、裁 決 庁 は 、意 見 書 を提 出 し、又 は意 見 を 陳述 す る こ とが で き る(28条5項)と 規 定 す る こ とで 、裁 決 庁 の 意 見 陳述 権 を明 示 した 。 この よ う に 、韓 国 の行 政 審判 法 は 、対 審 構 造 を よ りい っそ う強 め た もの と評 価 で き る。

公 開 の可 否 に っ い ては 、 これ まで 明文 規 定 が 置 か れ て い な か った た め に 、 か ね て よ り学 説 は対 立 して いた。 す なわ ち 、審 判 法 が 口頭 審 理 を優 先 させ て い る

5)

点を根拠 に公 開審理主義が原則 であ るとす る見解 と、書面審理主義 ・職権審理 主義 をと ってい る審判法 の全体 的構造 を根拠 に非公開審理主義が原則であ ると

6)

す る見 解 が対 立 して いた ので あ る。 しか し、行 政 審 判 にお い て は、 能 率化 を 図

7)

る とい う観 点 か ら、 非 公 開審 理 主 義 に よ ると理 解 す るの が通 説 で あ る。

た だ 、 問題 は 、 当事 者 が 審理 の 公 開 を要 請 す る場 合 で あ るが 、 「この場 合 は 、

① 行 政 審 判 法 第26条 第2項 が 当事 者 が 口頭 審 理 を 申請 した と き に は原 則 的 に 口頭 審 理 を しなけれ ば な らな い とい う趣 旨、② 行 政 手 続 法 第30条 が 聴 聞 は 当 事者 の公 開 申請 が あ ると き に は、 これ を公 開す る ことが で きる と した 趣 旨(行 政審 判 も広 い意 味 の行 政 手 続 に属 す る)、 ③ 裁 判 の審 理 と判 決 を原 則 的 に公 開 す る よ う に して い る憲法 第109条 の精 神 に照 ら して 、原 則 的 に公 開 しなけれ ば

8)

な らない 」 と解 され て い る。

しか し、1998年 の改 正 に よ って、 「委員 会 で委 員 が 発 言 した 内 容 そ の 他 を 公 開 す る場 合 に、 委 員 会 の審 理 及 び議 決 の公 正 さを害 す るお そ れ が あ る事 項 と し て、 大 統 領 令 の定 め る事 項 は 、 これ を公 開 しない 」(26条 の2)と の規 定 が 新

9)

設 された。

この規定 の制定理 由と して、行政審判管理 局行政事務官は 「行政審判請求事 件 は、場合 によ っては請 求人 や被請求人等の利害 当事者 に重大 な影響 を及ぼ し

参照

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