空間割引行動の理論について 一一行動仮説にもとづく方法一一
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(2) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑278ー. 第5 3 巻 第 2号. の草分けともいえる Nieder仰. 1 1. 4 6 4. & Bechdo1tの示急ゃ, G叫 仇 Gustafson. & Beckmann らによって提示された方怠さらにまた, ChOl如ounの方選な どが, これにあたる。これらの方法に共通している特徴は,かかる距離の逓減 効果を外部的な費用制約 (Externalcostconstraints) として処理している点 にある。すなわち,この場合,ある空間上に散在している所与の機会(ない し,目的地)に対して抱くある個人のトリップ選好は,その機会(ないし,目 的地)の有する非空間的な特性によってのみ決定され,空間的な特性を反映す る距離概念は,当該行動主体の実行可能な選好ノミターンの範囲を定める意味し か持ち合わせていないのである。その意味で, この方法に従うかぎり,. トリッ. プ行為の決定過程は,つねに「当該行動主体の非空間的な効用関数を,空間的 な外部制約のもとで最大化する」ことになっているのである。 ところが,また一方で,距離の逓減効果を.直接,個人の内部的な選好構造 ( I n t e r n a l preference s t r u c t u r e ) のなかに組み込んで処理しょラとする試み. もある。たとえば, Beckmann& Wallace の方法や,それをさらに改良した Golob & Beckmann の方法,さらにまた, Smith の空間割引行動の理論など ( 2 ) Niedercom,J. H . & Bechdo1 t , B.V. J r ., AnEconomic D e r i v a t i o no ft h e G r a v i t y Law" o fS p a t i a lI n t e r a c t i o n, " Journal o fR e g i o n a lS c i e n c e,Vol . 9,No.2,1 9 6 9,参照。 ( 3 ) Golob,T.F.,Gustafson,R.L.,& Beckmann,M.J., AnEconomic U t i l i t y " Papers o ft h eR e g i o n a lS c i e n c e TheoryApproacht oS p a t i a lI n t e r a c t i o n, A s s o c i a t i o n,V o l .3 0,. 1 9 7 3,参照。 ( 4 ) Choukroun,J . M.,"AGenelal Flamework f O It h e Dovelopment o f TI ' Ip D i s t r i b u t i o nModels,"AnnArbor,Mich.,XeroxU n i v e r s i t yFi 1ms,1 9 7 2,参 照 。 ( 5 ) この点の詳細については,郡J 3孝・井原健雄["地域間交易援の推定モデノレについて J, W名神地域における工業配置および道路交通の構造分析一一中間報告一一I J,日 , 日本交通政策研究会, 1 9 7 7 年7 月 , pp. 93‑104 ,参照。 交研 νリース:A‑37 ( 6 )Beckmann,M.J.,& Wallace,J . P ., E v a l u a t i o no f User B e n e f i t s AI is i n g " TlansportationS c i e n c e,V o l . 3, fromChangesi nT r a n s p o r t a t i o n Systems, No. 4,1 9 6 9,参照。 ( 7 ) Golob,T.F.,& Beckmann. M.J., A Uti 1i t yModelf o rT r a v e lF o r e c a s t i n g, " T l a n s p o l t a t i o nS c i e n c e,V o l . 5,NO.1, 1 9 7 1,参照。 ( 8 ) Smith,T.E ., An Axiomatic TheoI' Y o fS p a t i a lD i s c o u n t i n gB e h a v i o r, " PapeIs, V o l .3 5,1 9 7 5,Smith,T. E ., S p a t i a lDi s c o u n t i n gandt h eG r a v i t y "Regional S c i e n c e& Urban Economics,Vol . 6,No4,1 9 7 6 ,参 H y p o t h e s i s, 照 。.
(3) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 空間割引行動の理論について. 5 6 4. ‑27.9‑. いし, が,これにあたる。このうち,前二者の方法は,所与の空間的機会(な ってもた らされ 目的地〉 に対して ,その機 会(ない し,目的 地〉との 交流によ ) と,その 機会(な いし,目 的地〉ま でのトリ ップを行 うこと y t i 1 ti U る効用 ( りとが, つねに併 存するも のと想定 され. t i 1 ti u s i D によって 発生する 不効用 ( ) として y it 1 i t tu e N この両者 の差を当 該行動主 体のトリ ップに関 する純効 用 ( るものと 仮定す 定義するものである。したがって, この不効 用が距離 に依存す 離に依存 する効 れば,わ れわれは ,この純 効用の概 念を用い ることに より,距 用関数を明示的に規定することがでまるのである。 える逓減 効果 しかし, 叙上の課 題一ーす なわち, 距離の存 在が相互 作用に与 構造のな か をどのように規定するか一一ーについて, これを当 該行動主 体の選好. Smithに に直接組み込んで理解しようとする試みが,後者の方法,すなわち, は,空間 的行為 よって提 示された 空間割引 行動の理 論である 。この理 論の特徴 との相互 作用の を欲する ある個人 が,その 予想され る機会( ないし, 目的地) くものと 想定 水準を, 当該機会 (ないし ,目的地 )までの 距離によ って割引 顕在化さ し,かか る空間割 引行動を 3つの基本 的な公理 (Axiom) によって. Fまにある。 せている, mithの空閣議!日│行動の理論に注目し, 以上の経緯を踏まえて,本稿では, S ‑ i x a に関する " その概要 の紹介と 結果の要 約を行う ことによ り,空間 割引行動 " な理論のもつ意義を検討することにしよう。 c i t a m o. E 空間割引 行動の理 論 ) 予備的考 察 1 (. まず最初に,理論の前提となる必要な諸概念の説明を与えるこ. とにしよう。. ) とよ r o t c la a i t a p S いま,空 間的行為 を欲する ある行動 主体を空 間行為者 ( に属する ある地 び,とれをαで表わす ことにす る。この 空間行為 者 αは,空間 X ) との交流をもと s e i t i n u t r o p p O 点 ね に 居 り , こ の 空 間Xに属する n個の機会 ( は,叙上 の立地空 間 X内のある 地点仇に 位置する めている ものとし ,各機会 t ) ただし, n注 2を仮定する。 9 (.
(4) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑280‑. 第53巻 第 2号. 466. ものと想定しよろ。また, この αによって意識される各機会 t への近づきやす さの程度は, αの 居 る 位 置 む を 起 点 と す る 各 Xi ( i=1, 2,ー, n) ま で の 距 離. ( D is t a n c e )によって完全に記述でまるものとし,これを各れんに対してぬ= ( 1 1 ). d (xa ,,Xi) として表わすことにしよう。このとき~, n個 の 機 会 の 各 立 地 点 が 与えられれば αがとれらの立地点に対していだく近づきゃすさの情報は,空間. Xに属する各機会. =1, 2, ' ' ' , n の距離配図 ( D i s t a n c ec o n f i g u r a t i o n ) 一ーす. d l,d2, " ' , dn) なわち ,d= (. ‑. を構成することによって,. その特徴を記述. することができる。以下では,簡単化のために,すべての有限な距離配図を構 成することが可能であるものと仮定する。したがって. n個の機会に対する距. 離配図の構成可能な集合は, D={dfRηld 主 主O }= S J ,n. ( 1 ). によって与えられるととになる。 ただし,. Rη:n 次元の実数を元とする集合,. o: n次元のゼロ・ぺクト刀). 。 η :n. 次元の非負の実数を元とする集合. を,それぞれ表わすものとする。 つまに,空間行為者a が欲する各機会 tとの交流は,各機会れんへのトリッ. T r i pa c t i v i t y )一一具体的には,これを各機会 tへの}リップ水準れで プ行為 ( 表わすことにするーーによって完全に記述されるものと想定しよう。そのと き a の欲する各機会 iへのトリップ行為の可能なパターンは,. ( T r i pc o n f i g u r a t i o n )一ーすなわち, t=( tl' t z,. 川. トリップ配図. ,t η )ーーを構成すること. によってJ 記述することが可能となる。ただし,叙上の距離配図の場合と同様 ? と . , ここでもまた,すべての有限なトリップ配図を構成することが可能である ( 1 0 ) ね E X, (i=1, 2, . . ., n) を意味する。 ( 1 1 ) di ( i=1, 2, . . ., n) は,非負の測度を与えるものである。 ( 1 2 ) すなわち, θ=(0,0, . . . , 0) は,R nの零元 ( Z e r oe l e m e n t )を表わすものである。 ( 1 3 ) したがって,nn={ x :εR nI x :主 B }として表わされる。.
(5) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 4 6 7. 空間割引行動の理論について. ものと仮定しよう。したがって. ‑281‑. ー. n個の機会に対するトリップ配図の構成可能. な集合は,. T={tERn I t 話。}=D, n. ( 2 ). によって与えられるものとなる。 さて,任意の空間的相互作用の状況において,空間行為者 G が行う n個の機. …. , , dη ) によってだけなされるも 会相互の比較が,その距離配図 d= Cdl,dz のと想定し,しかもまた. aの行う n個 の 機 会 に 対 す る ト リ ッ プ 水 準 の 考 慮. が,その可能なトリップ配図 t=C t l , t Z, …,tn) によってだけなされるものと想 定しよう。そのとき,われわれは,空間行為者 G に関する相互作用の情報を,. Ordered問 pa i 紅 r 司 一 一 す な わ ち , c= ( t , d) ーーに 上記 2つの配図の順序対 C. α r. よって知るととがでまる。したがって., との順序対 c= ( t , d) を,空間行行}為 者れ. いての栢互作用の配図. しよう。. そ!のの結果,. ( 匂 肘 1 句 n 叫 伽 n t 加 e 釘削 I. すべての構成可能な相互作用の配図 c= ( t ,. d) の集合. 比以上の仮定により,. C=TxD=, D. ( 3 ). 仰. として与えられま つぎに見方をかえて,与えられた n個の機会のラちのある特定の機会一ーた とえば,第. t番目の機会一一ーに注目してみよう。いま,. ( 3 )式によって与えられ. る集合Cの第 t成分を Ci ) ={( t i,d包. I t ,dτ E D,} i. ( 4 ). とすれば,叙上の集合 C は,との ( 4 )式の族の直積集合,すなわち,. czzpp=C1×C2× × C η ( 5 ) によって表わされる。 さらに, Ci= rC Y キ i~. ~. ζ の順序対 c =( t , d) を,旅行配図 ( T r a v e lc o n f i g u r a t i o n )とよぶとともできる。 Smith,T.E.,ot. cit.,1976,P.339,参照。 ( 1 5 ) かかる順序対のすべての集合を C o n f i g u r a t i o nc l a s s " とよぶとともできる。. α4).
(6) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 468. 第 2号. 第53巻. ‑282 ー. C o m p l e m e n t ) を表わすととにすれ 集合 Cの第 t 成分の補集合 C. によって, ば ,. ( 7 ). C=Ci XCi. この集合 Cに 属 す る 個 々 の 空 間 的 な 相 互 作 用. の関係が成立す町ることにより, の配図. t , C= (. 成分表示 ( i‑r e p r e s e n t a t i o n ),すなわち, d) は,集合 Cの 4. ( 8 ). ti ,d i,t i,di ) c= ( ただし,. ,. ( ti,d i ) E Ci ,( ti ,d i )Ec. ( 9 ). として書き表わすことができfる 。 また, 以下で明らかにする分析目的のため. ,. に,集合 Cの各成分 C ‑一ーただし,. V. i ,E 1 " .をみたすものとする一一ーの要素. のろち, そのトリップ水準れについては,つねに正値をとるものと仮定すると とにしよう。したがって,. 成分一ーすなわち, この場合,集合 Cの第 t. c , ;=nxn. Ci一一ーは. 日 0 ). t. ただし,. 4. ) ・1 1 (. 。. 。. dも ミo } +={tiERIt も> o}, ={diERI. として, その要素が指定されることになる。 t,d) の聞で,空間 最後に,集合Cに属する構成可能な相互作用の配図 c=( 行為者 G が有する選好 ( P r e f e r e n c e ) について言及しておこう。 この選好~関 するわれわれの基本的な考え方は, つぎの 2つの条件の成立を仮定することで ある。すなわち, (i) 空間行為者. G が,叙上の相互作用の配図. ついて,そのすべての対を比較することがでさる, また,. ( i i )空間行為者. G. c= ( t,の に. とL、ラことであり, しかも. は , 推移律が成立するように,. それらの対を順序. τ. ( C o n n e c t i v i t y )の条件という。すなわち,i,f .EI nをみたすすべ のC i,C iεCについ て,C j がのよりも選好される ζ とがない(すなわち,C i " > C i ) か,または,C iがのよりも選好されることがない(すなわち C / . >C i ) と主張し得 ることを意味するものである。. ( 1 6 ) これを連絡性. 1.
(7) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑283 ー. 空間割引行動の理論につい亡. 4 6 9. づけることができる,. 僻 が,集合 Cに関して弱 l そこで,. 空間行為者 aの選好. ということである。換言すれば、,. (Weak 0耐 の で あ る , と 想 定 す る の で あ £. この集合 Cに関する弱順序に対応してもとめられる順序構造く C,. I n t e r " ic t i o npreferencestruc‑ >>を,空間行為者 αの相互作用の選好構造 ( t u r e ) とよぶことにしよろ。. そのとき,かかる選好構造 <C, > >に属する相. 互作用の配図の任意の対一ーたとえば,. r 空間行為者 αが. /とするーーに関し これを cおよび c. c /よりも cを選好する J,c>c /は. て. c > ‑ c /は. が. cよりも c /を選好することはない J,また C, . , c /は. α rの選好が. r a cと. c /については無差別である」ことを,それぞれ意味するものとしよろ。その結. 果,空間行為者 αの選好は,. 集合 cに関する相互作用の選好構造 <C,>>に. よって,完全にとらえることができるのである。 ( 2 ) 公理としての行動仮説. つぎに,空間行為者 αの選好に関する空間割引行動の理論において,その主 要な行動仮説を整理することにしよう。かかる行動仮説は,前節で試みた予備 的考察を踏まえて,. ,> > に 関 す る 8つの公理とし 相互作用の選好構造 <C. て,つぎのよろに述べることができる。 1). 正の代替可能性の公理. まず,第 lの行動仮説は,. 空間行為者 aが直面する,. 相互作用の配図 c=. ( t, d) の任意の成分一ーたとえば, Ci‑ ーについて,その要素である距離 (di) ( 1 7 ) とれを推移性 ( T r a n s i t i v i t y ) の条件という。すなわち, i.f,kElnをみたすすべ j,C kE Cについて,のがれよりも選好されることがなく(すなわち,Ci> てのの ,C C i),しかもまた,C kがりよりも選好されることがない(すなわち, Ci>Ck) なら t>Ck) ζ とを意味する ば,必ず Ckはれよりも選好されることがない(すなわち,C ものである。 ( 1 8 ) すなわち,任意の空でない集合 Cについて 2項関係(>)が,集会Cに関して弱 順序 (Weako r d eのであることを意味している。 ( 1 9 ) 集合Cに関する各々の弱順序〉に対して,対く C,>>は,集合Cに関する順序構 造 ( O r d e rs t r u c t u r e ) とよばれる。 ( 2 0 ) すなわち,C>C' C >がおよび C, : ; } Cを表わす。 ( 2 1 ) すなわち, c , . . ,c ' C>c'および c'>cを表わす。. ∞ ∞.
(8) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第53巻 第 2号. ‑284‑.. 470. とトリップ水準を ( ti ) との閣のトレード・オフに関するものである。. とくに. いま,機会t に対して正のトリップ水準を行っている相互作用の配図 c=(t, d) に注目し,つぎに,その機会 と想定してみよう。 ーーすなわち. tに至る距離についてだけ変更が加えられたもの. そのとき,空間行為者 aは ,. この距離の変化を相殺する. aの選好が,さぎの Cと距離の変化を受けた新しい配図とでち. ょろど無差別となるような一一トリップ水準れを,機会. tに対して決定する. d) ものと考えるのである。また,これと同様に,さきの相互作用の配図 c=(t, よりも一層選好されるよろな,機会 iit:対するトリップ水準の変更が加えられ た場合には,それによって得る利得を相殺するよろな一一ーすなわち,空間行為 者 αの選好が, この cとトリップ。水準の変更を受けた新しい配図とでちょろど 無差別となるよろなー一一距離の増大が,機会 tに対してあるものと考えるので ある。したがって,叙上の行動仮説は,正の代替可能性とよぶ公理によって, つぎのよちに示される。 公理 1 (正の代替可能性〕 任 意 の れ ム ,c. ( tt,ム t i,d包 ) E C,および ( t 〆,d/) E Ci + に関し. て , i) 争 ( t / ' , d/,t i,d れ>0=. ‑. c. 日 2. および. ( t ん di ,t i,d i )> ‑c今(t/, d/',ti,d心 ‑c. 仰. をともにみたす,ある ( t / ',d / ' ) E Ci+が存在する。. 2). 単調性の公理. つぎに,第 2の行動仮説は,空間行為者 αが直面する,叙上の距離 ( d i )と. ) との聞に介在するトレード・オフの方向に関するもので怠 トリップ水準(ti. tに対して一切トリップを行わないよう な相互作用の配図の聞について,。の選好が機会 tまでの距離に関して完全に る。まず最初に,空間行為者 aが機会. 無差別であるものと想定しよう。つぎに,他の事情が等しければ,空間行為者. i. G. は,つねにより高いトリップ。水準と,つねにより近い距離とを選好するもの. ( 2 2 ) すなわち. t i = Oを意味する。.
(9) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑‑285ー. 空間塁手j 引行動の理論について. 471. と想定しよろ。とくに,いま,与えられた機会. tに関してだけ異なっているよ. ろな相互作用の配図を比較するとき,その機会. tまでのより長い距離と,機会. 4に対するより低いトリップ水準とをともに含んでいるような相互作用の配図. aは決して選好しないものと想定す ることにしよう。そのとき,叙上の行. を. 動仮説は,つぎのよろに示される。 公珪 2 (単調性〕 任意の iE l n,. ( t i,d ), C tt/,d〆) E Ci,および t. ( f i, d i ) ECiに関し. て ,. ti=t 〆=0~ (tt,di,t i,d i )~. ( t 〆 ,d〆,ti,di ). 1 ( 品. および. >(t/,d/ t i,d i ). ( d i孟di /および t t i, d i, t i , di ) 孟t 〆)コ ( i. ( 1 5 ). が , ともに成立する。 8 比例性の公理. 最後に,第 3の行動仮説は,空間割引行動の理論においてもっとも重要な意 味をもつものであるが,それは,空間行為者 αが直面する,機会 tまでの距離. ( d i ) とそれに対応するトリップ水準 ( tt ) との聞に介在するトレード・オフ の相対的大きさに関するものである。とくに,いま,ある所与の相互作用の配 t , d) について,ある機会 tまでの距離が変更され,しかもまた,こ 図 c= ( の距離の変化が,その機会. tに対するトリッフ。水準のある変化によって相殺さ. れるーーすなわち,空間行為者 αの選好が,まえと閉じ無差別の水準を維持す るーーものと想定してみよう。そのとき,こ. ζ. での重要な行動仮説は, この変. 化が,当該機会 tと,さらにまた,その他のすべての機会に対応する距離とト リップ。水準との双方に関しむともに不変であると考えることである。これを 換言すれば,任意の相互作用の配図 c=(t,d)において,ある機会 iまでの距 離が,たとえばめから diノに変!ったとすれば,そのとき, との距離の変化を相. iの相対的変化が,距 殺するのに必要なその機会 tに対する aのトリップ水準 t 離の大きさーーすなわち,di とめ'ーーによってだけ影響を受けるものと考え.
(10) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 3 巻 第 2号. ‑286 ー. ることにほかならない。したがって,. 4 7 2. ここでの行動仮説は,つぎのように示さ. れる。 公理. 3 (比例性〕. すべての人 jE, /η ,および ω = i, j とするすべての(ん ,d w), ( t〆 , dw/). EC〆,および(ん , d叫 EC叩に関して,もしもめと djが 等 し く , し か も また, d〆とめ/が等しければ, ( ( t 叩 ,d即,t w,d即) ‑‑ ( twノ ,dwノ ,t w,d即) ;w=i,j ) t/ t/ =争~=+ ~ t t 1 の関係が,成立する。 色. xiomatic 空間行為者 αの選好に関する Smithの空間割引行動の理論 (Ana t h e o r yo fs p a t i a ld i s c o u n t i n gb e h a v i o r ) とは,上記 8つの公理を同時にみ たす体系にほかならない。その意味で,. との理論とコシ乙/ステシトなーーすな. わち,空間行為者。の行動仮説に関する 8つの公理をすべてみたす一一空間行. S p a t i a ld i s c o u n t i n gs t r u c t u r e ) 為者aの選好構造 <C,>>を,空間割引構造 ( とよび,以下,それを iSD‑構造」と略記することにしよう。 { 3 ) 空間割引構造の表示定理. つぎに,この任意の SD一構造において,空間行為者。の選好を規定する際,. " i m p l i c i t " な役割を担う空間割引関数 ( S p a t i a ld i s c o u n tf u n c t i o n ) の存在に ついて考察を加えるととにしよう。この割引関数の性質を明らかにするため, まず最初に,相互作用の配図. c= ( t , d) の集合 C に関し て,あるタイプの選 1. 好構造をつぎのように構成してみよう。すなわち,任意の非増加全射 (Non 聞. i n c r e a s i n gs u r j e c t i o n ) α:0→ (0, 1Jを選び,. さらに,. すべての c. ( 2 3 ) Smith,T.E.,o p .c i t .,1 9 7 5,pp.36‑37,参照。 ( 2 4 ) 任意の写像 f :X→ Yおよび部分集会 SCX に対して, f のもとでの Sの像 ( i m a g e ) をf (S)={f(x)IXES}によって表わすとされ f が全射 ( s u r j e c t i o n )ーーすなわち, 全射写像ーーとよばれるための必要かつ十分な条件は, f(X)=Yとなることである。 また,関数 f: X→Rが非増加 ( n o n ‑ i n c r e a s i n g )であるための必要かつ十分な条件は, すべての x,. YERη に対して,工芸五 y亡: > f ( x )孟 f( y )が成立することである。 さらに, ( 0 .1 ) は, { . xERI o<x 孟1 }として定められる半開区間 ( h a l f‑ o p e ni n t e l v a l )を 表わすものである。.
(11) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ー ‑287. 空間割引行動の理論について. 473. nmap) o i t a t n e s e r p e r α ・' t,d)ECに関して ,それに 対応する αー表示写 像 ( ( , nnを ー" fα:C. 切 仕 )} n d nα( ,t ),… 2 d 2α( α(d)={tlα(d1),t )=t c r( α ) )1国序構造 g n i s a e r c n I nに関する 任意の増 加 C によって 定義しよ ろ。つぎ に n く0ヘ>~>を選び,さらに,この α ー表示写像 ι と. nn に関する順序構造. >. )の順序構造<C, α〉 e u q i n U <.0ヘ>>によって生成される Cに関する ー窓 ( ノ(V, d/) ECに対して, t,d) ,c ーーすな わち,す べての c= ( ) 8 1 ( ) / d d)>Vα( α( ノ〉∞ t c α( r > ) c /件 fα ( c>αc てつくら れる順 をみたす 順序構造 一ーに注 目してみ よろ。い ま,この よろにし >α 〉を,空間行為者 αの相互作用の選好構造とみなせば,つぎの 序構造く C, よろな解釈を. G の行動に 対して与 えるとと ができる であろろ. 。すなわ ち,もし. している も空間行為者 aが,その 選好構造 を,との ような仕 方で暗黙 裡に構成 , iを ップ水準 t ものと仮定すれば,そのとき, αは各機会 れんに対 するトリ 五 1によって まず効果 的に割 )三 i d その距離 めに関し て非増加 である正 の因子 α( 準れに対し 引いて おり,そのろえで,これらの空間的に割引かれたトリップ。水 空間行為者 aの , αの選好構造を規定しているのである, と。その意味で, て 割引関 ) 式の関係をみたすかぎり, この空間 行為者 αを,空間 8 1 選好構造 が ( ) r e t n u o c s i ld a i t a p S α を有する空間割引者 ( ) n o i t c n u tf n u o c s i ld a i t a p S 数 ( l. とよぷことにしよろ。 要な意味 をも ことで, われわれ は,空間 割引行動 の理論に おいても っとも重 は,叙上 の空間 っ,基本 的な表示 定理を述 べるとと ができる 。すなわ ち,それ 理論とまったく 割引行動 が,空間 行為者 αの選好構造に関する空間割引行動の 0 :. 増加全射 α 等値であ ることを 示すもの である。 とくに, いま,前 述した非. )であるというための必 g n i s a e I C n i X,>>が増加的 ( ) XCRのもとで,順序構造く: 5 2 (. ‑グとなることである。 > x > Y= . : ? 二 て ,x し 対 : Z 要かつ十分な条件は,すべての.x,ダ E Xl 対して,われわれ ,>>に Y < 順序構造 に関する Y ) 写像 f:X→ Y,および fの値域 6 2 ( 可能であり,そ ることが を誘導す > . f > , <X 序構造 一意の順 に関する X , fの定義域 は るととに と規定す 順序構造 れを, fおよびくY,>>によって生成された, Xに関する 。 照 参 , ) 1 . 2 定理 の〔補助 4 3 . p , 5 7 9 1 , . t i c ρ h,T.E",0 t i m する。 S.
(12) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑288 ー. 474. 第53 巻 第 2号. → (0, 1) を 1つの可能な空間割引関数として規定すれば,つぎの基本的な. 表示定理を得る。 定理. 1C 基本的な表示定理〕. ,;>>がSD ー構造であるための必要かつ十分な条 空間行為者aの選好構造<C 件は,すべての相互作用の配図 c= ( t,d ), c/= ( t ,d ' )ぞC に対して,. c;>c /∞t α (d);> α t α' ( d / ). d 9 ). が成立する,一意の空間割引関数 αと,増加順序構造くQ九 〉α 〉が存在する ととである。 いうまでもなしとの定理は,個々の. SD一構造<C,;>>に 対 応 し し 一 意. の空間割引関数 αが存在するととを示唆するものであり,したがって, この関 数 αを,われわれは空間行為者 aの選好構造く C,;>>に対する空間割引関数. <nn,; > α〉 によって生成される n nに関. とよぶことにしよう。さらにまた,この定 E 里における増加順序構造 は ,. SD ー 構 造 くC,;>>とさきの α 一表示写像fα. ] 頂序構造と正確に同じであることが証明される。したがって,かかる順序 する 1. 構造く 0九 〉α> を,空間行為者 aの選好構造く: C,;>>の α一表示として規 定すれば,上記の基本的な表示定理に関するつぎの系 1を得.る。. 系1 任 意 の 増 加 順 序 構 造 く Q ヘ;>>,および,. 空間割引関数 α に対して,. <nヘ;>>は,r α とく n n,;>>によって生成される SD 一構造く C,;>>の αー表示となっている。 また叙上の基本的な表示定理は,空間行為者 aの選好構造について,つぎの ような効用表示の帰結を示唆している。. すなわち,いま,すべての C,C/EC. ( 2 7 ) Smith,T .E.,ot. c i t .,1975,p.38,参照。 ( 2 8 ) Smith,T. E .,0ρ .c i t .,1975,p.34の〔補助定理2.2) ,参照。 ( 2 9 ) いうまでもなく,全射写像 ( s u r j e c t i v emapping)に対して,脚注 ( 2 6 )および ( 2 8 ) で指摘した 2つの補助定理,は双対 (dual) の関係にあり, Smithは,これを〔補助 定理2 .3 ) としてまとめている。 Smith,T .E.,0ρ.c i t .,1975, p.35, およびp.38 の〔系 5 . 1 ) ,参照。.
(13) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 475. ‑289‑. 空間割引行動の理論について. に対して,. 。 位. c>cノ<=>u(c)よ u(c/). が成立しており,しかもまた,そのときにかぎり,この数値関数 u:C → Rを , 空間行為者 aの選好構造. < " . c,>~::>の効用 (Utility) とよぶことにしよろ。ま た. aの選好構造く C,>~:>のすべての効用の集合を uく C ,〉〉によって表わ. すことにしよう。そのとさ,われわれは,. SDー構造の基本的な表示定理によ. かれた「リ って,割引関数 αを有する空間割引者のあらゆる効用が,単に 割ヨ i I. ップ水準 t α (d)の関数として表示可能であることを知る。したがっし. これ. を上記の基本的な表示定理の系 2としてまとめれば,つぎのようになる。. 系2. α一表示 <nn,>>を有する任意の SD ー 構 造<C,>>と任意の効用 U E U く C, > >に対して,すべての相互作用の配図 C=(t, d)ECが , u(c)=uα ( tα(d)). 自1 ). . くn n, > >が存在する。 をみたすような,一意の仙 EU したがって,すべての空間割引構造く C,> > に 対 し む. U<C,>>に属す. る各効用 u(c)=U( t l , t 2, " " ' ,t d l, d 2, dn )は,ただ単に n個の割引かれた変 n, 川. …. …. 数だけからなる関数 uα ( X l,X 2, , X n ) =Uα { tlα(d1),t 2α( d 2 ), ,t nα( d n )} に可約される ( R e d u c i b l e ) のである。ただし,この系 2は, <C , > >が空で 構造く C,>>に対して,ある効用表示が実際に存在 ないーーすなわち , SD‑ している一一一場合にのみ有意であることに留意すべきである。. E グラピティ・モデノレとの関係 前章でとりあげた空間割引行動の理論は,さらに吟味すべき幾つかの間題を ( 3 2 ). 提起している。本章では,とくにその lつに注目し,当該理論と,経験的に観 ( 3 0 ) ただし,ここでは,効用関数のことを単に効用とよんでいることに注意せよ。 ( 3 1 ) Smith,T.E.,o p .c i t .,1975,p.39の〔系 5 .2 ) ,参照。 ( 3 2 ) たとえば,空間割引行動の理論における 3つの公理の検証可能性の問題や,この理 論の随伴する i m p l i c i t " な空間割引関数をいかにして推定するか,といった問題等. が指摘される。なお, これらの問題については,本稿のむすびで言及しよう。.
(14) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第53巻. ‑290‑. 476. 第 2号. 察可能な通常のグラビテイ@モデノレとの関係について,検討を加えることにし ょう。 すでに指摘したように,通常のグラビティ・モデルでは, 距離が相互作用に及 ぼす逓減効果を,経験的な観察結果にもとづいて構成される外部的 (External) な距離関数としてとらえている。ところが, 本稿でとりあげた空間割引行動の 理論にあっては, 当該距離の影響が相互作用の水準よりも, むしろ空間行為者 Gの有する内部的(I nternal) な選好自体を逓減させるものと考えているのであ ( 3 4 ). る 。 その意味で,形式的な側面に注意を払えば,. ここでのアプローチは, 前者. の外部的な形式のグラビティ・モデ/レを,後者の内部的な形式のグラピテイ@ モデノレに置さ換え℃いる, そこで,. ということができよろ。. この点に注目して, かかる内部的なグラビティ・モデノレと経験的な. 観察結果にもとづく外部的なグラビティ・モデノレ)との関係を理論的に究明する ことは, きわめて興味のある研究課題である。 L、 ま ,. その手始めに, つぎのような問題を提起してみよう。すなわち,. 「い. かなる条件のもとで, 空間行為者 αの行ろ空間割引行動が,外部的なグラピテ ィ・モデノレとコン乙/ステントな空間的相互作用のパターシを惹起させるのか. ?J. と 。 これを, さらに具体化して述べれば, つぎのよろになる。すなわち「グラ ビティ型の空間的な相互作用の現象をもたらすような,距離によって割引かれ た相互作用の水準に対して,効用関数がはたして存在するか否か , けているのである。 この問題に対して, Smithは. ?Jを聞いか. 1つの解答を与えている。. その解答は, っきrのように要約される。すなわち「内部的な空間割引行動が, ( 3 3 ) 郡1 1孝・井原健雄,前掲論文, 1977 年7月 , p p . 63‑68,参照。 ( 3 4 ) 本稿の I T,とくに,その ( 3 )を参照せよ。 S p a t i a ld i s c o u n t ( 3 5 ) すなわち,ここでは, 空間行為者 a の有する空間割引関数 ( f u n c t i o n ) を窓味するものである。 ( 3 6 ) すなわち,ここでは,距離が相互作用の水準を逓減させることを直接示す,距離関 数一一これを,さきの空間割引関数と対比させるために,以下では,距離減衰関数 ( D i s t a n c edecayf u n c t i o n ) とよぶことにするーーを意味するものである。 ( 3 7 ) Smith,T.E.,o p .c i t .,1976,の中心課題は,この両者の関係を明らかにするこ とであり,とくに,内部的な空間割引関数と外部的な距離減衰関数との聞の橋渡しを 行うことであった。.
(15) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑291 ー. 空間割引行動の理論につい亡. 477. 外部的なグラビグィ型の空間的な相互作用の現象をもたらすための必要かつ十 分な条件は,距離によって割引かれた相互作用の水準 み合市わせに対して,空間割引者の有する選好が, である。」ということである。乙こで. 加法的な Berg帥 d s zもの. ある正のクェイトを w i ただ. oく ρ<1をみたすべさ指数を. し, i=1,2, " ' ,n ) とし. U (X1,X ' 2, …, Xn). が ,. n. U ( . X 1,' ; ¥ ; 2, " ' ' , ,Xn). の組. i 空間割引者の有する選好が,加法的. な Bergson 型のものである」といろ意味は,. 主体の効用関数. ( . X ' l,. X 2,… , 'xn). 4WiXiP. pとするとき,当該. 。 2 ). として表わされる, ということである。また,その結果として生ずる距離減衰 関数は,つねにそれをもたらす空間割引関数の正のペキ関数でなければならな いことが判明する。すなわち,これは,正のベキ指数を βとするとき,当該両 関数の聞に,. ,β>0. 入( di)=α( d i) s. ( 2 3 ). の関係が成立することを意味するものである。 ただし 入( di):距離減衰関数. α( d i):空間割引関数 を,それぞれ表わすものとする。 以下,この重要な帰結を,さらに敷約し℃述べることにしよう。いま,内部 的な空間割引行動の考え方を,外部的なグラピティ・モデノレの考え方と対比さ せて述べれば,つぎのようになる。 まず最初に,空間割引行動に注目しよう。との場合,すでに述べたように, 空間行為者αは,各機会 iEI nとの交流を,当該機会までの距離によって暗黙裡 に割引くもの,と想定されてL、♂〉すなわち,ある所与の空間行為者 αとその ( 3 8 ) Bergson, A.,RealIncomeE x p e n d i t u r eP r o p o r t i o n a l i t yand F r i s c h ' s ' New Methods o f MeasuIIng Marginal U t i l i t y, " Review of E∞nomic Studies, Vol . 4,1936,参照。 ( 3 9 ) 本稿の Eの( 3 )を参照せよ。.
(16) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第 53 巻 第 2号. ‑‑292ー. 478. 交流の対象となる各機会 tに対して,その機会 tまでの距離をめ,また,その 機会 zへのトリップ水準をれで表わすとき,空間行為者 αは,各機会 zへのト. di)孟 1によって暗黙裡に リップ水準れを当該距離めのある正の非増加関数 α( 割引くものと想定されており,. この関数 αを,われわれは αの空間割引関数と. よんだのである。また,このとされ空間行為者 αが , 各 機 会 れ ん に 対 す る ト 2, …, t η〉の選択的なパターンを,ただ単に当該距離によっ℃ リップ水準(tl' t. tl α(d1 ) , t 2α(d2 ),. . , t nα (dn ) }によってだけ評価 割引かれたトリップ水準 { するかぎり,その空間行為者 aを,われわれは,空間割引関数 αを有する空間 割引者として規定したのである。さらに,. こ乙で最大化法、向の概念を明示的に. 導入しておころ。それは,つぎのように定義される。いま,実行可能な最大限 の総トリップ水準によって制約された空間行為者 αが,各機会 if I nに対して 可能なトリップ水準. t 。がもっとも好む,距離に iを決定する状況において,. よって割引かれた実行可能な「リップ。水準のパターンをつねに選択するとき, われわれは,その空間行為者 aを,最大化志向. (Maximizing) の 空 間 割 引 者. とよぶことにしよう。 つぎに,外部的なグラビティ・モデノレの考え方に注目しよう。との場合には, 各機会れ I nに対する空間行為者 αの観察されたト Yップ水準が,. ある規則的. ( 4 0 ) いま,任意の距離配図 df , on と,空間行為者。の実行可能な総トリップの水準 7>0. によって構成される対・ぐ d,r >を , αの潜在的な相互作用の原図とよぶことにしよ う。また, [ = o , n xo,+によって,モのすべての構成可能な相互作用の原図 <d,7 ' > の集合を表わすとき,かかる原図 <d,70>E[と相互作用の配図 c ' =( t ',d')ECに 対して c 'がく: d,γ〉のもとで実行可能 (Feasible) であるための必要かつ十分 五 γ が同時に成立することである。このとき,くd, T>のも な条件は,d'=dとヱ ti三. とで実行可能な相互作用の配図の集合は,. ω. ( ベt,d)EC\~!. , r>=. ~T} によ. i. って示される。つぎに,各原図くd, γ>において,空間行為者 4の観察された相互作 用のバターシを t<d,'r>=( t l<d, T>,t2<d, T>, tn<d,γ>)EC<d, T>と して表わすとき, αが最大化志向の主体 (Maximizer) とよばれるための必要かつ十 分な条件は, αの観察された相互作用のパターシ Zくd,γ >が,くd,<>のもとで実 行可能なほかのいかなる相互作用のパターシよりも選好されるということ,すなわち すべての <d,T>E[に対して cEC<d, T>ー ¥ ( t<d, T>,d)} ;:> (tくd, T>,d)> ‑c が成立するということである。.
(17) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 479. 空間割引行動の理論について. ‑293ー. な仕方で距離の増大とともに減衰していくものと想定されている。そこで,い ま , とくに,異なった機会に対する. G の観察された相対的なトリップ水準が,. 当該距離の非増加関数の相対的大きさにつねに比例するものと想定し℃みよ う。すなわち,各機会 i EI nまでの距離 di (ただし. i=1,2,… ,n)を変数とす. るある正の非増加関数 λ ( di)孟 1が存在し,しかもまた,任意の機会人 j ( た だし , i ヂj)に対する空間行為者 G の観察された相対的なトリップ水準 t iと tj が,つねに d j ) ム/tjQく入 (di) /入 ( の関係をみたすとき/",. われわれは,. 品 。 かかる αの空間的行為が,. 距離減衰関数. (Di s t a n c edecayf u n c t i o n ) を入とするグラピティ仮説 ( G r a v i t yh y p o t h e s i s ) をみたしている,. と考えるのである。したがって,. ζ のような空間的行為は,. すべてグラピティ型の空間的相互作用の現象を惹起するものである,というこ とができ. i J。また,この考え方は,. あ る 正 の ク ヱ イ ト 川 各 機 会 川zに対. に対するトリップ水準 t iが,つねに();と して存在し,空間行為者 αの各機会 i 入( d i )との積に比例するーーすなわち t る氏。る入( d ; ). 白5 ). の関係が成立する一一ことを示唆している。したがって,. ( 2 5 ) 式のなかで,. A t t r a c t iv e n e s s ) を割引くかたち 距離減衰関数 λが,各機会の有する誘引性 ( で入っていることは,さまの空間割引関数 αが,各機会に対するトリップ水準 を直接割引いて L、るのと対比させて,さわめて興味深い。その意味で,叙上の グラビティ仮説とは,空間行為者 αの各機会 iEI nに対する観察されたトリッ プ水準んが,当該機会の有する誘引性の割引かれた水準 例するような,外部的な空間割引関数入の存在を, のである,. ( ) iλ ( di). とつねに比. αに対して要請しているも. ということもできょう。. さて,以上の諸概念を用いれば,すでに提起した内部的な空間割引行動と外 部的なグラビティ・モデノレとの関係は,以下に示す 2つの定理によって明らか ( 4 1 ) このクヱイト f J tは,機会t の有する誘引 ( A t t r a c t i o n ) を反映するものと考えられ 心。.
(18) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 3 巻 第 2号. ‑294ー. 480. となる。まずその第 1の定理は,空間割引関数 αと距離減衰関数 λ との聞に成 り立つ一般的な関係を確立させるものであり, これを適合性の定理としてまと めれば,つぎのようになる。 定理. 2 (適合性の定理〕. 空間割引関数 αを有する最大化志向の空間割引者が,距離減衰関数を λと するグラビティ仮説をみたすための必要条件は,. すべての di孟. o (ただし,. i=1,2, ゆ 川, n ) に対して,. =α(di)s. ( 2 6 ). 入( d i ). となる定数β>0が存在することである。 この定理より明らかなことは,空間割引関数 αと距離減衰関数入とが適合で まるのは,ある正のベキ変換 ( P o s i t i v epowert r a n s f o r m a t i o n ) によって, その両者が関係づけられているとまにかぎられるということである。この帰結 は,空間行為者。の有する効用関数のうち,ある特定のものについてのみ言及 しているのではないといろ点で, とくに留意する必要がある。たとえば,空間 行為者 αの有する空間割引関数 α が,かりに指数形であるとすれば,. αの有す. る効用関数の形になんらかかわりなく,距離減衰関数入もまた,指数形でなけ ( 4 3 ). ればならないことを,. この定理は示唆しているのである。. つぎに,その第 2の定理は,最大化志向の空間割引行動とグラビティ仮説と の適合性に関する上記の必要条件をさらに一歩押し進め,両者の関係を等値の 定理として特徴づけるものである。そのためには,空間行為者 αの選好に関す る狭義の安定性 ( S t r i c ts t a bi 1 i t y ) といろ条件を導入しておく必要がある。そ とで, く. この条件を定義すれば,つぎのようになる。空間行為者 αの選好構造. C,>>が狭義の安定性をみたしているといわれるための必要かつ十分な条. 件は,ある所与の距離配図 dE, nnに対する aの任意のトリ y プ配図 t ,t ' E, nn. ( 4 2 ) Smith,T.E.,o p .c i t .,1976,p p . 3 4 3 ‑ 3 4 5 . ( 4 3 ) すなわち,いま,機会 tに対する空間割引関数 α(di)=e‑μの(ただし μ>0)で表わ すとさ,適合性の条件をみたす距離減衰関数は,定理 2よ り λ (d包)=e‑(sμ) d i = e ‑ r ' d i(ただしγ>0) として表わされることになる。.
(19) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑295 ー. 空間割引行動の理論について. 481. に関して,. W ,d) > ( t , d) 悶. 今(V, d) >~ ( t +ε,d). ( 幻 ). の関係をみたす,ある正のベクトノレ ε E Dヘが存在することである。 したがって, この定義の意味することは,つぎのようになる。いま所与の距 離配図 dに対する 2つの異なったトリップ配図 tと t 'を比較して,空間行為者. aが明らかに tよりも t 'を選好するーーすなわち, (tr,め>‑( t , d )の関係が S u f f i ‑ この αの選好が, tの十分に小さい (. 成立する一一ーと主張し得るとき,. c i e n t l ys m a l l )変化によっては,. なんら影響を受けないものと考えているので. ある。 さて,. この空間行為者 αの選好に関する狭義の安定条件がみたされるものと. 仮定すれば,最大化志向の空間割引行動とグラビティ仮説との関係を,等値の 定理として,っきfのように述べることができる。 定理. 3 (等値の定理〕. 空間割引関数 α と狭義の安定条件をみたす選好構造く C,>>を有する最大 化志向の空間割引者が,グラピティ仮説をみたすための必要かつ十分な条件 は,すべての相互作用の配図 c=( t,d) E Cに対して定義される空間割引者の 効 用 関 数 以c )が , u(c) =. ) } =kω i( t zα(d2),… ,t n α( dn tiα( di))ρ 側. U{ t l α( d l ),. によって表わされる,ある正の定数 w〆 D+ (ただし , i=1,2,… ,n ), およ び pE(O,l)が存在することである。. とくに, この定理は,最大化志向の空間割引行動とグラピティ型相互作用の 現象との聞に,つぎのような l対 1の対応があるととを示唆している。すなわ ち,その対応とは,まず,空間割引関数 αと側式によって規定される効用関数 を有する最大化志向の空間割引者がもたらす相互作用の現象は,各機会 IElnに 対して付与される誘引性のクェイト. ( ) iを ,. ( 4 4 ) Smith,T.E.,op. c i t .,1976,PP. 350‑353..
(20) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 3 巻 第 2号. 一 回 296‑. (i=1,2,", n). (h=Wi1/(1 ρ). 482. 白9. として定め,また,距離減衰関数入を, 入( di). = α( d ; )ρ/(1ー の. ( 3 0 ). とするグラビティ仮説のもとでの現象から区別できない ( I n d i s t i n g u i s h ab l e ) といちことである。また,逆に,各機会れんに対して付与される誘引性のワ ェイトをム(ただし. i=1,丸一 , n) としてもち,また, 距離減衰関数を. するグラビティ仮説をみたす相互作用の現象は,. λ. と. 任意の定数 ρE(O,l) に対. Lてつぎのように定義される空間割引関数 α(di )=. 入. ( d i )(1‑P)/ρ. と,さきの倒式のろち,. ( 3 1 ). そのヲェイト軌を,. Z41zzof‑p 〉 ( izl,2, …, n ). ( 3 2 ). とする効用関数を有する最大化志向の空間割引者の行動結果の現象から区別で きない,といろことである。. 3 D式において, p=‑} と仮定してみよろ。そのとき,空間割 とくに,いま, ( 引関数αと距離減衰関数入とが完全に一致するーーすなわち, α=λ が成立す る一一ことが明らかとなる。このことは,空間割引者の内部的空間割引関数 α が,その結果として外部的に形成される距離減衰関数入と全く同じになるよう ( 4 6 ). な最大化志向の空間割引者。が必ず存在することを意味するものである。さら に ,. また,. この両者の対応は,そのほかのタイプの空間割引行動が,決してグ. ラピティ仮説と適合しないという意味において一義的であることが判明する。 以上によって明らかにされた,内部的な空間割引行動と外部的なグラピティ 仮説との対応関係は,いうまでもなく(お)式によって規定される B ergson 型の効 ( 4 5 ) この式の導出に関して, Smithは,誤りを犯している。 Smith, T.E.,o p . c i t ., 1 9 7 6,p . 334の ( 2 .7 ),参照。 ( 4 6 ) したがっ十て, この場合,内部的な空間割引行動と外部的なグラピティ型相互作用の 現象との間には,完全な対応が存在することになる。その意味で,この対応を句e l f d u a l " の割引行動とよぶことができる。 Smith,T.E.,o p .c i t .,1 9 7 6,p . 354, 参. 照 。 ( 4 7 ) ただし,この場合,狭義の安定条件をみたす最大化志向の空間割引行動に限定され. ていることは,いうまでもない。.
(21) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 4 8 3. 空間割引行動の理論について. ‑297 ー. 用関数によって導出されたものである。したがって,もしもわれわれが,空間 的な相互作用の現象を,当該行動主体の合理的な行動仮説によってとらえよう. ergson型の効用関数によるアプローチが, とする場合には,かかる B. とくに有. 効であるものと思われる。. W むすび 以上,本稿において,われわれは,空間的な相互作用の現象を,当該主体の. mithの「空間割引行動の理論」 行動仮説にもとづいてとらえる方法として S に注目し,その概念の紹介と結果の要約を行うことにより,空間割引行動に 関する " a x i o m a t i c " な理論のもつ意味を明らかにするべく努めてまた。そのな かもとくに重要な役割を担うものが,. S p a t i a l 空間行為者による空間割引 (. d i s c o u n t i n g ) といろ概念であった。 この空間割引について, Smithは,外部 的な距離減衰関数とは異なる,内部的な空間割引関数を新たに設定することに よって,距離が相互作用に及ぼす逓減効果をそのなかに組み入れる方法を採用 したのである。 いろまでもなし割引概念自体は,決して新しいものではない。たとえば, 将来収益の現在価値を求めるのに,時間(ないし,利子率〉で割引くことは, 経済学において周知の方法である。もとより,その場合にあっても,なにゆえ に現在の収益と将来における同額の収益とを同じにみないのかという点につい て,十分な究明がなされているとは言い難. r iとはいえ,. 将来の収益を時間. (ないし,利子率)で割引くということ自体に異存を唱える人は, であろう。また,. との割引概念を,さらに空間的な現象に対して適用した研究. も過去において皆無ではない。たとえば 吹. まずいない. I s a r dが,彼の古典的な名著,. L o c a t i o nandS p a c e ' .Economy" のなかで提唱した電電 Transporti n p u t s "の概. ( 4 8 ) いわゆる割引計算がなぜ必要であるのかについて, Anow& Kurzは 1つの興味 ある解答を与えている。 Auow,K.. J . , & KUIZ, M.,p u b l i cI n v e s t m e n t, t h e R a t e ofReturn,andO p t i m a lFi s . c a lPo! ic y,B a l t i m o r eand L o n d o n, 1970, PP. 12‑13 ,参照。.
(22) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑.298‑. 第53 巻 第 2号. 484. 念も,その 1つに数えられよう。 しかしながら過去における割引概念の適用は,もっぱら物理的な割引概念. ( P h y s i c a ld i s c o u n t i n g ) に限定されていたことに注意を払ろ必要があろろ。 その意味で, Smithによって試みられた割引概念の適用は, なものとは異なり,. これまでの物理的. あくまでも当該行動主体の主観的な割引概念 ( S u b j e c t i v e. d i s c o u n t i n g ) であった点に,その特徴をもとめることができる。 空間割引に関するこの主観的な理論が,ほかの物理的な諸理論と決定的に異 なる点は,空間(ないし,距離)によって相互作用の水準を割引く行動を,直 接的には観察されない,ある主体の i m p l i c i tな部分として理解している, とい う点にある。その結果, この主観的な理論にあっては,空間割引を反映すると 思われる観察可能な行動によって,間接的に距離の相互作用に及ぼす逓減効果 を定式化せねばならないのである。換言すれば,われわれは,空間(ないし, 距離〕で割引くという考え方を,理論の外部的な前提として置くのではなく, その理論のなかで,結果として導出し,それを当該行動主体に帰属させようと しているのである。したがって,このようなアプローチに従ろかぎり,われわ れは,叙上の空間割引概念を完全に特徴づける空間行為者の観察可能な行動に よって,その合理的な行動仮説を設定することが,必要となる。 Smithは,か f .んに対する距離 d かる行動仮説を,各機会 i i とそのトリップ水準んのみを前. 提とする 8つの公理としてとりまとめ,さらに.,そのすべての公理を同時にみ たす体系を「空間割引行動の理論」として規定したのである。 しかし, この Smithの「空間割引行動の理論」は,さらに吟味すべき幾つか の問題を提起するものである。最後に,それを以下の 8項目に分けて整理し, ひとまず稿を閉じることにする。. 1). 空間的相互作用のそのほかの理論との関連について。. 2). 空間割引行動の理論の検証可能性について。. 3). 空間割引関数の推定方法について。. ( 4 9 ) I s a r d,W.,L o c a t i o nandSμce‑Economy,t h eM.I .T. P r e s s,1956,p p . 7 7 ー 90,参照。.
(23) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 4 8 5. ‑299. 空間割引行動の理論について. 副 司. 第 1の点、について,とくに問題となるのは, Beckmannを中心として提案さ れた純効用 ( N e tu t i l i t y ) にもとづく理論との関連である。すでに述べたよう に,その理論では,空間行為者のトリップ選好が,距離の効果を喫 i m p l i c i t "に 純化 ( N e t t i n go u t ) するべく想定されている。他方,. 空間割引行動の理論に. n、へのトリップ水準れを,当該距離 dもによって割引く結 おいても,各機会 iE I 果,純効用の理論と同じよろに,距離の効果を純化す町るものと考えることがで. き Fる。しかし,その純化の仕方は,当該両理論において,異なるものとなって di) が 互 い に 独 立 で は な し そ の いる。なぜなら,純効用の理論では ,ti と α( 両者がともにトリップに依存するものとみなされ℃いるからである。 第 2の点は,ある特定の状況において,空間割引行動の理論の妥当性を検証 することである。いろまでもなく,本稿で提起した空間行為者の行動に関する. 8つの公理は,直接的に観察可能な相互作用の配図によって,すべて述べられ ており,その結果,少なくとも理論的には,われわれの直接的な観察によっ'( モれを検証することが可能である。また,その公理のすべてを経験的に検証す ることも不可能ではない。しかし,その公理が,すべての相互作用の配図に対 して正確に成り立つことを期待するには無理が生じよろ。なぜなら,その場 合,つねにわれわれは,経験的検証可能性 ( E m p i r i c a lt e s t a b i 1 i t y ) の厳密な 基準を用いることによって,その公理が誤りであることを証明せねばならない からである。その意味で,通常の統計的な検証手続きが利用可能となるよう な空間割引行動の理論に対する確率論的接近ーーたとえば,選択確率 ( C h o i c e. p r o b a b i l i t y ) の導入などーーが強く望まれることになろう。 最後に,第 8の点として問題になるのは,. 空間行為者が "imp 1 i c i t " に有す. る空間割引関数 αの推定方法を検討することである。との問題に対する 1つの 可能な方法は,本稿で述べた〔基本的な表示定理〕を用いることにより,この 関数 αを直接的な方法で推定することである。もとより,この方法では,関数. αについての局所的な情報は得られ℃も,さらに何らかの強い仮定を加えなけ ( 5 0 ) たとえば, ( 1 7 ) 式を参照せよ。.
(24) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑300ー. 第 53 巻 第 2号. 486. れば,決してその大局的な情報を顕在化させることはできない点に, とくに注 意を払う必要がある。また,われわれにとって,直接的な情報が利用可能でな いとすれば,間接的な推定法一ーたとえば, " RevealedP r e f e r e n c e "の理論と いった標準的な分析方法一一ーによって,空間割引関数 αをもとめることも考え られる。 [付記〕 昭和 55 年 3月,本学経済学部を御退官された金森恒利教授の学恩に感謝しつつ,小稿を ささげる。なお,本学経済学部副手,宮城正校さんには,清書ならびに校正の労を煩わ. した。ここに記して,謝意を表明したい。). 5 1 ) たとえば, Chipman,J . 8 .e ta l .,Preference,U t i l i t y andDemand,New Y o r k :H a r c o u r t,B r a e& J . a v a n o v i c h,1 9 7 1 ,参照。.
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