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女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

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女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

Ⅰ 緒言

 鹿児島県は,九州の最南端に位置し,南北600kmに渡る広大な県土を有し,太平洋と東シナ 海に囲まれ温暖な気候の土地である。歴史的には,日本列島の南端という地理的条件は,日本 文化が南方や中国大陸,朝鮮半島から伝えられたように,食文化も同じ経路で伝えられ,鹿児 島がその玄関口にあたり,さらに中央の人々によって日本化され鹿児島に伝えられ独特の食 文化が形成されてきた1)。しかし近年,社会の変化や流通の発達などにより,全国的な均一化 が進み,内食が減少し外食や中食が増加し2),核家族化や共稼ぎの増加は,食の洋風化・国際

女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

進 藤 智 子

A Survey of eating for local dishes in Kagoshima prefecture among junior college female students

Tomoko Shindo

      

 核家族や共稼ぎの増加,外食や中食の普及は家庭において食事作りを一層簡便化 する傾向を助長し,郷土料理の伝承が危惧される。そこで,将来伝承の担い手となっ てゆくであろう女子短大生に郷土料理(30品目)に対する喫食経験,嗜好,喫食の 方法,調理経験,郷土料理に対する考え方などの状況を把握する目的で調査を行なっ た。対象女子短大生の家族構成は核家族92.3%,鹿児島県での居住年数10年以上は 92.9%であった。30品目中,喫食経験が90%以上の料理は10品目,一方,50%以下 は12品目であった。食べる頻度は,「時々」が最も品目数が多かった。喫食経験者 が90%以上かつ「好きである」が90%以上の料理は,鶏飯・豚骨・黒豚のしゃぶしゃぶ・

さつまあげ・いも天・さつま汁・豚汁の7品目であったが,ほとんど全ての品目に ついて喫食経験者の70%以上が「好きである」と回答していた。喫食の方法は料理 により,内食,中食,外食別に特徴がみられたが,中でも菓子類は圧倒的に中食の 割合が高かった。調理経験は豚汁が58%で最も高く,ほとんど作ったことがない状 況が示唆された。郷土料理に対する考え方(複数回答)では, 「伝えていくべき」「健 康的」 「印象が良い」 「作りたいと思う」が約80%, 「作り方を知らない」が15%であっ た。また,クラスター分析により30品目の料理は4つに分類された。

Key words:[郷土料理][鹿児島][女子短大生][伝承]

        (Received September 24,  2010)

鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第41号,75-88 2011

*鹿児島純心女子短期大学生活学科食物栄養専攻(〒890-8525 鹿児島市唐湊4丁目22番1号)

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鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第41号 (2011)

化,簡便化傾向となり,食事を調整する家庭の機能が衰弱し3)4),郷土料理の伝承が危惧される。

そのような状況下で2005(平成17)年に食育基本法が制定され,食育は「生きる上での基本であっ て,地育,徳育及び体育の基礎となるべきもの」とし,その目的や基本理念に沿った施策のも とに,国,学校,保育所,家庭,地域で食育が展開されている5)。学校給食においては,生き た教材として地場産物や郷土食を活用した献立を積極的に取り入れる取り組みがはじめられて いる6)。しかし,県民の郷土料理の喫食状況や意識についての資料がないのが実情である。と りわけ,食育の観点から,将来郷土料理の担い手となってゆく女子学生の実態について把握す ることは必要であると考えられる。

 本研究では,女子短大生(2005年当時,高校2年または3年)を対象に鹿児島の郷土料理に対 する調査を実施した結果,若干の知見を得たのでここに報告する。

Ⅱ.調査について

1.調査の対象

   本学の生活学科現代ビジネスコース及び英語科の女子短大生(18~20歳)200名にアン ケートを行い,156名から回答を得,回収率は78.0%であった。

2.調査の方法と時期

   調査は調査用紙を配布し,自己記入式(無記名)によって記入してもらい,後日回収した。

調査の時期は2008年7月上旬に行った。

3.調査の内容

 1)属性   ①家族構成

  ②鹿児島県居住年数  2)郷土料理

  ①喫食経験と頻度   ②嗜好について

  ③喫食の方法(内食・中食・外食)

  ④調理経験の有無

  ⑤郷土料理に対する考え方  3)調査30品目の料理7~11)

  以下の30品目1)6)7)について調査を行なった。

  《主食》

   酒ずし,鶏飯,からいもご飯,油そうめん   《主菜・副菜》

    豚骨,黒豚のしゃぶしゃぶ,地鶏の刺身,さつまあげ,きびなごの刺身,

   かつおのたたき,しゅんかん,冬瓜の煮込み,いも天,がね,といもがらの酢の物,

   つぼ漬け   《汁物》

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女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

   さつま汁,豚汁,へちまとそうめんの汁,かいのこ汁   《菓子類》

   かるかん,あくまき,文旦漬け,じゃんぼ餅,げたんは,つのまき,ふくれ菓子,

   よもぎ団子,ねったぼ,高麗餅  4)集計ならびに類似性の分類

   各質問項目に対する回答を料理ごとに集計し,百分率で表し,類似性の分類はウォード法 による階層的クラスター分析12)を行なった。

  なお,クラスター分析には以下の項目を用いた。

  ①喫食の頻度   ②喫食者の嗜好

  ③喫食の方法(内食・中食・外食・その他)

  ④調理時間(手作り)7)8)11)13)

Ⅲ.結果および考察

1.属性

 ⑴ 家族構成

    家族構成については,殆どの92.3%が核家族であり,3世代同居家族は7.7%であった。

図1に示した。

 ⑵ 鹿児島県居住年数について

    5年未満3.2%,5~10年未満3.8%,10~20年92.9%で,ほとんどの学生が,鹿児島育 ちであることを裏付けていた。図2に示した。

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図1 家族構成

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図2 鹿児島県居住年数

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鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第41号 (2011)

2.郷土料理について

 ⑴ 喫食経験と頻度

    30品目についての喫食経験率は表1に示したが,中でも豚汁,さつまあげ,鶏飯,いも 天,ふくれ菓子,かるかん,豚骨,あくまき,黒豚のしゃぶしゃぶ,さつま汁の10品目の 喫食経験率は100~90%と非常に高くなっており,その他7品目が80~70%の喫食経験率で あった。一方,喫食経験率60%以下が13品目であり,そのうち50%以下が12品目で,酒ず し,がね,へちまとそうめんの汁,ねったぼ,つぼ漬け,油そうめん,かいのこ汁,文旦 漬け,高麗餅,つのまき,といもがらの酢の物,しゅんかんであった。

    食べる頻度(よく・時々・過去に食べた・食べたことがない)については,「よく食べる」が,

豚汁の46%で最も高く,次にさつまあげの41%,地鶏の刺身の35%であった。「時々食べる」

が50%以上の料理は11品目であった。「過去に食べた」はからいもご飯,鶏飯,あくまき,

げたんは約40%を占めていた。表2に示した。これらの結果より,郷土料理を食べる頻度は,

喫食経験率の高い品目においても「時々」食べられている状況が示唆された。

表1 喫食経験について

順位 郷土料理名 % 順位 郷土料理名 %

1 豚汁 100 16 きびなごの刺身 74

2 さつまあげ 99 17 からいもご飯 70

2 鶏飯 99 18 冬瓜の煮込み 57

2 いも天 99 19 酒ずし 43

2 ふくれ菓子 99 20 がね 41

6 かるかん 98 21 へちまとそうめんの汁 33

6 豚骨 98 21 ねったぼ 33

8 あくまき 96 23 つぼ漬け 29

9 黒豚のしゃぶしゃぶ 96 24 油そうめん 28

10 さつま汁 92 25 かいのこ汁 27

11 よもぎ団子 88 26 文旦漬け 23

12 じゃんぼ餅 85 27 高麗餅 22

13 げたんは 82 28 つのまき 20

14 かつおのたたき 79 29 といもがらの酢の物 11

15 地鶏の刺身 76 30 しゅんかん 7

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女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

表2 食べる頻度について

料  理  名 頻     度 (%)

よく 時々 過去に食べた 食べたことがない

主食

酒ずし 2 17 24 57

鶏飯 6 56 37 1

からいもご飯 3 28 40 30

油そうめん 1 9 18 72

主菜・副菜

豚骨 18 65 15 2

黒豚のしゃぶしゃぶ 21 60 15 4

地鶏の刺身 35 31 10 24

さつまあげ 41 51 8 1

きびなごの刺身 13 41 21 26

かつおのたたき 27 51 1 21

しゅんかん 1 6 0 93

冬瓜の煮込み 9 28 20 43

いも天 33 58 8 1

がね 20 19 3 59

といもがらの酢の物 3 8 0 89

つぼ漬け 8 14 6 71

汁物

さつま汁 27 51 14 8

豚汁 46 54 0 0

へちまとそうめんの汁 4 13 16 67

かいのこ汁 5 8 14 73

菓    子

かるかん 21 53 24 2

あくまき 22 38 36 4

文旦漬け 1 12 10 77

じゃんぼ餅 11 50 24 15

げたんは 12 34 36 18

つのまき 3 9 8 80

ふくれ菓子 31 51 17 1

よもぎ団子 18 46 24 12

ねったぼ 9 16 8 67

高麗餅 2 10 10 78

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 ⑵ 嗜好について

    嗜好については喫食経験者から回答を得た。30品目の料理中「好きである」が約90%を 超えている料理は18品,その他の品目については冬瓜の煮込みの62%を除いて70%以上が

「好き」と回答していた。喫食経験者が90%以上かつ「好きである」が90%以上の郷土料理は,

鶏飯・豚骨・黒豚のしゃぶしゃぶ・さつまあげ・いも天・さつま汁・豚汁であった。しか し,喫食経験率50%以下の品目でも,喫食者においては約70%以上が「好きである」と答 えており,注目すべき結果であると考えられた。表3に示した。

 ⑶ 喫食の方法について(内食・中食・外食・その他)

    喫食の方法については,喫食経験者に対して行い,複数回答を含むものである。内食は 家庭での手作り及び手作りをもらって食べた場合も含み,また調理済み食品または半調理

表3 喫食経験者の嗜好について

料理名 好き/喫食経験者(%) 喫食経験率(%)

主   食

酒ずし 91 43

鶏飯 93 99

からいもご飯 91 70

油そうめん 91 28

主   菜   ・   副   菜

豚骨 90 98

黒豚のしゃぶしゃぶ 100 96

地鶏の刺身 95 76

さつまあげ 95 99

きびなごの刺身 78 74

かつおのたたき 96 79

しゅんかん 100 7

冬瓜の煮込み 62 57

いも天 93 99

がね 91 41

といもがらの酢の物 100 11

つぼ漬け 98 29

汁   物

さつま汁 94 92

豚汁 99 100

へちまとそうめんの汁 77 33

かいのこ汁 79 27

菓    子    類

かるかん 84 98

あくまき 75 96

文旦漬け 70 23

じゃんぼ餅 93 85

げたんは 71 82

つのまき 73 20

ふくれ菓子 83 99

よもぎ団子 90 88

ねったぼ 80 33

高麗餅 74 22

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女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

済み食品に何かしらの手を加えて調理した場合も含まれる。中食は市販の弁当や惣菜など を購入して食べた場合,外食は飲食店で食べた場合とし,その他には学校給食や調理実習 での経験等が含まれている。

    主食の品目のうち,からいも飯と油そうめんは約70%が内食で,鶏飯は,内食が35%と その他(学校給食・調理実習など)が36%でほぼ同じ割合であり外食が20%であった。酒 ずしは,53%が内食,中食14%,外食21%であった。図3に示した。

    主菜・副菜の品目では,豚骨,黒豚のしゃぶしゃぶ,きびなごの刺身,冬瓜の煮込み,

いも天,がね,といもがらの酢の物の12品目中7品目において内食の割合が約70%以上 であった。中食の割合が多い料理は地鶏の刺身56%,さつまあげ52%,かつおのたたき 67%,つぼ漬け54%であった。しゅんかんは,内食36%,その他(学校給食・調理実習な ど)36%であった。図4に示した。

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図3 主食の喫食方法(複数回答)

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図4 主食・副菜の喫食方法(複数回答)

(8)

-82-

鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第41号 (2011)

    汁物の品目では,4品共に内食の割合が最も高く,豚汁は86%,さつま汁70%,へちま とそうめんの汁は75%,かいのこ汁59%が内食であった。また,さつま汁,へちまとそう めんの汁,かいのこ汁はその他が20%強で,学校給食や調理実習で食されていることが示 唆された。図5に示した。

    菓子類では,中食(購入)の割合が高いことが共通の特徴となっていた。あくまき,ねっ たぼ,つのまき,よもぎ団子の4品目は手作りが約50%近くであったが,これらについて も中食の占める割合は30%以上であった。また,つのまき,高麗餅は,その他(学校給食・

調理実習など)が20%強であった。図6に示した。

 ⑷ 調理経験の有無について

    調理経験の有無については喫食経験者に対して行なった。調理経験率が50%を超えてい た品目は,30品目中がね,しゅんかん,豚汁の3品目であるが,がねの喫食経験率は41%,

しゅんかんはわずかに7%である。喫食経験者がほぼ100%の豚汁,鶏飯,豚骨,さつまあ

図5 汁物の喫食方法(複数回答)

9

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図6 菓子類の喫食方法(複数回答)

(9)

-83-

女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

げ,いも天,黒豚のしゃぶしゃぶにおいては豚汁58%,いも天43%であった。菓子類では かるかんの35%が最も多く,他はそれ以下であった。図7に示した。昨今,大学生の調理 に関する知識や技術の低下が指摘されている14)15)が,今回の調査からも喫食の経験はあっ てもそれを調理した経験がない女子短大生があまりに多く,今後の郷土料理の継承が懸念 される結果であった。

図7 調理経験について(喫食経験者中)

11

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-84-

鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第41号 (2011)

 ⑸ 郷土料理に対する考え方

    郷土料理に対する考え方は,複数回答によって回答を得た。「郷土料理は伝えていくべ きである」26%,「健康的」は24%,「印象がいい」は15%で,鹿児島の郷土料理に対して 良い印象を持っているといえる。一方,「作り方を知らない」と回答した人は15%で,そ れとほぼ同じ割合の14%が「作りたいと思う」と回答している。また,「作るのが面倒」,「身 近ではない」など否定的な回答は全体の3%以下で,「印象が悪い」,「郷土料理は時代の変 化に伴い消えてしまっても仕方ない」と思っている学生は全くいなかった。図8に示した。

 ⑹ 類似性の分類

    女子短大生の喫食実態における郷土料理(30品目)について特性の客観的分類を試みた。

階層的クラスター分析は,異質なものが混じりあっている対象の中で,互いに似たものを 階層的に集めて集落(クラスター)を作り,対象を数値的に分類する方法16)17)であり,対 象間の非類似度を表す尺度として距離が計算される。喫食の頻度,喫食者の嗜好,喫食の 方法,調理時間7)8)11)13)の4つの項目を用いて,ウォード法による階層的クラスター分析12)

を行なった。調理時間は手作業によって1~4名分の調理にかかる時間を算出して用いた。

表4に示した。

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図8 郷土料理に対する考え方(複数回答)

表4 クラスター分析に用いた調理時間(手作り)

郷土料理名 時間(h) 郷土料理名 時間(h)

酒ずし 5 つぼ漬け 144

鶏飯 2 さつま汁 0.6

からいもご飯 1.2 豚汁 0.6

油そうめん 0.25 へちまとそうめんの汁 0.25

豚骨 2.6 かいのこ汁 3.6

黒豚のしゃぶしゃぶ 0.1 かるかん 0.75

地鶏の刺身 0.5 あくまき 12

さつまあげ 0.5 文旦漬け 8.5

きびなごの刺身 0.5 じゃんぼ餅 0.5

かつおのたたき 0.3 げたんは 0.7

しゅんかん 2 つのまき 12

冬瓜の煮込み 0.5 ふくれ菓子 0.6

いも天 0.15 よもぎ団子 0.8

がね 0.5 ねったぼ 0.5

といもがらの酢の物 0.3 高麗餅 0.8

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(11)

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女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

    図9に示すクラスターの形成過程を表した樹形図において30品目の郷土料理は,酒ずし

~つぼ漬けと豚骨~げたんはの2つのクラスターが構成されている。さらにこの2つのク ラスターが形成される以前におおよそ次の4つのクラスターが形成されている。1.酒ず し,油そうめん,かいのこ汁,へちまとそうめんの汁,がね,といもがらの酢の物,しゅ んかんのグループ,2.鶏飯,からいもご飯,きびなごの刺身,冬瓜の煮込み,文旦漬け,

高麗餅,つのまき,ねったぼのグループ,3.豚骨,黒豚のしゃぶしゃぶ,いも天,豚汁,

さつま汁のグループ,4.さつまあげ,地鶏の刺身,かつおのたたき,かるかん,よもぎ 団子,ふくれ菓子,じゃんぼ餅,あくまき,げたんはのグループに分類されると考えられ,

つぼ漬けは4つのグループと結びつきの度合いは低いが,どちらかと言えば,1・2グルー プとの結びつきを示した結果を示していた。これらの分類を項目別にみると,1グループ は喫食経験率はあまり高くないが,喫食経験者には好まれている。調理に時間のかかる料 理もあり,学校給食等での喫食経験率が比較的高いことに特徴があった。2グループは,

喫食経験率が非常に低く,他のグループと比較すると好まれず,調理に時間のかかるもの も含まれる料理群であった。3グループは,喫食経験率が90%以上で,その90%以上は好 まれ,調理時間も比較的短く,肉料理の料理群であった。4グループは喫食経験率は高く かつ,好まれており,中食の割合が高い料理群に分けられた。表5に示した。14

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ᅗ䠕㻌 30 図9 30品目の郷土料理の樹形図 ရ┠䛾㒓ᅵᩱ⌮䛾ᶞᙧᅗ

(12)

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鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第41号 (2011)

Ⅳ 要約

 女子短大生を対象に郷土料理に対する実態調査を実施した結果,以下のことが明らかになっ た。

① 喫食経験

  30品目中,90%以上の料理が10品目ある一方,50%以下の料理が12品であった。

② 食べる頻度

   喫食経験率の高い料理においても「時々」が多く,「よく食べる」は豚汁の46%が最も高 い割合であった。

③ 喫食者の嗜好

     30品目中,90%以上が「好きである」と回答した料理が18品目であり,1品目を除き喫食 経験者の70%以上が「好きである」と回答していた。

④ 喫食の方法

   内食,中食,外食において料理の品目に特徴がみられた。中でも,菓子類は中食(購入)

の割合が非常に高かった。

⑤ 調理経験

   喫食者において喫食経験率100%の豚汁で58%であり,それ以外の料理は50%以下であっ た。

⑥ 郷土料理に対する考え方

   約80%が「伝えていくべき」,「健康的」,「印象がよい」,「作りたい」と回答しており,「作 るのが面倒」,「身近でない」などの否定的な考え方は5%であった。「作り方を知らない」は 15%の回答であった。

表5 クラスター分析による4グループの料理 1グループ

喫食経験率はあまり高くない・好まれている・過去に 食べたことがある・学校給食等での喫食率が比較的高 い・調理に時間のかかるものもある

2グループ

喫食経験率は低い・あまり好まれていない・調理に時 間がかかるものもある

酒ずし・油そうめん・かいのこ汁・へちまとそうめん の汁・がね・ともいがらの酢の物・しゅんかん・鶏飯・

からいもご飯

きびなごの刺身・冬瓜の煮込み・文旦漬け・高麗餅・

つのまき・ねったぼ

* つぼ漬け 3グループ

喫食経験率は90%以上・非常に好まれている・内食が 多い・調理時間が比較的短い・肉料理

4グループ

喫食経験率は高い・好まれている・中食が多い・調理 時間は長いものも短いものもある

豚骨・黒豚のしゃぶしゃぶ・いも天・豚汁・さつま汁 さつまあげ・地鶏の刺身・かつおのたたき・かるかん・

よもぎ団子・ふくれ菓子・じゃんぼ餅・あくまき・げ

たんは

(13)

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女子短大生の郷土料理の喫食に関する実態

⑦ クラスター分析による4つの分類

 1) 喫食経験率はあまり高くなく,学校給食等での喫食経験が比較的高い(約20%程度)。好 まれている。

 2)喫食の経験者は少ない。調理時間も長いものもある。あまり好まれていない。

 3)喫食経験率は90%以上で調理時間が比較的短く肉料理。好まれている。

 4)喫食経験率は高く,中食が多く市販品が広く出回っている(特に菓子類)。好まれている。

 以上,今回の調査を通して,女子短大生は伝承意識が高い反面,その実態が伴わない傾向に あることが明らかになった。また,西澤が述べているように20歳前後の若者には「家族」という 従来から行なわれていた伝承経路を通じて郷土料理は伝えにくくなっている18)と推測された。

調査対象の学生(18~20歳)は鹿児島県での居住年数が10年以上は92.9%であったが,核家族 92.3%の影響として祖父母・父母・地域社会から郷土料理の情報が伝わりにくくなっている ことを裏付けていた。さつまあげ,地鶏の刺身,かつおのたたきや菓子類は中食(市販品)に よって認知されかつ好まれて食されていたが,一方では,学校給食や調理実習により喫食経験 のある料理も多く見受けられた。しかし,30品目中喫食者の90%以上が「好きである」と回答 した料理が18品目あり,その他のほとんどの品目について70%以上が「好きである」と回答し ており,郷土料理に対する考え方では約80%が肯定的な回答をしていた。この結果から「郷土 料理をできるだけ数多く食べることのできる環境づくり」つまり,「初体験の郷土の食べ物の 数を増加させること」が最優先に求められると思われた。さらにそれらの郷土料理の調理方法 を習得することにより,調理回数や喫食回数が増加し,将来的には次の代へと伝承されていく ことに繋がると期待される。また,「郷土料理の伝承」について真剣に考えなければならない 時期にあり,学校,栄養士会,各地の食育推進協議会などによる郷土料理に関する啓蒙活動は 今後,一層重要であると思われた。

 最後にアンケートにご協力いただきました生活学科現代ビジネスコースおよび英語科の学生 に謝意を表し,この研究の要旨は日本調理学会平成22年度大会で口頭発表したものであること を申し添える。

Ⅴ.参考,引用文献

1)今村知子,鹿児島の料理,p.18. 春苑堂出版(1999)

2) 茂木美智子,食生活の変遷と消費行動,p.45. 三訂フードスペシャリスト論,日本フード スペシャリスト協会編,建帛社(2007)

3)川畑晶子,食糧・栄養・健康(食糧栄養調査会編集),p.17. 医歯薬出版(1991)

4)遠藤金治,橋本慶子,今村幸生,食生活論,p.160. 南江堂(2005)

5) 改定・保育士養成講座編纂委員会編,小児栄養,pp.228-231. 社会福祉法人全国社会福祉 協議会(2009)

6) 文部科学省,学校給食指導の手引き,学校給食を生きた教材として活用した食育推進,

  http://www.mext.go.jp/a menu/sports/syokuiku/07061818.htm

(14)

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鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第41号 (2011)

7)今村知子,私の鹿児島料理,柴田書店(1998)

8) 鹿児島食生活改善推進員連絡協議会編,郷土の味,鹿児島食生活改善推進員連絡協議会

(2008)

9)所崎平,かごしま食暦,南日本新聞社(2005)

10) 農林水産省農村振興局企画部農村政策課,農山漁村の郷土料理百選,財団法人農村開発企 画委員会(2008)

11)霧島食育研究会,伝承塾,

  http://www.geocities.jp/kirisyokuiku/densyou.html

12)青木繁伸:VBAによるユーザー関数とアプリケーションプログラムの例,

  http://aoki2.si.gunmau.ac.jp/lecture/stats-by-excel/vba

13)小住フミ子,佐藤ミキ子,徳田和子,福司山エツ子,調理,鹿児島調理研究会(2001)

14) 堀光代,平島円,礒辺由香,長野宏子,大学生の調理に対する意識調査,岐阜市立女子短 期大学研究紀要,第57輯,pp.61-65.(2008)

15) 堀光代,平島円,礒辺由香,長野宏子,食物栄養専攻および家政教育専攻学生の調理意識 と技術の現状,岐阜市立女子短期大学研究紀要,第58輯,pp.87-91.(2009)

16)菅 民郎,多変量解析の実践,現代数学社,p180.(1999)

17) 田中 豊,垂水共之,脇本和昌,辻谷将明,パソコン統計解析ハンドブックⅡ多変量解析 編,共立出版,p267.(1987)

18) 西澤千惠子,大分県の大学生の郷土料理に対する認知度と意識,別府大学紀要,pp.195- 205.(2009)

参照

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