学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2014 年 2 月 26 日(水)
報告番号: 甲 第
1620 号
氏名: 西畑 庸介論文審査
担当者 主査 教授 勝村 俊仁 印
副査 教授 荻野 均 印
副査 教授 井上 茂 印 審査論文の題目:
Continuous positive airway pressure treatment improves cardiovascular outcomes in elderly patients with cardiovascular disease and obstructive sleep apnea
(CPAP は心血管疾患と閉塞性睡眠時無呼吸を合併した高齢者の心血管アウトカムを改善する)
著 者:
Yosuke Nishihata, Yoshifumi Takata, Yasuhiro Usui, Kota Kato, Tasuku Yamaguchi, Kazuki Shiina, Akira Yamashina
掲載誌:Heart and Vessels(Published online: 08 December 2013)
論文要旨:
【背景】閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は主に中年層において心血管疾患(CVD)の進展に関連することが報告され ているが、高齢者においてはOSAの臨床的特徴が中年層とは異なることも報告されており、CVDへの関与は未だ 明らかではない。更に、高齢者における心血管疾患の二次予防として持続陽圧呼吸(CPAP)療法が有用とするエビ デンスはほとんど存在しない。【目的】OSAとCVDを合併した高齢者において、CPAP療法が心血管疾患のアウト カムを改善するか検証した。【対象と方法】2004年11月から2011年7月までに終夜睡眠ポリグラム検査を受けた者 のうち、検査以前にCVD(心不全、冠動脈疾患、不整脈、脳卒中、大動脈解離)による入院歴があり、無呼吸低呼 吸指数(AHI)15/h以上の中等症から重症のOSAを有していた高齢者連続130人(65歳〜86歳)を後方視的に選 出し、CPAP療法の有無によりCPAP群(64人)と未治療OSA群(66人)に群分けした。各群における心血管死お よび心血管疾患による再入院を主要評価項目とし、Kaplan-Meier生存曲線による群間比較およびCox比例ハザード モデルを用いた多変量解析でOSAやCPAP療法が主要評価項目に及ぼす影響を解析した。【結果】平均観察期間32.9
±23.8(SD)カ月間で28人(21.5%)が死亡または再入院した(CPAP群7人、未治療OSA群21人)。Kaplan-Meier 生存曲線では、CPAP群と比較して未治療OSA群で無イベント生存率が有意に低いことが示された(p<0.005, log-rank test)。多変量解析では未治療OSA群において心血管リスクが有意に増加することが示された(相対危険度5.13, 95%
信頼区間1.01-42.0, p<0.05)。【結論】心血管疾患を有する高齢者において、CPAP療法未施行の中等症から空笑のOSA は心血管イベントの再発に関する独立した危険因子であり、適切なCPAP療法は心血管アウトカムを改善すること が示された。
審査過程:
1. CPAP治療群と非治療群で心血管疾患の重症度の相違が交絡バイアスになっているのではないかとの質問に適 切な説明がなされた。
2. 対象者の基準、追跡率等の研究デザインに関して適切な説明がなされた。
3. 女性の方が死亡率、再発率が高い点について、先行研究を踏まえて適切な説明がなされた。
4. 生活習慣の変化の把握が不十分であったことなど、本研究の限界について適切な説明がなされた。
価値判定:
本研究は、OSAとCVDを合併した高齢者のCVD二次予防におけるCPAPの重要性を初めて示したものであり、人 口の高齢化に伴って増加する疾病の予防・管理に大きく貢献する研究であり、学位論文としての価値を認めた。