社会の近代化と高等教育 −高等教育効果の国際比 較−
著者 江原 武一
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 28
号 1
ページ 181‑195
発行年 1979‑11‑15
その他のタイトル Modernization and Higher Education ‑An International Comparison of the Effects of Higher Education‑
URL http://hdl.handle.net/10105/2476
社会の近代化と高等教育
‑ 一了A:/';‑:v!:'‑‑'.車は工二上 ‑‑
江 原 武 一 (教育学教室) (昭和54年4月28日受理)
1 社会変化と高等教育効果
本稿では、社会の近代化過程において教育、とりわけそのなかでも高等教育が果たす役割を、
38ヶ国を対象とした国単位の国際比較で明らかにすることを試みる。具体的な分析の焦点は、教 育指標を説明変数とし、社会指標を従属変数とする分析モデルをステップワイズ重回帰分析法に
よって検討する作業を通して、教育指標と社会指標との関連構造を実証的に確認することに置か れる。分析モデルに組み入れた社会把標は経済分野、マス・コミュニケーション分野、保健・衛 生分野、人口の特性の4分野から選択した計14指標である。また教育指標には、各国の教育水準
をあらわす指標として、ユネスコの定義に従って3段階に区分した教育の各レベルの就学率を中 心に、最終的に7指標を使用した。
18ヶ国の国際比較によって‑人当り教育費と国民所得との高い相関関係を兄い出したエディン グ(Edding, F.)の先馬区的な研究に続いて、 1960年代に入ると、教育と経済発展との関連を主と して相関係数を用いた国単位の国際比較にもとづいて分析するいくつかの研究が公刊されたが̀1'、
これらの研究のなかで最も関心を寄せられたのは、いうまでもなくバーピソンおよびマイヤーズ (Harbison, F. and Myers, C.A.)の研究であった(2)。
披等は「人的資源の開発は、社会のすべての人の知識、熟練度、能力を増進するプロセスであ り」、この「人的資源開発のプロセスは近代化‑のとびらを開くものである」̀3'という立場から、
各国の経済的・政治的・社会的開発をめぐる人間能力の問題を, ①多くの国を一つまたは複数の 人的資源開発の童的指標にもとづいて分類し、人的資源開発の各レベルに組み分けすること、 ㊨ 各種の人的資源指標と経済開発水準との問に、有意な統計的関係があるか否かを決定すること、
の2点を主な目的とする数量的分析によって解明しようとした(4)実際の分析では、 9個の指標 と、そのうちの「第2レベル就学率」の数値に「第3レベル就学率」を5倍した数値を加えて作 成した「複合人的資源開発指数」の計10個の人的資源指標と, 4個の経済開発レベルの指標を使 用して(5㌧ 「複合人的資源開発指数」による人的資源開発レベルに応じた75ヶ国のグルーピング
(低開発国(17)部分的開発国(21)中進国(21)先進国(16))、および14指標の相関係数 にもとづく人的資酎旨標と経済開発水準との相関分析が行なわれている。
ハ‑ピソンおよびマイヤ‑ズは、このような相関分析の技術的な危険性を認めており、さらに グルーピングした4つのレベル毎に詳細な質的分析を行なって、人的資源開発ストラテジーの樹 立を企図しているが、彼等の研究はさまざまな分野から注目されるとともに、その研究上の問題 点を指摘された。本稿で試みる分析は基本的にはこの研究の延長線1‑.にあり、さらに教育体制論、
181
教育計画論、近代化論などの諸領域とも抵触するので、彼等のアプローチの検討を通して、本稿 の分析の意図と視角をあらかじめ明らかにしておきたい0
人的資本論あるいは教育投資論の思想的批判を別にしても、まず舞一に「近代化」の意味を簡 単に検討しておく必要があるだろう。 ‑‑ピソンおよびマイヤーズは、必ずしも近代化を主要な 分析概念として使用していないけれども、その「人的資源開発」の概念規定や、 「複合人的資源 開発指数」による国別のランキングをみれば明らかなように、彼等は近代化論の立場で分析を行 なっている。
近代化論は1960年代に入ってからアメリカを中心に研究が進められた社会発展理論の一つであ る。この理論は日本の近代化を解明する有力なモデルを提供するものとして、日本でも論議を呼 んだ。たとえば武田清子は近代化の基礎概念のとらえ方に関する対照的なアプローチとして、 ① 近代化の変化を都市化、工業化、マス・メディアの発達などといった物的・客観的条件に重点を 置いてとらえ、その特質や規準を明らかにするアプローチと、 ⑧人間の価値意識や人間観におけ る変化、すなわち閉ざされた共同体的規制から意識において解放され、開かれた意識、主体性、
合理性、個人主義の確立や成熟を基盤とする自由主義化、民主主義化への変化の過程を近代化 ととらえるアプローチの2つを設定して、近代化論の視角を検討した上で、これらの変化の目標 の設定、方法、基本的構造などを探求する多様なアプローチによる比較研究の必要性を論じてい る(6)。
しかし近代化論にはその登場以来、内在的にも外在的にも数多くの批判が投げかけられており、
とりわけ国家間の比較研究を行なう場合には、近代化論のなかに先進諸国をモデルとして志向す る決定論が含まれやすいことが批判されてきた。典型的な事例として、近代化論のこうした行 詰りを解決するために、 N理論と総称される従来の「必然性の理論」に代ってP理論と呼ばれる
「可能性のモデル」パラダイムを展開したゲレイロ‑ラモス(Guerreiro‑Ramos, A.)の試みを とりあげてみよう(7)。彼は近代化に関する諸理論を、次のようなN理論とP理論を両極とする連 続体の上に位置づげ、今後はP理論を重視する必要があることを指摘している(8)
N理論は従来の近代化論に支配的な考え方で、歴史的必然性の法則が存在し、それによりすべ ての社会はいわゆる先進社会あるいは近代化された社会によって占められている段階に到達しよ ぅと試みるように仕向けられているとみなす理論であるoこれに対してP理論は、 ①近代的なる ものは世界の特定の地域の占有物ではなく、近代化の過程もプラトン流の原型に従って展開され るものではないこと、 ④すべての国は、その現状のいかんにかかわりなく、常にそれ自身の近代 化の可能性を有するが、その可能性も外在的な模範的モデルを上から押しつけられれば、実現を 妨げられること、の2点を強調するo
ゲレイロ‑ラモスはN理論の影響が根強い研究として、パターン変数に依拠したパーソンズ主 義の研究を例示しているが、ハ‑ピソンおよびマイヤ‑ズの研究も、このような批判をまぬがれ ることはできない。相関係数を使用する国単位の国際比較では・その指標が具体的には何をあら ゎしているかを問わないとしても、指標毎に各国が序列化されている必要があるo本稿の分析で は、ハ‑ピソンおよびマイヤ‑ズの研究よりも広い範囲から社会指標を収集し、これらの指標に 因子分析法を適用して、指標問の相互関連が高いことを確認した上で分析に加えているが、この ように特定の国別ランキングをあらかじめ悼定しない措置を講じても、結果的には各国の指標毎 のランキングはかなり似通ったものになるoまた収集した指標がすべて物的・客観的指標である ことも指摘しておかなければならないだろうo近代化は価値意識や人間観の変化と深く結びつい
ており、特に教育を含めた視野のなかでは、これらの次元を無視することはできないけれども(9)、
資料の制約のために以下の分析では省略する。
第二は教育と社会との関連構造の問題である。教育と社会とが相互に関連していることは、今 日では常識的にも認められている。ところでこの両者の関連を少なくとも研究の対象として分析 する時には、次の2つの立場を想定することができるだろう。第一の立場は社会を説明変数とみ なし、社会の変動に応じて教育の諸部面が変容して行く過程を分析する立場である。これに対し て第二の立場は、教育を説明変数とみなし、教育が社会の発展あるいは変動を規定すると考える 立場である。いずれの場合も当面の研究目的に従って、さまざまな分析の単位・次元・構成要素 が想定され、必要に応じて社会と教育を結びつける媒介変数が設定される。
バーピソンおよびマイヤ‑ズの研究はいうまでもなく、人的資本を媒介にしてマクロな視野か ら教育の経済的効果を研究した代表的な例である。本稿の分析も彼等と同じように、教育を説明 変数とみなす第二の立場に立って、与クロな視野から高等教育の社会レベルの効果を明らかにし ようとしている。ただしこの分析では社会と教育を直接結びつけており、特定の媒介変数を想定 していないことに留意しておきたい。高等教育の社会レベルの効果のメカニズムには不明瞭な部 面が多く、特定の媒介変数を想定しても、その実態を十分に把握することはできない。それより
も以下の分析では、学校教育をいくつかの教育段階に分けて、その社会との関連パターンをスケ ッチ風に描き、高等教育の位置をシェ‑マ化して示すことに主眼を置きたいo したがってこの分 析では、教育を説明変数とみなしているが、それは高等教育効果を直接解明しようとするもので
はなく、そうした分析の外枠の1つを整備することを意図している。
第三に分析に使用する手法について簡単に触れておこう。ハ‑ピソンおよびマイヤーズが使用 した相関係数にもとづく相関分析の限界については、改めて述べるまでもないだろう(10)。また 彼等は「複合人的資源開発指数」を作成する際に、あらかじめ高等教育のウェイトを高くするよ
うにデータを操作しているが、このような措置に対する疑問が後続の研究によって提起されてい る(ll)。以下の分析ではこれらの点を考慮して、データの処理にはステップワイズ重回帰分析法 を適用した。
比較教育学が単なる各国の教育事情の記述的分析から脱却する1つの有力な方向は、多変量解 析などの統計的手法を用いた数量的な国際比較に求められるだろう。たとえば国際教育到達度評 価学会(IEA)は、約20ヶ国の25万8千人の生徒を対象に実施した大規模な国際調査デ‑タにも とづいて、学力テストによって測定した生徒の能力と教育方法や社会・経済的要因との関連を、
主として重回帰分析法を用いて明らかにしている(12‑。またサカロボロス(Psacharopoulos, G.) の研究は、 32ヶ国の52の事例研究を収集して、教育投資と所得分布や教育費、頭脳流出などとの 関連を、国際比較の観点から定式化しようとした貴重な試みである(13)。高等教育の国際比較研 究は1960年代に入ってから本格化したが、この暦域でも当然より厳密な比較分析が要請されてい る(14)。
2 分析の構図
計算結果を考察する前に、分析の対象とした国群の抽出作業、社会指標と教育指標の選定、使 用した手法の特性などについて明らかにしておこう(15)c
分析の対象として抽出した国数は38ヶ国である(義‑1)。表をみれば明らかなよう正、大陸別
(1)ア フ リ カ
カ カ ア
リ
= ノ
s ^ r a 鞄
ア ア
北南 ア 2 3 4
(5)ヨ ー ロ ッ パ
(6)オ セ ア ニ ア
真一1分 析 の 対 象 ‑38ヶ国‑
エチオピア、ガーナ、象牙海岸、ケニア、リベリア、リビア、ニジェー ル、ナイジェリア、セネガル、ス‑ダン
カナダ、コスタリカ、グアテマラ、 U.S.A.
アルゼンチン、ボリビア、コロンビア、エクアドル
イラン、イラク、イスラエル、日本、韓国、フィリピン、タイ、パキス タン、トルコ
オ‑ストリア、デンマ‑ク、フィンランド、フランス、西ドイツ、ギリ シア、イタリア、オランダ、ノルウェー
オ‑ストラリア、ニュージ‑ランド
にほぼ比例抽出している。ただし発展途上国のデ‑タは欠けていることが少なくないので、いわ ゆる先進諸国をより多く含んでいる。また社会主義諸国のデータは十分に得ることができないこ とを考慮して、分析の対象から除外した。
類似の先行諸研究の対象国数をみると、バーピソンおよびマイヤーズの研究は75ヶ国、教育変 動、とくに中等教育の変容と経済発展との関連を分析したベネット(Benett, W.S., Jr.)の研究 は70ヶ国である(16)マス・コミュニケ‑ション論の分野で、マス・メディアの普及と国の発展 に関する相関分析を試みた諸研究は、いずれも100ヶ国以上の国を対象にしており、社会開発の 段階と開発指数の研究を行なった国連社会開発研究所のプロジェクトでは、 115ヶ国が分析に加 えられている(17)。それ故これらの成果と比較すれば、本稿の分析は1つの習作にすぎないとい ってよいかもしれない。しかし一方で各国の教育事情を論じた膨大な数の研究成果がありなが ら(18)、現在の研究水準では、個々の国に関する具体的なイメージや諸国間の関連構造を包括的 にとらえるのがきわめて困難なのも事実である。こうした現状をふまえて数量的な分析を試みる ので、ここでは相対的に少数の国を当面の分析対象にしてみた。
近代化論は近代化の発展構造が国によって異なることを明らかにしてきた。またたとえ経済的 分野、社会的あるいは文化的分野などの各分野が相互に関連しているとしても、それらは一様に 発展して行くわけではない。すでに述べたように当面の課題を明らかにするには、各国の社会指 標をできる限り広い範囲にわたって収集しなければならないが、ここでは社会指標として、国際 連合の2つの統計資料から収集した指標のなかから、次の14指槙を最終的に採用した(19)o
〔経済分野〕
①‑人当りエネルギ‑消費量(単位:石炭換算・キログラム)
④‑人当り国民総生産(単位:市場価格による推定値・米ドル)
③千人当り乗用車台数(単位:台)
④千人当り商用車台数(単位:台)
⑧‑人当り電気エネルギー発電量(一般用総発電量) (単位:キロワット/時)
〔マス・コミュニケーション分野〕
⑥百人当り使用電話台数(単位:台)
⑦千人当り日刊新聞発行部数(単位:部)
⑧千人当りラジオ受信機台数(単位:台)
⑨千人当りテレビ受信機台数(単位:台)
〔保健・衛生分野〕
㊨‑人当り食糧純消費量(1日分)・たんばく質(単位:グラム)
⑪‑人当り医師数(単位:人)
⑩‑人当り病院ベッド数(単位:台)
〔人口の特性〕
⑲人口10万人以上の都市に住む人口の全人口に占める割合(単位: %)
⑭人口千人に対する普通死亡率(単位: %)
他にもかなりの数の社会指標を収集できるが、データの欠ける国が出てくるので採用を見合わ せた。欠損データの補充方法には、その国の所属する地域の平均値や世界の平均値を使用したり、
欠損値を欠損値のある指標以外の指標からの回帰式によって推定する方法などがあるけれども、
ここではこのような措置を講じていない、また教育と近代化との関連分析では重要な部面を構成 する社会的・政治的指標があまり含まれていないことも、指摘しておかなければならないだろう。
とりわけ政治分野の指標は適切な資料を得ることができないので、すべて除外した。社会指標が 比較的整備されている国でも、その技術的な欠陥を問題にしているが(20)、発展途上国の場合に は、国際連合やユネスコなどの用いる国際的な社会指標そのものが、その国の発展構造や文化的 特性を反映していないことが少なくないのである。
したがってこれらの14指標は、近代化の諸側面を部分的にしかとらえていないけれども、既存 の統計資料から得られる社会指標のなかでは比較的安定した指標である。たとえば同じように社 会の各分野に関連した諸相標を109ヶ国から計54指標収集し、これに因子分析法を適用して1つ の因子を抽出したファレイス(Farace, V.)の研究と比較してみよう(21)。ファレイスはこの因子 を「国家発展因子(national development continuum)」と名付け、近代化をあらわす因子とみ なし、さらにその因子スコア推定値を109ヶ国について求めた後、アメリカ合衆国からハイチに 至るまで109ヶ国を序列化しているが、この因子の構造ベクトルが0.60以上の13個の社会指標の うち、 7指標は以下の分析で使用する14指標に含まれている(22)。またこれらの14指標について、
ファレイスと同じように因子分析法を適用すると、すべての指標の第1因子の構造ベクトルは 0.40以上の高い数値を示す。それ故これらの社会指標は、各国の近代化の様相を各分野にわたっ て、ある程度代表していると考えてよいだろう。
次に各国の教育水準をあらわす指標を選択しなければならない。各国の作成する統計資料はし だいに改善され、分野毎の基礎的な統計資料の入手も容易になってきているが、依然として不備 な諸国も少なくない。とりわけ国単位の国際比較に耐えられる教育分野の統計資料はきわめて限 定されている。ここでは現在の統計資料のなかで最良のものと考えられるユネスコの教育統計か
ら、次の10指標を教育指標として選択した。
〔教育指標〕
①就学率(第1レベル)
③男女比(第1レベル)
⑧就学率(第2レベル)
④男女比(第2レベル)
⑤就学率(第1 ・ 2レベル)
⑥就学率(第3レベル)
㊥男女比(第3レベル)
⑥人文系在学比(第3レベル)
⑨社会系在学比(第3レベル)
⑩自然系在学比(第3レベル)
10指標の定義と算出法はユネスコの統計処理の方式に従っている(23)また高等教育効果の分
折に主眼を置いているので、第3レベルの教育指標を意図的に5指標選択した。
第1レベルおよび第2レベルの就学率は、各レベルの総在籍数を、各国毎に定められた在籍年 限の該当年令人口で除することによって求めた数値で、単位は%である。基礎的授業の提供(た とえば初等学校や小学校における)を主な槻能とする第1レベルの総在籍数には、公立と私立が 含まれる。この第1レベルでの少なくとも4年間の授業を基礎とする第2レベルの教育は、多様 な教育課程によって構成されている。第2レベルの総在籍数には、そのうち普通・職業・教員養 成の各教育課程に在籍する者が含まれる。なお就学率は、その分母に何を設定するかによって、
数値が変動するが、この分母となる該当年令人口は、一定の規準に従って国毎に求められたもの である(24)また⑥就学率(第1 ・ 2レベル)は、 2つのレベルの総在籍数を、その在籍年限の 該当年令人口で除して算出した数値である。この教酎旨標は、初等・中等教育の在籍年限の差か ら生じる各国の就学率のかたよりをある程度修正するので、教育の量的発達の国際比較の指標と して、ユネスコが意図的に設定したものである(25)
第3レベルは、第2レベルの教育の修了者もしくはこれと同程度の学力を有する者のみが入学 を許可される教育機関(たとえば総合大学、教員養成系大学、工科大学)によって構成されるo
この第3レベルの就学率は、その総在籍数を、 20‑24歳の該当年令人口で除した数値であるoま た第3レベルの専攻分野別の就学率は、はじめにユネスコの定義した専攻分野を、人文科学専攻 分野(教育専攻+人文科学専攻)、社会科学専攻分野(法律専攻+社会科学専攻)、自然科学専攻 分野の3分野にまとめ、次いでそれぞれの専攻分野在籍数を、第3レベルの総在籍数で除して求 めた数値である。
最後に本稿で使用するステップワイズ重回帰分析法(stepwise multiple regression procedure) と、この手法の通用に伴う指標の変換について、簡単に触れておこう。
本稿では教育を説明変数とみなし、教育が社会の発展あるいは変動を規定すると考える立場か ら、教育と社会との関連パターンを措き、高等教育の位置を確認する作業を試みるが、この場合 教育の個々の構成要素が社会に及ぼす影響力の相対的な強度と方向を数量的に確定するには、少 なくとも次の2つの方法が考えられる.罪‑の方法は偏相関係数の比較であり、第二の方法は重 回帰式の偏回帰係数の比較である。ここではこのうち第二の方法に従って、標準化された偏回帰 係数の大きさに注目するが、このような重回帰式を仮定し、その偏回帰係数を比較して個々の説 明変数の規定力を確認する方法には、すでに数多くの批判が投げかけられている。少なくとも今 日では、その機械的な通用は完全に否定されているといってよいだろう。それ故本稿では、ステ ップワイズ重回帰分析法を導入して、説明変数として想定した教育指標のなかから、統計的に有 意とみなされる説明変数のみを取り入れる重回帰式を作成してみることにする。
ステップワイズ重回帰分析法は、従属変数を最も適確に予測するのに必要な最少限の数の説明 変数を確定するために開発された手法である。説明変数間に高い相関関係がある場合、すなわち 線型従属関係がある場合、偏回帰係数は望ましい値を示さないで、実際の規定力よりもはるかに 低い値や高い値になってしまうことはよく知られている。ステップワイズ重回帰分析法では、こ のようなある一定以上の従属関係がある場合、そのなかの1つの変数のみが有意とされ、重回帰 式に組み込まれる。さらにこの手法は、従属変数に対して有意な規定力をもたない説明変数を重 回帰式から排除する。ただし以下の分析では、相関係数の値の小さい説明変数は、重回帰式に組 み込んでも他の説明変数にそれほど影響を与えないので、無条件で重回帰式に導入するが、これ を確定変数という。ある説明変数を重回帰式に導入するか否かの基準値は3.29、また一度重回帰
ルギー消費/人口 2 国民総生産/人口 3 乗用車台数/人口 4 商用車台数/人口 5塁霊昌ネルギ‑/人口
マス・コミ分野 6 電 話 台 数/人口 7 日刊新聞部数/人口 8 ラ ジオ台数/人口 9 テ レ ビ台数/人口
台特l 13票曹ilO万人以上)の の性白4死 亡 率
義一2 社会指標間の相関係数
2 3 4 5 6 7 】 10 11 12 13 14
.95 .92 .88 .96 .96 .90 .84 .88 .69 .92 .89 .71 ‑.81‑ .96 .93 .95 .94 .85 .78 .81 .72 .92 .67 ‑.74
‑ .94 .92 .92 .81 .75 .84 .73 .82 .94 .65 ‑.70
‑ .90 .90 .81 .79 .82 .94 .69 ‑.73
‑ .96 .92 .82 .87 .68 .90 .90 .68 ‑.81
‑ .93 .81 .86 .76 .92 .92 .74 ‑.85
‑ .79 .60 .92 .85 .74 ‑.87
‑ .76 .50 .81 .79 .62 ‑.71
‑ .60 .80 .83 .67 ‑.81
‑ .67 .69 .55 ‑.58 .87 .73 ‑.87
‑ .66 ‑.75
‑ ‑.69
式に導入した説明変数を有意でないとして除外する時の基準値は3.22にして計算を行なってい る(26)
ところでこの手法を適用する際に、社会指標については、 ㊨‑人当り食糧純消費量・たんばく 質、 ⑬人口10万人以上の都市に住む人口の全人口に占める割合、 ⑭人口千人に対する普通死亡率 の3指標以外の11指軌ま、すべてその数値を対数に変換していることを付言しておこうO ㊨‑人
当り国民総生産を例にすれば、経済分野における近代化が未発達な諸国とみなされる発展途上国 では、あまり‑人当り国民総生産は伸びないのに対して、アメリカ合衆国などの先進諸国では、
その伸びがより大きいと想定して、 ‑人当り国民総生産は、その数値を対数に変換して使用するo このような措置は近代化論とも密接に関連しており、異論の出ることが予想されるが、少なくと も単純な‑次式よりも現実をよくとらえているように思われる0
3 社会指標の国際比較
経済分野、マス・コミュニケーション分野、保健・衛生分野、人口の特性の社会の各分野に関 する14の社会指標間の相関係数は、義一2の通りである(27)。この表から読みとれることを要約 すれば、まず第一に、社会指標の選択の際先行諸研究を参照して、比較的まとまりやすい指標を 抽出したとはいえ、いずれの指標間の相関係数もかなり高いことが指摘できるだろうo ㊨‑人当 り食醐屯消費量・たんばく質と⑬人口10万人以上の都市に住む人口の全人口に占める割合を除い た12指標は、相互に高い相関を示している。
とりわけ第二に、経済分野の5指標は相互に高い相関があり、柏関係数はすべて0.88以上であ
る。これに対して他の3分野では、分野内の指標間の相関関係はそれほど高くなく、むしろ経済 分野の社会指標との相関の方が高い指標が少なくない。たとえばマス.コミュニケーション分野 の⑥百人当り使用電話台数は、経済分野に組み入れてもよいほど、経済分野の社会指標との相関 が高い。また⑧干人当りラジオ受信機台数と⑥千人当りテレビ受信機台数との相関係数は0.76だ が、 ⑨干人当りテレビ受信機台数と経済分野の指標群との相関係数は0.79‑0. 88である。
このように経済分野の社会指標と他の分野の社会指標との相関関係が全体として高いことから、
社会の近代化は経済分野を中核にして、各分野がほば一定のバランスを保って進行すると考える のは、あるいは楽観的すぎるかもしれない。しかしこの結果が、社会指標相互の有機的な関連を 示唆していることは指摘しておいてよいように思われる。
4 教育指標の構造
それでは説明変数として設定した教育指標の相互関連はどうか(義‑3)。表をみれば明らか なように、教育指標間の相関関係も全体として高いが、各レベルの就学率に注目すると、 ③就学 率(第2レベル)と⑥就学率(第3レベル)との相関係数は0.83で、中等教育と高等教育の結び つきは強い。しかし初等教育と高等教育との相関係数は0.57で、この2つのレベルの関連は相対 的に低いといってよいだろう。
第二に各レベルの女子の在学率をあらわす男女比をみると、 ②男女比(第1レベル)と④男女 比(第2レベル)との相関係数は0.88、 ④男女比(第2レベル)と⑦男女比(第3レベル)は0.
86、 ④と⑦は0.73で、それぞれかなり高い相関係数が得られた。この結果は、たとえ女子の在学 率が各レベルで異なったとしても、女子に対する教育機会の開放性は相互に密接に関連している ことを意味する。したがってこれらの教育指標は、社会の近代化をあらわす指標とみなすことも できるが、ここでは教育の養成する人材の質的側面をあらわす指標として説明変数に加えている。
ただし指標間相互の相関係数が高く、他の教育指標との関連も強いことを考慮して、以下の分析 ではO)就学率(第2レベル)のみを使用し、しかも無条件で重回帰式に導入する確定変数として
嘉一3 教育指標間の相関係数
10
1 就学率(第1レベル) 2 男女比(第1レベル) 3 就学率(第2レベル) 4 男女比(第2レベル) 5 就学率(第1・第2) 6 就学率(第3レベル) 7 男女比(第3レベル)
8会董歪(第3レベル)
9 (第3レベル)
・o宜撃歪(第3レベル)
.78 .64 .66 .90 .57 .70 .24
.69 .81 .60 .73 .10 .84 .83 .63 .20
.69 .64 .86 .12 .73 .70 .34
.62 .29 .28 .30 ‑.06
.20 .17 .33 ‑.03
.18 .13
.10 .23 .26 .32 .13
‑ ‑.30 .36
・It
は処理しないことにしたい。
第三に高等教育の専攻別構成をあらわす第3レベルの3つの教育指標(⑧、 ⑨、 ㊨)は、その 相関係数が相互に低いだけでなく、他の教育指標との相関係数も相対的に低いことに注目してお こう1970年を中心とする時点で横断的に各国の教育指標を比較した結果は、これらの教育指標 が他の指標ではとらえられない教育構造の固有の諸側面をあらわしていることを示唆する。した がっていずれも確定変数として、無条件で重回帰式に導入してみよう。この措置によって、教育 の各レベルにおける就学率の規定力で説明できない部分をどの程度カバーできるかは疑問であるo
しかし教育と社会との関連構造のなかで高等教育の位置を確認しようとする当面の課題を考慮す れば、このような分析枠が必要なように思われる。なお同じ理由から、 ⑤就学率(第1 ・ 2レベ ル)はとりあえず説明変数から除外する。
これまでの考察にもとづいて、説明変数には次の7個の教育指標を使用する。すなわち①就学 率(第1レベル)、 ③就学率(第2レベル)、 ④男女比(第2レベル)、 ⑥就学率(第3レベル)、
⑧人文系在学比(第3レベル)、 ⑨社会系在学比(第3レベル)、 ⑲自然系在学比(第3レベル) の計7指標である。
5 教育の経済分野への影響
表‑4は、社会の近代化を示す14個の社会指標を、 7個の教育指標によって個別に剛尋させた 結果である。表中の数値は重回帰式の偏回帰係数、表の右端欄の数値は、実際の測定値の全変動 に対して予測値の変動の占める割合、すなわち従属変数(社会指標)の分散を説明変数(教育指 標)がどの程度推定しているかをあらわす決定係数である。ほとんどの決定係数は高い数値を示
しており、教育指標群と社会指標群とが密接に関連していることを示唆するo
なお個々の偏回帰係数については、 14本の重回帰式毎にt検定を行なったo自由度を30、危険 率を5%とした時の説明変数の有意性を検定する値は2.04である。表の空白の部分は、その説明 変数が重回帰式のなかで有意な役割を果たしていないことを意味するoたとえば第3レベルの就 学率と第2レベルの男女比は、 ①‑人当りエネルギ‑消費量の重回帰式のなかでは有意性を示し ていない。ただしすでに述べたように、第3レベルにおける人文系・社会乳自然系の在学比は すべて無条件で重回帰式に導入して、偏回帰係数を求めてみた。
分析結果の要約は、社会の諸分野を経済分野と非経済分野に分けて行なってみよう。
はじめに教育の経済分野‑の影響をみると、表‑4の数値をそれぞれ横行に沿って確認すれば 明らかなように、経済分野に含まれる5個の社会指標のいずれにおいても、初等教育に相当する 第1レベルの就学率の偏回帰係数と、中等教育に相当する第2レベルの就学率の偏回帰係数のみ が統計的に有意であり、しかもその比率はほぼ1:2で同じような傾向を示している。これに対 して高等教育に相当する第3レベルの就学率の偏回帰係数は、いずれも統計的に有意でないので、
高等教育レベルの知識・技術を有する人材の養成は、経済分野の近代化に対して、それほど大き な影響を及ぼしていないことになる0第2レベルの男女比は、 ㊨‑人当り電気エネルギー発電量 の重回帰式で最大の偏回帰係数(0.14)を示すが、その第一倍は2.00だから統計的には有意でな い。また確定変数として重回帰式に導入した第3レベルの3つの在学比のt‑値も、すべて2.04 以下である(28)。
教育の経済分野に対する影響はきわめて矧以したパターンを描き、経済分野の近代化には中等
表‑4 ステップワイズ分析の結果 一偏回帰係数‑
:山 V. * 'A 従 属 変 数 \\‑\
t、‑I‑一一
E」^
在学比 BE^g 在学比
自然系 在学比
決定係 数 R2
a) t 借 *‑2.00, **一一2.38, ‑‑1.91
教育の就学率の増加が最も強い規定力を有する。そして初等教育の就学率の規定力は、そのおよ そ半分である。しかし高等教育就学率の規定力は統計的に有意でなく、また高等教育の専攻別構 成も有意な影響力を示さない。したがって高等教育レベルの人材の増加は、経済分野の近代化と 必ずしも密接に関連していないといってよいだろう。
このような分析結果は、従来の高等教育に対する見解とするどく対立する。経済分野の近代化 は、高度の知識・技術や経営能力をもつ人材によって達成されるという高等教育観は、 1960年代 から始まる各国の教育計画の主要な前提の一つであった。とりわけいわゆる先進諸国の教育政策 は、高水準の科学・技術人材の養成をめざしたが、その背景にはこのような高等教育観があった ように思われる。
マハループ(Machlup, F.)は、一方で教育の経済学的研究の意義を認めながら、 「近代経済学 においては、数量的経験的な研究よりも投機的なものは存在しないことを人は知るべきであるo それゆえ、異なった研究者によって得られた結果が、大幅に異なっているとしても、それは驚く には当らない」(29)と警告している。ここでは本稿の分析と同様の結論に達した研究として、メ イヤー(Meyer, J.W.)等の研究をとりあげておこう(30)。
彼等は1950年から1960年あるいは1965年にいたる期間をとり、国単位の経済成長に対する教育 的・政治的要因の効果を、重回帰分析法によって明らかにすることを試みているo分析の対象国 は最大限94ヶ国で、経済成長を測定する従属変数は、 1965年の‑人当り国民総生産(単位:米ド
ル)と‑人当り電気工ネルギ‑発電量(単位:キロワット/時) (いずれも対数に変換)、および 1960年の非農業男子労働力の割合(単位: 形)の計3指標である。彼等はこれらの3つの指標毎
に、その1950年時点の水準を説明変数とし、さらにこれに、第1、第2、第3レベルの就学率あ るいは生徒‑人当り教育費(単位:米ドル)を加えた分析モデルを設定して、重回帰分析を試み てい<O.^
この他に彼等は、政治的要因を説明変数に加えた計算や、発展途上国のみを対象にした計算な どを行なっているが、これらの分析から得られた最終的な結論は、本稿の分析結果にきわめて近 いものである。すなわち彼等は①経済成長は、初等教育および中等教育の就学率によって有意に 規定されており、とりわけ中等教育就学率の効果が大きいこと、 ②高等教育就学率の効果は非常
に小さいだけでなく、特に発展途上国の場合には、マイナスの効果を及ぼすことを明らかにして いる(31)
6 非経済分野への影響
続いてマス.コミュニケーション分野、保健・衛生分野、人口の特性といった非経済分野への 教育の効果を要約してみよう マス・コミュニケーション分野では、偏回帰係数でとら えた社会と教育との関連構造はほぼ同一のパタ‑ンを示す。 ⑧千人当りラジオ受信機台数の重回 帰式では、高等教育の就学率と人文系在学比の偏回帰係数が統計的に有意であり、また⑨千人当 りテレビ受信機台数の重回帰式では、初等教育の就学率が有意に作用していないが、全体として みれば、マス・コミュニケーション分野の社会指標には、初等教育就学率、中等教育就学率、中 等教育男女比の3指標が有意な効果を及ぼす。中等教育就学率の偏回帰係数はこの分野でも大き
く、特に⑥百人当り電話使用台数は、中等教育就学率によって強く規定されている。しかし㊥千 人当り日刊新聞発行部数や⑧千人当りラジオ受信機台数の結果をみれば明らかなように、経済分
野の指標と比べれば、初等教育就学率の規定力は相対的に高い。マス・コミュニケーション分野 の近代化は、初等教育と中等教育が発達していて教育人口の低辺が厚く、基本的な知識をもった 人口を供給することのできる教育制度の存在と強く関連しているoまたすべての指標で中等教育 男女比が有意に作用しているが、これは教育の各レベルの就学率が同じ2つの国で、仮に一方が 他方よりも女子の就学率が高ければ、その国のマス・コミュニケ‑ションの普及率も高いことを 意味する。
次に保健・衛生分野についてみると、この分野においても、中等教育就学率の効果は大きく、
㊨‑人当り食糧純消費量・たんばく質では、中等教育就学率のみが統計的に有意である。医療制 度の充実をあらわす⑫‑人当り病院ベッド数の垂回帰式は、経済分野の社会指標と同じバク‑ン を描いている。ただしこの分野では、 ㊤‑人当り医師数の重回帰式で初等教育就学率の規定力が 大きいことに注目しておこうO一国で必要ときれる医師数の規定条件は必ずしも単純ではないが、
この結果は、初等教育レベルの基本的な知識の普及が医師の需要を高める方向に作用することを 予想させる。
人口の特性として採用した⑬人口10万人以上の都市に住む人口の全人口に占める割合の重回帰 式で有意なのは、中等教育就学率だけである。 ⑭人口千人に対する普及死亡率では、初等教育就 学率とrll等教育男女比が有意であり、 ㊨‑人当り医師数と同じ傾向を示しているo
これまでの考察からも明らかなように、社会の各分野は相互に密接に関連して、一定のバラン
スを保ちながら変動する。したがって少なくとも既存の統計資料でみる限り、社会の近代化は連 続的なものとして理解することができるだろう。そしてこの社会の近代化と教育との関連を,戟 育指標を説明変数とし、社会指標を従属変数とする分析モデルにもとづいてパターン化すると、
ある分野では初等教育就学率が、また他の分野では中等教育就学率が、相対的に強い効果を有す ることが明らかにされた。全体を通してみれば、社会の近代化は中等教育との関連が深い。これ に対して高等教育の社会のインパクトは予想よりもはるかに小さく、ほとんどその有意な効果を 認めることはできないのである。
このような結論に異議をとなえるのは、それほど難しいことではないだろう。すでに1960年代 から,経済成長や社会的・政治的発展に対する教育の効果について、結論の異なる実証研究が積 み重ねられてきているが(32)、今日でも十分に論議がつくされているわけではない。本稿では、
教育と社会との関連パターンをある視角からとらえた時、高等教育を中心に、各レベルの教育が どのように位置づけられるかを確認してみた。分析結果は高等教育の効果を楽観的に信じること を否定するが、それは高等教育の大衆化に直面している諸国にとっても、また教育制度の整備に 精力を注いでいる諸国にとっても、高等教育の効果を再吟味する必要があることを示唆している
ように思われる。
注
(1) Edding, F., 1958, Internationale Tendenzen in der Entwicklung der Ausgaben fur Schulen und Hochschulen, Institut fur Weltwirtschaft an der Universitat Kiel. Goldschmidt, D., 1973, Social Sciece Research on Higher Education and Universities Part I : Trend Report, Mouton & Co.の pp. 215‑217.を参周。
(2) Harbison, F. and Myers, C.A., 1964, Education, Manpower and Economic Growth : Strategies of Human Resource Development, McGraw‑Hill.川田寿・桑田宗彦訳、 1964、経済成長と人間能力の開 発、ダイヤモンド社。
(3) Harbison, F. and Myers, C.A., 1964,前掲書。訳P‑ 4 (4) Harbison, F. and Myers, C.A., 1964,前掲書O訳p.35c
(5)人的資源据標には、 ①人口1万人当り教師数(第1および第2レベル)、 ㊤人口1万人当り科学者・技術 者数, ⑨人口1万人当り医師・歯科医師数、 ④第1レベル就学率(未修正)、 ⑥第1および第2レベル就 学率(修正)、 ⑥第2レベル就学率(修正)、 ⑦第3レベル就学率(未修正)、 ⑧自然科学系在学生比、 ㊨ 人文・社会系在学生比、 ⑲複合人的資源開発把数の計10把標が含まれ、経済開発レベルの指標には、 ① 1 人当りGNP (米換算ドル)、 ④農業実働人口百分比 ㊥公教育費(対GNP百分比)、 ④5‑14歳人口比 の計4指標が含まれる。
(6)武田清子、 1970、近代化論の視角、武田清子鼠比較近代化論、未来社、 pp. 229‑246C
(7) Behng, W. A. and Totten, G. O.(eds.), 1970, Developing Nations : Quest for Model, Litton Educational Publishing.片岡寛光監訳、 1975、政治発展のモデル、早稲田大学出版部。同書に収められたアルベルト
・ゲレイロ‑ラモス、近代化‑ 「可能性のモデル」を求めて‑、訳pp,22‑64.を参照。なお日本に おける近代化論研究の動向を紹介した文献として、駒井洋, 1978、社会学、アジア経済研究所編、発展途 上国研究‑70年代日本における成果と課題‑、アジア経済研究所、 pp. 121‑130.を参照.
Belmg, W.A. and Totten, G.O.(eds.), 1970,前掲書,訳pp・ 23‑24..を参照。
(9Jたとえばガテマテで行なったインタビュー調査のデータを使用した次の研究を参鮎Portes, A., 1973,
The factorial structure of modernity : empirical replications and a critique, American Journal of Sociology 79, pp. 15‑44.
(10)たとえば相関係数を用いる相関アプロ‑チ(correlation approach)の問題点を要約した文献として、
Goldschmidt, D., 1973, op. cit, pp. 215 ‑217.を参蝿0
個 この批判の経過については、菊池城司、 1974、教育指標と教育モデル、麻生誠病、教育社会学(社会学講 座10)、東京大学出版会、 pp. 225‑251., pp. 231‑236.を参照。
(12)たとえばPeaker, G. F., 1975, An Empirical Study of Education in Twenty‑One Countries : A Technical Report, John‑Wiley & Sons.を参照。
Psacharopoulos, G., 1973, Returns to Education : An International Comparison, Elsevier.
Brickman, W. W., 1969, Comparative education. In苫bel, R. L.(ed.). Encyclopedia of Educational Research‑Fourth Edition, Macmillan, pp. 184‑195., McGurn, G. W., 1974, Comparative Higher Education : A United States View, International Council for Educational Development, pp. 25 ‑26.
などを参照。
(15)以下の分析で使用する表は、石川安氏が昭和50年度東京大学教育学部卒業論文用に作成したものに依拠し ている。
Benett, W. S., Jr., 1967, Educational change and economic development, Sociology of Education 40,
pp. 101‑114.
㈲ たとえばニクソン(Nixon, R.B.)の研究は117ヶ国、ファレイスおよびドノ ヒュウ(Farace,V.and Donohew, L.)の研究は115ヶ国、同じくファレイスの研究は109ヶ国を対象にしている Nixon, R.B., 1965, Freedom in the world's press : a fresh appraisal with new data, Journalism Quarterly 42, pp.
3‑14., Farace, V. and Donohew, L., 1965, Mass communication in national social systems : a study of 43 variables in 115 countries, Journalism Quarterly 42, pp. 253‑262., Farace, V., 1966, A study of mass communication and national development, Journalism Quarterly 43, pp. 305‑‑313.なお国連 社会開発研究所の研究については、松原治郎編、 1973、社会開発編(社会学講座14)、東京大学出版会、
pp. 16‑24.を参照。
(18)たとえば発展途上国の高等教育をテーマにした英語圏の論文で、 1969年から1974年までに刊行されたもの に限っても、 2,438の文献が収集されている Altbach, P. G. and Kelly, D. H., 1975, Higher Education in Developing Nations : A Selected Bibliography, 1969‑1974, Praeger Publishers.を参照.
United Nations, 1972, Statistical Yearbook, United Nations., United Nations, 1972, Demographic Yearbook, United Nations.
但0)たとえばバウア(Baur, R.A.)等は、社会指標の評価の一致をさまたげる技術的障害となる欠陥として、
①妥当性の欠如、 ②正確性の欠如、 ③指標が相予盾すること、 ④データの欠如、 ⑤モデルの矛盾、 ⑥価値 についてのコンセンサスの問題の6点をあげている Baur, R.A.(ed.), 1966, Social Indicators, M.I.T.
Press.小松崎清介訳、 1976、社会指標、産業能率短期大学出版部、訳pp. 99‑106.を参珊o Farace, Vリ1966, op. cit, pp. 309‑311.特に第1表および第2表を参麿O
(22)ファレイスの抽出した「国家発展因子」の構造ベクトルが0.60以上の社会桔梗は次の13指標である。
〔経済指標〕
㊨‑人当り国民所得(単位:米ドル)
㊨‑人当りエネルギ‑消費量(単位:キロワット/時)
@‑人当り電気エネルギー発電量(単位:キロワット/時〕
㊨‑人当り鉄道輸送量(単位:輸送量/旅客、トンマイル)
㊨‑人当り使用自動車台数(単位:台)
㊨‑人当り使用電話台数(単位:台)
㊦‑人当り輸出額(単位:米ドル)
〔マス・コミュニケーション〕
構造ベクトル
0. 79
0. 81
0. 67
0.67
0. 77
0. 72
0. 65
㊨‑人当り新聞用紙消費量(単位:メ‑トルトン)
㊨‑人当りラジオ受信機台数(単位:育)
㊨‑人当りテレビ受信機台数(単位:台)
〔保健・栄養〕
㊨‑人当り食糧純消費量(I B分)
〔農 業〕
㊨‑人当りトラクター数(単櫨:台)
〔気 候〕
⑩気温較差(単位:華氏)
0.75 0.72 0.75
0.66
0.76
0.60
これらの13指標のうち⑧、 ㊥、 ㊥、 ⑥、 ⑥、 ⑲、 ⑪の計7指標は、社会指標として選定した14指標に含ま れる。なおファレイスの研究では、政治分野の指標を3把標加えているが、いずれも「国家発展園子」の 構造ベクトルの数倍は0.25以下で低い。
(禍 UNESCO, 1971・1972, Statistical Yedrbook, UNESCO.他にUNESCO, 1966, World Survey of Educa‑
tion‑IV: Higher Education, UNESCO.日本ユネスコ国内委員会編、 1969、世界の高等教育,学校教 育研究所.を参照。
餌 該当年令人口の算定は次のような規準に従って行なわれるo ①学校種が単一の時は、正規の入学年令と在 籍年限に対応する年令層を用いる。 ㊤学校種が複数の場合は、最も在籍数の多い学校種に対応する年令層 を用いる。 ㊥このような規準が適用できない時は、その国の代表的な学校種を用いる。 ④法制上の教育制 度と実際の教育制度が異なる場合には、後者の数値を使用する。
幽 たとえばUNESCO, 1966,前掲書.,訳pp. 9‑13.を参照。
鯛 計算用プログラムは、 HSAP統計計算ライブラリを使用したO日立製作所、 1973、 OS7・HSAP統計計 算ライブラリ(8700‑7‑004)、日立製作所、 1973、 OS7・HSAP統計計算ライブラリ解説書(8700‑7
‑002)、日立製作所.を参周O
(媚 人口の特性のうち、 ⑭人口千人に対する普通死亡率がマイナスなのは、通常この値が低いほど社会が近代 化されているとみなされるので、当然の結果である。
(28)なお自然系在学比と人文系在学比は、全体としてプラスの効果を有するが、社会系在学比は反対に、マイ ナスの方向に作用している。
Machlup, F., 1970, Education and Economic Growth, The University of Nebraska Press・嘉治元郎 訳、 1976、教育の経済学、春秋社.,訳pp. 12‑13。
Meyer, J. W., Hannan, H. T., Jr., Rubinson, R., 1973, National economic growth, 1950‑1965 : educa‑
tional and political factors (mimeo.).なお次の文献も参照。 Meyer, J. W., Ramirez, F. 0., Rubvnson,
R., Boli‑Bennett, Jり1977, The world educational revolution, 1950‑1970, Sociology of Education 50,
pp. 242‑258.
(31) Meyer, J.W., Hannan, H.T., Jr., Rubinson, R., 1973, op. cit., pp. 33‑34.を参照。
鋤 Hanson, J.W., 1969, Education in developing nations. In Ebel, R.L.(ed,), Encyclopedia of Educa・
tional Research‑Fourth Edition, Macmillan, pp. 342‑360., Woodhall, M., 1967, The economics of education, Review of Educational Research 37, pp. 376‑398., pp. 390‑391.などを参照。