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― ― ― ― 国家試験対策の取り組み 学生のエンパワメントを意識した

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1  はじめに

 今日の日本における少子・高齢化の進展は,社会福祉における公的福祉制度の充実と,地 域福祉を進展させた。それに伴い,マンパワー需要も上昇し,ソーシャルワーカーの国家資 格である社会福祉士・精神保健福祉士登録者数は,年々増加している(1)

 福祉マンパワー養成機関である福祉系大学は,介護保険制度が導入された2000(平成12)

年前後に新設が相次いだ。その後,今日においては福祉職の待遇などをめぐり若者の福祉離 れが指摘されている(田中・立花2012:88-94)。このような経過を辿った現在,全国におけ る福祉系大学をはじめとする社会福祉士・精神保健福祉士養成校では,定員割れを起こして いる専門学校・短大・大学が多数出現している(木下2017:178-180)。「大学全入」が叫ば れる今日の社会において,福祉系大学はその影響を大きく受けているといえよう。

 上記のような現状のなかで,各大学は,低学力等によって,自分が本来有している力を十 分に発揮することができずサポートが必要な学生の受け入れを行っている。学力が低いこと は,心身の疾患や障害,貧困,対人関係の困難さと親和性が高いとされる(田中2017:69-

85)。その一方で,学生に対する生活支援を含めたきめ細かいサポートを実施することによ り,学生はエンパワメントされ,自信を持って勉学等に取り組むことができることもまた事 実である。

 「国家試験制度ができたことで,社会福祉士養成校が各県 1 校以上になるほど増え,養成校 は生き残りをかけ,合格率を上げる必要がでてきた」のである(森田2016:23)。同様の指摘 は,溝口によって「是非はともかく社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験の合格者を一人

* 立正大学社会福祉学部社会福祉学科

**立正大学社会福祉学部国家試験対策室

キーワード:社会福祉士,精神保健福祉士,国家試験対策室,学生支援

学生のエンパワメントを意識した 国家試験対策の取り組み

―立正大学における国家試験対策の取り組み―

Efforts to Address National Examinations while Mindful of Student Empowerment

―Efforts to Address National Examinations

at Rissho University―

田中秀和

・田中史江

**

Hidekazu Tanaka, Fumie Tanaka

〈原著論文〉

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でも多く輩出することは,その学校の存亡に関わる一大事といっても過言でないのが今日的 状況である」となされている(溝口2007:41)。

 大学全入時代の到来と若者の福祉離れは,入試における競争が働きにくい福祉系大学に学 習意欲の十分でない者や,対人スキルに課題のある学生が入学する可能性を高める。このよ うに,「十分な学習意欲や能力をもち得ない若者に対しては,そのような能力ばかりを求める 実用性重視の社会に対して彼らが異議申し立てをおこなう(対抗的に生きる)力を育み,か つ彼らの居場所をつくり出すような教育の役割と方法」をみつけていかなければならない(金 子2017:114)。

 このような中,立正大学社会福祉学部では,これまで社会福祉士・精神保健福祉士国家試 験合格のための学習支援のみならず,個々の学生の生活支援も視野に入れた総合的な学生サ ポートのあり方を模索してきた。本稿は,その取り組みを報告するものである。

 上記において,今日の学生における様々な課題を提示してきたが,そのような課題がある 一方で,学生のなかには,純粋かつ他者に共感する能力が高い者が複数在籍している。その ような者は単にこれまでの人生のなかでまとまった勉強をする機会がなく,勉強のやり方が 確立されていない場合など,大学側からの少しのサポートで飛躍的に成績が向上する場合が ある。ただ,「少しのサポート」の内容は,勉強を教え込むこととイコールではない。そこに は,学生に対し共感的に理解をしようとする姿勢や,日常生活における相談など多様な要素 が含まれている。左記に取り上げた要素を踏まえ,学生が主体的に勉学に励むようにするた めに必要な要因を分析することも,本稿における重要な側面である。

 上記は主に 4 つの背景によって構成されている。それは,①知識を確実に習得し,実践力 を養うこと,②継続的な勉強習慣を身に付けること,③学生同士の情報交換と勉強意欲維持 の場を提供すること,④学生の生活全般に気を配ることである。本稿では,それらの具体的 内容についても後で検討を行う。

 立正大学では,2014(平成26)年度より国家試験対策室を開設し,学生の社会福祉士・精 神保健福祉士国家試験合格に向けたサポートを実施している。

 本稿では,大学等における国家試験対策の取り組みに関する先行研究に学びながら,社会 福祉士・精神保健福祉士国家試験合格に向けた立正大学の取り組みについての報告を行う。

 社会福祉士国家試験合格率は,全国平均で約30%前後となっており,福祉系資格のなかで は,最難関の資格である(いとう総研資格取得支援センター2018:14)。このような難関な資 格を学生に取得させ,学生が自己肯定感をもちながら,卒業後,社会での活躍を期待するた めに,立正大学では,学生に寄り添った支援を行ってきた。

2  先行研究の検討

 社会福祉士・精神保健福祉士国家試験に関する研究には,専門職制度に関するもの(秋山 2005,秋山2007),国家試験に出題される問題に関するもの(溝口2007:33-42),(森田2017:

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195-209),(佐藤2017:11-20),国家試験対策と情報通信技術を述べたもの(髙木2009:17

-25),(嘉村,白川,熊谷ら2010:151-171),(嘉村,白川,熊谷ら2012:79-102),自身 の社会福祉士国家試験対策体験談を述べたもの(浜田2018:119-124)などがある。

 また,社会福祉士国家試験合格率と大学間の格差に関する研究として(山手・内保2007:

66-76),(佐藤2013:71-82)がある。

 しかし,社会福祉士・精神保健福祉士国家試験の受験指導に焦点を絞った先行研究は管見 の限り見つけることができなった。福祉系大学に在籍する学生は,「国家試験」が高いスト レッサーになることが先行研究により明らかにされており(大西・藤島・占部ら2006:47-

66),これへの対応は各大学にとって大きな課題のひとつであろう。

 一方,他の対人援助専門職の国家試験受験指導に関する研究は,看護師,理学療法士,作 業療法士,臨床検査技師等において行われている。

 近藤・佐藤・後藤らは,看護師国家試験合格に向けたグループ指導を行い,それに関する 論考のなかで,グループ指導は学生の「精神的支え」となり,それによって「不安を乗り越 えた者」がいたことから,当該指導方法は,意義あるものだとしている(近藤・佐藤・後藤 ら2004:40-49)。同様に,武政らによる研究においても,看護師国家試験学習支援において グループによる学習が,学生を成長させる要因であったことが示されている(武政・野田・

吉田ら2016:83-90)。これらの取り組みは,教員が行っているが,「国家試験専門の講師が 必要」であると考えた大学では,「国家試験支援室特任助教」が配置され,業務を遂行してい る(三井2013:798-803)。

 山本らは,理学療法士,作業療法士国家試験対策としてグループ学習形式を導入し,学生 に対して卒業後にアンケート調査を実施した。その結果,「学生はグループ学習を重視してい て,自己学習はグループ学習を補うものとしている傾向」があることを明らかにしている(山 本・酒井・石元ら2002:19-24)。

 穴田らは,看護師国家試験に向けたグループ指導のなかで,受験勉強に対する課題ではな く,グループ「メンバーの関係性から生じる問題解決の支援やスキルの指導」を行う必要性 を述べている(穴田・内田・小浦ら2018:19-27)。

 小橋らは,作業療法士国家試験対策において,「自分で問題解決し学習計画を立てる事が苦 手」である学生に対して,「講義だけでなく,講義で得た知識を確実に自分のものとして行う ための学習計画を,自ら立案できるようになるまでの指導が必要」であるとし,国家試験を 受験する 4 年次生になる前に,「適切な学習姿勢と学力を身に付けている必要」があるとして いる(小橋・竹嶋・長谷川ら2014:43-49)。また,竹嶋らは,「早期からの計画的な国家試 験教育やプログラムの実施は,国家試験への意識の向上や学習の意欲の喚起に役立つ」こと を明らかにしている(竹嶋・長谷川・大関ら2012:37-46)。

 大関らは,KJ 法を用いた作業療法士国家試験対策プログラムを実施するなかで,学生の学 力を高めていくためには,「学生が現実感をもって学習し,自分が合格できるという自信を感

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じながらもその自信が過信とならないようにする」こと,「不安が大きいが何をしたらよいか 分からないという意識を学生が抱き続けないような留意が必要」であることを明らかにして いる(大関・船山・長谷川ら2013:25-35)。

 嶋田らは,臨床検査技師国家試験に向けた,修学上特別な配慮を必要とする学生への受験 支援について研究を行い,国家試験対策と障害学生支援室との連携の重要性を指摘している

(嶋田・杉内・廣瀬ら2018:83-88)。

 一方,対人援助専門職養成教育において,学生をエンパワーしていく教育指導のあり方に 関する先行研究には,精神保健福祉士・看護師・助産師・教師などの職種について,主に実 習教育との関連で述べられたものがある。

 山田は,精神保健福祉士の実習教育を行うなかで,学生同士のピア・スーパービジョンが 学生のエンパワメントを促すという知見を明らかしている(山田2017:203-210)。益満は,

実習生をエンパワメントしていく手段として,実習生が自身の抱えている問題や対処方法を 相談できる方法として,携帯電話やメール等の活用を提案し,実習生と実習担当教員との信 頼関係の構築が重要であるとしている(益満2004:231-241)。

 清村らは,看護教育における学生のエンパワメント獲得に関する文献検討を行い,学生が 自ら顕在・潜在する力を発揮して,主体的に学習していく力を 1 自律性, 2 説明責任能力,

3 コミュニケーション能力の 3 種類にまとめている(清村・梶原・鹿嶋ら2008:17-30)。石 村らは,助産師の実習教育のなかで,パワーレス状態にある学生に対する教員の働きかけの 重要性を指摘している。それは,具体的には学生の自尊感情回復につながる声かけ,優しい 言葉,見守り,学生が奮起しやすい明確な目標,学生の状況に応じた臨機応変の教育などで あった(石村・古田・佐藤2015:13-23)。

 瀬川は,教員志望の学生に対し,その動機や情動性,教師像等に関するアンケートを実施 し,「学生たちには自らを変革するエンパワメントが必要である」と結論つけている(瀬川 2010:35-56)。橋本は,教員を目指す学生のエンパワメントを高めるための実践として,学 校インターンシップが有効である可能性を示唆している(橋本2018:511-525)。本稿で主題 のひとつとして取り上げている社会福祉士国家資格に関し,その養成教育全体を通しては,

学生をエンパワーしていく指導法に関する研究は管見の限り見つけることができず,この点 からも本稿の意義が認められるところであろう。

 上記の先行研究から明らかなことは,国家試験対策におけるグループ指導の必要性と重要 性,ならびに,学生をエンパワメントしていく際における,教員・スタッフの学生に対する 働きかけの大切さである。通学生の大学に通う学生は,国家試験という難関に対し,志を同 じくする仲間と共に努力することができる環境にある。それは,学習面においては,互いの 弱点を補強しあうことができ,精神面では共に励まし合いながら同じ目標に向けて力を育む ことができる。このようなグループ学習のメリットを活かそうと,立正大学では授業外に「国 家試験対策ゼミ」を実施し,国家試験合格を目指す学生にグループ指導を行っている。以下

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では,その点も含め,立正大学における国家試験対策の取り組みを報告する。

3  国家試験対策室設置の背景と取り組み

 立正大学社会福祉学部では,1996(平成 8 )年の学部開設以降,社会福祉士・精神保健福 祉士の国家試験受験者に対する受験支援を実施しているが,前章の記述にあるとおり,その 実績の検証や先行研究の検討等によって,本学の学生に対しては,学習支援とともに,生活 支援も視野に入れた取り組みが有効ではないかという方向性が見えてきた。

「学習支援」  継続的な学習習慣を身に付け,国家試験合格に必要な知識と実践力を育むこと

「生活支援」  学生の生活全般に配慮し,心身の安定を保って学習に取り組める環境を整える こと

 こうした学習支援と生活支援を両輪とし,学生のエンパワメントを意識した受験支援を実 践するため,2014(平成26)年,国家試験対策に特化した取り組みを担う「国家試験対策室」

を設け,主に 3 ~ 4 年生に対する支援を強化している。

 国家試験対策室における受験支援の主な内容は,以下のとおりで,本学教員 2 名の指揮の 下,社会福祉士資格を有する 2 名の非常勤スタッフが業務にあたっている。

 支援内容の詳細は,次項に述べるが,学習支援と生活支援に大別すると,下図のように位 置付けられる。

⑴ 学生からの学習相談への対応

⑵ 学生からの生活相談への対応

⑶ 国試ゼミの実施

⑷ 国試サロンの実施

⑸ 特別講座の実施

⑹ 個別面談の実施

⑺ 東京アカデミー対策講座の運営

⑻ 模擬試験の運営

⑼ 図書の貸出

⑽ 情報の公開

生活支援

国試ゼミ 生活相談 個別面談 学習支援

学習相談 国試サロン

特別講座 対策講座 模擬試験 図書貸出 情報公開

図 1  学習支援と生活支援を両輪とした取り組み

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4  国家試験対策室における受験支援の具体的内容

⑴ 学習相談への対応

 学習に関する相談全般を受けている。対策講座や国試ゼミ,自習における疑問点につい て解説する。また,学習方法に迷いが生じた時や,模擬試験の点数が伸び悩んだ時など,

個々の理解度や進捗状況に合わせてアドバイスしている。教員に質問に行く学生もいるが,

国家試験対策室にはスタッフが常駐し,いつでも気軽に相談できる場としての態勢を整え ている。

⑵ 生活相談への対応

 学生が来室する理由は,学習方法の相談や,自習における質問が大半であるが,会話の 中から就職活動,卒業論文執筆,生活,心身の健康,家族,友人関係,恋愛相談等に発展 するケースが非常に多く,スタッフとの雑談を求めて来室する学生もいる。教員ではない スタッフが学生の環境面での問題を解決することは難しいが,「保健室」のような居場所と して,丁寧に話を聞き,真摯に向き合うことにより,学生が心身の安定を保ち,自己肯定 感を高め,ひいては,自ら意欲的に学習することに結び付けてくれることには意義があり,

時間の許す限り,きめ細かく対応している。

⑶ 国試ゼミの実施

  4 年次の 4 月から国家試験本番まで,継続的に学習する機会を提供することで,学生の 知識の確実な習得と学習意欲の維持に寄与することを目指して実施している。

 実施の詳細については,後述する。( 5  国試ゼミの目的と実施概要)

⑷ 国試サロンの実施

 学生への情報伝達や交流の場として,国試サロンを年 5 回程度企画し,昼休み等に実施 している。「国試サロン」という親しみやすい名前を付け,積極的な参加を促している。

⑸ 特別講座の実施

 外部講師及び本学教員による重点講義として,特別講座を年 4 回程度企画し,集中的な 学習と苦手科目の克服を目指して実施している。

⑹ 個別面談の実施

 相談業務の一環として, 3 年生を対象に, 2 月~ 3 月の春休み期間中,個別面談を実施 している。面談では,今後の学習方法を教示するとともに,個々人の就職や卒業論文執筆 の意向と両立方法,課外活動やアルバイトの状況,学習経験や性格等を学生とスタッフで 共有化し, 4 年次の学習が円滑に進むようになることを目的としている。一人につき 1 時 間程度の時間をかけて面談を実施することにより,インテークの役割も果たし,学生と国 家試験対策室の信頼関係を築く一助ともなっている。

⑺ 東京アカデミー対策講座の運営

  5 月~12月,東京アカデミーに委託し,70コマの対策講座を実施している。基礎講座,

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実践演習,直前演習の三本立てで構成し,年間を通した勉強のベースと位置付けている。

⑻ 模擬試験の運営

 学習の成果を確認するため,年 5 回,外部及び学内の模擬試験を実施している。また,

努力することで成績が上がることを励みにしてもらうため,実施後に平均点と成績上位者

(学籍番号と得点のみ)を発表している。

⑼ 図書の貸出

 テキスト,問題集,解説集,六法等,学習に役立つ図書を購入し,学生に貸し出してい る。大学図書館,社会福祉学部資料室とも情報を交換し,購入図書を選定している。

⑽ 情報の公開

 学生向けの国家試験関連情報については,学内 3 ヵ所の掲示板にて掲示するとともに,

LINE @を活用して周知している。また,学外や卒業生向けには,社会福祉学部ホームペー ジに国家試験対策室のページを設け,情報を随時更新している。

5  国試ゼミの目的と実施概要

 国家試験対策室の受験支援の中でも,学習支援と生活支援の両面を併せ持ち,本学独自の 特色ある取り組みのひとつが,少人数の勉強会形式を採る国試ゼミの実施であろう。本項で は,その取り組みについて報告する。

⑴ 国試ゼミの目的と実際

①知識を確実に習得し,実践力を養うこと

 学生は,入学後 3 年間で国家試験に必要な科目を履修しているが,講義内容を十分に 習得して 4 年次を迎えているとは言いがたいのが現状である。社会保障制度の各論だけ でなく,社会福祉の総論的な知識も不足したまま進級し,いざ国家試験対策の学習を始 めようとした時,まずは基礎的な事項からの復習に時間を取られてしまう学生が非常に 多い。このことは,3 年次 2 月に実施する学内模擬試験(150点満点/合格基準約90点)

の平均点が,毎年50点台であることからもわかる。

  4 年次の学習のベースとなるのは,東京アカデミー対策講座であるが,

Ⅰ ペースが速く,講義内容をメモすることはできても「理解する」までには至らない

Ⅱ 大教室での大人数での座学のため,受動的な学習になる という弱点がある。

 そこで,国試ゼミは,それらの弱点を補完する役割を担い,また,少人数であるメリッ トを活かして,

Ⅰ  必要な知識をわからないままにせず,理解できるレベルになるまで徹底的に学習す

Ⅱ  課題や生活スケジュールの管理等を通して,主体的な学習と個々へのフォローを実

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施する

ことを目標とし,国家試験に合格できる基礎的・実践的な知識の確実な習得と,それを 的確にアウトプットできる実践力を養っている。

②継続的な学習習慣を身に付けること

 国家試験対策の学習は,就職活動やアルバイト等との両立を求められるため,学習時 間を十分確保できないことや,学習に気持ちが向かないことに悩み,途中で受験を諦め たり,記念受験と割り切る学生も少なくない。また,高等学校や大学に推薦入試等で入 学したため,目標に向かって継続して学習したり,長時間集中して机に向かった経験の ない学生も多い。

 そうした学生が, 3 年次の 2 月頃から約 1 年間の長期間に及ぶ受験勉強を乗り切るた めには,まず,継続した学習がいかに重要かを教え,苦痛と感じても机に向かう時間を 少しずつ増やしていくこと,途中で諦めなければ必ずや合格に結び付く試験であること を繰り返し説明し,学習することが「あたり前」と思えるようになってもらうことが必 要である。

 そこで,週 1 回の国試ゼミでは,その時機に合った内容の課題を出して取り組ませる とともに,スタッフが生活スケジュールや学習の進捗状況を毎回チェックしてアドバイ スし,継続して学習に取り組む習慣を身に付けられるよう働きかけている。

③学生同士の情報交換と学習意欲維持の場を提供すること

 国家試験対策の学習においては,学生は,初めての国家試験に対する漠然とした不安 や,自分の学習の進め方に対する迷い,周りの友人達と比較して生じる焦燥感等,精神 的な葛藤とも戦い続けることになる。一方で,仲の良い友人が国家試験を目指さない等 の理由で,孤独な状況で学習している学生が多く,次第に学習に対する意欲を失ってし まうケースもある。

 そうした学生にとって,国試ゼミは,国家試験合格という共通の目標を持つ学生同士 の情報交換の機会となり,悩みを共有し,刺激を受け,励まし合い,自身の学習意欲を 維持することにつながる場としての機能を発揮している。

④学生の生活全般に気を配る場であること

  4 年次は履修科目が少なく,大学に来るのが週 1 回程度で済む学生が多いため,生活 や学習のペースが掴みにくく,漫然と時間を過ごすうちに生活が乱れたり,学習が追い つかなくなってしまうケースがある。

 そこで,週 1 回の国試ゼミに定期的に出席することにより,生活や学習のリズムを整 えることを目標としている。また,生活スケジュール表を毎回記入・チェックすること

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で,学生自身は自らの生活を省みる契機となり,スタッフは学生の変化に気付き,対策 を講じることができる。

 また,国家試験対策室に積極的には足を運びにくい学生にとっても,国試ゼミでスタッ フと関係を築いておくことで,たとえ国試ゼミに出席しなくなっても相談に来室しやす くなり,国家試験本番まで支援を続けられる効果が生まれている。

⑵ 国試ゼミの実施概要(2)

①対象者

国家試験受験予定の 4 年生のうち希望する者

②実施形式

4 月~翌年 2 月の国家試験直前まで

原則,月・火・木・金曜日の 3 限及び 4 限のうち,週 1 回選択して出席

③実施内容

【通年】生活スケジュール表の記入と実績の確認

 就職活動や卒業論文執筆,アルバイト等との両立を図りながら,学習時間を確実に 確保し,学習習慣を継続させることを目的とし,毎週,一週間分の生活スケジュール 表を記入する。翌週,スタッフが実績を確認し,学習時間や学習内容の到達具合につ いてアドバイスする。また,前期,後期,夏休みや冬休み等の長期休暇について,数 週間~数ヶ月単位の長期的なスケジュールを相談して作成し,個々人の課題と到達目 標を共有化する。

【前期】過去問題集の学習による基礎的知識の習得

 出題範囲は広範であるが,重要項目が繰り返し出題される傾向にある国家試験への 対策は,過去問題集の反復学習が有効である。そこで,前期は,毎週 1 科目を目安に,

全19科目の前年度問題に取り組み,19科目の基礎的知識を習得することを目標として いる。

 各自が問題を解き,問題集の解説に沿ってテキストや小六法を活用して調べたこと を発表し,スタッフがポイントを整理しながら補足説明を行う。また,テキストや小 六法の使い方,疑問点の調べ方,解説文の読み取り方,正答の導き方等,学習の基礎 的事項についても随時説明し,学習が円滑に進むようにアドバイスする。

【後期】実践的知識の習得と実践練習

 東京アカデミー対策講座が実践演習に入り,外部模擬試験も実施される時期になる

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ことに合わせ,国試ゼミでも基礎的知識の確認・定着を徹底するとともに,より実践 的な知識の習得と実践練習を目標として取り組む。

Ⅰ 穴埋め問題や一問一答を使って,知識が十分か確認する

Ⅱ  自分だけの学習では網羅できない点や理解が不足しやすい点について確認する

Ⅲ 苦手科目については,基礎的知識に戻って徹底的に学習する

Ⅳ 各種模擬試験や東京アカデミー対策講座内容の疑問点を復習する

Ⅴ 統計や法改正等,直前に暗記すべき事項を整理する

(Ⅵ  特に国家試験直前期には,精神的に不安定になりやすいことから,学習以外にも,

情報交換,不安感や焦燥感の共有,雑談等の時間を作り,学生の精神的ケアにも配 慮する)

6  国家試験対策室の取り組みの効果検証

 国家試験対策室の取り組みの成果は,国家試験対策室を開設した2014(平成26)年度以降,

国家試験において全国平均を上回る合格率を維持していることからも窺える(表 1・表 2 )。

表 1  社会福祉士国家試験合格率の推移 (%)

実施回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回 年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 立正大学(新卒) 16.9 31.2 42.2 48.6 52.5 44.3

全国 18.8 27.5 27.0 26.2 25.8 30.2

表 2  精神保健福祉士国家試験合格率の推移 (%)

実施回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 立正大学(新卒) 42.9 70.0 85.7 50.0 80.0 75.0

全国 56.9 58.3 61.3 61.6 62.0 62.9

 また,国試ゼミ実施の効果として,国家試験合格者は,国試ゼミの出席回数が多く,また,

後期も継続して出席している傾向にあることがわかる(表 3 ・表 4 )。

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表 3  国試ゼミ出席回数と国家試験合否

(第30回社会福祉士国家試験)

0 5 10 15 20

0 5 10 15 20

【前期】出席回数 (回)

合格者27 不合格者31

合格 不合格

(回)【後期】出席回数

表 4  国試ゼミ実施回数

月曜日 火曜日 木曜日 金曜日

前期 18 20 18 19

後期 16 18 17 17

国家試験対策室が関わった事例

 以下では,国家試験対策室における取り組みを検証するための一助として,過去 5 年間に おいて実際に国家試験対策室が関わった複数事例のなかから, 5 事例挙げることとする。な お,倫理的配慮として,事例は本人が特定されないよう,趣旨から逸脱しない程度に脚色を 加えていることをお断りしておく。

⑴ Aさん (学習方法を会得し,合格に結び付いた事例)

 国試ゼミや講座等に真面目に出席し,自分なりの学習を進めていたが,継続した学習や 受験勉強を経験していなかったこともあり,基本的な学習方法が身に付いていなかった。

そのため,学習の成果が現れず,苦悩していた。そこで,国家試験対策室において,学習 の進め方,学習の計画作成,テキストや問題集の使い方,文章の読み取り方,重要なポイ ント等を手取り足取り教示し,継続して支援。次第に学習への苦手意識が薄れ,自主的に

(12)

学習に取り組む姿勢が見られるようになり,模擬試験の点数が着実に伸びたことで自信を つけて,合格に結び付いた。

⑵ Bさん (合格まで個別支援を継続した事例)

 年度当初は国試ゼミに毎回出席し,積極的に質問するなど熱心であったが,ゼミのメン バーの成績や動向が気になってしまい,それがストレスになり,次第に足が遠のいてしまっ た。同時に,自分だけ取り残されてしまったとの葛藤もあり,精神的に不安定になること もあった。そこで,毎週決まった曜日に国家試験対策室に来室,学習の進捗状況をチェッ クすることにした。毎週,国試ゼミの課題を解いたり,自習における疑問点をまとめて質 問したり,スタッフとの雑談で悩みを解消したりするなど,学習面と精神面において一対 一の個別支援が適していたケースで,無事に合格できた。

⑶ Cさん (精神的な支援を重視し,自己肯定感を高めて合格した事例)

 もともと精神的に課題があった上,就職活動が思いどおりに進まずに,さらに追い詰め られていた。国家試験にも気持ちが向かずに焦り,心身ともに不安定な時期が続いた。そ のような中で,スタッフが見守り,優しく声をかけていくことで,いつの間にか国家試験 対策室が自分の居場所になり,自分の悩みを打ち明けられる場として,毎日のように通っ てくるようになる。学習よりも精神的な支援を重視していくうちに,就職活動で内定を得 られたことも契機となり,次第に自己肯定感を高め,年度当初からは想像できないほど,

表情も言動も柔和になっていった。精神的な安定が学習意欲にもつながり,最後まで諦め ずに努力して合格した。

⑷ Dさん (社会福祉士必須の内定が最大の動機づけとなり合格した事例)

 仕事内容というよりイメージという軽い気持ちで公務員(福祉職)を志望。公務員試験 対策としても,国家試験対策としても,ほとんど準備していなかったので,春から夏にか けて,一緒に計画を立てながら,学習を進めた。国家試験対策を念頭に効率的な公務員専 門試験(福祉)対策を進め,公務員試験に合格。内定した自治体が社会福祉士必須であっ たため,国家試験本番まで気持ちが切れることなく受験勉強に集中できた。就職内定が最 大の動機づけとなって合格し,卒業後,ケースワーカーとして活躍している。

⑸ Eさん (真面目に努力していたが,双方が油断して不合格となった事例)

 とにかくコツコツと真面目に努力し,国試ゼミや講座等は,ほぼ皆勤。国試ゼミ内での やりとりでは,基礎的な知識は十分あると思われ,模擬試験の点数もそれなりに伸びてい たが,あと一歩合格に届かなかった。後から聞けば,Eさん自身も学習方法に悩んでいた ということだが,殻に閉じこもりがちな性格で,自分から何か支援を求めることはなく,

(13)

国家試験対策室としても,真面目に取り組んでいる様子に油断し,踏み込んだ働きかけは しなかった。より積極的な支援が噛み合えば,合格に導けたであろう残念なケースであっ た。

 上記は,国家試験対策室による学生に対するサポート内容が多岐にわたることを示し,そ れぞれの働きかけが単独ではなく複合的に作用していることを表しているといえる。国家試 験対策室は,受験勉強を一方的に指導するのではない。その取り組みは,学習の計画作成,

テキストや問題集の使い方,文章の読み取り方,重要なポイント等を手取り足取り教示する こと(Aさん),対策室スタッフとの雑談で悩みを解消させること(Bさん),国家試験対策 室が自分の居場所になり,自分の悩みを打ち明けられる場として国家試験対策室があること

(Cさん),学生と一緒に計画を立てながら,公務員試験合格を側面的に支援すること(Dさ ん)など多種多様である。

 一方で,自分から支援を求めることが苦手な学生(Eさん)に対する支援は,今後の課題 と言えよう。国家試験対策室スタッフにも,ソーシャルワークの一手法であるアウトリーチ を実践することが,今後ますます求められることになるであろう。

7  受験支援の課題と今後の方向

 以上のように,国家試験対策室を中心とした受験支援の取り組みは,国家試験合格率とい う点で一定の成果をあげているとともに,開設から約 5 年経った国家試験対策室の存在は学 生に浸透し,その業務も軌道に乗りつつある。

 一方で,受験支援を通して学生との関わりが濃くなったことで明らかになってきた課題も あり,「国家試験合格」という結果として見える目標と,「学生支援」というゴールのない模 索を念頭に,当大学の受験支援の方向性を探る。

⑴ 主体的な学習の意識付け

 社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験は,出題範囲が広く,理解すべき知識は膨大で あるが,記述式ではなく, 5 肢選択マークシート方式であるため,知識の確実な習得が合 格への鍵となる。言い換えれば,受験勉強に主体的に取り組み,時間をかけて確実に準備 すれば,十分合格できる試験であるということである。これは,毎年, 3 年次の学内模擬 試験の得点が50点台だったような学生の多くが,一年間努力を重ね,国家試験では約90点 の合格基準点を満たして合格していることからもわかる。

 しかし,学習習慣がほぼないまま入学・進級した学生,学習に関する成功体験が少なく 自信がない学生,定期試験を一夜漬けで乗り切ってきたような学生にとっては,この主体 的に学習するということが非常に困難であり,大きなストレスとなっているのが現状であ る。

(14)

 そこで,「学習=自ら主体的にやるもの」という意識を持ってもらうためには,1 年次か ら,

Ⅰ  主体的な学習が習慣化するように,定期的に課題や試験を課し,常に自習が必要な環 境に置かれること

Ⅱ  自分には困難と思われるような課題に取り組み,自分の能力でも実現できたという達 成感を味わうこと

Ⅲ  学習に対して苦手意識を持たず,適度な努力の継続が成果に結びつく喜びを実感でき る体験をすること

Ⅳ  国家試験対策の学習を自信を持って始められるように,社会福祉に関する基礎的事項 を身に付けておくこと

が有効ではないかと考えられ,通常授業においても,それらを意識した取り組みが求めら れる。

⑵ 学生の気質を踏まえた国試ゼミ実施方法の検討

 国試ゼミについては,「 6 国家試験対策室の取り組みの効果検証」で触れたとおり,積極 的に出席している学生ほど国家試験に合格していることが明らかになっている一方で,年 度途中で出席しなくなる学生も多いのが現状である。

 国試ゼミに関する学生の感想を分析すると,以下のような表裏一体の傾向が見えてくる。

表 5  国試ゼミに関する学生の感想

国試ゼミに出席する理由 国試ゼミに出席しない理由

1 友達と一緒の方が学習する気持ちが維持できる 自分一人でも学習を継続できる 2 ゼミで出される課題に取り組むことが役に立つ 期限までに課題をやることは気が重い 3 友達の学習方法や進捗状況が参考になる 友達の動向が気になり,ストレスになる 4 週 1 回のゼミで,生活と学習のリズムができる 授業以外で大学に行くのが面倒である

 このうち,最も多く聞かれるのが, 3 の人間関係に関する点である。

 学生と日々接する中で強く感じるのが,

Ⅰ 自分が友達からどのように思われるかを過度に気にする

Ⅱ 常に自分と友達とを比較してしまう

Ⅲ 友達の成績や発言に一喜一憂してしまう

Ⅳ 心を許している友達以外と同じ空間(教室)にいることが大きなストレスになる

Ⅴ 友達の前で間違った解答をすること,指名されて解答できないことを恥ずかしく思う ということで,これらの要因から逃げたいために,結局は国試ゼミに出席しないという選 択をするケースも目立つ。

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 今後は,こうした学生の気質を踏まえた上で,学生が国試ゼミに出席しやすくなる方法,

また後期まで継続して出席し続ける方法を考えていかなくてはならない。学習・生活面だ けではなく,人間関係面での配慮も,より一層心がけていきたいと考える。

 なお,国家試験対策室では,国試ゼミに出席しない学生に対しては,生活スケジュール の定期的な確認や学習の進捗状況の管理等,個別に支援している。個別支援が功を奏して 国家試験に合格している学生もいることから,引き続き丁寧に対応していきたい。

⑶ 就職活動と受験勉強の両立

 就職活動は,学生にとって非常に重要なライフイベントであり,かつストレッサーとな り,同時期に受験勉強にも追われることで,過酷な日々を過ごすことになる。

 学生は,希望どおりの内定を得らえると安心して受験勉強に身が入るようになるし,内 定先が公務員(福祉職),社会福祉協議会,病院(医療ソーシャルワーカー)等で国家資格 必須の場合は,より真剣に学習するため,国家試験にも合格しやすい傾向にある。

 一方で,人生にとっては,受験勉強より就職活動の方が重要であるにもかかわらず,学 習に集中したいという理由に逃げて就職を適当に決めてしまうという本末転倒なケースも 多い。また,内定先が施設(介護職)の場合,「いずれ相談員として働く」ということへの 現実感が乏しかったり,資格手当も動機づけとしては弱いことから,受験勉強にエンジン がかからず,記念受験になってしまうことも少なくない。

 就職活動と受験勉強を両立させ,願わくは国家資格を活かせる就職も叶えるためには,

Ⅰ  就職指導において, 3 年次の早い時期から計画的に就職活動を開始できるように入念 な準備を促すこと

Ⅱ  意欲と能力のある学生に対しては,国家資格必須の就職先を積極的に勧め,国家試験 合格と資格を活かした活躍を実現させること

Ⅲ  介護職から相談員になった先輩の話を聞く機会を作るなど,学生のうちに国家試験に 合格しておくことのメリットを感じて,学習の動機づけを高める工夫をすること というような対策が考えられる。

⑷ 金銭面や精神面の支援

 学生の中には,自らのアルバイト代から学費や生活費を捻出している者も少なくない。

国家試験受験対策としては,問題集の購入費,東京アカデミー対策講座受講料,模擬試験 受験料,国家試験受験料等で,約 7 万円の費用が必要であると想定しているが,毎年数名 の学生が,この費用を用意できずに受験を諦めている。また,アルバイトが忙しくて疲弊 してしまい,受験勉強に手が回らない学生もいる。何らかの対応策が検討できないだろう か。

 また,心身の疾患,精神面での課題,対人関係の困難さ等を抱えている学生は,受験勉

(16)

強に継続して取り組むことが難しく,学習の挫折や躓きが状況を悪化させる可能性も大き い。できれば,国家試験合格という結果で自信をつけて卒業してほしいが,受験勉強と精 神的なケアのどちらに重点を置くべき時期なのか,常に状況を判断しながら,大学教員や 大学保健室とも連携した支援を心がけていきたい。

8  おわりに

 国家試験対策は,学生が主体的に受験に必要な知識を身に付けることによって,試験に合 格することを目標として行われるものである。しかし,本稿で明らかとなったのは,左記の 目標を達成するためには,数多くの難問が待ち受けているということである。学生の長く苦 しい受験勉強が実を結ぶのは,国家試験合格であることは言うまでもないが,自分の選択と 意思で必死に努力した経験は,これからの人生において,大きな糧となることだろう。

 一人でも多くの学生が,自分の力で目標を達成したことへの自信と,その証として取得し た国家資格に誇りを持って卒業し,社会で活躍し続けてくれることを願い,今後も,より効 果的な受験支援のあり方を探求していきたいと考えている。

付 記

 本稿の執筆分担は, 1 , 2 が田中秀和, 3 ~ 5 , 7 が田中史江, 6 , 8 が両名による共著 である。

文 献

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( 1 )社会福祉士登録者数は,1997(平成 9 )年度末で10,365人,2007(平成19)年度末で は95,590人,2017(平成29)年度末においては,221,251人となっている。一方,精神保 健福祉士は,1999(平成11)年度末で4,169人,2009(平成21)年度末では46,002人,2017

(平成29)年度末においては,80,891人となっている。

  「登録者の資格種類別―年度別の推移」http://www.sssc.or.jp/touroku/pdf/pdf_t04_2.pdf

(2018年12月26日アクセス)

( 2 )国試ゼミは,2018(平成30)年度まではカリキュラム外科目であったが,2019(令和 元)年度から自由科目「社会福祉特別演習」として単位化された。

謝 辞

 本稿は,これまで国家試験対策室に携わっていただいた,立正大学のすべての先生方の力 なくしては,完成することができませんでした。特に,土屋典子先生,金子充先生,濱畑芳 和先生,新藤こずえ先生,関水徹平先生には国家試験対策室の運営,国家試験対策特別講座

(19)

等で大変お世話になりました。また,国家試験対策室スタッフの西野栄子様のお力添えは,

国家試験対策室の業務を行ううえでは欠かせないものであります。

 また,本稿投稿後に発表された,第31回社会福祉士国家試験,第21回精神保健福祉士国家 試験における立正大学(新卒)の合格率は,社会福祉士62.7%,精神保健福祉士100%であり ました。この結果は,本稿で取り上げた取り組みが浸透したことの証であり,最後まで諦め ることなく国家試験受験に取り組んだ学生の努力の賜物であります。皆さま,ありがとうご ざいました。

表 3  国試ゼミ出席回数と国家試験合否 (第30回社会福祉士国家試験) 05101520 0 5 10 15 20 【前期】出席回数 (回)合格者27名不合格者31名 合格 不合格(回)【後期】出席回数 表 4  国試ゼミ実施回数 月曜日 火曜日 木曜日 金曜日 前期 18 20 18 19 後期 16 18 17 17 国家試験対策室が関わった事例  以下では,国家試験対策室における取り組みを検証するための一助として,過去 5 年間に おいて実際に国家試験対策室が関わった複数事例のなかから, 5 事例挙

参照

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