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福島県 追補

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Academic year: 2021

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福島県 追補

著者 黒沢 高秀

雑誌名 植物地理・分類研究

巻 60

号 2

ページ 8

発行年 2013‑03‑01

URL http://doi.org/10.24517/00053496

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

黒沢高秀(〒960-1296 福島市金谷川1 福島大学共生システム理工学類 [email protected]

7.福島県 追補

(A) 植物誌

福島県植物研究会(五十嵐彰会長)が『福島県植 物誌』(福島県植物誌編さん委員会 1987)の改訂を 目指してきたが,最近は目立った進展がない。県内 のフロラや植生を掲載してきた福島県植物研究会に よる『フロラ福島』,会津生物同好会(五十嵐義会長)

による『会津生物同好会誌』,福島県生物同好会(木 村吉幸会長)による『福島生物』は,前回報告時と 同様に発行されている。このほか,最近は福島大学 の紀要である『福島大学地域創造』に県内の植物相 や植生と保全の論文,福島県生活環境部自然保護課 発行の『尾瀬の保護と復元』に尾瀬の植物相や植生 に関連した論文が掲載されることがある。いわき地 域環境科学会の『

EQUAL

』にいわき市およびその 周辺の植物の新知見が一時期掲載されていた。植物 相を良くまとめた植物誌とも言えるような市町村誌 が,只見町(2001年),原町市(2005年)など相次 いで出版された。只見町は『会津只見の植物』(2004)

も発行している。福島県には,調査報告書を内部 資料とし図書館などで公開しないという不可解な慣 例があったが,幸い

2005

年以降改められ,松川浦

2005

年),飯豊山(

2006

年),会津駒ヶ岳および田 代山帝釈山(

2008

年),尾瀬(

2008

年)などの調査 報告書が相次いで公開されている。これらの中にも 植物相が植生の概要などと共にまとめられている。

『福島生物』

50号(2007)に県内の植物相研究の歴史,

特徴,課題をまとめた総論が掲載されている。

(B) 研究機関

前回の「各都道府県別の植物自然史研究の現状」

を集計して,各都道府県の状況を比較し,福島県を 公的な研究機関の整備および標本の蓄積に関して ワースト

4

のひとつであるとする報告が『フロラ福 島』20号(2003)に掲載されている。公的な研究 機関に関して,全国最低レベルである状況は現在も 変わっていない。多少とも植物の自然史に関わって いる大学の研究室は,福島大学共生システム理工学 類の森林生態学研究室(木村勝彦教授),環境微生 物学研究室(難波謙二教授),植物分類学研究室(黒 沢高秀准教授,兼子伸吾特任助教)の

3

研究室のみ である。県内の博物館に野生植物の専門家は一人も いない(哺乳類,鳥類,昆虫も同様である)。なお,

総合博物館である県立博物館の自然史部門には,化 石を扱う

2

名の学芸員しかいない。

県内の動植物研究団体などが集まって福島県自然 史博物館設立推進協議会(樫村利道会長)をつくり,

標本展などの普及活動や,県への陳情などを行って いる。しかし,今のところ自然史博物館設置などの 計画はない。

このような状況の中,

2009

年に只見町が「ただ み・ブナと川のミュージアム」(只見町ブナセン ター)を開設した。

2011

年より館長に鈴木和次郎 氏を迎え,今後紀要も出版する予定とされている。

(C) 標本

現在も県内において“

Index Herbariorum

”に 登録されている標本室はない。福島大学教育学部理 科教育教室の標本室は,学内改組に伴い共生システ ム理工学類生物標本室(登録はしていないが仮に

FKSE

の略号を用いている)となった。

2011

12

月時点で

40,413

点が整理,公開されている。標本 はデータベース化され,研究者の問い合わせに応じ ているほか,一部

s-net

GBIF

を通じて公開され ている。佐瀬秀男氏(2001年没)の維管束植物標 本(9,538点)は整理が完了し,齋藤慧氏(2003年没)

の標本も,半分程度整理が完了し公開されている。

いずれも『福島県植物誌』(

2007

)作成の中心人物 の一人で,植物誌の証拠標本を多く含んでいる。福 島大学教育学部生物学教室から福島県立博物館に寄 託されていた福島師範学校,福島大学学芸学部等の 標本も

2010

年に

FKSE

に返還されている(ただし 未整理)。

FKSE以外に県内に公的な標本室はない。この標

本室も大学や学類(概ね学部に相当)が設置したも のではなく,学類に部屋使用料年間数万円を研究費 から支払った上で,教員が個人的に運営しているも のである。

(D) レッドデータブック

このような状況に対応して,2002年に発行され た県のレッドデータブック『レッドデータブックふ くしま

I

 植物・昆虫類・鳥類』の改訂作業は行わ れておらず,その計画もない。残念なことに,組織 としてレッドデータブックの改訂をするという体制 が県庁内にできていないため,自然保護の部署に志 を持った職員が配属され,個人的に多大な努力をし ないと改訂作業は始まらないと思われる。

2002

の県のレッドデータブックに関しては,いわき自然 塾が,『ふくしまの滅びゆく植物たち』という解説 書を

2006

年に発行している。

(E) 植物群落

植生に関しては,地域的な文献や調査報告書が出 されているのみである。植物誌の項を参照されたい。

8

植物地理・分類研究 第 60 巻第 2 号 2013 年 3 月

参照

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