論文の内容の要旨
氏名:向 後 隆 章
専攻分野の名称:博士(医学)
論文題名:3次元光干渉断層図法でみた急性冠症候群患者における冠動脈壁内マクロファージ集積分布に ついて:糖尿病合併例と非合併例の比較検討
目的:冠動脈の動脈硬化性プラークにおけるマクロファージ集積はプラークの不安定性に関与するとされ ている。本研究の目的は急性冠症候群患者の冠動脈壁におけるマクロファージ集積の 3D 空間分布の特徴 を血管内超音波検査(IVUS)ならびに3次元光干渉断層図法(OCT)を用いて糖尿病患者と非糖尿病患者 で比較し、その臨床的意義を検討することにある。
対象と方法:日本大学医学部附属板橋病院にて入院した、一定の基準を満たした急性冠症候群の患者40名 を糖尿病群20名と非糖尿病群20名に分けた。
冠動脈壁におけるマクロファージ集積はOCTにおいて縞状の影を引く線状の高輝度領域と定義した。そし て左前下行枝の入口部から20mm以内のマクロファージの集積体積を計測した。計測した領域は左回旋枝 側のずり応力の高い部位と反対側のずり応力の低い部位に2分した。OCTで計測したマクロファージの集 積体積をIVUSにて測定したプラーク体積で除することにより、マクロファージ集積密度を算出した。
結果:非糖尿病群のマクロファージ密度はずり応力の高い部位は低い部位と比較して有意に高かった (7.1(1.4-16.5) vs 1.5(0.5-4.5) [×10-4×mm3/mm3], p=0.033)。糖尿病群ではずり応力の高い部位と低い部位 で密度の有意差は認めなかった(5.6(1.1-18.8) vs 6.5(4.4-15.1) [×10-4×mm3/mm3], p=0.565)。ずり応力の 低い部位のマクロファージ密度は非糖尿病群と比較して糖尿病群で有意に高かった(6.5(4.4-15.8) vs 1.5(0.5-4.5) [×10-4×mm3/mm3], p=0.003)。
結論:糖尿病合併急性冠症候群患者の冠動脈におけるマクロファージ集積は非糖尿病患者と比較して分布 の違いが認められた。このことにより糖尿病の有無により急性冠症候群の発症機序や動脈硬化の病態に差 異があることが示唆された。