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生物多様性の評価方法 森本幸裕 * 生物多様性とは 1980 年代末に登場した概念で 生物的な自然環境の要素と構造の全体像を示す言葉といえる この概念はそれまでの ともすれば希少種保護の側面のみに注目があつまる自然保護分野への関心を 広く生物界全体へ さらにその地球環境における機能的な側面 つまり生

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* 京都大学 地球環境学堂 教授 <ymo3@me.com>

生物多様性の評価方法

森本幸裕

* 生物多様性とは1980 年代末に登場した概念で、生物的な自然環境の要素と構造の全体像 を示す言葉といえる。この概念はそれまでの、ともすれば希少種保護の側面のみに注目が あつまる自然保護分野への関心を、広く生物界全体へ、さらにその地球環境における機能 的な側面、つまり生態系サービスの認識へと導く「革命」とも捉えられるようになった。 生物の多様性とともにその生息環境とそれらの仕組みである生態系とその機能、生態系 サービスの動向を評価する試み、ミレニアム生態系評価や里山・里海サブグローバル評価 などが行われた。地球環境の危機に関する、こうした国際的に権威のあるアセスメントに よると、いくつかの環境変動要素のなかで、生物多様性が最も危機的状況にあって、地球 の持続可能性に大きな懸念を与えていると考えられている。 だが、Elton (1958)が多様な生物からなる生態系の安定性を主張したのに対し、May (1973)が多様性と安定性は無関係であるとして以降、論争が続いてきたように、生物多様性 の評価は簡単ではない。少なくとも地球生命圏の必須の基盤であるものの、全体構造も個々 の要素も未知のところが多く、失われても何が失われたか不明で、しかも二度と再生でき ないもの、それが生物多様性といえる。 現在、生物多様性の危機はティッピングポイント(それを超えると急激に生態系の状態 が変化して別の平衡点に至る)が懸念されている。この状況にあって、「多様性」と「冗長 性」は「選択」と「集中」による「効率化」に対して、「レジリアンス」(回復能力:想定 外のダメージに備えて予め危機管理する環境システムの概念)を高めるものと考えられて いる。絶滅危惧種は、それ自体がユニークなリソースであって、保全・再生していく必要 があると考えられるが、単に遺伝子資源の生息域外保全ができればいいわけではない。絶 滅危惧種が生息する生息環境の保全・再生は、同時にそうした種の生息する生態系の機能 の保全・再生につながり、多様性はレジリアンスを高めることにつながるという視点が重 要である。 上述の生物多様性と生態系の評価(環境評価)は対象とする時空の範囲が広く、地球な いし国土規模、地域スケールの評価である。各種事業による、環境の悪化を事前に予測評 価して環境保全措置を検討し、環境影響を緩和するためのインパクトアセス(EIA:環境影 響評価)も、こうした上位のアセスメントの情報を尊重したものであることが必要である。 我が国の環境影響評価制度は1972 年の閣議了解に基づく取組みを端緒に、自治体でも取組 みが進み、自治体によっては戦略的な内容も盛り込まれた。1997 年には法制化され、スク

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* 京都大学 地球環境学堂 教授 <ymo3@me.com> リーニング、スコーピング、フォローアップなど新たなプロセスが盛り込まれた。先日は この一部が改正され、現在に至る。生物多様性分野については汚染問題と異なって、評価 の目的と方法、水準の定め方が容易でないため、さまざまな検討はされてきている。「生物 の多様性分野の環境影響評価技術検討会」(平成10 年 10 月設置)で検討された内容が「生 物の多様性分野の環境影響評価技術」(三分冊)としてとりまとめられている。また、アセ ス法の基本的事項の改訂が先般行われたところである。また、かねてからOECD の環境レ ビューの指摘も受けて、事業段階の前に、より柔軟な保全措置の検討も可能な戦略アセス (SEA)が行われるようになってきている。こうした現状にあって、生物多様性の評価方 法も、単に受身的に事業によるインパクトを事業範囲で予測評価するにとどまらず、現在 の課題を踏まえた上で、実効的な保全措置が検討できるようなものとして、充実させてい く態度が欲しい。法制化で新たに加わった評価項目、「生態系」については、上位性、特殊 性、典型性の観点から評価対象種を設定するというガイドラインがあるが、今回は、こう した実務的な内容に即した解説というよりも、むしろ生物多様性とその評価の本来のミッ ションの検討や、筆者が経験したいくつかの現実の事例の限界や課題などを考えてみたい。 参考文献

・William Morris et al.(1999)A Practical Handbook for Population Viability Analysis, The Nature Conservancy, ISBN: 0-9624590-4-6)

・森本幸裕・亀山章編著、(2001)「ミティゲーション-自然環境の保全・復元技術」、ソフト サイエンス社、 ・生物の多様性分野の環境影響評価技術検討会編、(2002)「環境アセスメント技術ガイド 生 態系」 ・今西純一、森本幸裕. (2002) 高速道路予定地選定の一般的指針としてのハビタット影 響評価の試み. 国際景観生態学会日本支部会報 7(2), 41-49 ・(財)日本生態系協会監修(2004)「環境アセスメントは HEP で生きる」ぎょうせい ・Yosihiro Natuhara (2006)Landscape evaluation for ecosystem planning, Landscape

Ecological Engineering, 2:3–11 ・藤田洋輔、森本幸裕(2007)アメリカにおけるミティゲーション・バンク事例研究、日 本緑化工学会誌 32(1);266-269 ・環境省(2008)「干潟生態系に関する環境影響評価技術ガイド」 ・伊勢 紀, 三橋弘宗(2005)モリアオガエルの広域的な生息適地の推定と保全計画への適 用、応用生態工学Vol. 8, No. 2:221-232 ・夏原由博、三好文、森本幸裕:メタ個体群存続可能性分析を用いたカスミサンショウウ オの保護のシナリオ、ランドスケープ研究65、523-526、2002

・J. Carwardine et al. (2006) Conservation planning with irreplaceability:

does the method matter? Biodivers Conserv, DOI 10.1007/s10531-006-9055-4.

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(名古屋市による抄訳)

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なぜ生物多様性の評価なのか?

生物多様性の危機=>人類の福利の危機

人間活動(政策/事業)が及ぼす影響

保全のシナリオとデザインの可能性

事業アセスにとどまらず、戦略アセス、

MAや

SGAのフォローアップの必要性と意義の増大!

動物・植物・生態系

人と自然のふれあい

(景観)

きょうの予定

1)なぜ生物多様性の評価なのか?

グローバルな評価結果から

2)生物多様性とは?

3)土地改変・保全措置の評価例

森林の連続性:モリアオガエル

分断化・孤立化・断片化:種の多様性

4)事業アセス段階の評価

HEP, PVA etc.

Biodiversity loss

Osaka Miyazaki 伐採 5 22 改変 65 24 遷移 13 28 汚染・農薬 13 12 採集 4 14

Cause of extinction in Osaka and Miyazaki %

宮崎県の絶滅種は44種 宮崎ではこれ以外に食害等があった

Sea

shore Rock Wetland Forest Grassland total

Deforestation 5 5

Alteration 12 1 33 1 15 62

Succession 1 11 12

Pollution 12 12

Collection 1 3 4

Habitat of 84 extinct plants and cause of extinction in Osaka Prefecture

Wetland includes river and paddy field

Number of grassland species listed in Prefecture red lists in Chugoku district Hiroshi ma Yamguc hi Tottori Shiman e Okayam a Total Number of grassland species

in RDB 113 163 130 110 122 315 % in RDB species 31.9 32.1 39.4 32.4 36.6 30.6 里山・里海SGA 西日本クラスターより 湿地(水田を含む)の植物が最も危機、草地 (特に中国地方)、海辺の植物の絶滅が顕著。

都市のプロファイル

都市の生物多様性指標(シンガポール指標)

10 指標

4 指標

9 指標

スコア: Max.4point × 23 指標

state

在来種の

多様性

impact

生態系

サービス

response

ガバナンス

と管理

都市の生物多様性指標 マニュアルより

(6)

結論

生物多様性の危機は世界的に大幅に進行して、

ティッピングポイントを超えている恐れあり。

我が国でも都市以外の、特に水辺の生態系の劣

化が著しい。

ドライバは開発(最大)、汚染、採取、遷移、

外来種。

既に生物生産力を上回る消費水準となっている。

2)生物多様性とは?

多様性の概念整理

多様性の有用性をめぐる議論

レジリアンスと多様性

「要素」「パターン」「プロセス」

生物多様性とは?

生物多様性:ストック(要素:DNA・種・生

態系・景観)

生態系:ストック(システム:要素+構造・パ

ターン+プロセス)

生態系サービス:フロー(めぐみ、わざわい)

それぞれ意味が違うし、トレードオフも

生物多様性は、その何を評価すべきか?

要素/ハビタット/プロセス(機能)

現況/変化傾向/シナリオ

生物多様性はなぜ重要とされるか?

多様性と安定性

多様性と生産性

多様性と恵み:供給/調整/文化/基盤

多様性とサステイナビリティ

しかし、実は、よくわからない生物多様性

(7)

議論の混乱を招く理由

階層性

遺伝子種生態系(関係・ランドスケープ) 緊急避難対策シンボル事業根本対策 再生アマモ場流域の土砂・水質管理 人工繁殖ハビタット(生息場所)整備 注目種管理生態系・ランドスケープ管理 トキやコウノトリ目に見える生物微生物

二面性

病原体、害虫、害獣ただの虫益虫、資源生物、伴侶生物 環境に適応する生物生物は環境をつくる 生物を守る生物に守られる

全貌不明・不確実性

因果応報・資本投下と利益回収の時空スケールの不一致

地球生命圏の基盤:だが全体構造も個々の要素も未知、失 われても何が失われたか不明、二度と再生できないもの= 生物多様性 進化 種の 移動/絶 滅 生態遷移 成長/死亡 プレート テクトニクス 氷期/間氷期 気候変動 山火事/洪水 /伐採

撹乱=>生物の反応=>植生景観

Turnerによる 空間スケール 時間スケール

多様な攪乱プロセス

↑↓

フィジオトープ多様性

↑↓

生物多様性

持続可能性

結論

生物多様性は階層的な攪乱プロセスと階層的なパ

ターンのなかで獲得された、階層的な多様性で構

成されているダイナミックな存在。

生物多様性はその「要素」「パターン」「プロセ

ス」が評価される必要。

要素:生物(遺伝子、個体群、種、群集)

パターン:ハビタットのモザイク(ストック)

プロセス:エネルギーと物質と生物のフロー

3)土地改変の評価例

森林の連続性:モリアオガエル

サイトの重要性:

irreplaceabilityほか

分断化・孤立化・断片化の意味:都市緑地の種数

(8)

対象種:モリアオガエル

(伊勢・三橋2005)

■生息には森林と湿地環境

の連続性が必要

・陸域と水域の物質循環に貢献

成体は森林に生息

幼生は湿地に生息

■分布に欠落がある

(茨城・神奈川・紀伊半島・四国等)

・人為影響が関係?

■レッドデータブック、

天然記念物指定種

・地域的に減少傾向

生息地の連続性評価

30% 60% 90% 集計半径は120m、500m、1km、1.5km、3km、5kmの6パターン 森林の割合は60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%の6パターン 計36パターンについてデータを整備

連続性:生物の移動可能な範囲内に存在する環境資源の割合

例:半径5km内の森林の割合 どの程度の範囲にどれだけの生息地が存在していれば生息が可能なのか?

評価の指標値

Connectivity analysis 0 10 20 60% 65% 70% 75% 80% 85% 90% 120m 500m 1000m 1500m 3000m 5000m control

結果:生息を規定する連続性

連続性の指標(36個)のうち、生息適地内の

生息・非生息メッシュ間で最も差が大きくなる

ものを分散分析を用いて決定

F 値 森林率

Most significant index of connectivity of forested areas, using buffering radius and the

ratio of forested areas.

ま と め

■森林率、実効雨量、積雪深、緩斜面率、最高気

温の5つの環境要因を用いてモリアオガエルの分

布とその欠落を説明することができた.(65%)

■連続性評価の結果、中国地方ではモリアオガ

エルの生息には、森林が広範囲にわたって密に

存在することが必要であることが示唆された

(半径5km内の森林の割合が85%以上必要)

(9)

irreplaceability and vulnerability

(Pressey et al. 1994; Margules & Pressey 2000;

Pressey & Cowling 2001;Pressey 1998; Cowling

et al. 2003)

(1)明示的に保全されるべき度合い,

(2) そこが含まれないときに保全目標が達成でき

なくなる度合い

孤立林:S = 12.35 log (A ) + 13.34 R2 = 0.69 孤立日本庭園:S = 10.98 log (A ) + 20.62 R2 = 0.60 0 10 20 30 40 50 60 0.1 1 面積 (A ha) 10 100 種数:S 非孤立日本庭園:S =20.23 log (A ) + 32.54 R2 = 0.55 Non‐isolated         S = 20.23 log (A) + 32.54 Japanese garden  R2= 0.55 Isolated         S = 10.98 log (A) + 20.62 Japanese garden  R2= 0.60 Isolated    S = 12.35 log (A) + 13.34 Forest        R2= 0.69 Area Species number

孤立林>孤立した日本庭園>非孤立日本庭園

シダ類の種数ー面積曲線

日本庭園はシダ類の優れたレフュージ Murakami et al. 分断化・孤立化・ 断片化 環境省レッドリスト 京都府レッドリスト 和名 学名 西芳寺庭園 天龍寺庭園 平安神宮神苑 何有荘庭園 絶滅危惧種 アラハシラガゴケ Leucobryum bowringii Mitt. ○ ○ ○ 準絶滅危惧種 カタハマキゴケ Hyophila involuta (Hook.) A.Jaeger ○ 絶滅危惧Ⅰ類 キサゴゴケ Hypnodontopsis apiculata Iwats. et Nog.

絶滅寸前種 チャボサヤゴケ Glyphomitrium minutissimum (S. Okam.) Broth. ○ 絶滅寸前種 イトゴケ Barbella pendula (Sull.) M. Fleisch

絶滅危惧種 ソリハゴケ Anacamptodon fortunei Mitt. ○ ○ 絶滅危惧種 キノクニオカムラゴケ Okamuraea plicata Card.

準絶滅危惧 絶滅寸前種 コウライイチイゴケ Taxiphyllum alternans (Card.) Z.Iwats. ○ ○ 準絶滅危惧種 ヤマトムチゴケ Bazzania japonica (Sande. Lac.) Lindb. ○ ○

準絶滅危惧 絶滅寸前種 カビゴケ Leptolejeunea elliptica (Lehm.et Lindenb.)

Schiffn △

絶滅危惧Ⅱ類 絶滅寸前種 ヤワラゼニゴケ Monosolenium tenerum Griff. △ ○ ○ 準絶滅危惧 絶滅寸前種 ウキゴケ Riccia fluitans L. △ ○ 準絶滅危惧 絶滅寸前種 イチョウウキゴケ Ricciocarpos natans (L.) Corda.

日本庭園は

コケの希少種の宝庫

分断化・孤立化・ 断片化 Sw = 7.16Log(A ) + 27.55 R2 = 0.84 Sp = 8.12Log(A ) + 20.25 R2 = 0.68 Sa = 3.82Log(A ) + 41.66 R2 = 0.32 Sbb = 7.41Log(A ) + 22.17 R2 = 0.72 Sbw = 9.77Log(A ) + 23.23 R2 = 0.82 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0.01 0.1 1 10 100 Area (ha) R el a ti v e s p eci es n u m b er ( % )

◆Sw : Woody plant species(Murakami & Morimoto,2000) □Sp : Pteridophytes (Murakami et al.,2003)

●Sbb : Avians in breeding season (Hashimoto et al., unpublished) ○Sbw : Avians in winter season (Hashimoto et al., unpublished) ▲Sa : Ants(Yui et al.,2001)

※The relative species number was plotted against the Y-axis, and 100% was taken as the total number of species in all fragmented forest patches. アリ Ant Woody plant 木本 Fern シダ 夏鳥 summer bird 冬鳥 winter bird

大きいことはいいことだが

庭園でない小さい緑地も侮れない

大きいことはいいことだが

庭園でない小さい緑地も侮れない

面積 ha 相対種数 % 分断化・孤立化・ 断片化

(10)

Species recorded at one shrine forest 0 20 40 60 80 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 shrine forests in area order

C u m u la ti ve sp e ci e s ri c h ne s s (% ) Fern Herbaceous plants Woody plants

孤立社寺林の植物相対種数の積算曲線

(species recorded at one shrine forest)

草本植物やシダ類はあまり入れ子状の分布をしない。 多様な小さなハビタットの意味。

Imanishi et al. 2005

Woody plants → deciduous trees

(e.g. Padus grayana, Cerasus

jamasakura, Quercus serrata)

Herbaceous plants → forest species

(e.g. Boehmeria platanifolia,

Lophatherum gracile)

Fern → There were no significant results.

(e.g. Arachniodes standishii, Athyrium niponicum, Osmunda japonica) *: Significantly high (p < 0.05)

入れ子パターンから逸脱しやすい種

0% 20% 40% 60% 80% 100% ≧ 50% < 50% Evergreen Deciduous * * 0% 20% 40% 60% 80% 100% ≧ 50% < 50% roadside forest forest edge glassland waterside riverside * Imanishi et al. 2005 都市にも野生動植物生息、優れた都市的な営為 が希少種の存続にも貢献

3次的自然

分断化・孤立化・ 断片化

平安神宮神苑

:建都千百年

1914-25に造営:琵琶湖からの

疏水の導入=>成熟。

樹木:約200種、草本:約300種、

コケ:106種、シダ:約40種、カメ:

4種、魚:11種、鳥:年間40種

国指定名勝1975, 33,000m2 春の1週間で30万人来訪 分断化・孤立化・ 断片化

(11)

結論

生息環境の孤立化

/断片化は生物多様性の劣化を

招く。大きなまとまりには大きな意義。

しかし、小さなパッチにも種によっては意味があ

る。

日本庭園などの優れた都市的営為が絶滅危惧種の

ハビタットともなる。

4)事業アセス段階の評価

HEP

PHABSIM

PVA

定量評価の考え方の例と課題

定量評価手法

HEP

PHABSIM

HGM

PVA

etc.

評価対象

指標種/絶滅危惧種

上位性

/特殊性/典型性

種群

現況

/潜在生息環境

面積/質/機能

個体群動態

連結性

/メタ個体群

課題

現象の非線形性

統計的不確実性

場の異質性

履歴効果

etc.

ケースごとに大いに

創意工夫の余地あり

HSIモデルの作成

カスミサンショウウオのモデルにおける、ハビタット変数、生存必須条件、HSIの関係

Ⅰ.繁殖SI=V1×V2×V3

Ⅱ.生息地の環境SI=V4

Ⅲ.HSI=(繁殖SI×生息地の環境SI)

1/2 ハビタット変数 生存必須条件 カバータイプ 産卵地と樹林地からの距離(V1) 産卵地の水深(V2) 繁殖 休耕田 産卵地の水温(V3) 小川/用水路 生息地の環境 HSI 産卵地から半径100mの 森林の割合(V4)

HEPによる予測評価例

北村洋二2004

(12)

シナリオの設定

1963年 1996年 2004年 2045年 耕作中 用地取得済み 供用開始 供用中 植生解析 植生解析 事業実施 管理 シナリオA 管理せず シナリオB ミティゲーションなし シナリオC 事業中止 人為的活動なし シナリオD 空中写真 空中写真 調 査 地 の 状 況 HUの計算 作 業 生息環境の把握 -1542 1375 1105 -2000 -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 2000 ( C HU) 事業実施による影響 ミティゲーションの効果 ミティゲーションエリアの管理の効果 北村洋二2004

HEPによる予測評価例

PHABISMとは?

Physical Habitat Simulation System/Model

河川の魚類群集

etc.のハビタットモデル

パラメータ

: 水深、流速、低質、その他の物理的

生息環境条件

PHABSIM による予測評価例

手法

a. 対象地・区間を設定し、物理環境条件を計測.

b. それぞれの魚種について、物理環境条件に関

連付けて、比較対照環境に対する相対値として

の適合度指数

(

SI

)を評価.

c. aとbから、対象区間のポテンシャルハビタッ

potential habitat

をそれぞれの魚種について

評価

.

d. それぞれのメッシュについて、適合度指数の

積算値

CSI

(1: best habitat, 0: unsuitable)を評価

e:ポテンシャルハビタットの積算値

WUA

を算出

:

CSI x 面積: evaluate

PHABSIM による予測評価例

施工地点の生物データの取 得 密度、多様性 指数を算出 施工地点の魚類の行動様式 を観察 生物指標 (種類数、個体数、密度、湿 重量、全長、多様性指数) 施工前後での比較 生 物 指 施 工 前 施工前 施 工 後 施工前 生物変化の考察 物理環境データ(水深、流速、 底質等)の取得 対照地点(減水区間内)の生 物デ ー タ を 施 工 地 点 と 同 様 に取得、気象データ収集 適性曲線の設定 合成適性値 の算出 WUA(重みつき 生息可能領域)の CSI(合成適性 値)の分布 ③PHABSIM 解析による評価 河床型別WUA(重みつき 生息可能領域)の算出 年変 動 の 検 討 ②物理環境の変化による評価 ①生物指標の変化による評価 ④総合評価 河川減水区間の 保全措置の検討

PHABSIM による予測評価例

(13)

個体群モデル

100年間のシミュレーションを500回くり返し、絶滅リスク推定

PVA による予測評価例

・夏原、三好、森本:2002

PVAのHEPと比較した特徴

• HEP は生息地そのものの質と量(とそれらの時間的な積算)を 評価するのに対して、 • PVA ではその生息地で予想される個体群の絶滅リスクを評価す る。 • HEP では評価対象となる生息地の環境収容力(安定かつ健康に 生息可能な個体数の最大値)に着目するのに対し、PVA では個 体数の変動の大きさに着目する。 • HEP では評価値は面積に比例するが、PVA では必ずしも比例 しない。 • 生息地の総面積は同じでもひとつにまとまっている場合と複数 に分かれている場合に、HEP では差はないが、PVA では異な る結果が得られる。 • HEP にPVA を組み込むことは可能である。 • 個体数変動の大きいr戦略の種にはPVAがより適切で、HEPを 用いる場合は種の要求面積に対応して設定する原単位(grain) を大きくする必要がある。 夏原(2005)に追加

結論と今後の課題

広域からみた対象サイトの位置づけ。

irreplaceability の検討

ケースに応じた課題の発見。

課題に迫る定量評価手法の工夫。

自然環境保全措置(ミティゲーション)でも、パ

ターンとプロセスの工夫が必要?

水位変動や流砂系などの環境変動プロセスの生物

多様性との関連付けた評価

おわりに

法制化された日本のアセスの制度は自然環境へのインパクト の緩和措置「ミティゲーション」が義務づけられたという点で、 開発行為のグリーン化に大きく貢献した。しかし自然環境の保 全目標、つまりどのような自然を守るのか、どこまで利用して よいのか、アメリカで湿地に関して行われるノー・ネット・ロ ス(総体としての自然環境の水準の維持)の原則のようなもの が合意されていない。複数代替案の自然環境へのインパクト評 価の比較などに定量評価が必要である。今後、 (1)全国レベルの生物多様性現況評価図の整備、および (2)重要な生物種の生息環境モデル(HEPやPVAのための) の整備、が (3)重要な自然の戦略的な保全(生物多様性オフセット)の 仕組み(ミティゲーションバンキング、コンサベーションバ ンキング、BBOPやNCCPなど)を可能にする条件である。

参照

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