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当院医師のスモンに関する認識度調査

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Academic year: 2021

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A. 研究目的

岡山県は、 スモン患者数が多い地域として知られて いる。 一方、 スモンに関する社会的認知度は歳月の経 過と共に低くなりつつあり、 岡山県も例外ではないと 思われる。 今回は、 当院医師を対象としたアンケート を通じ、 医師におけるスモンの認知度を調査するのが 目的である。

B. 研究方法

当院医師にスモンに関連したアンケートを 2020 年 12 月に行い、 その集計データを解析した。 アンケー トの内容は、 鈴鹿病院久留らの先行研究1)を参考とし た。 (設問 1) 回答者の職種。 (設問 2) スモンという 病気の名前を知っているか。 (設問 3) どこで知った か。 (設問 4) 原因を知っているか 5 択から選ぶ (a 薬の副作用・薬害、 b ウイルス感染症、 c 遺伝子変異、

d 血管障害、 e 原因不明)。 (設問 5) 関連語句はどれ か 4 択から選ぶ (a HTLV-1、 b キノホルム、 c アン ドロゲン受容体遺伝子、 d 有機水銀)。 (設問 6) 症状 を知っているか 5 択から選ぶ (a 視力障害・聴力障害・

認知機能障害、 b 聴力障害・認知機能障害・歩行障害、

c 認知機能障害・歩行障害・異常感覚・しびれ感、 d 視 力 障 害 ・ 歩 行 障 害 ・ 異 常 感 覚 ・ し び れ 感 )。 (設 問 7) 正誤問題①スモン患者には女性の割合が高い、 ② ほぼ日本特有の疾患である、 ③現在、 年間 20 人前後

が発症している、 ④スモンは難病に指定されている、

⑤ スモン患者の検診は定期的に行われている、 ⑥現 在のスモン患者の平均年齢は 20 歳である。 (設問 8) スモン患者の担当経験はあるか。 (設問 9) 担当経験 がある人は、 気付いたことを述べてほしい。 上記の内 容で施行した。

(倫理面への配慮)

本研究では、 患者個人の情報については無記名で行 い、 集積データとして扱う。 個人にかかわる情報漏出 の可能性は低いものと考えられる。

C. 研究結果

医師 13 名から回答が得られた。 診療科の内訳 (図 1) は呼吸器内科 (4 名) および脳神経内科 (3 名)、

内科 (2 名)、 耳鼻科 (1 名)、 小児科 (1 名)、 小児神 経科 (1 名)、 皮膚科 (1 名)。 なお 2 年前に施行した 調査 2) も含めた職種別人数 (図 2) は、 医師 13 名、

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当院医師のスモンに関する認識度調査

坂井 研一 (国立病院機構南岡山医療センター脳神経内科) 麓 直浩 (国立病院機構南岡山医療センター脳神経内科) 河合 元子 (国立病院機構南岡山医療センター臨床研究部) 川端 宏樹 (国立病院機構南岡山医療センター地域医療連携室) 田邊 康之 (国立病院機構南岡山医療センター脳神経内科)

研究要旨

南岡山医療センターにおける職員のスモンに関する認識度について、 アンケート調査を通 じて調査した。

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図 1 回答者の診療科内訳

(2)

看護師 171 名、 看護助手 5 名、 療養介助員 20 名、 リ ハビリテーション担当者 23 名、 クラーク 2 名、 職種 不明 11 名である。 以後の図では、 他職種の回答結果 と照らし合わせながら結果を示していく。

スモンという病気の名前 (図 3) については、 13 名 全員が 「知っている」 と答えた。

どこで聞いたかという質問 (図 4) では、 「学生時 代」 (3 名)、 「職場」 (3 名)、 「ニュース」 (5 名) が主 であった。 職場で知った人の中には 「スモン検診で」

(脳神経内科)、 「脳神経内科医師から聞いた」 (呼吸器 内科) という回答があった。 他に、 「ポスターで」 (7 名)、 「本で」 (7 名)、 「インターネットで」 (3 名)、

「テレビ、 新聞などニュースで」 (16 名)、 「会話で」 (3 名 ) と い う 答 え も あ っ た (一 部 重 複 あ り )。 中 に は

「遠い親戚の人が、 スモン病で亡くなったと聞いて」

(看護師) という回答もあった。

病気の原因に関する質問 (図 5) では、 キノホルム が原因である事は全員が知っていた。 一方、 「薬害」

であると回答したのは 12 名 (92.3%) であった。

症状に関する質問 (図 6) では、 病名を知っていた 155 名のうちで正しい症状を選択したのは 11 名 (84.6

%) であった。

正誤問題 (図 7) では、 スモン患者に女性の割合が 高 い こ と を 知 っ て い た の は 8 名 (61.5%)、 日 本 特 有 の 疾 患 で あ る こ と を 知 っ て い た の は 3 名 (23.1%)、

新規発症は見られなくなっていることを知っていたの は 11 名 (84.6%)、 難病に指定されていることを知っ ていたのは 12 名 (92.3%)、 定期的に検診が行われて いるのを知っていたのは 11 名 (84.6%)、 平均年齢が 高いことを知っていたのは 12 名 (92.3%) であった。

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図 2 回答者の職種内訳 (前回調査含む)

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図 3 スモンの病名を知っているか

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図 4 どこで知ったか

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図 5 スモンの原因を知っているか

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図 6 スモンの症状を知っているか

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図 7 正誤問題

(3)

スモン患者を担当した経験があるかという質問 (図 8) で は 、 担 当 し た 経 験 が あ る の は 4 名 (30.8%) で あった。 うち 3 名が脳神経内科医師である。

担当経験がある医師の感想には、 「子供の頃、 毎日 テレビでスモンのニュースをみていた。 まさか自分が 担当するとは思わなかった」 (脳神経内科)、 「慢性で 症状が固定しているように感じました」 (呼吸器内科)、

「薬剤の長期にわたる深刻さ」 (脳神経内科)、 「後遺症 状がきつい」 (脳神経内科) といったものがあった。

D. 考察

スモンという病名やキノホルムが原因である事は回 答した医師全員が知っており、 難病である事、 検診の 存在も認識されていた。 一方、 症状に関する回答から は、 「患者の高齢化に伴い合併症が出現した事が何が スモン由来の症状か判別を困難にしている」 という推 定は医師にもある程度当てはまる可能性が示唆される。

一方、 実際にスモン患者を担当した経験がある医師 は 3 割である事、 知らない医師が少なくなかった項目 があった事には、 新規発症がない事や患者の高齢化が 影響している可能性がある。 啓発活動が医師に対して も有意義である可能性が示唆される。

E. 結論

当院医師を対象に、 スモンの認知度を調べる目的で アンケート調査を施行した。

病名や原因薬剤については回答者全員が知っており、

症状や難病である事、 検診の存在も比較的認識されて いた。 一方で知らない医師が多い項目もあり、 実際に スモン患者を担当した経験がある医師は 3 割にとどまっ ていた。 記憶の風化を防ぐための啓発活動は、 医師に

対しても行なう意義がある可能性がある。

G. 研究発表 1 . 論文発表:なし 2 . 学会発表:なし

H. 知的財産権の出願・登録状況 なし

I. 文献

1 ) 久留聡, 村山晴香, 篠原麻綾, 横山尚子, 竹村真 紀, 柏本愛, 山内慎吾, 小長谷正明:当院職員・実 習医学生のスモンに関する認知度調査 スモンに関 する調査研究. 平成 24 年度総括・分担研究報告書 P 235-238, 2012

2 ) 坂井研一, 麓直浩, 河合元子, 川端宏樹, 田邊康 之:当院職員のスモンに関する認識度調査 スモン に関する調査研究. 平成 30 年度総括・分担研究報 告書 P 241-244, 2018

3 ) 小西哲朗, 大庭真理, 岡本博志, 門脇喜世子, 栗 栖梨紗, 寺田菊枝:スモン検診実施病院における看 護師のスモンについての意識調査〜アンケート調査 からみる今後の課題〜 スモンに関する調査研究.

平成 22 年度総括・分担研究報告書 P 188-191, 2010 4 ) 犬塚貴, 田中優司, 保住功, 木村暁夫, 林祐一:

医療系学生を対象としたスモンに関するアンケート 調査 スモンに関する調査研究. 平成 22 年度度総 括・分担研究報告書 P 192-193, 2010

5 ) 小池亮子, 松原奈江, 野水伸子, 毛原のり子:看 護・介護専門職を対象としたスモンに関するアンケー ト調査 スモンに関する調査研究. 平成 23 年度度 総括・分担研究報告書 P 221-223, 2011

6 ) 齋藤由扶子:東名古屋病院におけるスモンに関す る勉強会とアンケート調査 スモンに関する調査研 究 . 平 成 23 年 度 度 総 括 ・ 分 担 研 究 報 告 書 P 224- 225, 2011

7 ) 尾方克久, 鈴木幹也, 川井充:在宅医療・療養支 援職を対象としたスモンに関するアンケート調査 スモンに関する調査研究. 平成 21 年度度総括・分 担研究報告書 P 186-188, 2009

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図 8 スモン患者を担当した経験があるか

参照

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