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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

遺伝子発現データからのネットワーク推定に資する 統計手法の開発と適用

ウォン, プイ, シャン

https://doi.org/10.15017/1932015

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(農学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

氏 名 ウォン プイ シャン

論 文 名 Development and Application of Statistical Methods for Biological Network Inference from Gene Expression Profiles (遺伝子発現データからのネットワーク推定に資する統計手法の開発

と適用)

論文調査委員 主 査 九州大学 准教授 田代 康介 副 査 九州大学 准教授 片倉 喜範 副 査 九州大学大学院農学研究院 学術特任教員 久原 哲

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

次世代シークエンサー(NGS)を用いて、ゲノムシーケンス情報や様々な条件下での遺伝子発現情 報を取得し、生命現象を解明する研究がなされているが、生物学的知見を得るための情報解析手法 開発は十分にはなされていない。本研究では、NGS データから生物学的知見を得るための情報学的 手 法 を 開 発 し 、 さ ら に 、 開 発 し た 手 法 を バ イ オ 燃 料 生 産 の 有 用 株 と さ れ て い る 海 洋 微 細 藻 類

Fistulifera solaris に適用してトリアシルグリセリド蓄積時における、遺伝子発現制御機構の解

析を行い、開発した手法の有効性を検証したものである。

まず、ゲノム配列から同定した遺伝子と RNA-Seq で測定された遺伝子発現プロファイルを組み合 わせた解析手法を開発し、F.solaris とその近縁種である Phaeodactylum tricornutum の遺伝子発 現プロファイル比較解析に適用している。その結果、窒素欠乏状態において、P. tricornutum と比

べて、F.solaris では低窒素条件に対応するストレス応答遺伝子群の発現は抑制され、光合成関連

遺伝子と酸化ストレス関連遺伝子の発現増加が起こることを明らかにしている。

次に、グラフアルゴリズムを組み込んだ活性化パスウェイの同定手法を開発し、F.solaris にお けるトリアシルグリセリド合成時の RNA-seq 時系列データ解析に適用している。F.solaris のゲノ ム情報を基盤にF.solaris特有の脂質代謝パスウェイのモデル再構築を行い、時間ごとに変化する 遺伝子発現を解析した結果、D-Xylulose 6Pもしくは2-Dehydro-3-deoxy-D-gluconateを経由する 2つのトリアシルグリセリド生合成経路が順次活性化することを明らかにしている。

さらに、少数の時系列遺伝子発現プロファイルから遺伝子間の制御関係を推定する手法として、

遺伝子発現量を数値データからカテゴリーデータに変換した後、各遺伝子の遺伝子発現パターンを カテゴリーデータのベクトルとして表現する手法を開発し、F.solaris の時系列データへ適用して いる。その結果、転写因子のみで構成されるベクトルパターンを利用してトリアシルグリセリド生 合成の発現制御に寄与している転写因子群のネットワーク同定に成功している。

以上要するに、本論文は遺伝子発現プロファイルから生物学的知見を得るための新規統計解析手 法を開発したものである。また、開発した手法を海洋微細藻類に適用した結果、トリアシルグリセ リド高蓄積の分子機構を明らかにしたものであり、ゲノム生物学の発展に寄与する価値ある業績と 認める。よって、本研究者は博士(農学)の学位を得る資格を有すると認める。

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