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連邦主義と州際通商条項 : 少数者という視点から

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(1)

連邦主義と州際通商条項 : 少数者という視点から

その他のタイトル Commerce Clause in the U.S. Constitution and Minority

著者 辻 雄一郎

雑誌名 關西大學法學論集

巻 59

号 3‑4

ページ 419‑454

発行年 2009‑12‑18

URL http://hdl.handle.net/10112/1528

(2)

連邦主義と州際通商条項

少数者という視点から

(3)

ま 次 は じ め に 問 題 の 所 在 な ぜ 州 際 通 商 条 項 に 分 析 を 限 定 す る の か

? 一章 憲 法 起 草 期 に お け る 州 際 通 商 条 項 の 議 論

ー.

連邦憲法起草者の対

二章一八二四ー一九三

七年までの最高裁の判断基準 1.ポリスパワーか通商か?

2

.直接か間接か

ー一八五一

年の解釈

ー一

八五一

年から

一九三

七年まで 3.

﹁少数者﹂の定義とは?

章 ニ ュ ー デ ィ ー ル 以 降 の 州 際 通 商 条 項 の 解 釈 の 変 容

1

. ニ ュ ー デ ィ ー ル 時 代 の 紆 余 曲 折 ー

一九三

七年から公民権運動まで

2.

一 九五

0

年代における州際通商条項│ー人人種的少数者に使われる州際通商条項 四 章 差 別 禁 止 に 用 い ら れ る 州 際 通 商 条 項 の

一九九

0

年代の状況

1

.ロペズ判決

2

.モリソン判決

3.

ゴンザレス判決

4

.レーンキストコートまでの連邦最尚裁の用いる基準

5

.連邦最高裁におけるそれぞれの裁判官の姿勢

6

.限定解釈を暗不する判決

C

ジョーンズ判決と

SW AN CC 判決

7

.最近の連邦最高裁の判決に対する学説の分析

め 連 邦 起 草 者 の 想 定 し て い な い 事 例 に ど の よ う な 答 え を 導 く か

と 目

(4)

学説を整理していく ︒

本稿では︑連邦憲法の州際通商条項と少数者をめぐる議論を検討していく

︒ 米国では︑司法︑行政︑

立 法について

州政府と連邦政府の二つの統治構造が存在する

連邦主義とは︑州政府と連邦政府の衝突と協働関係をさす

︒ 連邦主

義には︑連邦法優越の原則︑州際通商条項︑連邦行政権の範囲︑最高法規性︑州相互の判決執行などの争点が含まれ

ている ︒

米国憲法史上︑連邦政府と州政府は連邦主義という争点について様々な機会に衝突し︑連邦最高裁が

一 定の

指針を示してきた︒本稿では︑この連邦主義のうち︑州際通商条項と少数者に争点を絞って考察する︒

連邦憲法一編八節三項は州際通商条項を規定している

︒ 本条項は︑少数者との関係でいえば︑起草期には予想され

なかった解釈が連邦最高裁によって示されてきた

︒ ニューディール時代に 一 度確定したように見えた解釈が九 0

年代 のレーンキストコート時代に︑新たな解釈指針が示され︑

てきている︒州際通商条項には少数者という要素以外にも複数の争点が含まれているが︑本原稿では︑憲法起草期か

ら 六

0 年代の人種差別︑九 0

年代以降に至る代表的な判決を検討し︑

少数者をめぐる米国憲法の州際通商条項の議論は日本にとってどのような意義を持つだろうか?

各地方に︑高等裁判所︑地方裁判所︑家庭裁判所︑簡易裁判所が存在するが︑中央政府と別個︑独立の裁判所制度は

存在しない ︒

しかし︑米国の連邦最高裁判決と学説の背後に存在してきた少数者保護という争点に着目することに

よって︑日本国憲法の解釈に九 0

年代の米国憲法学のパースペクティブを利用する契機になると思われる

連 邦 主 義 と 州 際 通 商 条 項

は じ め に

i O 七 ︵ 四 一

九 ︶ 日本国憲法では

ロバーツコートの現在︑その将来を占うことが難しくなっ

ロペズ︑モリソンといった最高裁判決をめぐる

(5)

第五九巻三•四号

連邦主義の争点は多岐にわたる︒連邦主義には︑例えば次のような複数の争点が存在している︒第一に︑連邦行政

権の範囲である︒連邦憲法上︑連邦政府の権限は明文で規定されており︑憲法によって授権されている︒第十修正に

よって明文に規定のない権限は州政府の権限と推定される ︒ ワシントン・コロンビア特別区とテリトリーを除いて︑

州政府に留保される権限は︑ポリスパワーとして理解される︒

第二に︑連邦法優先の原則も連邦主義の争点に含まれる︒連邦法と州法が競合する場合︑連邦法が州法に優越する ︒

もし制定されている連邦法を州法が阻害する場合︑当該州法は無効である︒もし連邦法が明示あるいは黙示に︑特定

の分野を先に規定している場合や州法を意図的に排除する場合︑たとえ州法と連邦法が矛盾しなくても州法は無効と

推定される︒

第 三 に平等条項との関係である︒州際通商条項と平等条項の解釈は﹁少数者﹂という視点から見れば︑起草期から

( 2

)  

大きく変化してきた︒州政府や私人による差別に苦しむ少数者︵マイノリティ︶の保護のために︑最高裁はこの二つ

の条文の文言の解釈を大きく変えて対応してきた︒ 関法

問 題 の 所

在 ー なぜ州際通商条項に分析を限定するのか? 1 0 八

︵ 四 二 0 )

当初は︑労働者保護立法に関するニューディール政策に対して連邦最高裁は態度を変化させ︑そして︑人種的少数

者であるアフリカ系アメリカ人に対するブラウン判決以外にも︑六 0 年代連邦最高裁は州際通商条項を用いて︑差別

的な扱いを行う民間のレストランを規制する判断を打ち出した ︒ 公民権法に抵抗する民間企業そして︑公民権法の実

施に消極的な南部諸州に対して︑州際通商は人種的少数者にとって大きな武器であった︒八 0 年代には︑連邦最高裁

(6)

連 邦 主 義 と 州 際 通 商 条 項

( J a m e s   M a d i s o n

) ︑ジョン・ジェイ

フエデラリストペーパーズは︑

なる

アレクサンダー・ハミルトン

の扱う﹁少数﹂者のカテゴリが﹁人種﹂から﹁ジェンダー﹂に変化する︒連邦最高裁は︑女性に対する暴力も州際通 商の論点として意識するように至った︒州際通商条項の解釈の歴史上︑﹁何が少数者か?﹂というマイノリティの属 他にも州相互の課税問題や州相互の判決の執行問題などが連邦主義の争点に含まれる

﹁ 連 邦 主 義

﹂ という広大な

海に溺れることを防ぐために︑本稿では前もって︑州際通商条項に関連する最高裁判決を限定する︒

本章では︑連邦憲法制定期において州際通商条項には﹁少数者

という視点は含まれていなかった点を示していく

連邦憲法制定期において二つの立場が対立しており︑この起草期における対立は 現代の連邦最高裁の裁判官の対立に形をかえて引き継がれるからである︒

連合規約

( A r

t i c l o e f   C o n e f d e r a t i o n   a n d   P e r p e t u a l   U n i o n )   の議論を検討する︒連合規約とは独立戦争後の大陸会議において締結された︑

る規約をいう ︒

この連合規約は︑締結後すぐに欠陥を露呈するようになり︑連邦憲法を起草する気運が高まることに

なぜ起草期の分析が必要なのか? ー.連邦憲法起草者の対立 一 章 性は変容していく ︒

i O 九 とフエデラリストペーパーズ

︵ 四 ニ ︱ )

( A l e x a n d e r   H a m i l t o n )

︑ジェームズ・マディソン

( J o h n   J a y ) が仮名で執筆し︑八五編から構成され︑連邦憲法を起草すべきだと

憲法起草期における州際通商条項の議論

一三の独立国家を共同体として組織す

( F e d e r a l i s t   a P p e r s )

(7)

他 方

で ︑

第五九巻―

――

•四号

マディソンは︑連合規約の運用が失敗した理由は︑ 一 七八七年ごろにニューヨーク州の市民に向けて発信された論考集をいう︒

︵ 四 二 二

それぞれの主権国家の合同体から ︱ つの中央主権国家を生みだす議論の中で︑連邦憲法起草者たちは連合規約より

も強大な連邦政府を作り上げようと考えたが︑州の存在を否定しようとはしなかった︒州という統治単位は政府の重

要な構成要素であって︑連邦政府は全国家的な問題にのみ権限を行使する︒連邦政府に授与される権限は︑強大なも

のであって濫用の危険がある︒連邦憲法には︑連邦政府の行使できる権限だけを明記するべきという点で起草者たち

( 4 ) 

は 一

致 し

た ︒

しかし︑起草者間で一致した見解が常に保たれたわけではない︒

連邦政府の権限濫用によって州の権限が侵害されるという懸念を共有していた︒しかし︑権利のカタログを連邦憲法

( 5 )  

に刻む点では対立していた︒

︑ ミ

ル ト

ン ま

J ,  

カタログは︑連邦議会の権限を制限しているという︒自らの力で作り上げた連邦政府が︑自分たち人民の自由︑平等

( 6 )  を侵害するはずがない︒かえって連邦政府に権力濫用の危険を認めてしまうことになると述べた︒

マディソンは︑同じくフエデラリストペーパーズの中でタタ数の州に支配された連邦政府が決定を下す際︑

( 7 )  その決定に反対する少数の州の人民の自由を侵害するかもしれないと主張した︒

彼らは州際通商にどのような立場を取っていたのだろうか?

それぞれの州が自己の利益を追求して排他的な貿易を行っていたからだという︒州の貿易は市場原理よりもむしろ各

州の政治原理に大きく左右されていた︒ 関法

マディソンとハミルトンは連邦政府を設立する際︑

フエデラリストペーパーズにおいて権利のカタログを連邦憲法に規定することに反対した︒権利の

マディソンは︑複数の州全体を統制する役割を連邦議会に担わせて︑自由競 ︱ 1 0 

(8)

連 邦 主 義 と 州 際 通 商 条 項

法によって同じ権利を与えられており︑ 通商を統制する権限は州に認められないと理解される傾向がある︒ 争を促進すべきだと考えた︒彼の立場は︑州際通商条項は連邦議会が何の措置を講じていない場合であっても︑州際

J ( o h n   M a r s h a l l )   である︒彼は︑州際通商権限は連邦議会に排他的に帰属し︑州際通商に干渉する州の行為

( 8

)  

は違憲と推定されると述べていた ︒

マディソンと対立する立場を取ったのがマーシャル以後に長官となったロージャー・ターニー

判官である ︒

彼は︑連邦議会の議会に抵触しないのであれば︑州が州際通商を規制することも許容される立場をとる

連邦議会の立法と矛盾する行為だけが違憲無効であると推定される︒連邦議会の立法不作為の場合は違憲無効と推定

( 9 )  

されない ︒

彼ら起草者の議論は︑

レーンキストそして現在のロバーツコートにおける連邦最高裁裁判官の解釈にも影響を与え

一 八

0 年 代︑連邦最高裁は州際通商の﹁通商 ﹂

はポリスパワーと﹁通商 ﹂

( O g d n e )  

二 章

( 1 0

)  

の内実を確定しようとした︒

G i b b o n

s v . 

O g d  

g

︵ ギ

ボ ン

ズ 判

決 ︶

の境界を最初に示した例として知られる ︒

本件では︑

にニューヨークとニュージャージー間の蒸気船の運航の独占権を

与 えた︒ギボンズ氏 (

G i b b o n s )

( 1 1 )

 

ニューヨーク州法と連邦法の競合が問題となった

︒ ー.ポリスパワーか通麻か? 一 八二四— 一 九 三 七年までの最高裁の判断基準

ていることを後章で検討していく︒ シャル

︵ 四 二 三

は連邦

ニューヨーク州法はオジデン氏

( R o g e r   T a n e

y ) 裁 マディソンの立場を受け継ぐのがジョン・マー

(9)

マーシャル執筆の法廷意見によれば︑連邦法が優先するという

︒ 州際にまたがる航路においてニューヨーク州が規

制を行うことは憲法の最高法規性に抵触する

︒ 連邦議会は州際通商を規制する排他的権利を有している

﹁ 通

﹂ と は︑交通を指し︑国家間の︑あるいは州相互の︑あらゆる統治部門の相互取引

( i n t e r c o u r s e

)

またがる水路を 含 む ︒

当初︑連邦最高裁は州のポリスパワーと﹁通商﹂を区別する立場を取っていた

2

. 直 接 か 間 接 か

ー 一

八 五

一 年の解釈 一 八五一年から 一 九 三

七 年 ま で

( 1 2 )  

C o o l e y

  v . 

B o a r d   o

f   W a r d   g o f t h e p o m o f P h i K d e l

h i a ︵ クーレー判決 ︶

において︑連邦最高裁は州際通商条項の 解釈を修正することになった

︒ 本件で問題とな っ

た ペ

ン シルバニア州法によれば︑全ての外国船と七

五 トン以 上

の 全

て の

船 舶

は ︑

第五 九巻 三

・ 四 号

い ︒

ペンシルバニア州法は文面上明らかに州際通商に負担を

与 えていた ︒ ︵ 四 二 四 ︶

であって︑複数の州に

ペンシルバニア州内の石炭取引に使われる船舶を除き︑当該地方の水先案内人を利用しなければならな 本州法を連邦最高裁は支持した

連邦最高裁によれば︑連邦議会は州際通商の経路

( c h a n n e l ) を規制する権限を 有 する ︒

経路とは道路︑水路︑空路を指す

︒ 本件では︑港湾での水先案内人は︑全国的というよりも地方的な規制で

あ っ て支持される ︒ このクーレーテストは二 0 世紀まで利用される ︒

地域の事情に応じた州の規制は許容される

︒ 例

えば︑蒸気機関

車 のエンジンを州委 員

会で検杏した上で免許を

与 えなければ︑州内で 走

行できないという州法は支持

( 1 3 )

1 4 )

 

されたり︑市内を走行する列車の速度制限条例は支持されたりしていた

他方で︑地方の特殊な事情に無関係な州法は違憲無効と判断される

︒ 例えば︑州外の行商人には︑課税し︑販売免

(

1 5

許を要求するのに対して︑州内の行商人にはこの要件を求めない州法は違

無効であると判断されたり︑他州から流

関法

(10)

連 邦 主 義 と 州 際 通 商 条 項

際通商条項を用いて制定した連邦法である ︒

環境を懸念して︑

一 四歳以下の労働を禁止し︑一四から一六歳の一日八時間︑

( 2 2 )

 

た物品を複数の州間で輸送することを禁止した︒本法は子どもの搾取を懸念する長年の立法運動の末に連邦議会が州 まで︑長時間低賃金労働によって子どもは搾取されていた︒

( 1 6

入したり︑流出したりする商品の貨物運賃を値上げする州法は違憲無効であると判断された

この時期の判断碁準は︑州際通商に直接的な負担を課す場合は違憲無効だが︑間接的な負担を課す州法は支持され

( 1 7

)  

る︒また製造を規制するために州際通商条項を用いることもできない

この判断基準には︑﹁通商﹂の定義が非常に 限定的であって︑直接か間接かの区別は明確ではなく︑結局︑程度問題で判断されるという問題がニューディール時

( 1 8

)  

代まで残ることになった︒

( 1 9

)  

例 え

ば ︑

C ミ

t e r

v . 

C a r t

e r   C

o a

l   C

o . 

(カーター判決︶でも石炭会社の労働条件︵賃金および労働時間︶を規律する

( 2 0 )  

連邦法の泄青炭法

i t ( B

u m i n

o u s

C o

a l

  C o

d e

) は違憲であると判断された︒本法を遵守するかどうかは任意であるが︑

﹁通商﹂とは取引の目的のための双務契約に限定されるし︑労働条件は地方の生産プロセスの一部である以上︑本連

( 2 1 )   Hammeru•D

genhart

( ハ

ン マ

ー 判

決 ︶

は︑﹁少数者

﹂ の定義の困難性を示している ︒ ニューディール時代に至る

3 .

﹁少数者﹂の定義とは?

邦法は違憲無効である ︒ 遵守した場合︑税制上の優遇措置( ‑

五%の消費税のうち︑

一週間六日労働基準を越えて生産され

一 三

︑五%の還付︶を受けられる

連邦最高裁によれば︑

一 九一九年に連邦議会は劣悪な条件下での子どもの労働

︵ 四 二 五

(11)

ー 介入である︒

第五九巻―

-•四号

( D a y ) 裁判官執筆の法廷意見は︑本法を違憲無効と判断した

︒ 本件では綿

工 場で働く 一 四歳以下の少年と 一

六歳以下の少年が問題となった︒彼らの父親は本法が違憲無効であると主張して一時差止めを求めた︒

法廷意見によれば︑本法は物品輸送を規制するのではなく︑州内で雇用される子どもの年齢を全国的に統一化しよ

うとしている ︒ 子どもの労働搾取が存在しても輸送される物品には関係性が認められない︒連邦議会には︑州にポリ

スパワーを行使させて︑不正競争を防止させる権限は認められない︒本法は︑地方の事情に対する連邦権限の不当な

( H o l m e

s )

裁判官は反対意見を執筆している

ホームズによれば︑本連邦法は最低限度の間接的な効果

しか及ぼさず︑子どもの労働搾取を考慮すれば︑本法は支持されるはずだ︑という︒

本判決を少数者との関係でどのように分析するべきだろうか

︒ 子どもは選挙権を持たず︑州の政治プロセスの中で

は彼等の主張は反映されにくい ︒

彼らは身体的にも精神的にも脆弱であって︑社会の保護を必要とするのだから︑連 邦議会は州際通商を用いて︑子どもの保護に乗り出した

︒ しかし︑連邦最高裁は違憲無効の判断を下した︒本判決は︑

次のニューディール時代に破棄される

︒ 次章ではニューディール時代に州際通商条項の解釈が大きく変容したことを

ニューディール時代の紆余曲折

ー ー

一 九

三 七

年 か

ら 公

民 権

運 動

ま で

この章で検討された判決を見れば︑ニューディール時代︑連邦最高裁は子どもや労働組合員の労働条件に対して配 ホしていく ︒ ホームズ デイ 関法

三章

ニ ュ ー デ ィ ー ル 以 降 の 州 際 通 商 条 項 の 解 釈 の 変 容

︱ ︱ 四 ︵

四 二

六 ︶

(12)

連 邦

義 と 州 際 通 商 条 項

( 2 5 )  

( c o

u r t   p a k c i n

g   p を提案した l a n ) ︒

し か

( 2 6 )

2 7

)  

し︑そのプランが現実化するまでに︑連邦最高裁は︑州際通商条項の解釈を変更した︒

NLRB v . 

J o n e

s ︑

U . S .

V . 

( 2 8 ) (

) 2 9

3 0 ) 

a D r b

y ︑

W i c k a r d v•

F i l b u r

NLRB n v つが州際通商条項についての連邦最高裁の方向転換点とされる の 三 .  ︒

J o n e s  

( NLRB

判決 ︶ では︑全国労働関係法が問題となった ︒

本 法

は ︑

の団体交渉権を認め︑組合員に対する差別を禁止していた ︒ 全国四番目の生産高を誇る鉄鋼生産業

J o n e

&  s

L a u g h   ,  l i n

社に対して︑全国労働関係委 員 会は︑同社に州際通商に影響を 与 える不当な労働慣習が存在していると判断した ︒

委 員

会側は︑労働条件と通商の関係について詳細な証拠を提出した

︒ 連邦最高裁は委員会の主張を受け入れた ︒

( 3 1 )  

次の Unitedu•Darby (ダービー判決 )

は、子どもの労働を規制する連邦法に違憲無効と判断したクーレー判決を

ルーズベルト大統領は連邦裁判所法を改正し︑ という ︒

する法案を連邦議会にて制定させたが︑ことごとく連邦最高裁に違憲判決を受けた

例 え

ば ︑

S c h e c h e t

r v . 

P o u l t r y  

( 2 3 )

2 4

C o

r p v .  . 

U .  

S .  

( ポ ー ト リ ー 判 決

︶ で は 労 働 条 件 を 規 律 す る 連 邦 法 が 違 憲 無 効 と 判 断 さ れ た

国家

業 回 復 法

( N

I R A   :  N a t i o n a l   I n d u s t r i a l   R e

c o v e r y

t )    A c

運 賃 時間︑団体交渉を統制していた ︒ 連邦最高裁によれば︑州際通商に﹁直接の影響﹂を 与 える活動のみが連邦議会

の規制権限である ︒ たしかに鶏は他州から運ばれる ︒

し か

し ︑

工 場の労働条件は連邦議会の規彿するところではない 一 九 三六

年 ご

ろ ︑

による規則は︑

フランクリン・ルーズベルト

︵ 四 二 七

一 九 三五年 全国労働関係委 員 会を設 立 し︑労働者

コ ー

ト パ

ッ キングプラン ニューヨーク州内の鶏の処理場における取引︑運賃︑

慮するようになっても︑人種的少数者に対して州際通商条項が働くとは格段︑意識されていなかったことが理解され

る ︒ 人種的少数者が州際通商条項の解釈に 登 場するまではまだ時間が掛る ︒

( F

r a n k l i n   R o o s e v e

l t 済 改革を実施 ) 大統領は就任以来︑大胆な経

(13)

る ︒

棄 し

て ︑

された物品の運搬は﹁通商 ﹂ に該当し︑連邦議会の権限の範囲内であるという︒

( 3 3 )  

三 つ目の Wick

rdU•

F i

l b

u r

n  

(フィルバーン判決︶でも連邦法は支持された︒ ︵ 四

二 八

一人の農家の利 本法は法定基準以下の賃金以下で労働者を働かせて︑生産した物品を船舶で運搬する行為を禁止していた︒生産自

体は州に委ねられているという主張は受け入れられなかった︒物品生産は州際通商条項の対象にはならないが︑生産

の農場における小麦の生産を割り当てる︒割当以上に小麦を生産した場合には罰金が科せられる︒この割り当ては複

数の州に流通する小麦のみならず︑農家自身の利用する小麦まで適用の対象となる︒農業従事者側は︑農家の自己利

用は州際条項の範囲外だ︑と主張した︒連邦最高裁は割当違反の罰金を支持した︒最高裁によれば︑

用は州際通商に影響を与えないかもしれないが︑個々の利用が蓄積することによって実質的に州際通商に影響を及ぼ

すことになる︒連邦議会が州際通商に個々の利用が蓄積することによって及ぼす影響に注目すれば︑本法は支持でき

一 九

0 年代における州際通商条項

人 │

種 的

少 数

者 に

使 わ

れ る

州 際

通 商

条 項

2 ーー.時代背景

本章では︑五 0 年代における人種的少数者︵アフリカ系アメリカ人︶の権利保護と州際通商条項について検討する︒

K a

t z e n

b a c h

  v . 

M c

C l u

n g

(  

マ ク

ラ ン

グ 判

決 ︶

︑ H e a r t o f  

A t

l a

n t

a   M

o t

e l

  U v n . 

i t e d

  S t a

t e s (   ア ト ラ ン タ モ ー テ ル 判 決 ︶

( 3 7 )

 

C o

l o

r a

d o

  A n

t i

  D i s

c r i m

i n a t

i o n  

C o

m m

i s

s i

o n

  v . 

C o n t

i n e n

t a l  

A i

r   L

i n e s , 

I n c (コロラド州差別禁止委員会事件︶を検討す . 

( 3 2 )  

一 九 三 八年公正労働基準法を合憲であると判断した︒ 関法第五九巻――-•四号

( 3 4 )  

一 九三八年農業調整法は︑それぞれ ︱ ︱ 六

(14)

連 邦

義 と 州 際 通 商 条 項

一八六八年に連邦憲法が改正されて第十三および第十五修正と共に付加された第十四修正第五項の文

言 は︑連邦政

府を名宛人にしており︑私人の差別行為を本項によって規制することはできないと理解されていた

私人の差別行為を禁止する一八七五年公民権法は違憲無効と判断された︒第十四修正第五項は連邦政府を名宛人にし

( 3 8 )  

ているという ︒ 本章で扱う一九五 0

年当時まで︑連邦政府が私人の差別的取扱いを禁止することができるかどうかは

明らかではなかった ︒

多くの南部州では州法によってアフリカ系アメリカ人に対する差別を容認していた

そ し

て ︑

( 3 9

)  一

九六四年公民権法は民間企業が︑人種︑性別︑宗教を理由に雇用関係において差別的取り扱い︑そして公的な場所

( 4 0 )  

一 九五四年

B r

o w

n v . 

B o

a r

d   o

f   E

d u

c a

t i

o n

  o f

  T o

p e

k a

(  

ブラウン判決︶

ー 一

七 は︑教育における人種別学制度について違

( E a r

W l  

a r

r   e n )

連邦最高裁長官は︑は公教育における人種別学制度の影響を指

( 4 1

)  摘した ︒ 本件には︑白人とアフリカ系アメリカ人の学 童 が

P l e s

s y v•

F e

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( プレッシー判決︶の﹁分離すれども  

平 等 ﹂ に従 っ

て︑白人用の学校とアフリカ系アメリカ人の学校の併存が認められていた背景がある

連邦最高裁は︑物理的な施設といった要素がたとえ白人用学校とアフリカ系アメリカ人学校に平等に提供されてい

たとしても︑なお平等な機会が少数者集団 (

m i n o

r i t y

g r

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p )

に 与 えられているか︑を問わなければならないと分析

し 足 ︒ ウォーレンによれば︑州の指定する別学制度では︑アフリカ系アメリカ人が劣等感を抱き︑教育の機会を奪わ

れているという ︒

人種を理由に同じ年の児童を分離することは︑

憲無効の判断を下した ︒ ウォーレン 2 — 2 .ブラウン判決 での差別を禁止していた ︒ る ︒

コミュニティにおける地位において下位にいるとい

︵ 四 二 九 ︶

一 八

三 年

に は

(15)

2

3

ァイゼンハワー

第五九巻三•四号

本判決が教育心理学に依拠したことは批判も多いが︑本稿の扱う州際通商と少数者との関係に紋っていえば︑

五四年のブラウン判決と一九五五年のブラウン

I I 判決において連邦最高裁は公教育における人種的少数者に対する姿

しかしそれでもなお︑州政府の抵抗は強かった︒とりわけアーカンザス州

( A r k a n s a s ) フォーブズ知事

( O r v a l F a u b u s ) をはじめとするリトルロック うとした

( 4 4

)  五八年の

C o o p e r v .  A a r o

n   (

ク ー パ ー 判 決

アフリカ系アメリカ人の通学を保護した

︒ さ

( 4 5 )  

らに︑連邦最高裁は様々な文脈で︑人種的少数者に対する﹁分離すれども平等﹂を否定していく︒連邦最高裁は︑次 にみる六四年のアトランタモーテル判決で州際通商を用いて人種的少数者に対する姿勢を打ち出した︒

アトランタモーテル判決

( 4 6

本件では公民権法二章の規定が支持された︒本件で問題となったジョージア州のモーテルはアトランタのダウンタ ウンに位置していた︒複数の州にまたがるハイウェイからのアクセスも容易なモーテルである

︒ モーテルの

ニ ︱

六の

部屋のうち︑七五パーセントが他州の宿泊者に利用されている︒

ルボードが設置されていた

このモーテルは︑公民権法が制定される前からアフリカ系アメリカ人の利用を拒絶して

きた ︒

︒ t 

モーテル側は︑公民権法が州際通商条項に違反していると主張した︒

勢を明確に打ち出していた︒ う印象を与え︑彼らの精神にも影響を

える

︒ 関法

で は

︑ アーカンザス州は州憲法を改正してまで人種統合に反対した

( D w i g h t   E i s e n h o w e

r ) 大統領は︑連邦軍を組織して︑

モーテルにはジョージア州外からの旅行客向けのビ

( L i t t l e   R o c k ) 地区は人種別学制度を維持しよ

︵ 四

0 )

における抵抗は根強かっ

(16)

2

4

連 邦 主 義 と 州

通 商 条 項

修正によって支持されると述べている ︒

︱ ︱ 九 一

九二七年に開店以来︑

アフリカ系アメ

連邦最高裁は︑次の二つの枠組みで公民権法の文面及び適用の合憲性を支持した

︒ 第一に︑人種差別を実施する

モーテルが州際通商に影響を 与

えることを連邦議会が認定する合理的な根拠があるかどうか︑を判断する

︒ 第 二

に ︑ もし合理的な根拠が認められる場合︑害悪を減じる合理的な手段が設定されているかどうか︑を判断する

連邦最高裁によれば︑本件の公民権法は特段斬新な法律ではなく︑以前から連邦議会によって制定されてきた法律

と変わらない ︒

各州における他の訴訟を参照しても本公民権法に合理性が認められる

︒ 本法が道徳的な理由で制定さ

( 4 7 )  

れたことも︑その判断を左右しない ︒

本法によってモーテルが経済的損失を被ることは明らかではない

︒ 仮に経済的

損失が認められても本法の合憲性はゆるがない ︒ すでに 三 二州が私人の 差

別禁止州法を用意していることを鑑みれば︑

モーテル側がアフリカ系アメリカ人に対して不本意な宿泊サービスの提供を余儀なくされるとは

言 えない ︒ また連邦

議会の権限を否定する﹁地方の特殊な事情 ﹂

として人種差別的な営業を認めることはできない︒

ブラック裁判官は︑本法の適用の合憲性について同意意見を執

筆 している ︒ 本法の適用は︑州際通商条項及び﹁必

要かつ適切な﹂規 定 によって支持される ︒

ダグラス裁判官は判決に賛同したが︑補足意見を執筆し︑本法は第十四修

正第五項によって支持されていると述べた ︒

ゴールドバーグ裁判官も判決に賛同し︑本法は州際通商条項及び第

十 四

マクラング判決

( 4 8 )  

K a

t z

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b a

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  v . 

M c

C l

u n

g   (マクラング判決

︶ でも︑公民権法の適用が支持された ︒ 本件ではアラバマ州バーミンガ

ムの﹁オリー氏のバーベキュー ﹂ (

O l l i

' e s

B a

r b

e c

u e

)

が問題となった ︒ 本レストランは二 二 0 の座席を用意し︑バー

ベキューとホームメイドパイを提供している家族経営のレストランである

︵ 四

三 一 ︶

(17)

2

5 コロラド差別禁止委員会事件 ル判決で確認されている︒

︵ 四 三 二

︵ 十 五 万

連邦最高裁によれば︑州際通商条項は連邦議会に人︑物品や情報の移動を規制する権限を認めている︒その権限行

使は︑その目的を達成するのに必要な程度に限定される︒本件レストランの利用する食肉の四六パーセント

ドル相当︶が他州から輸入されている︒レストランにて提供される食品の実質的な量が複数の州を移動する場合︑州

際通商条項の権限の範囲内といえる︒本法に正当な目的と目的達成の適切な手段が認められる点はアトランタモーテ

たとえ小売店舗であっても州際通商に影響を与える場合は︑連邦議会の規制権限が認められる︒レストラン側は︑

すべての民間レストランでの人種差別を禁止するという規定は一方的であり︑特定の事業に対する影響を個別具体的

に判断すべきだ︑と主張した︒連邦最高裁は︑ダービー判決に従い︑個別事例が本法に該当するかどうかは︑連邦議

会ではなく裁判所の任務であると述べ︑ レストラン側の主張を退けた︒

ブラック︑ダグラス︑ゴールドバーグ裁判︷目はマクラング判決と同趣旨の同意︑補足意見を執筆している︒

( 4 9 )  

C o

l o

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C o n t

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t a l   A

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e s , 

I n c (コロラド州差別禁止委員会事件︶ では複 . 

数の州をまたがって運営されているコンチネンタル航空会社が当事者となった︒アフリカ系アメリカ人の男性がパイ

ロットに応募したが人種を理由に同航空会社に採用されなかった︒男性はコロラド州人種差別禁止委員会に人種を理

由に訓練学校に入学できなかったと申し立てた︒委員会は申立てを認めた︒

連邦最高裁は州法の合憲性を確認した︒連邦最高裁によれば︑本件において連邦裁判所の審理を排除する十分な根 リカ人の入店を断ってきた︒ 関法第五九巻―――•四号 ︱ 二 0

(18)

連 邦 主 義 と 州 際

通 商 条 項 きる ︒ 次 章 では︑特にレーンキストコート 拠

a ( d e q u a t e i n d e p e n d e n t   s t a t e   g r o u n d )  

( 5 0 )

 

は州に存在しない ︒ 差別禁止州法は連邦法とも抵触していない ︒ 航空会社

側は︑州法が州際通商に過大な負担を掛けると主張し︑州最高裁も支持した

︒ しかし連邦最高裁は︑この主張を受け

2

6

. 五

0 年代の州際通商に関する 三 つの判決の提示する人種的少数者に関する争点

こ の

つの判決は︑﹁少数者﹂という点で幾つかの争点を抱えている

一 九

0 年代において︑人種的少数者に対する州および私人による差別が︑州際通商を利用して禁止され

第 二 に︑これらの 三

つの判決は連邦議会制定法の合理性を連邦最高裁は容易に支持している

︒ ブラウン判決に端を

発する差別禁止と人種統合に対する政府の努力を見れば︑この点は予想できたかもしれないが︑性別といった他の要

第 三 に︑第十四修正五項の解釈の変更である ︒

連邦憲法は連邦政府を名宛人としていたが︑

のちに州政府の人権侵

害に対して働くようになった︒連邦議会は︑私人による人種的少数者に対する差別を禁止する連邦法として公民権法

を用意した ︒

連邦最高裁も州際通商条項に抵触しない連邦議会の制定法を支持した

本章では州際通商が一九五 0

年代ごろから人種的少数者に対する差別に対して利用されてきたと理解することがで

( R

e h n q u i s t   C o u r t )

による州際通商条項の解釈変更を検討していく ︒

素について連邦法に合理性が同様に推定されるか︑

は明らかではなかった ︒

ており︑連邦憲法起草者の意図したものではなかった

︒ 第 一

に ︑

入れなか っ た ︒

︵ 四 三 三

(19)

際通商に実質的な影響を及ぼす場合だけである︒ ー

本 章

で は

以 降

第五九巻―

-•四号

た︒本件では複数の銃器を持参した高校生が本法によって起訴された事例である︒

犯罪を防止するという経済的な負担は州際通商条項の権限の範囲内であるという ︒

︵ 四 三 四

︶ ロペズとモリソン判決を中心に﹁少数者﹂について検討していく︒ウォーレン︑バーガー

( B u r g e r )  

レーンキストコートは大きく方向を転換した︒

( 5 1 )  

一九九五年

u .

s ・

t .

L o

p g

︵ロペズ判決︶において︑連邦最高裁は︑五対四で︑﹁一九九 0

年学校付近の銃携帯禁

( 5 2 )  

止法﹂に違憲無効の判断を下した︒本連邦法は︑学校付近一︑ 000 フィートの銃の携帯を連邦法上の犯罪と規定し

政府は︑学校付近での銃器の携帯が犯罪を増加させ︑国家レベルの経済に影響を与えると主張した︒政府によれば︑

銃犯罪の多発する地域における商業の生産性が下がり︑観光客の減少することを考慮すれば︑学校付近における刑事

しかし︑連邦最高裁は有罪を破棄した︒そして︑州際通商条項に基づき︑本法と州際通商との関係性は薄く︑連邦

議会の権限が正当に行使されたとはいえないと違憲無効の判断を下した︒判決を執筆したレーンキストによれば︑連

邦議会の法律制定に十分な根拠がみあたらないという︒

レーンキスト執筆の法廷意見はアトランタモーテルと本判決を区別した︒アトランタモーテル判決は︑州際通商の

﹁経路﹂を保護する例として支持される︒さらに︑連邦議会が規制できるのは︑州際通商上の人や商品︵道具︶︑州 ロペズ判決 関法

四章差別禁止に用いられる州際通商条項の一九九

0 年代の状況

(20)

連 邦 主 義 と 州 際 通 商 条 項

いて︑男子学生と大学に対して民事訴訟を提起した︒

レーンキストによれば︑本件で問題となる行為が州際通商に実質的な影響を与えるかどうか不明瞭であるという

学校付近での銃携帯が州際通商に実質的な影響を与えるとはいいきれないという︒本法には銃が州際通商の﹁物品﹂

であるという規定も存在しない︒政府は︑銃携帯による犯罪に学校が巻き込まれる結果︑経済的損失を被ると主張し

トーマスとケネディが同意意見を執筆した ︒

ケネディ同意意見にオコナーが賛同した︒ケネディによれば︑本件に

おいて連邦法があえて必要とされる根拠が見当たらないという ︒

ブレイヤー反対意見にスティーブン︑

を多数意見は変更するものであり︑司法の不当な介入であると批判した

︒ ブレイヤーによれば︑本連邦法は合憲であ

る︒銃器の関係する校内での犯罪は︑教育に対して広範で深刻な脅威を与え︑州際通商とも密接に結びついている︒

連邦議会の法制定について州際通商に実質的な影響を与えるという判断に合理性が認められる限り︑連邦議会の正当

2 .モリソン判決

( 5 3 )

 

M o

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U . S .   (

モ リ

ソ ン

判 決

スーター︑ギンズバーグが賛同した ︒ ブレイヤーは︑六 0 年以降続いた判決

( 5 4 )

 

では︑﹁女性に対する暴力法﹂における民事賠償規定が問題になった

︒ ヴァー

ジニア工科大学において︑申立てによれば︑

アメリカンフットボールのチームに所属する複数の男子大学生は同学女

学生を強姦したが大陪審において刑事訴追を受けず︑大学からの懲戒も最終的には免れた︒被害女性は︑本法に基づ な権限行使として認められ︑本法は合憲であるという ︒ たが受け入れられなかった︒

~ ︵ 四

︳ ︱ ‑ 五

(21)

関係は支持できない︒ 的な影響を及ぼすという︒

第五九巻―――•四号

連邦最高裁は本法に違憲無効の判断を下した︒連邦議会の主張によれば︑家庭内暴力で被害者となる女性に対する

保護が州法では︑不十分であった︒そのため連邦法は︑性別を理由とする暴力について金銭賠償請求を認める規定を

用意した︒連邦議会は︑性別を理由とした暴力が︑

レーンキストが法廷意見を執筆して︑

判決で示した基準を利用した︒連邦議会は︑州際通商の経路︑州際通商上の人及び物品︑州際通商に実質的な影響を

及ぼす行為を規制することができる︒女性側は︑本法の歴史的経緯を説明した︒女性に対する暴力を総合して見れば︑

フィルバーン判決に従い︑州際通商に実質的な影響を与える国家的な経済損失であるという︒連邦最高裁は︑この主

張を受け入れなかった︒性別を理由とした暴力は経済的活動とはみなされない︒もしこの主張を受け入れてしまえば︑

あらゆる刑事上の犯罪が︑その影響の総合的判断から州際通商権限の内に入ることになってしまう︒例えば︑雇用︑

生産︑移動や消費に影響を与える行為はすべて連邦議会が規制できることになってしまう︒連邦議会の主張する因果

トーマス同意意見によれば︑

理解と矛盾している︒連邦議会の権限には限界を設定しなければならない︒州際通商権限を州のポリスパワーを制限

する口実に用いてはならないし︑法廷意見は経済的活動の総合的な影響を考慮している点でも誤っている ︒

スーター反対意見に︑ 関法

オコナー アメリカの経済に多大なる損失を生み︑女性の旅行の自由に実質

スカリア︑ケネディ︑トーマスが賛同した︒法廷意見は︑

ロペズ判決が本件にも妥当する︒しかし︑実質的な影響テストは起草者の州際通商の

スティーブンズ︑ギンズバーグが賛同した︒司法府は︑連邦議会の判断を尊重しなければな

らない︒連邦議会は立法権を有し︑立法のために必要な資料を集める権限も備えている︒連邦制定法は州際通商に基 ︱

二 四

︵ 四 三 六

ロ ペ

(22)

連 邦 主 義 と 州 際 通 商 条 項

づく法律には合理性が推定される ︒ 司法府は︑連邦議会の判断を審査する場合︑議会の判断の妥当性ではなく︑提出

された証拠から審査する︒本件における莫大な証拠を見れば︑女性に対する暴力が全国的な経済的影響を総合して及

ぼしているという議会の判断を支持できる︒アトランタモーテルとマクラングの二つの判決と比べても本件は十分な

資料を用意しており︑支持できる ︒

れば︑科学︑技術︑商業上の変化によって︑実質的に見れば︑国内のあらゆる活動は特定の州を越えるようになった ︒

連邦議会は︑州や地方の地域の事情を連邦法制度に反映させるという点では裁判所よりも優れている︒

3 .ゴンザレス判決

( 5 5 )  

G o

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( ゴ

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判 決

︱ 二

一部についてスーターとギンズバーグも同調した︒ブレイヤーによ

は︑審理中にアシュクロフトからゴンザレスに司法長官が交代しているた

めアシュクロフト判決

( A s h

c r o f

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U .  

S . )

とも呼ばれている︒本件で問題となるカリフォルニア州法は︑

( 5 6 )  

年に成立したプロポジションニ︱五によって医療目的のマリファナ利用を合法化していた︒しかし︑連邦政府は既に

( 5 7 )  

一 九 三 七年にマリファナ課税法を制定してマリファナの利用を制限していた ︒

本件では︑深刻な苦痛を和らげるために家庭にてライチ氏

( A n g e l R a i c

h )  

はマリファナを栽培していた︒カウン

ティの保安官は合法であると判断したが︑連邦麻薬局

( D

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A d m i

n i s t

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o n )  

は捜索したのち︑栽培中

( 5 8 )  

のマリファナ六棟を押収︑破棄した事例である︒連邦法である一九七 0 年包括的麻薬濫用防止統制法中の麻薬統制法

( 5 9 )  

上の別表一にマリファナは該当する︒ライチ氏は連邦法の一時差止めと宣言的判決を求めた︒彼女は自分が生存する ブレイヤー反対意見にスティーブンが同調し︑

︵ 四 三 七 ︶

一九九六

(23)

憲法

一 編の﹁必要かつ適切な﹂規定にも該当しない︒ 第五九巻――-•四号

︵ 四 三 八

連邦最高裁は︑医療目的での利用を州が認めている場合であっても︑連邦議会は州際通商条項を用いて禁止するこ

とができると判断した︒家庭内での栽培であっても実質的に見れば全国的な市場における需要と供給に影響を与えて

いる︒カリフォルニア州内で栽培されるマリファナと他の場所で栽培されるマリファナを区別することは困難である︒

合法的に栽培されるマリファナが違法に利用されるかもしれないという連邦政府の懸念は認められる ︒ 複数の州をま

たがる製品の生産とマリファナの所持を連邦法である麻薬統制法は迂闊にも禁止していなかった︑と連邦議会が主張

することに合理性が認められる︒カリフォルニア州法は違憲無効である︒

スカリアは︑同意意見を執筆している︒スカリアによれば︑州際通商に単に実質的な影響を及ぼすだけの活動は︑

連邦議会の規制する州際通商条項の対象にはならない︒モリソン判決とロペズ判決を支持した理由は︑州際通商では

なく︑むしろ連邦憲法一編の﹁必要かつ適切な﹂規定に従って理解したからだという︒

口ペズ判決をブランダイス オコナー反対意見にレーンキストとトーマスが同調した︒オコナーによれば︑

( B r a n d e i s ) の指摘した連邦主義の本旨に従って理解した上で︑本件を判断すべきだったという︒カリフォルニアで

マリファナを栽培させ︑医療目的に利用させるという﹁実験﹂を行う機会を連邦当局は与えるぺきであった ︒ 問題と

なる行為が経済的規制であって連邦政府の統制する権限内に入るかどうか︑という点を法廷意見は考慮していない ︒

トーマス一部同意︑ 関法

一部反対意見は︑地方で栽培するマリファナは決して州際通商に該当しないという︒また連邦 ためにマリファナを利用したいと主張した︒ ︱ 二 六

(24)

連 邦 主 義 と 州 際 通 商 条 項

邦の利益と州の利益を調整する役割を裁判所が担う︒

ゴンザレス判決は︑

ニ ︱

レーンキストコートが必ずしも州権支持に傾かないことが判明したことで︑将来の最高裁の判

断を予想することが難しい点を示すことになった ︒

レーンキストコートにおける連邦最高裁裁判官の州際通商条項に おける解釈を整理していく︒レーンキストコートにおける州際通商に関する判断は︑頻繁に五対四で判断された︒

レーンキストコートでは﹁州際通商条項﹂を次のように定義できる︒連邦議会は複数の州及びインディアン部族との

通商を規制する権限を有する︒﹁通商

( C o m m e r c e C l a u s e )

﹂の内実は判例法上︑次のように形成されてきた ︒

第一に︑州際通商の経路

( c h a n n e l ) を規制すること︒連邦議会は州相互の通商の﹁経路﹂を規制する権限を有す

( 6 1 )

 

る ︒ 経路とは道路︑水路︑空路を指す ︒

第二に︑施設

a c ( f i l i t i e s )

及び道具

( i n s t r u m e n t a l i t i e s )

及び︑州際通商における人品の運搬を規制すること ︒ 通商

第三に︑連邦議会の規制権限は州際通商上の物品

( G o o d s a n d   A i c r t l e s )

にまで及ぶ ︒

第四に︑州際通窃に密接で︑実質的な関係

( S u b s t a n t i a l l y a f f e c t i n a g   n d   c u m u l a i t v e   e f f e c t )

を有するあらゆるもの

( 6 2

に及ぶ

個々の活動が総体すれば州際通商に影響を及ぼす場合に連邦議会の権限が認められる

そして︑休眠州際通商条項の問題がある︒休眠州際通商とは︑連邦議会が担うべきはずの役割を裁判所が州際通商 条項を通じて果たせることを認めるか︑という争点をいう︒州相互の利益が衝突し︑効率的な州規制が期待できず︑

連邦法による規制が望ましい場合でも︑連邦議会は法を制定しないで休眠している場合がある︒その際︑衝突する連 に必要な運搬施設も含む︒ レーンキストコートまでの連邦最高裁の用いる甚準 4

︵ 四 三 九

(25)

5 .連邦最高裁におけるそれぞれの裁判官の姿勢 する ︒

第五九巻―

-•四号

一 八八七年から 一 九三七年間の判断に連 ︵ 四

0 )

判例上︑州際通商については︑次の 三 つのテストが判例上確立された ︒ 第 一 に︑州法の文 言 が連邦法の﹁通商 ﹂ に

が問題となる ︒ 州法は州内外の通商に差別的な取扱いをしてはならない︒差別的州法は違憲であると

( 6 3

)  いう推定を受ける︒この推定を覆すには︑正当なあるいは重要な州の政府利益の立証が必要となる︒

第 二

に︑もし州法の文言が中立であれば︑法の目的・効果が他州に実質的な差別的影響を与えるか?が問題にな

る ︒ その際︑差別的影響を生じるという証拠で足りるという判泥や差別的影響の証拠では足りないという判氾も存在

( 6 6

)  第 三 に︑差別的扱いであるかどうかは州内の利益と州外の負担との利益較量で判断する ︒ 以上の判例法理には︑議

( 6 7 )  

会が明示的に州の規制を認める場合︑州が私人と同じ 立 場で市場に参加者する場合という例外もある ︒

レーンキストは︑連邦憲法 一 編に依拠する州権論者である ︒ ロペズでは︑経済に関係する犯罪であればなんでも連

邦議会の規制権限に含まれると考えることはできないと述べていた ︒ 彼は︑これまでの連邦最高裁の州際通商条項の

拡大解釈をやめ︑連邦議会の権限は連邦憲法 一 絹に規定された権限に限定すべきだと考えた︒連邦議会の権限は本条

に規定される明示あるいは黙示の権限だけに限定される︒

ト ー

マ ス

は ︑

ロペズ判決において連邦議会の権限を認めなかった ︒

彼 は

邦最高裁は回帰すべきだ︑と主張している ︒ トーマスは︑州際通商の﹁実質的な影響﹂基準を認めない ︒ 連邦憲法起

草者との関係でもトーマスは︑あらゆる権力は人民の同意に由来していると考える

︒ 連邦憲法の主権は︑あくまで 抵触するか? 関法 ︱ 二 八

(26)

連 邦 主 義 と 州 際 通 商 条 項

州の介入できない連邦政府の主権が存在している︒ す

る ︒

︱ 二 九

﹁ 州

の人民の総意に由来しており︑差異を持たない人民の総意に由来するのではないと理解する

実 ﹁

質 的

な 影

響 ﹂

テストは︑連邦起草者の意図や初期の連邦最高裁判決と明らかに矛盾してい艇︒トーマスは休眠州際通商を

一 切認め

な い

彼は︑ゴンザレス判決では︑

スカリアほど﹁必要かつ適切な ﹂ 規定に依拠しなかった ︒

スカリアによれば︑連邦憲法の文言の内実は歴史を経ても不変である︒裁判官は︑現在でも起草者の意図したとお

りに解釈すべきであると考える ︒

したがって︑彼は休眠州際通商の理論に否定的である

︒ 彼は︑あらゆる州法に合憲

性を推定すべきだと主張する ︒

連邦法の利益と州法の利益は比較不能であり︑連邦最高裁の判断はなじまないという︒スカリアは︑州際通商条項

ではなく連邦憲法一編の﹁必要かつ適切な ﹂

規定に依拠して︑連邦議会の判断を連邦最高裁は尊重すべきだと主張す る︒実質的影響テストを否定し︑さらに休眠州際通商を利用すぺきではないという点でスカリアは︑トーマスと同調 ケネディはロペズにおいて連邦議会の権限と州の主権との関係を惧重に検討するぺきだという︒起草者は︑主権の

理解で対立していた︒人民は 二

つの統治形態を有している︒連邦政府と州政府のそれぞれはお互いの侵害から連邦憲

法によって保護されている ︒

連邦政府は︑政府を作り上げた人民の行動にその存立の基盤を持っている

そ こ

に は

︑ モリソン判決では反対意見においてブレイヤーは︑連邦議会の提出した膨大な証拠を見れば︑連邦政府と地方政府

( 6 9

)  との対立ではなく協働の構図が見て取れるという ︒

ロペズ判決において︑ブレイヤーは銃器を州際通商上の物品とみ

なす ︒ 学校付近での銃携帯の禁止は︑たとえ 一

見すると無関係なように見えても州際通商の正当な権限行使として支

︵ 四

一 ︶

(27)

本件の連邦法の憲法問題を回避している︒ していることを示す二つの判決を概観する︒

第五九巻三•四号

持される︒だからといって︑銃器規制が連邦レベルの統一的な規制下に入るとは必ずしもいえない︒彼の判断は︑個

別具体的な事実認定に左右される︒ブレイヤーは︑必ずしも連邦法に合理性を推定させる立場を取らない︒

スーターは︑連邦議会の判断には合理性を推定する場合があっても︑連邦司法府は独立して判断するべきだという︒

以上をまとめると︑

の と

こ ろ

ロペズ判決は︑連邦最高裁がおよそ六 0 年ぶりに連邦法に違憲判断を下した事例である︒現在

モリソン判決によれば︑州際通商に実質的な影響を及ぼす場合︑議会は第一絹の立法権に基づいて規制で

きる︒しかし︑伝統的に州のポリスパワーと見なされてきたものを連邦議会は規制することはできず︑州際通商に総

合して実質的な影響を及ぼさない場合も規制することはできない︒

最近では︑連邦最高裁の判断が︑個別具体的な事例に射程が限定されて︑ ニ

ニ 〇

︵ 四

四 二

のかもしれない︒モリソン判決以降︑州際通商条項に関する憲法上の疑義を回避する形の限定解釈を連邦最高裁が示

6 .限定解釈を暗示する判決︒ジョーンズ判決と

S W

A N

C C

判決

( 7 0 )

 

U . S J v .  . 

o n e s

  (ジョーンズ判決︶では︑現住建造物に対する放火行為を連邦刑法上の犯罪を構成するか︑が問題と

なった︒連邦政府によれば︑住居には保険が掛けられており︑電気︑ガス︑上下水道のサービスを使用しているため︑

州際通商上の財産と構成されるという︒しかし︑連邦最高裁は全員一致で︑この主張を退けた︒ギンズバーグ執筆の

法廷意見によれば︑現住建造物に連邦法を適用することは憲法上の重大な疑義を生むだろうという︒ギンズバーグは︑ 関法

一 般化が困難になってきているといえる

図 Cooley v.  Board  of  Warden  of  the  Port  of  Philadelphia,  53  V.  S.  299  (1851). 

参照

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