思言 東京外国語大学記述言語学論集 第4号 (2008)
- 73 -
モンゴル語の補助動詞構造《 V-(gul)-CVB ög- 》《 V-(gul)-CVB ab- 》について
―日本語との比較対照を通じてー 斯欽格日楽
本稿では、コーパスから用例を収集し、日本語との比較対照を通じて、モンゴル語の補 助動詞構造《V-(gul)-CVB ög-》、《V-(gul)-CVB ab-》のそれぞれの意味用法を明らかにし た。さらにモンゴル語の《-gul-》がどんな条件の下で、授受的意味を表すかを明らかにし、
授受的意味を表す補助動詞《ög-》、《ab-》と比較した。分析の結果以下の通りである。1)
《V-CVB ög-》、《V-gul-CVB ög-》の両構造に授受的意味とアスペクト的意味があるのに 対し、《V-CVB ab-》構造には、アスペクト的意味のみがあり、《V-gul-CVB ab-》構造に は、授受的意味のみがある。2) 補助動詞《ab-》で表される授受的用法の使用頻度が少な く、ほとんどの場合、補助動詞《Og-》で表されるため、モンゴル語にも給与動詞が優勢で あると言える。3) 授受的意味を表す《-gul-》と授受的意味を表す補助動詞《ög-》、《ab-》
の違いは、恩恵的意味、自分へという方向性を文法的に有標にするかしないかの違いであ る。