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【特集】第31回国際労働問題シンポジウム : 持続 可能な開発目標(SDGs)とディーセント・ワーク : 第107回ILO総会の概要

著者 田口 晶子

出版者 法政大学大原社会問題研究所 

雑誌名 大原社会問題研究所雑誌

巻 726

ページ 2‑4

発行年 2019‑04‑01

URL http://doi.org/10.15002/00021844

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大原社会問題研究所雑誌 №726/2019.4 2

皆さん,こんにちは。ILOの駐日代表をしている田口晶子と申します。

今年のILO総会の説明に入る前に,簡単にILOについてご紹介させていただきたいと思います。

皆さまのお手元にリーフレットをお配りしていると思いますが,ILOは「みんなが,人間らしく働 ける世界へ」日々奮闘している機関です。

もう1つのパンフレットには,SDGs達成のカギ,ディーセント・ワークについて記載しています。

ディーセント・ワークは,国連が2015年に採択した17の「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標8 に取り入れられていますが,他の目標でもその原動力として認識されていて,持続可能な開発目標

(SDGs)のカギでもあります。

今日はもう1つ,リーフレットを配布しています。大原社研もILOも共に1919年に設立された 機関であり,来年が100周年にあたるのですが,ILOではその100周年に向けた取り組みとして「仕 事の未来」ほか7つの取り組みを行っています。「仕事の未来」に関しては,現在,世界委員会とい うところで,日本からは慶應義塾大学の前学長・清家篤先生が委員として議論されています。ちょ うど議論が佳境に入ってきたところです。

それでは,今年の総会について,簡単にご紹介したいと思います。

皆さまのお手元には,日本ILO協議会の機関誌『WORK & LIFE 世界の労働』2018年の第4号が 配られていると思います。こちらに今年のILO総会を特集していますので,今日の議論を聞いて さらにもっと知りたいと思われる方は,ぜひこの雑誌を見ていただきたいと思います。

毎年,事務局長がテーマを決めて講演を行うのですが,今年の講演テーマは「働く女性」でした。

この講演の報告書は日本語訳をし,ILO駐日事務所のホームページに掲載しております。日本から は,牧原秀樹・厚生労働副大臣が参加され,女性活躍推進法ができたことや,少子高齢化が他国よ り早く進み労働力不足に陥った日本の経験を世界全体の課題解決のために役立てていきたいといっ たお話がなされました。

今年の総会は,日本にとって名誉なことの1つとして,日本の労働側のILO理事である郷野晶子 さんが副議長を務められました。

*田口晶子(たぐち・あきこ) 2016年2月より国際労働機関(ILO)駐日代表。1980年労働省(現厚生労働省)入省,

同省及び関係機関,政策研究大学院大学教授,ILO駐日事務所次長等を歴任。2015年3月厚生労働省退職。2015年 4月から2016年1月まで立命館大学公務研究科教授。京都大学法学部卒業。

【特集】持続可能な開発目標(SDGs)とディーセント・ワーク

第107回ILO総会の概要

田口 晶子

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3 第107回ILO総会の概要(田口晶子)

ここ数年,ILO総会の一環として「仕事の世界サミット」が開かれています。今年は,昨年採択 された勧告にちなんで「平和と強靭性のためのディーセント・ワーク」をテーマとして,コロンビ アの労使,在ジュネーブ国際連合ボスニア政府代表部大使などによるパネルディスカッションが行 われ,紛争や危機,災害からの復興に際してのディーセント・ワークの重要性などが議論されまし た。「仕事の世界サミット」の後半では,アイルランド,中央アフリカ共和国の大統領が講演をされ,

別の日ですが,コロンビア大統領による特別講演もありました。

皆さまの中には,ILOが「中核的労働基準」を重要視しているということをご存じの方も多いか と思いますが,今年は「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」の採択20周年なので,

特別イベントが開催されました。

次に,個々の議題の話に移ります。まず国際労働基準の適用に関する審議では日本も個別審査の 対象になり,1948年「結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」の適用に係わる日本の案件が取 り上げられました。日本に対する勧告もILOからいただいています。

この委員会では毎年一分野の条約を徹底的に調査する「総合調査」を実施するのですが,今年は 労働時間関連基準に関する総合調査が行われました。また国際労働基準は,ILOが設立された1919 年から非常にたくさん採択され,中には古くなったものや現在は使われないものもありますので,

今年は条約を6つ廃止し,3つ勧告を撤回しました。

一般討議「持続可能な開発目標を支えるILOの効果的な開発協力」は,この後の議論で政労使か らご紹介がありますので,省略します。

おそらく皆さまは,今年のILO総会について,新聞報道やニュースでも数多く報道された「仕事 の世界における男女に対する暴力とハラスメント」という議題に関心を持っておられる方も多いか と思います。今年は第1回目の討議で,来年,基準が採択されることになりました。今年の議論の 模様については,お手元の『WORK & LIFE 世界の労働』の中に紹介されていますので,詳しくは ぜひこちらをご覧ください。条約を採択することについては,だいたい意見の一致をみました。勧 告案については審議の時間も全くなかったということで,条約案・勧告案について今後も議論を続 け,来年両方が採択される予定です。

また「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」という2008年に採択された宣言 を踏まえて,今年はそのフォローアップ手続きに基づく討議として,社会対話と三者構成主義に関 する議論が行われました。

これらの議題以外にも,活動報告,事業計画,予算など事務的な議論が行われました。また,最 初に少しご紹介した「仕事の未来世界委員会」の活動に関する報告会。それから,今年は時期が外 れてしまいましたが,だいたいILO総会のちょうど真ん中ぐらいに「児童労働撤廃世界デー(6月 12日)」があります。今年1週間前倒しにして,6月4日にイベントが行われました。ちょうど20年 前に「児童労働に反対するグローバル・マーチ」がILO本部に向けて行われたことがあり,その20 周年も祝われました。

さきほど,今週末に開かれる日本政府主催のアフリカ開発援助会議(TICAD)準備会合のため に来日した妹尾吉洋をご紹介しましたが,本日はもう一人,ILO本部より塚本美都が来日していま す。こういった形でILOにも日本人職員が増えていくことを駐日事務所としても応援しています

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大原社会問題研究所雑誌 №726/2019.4 4

 

ので,本日お集まりの学生・大学院生の方で,将来国際機関を目指したいという方が出てくること を期待しています。

以上,簡単ですが,今年の総会の概要とILOの紹介をさせていただきました。ありがとうござ いました。(拍手)

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