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トピックス地方債の運用環境の変化

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1980 82 84 86 88 90 92 94 96 98 2000 2 兆円 

年度 

縁故資金  市場公募資金  公営公庫資金  特定資金  政府資金  はじめに

2001年4月より新しい財政投融資制度がスター トし、郵便貯金・簡易保険の資金運用は全額自主 運用(簡保の余裕金の預託は除く)となった。そ の主要な資金運用先のひとつである地方公共団体 においては、地方財政の逼迫、地方分権推進一括 法の成立による制度変更や地方債を取り巻く環境 変化が進んでいる。さらに、資金運用をめぐる環 境としては、ペイオフの凍結解除、時価会計制度 の導入などの制度変更、不良債権処理や持続的不 況の金融市場に与える影響など多くの変化が生じ ている。

本稿では、このような現状において地方債発行 の推移について簡単に概観し、郵政事業資金の主 要な資金運用先の一つである地方債市場を取り巻 く環境変化について述べ、最後に米国の地方債制 度について紹介することとする。

なお、文中意見にわたる部分は、筆者の個人的 見解なので、あらかじめお断りしておく。

地方債発行の推移

バブル崩壊以降、地方税収等の落ち込みや減税 に伴う減収の補てん、経済対策に伴う公共投資の 追加等により、1992年度以降、地方債の発行額は 急速に拡大した(図表1)。

トピックス

地方債の運用環境の変化

第三経営経済研究部研究官 内炭 克之

図表1 地方債発行額の推移

出所:地方債協会「地方債統計年報」により作成

(注) 2001、02年度は当初計画、それ以外は最終計画額

6 2

郵政研究所月報 2002.11

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0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0

1980 82 84 86 88 90 92 94 96 98 2000 2 年度 

% 

政府資金 

特定資金  公営公庫資金  市場公募資金  縁故資金 

0 50 100 150 200

1980 82 84 86 88 90 92 94 96 98 2000 年度  兆円 

事業債  公営企業債  普通会計債  資金の借入先別構成比の推移をみると、1992年

度以降、銀行等縁故資金での資金調達割合は18%

から30%強へと急激に上昇している。また、市場 公 募 資 金 に お い て も、1998年 度 以 降6.3%か ら 徐々にではあるが上昇している。2002年度の借入 先別の構成比は、政府資金(46.0%)、縁故資金

(30.8%)、市場公募資金(11.7%)、公営公庫資 金(11.5%)の順になっている(図表2)。

1980年度には29兆5,157億円であった地方債現 在高が2000年度には128兆1,116億円(普通会計債

のみ)となり約4倍に増加している。2000年度の 普通会計債の地方債現在高に公営企業債、事業債 を加算すると187兆9,951億円になる(図表3)。

地方債現在高は、1980年度では歳入総額の0.63 倍、一般財源総額の1.21倍であったが、2000年度 ではそれぞれ1.28倍、2.18倍と倍増している。

2000年度の地方債現在高を目的別にみると、一般 単独事業債(40.4%)、一般公共事業債(18.5%)、 減税補てん債(4.7%)、減収補てん債(4.2%)

の順となっており、事業関係部分が大きいことが

図表2 資金の借入先別構成比の推移

出所:地方債協会「地方債統計年報」により作成

(注) 2001、02年度は当初計画、それ以外は最終計画による構成比

図表3 地方債現在高の推移

出所:地方債協会「地方債統計年報」により作成

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0 20 40 60 80 100 120 140

1980 82 84 86 88 90 92 94 96 98 2000 年度  兆円 

財源対策債  減収補てん債  減税補てん債  調整債 

臨時財政特例債  その他 

厚生福祉施設整  備事業費  一般公共事業費  公営住宅建設事  業費 

義務教育施設整  備事業費  一般単独事業債 

わかる(図表4)。因みに20年前の1980年度は一 般単独事業債(21.6%)、財源対策債(17.7%)、 義務教育施設整備事業債(11.9%)、公営住宅建 設事業債(8.2%)の順になっており、義務教育 施設整備や公営住宅建設のウェイトが高かった。

地方債市場を取り巻く環境変化

!

地方債に係る諸制度の改革

バブル崩壊後の不況継続を反映して地方財政は 悪化を続け、地方債の発行も急速に拡大したが、

1998年秋の国債との急激なスプレッド拡大以降は 今のところ市場における地方債のリスク評価には それほど大きな変化は現れていない。とはいえ地 方債をめぐる諸制度の改革を通じて市場に変化の 兆しは現れてきており、特に地方公共団体と金融 機関との関係は、これまでの相互依存的な取引関 係から、よりビジネスライクな取引関係1)に移行 しつつある。

!

時価会計の導入:保有資産が時価評価され、そ れが経営指標にも大きな影響を与えるため、金融 機関は価格変動リスクに敏感にならざるを得ない。

このため、地方債の主要な引受先である金融機関 は地方債の引受けを「持ち切り型」から「転売 型」へと変化させはじめている。また、資金調達 手段を債券発行から時価評価の対象とならない証 書借入れにシフトする動きも出ている。ただ、将 来的には借入れも時価評価の対象としようとする 方向性を考慮すれば、一時的な措置ともいえる。

!

ペイオフ解禁:ペイオフ解禁後の金融機関の破 綻に備え、特に地方公共団体は公金保護の観点か ら、金融機関への預金と相殺するため、地方債を 証書借入れに切り替える動きが出てきている。た だ、実際には預金と借入金を完全に一致させるこ とは困難であり、証券発行が完全に借入れに置き 換えられるわけではない。一方、ペイオフ解禁を 受けて銀行預金以外の安全な投資資産に対する需 図表4 地方債現在高の目的別構成比の推移

出所:総務省「地方財政白書」により作成

1)地方公共団体と地元の主要金融機関は指定金融機関制度の中で、銀行が公金の出納事務を取扱い、地方債の引受け等にも便宜 を図ってきたが、近年は預貸金の利鞘が縮小してコストが賄えなくなったことから指定金融機関を返上したり、従来は持ち切 り中心だった縁故債を転売してリスク縮減を図る動きがみられる。地方公共団体の側でも、公金保護の観点から金融機関の選 別を進め、あるいは預金を借入金と相殺できる水準に維持したり、預金から債券運用へのシフトを進めたりといった動きが見 られる。

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要が拡大している2)。このため特に財務内容が優 良な地方公共団体の発行する地方債への需要はむ しろ高まっており、ミニ公募債3)などの発行によ り、個人資金の流入を期待する自治体も出始めて いる。

!

新BIS対 応:BIS規 制4)に お け る 地 方 債 の リ ス ク・ウェイトは、現状では国債同様0%であるが、

新BIS規制においてはこれを見直そうという動き も出てきている。今のところ据え置かれる方向で あるが、見直しが行われると運用側の金融機関の 行動に変化をもたらす可能性が高い。

!

地方債許可制度から事前協議制度への移行:い わゆる政府の「暗黙の保証」5)を前提に、発行する 地方公共団体の財務内容にかかわらず地方債の信 用格付けはほぼ同等とされているが、2006年に事 前協議制度が導入されると、「暗黙の保証」のな い地方債を発行することが可能となるため、地方 債の信用リスクの評価が市場に影響を与えること になる。

!

政府資金による資金供給:2001年4月より新し い財政投融資制度がスタートし、郵便貯金・年金 積立金については全額預託が廃止され、金融市場 を通じた全額自主運用を行うこととなった。同時 に簡保積立金についても、財投機関等に対する融

資を廃止し、金融市場を通じた自主運用を行うこ ととなった。ただし、財政力の弱い地方公共団体 の資金確保のため、自主運用開始後も郵便貯金・

簡保積立金は、地方債計画・財政投融資計画の枠 内で、地方公共団体に対しては例外的に直接融 資6)を行うこととなっている。

!

地方債の市場環境における課題

地方債は国債と違い、発行団体が多様で数が多 く、小規模な団体も多いことから、それぞれの発 行団体の発行ロットが少額である。このため地方 債による資金調達は、市場公募資金のウェイトが 小さく、政府資金、銀行等縁故資金、公営公庫資 金のウェイトが高くなってきた(図表5)。

しかし、地方分権と財投改革の推進により地方 公共団体は、今後は自らの負担と責任において必 要な資金を金融市場から調達することとなり、

「市場との対話」が必要不可欠となってきた。そ ういう意味では、2002年4月より市場公募地方債 発行時の条件決定において導入された「2テーブ ル方式7)」は、流通市場の実勢を尊重し、今後は

「市場との対話」を行っていくとの方向性を示し たものであり、地方債市場改革の第一歩と言えよ う。

2)執筆段階で、金融庁より決済性預金の全額保護の方針が示されたため、上記のような動きは一旦終息する可能性もあるが、今 後の動きに注目していく必要性がある。

3)「住民参加型ミニ市場公募債」と呼ばれ、市場公募債より発行総額が小さく販売単位が小口であることが特徴。地方債は、多 くの地方公共団体が個別に発行するため、発行頻度が小さく販売単位は小さくなり、金融商品として機関投資家からみると流 動性リスクが問題となるが、個人保有の場合、これはあまり問題にならない。個人向けには小口化する必要があるので発行コ ストは高くなるが、保有の裾野を広げ、住民の行政への関心を高める効果もあるとして発行を計画する地方公共団体もある。

このような動きは金利リスクを嫌う金融機関、調達の間口を広げたい地方公共団体、預金以外の安全確実な運用対象を求める 個人投資家のそれぞれにとって、適正な情報開示とプライシングがなされていればメリットのあるものであり、今後の動きに 注目していく必要性がある。

4)国際決済銀行による国際業務を行う銀行の自己資本比率に関する国際統一基準であり、自己資本比率8%以上となっている。

その自己資本比率算出に用いる保有資産のリスク・ウェイトに関し、公的セクターのリスク・ウェイトは各国の裁量で決定で きることになっており、地方債のリスク・ウェイトは国債と同様の0%とされている。

5)地方債の発行にあたって地方公共団体は総務大臣(市町村については都道府県知事)の許可が必要である。これにより当該地 方債は、地方債計画・財政投融資計画の枠組みで財政融資資金等の政府資金による資金調達が可能となるほか、地方財政計画 の枠組みで地方交付税を通じて元利償還金の一部が手当てされる。これらを通じて地方債償還の一部を国が肩代わりする仕組 みとなっており、これを国による暗黙の財源保証として地方債の信用リスクが評価されている。

6)その融資の際は、個別地方公共団体との相対交渉ではなく、予算により国会の議決を受けた貸付枠の中で、市場原理に則して 政府が定める統一的貸付条件等によって簡素な手続きにより融資する仕組みで行うこととなっている。

6 5

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将来的に発行条件決定方式を個別条件決定方式 に移行させてゆくには、資金調達方法の選択肢が 一つでも多い方が良く、共同発行方式の導入や

「住民参加型ミニ市場公募債」の発行の推進を図 る必要性がある。そのためには、投資家や地域住 民への理解を深めるという意味からIR8)活動も重 要な要素の一つである。

米国の地方債制度

!

米国の地方債市場の特徴

米国の地方債は、一般財源債(General Obliga- tion Bonds)と特定財源債(Revenue Bonds)に 大別できる。一般財源債は、地域住民全体のため のプロジェクト(例えば、学校、裁判所、庁舎等 の建設など)のために発行され、その元利償還財 源として税収が充当される。特定財源債は、特定

の利用者のためのプロジェクト(例えば、施設、

有料道路など)のために発行され、利用料などそ れらの運営収入によって元利償還財源が補われる ものである。

米国の地方債市場の特徴としては、金融保証会 社9)による地方債保証が存在することである。米 国の地方債制度は、地方公共団体の独自の信用力 に基づく民間資金からの調達を前提としているた め、地方公共団体の信用力に基づいた発行金利が 適用され、各地方公共団体の格付けが資金調達コ ストに影響を与えている。そのために地方公共団 体の信用力を補完する手段として1970年代から民 間の金融保証会社による地方債保証が始まり、

1980年代以降の地方公共団体の破産の増加などを 背景に急速に拡がった。今日では米国の地方債市 場において不可欠な存在となっている。

7)地方債の市場公募債の発行条件については、これまで全国統一的に条件が決定(統一条件決定方式)されてきたが、流通市場 の実勢格差を背景に2002年4月より東京都とそれ以外の27団体の発行条件に格差を設ける2テーブル方式が導入された。ただ し、4月債の発行条件においては、東京都とそれ以外では1.8bpの格差が付いたが、横浜市をはじめ各自治体でシンジケート 団との交渉結果において9月債の発行条件ではその格差は縮小し、同条件となっている。今日のような低金利下においては、

当面は資金運用難の状況から公募地方債の消化は堅調に推移しそうであり、今後もこの方式は、試行錯誤を繰り返すこととな るかも知れないが、最終的には個別条件決定方式に移行する予定である。

8)IR(Investor Relations):投資家向け広報と訳されている。資金調達のために株式・債券等の発行体が株主・債券保有者等投 資家に対して行う広報活動のことをいう。

9)米国にはThe Association of Financial Guaranty Insurorsという協会が存在し、その協会に加盟する再保険会社4社(AMBAC、

MBIA、FGIC、FSA)が金融保証業務を専業として営んでいる。

図表5 2002年度と2001年度の地方債計画額

(単位:億円、%)

区 分 2002年度計画額 2001年度計画額 差引

!A−!B 増減率

!A 構成比 !B 構成比 政府資金

財政融資資金 郵貯資金 簡保資金

76,000 50,300 9,800 15,900

46,0 30.5 5.9 9.6

78,100 51,800 10,000 16,300

47.3 31.4 6.0 9.9

▲ 2,100

▲ 1,500

▲ 200

▲ 400

▲ 2.7

▲ 2.9

▲ 2.0

▲ 2.5 公営公庫資金 19,000 11.5 19,600 11.9 ▲ 600 ▲ 3.1 民間等資金

政府保証付外債 市場公募資金 縁故資金

70,239

― 19,400 50,839

42.5

― 11.7 30.8

67,298 100 16,900 50,298

40.8 0.1 10.2 30.5

2,941

▲ 100 2,500 541

4.4

― 14.8

1.1 合 計 165,239 100.0 164,998 100.0 241 0.1 出所:総務省HP

6 6

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(6)

億ドル 

0 4,000 8,000 12,000 16,000 20,000

1980年  3,990

1985年  8,595

1990年  11,844

1995年  12,935

2000年  15,678 また、米国においては、過去に多くの地方公共

団体が破産に追い込まれたことなどから、米国証 券取引委員会(SEC)の監督下にある自主規制団 体の地方債規則制定委員会(MSRB)0)における ルール整備や情報開示に対する規則の整備が進ん で来ている。因みに1994年に破産したカリフォル ニア州オレンジ郡は、財務情報を正確に開示しな かったため、SECにより不正防止条項に違反する として告訴された最初の自治体である。

情報開示の問題は日本が大きく遅れている分野 でもあり、今後、日本の地方債市場において民間 資金による調達を増加させていく上では、改善が 不可欠なものと言えよう。

!

米国と日本の地方債市場の比較

米国の地方債市場の規模は20年前の約4倍と なっており、特に1980年代の伸びが大きい(図表 6)。その保有構造をみると、1980年には日本と 同様、銀行がトップシェアを持っていたが、現在 では家計及びファンドが約7割を保有するように

なった(図表7)。1986年に行われた租税改革法 によって、金融機関の地方債保有メリットが薄れ、

個人が地方債を保有する場合は利子所得が連邦所 得税法上の非課税所得となり、州・市町村レベル でも非課税となっている場合が多く、個人や投資 信託の資金が大量に地方債市場に流入したためで ある(図表8)。今日の米国の地方債は、一つの 金融商品として市場に根を下ろしており、発行体 の信用力を前提として発行され、格付け等の情報 提供も充実している。また、資金調達コストを引 き下げるために、民間の金融保証会社により信用 補完される場合もある。

一方、日本の地方債市場においては、政府資金 と銀行等縁故資金が主な引受先となっており、市 場公募の占める比率はわずか1割程度にすぎない。

保有構成も8割以上が金融機関等1)であり、家計 の保有率は2%程度である。こういった意味では、

日本の地方債は米国の地方債制度とは異なり、政 府の「暗黙の保証」を前提として発行されて来た ため、一部の進歩的な自治体を除くと金融商品と

10)MSRB:Municipal Securities Rulemaking Boardは、1975年に設立され、米国地方債の引受、売買に従事する証券会社及び銀 行を規制するルールを作るための機関である。

11)ここでの金融機関の区分は、日本銀行「資金循環統計」に基づいている。したがって、金融機関の中には郵便貯金(預金取扱 機関)、簡易保険(保険・年金基金)、財政融資資金(その他金融仲介機関)、政府系金融機関(その他金融仲介機関)などが 含まれる。因みに公的年金については一般政府に含まれる。

図表6 米国の地方債発行残高

出所:「The Bond Market Association HP」により作成

6 7

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(7)

米 国  日 本 

家 計  34.6% 

Funds  35.2% 

保 険  11.1% 

商業銀行  7.1% 

銀行個人  信託財産  6.3% 

その他  5.7% 

家 計  2.0% 

一般政府  3.9% 

事業・公益法人  1.6% 

その他  金融機関 

1.8% 

保険・年金基金  39.0% 

銀行等  27.7% 

郵便貯金  16.7% 

0% 

20% 

40% 

60% 

80% 

100% 

1980年  1985年  1990年  1995年  2000年  37.3 27.0 11.6

10.3 20.2

1.6

9.9

12.4 7.2

11.7 7.3 26.2

40.3

48.5

35.4 34.5 8.4 17.8

30.8 34.5 14.8 14.1 12.2 14.2 11.9

その他  Fund 家計  保険会社  銀行等 

しての認識も未だ薄いようである。

日本と米国では地方財政制度や地方債制度が異 なるため、市場原理の導入により全てを米国のよ うにすべきだとは思わないが、今日のように地方 債残高が膨らんでくると、安定的に資金調達を行 うという意味では、従来からの資金調達方式のみ では非常に心許ない。

今後は、公正自由な市場原理に即した幅広い地 方債資金の調達ができるように市場を育成してい かなければならない。それらが引いては資金を運

用する投資家のためにもなるのではないだろうか。

おわりに

今後、日本における地方債市場の発展のために は、投資家層の拡大を図り、発行・流通市場の厚 みを増すことが重要である。そのためには、投資 家や引受金融機関等にとっては運用利回りの向上、

流動性リスク・引受リスクの軽減やその他ビジネ スチャンスの拡大につながる改革を行う必要があ る。

図表8 米国と日本の地方債保有者構成の比較(2001年12月)

(注) 日本の地方債保有者構成については日本銀行「資金循環統計」の「地方債」のみで構成割合を算出し ている。

出所:連邦準備銀行・日本銀行「Flow of Funds Accounts」により作成

図表7 米国の地方債保有者構成

出所:「The Bond Market Association HP」により作成

6 8

郵政研究所月報 2002.11

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当然のことながら地方公共団体においては、で きる限り有利な条件(発行コスト・資金調達リス クの軽減)で安定的に資金調達が行える市場とな ることが重要である。一方で、本格的な地方分権 に向けたIR活動・情報開示の進展等により自治 体自身の透明性を図る必要性もある。

地方債協会から2002年3月29日に公表された

「平成13年度 地方債に関する調査研究委員会最 終報告書〜地方分権時代における地方債制度の将 来像について〜」において、市場参加者の意見を 採り入れた多くの提言がなされている。これらの 提言を踏まえ、地方公共団体、引受金融機関、投 資家、当局等で早期に改革の進展を図られること を期待したい。

参考文献

地方債協会(2000.8)「アメリカの地方債市場と金融保証の役割」『地方債月報』

地方債協会(2001.2)「本邦初の金融保証専門会社の設立と金融保証業務の将来性等について」『地方 債月報』

地方債協会(2001.4)「米国地方債における地方債保証保険の役割と実務」『地方債月報』

地方債協会(2001.4)「地方公共団体におけるペイオフ解禁への対応方策研究会とりまとめ」『地方債 月報』

地方債協会(2001.5)「時価会計制度導入やペイオフ解禁(予定)に伴う地方公共団体の地方債・預金 等への影響について」『地方債月報』

地方債協会(2001.6)「直接金融時代における自治体の公金運用のあり方について〜米国の実体を踏ま えて〜」『地方債月報』

地方債協会(2001.9)「米国地方債における情報提供活動に関する法的要件と議論」『地方債月報』

地方債協会(2002.4)「平成13年度 地方債に関する調査研究委員会最終報告書〜地方分権時代におけ る地方債制度の将来像について〜」『地方債月報』

地方債協会(2002.5)「我が国の地方債の信用力、デフォルトリスクについての考察」『地方債月報』

地方債協会(2002.5)「市場公募地方債の発行条件決定方式の変更について」『地方債月報』

地方債協会(2001)「地方債統計年報 平成13年版」

地方財務協会(2001)「地方財政統計年報 平成13年版」

地方債制度研究会編(2001)「平成13年度地方債の手引き」!地方財務協会 地方財務協会(2001.3)「平成13年度の地方財政計画について」

地方債協会「地方債をめぐる資金調達のあり方に関する研究会」報告書 総務省編(2002)「地方財政白書 平成14年版」

日本格付投資情報センター編(1999)「地方債格付け」日本経済新聞社 乾智里・磯道真(2000)「地方公共団体は大丈夫か」日本経済新聞社

大寺廣幸(2001)「カリフォルニア州オレンジ郡の破産」『郵政研究所月報№150』

跡田直澄(2001)「郵政事業資金における地方債運用の現状と課題」『郵政研究所月報№159』

(http://www.iptp.go.jp/)

The Bond Market Association HP(http://www.bondmarkets.com/Research/munios.shtml)

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郵政研究所月報 2002.11

(9)

The Association of Financial Guaranty Insurors(AFGI)HP(http://www.afgi.org/)

Municipal Securities Rulemaking Board s(MSRB)HP(http://ww1.msrb.org/msrb1/)

連邦準備銀行HP(http://www.federalreserve.gov/)統計資料 日本格付研究所(JCR)HP(http://www.jcr.co.jp/)

日本格付投資情報センター(R&I)HP(http://www.r―i.co.jp/)

公営企業金融公庫HP(http://www.jfm.go.jp/)

日本銀行HP(http://www.boj.or.jp/)

総務省HP(http://www.soumu.go.jp/)

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参照

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