於; 北九州市 響灘エネルギー産業拠点化推進期成会総会
響灘地区における
エネルギー産業拠点の形成に向けて
- 新しく生まれる7.5兆円市場 -
平成27年7月30日 経済産業省 岩本晃一
内容;
Ⅰ 電力市場改革
Ⅱ 地域経済循環における再生エネの特徴
Ⅲ 洋上風力産業の拠点化の動向 1 世界の洋上風力発電所の事例 2 洋上風力発電所の工程の流れ 3 洋上風力産業の拠点化
4 日本における拠点化の動向 5 欧州における拠点化の動向
Ⅳ 洋上風力のビジネスチャンス
Ⅰ 電力市場改革
発電 → 送配電 → 消費者
欧州の動向 電力系統ネットワーク
2020年欧州海底電力網開発計画(欧州風力エネルギー協会 EWEA )
欧州の動向 電力の潮流制御
日本の電力市場 ・・・ 今後の大きな変化
1 電力自由化
広域潮流制御 発送電分離 小売自由化
2 供給構造の多様化
新しい発電事業者の参入 再生エネの拡大
3 送電事業者の役割の増大
電力系統の増設 変動する再生エネを組み込んだ全系統の潮流制御
4 小売事業者による競争
消費者の選択肢の多様化
出典)資源エネルギー庁
出典)資源エネルギー庁
Ⅱ 地域経済循環における再生エネの特徴
エネルギーを域外から購入
→ エネルギーの自立化
→ エネルギーを域外に販売し付加価値を獲得、
その付加価値を地元に落として雇用創出
デンマークの“ Local and Community based Policy”
デンマークはかつて一次エネルギー供給の90%以上を輸入原油に依存していたため石油危機で大 きな打撃を受けた。そのため省エネと再生エネの推進が国家政策の中核となり、一次エネルギーの 自給率は、2005年は155%を達成し、石油による発電量は全発電量の1.3%(2011年)に低下した。
デンマークは、世界の中で最も早く風力発電の大量導入に成功した国であり、全発電電力量の 27.8%(2011年)を占めるに至っている。1990年代に急速な発展をしたが、その原動力になったのが Local and Community based Policy(1976-2000)と呼ばれる政策である。その考え方は、地域 住民を調整対象者として捉えるのではなく、利益を得る事業主体として位置付け、風力から一定範 囲の住民を事業主体として囲い込み、大きな利益を与えたことである。本政策の大部分の受益者は、
風車設置の土地を提供した農民であった。
地域住民に与えられた利益は以下のとおりであった。
1 発電電力量に比例して与えられる補助金 DKK 0.23/kWh (1981-1991), DKK 0.17/kWh (1992-1999)
2 炭素税の払い戻し DKK 0.10/kWh (1992- )
3 電力市場小売価格の85%に相当するFIT価格 (1984- ) 4 投資の100%の税控除 (1976-1996),部分控除 (1997- ) 5 小型の風車を大型かつ高効率の風車に交換した場合、
初期投資に対する補助金 (1994-1996),又はFIT価格に 上乗せするプレミアム価格 (2001-2004)
6 風車の所有者が優先的に無料で配電(所有者=消費者 のルール)
こうした大きな利益を得られる風車の所有者は、風車の周囲に住む個人又は共同組合に限定され、
「地元所有のルール」(Turbine Ownership Regulation)と呼ばれた。法律には「所有する土地に吹 く風のエネルギーを利用する権利は土地所有者のものである」という条項がある。1979年、風車の所 有者は半径3km以内に住む住民であったが、やがて半径10km以内となり、更に所有者の半数が周 囲に住んでいれば良いなどと順次緩和され、所有者が受ける無料配電も35%以下などと制限が課さ れ、2000年4月にはルールそのものが廃止された。この結果、デンマークは今でも約8割の風車が、
Local and Communityの所有であり、約15万人存在する。
デンマークにおける風力発電容量の推移
200 300 400 500 600 700
1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500
年間設置容量(MW)
累積設置容量(MW)
Ⅲ 洋上風力産業の拠点化の動向
1 世界の洋上風力発電所の事例
London Array 3.6MW 175 =630MW 2013 7
ロンドン・アレー(London Array ) 世界最大の洋上風力発電所
Anholt 3.6MW 110 =400MW 2013 9
アンホルト( Anholt ) デンマーク最大の洋上風力発電所
2 洋上風力発電所の工程の流れ
洋上風力発電所の全体構造
調査 : 風況 環境影響 海流
海底調査
風車の各部品は巨大であるため、導線ロジスティックスを確保しておく必要がある。
Jacket
出典)Tii Group 以下同様
Tripods
Monopiles
Tower &
Gravity
foundatio
ns
Power house
& Hubs
○ 洋上風車のコスト上の特徴は、建設費や維持管理費が高いこと、海底に設置する基 礎が高いこと、である。このコストを如何に低減するか、各社とも知恵を絞っている。
○ このコストは、拠点の状況に大きく左右される
→ 地方自治体による拠点港の作り方が競争力を大きく左右。
競争力のある拠点港は、広い範囲を市場としてカバー可能。
3 洋上風力産業の拠点化
建設工事 維持補修
出荷 点検
海
陸 拠点港 → 加工組立 保管 部品ストック
部品・サービス提供 洋上風力産業の
拠点化のイメージ
洋上風力の拠点となるには(主なポイントのみ) ;
1 洋上風車の市場があること 2 拠点港は、
① 広い土地があること
② 重い部品を置いても崩れない耐荷重性があること
3 部品・サービスを供給する産業集積が後背地にあること
4 産業集積から拠点港までの導線が確保されていること
5 必要な人材がいること
電力料金
洋上風力産業による地域経済循環
4 日本における主な拠点化の動向
石狩湾
秋田
村上
小名浜 北九州 鹿島
多くの海に面している地方自治体において洋上風力開発計画が進行中 ここでは代表的事例を取り上げ
石狩湾新港洋上風力発電事業
ウインド・パワーかみす;
第1洋上風力発電所7基 2MW
第2洋上風力発電所8基 2MW 2013年3月稼働 (茨城県鹿島港護岸から40~50m) 第3洋上風力発電所 計画進行中
株式会社小松崎都市開発
ウインドパワー・エナジー株式会社
鹿島港
風の王国 プロジェクト -風車1000本、秋田の挑戦-
計画の概要
秋田県沿岸と大潟村の民家から離れた場所に大型風車(2400kW級)を合計1000基 設置します。
設置する風車は国産風車とし、その工場も秋田に誘致します。(年産100基) 総事業費は5000億円程度。
企業誘致やエネルギー産業の集積による経済効果のほか、観光産業の活性化も期 待できます。
地域間連携による自然エネルギーの一大供給地としてだけでなく、国産風車をはじめ とした自然エネルギーの輸出拠点としての成長も期待できます。
大規模プロジェクトによる、景観に配慮してコントロールされた風車の設置により、現状 の各社がそれぞれの思惑で設置する乱開発された風力発電群とは違った観光地とし ての効果も期待出来ます。
防風林のある海岸線など民家から充分な距離をとった場所に設置するほか、大型風 車の採用により低周波公害やバードストライクといった風力発電のマイナス部分を低 減させます。
出典)秋田県庁ホームページ
風車1000本。秋田の挑戦。 出典)秋田県庁ホームページ
秋田の風はスゴい
秋田は全国で恵まれた風力発電の 最適地です。
1000本立てよう
海岸線と大潟村の広い干拓地に、国 産の1000本の風力発電の大型風車 を立てます。
工場ができます
1000本ものまとまった数を作るため に風車の工場を誘致することが出来 ます。
世界各国へと輸出される風車の一 大拠点になります。
観光名所になります
美しく並んだ風車は、世界に誇れる 観光名所となります。
電力が安くなる!?
県民参加でファンド化し、電気料金の 優遇を行なえます。
また、豊富な自然エネルギーは企業
秋田はスゴい!!
いち早く、自然エネルギーへと舵を切 る秋田はもうただの地方ではなく、
国内外からの尊敬を集める
新潟県村上市岩船沖 22 万 kW の洋上風力発電
洋上風力発電事業予定者 日立造船を幹事会社とするコンソーシアム
着工2020年4月、運転開始2024年予定 22万kW(5000kW×44基)
1430 240
来賓の方々及びコンソーシアムによるくす玉開花 7MW風車搭載浮体式洋上風力発電設備全景
2015年6月22日「福島復興・浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業」第2期工事の安 全祈願式・披露会が福島県いわき市で開催。
第2期工事では6月初めに小名浜港において7MW風車の建方を浮体上で完成し、試運転 調整後7月初めに7MW風車搭載浮体式風力発電設備は実施海域へ曳航され、すでに設 置されている係留及び送電ケーブルと接続される予定。
福島県小名浜港藤原ふ頭 洋上風力発電製造拠点構想
7MW級の風力発電施設を組立可能な拠点 広さ 32.6ヘクタール
地盤強度補強工事 2トン/㎡→20トン/㎡ 最高235mクレーン設置
整備費用 30億円程度
海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定結果について
平成26年7月15日 内閣官房総合海洋政策本部事務局
都道府県 海域 エネルギーの種類
新潟県 粟島浦村沖 海流(潮流)、波力、浮体 式洋上風力
佐賀県 唐津市 加部島
沖 潮流、浮体式洋上風力
長崎県
五島市 久賀島
沖 潮流
五島市 椛島沖 浮体式洋上風力 西海市 江島・平
島沖 潮流
海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定された海域(6海域)
海洋再生可能エネルギー実証フィールドの追加選定について
平成27年4月3日 総合海洋政策本部事務局 今般、岩手県釜石市沖の海域が、「利用者が見込まれる」との要件に適合することを確 認したため、本日、実証フィールドに追加で選定しましたので、お知らせいたします。
これで我が国の実証フィールドは5県7海域となりました。
都道府県 海域 エネルギーの種類
岩手県 釜石市沖 波力、浮体式洋上風力
5 欧州における拠点化の動向
世界では、総発電量の 22.8 %が再生エネ
(2014年末時点)うち 1 位は水力、 2 位は風力、 3 位はバイオ、 4 位は太陽光となっている。
日本と異なり、世界では風力は太陽光の約 3 倍
世界中で風力が急増中。 2014 年 9 月 22 日時点で 369.6GW
2014 年 9 月 22 日時点で世界の原発は 435 基、 373GW
(日本原子力産業協会)風力は原発の 99 %に達している。今年中にも原発を抜く見込み。
米・中では広大な土地を利用した陸上風力が急増中
E Uでは、洋上風力が急増中
EU 2014年 新設電源 うち79.1%が再生エネ。
1位風力44%、2位太陽光30%、3位石炭12%、
4位ガス9%
設備容量 ; 2014 年末、 2,488 基、 8.05GW がグリッドに接続。
2016 年末、 10.9GW となる見通し。
実績 ; 2013年末、グリッドに接続されている風車は2,080基、5,567MWであったが、2014年に 408基、1,483MWが新たに接続され、2014年末時点で2,488基、8,045MWとなった。
見通し ; 2015~16年に2.9GMWが新しく接続され、10.9GMWとなる見通し。
2020 年見通し 40GW 2030 年見通し 150GW
2014年末 8.05GW
2011年6月30日時点
将来、英独が最大の洋上風力国家
EU全体では計画中まで含めれば141GW設備投資 ; 2014 年は約 42 ~ 59 億 €
各国の開発動向 ;
左 2014 年末累計実績; 英国、デンマーク、ドイツの順に多い 中 2014 年の 1 年間; 英国、ドイツ、ベルギーの順
右 2015 ~ 6 年の予測; 英国、ドイツ、オランダが躍進的に進行
タービン・メーカーの動向 ;
左 2014 末累積実績; 1 位シーメンス、 2 位ベスタス、
右 2014 年の 1 年間; 1 位シーメンスのシェアが拡大した。
シーメンス シーメンス
規模の経済性の追求(1) ; タービン容量の大型化
1基当たりの 2012,13,14 年稼働分の平均は、 4MW, 4MW, 3.7MW と推移。 2015 年もほぼ同程度の見込み。
シーメンス 3.6MW の本格出荷が影響。
規模の経済性の追求(2) ; 発電所設備容量の大規模化 2013 年稼働分は平均 485MW ← ロンドンアレイ 630MW の影響
2014 年稼働分は 368MW
風車の設置場所; より深い海へ、より沿岸から遠くへ
2014 年末累積実績; 平均水深 22.4m 、沿岸から 32.9km
2014 年の 1 年間; 新規グリッド接続分は平均水深 22.4m 、沿岸か
ら 32 . 9km
EWI ( European Wind Initiative ) が、 EU ( European Commission ) 及 び EU 各国と共同で実施する研究開発計画( 2010 – 2015 ) ;
新しいタービン開発では、 10-20MW 機の実証試験、洋上風力技術では、ライフサ
イクルコストの最小化を目指した風車構造の設計、などが盛り込まれている。
European wind Initiative ( EWI ) による
Strategic Energy Technology Plan ; TPWind プロジェクト
開始 ; 2006年10月参加者 ; 産業界、政府、市民団体、研究機関、金融機関、風力関係団体
予算 ; 2010~2020年=60億€ ; 内訳31億€(民間)、18.6億€(EU)、10億€(各国)
EUから提供される資金 6th Framework programme ( FP6 ) WindSec project 7th Framework programme ( FP7 ) TOPWind project
EWIの目標 ;
1 風力分野における欧州の優位性の確保
2 陸上風力は2020年まで、洋上風力は2030年までに他の電源の発電コスト以下 3 2020年までにEUの総電力消費量の20%以上のシェア
4 2020年までにEUにおいて25万人の熟練労働者の新たな雇用を創出 Strategic Research Agenda (SRA ) ;
1 External conditions : climate, waves, and soil 2 Wind turbine systems
3 Grid integration
Mr. Klaus Horstick, the manageing director of Trianel Windkraftwerk Borkum へのインタビューから 出典)WAB Newsletter NO.4 July 2014
同社が北海にて運転開始したBorum West Ⅰ(5MW×40基=200MW) の総投資額が18億ユーロと説明。
○ 単位投資額
1基当たり18億ユーロ÷40基=4500万ユーロ=58.5億円 58.5億円÷50MW=11.7万円/kW
○ 発電原価
年間維持管理費 1.5万円/kW
出典)洋上風力の調達価格のかかる研究会報告書 欧州の調査結果から
10年、20年で投資を回収すると想定(2ケース) 稼働率30%
(11.7万円+1.5万円×10年)÷(24h×365日×10年×0.3)=10.1円/kWh
経済波及効果・雇用効果の発表( 2012 年 4 月)
EWEA ( European Wind Energy Association ) では、風力企業にアンケート調査を行 い、産業連関分析を実施。
雇用創出効果;
2010年 ; 直接雇用と間接雇用で合計238,154人の雇用が創出(実績)
2030年 ; 直接雇用と間接雇用で合計794,079人の雇用が創出(予測)
経済波及効果;
2010年 ; 直接効果と間接効果で合計324.3億€(実績)
2030年 ; 直接効果と間接効果で合計1,732.7億€(予測)
洋上風力産業の拠点化は、地元の中小企業に与える幅広いメリットから、
ドイツの地方政府は地域振興・雇用創出の大きな期待をかけている。
2012年05月28日版 日経ビジネスDigital (抜粋)
「浮体式洋上風力」は第2の自動車産業 産業の裾野広い洋上風力発電
陸上の風力発電設備の製造に必要な部品点数は、約2万点と言われる。これは、ガソ リン自動車の約3万点、電気自動車(EV)の約1万点に匹敵する。洋上になれば、さらに 部品点数は増える。各国政府が洋上風力に力を入れるのは、風力や太陽光発電の陸 上での立地に限界が見え始めたなか、残された再生可能エネルギーのフロンティアとし ての期待とともに、部品や素材など、裾野に幅広い産業を生み出すことを期待している。
間もなく韓国・中国においても洋上風力の本格導入が計画されていることから、韓国・
中国においても拠点港が出現する可能性。
西日本や日本海側の我が国の洋上風力プロジェクトに向けて、韓国・中国の港湾か
ブレーマーハーフェン Bremerhaven
ブレーメン の音楽隊で有名なブ レーメンは、1358年に加盟した ハンザ同盟の港町として栄え、
市庁舎とローラント像は世界遺 産に登録され、今も古い町並み が残り、おしゃれな店が多く、夏 には多くの観光客で賑わう。日 本人観光客は残念ながら少な い。
ブレーメンからウェザー川に 沿って約50km, アウトバーンに のって車で約30分の距離にあ る北海に面した人口11.3万人の 港町がブレーマーハーフェンで ある。
ブレーメン は今でも港湾都市と して栄えている。
ブレーマーハーフェン港を 上空から見たところ。
多くの港湾が自動車出荷 港などに使用されている。
そのうち洋上風力の出荷 港として用いられているのは、
①~⑤である。
③は改修中、④は新しく建 設中であるため、実際に用 いられているのは、①②⑤で ある。
市の経済復興が、‘サクセスストーリー’として報じられている。
経済状況が厳しい北ドイツにおけるブレーマーハーフェンの輝くような実績。
市政府は、2030年までにドイツが北海で進める25GWが、北海全体では2040年までに
4,500基が、ブレーマーハーフェンから出荷可能な市場として見込めるとしている。
事業所売上高計は継続的に増加し、就業者数は売上高にやや遅れて増加開始した。
事業所売上高 就業者数
洋上風車の出荷港として用いている港湾を上空から見たところ。
黄色部分; 北海に面した箇所に新しい港湾OTBの建設が進んでいる。
青色部分; 右側のニーダーザクセン州と共同で一体的な開発を計画。狭い飛行場は 工場用地となり、ジェット機が離発着可能な広い空港が計画されている。
北側の洋上風車の出荷港を上空から見る。後方に風車が建っているが、これは市政府が 風車メーカーの要望に沿って、新しく開発した風車の実証試験サイトを提供したもの。
大手企業がブレーマーハーフェンに進出した背景。
○ 市政府は、各企業を現地に招き、現場を見せ、希望するインフラ内容を丁寧に聞き 取り、希望に沿って開発を実施。たとえば、
- 発電機メーカーは、新しく開発した発電機の実証実験の場所を希望したため、市政 府は港湾の周辺に実証実験の土地を提供。
- AREVAは、工場の拡張計画があり、広い土地を希望したため、Labradorhafenに
あった古い建屋を撤去、地盤沈下対策を施して土地を提供。
- Weser Windは、トライポッドを工場から直ちに海に出荷可能な環境を求めたため、
市政府は線路を敷設し、出荷港近くの土地を提供。
● 北海に面した一帯は、かつての北米大陸への移民の送り出し港であり、海軍 の軍艦Uボート等の建造補修や造船メーカー等に機械部品、電機、プラスチック、
海洋サービス、メンテナンス等を提供していた中小企業の集積が存在。
● それら中小企業が今では洋上風車向け部品・サービスを提供している。
作業員が命綱 だけで作業する こともある。 →
ブレーマーハーフェン大学風力エネルギー学科の講義の様子
フラウンホーファー研究所のローターブレード試験装置
フランホーファー研究所は、10MW機まで対応可能なナセルの試験装置を導入。
ナセルの最大重量は400トンまで対応可能
世界最大級のローターブレード用の風洞実験設備
WABが会員企業を率いて見本市に出展している様子 WINDFORCE 2014, Bremen, 17-19, June 会員向けセミナー 会員による視察ツアー
ブレーマーハーフェンの洋上風力産業クラスターWABの活動の様子 WAB ; Windenergie Agentur Bremerhaven
WABの懇親会
WABは2002年に16社で発足、現在の 約440 会員は約400社
WABが定期的に発行している情報誌
WABのパーテイ
WABの事務局
ブレーマーハーフェン市長 Mr. Melf Grantz による発言
(2012年9月)復興チームを立ち上げてわずか約10年間で、ここまで実績があがったことに、
深い感慨を覚えている様子が伺える。
洋上風力はブレーマーハーフェンにとって決定的 に重要な産業である。この地は巨大な市場が生まれ る新しい産業の地域である。今やブレーマーハー フェンは、洋上風力分野におけるドイツの中心地とし てその名を世間に知らしめている。
ここ数年、我々は失業者が顕著に減り、社会保障 費や税金を納める労働者が増えていく光景を見た。
今年7月、私は Weser Wind’s Family Day Event に招待された。そこで誇りをもって仕事をしている 人々の姿を見た。
スイスのプロノゴス研究所(*)に調査してもらったと ころ、我々の将来は複数のシナリオが想定されるが、
2040年までに7000~14,000人の新しい雇用が生ま れる。
クックスハーフェン Cuxhaven
○ ニーダーザクセン州( Niedersachen, Lower Saxony )クックスハーフェン
( Cuxhaven )は人口 4.9 万人、北海に面する伝統的な港湾都市であり、ドイツ最 大の干潟地帯で、ドイツでも自然風景が残された数少ない一帯。
○ 歴史的に、漁業、水産加工業、海運業が盛んであったが、近年は経済危機 に至ったため、新たな産業として洋上風力による地域経済の復興を期待し、ター ビンと土台の製造、組立、メンテナンスの拠点を目標に、専用港湾の整備、耐荷 重性の道路の整備、企業誘致、実証実験場等を進めている。
○ 2003 年、州政府は同港湾地区を洋上風力の拠点とする旨を決定し、年間 80
基の風車の出荷を目標として EU 、州、市、民間合わせて 1.25 億 € の投資を行い、
2006 年に耐荷重性 90t/ ㎡という類を見ないターミナルⅠが整備され、 70m 長、
600t のガントリークレーンが設置され、大型部材の荷役作業が可能となっている。
○ 最終的に 2 つのターミナルと 4 つのバースを整備するため 4.5 億 € を投資する計 画。面するエルベ川は水深 13.5m ~ 15.8m を確保可能。整備された港湾には、
2007 年に CSC 社( Cuxhaven Steel Construction )、 2008 年には AMBAU 社、
STRABAG Offshore wind 社が進出。ここから洋上風力市場が拡大するアジアへ
も出荷を予定。
○ AMBAU社は同港湾で直径の大きいタワーを製造しており、同市を含めドイツ全体で 850人を雇用。CSC社は同港湾において約120人を雇用、北海で建設中の80基のBARD
Offshore1に向けトリパイル式土台を製造し出荷中。STRABAG社は同港湾内で重力式の
土台の実証実験中。同重力式土台は2012年にAlbatros1向け出荷が認められた。モノパ
イル式はFINO3に出荷済み。クックスハーフェンにおける上記中核3社における2010年時
点の雇用者数は900人(AMBAU 200人、 CSC 200人、STRABAG 500人)、2014年に は1,500人に拡大。
エスビアノ Esbjerg
デンマークにおけるシーメンスの各拠点
デンマークにおけるシーメンス(Siemens Wind Power)の活動 ○ シーメンスは欧州の洋上風力市場で最大シェア
ブレード羽根は Aaborg,Engesvangの工場で作られ、エスビアノ(Esbjerg)や グレノー(Grenaa)の港に運ばれ、北海の開発サイトやアンホルト(Anholt) に向けて出荷
○ シーメンス製タービン使用の洋上風力
■ 欧州最大のロンドン・アレイ;2013年7月運転開始 (3.6MW×175基=630MW)
■ デンマーク最大のアンホルト;2013年9月運転開始 (3.6MW×110基=400MW)
今後、6MW機をDong Energy・丸紅向けに300基(1,800MW)出荷予定 うち 英国ウェエスタモスト・ラフに35基 210MW
○ 2004年から2011年の間に雇用を800人から7,200人に増加
エネルギーメトロポリスを目指すデンマーク・エスビアノ市 デンマーク第5番目の都市7万人
エネルギーの技術、産業クラスター、教育、研究の集積地を目指す。
○ 産業クラスター; 洋上風力産業界、デンマーク風力産業協会(Danish wind Industry Association )、デンマーク再生可能エネルギー洋上風力センター( Offshore Center Denmark Renewable )
○ 教育研究; デンマーク洋上風力アカデミー( Danish Offshore Academy )
○ デンマークで製造された風力タービンの75%は、エスビアノ港から出荷。
○ エスビアノ市でエネルギー分野に従事する者は13,500人(洋上風力分野は2,500人)、
企業は250社、コンサルタントは1,000人。
大企業;Maersk,Ramboll,StimwellServices,ABB,Schumberger,COWI,Atkins
エスビアノ市から30分圏内でグリーン分野に従事可能な労働者は108,000人、60分圏内 では200,000人。
エスビアノ市は、2020年までに25GWが同港から出荷可能なターゲット市場とみている。
市政府は、エスビアノ港の近くに、空港、広大な工場団地、耐荷重性道路、デンマーク最 大のヘリポートを整備した。
デンマーク政府の気候エネルギー省( Ministry of Climate and Energy )は、エスビアノ港 から250km内に実証実験サイトを5ヶ所用意した。
港湾拡張計画は、第一期が2013年第1四半期に終了 65万㎡となった。
第二期は、2016年までに完了し、100万㎡となる予定(下記計画図参照)。
エスビアノ港を含むインフラに6,500万€の投資。
これまでの成果 エスビアノに移転してきた企業数
エスビアノにおいて、耐荷重性の道路、港湾等に投入されたインフラ投資
→ 1億3500万ユーロ(2009~2014年)
28社 25社
これまでの成果 エスビアノで創出された雇用者数
新たに創出された
総雇用者数 1万3500人
グリーンポート・ハル Green Port Hull
● 2014年3月25日、シーメンス発表;
- 英国北東部ハル(Hull)地域に£1.6億(1.9億€)を投入。ABPによる港湾整備費£1.5 億を含めると合計£3.1億を投資。
- ハル地域では、直接雇用で1,000人の新規雇用を創出。建設分野、サービス分野、サ プライチェーンなど間接雇用まで含めると更なる雇用が生まれる。
1 ハル拠点港整備 Green Port Hull ; 450人の新規雇用
- シーメンスは、 6MW洋上風力タービン(SWT-6.0-154)の加工・組立及び サービス施設を整備
- Associated British Ports (ABP)は、£1.5億を投じて拠点港グリーンポート・ハルを 整備
2 ローターブレード工場の建設 ; 550人の新規雇用
- シーメンスは、ポール(Paul in East Riding)に新たに75mのローターブレード工場を 建設
● 拠点港グリーンポート・ハルからの出荷対象となる英国洋上風力市場;
拠点港 グリーンポート・ハル 出典)シーメンス
Ⅳ 洋上風力 のビジネスチャンス
1 風車メーカー 2 地方自治体
洋上風力市場では、まだ本格的な発電所が1ヶ所も設置されていな いにも関わらず、将来の巨大市場を目指し、先に市場に参入した者 勝ちの論理で、実態上の市場分割が進んでいる。
2014年10月28日
V164-8.0MWが風力発電・単機発電量の世界記録を達成 24時間の発電量19万2,000kWh
三菱重工業とデンマークのヴェスタス社(Vestas Wind Systems A/S)の洋上風力発電設備専業合弁会社であるMHI Vestas Offshore Wind A/S(MHIヴェスタス)は、定格出力8,000kWの風 力発電試験機である「V164-8.0MW」プロトタイプ機を用いて、24 時間で19万2,000kWhの発電を記録しました。1基の風力発電設 備が1日に達成した発電量としては世界最高で、V164-8.0MWの 優れた性能を証明したものといえます。
V164-8.0MWは現在、型式認定取得を目指している世界最大の風力発電設備です。今回の世界記録は、
デンマーク北部ウスタイル(Østerild)試験場において、10月6日から7日にかけての24時間に実施された陸上 実証運転で達成されたもので、その発電量は、同試験場近郊の都市ティステッド(Thisted)の1日の電力需要 を賄うに十分なものとなりました。
なお、この発電データは、ウスタイル試験場を所有するデンマーク技術大学(Denmark’s Technical University:DTU)により計測されたものです。
MHIヴェスタスのJens Tommerup(イェンス・トムラップ)CEOは、次のように述べました。「今回の記録は、
V164-8.0MWの能力が十分に発揮された結果であり、技術の質の高さを裏打ちするとともに、試験チームの
□V164-8.0MW仕様 定格出力:8,000kW 翼長:80m
受風面積:21,124m2
ナセル体格:全長24m×全幅12m×全高 7.5m
ナセル重量:約390t
ハブ高:約105m(プロトタイプ140m) 全高:約187m(プロトタイプ220m)
世界最大8MWの商業風力発電機
2015年5月19日
洋上風力発電設備V112-3.45を116基受注
総出力40万kWのランピオン・プロジェクト向けに過去最大規模
三菱重工業とデンマークのヴェスタス社(Vestas Wind Systems A/S)の洋上風力発電設備専業合弁会社であるMHI Vestas Offshore Wind A/S(MHIヴェスタス)は、欧州最大級のエネルギー企業であるE.ON(エーオン)が英国で進める ランピオン洋上ウインドファーム(The Rampion Offshore Wind Farm)プロジェクト向けに、出力3,450kWの洋上風力 発電設備V112-3.45を116基受注し、併せて、保守サービス契約も締結しました。総出力40万kWに達する超大型の 洋上ウインドファームを支える設備で、これだけ大規模な洋上風力発電設備の受注は今回が初めてです。
ランピオン洋上ウインドファームは、イングランド南東部サセックス州(Sussex)沿岸から13km沖合に立地されるも ので、その規模は、MHIヴェスタス社および前身のヴェスタス社の20年超の歴史において最大のプロジェクトとなり ます。また、英国政府主導で進められている大規模洋上風力発電プロジェクト「Round3」の最初の取り組みの一つ となるもので、運転開始後は、29万の英国世帯に必要な電力を供給するとともに、年間60万トンに達するCO2を削減 することが見込まれています。
今回供給するのは、MHIヴェスタスの持つ洋上風力発電設備V112-3.3(3,300kW)をアップグレードしたV112-3.45 です。2017年度第1四半期から据付を開始し、2018年に試運転を完了する計画です。
E.ON Climate & RenewablesのMichael Lewis(マイケル・ルイス)COOは、次のように述べています。
「MHI ヴェスタスがこの素晴らしいプロジェクトの契約者となったことを大変喜ばしく思います。彼らは私たちと協力し
、このプロジェクトに最適化された、出力 3,450kWのV112と柔軟な保守サービスにより、高効率な運転を実現するこ とを可能として、発電コストを低減してくれました。」
ニュースリリース
2015年3月24日 株式会社日立製作所 日立キャピタル株式会社
5MWダウンウィンド風力発電システム「HTW5.0-126」初号機の建設が完了
型番 HTW5.0-126
定格出力 5MW(5,000kW)
ローター直径 126m ハブ高さ 約90m ブレード枚数 3枚
ローター位置 ダウンウィンド
ヨー制御 通常運転時:アクティブ制御 暴風停電時:フリーヨー 発電機種別 永久磁石同期発電機 カットイン風速 4m/s
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、2012年7月より開発に着手し、
2014年5月より茨城県神栖市沿岸の陸上に建設を開始していた5MWダウンウィンド風力発電システム「HTW5.0- 126」初号機の建設を完了しました。今後、試運転、パワーカーブ*1などの検証・評価を経て、2015年夏に、日立キャピ タル株式会社(執行役社長:三浦 和哉/以下、日立キャピタル)と日立の共同出資会社である日立ウィンドパワー株式 会社(取締役社長:片岡淳)に納入し、「鹿島港深芝風力発電所」として商用運転が開始される予定です。
今回建設を完了した「HTW5.0-126」は、今後建設が見込まれる洋上風力発電所に向けた大型化ニーズに対応したも ので、従来製品である2MW級風力発電システムと比較して、定格出力が約2.5倍の5MW、ローター直径が約1.5倍の 126mとなる風力発電システムです。
従来製品と同様に、ローターを風下側 に配置する日立独自のダウンウィンド 方式であり、暴風時にもローターが横 風を受けない向きを保持し、風荷重を 低減す ることが特長です。また、新た に開発した永久磁石同期発電機と中速 増速機を組み合わせることで、出力に 対してシステム全体の軽量・コンパクト 化と信頼性の向上を図っています。こ れにより、基礎工事や浮体工事の費用 低減*2や、より高い安全性が期待でき ます。 また、ナセルを効率的に冷却す る構造と、スリムで景観に配慮したデザ イン性の両立が高く評価され、公益財
1 自ら発電事業者となること 2 発電事業に投資すること
3 EPCへの納入企業となること(第一次、第二次・・・)
発電事業者
一括受注
EPC Engineering Procurement
Construction 調達 外注
3 中小企業にとってのビジネスチャンス
詳しくは下記をご覧下さい。
1 平成25年6月27日、北九州市でのシンポジウム「洋上風力産業による港湾都市ドイツ・ブレーマーハーフェンの 経済復興成功物語」(岩本晃一) NEDO-HP「北九州市・NEDO洋上風力発電シンポジウム」開催レポート 2 洋上風力の産業集積化による地域振興・雇用創出-洋上風力の拠点港の整備-
平成 年 月 日 経済産業省 岩本晃一
ご静聴有り難うございました。