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小児期に発症したカロリ病の成人例全国調査にむけて

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)

分担研究報告書

   

小児期に発症したカロリ病の成人例全国調査にむけて 

研究分担者   

工藤豊一郎  水戸済生会総合病院小児科主任部長  玉井  浩    大阪医科大学大学小児科教授  乾あやの  済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科部長 

研究要旨 

カロリ(Caroli)病の病態は繊毛病として理解され始めているが、稀少であるため 調査が進んでいない。ことに ARPKD 以外のカロリ(Caroli)病に関する疫学調査は、

小児領域に関する先行研究のみであった。今回滝川班(難治性の肝・胆道疾患に関 する調査研究、H29‑難治等(難)‑一般‑038)のご協力により成人領域を含めた調 査が進行している。 

調査結果をふまえながら診療指針案を策定しつつあり、今後関係学会のコンセン サス形成を進める。 

A.研究目的 

  カロリ(Caroli)病は先天性の肝内胆管拡張症 であり、肉眼で多発性・分節状・嚢状の拡張を みるものを指す(Suchy らによる)。 

  病因は、狭義の先天性胆道拡張症が膵胆管合 流異常に由来すると考えられるのに対し、本症 は 原 始 胆 管 板 の 形 成 不 全 (ductal  plate  malformation) が 関 係 す る と さ れ る 。 ま た 、 fibrocystic disease に関する分子機序の解明 が進み、本症には一次繊毛の機能異常が関与す ると推定されつつある。 

  欧 米 で は 先 天 性 肝 線 維 症 を 伴 う も の を Caroli syndrome とし、Caroli disease はほか に肝病変のないものをさす。腎のう胞など他臓 器病変を伴い fibrocystic disease を呈する例 が多い。 

  本邦では Caroli syndrome が広く知られて おらず、ほとんどはカロリ(Caroli)病として記

載されている。本症の稀少性を反映した現状と 思 わ れ 、 し ば し ば 常 染 色 体 劣 性 多 発 嚢 胞 腎 (ARPKD)の胆管病変がカロリ病とされている。 

  ARPKD 以外のカロリ(Caroli)病に関する疫学 調査はほとんどなく、小児慢性特定疾患(旧制 度)の「肝内胆管拡張症」申請数で推測される 程度にとどまっていた。 

先行研究(小児期発症の希少難治性肝胆膵疾 患における包括的な診断・治療ガイドライン作 成に関する研究、H26‑難治等(難)‑一般‑082)

では小児に対しての全国調査で下記の結果が得 られている。 

  非 ARPKD4 例が報告され、ARPKD8 例との対比 において、症状(不明熱・上腹部痛・肝腫大・

吐血・下血・その他)や予後に明らかな差はみ られなかった。非 ARPKD の 1 例で腎移植を要し ており、合併症に注意を要すると思われた。 

これに対し、成人期の報告では肺高血圧症、

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63 肝肺症候群を呈している例もあるなど、長期予 後を明らかにする必要がある。今回は成人を対 象とした調査について滝川班のご協力をいただ いた。 

  あわせて本症の診療指針案をまとめ、関係学 会で合意形成を図る基礎とした。 

 

B.研究方法  1.一次アンケート 

滝川班(難治性の肝・胆道疾患に関する調査 研究、H29‑難治等(難)‑一般‑038)のご協力に より一次調査が行われた。日本肝臓学会役員・

評議員、日本小児栄養消化器肝臓学会役員・運 営委員、日本小児外科学会進呈施設・教育関連 施設、日本肝胆膵学会高度技能専門医修練施設 の国内 636 施設に質問状を送り、532 施設から 回答があった。 

 

2.二次アンケート 

  一次アンケートで対象疾患「有」の回答で、

二次アンケートへの協力を了解した施設に対し、

以下の項目について二次アンケートへの協力を 滝川班のご協力のもとに依頼した。 

 

・基礎情報現在の年齢、性別、身長、体重、結 婚の有無、就業・就学状況  疾患が原因で就業・

就学に困難がある、「女性」の場合(月経周期、

妊娠の有無、出産の有無、お子さんの人数、出 産年齢、周産期トラブルの有無、妊娠中絶、流 産、死産、肝酵素上昇(基準値上限の 1.5 倍以 上), 胆管炎, 門脈圧亢進症) 

(以上は全疾患共通の質問) 

 

本症については、小児期の二次アンケートに合 わせ下記のように依頼した。 

・嚢胞の多発性の確認 

・肝内結石の有無 

・既知の疾患の除外(ARPKD, ADPKD, ネフロン 癆, その他) 

・肝腎以外の病変の有無 

・胆管炎既往の有無 

・肝線維症合併の有無 

・予防的抗菌薬投与の有無 

・肝切除術の既往の有無 

・肝移植の有無、再移植の有無 

・PTCD 治療歴の有無 

・ERCP(検査または治療)歴の有無 

・胃または食道静脈瘤治療の有無 

・脾摘の有無 

・部分的脾動脈塞栓術の有無 

・門脈体循環シャント手術の有無(TIPS を含む) 

・食道離断術あるいは血行郭清術の有無 

・発がんの有無 

・黄疸の有無 

・脾機能亢進症、肝肺症候群、門脈肺高血圧症、

肝性脳症その他の有無 

・(移植例で)移植合併症の有無   

3.診療の手引き(案)策定    別紙の通り。 

 

C.研究結果 

1.および 2.一次および二次アンケートの状況  一次調査では本疾患に関して 23 施設から存 在するとの返信があった。 

二次調査の集計はいまなお進行中である。 

 

3. 診療の手引き(案) 

  別紙の案を関係学会に諮り策定する方向で検 討している。 

 

D.考察 

  本症は緩慢に進行するとされ、合併症も緩慢 に発症する可能性がある。どの程度の介入をす

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64 べきかいまだ明確にされていない。今後早期発 見されるよう啓蒙のため研究を継続する必要が あると思われた。 

 

E.結論 

  ARPKD 以外のカロリ病はきわめて希少であり、

調査を継続する必要がある。 

 

F.健康危険情報  特になし。 

 

G.研究発表  1.論文発表  該当なし  2.学会発表  該当なし   

H.知的財産権の出願・登録状況 

(予定を含む。) 

1.  特許取得    なし  2.  実用新案登録  なし  3.  その他 

 

参考資料 

1) 工藤豊一郎  各論 12‑12‑23 先天性多発肝 内胆管拡張症(カロリ(Caroli)病).小児慢性特 定疾病診断の手引き p.885‑886. 2016.診断と 治療社. 

(https://www.shouman.jp/disease/details/1 2̲12̲023/) 

2) 工藤豊一郎.16  Caroli 病、先天性肝線維 症.日本小児栄養消化器肝臓学会編  小児栄養 消化器肝臓病学. p.445‑448. 2014.診断と治療 社. 

参照

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