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レビー小体病バイオリソース構築

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Academic year: 2021

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191

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)

神経変性疾患領域における調査研究班  (分担)研究報告書

レビー小体病バイオリソース構築

研究分担者  村山繁雄

1

報告者氏名  仙石錬平

1

、金丸和富

2)

、中野雄太

3)

、高田忠幸

4)

、金田大太

1)

、藤ヶ﨑純 子

4)

, 、齊藤祐子

5)

1) 東京都健康長寿医療センター1)神経内科、2)脳卒中科、3)バイオリソースセンター、

4) テーマ神経病理

5) 国立精神・神経医療研究センター病院臨床検査部

A.研究目的

レビー小体病は、レビー小体病理を基盤とする 錐体外路症状、認知症状、自律神経症状を三大中 核症状とする。高齢者コホートにおいてはこれら がpreclinical、prodromal、symptomaticのステ ージで存在することが、連続剖検例の検討より明 かである。今回レビー小体病リソース構築の試み を報告する。

B.研究方法

当施設受診運動・認知障害を呈する症例に同意 の元、以下の検討を加えた。外来診療において、

画像診断としては、MRI(含嗅球体積測定)、MIBG 心筋シンチを必須とし、脳血流シンチ、DAT scan を選択検査とした。レビー小体病疑い例にはパス 入 院 で 、UPDRS、 嗅 覚 検 査 、 神 経 心 理 検 査

( MMSE/ HDRS/ Rivermead Behavioral Memory Test/ FAB/ GDS)、Tiltテスト、リハビ

リ科による歩行機能評価を行った。また髄液バイ オマーカー(タウ・リン酸化タウ・アミロイドβ 蛋白・HIV・5HIAA)・血清apoE4 phenotypeを

測定し、残髄液・血清を包括研究同意によりリソ ース化を行った。

髄液は一般検査に加え、アルツハイマーバイオ マーカーとしてのタウ、リン酸化タウ、アミロイ ドβ蛋白1-42に加え、HVA、5HIAAを機能マー カーとして測定した。

自 律 神 経 障 害 が 前 景 に 出 て い る 症 例 か つ MIBG心筋シンチ低下、嗅覚検査以上、発汗試験 異常が確認出来た症例には皮膚生検により、末梢 自律神経系に免疫組織学的にαシヌクレインが 沈着しているかどうかの有無を確認した。神経病 理専門医と、ブラインド下に病理専門医の診断を 問い、両者が一致する場合はOKとし、両者がく いちがう場合、主任研究者が最終判断を行った。

研究要旨(10〜12ポイント程度)400字程度

  在宅高齢者救急支援総合センターである東京都健康長寿医療センターで、レビー小体病リソース構 築を試みた。認知症・パーキンソン病パス入院時、髄液バイオマーカー測定残検体・血清apoE4多型 決定後の残血清を包括研究同意の下に蓄積した。診断には嗅覚検査、神経心理検査、UPDRS、MRI、

MIBG心筋シンチ、DAT scan、脳血流シンチを適宜加えた。自律神経不全症が前景に出ている場合、

皮膚生検による α シヌクレイン沈着の確認を行った。これら症例の縦断追跡を試み、ブレインバンク ドナー登録コーディネーションを行った。患者死亡時開頭剖検・ブレインバンク登録を行う努力を行っ た。現在まで、パス入院で髄液測定例は累積3,427例、今年度4月からは138例であった。ブレイン バンク総登録例は1,130例で、今年度登録例は48例であった。これらのデータは認知症・運動機能障 害でのレビー小体病理の疫学に貢献すると考える。(399字)

(2)

 

       

192 既往外科手術歴がある場合、手術検体へのαシ ヌクレイン沈着の有無を同様に検討した。

また開頭剖検例全例に対して中枢神経系・末梢 自律神経系を抗リン酸化αシヌクレイン抗体免 疫染色でスクリーニングし、他の変性型蓄積蛋白 と同時に検討することで、プロファイルを作製し た。この結果として、レビー小体病リソースを構 築した。

パーキンソン症状としての寡動、姿勢反射障害、

安静時振戦のいずれか、嗅覚機能低下、MIBG心 筋シンチグラフィー・DAT scanのいずれかの低

下、髄液HVA、5HIAAのいずれかの低下を満た

すものをレビー小体病疑い例とし、組織学的にα シヌクレイン沈着を認める例をほぼ確実例、剖検 で神経病理学的に確認した例を確実例とした。

  疑い・ほぼ確実例については髄液1.5mlアリコ ット4本、血清1mlをリソースとして蓄積した。

  確実例については、スライスした半脳、交感神 経節、胃・食道移行部を凍結組織リソースとして 構築した。

C.研究結果

認知症・パーキンソン病パス入院で髄液バイオ マーカー測定を行い、残検体を蓄積できた症例数 は今年度4月から 138例、累積3427 例である。

今年度疑い例6例、ほぼ確実例2例、確実例16 例であった。疑い例1例は皮膚生検で陽性が確認 できなかった症例で、これまでで初めてのことで ある。

確実例中運動・認知機能障害を呈した症例は 4 例であった。

D.考察

レビー小体病理は高齢者のベースを形成する 点で、アルツハイマー病理についで頻度が高い。

抗リン酸化αシヌクレイン抗体免疫染色により 特異度・感度ともに良好な状況でスクリーニング が行うことが可能となっている。

現在変性疾患蛋白伝搬仮説が提出されており、

αシヌクレインはプリオンとしての性質を全て

満たすと Prusiner が強調している。複数の異常

蛋白が体内で進展している過程が同時進行して いるのが高齢者の変性型老化病理であるとの観 点が必要である。この中で、レビー小体病理だけ が末梢神経系にも拡がる独自性を持つ。その意味 で内科的管理が重要である点は言うまでもない。

一方死後脳だけのリソース構築では不十分で、全 身剖検を前提に、末梢自律神経系のリソース化も 重要である。特にアルツハイマー病で問題となっ ているpreclinical、prodromalのレベルでのリソ ース構築にはコホートリソースをベースにする ことが必須である。かつ全身剖検を前提にしない と、疾患の全体像を捉えることが困難である。

我々のところは在宅高齢者支援総合救急病院 であり、剖検例はコホート全体を代表すること、

開頭剖検を得る努力の結果 70%の開頭率である こと、さらに全身剖検が前提にあることより、レ ビー小体病確実例のリソース構築システムとし ては本邦では唯一であり、国際的にもSun Cityの みが同様のシステム構築を行っている。ただSun City は神経病理専門医一人が全身病理も担当し ているのに対し、我々の施設は4人の病理専門医 がいること、神経病理診断も4人の専門医が担当 していることで、優位性を持つ。

一方髄液を用いた診断として、髄液αシヌクレ インの定量は有意差は出るが重なりが多く、現時 点で診断には役に立たない。またRT- QUICによ る検出も特異度・感度が低く、現時点での実用性 はない。ただ、サロゲートバイオマーカーとして は、髄液の持つ意味が重要であることはADの経 験からも明かである。しかし剖検まで待っている と症例数が少なく、かつ探索的研究への供与が難 しい。

  我々の試みは、これらの問題点の克服を目指 したもので、今後更に蓄積を継続する予定であ る。

E.結論

レビー小体病疑い・ほぼ確実例の髄液・血清、

確実例の血清・凍結半脳・末梢自律神経系をリソ ースとして構築し、レビー小体病の克服に向ける

(3)

 

       

193 努力を継続した。 

F.健康危険情報 特記事項なし。

G.研究発表

(発表雑誌名巻号・頁・発行年なども記入)

1. 論文発表

Saito Y, Shioya A, Sano T, Sumikura H, Murata M, Murayama S: Lewy body pathology involves the olfactory cells in Parkinson's disease and related disorders. Mov Disord 2016, 31:135-8.

2. 学会発表

Murayama, S., Sengoku, R., Kaneda D., Kanamearu, K., Fujigasakai, J., Saito, Y.: The establishement of Brain Bank- Bio Bank for Aging Research, Tokyo, Japan. 92nd American Association of Neuropathologists. Baltimore USA.

2016.6.16-19

H.知的所有権の取得状況(予定を含む)

1.特許取得 なし。

2. 実用新案登録 なし。

3.その他 なし。

参照

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