6/21 No. 1
量子ビーム基礎
6 月 7 日 レーザーとは・レーザーの原理 6 月 21 日 レーザー光と物質の相互作用 6 月 28 日 レーザーの生体組織への影響 7 月 12 日 レーザーの応用
参考書:霜田光一著「レーザー物理入門」岩波書店
M. Niemz, “Laser-Tissue Interactions,” Springer
石川顕一
6/21 No. 2
2準位原子とレーザー光の相互作用 第1章
(コヒーレント相互作用)
•
半古典的記述
–
原子は量子力学的に取り扱う。
–
コヒーレントな光(レーザー光)は古典的
電磁波として取り扱う。
6/21 No. 3
時間に依存する
シュレーディンガー方程式
相互作用項
VIがない場合
€
ψn(r,t) =ϕn(r)e−iωnt
€
ωn = εn h
遷移振動数(共鳴振動数)
€
hω0 =ε2 −ε1
€
hω0
€
ε2
€
ε1
2準位系
€
C2 2
€
C12
€
ih∂ψ
∂t = − h2
2m ∇2ψ(r,t) +V0(r)ψ(r,t) +VI(r,t)ψ(r,t) =[H0 +VI(r,t)]ψ(r,t)
相互作用(レー ザーの効果)
原子のポテンシャル
€
H0ϕn(r) =εnϕn(r)
6/21 No. 4
2準位系
€
hω0
€
ε2
€
ε1
2準位系
2準位系
光の振動数が
0に近いときは、
放射過程に関与するのは選ばれた 二つの原子状態のみ。
€
ψ(r,t) =C1(t)ψ1(r,t) +C2(t)ψ2(r,t) €
C2 2
€
C12
€
ih∂ψ
∂t = [H0 +VI(r,t)]ψ(r,t)
ポピュレーション
€
C1(t)2 + C2(t)2 =1
€
ih ∂C1
∂t ψ1+∂C2
∂t ψ2
⎛
⎝⎜ ⎞
⎠⎟=VI(C1ψ1+C2ψ2)
€
ψ1∗,ψ2∗
を左からかけて空間積分
€
ih∂C1
∂t =C1V11+C2V12e−iω0t
€
Vij = i VI j = ∫ ϕi∗VIϕ jd3r
€
ih∂C2
∂t = C1eiω0tV21+C2V22
6/21 No. 5
相互作用項
x
y z
€
E0cos(ky−ωt)
€
H0cos(ky−ωt)
k r
€
k = 2π
波数
λ波長 ( 数百ナノメートル程 度 )
€
y<<λ
€
ky<<1
€
E0cos(ky−ωt)
€
E0 cosωt
長波長近似
€
VI = ezE0 cosωt
電気双極子近似 レーザー光の電場
€
E0 cos(ky−ωt)
y 〜 オングストローム程度
6/21 No. 6
2準位系+電気双極子近似
€
Vij = i VI j = ∫ ϕi∗VIϕ jd3r = cosωt zE∫ 0ϕi∗ϕ jd3r = Xij cosωt
€
X11 = X22 = 0
€
i∂C1
∂t = 2γC2e−iω0t cosωt
€
i∂C2
∂t = 2γC1eiω0t cosωt
€
i∂C1
∂t =γC2[ei ω−ω( 0)t +e−i ω+( ω0)t]
€
i∂C2
∂t =γC1[ei ω+ω( 0)t +e−i ω−ω( 0)t]
€
X12 = X21 = 2hγ(実数)
6/21 No. 7
回転波近似
回転波近似
€
i∂C1
∂t =γC2[ei ω−ω( 0)t +e−i ω+ω( 0)t]
€
i∂C2
∂t = γC1[ei ω+ω( 0)t +e−i ω−ω( 0)t]
€
i∂C1
∂t =γei ω−ω( 0)tC2
€
i∂C2
∂t =γe−i ω−ω( 0)tC1
初期条件
€
C1 =1, C2 = 0
€
C1(t) = cosΩt −i ω( −ω0)
2Ω sinΩt
⎛
⎝⎜ ⎞
⎠⎟exp i
2(ω−ω0)t
⎡
⎣⎢ ⎤
⎦⎥
€
C2(t) = −iγ
ΩsinΩtexp − i
2(ω−ω0)t
⎡
⎣⎢ ⎤
⎦⎥
€
Ω= γ2 +(ω−ω0)2 4
€
hω0
€
ε2
€
ε1
€
C2 2
€
C12
6/21 No. 8
ラビ振動
€
C2(t)2 = γ2
Ω2 sin2Ωt
€
C1(t)2 =1− C2(t)2
ポピュレーション
€
ω =ω0
€
ω −ω0 = 0.92γ
€
γ t
€
γ t
€
γ t
€
C1(t)2
€
C2(t)2
€
ω −ω0 = 3.5γ
吸収 放出 吸収 放出 吸収放出サイクル
€
Ω= γ2 +(ω−ω0)2 4
6/21 No. 9
第2章 光と物質
•
反射と屈折
•
吸収
•
散乱
散乱 反射 吸収
入射光
透過光
6/21 No. 10
反射と屈折
誘電体
€
n = c
v = με μ0ε0
+ r
+
−−
E
電気双極子能率
€
p= αE
€
α
電気分極率
€
D =εE =ε0E +P
€
D=ε0E
€
P = Np = NαE
€
ε =ε0(1+ χ)
€
χ
電気感受率
€
χ = Nα ε0
屈折率
通常
€
μ =μ0
€
n = ε
ε0 ≅1+ Nα 2ε0
6/21 No. 11 反射光
入射光
n n’
屈折光
反射角は入射角に等しい
€
θ = θ′′
スネル (Snell) の法則
€
nsinθ = ′ n sin ′ θ
€
θ
€
′′ θ
€
′
フレネル (Fresnel) の法則
θ€
n = με
μ0ε0 = c με
€
v = c/n
z
€
z = 0
s偏光
p偏光
境界での連続性
• D と Bの法線成分
• E と H の接線成分
€
E
€
′′ E
€
E ′
€
′′ E s
Es = −sin(θ − ′ θ ) sin(θ + ′ θ )
€
′′ E p
Ep = tan(θ − ′ θ ) tan(θ + ′ θ )
s偏光 p偏光
6/21 No. 12
反射と屈折
€
Rs = E ′ ′ s Es
⎛
⎝⎜ ⎞
⎠⎟
2
= sin2(θ − ′ θ ) sin2(θ + ′ θ )
€
Rp = E ′ ′ p Ep
⎛
⎝⎜ ⎞
⎠⎟
2
= tan2(θ − ′ θ ) tan2(θ + ′ θ ) s偏光
p偏光
反射率
ブリュースター角
€
θ + θ′=π /2 即ち
€
tanθ = ′ n /n
水の反射率 vs 入射角
€
Rs > Rp
•
s波の反射率 > p波の反射率
•
p波には反射が全くない特別な
入射角(ブリュースター角)が
ある。
6/21 No. 13
光の吸収 (absorption)
光の吸収は
•
構成原子分子の電子構造
•
光の波長
•
吸収層の厚さ
•
媒質の温度・密度 に依存する。
入射光 透過光
吸収
入射光のエネルギーは、熱運動
や分子振動に変換される。 Lambert-Beer の法則
6/21 No. 14
Lambert-Beer の法則
z z+dz I(z) I(z+dz)
dz 十分薄い厚さ dz
の層による吸収
•
強度
I(z)に比例
• dz
に比例
€
I(z) −I(z+dz) =αI(z)dz
€
dI(z)
dz = −αI(z)
€
I(z) = I0 exp(−αz) または
€
I(z) = I0 exp(−z/L)
:吸収係数
L = 1/:吸収長
透過光の強度が入射光の
1/eになるような媒質の厚さ
6/21 No. 15
水の屈折率と吸収係数
•
可視光領域では水の屈折率は、およそ 1.33 。
•
可視光領域では波長にあまり依存しないが、重要。
可視光領域
図:水の分散関係
図:水の吸収係数 正常分散
異常分散
6/21 No. 16
生体組織による光の吸収
生体組織に関しては、吸収は主に、
• 水分子:赤外線領域
• タンパク質や色素等の高分子:可視光・紫外線領域
• 600nm 〜 1200nm: 高分子も水も吸収が小さい(治療の窓)
メラニン
ヘモグロビン
皮膚
大動脈壁 角膜
角膜と水晶体は可視光に対して透 明だが、赤外に強い吸収を持つ。
カットオフ
@280nm :タンパク質
400nm から600nmでの複雑 なバンド構造
→生体分子の一般的傾向
似ている
クリプトンイオンレーザー (531nm,568nm)
→ 血液や血管の凝固
6/21 No. 17
光の散乱 (scattering)
光の散乱
弾性散乱
入射光の波長=散乱光の波長
レイリー散乱 ミー散乱
粒子サイズ<波長
粒子サイズ>波長 例:血球
非弾性散乱
入射光の波長=散乱光の波長
ブリルアン散乱
入射光 透過光
散乱
散乱によるレーザー光の減衰は、吸収に対す る Lambert-Beer 則と同じ形の式で表される。
€
I(z) = I0 exp −α( sz)
€
αs : 散乱係数
音波が介在
ラマン散乱
光子振動が介在6/21 No. 18
レイリー散乱
•
光の波長より十分小さいサイズの粒子
(原子・分子)による弾性散乱
•
厳密な導出:量子光学 ( 放射場の量子 化 )
–
ラウドン「光の量子論」(内田老鶴圃)
•
古典電磁気学による導出 (1871 年 )
6/21 No. 19
レイリー散乱
レイリー散乱の法則
光の電場
散乱原子密度
€
p= αE
€
pe−iωt =αEe−iωt
€
Ee−iωt
€
I = 1
2cε02E2
振動する電気双極子
電磁波を発生(放射) 散乱光 放射される電磁波のパワー
€
Ws = p2ω4μ0 12πc
€
αs = NWs
I = 8π 3Nα2
3λ4ε02 = 32π 3
3λ4N (n−1)2
6/21 No. 20
レイリー散乱
レイリー散乱の法則
波長 散乱原子密度
€
αs ∝ 1 λ4
赤い光と青い光とでは、散乱
強度が大きく異なる。空は青い。
夕焼けは赤い。
(レイリー卿、
1871 年)€
αs = NWs
I = 8π 3Nα2
3λ4ε02 = 32π 3
3λ4N (n−1)2
屈折率
6/21 No. 21
自己収束(非線形光学効果)
レーザー光の強度
Iが高い場合、
€
n = n0 +n2I
光カー (Kerr) 効果 一般に
€
n2 > 0
中心部で強度大 中心部で屈折率大 凸レンズと同じ効果