論文内容要旨
論文題名
The effects of viscosity of oral moisturizers and residual ridge form on the retention force of maxillary complete dentures
(口腔保湿剤の粘度と顎堤形態が上顎全部床義歯の維持力に及ぼす影響)
掲載雑誌名
Gerodontology (投稿中)
専攻分野(科目)高齢者歯科学 氏名 髙山真里
内容要旨
【目的】
超高齢社会を迎え,難症例の全部床義歯装着患者が増加傾向にある.その 原因として,口腔乾燥症や高度な顎堤吸収が挙げられ,義歯の維持が困難 になる場合が多い.義歯安定剤を使用する患者も多いと推測されるが,除 去が困難で細菌の温床となる可能性がある.そこで代用として,口腔保湿 剤(以下,保湿剤)の使用を推奨することがある.今回,実際に患者が使 用している上顎全部床義歯(以下,義歯)を用いて,保湿剤の粘度と顎堤 の形態が義歯の維持力に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】
被験者は
35
名の義歯装着者とし,義歯と粘膜面間に,人工唾液・粘度 の異なる保湿剤(3 種類)を介在させた.デジタルプッシュプルゲージ®を 用いて左右中切歯切縁の中間部を斜め45°外側に牽引し,義歯が離脱し
た時の荷重量を維持力とした.さらに複製義歯を製作し,中切歯切縁・前 歯部歯槽頂・義歯後縁の位置関係・臼歯部顎堤の形態を測定し,維持力と 比較した.統計学的分析は,Shapiro-Wilk
検定行った後,6
条件における 維持力の平均値においては,Friedmanの検定で分散分析後,多重比較検定は
Bonferroni
の方法を用いた.臼歯部の顎堤高さ・形態については,Levene
検定と1
元配置分散分析あるいはKruskal-Waillis
検定を行った.中切歯切縁・前歯部歯槽頂・義歯後縁の位置関係と維持力の関係は,
Spearman
の順位相関分析を用いた.【結果】
粘度の高いジェルタイプの口腔保湿剤を介在液とした義歯の維持力は,粘 度の低いスプレー・リキッドタイプより大きくなった(p<0.05).臼歯部顎 堤の形態と維持力に関係性は認めらなかった(p<0.05).前歯部歯槽頂が相 対的に後方である程,維持力は小さくなった (r =-0.352,
p<0.01).臼
歯部顎堤の形態は,維持力と関係しなかった.【考察】
無歯顎者の口腔内において,口腔保湿剤の粘度が大きくなるに従い,義歯 の維持力も大きくなるが, 臼歯部顎堤の形態ではなく,前歯部歯槽頂の 相対的な位置が関係することが示された.