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抑圧コーピングスタイルと対人不安の様相 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)抑圧コーピングスタイルにおける対人不安の様相 キーワード:抑圧コーピングスタイル,対人不安,TAT 人間共生システム専攻 豊川 浩司 問題と目的. 題もないかのように見える.しかし,実際には,自己報. 人の話し方は十人十色である.握りこぶしにわなわな. 告に反して抑圧型の罹病率は高く,その予後も悪いこと. と身体を震わせながら, 強い語気で語るような話し方で,. が報告されている(Jensen, 1987) .また,癌の健康心理. 気持ちをあらわにして話をする人もいれば,聞いている. 学的な研究として知られるタイプC研究では,癌の進行. と大変な思いをされたのだろうと感じるような内容であ. を促進させる要因として,情緒の抑制,自己開示を阻む. るにもかかわらずひたすら淡々と話すような,その背景. 傾向,他者への過度の配慮,ソーシャル・サポート(情. にどのような気持ちを感じているのかほとんど分からな. 緒的サポート)の不足ないし欠如,といった行動傾向が. い人もいる.. あげられている(Eysenck,1949) .このような傾向は抑圧. このように感情を語る,言語的に認知する(以下,覚. 型の特徴でもあり,実際,多くの研究者によって両者の. 知する)ことには個人差があると見られ,Freud が発見. 共通点が指摘されている.こうした特徴の中でも,病気. した防衛機制のひとつである抑圧との関連が考えられる.. に対する怒りや抑うつの感情を自由に表現しなかった乳. 実証研究においては抑圧の測定は困難であるために,抑. 癌 患 者 ほ ど 存 命 期 間 が 短 い と い う 報 告. 圧はコーピングスタイルとして取り上げられている.. (Derogatis,Abeloff, & Melisaratos,1979)などから,. Weinberger,Schwartz,& Davidson (1979) は抑圧型を. 情緒表出の抑制が問題視されている.. 特性不安が低く,MC 尺度得点が高いものと操作的に定義. 適切に情緒を表出できることは,癌患者に限らず健康. した.このスタイルを強く示す人は不安を低く報告する. を維持する上で重要であることが多くの研究者によって. 一方で,高い防衛を示しており,ここに防衛としての抑. 指摘されているが,抑圧型はネガティブな情緒の覚知が. 圧を用いていることが想定されている. 表1    コーピングスタイルの分類法. 難しいと考えられ,こうした恩恵を受けることができに. 防衛傾向 特性不安. 低 高. 低 低不安 高不安. 高 抑圧型 防衛的高不安. くいと考えられる.佐伯(2003)は抑圧型が自分の陰性. 感情の覚知に困難のあることを述べているが,情緒表出 を促したとしても,そもそも自分に起きた出来事につい て語ることが少なく,また語られたとしても出来事に対. これまで自己報告式の質問紙,とくに陰性情動の自己. する合理的な評価と知識を表面的に述べるのみで感情が. 報告は,生理指標や行動指標など他の客観的な指標との. 伴わず,出来事が自己や自己の将来に対して持つ意味に. 相関が低いことが報告されており,自己報告式に頼って. ついては触れられないことも報告されている. 陰性情動を測定する上での問題点として従来から指摘さ. (Weinberger,1990) .一般に,情動表出によって皮膚電. れてきた.しかし Weinberger et al.(1979)が提唱した. 位水準は低くなるが,語りがこのように表面的なものに. 対処スタイルによる分類によって,真に不安が低い「低. とどまる場合にはむしろ皮膚電位水準が高まることが示. 不安」群と生理指標と自己報告式の不安の低さが一致し. されており(Pennebaker,Hughes,& O’Heeron,1987) ,抑. ない「抑圧型」を区別できることが可能となった.. 圧型では,語りに情緒が伴わないのみならず,情緒表出. Weinberger の結果のみならず,抑圧型は不安の自己報告. を促すこと自体がストレスになっている可能性さえ推測. は低いが生理指標や行動指標は不安の存在を示し,自己. される.従って,言語的な心理面接をして,情緒的な気. 報告と矛盾するという仮説が多くの追試によって確認さ. 付きを促す場合,不安の質を理解して関わることが必要. れている.. であると考えられる.. また,抑圧型は質問紙による査定では陰性情動の報告. 神村(1996)は防衛傾向について,それが即物的な不. が低く低不安群以上に健康である.GHQ(general health. 安( 「汚物」 「蜘蛛」など)とはほぼ無相関であるが, 「対. questionnaire) のような自己報告式の健康調査票におい. 人関係」に関する不安( 「権威ある人」 「人から批判され. ても特に身体疾患の兆候は検出されない(Myers &. る」 「人から認めてもらえないと感じる」 )とは高い負の. Vetere, 1997) .質問紙調査の限りでは抑圧型には何の問. 相関関係にある事を示し,抑圧型研究では「対人接触や.

(2) 対人緊張と関連するストレス刺激・状況を設定した方が,. 性尺度(堀井・小川,1997). よりクリアに効果を期待できる」と述べている.また,. 分析のデザイン:特性不安と防衛傾向を中央値によっ. 卒論では抑圧型が対人不安のために援助を求めない傾向. てそれぞれ低群,高群に分け,対象者を 4 群の対処スタ. にあることが示唆された. さらに, 臨床現場においては,. イルに分類した.さらに,対処スタイル(被験者間要因,. 面接者とラポールを形成することが必要だと一般的に言. 4水準)を独立変数とし,質問紙によって測定された対. われており,まずは,面接者に対して安心感をもって語. 人恐怖心性合計得点とその下位因子を従属変数とした,. れることが大切であると考えられる.しかし,抑圧型の. 一元配置分散分析を行った.. ように面接者への不安を感じていながらも不安と覚知し ないという特徴を持った患者が何らかの困難を抱え援助. 結果と考察. を求めてきた場合,面接者と患者の両者ともそのような. 対処スタイルごとの対人恐怖得点およびその下位因子. 不安を意識しないまま,あるいは意識しつつもうまく言. の平均値を表2に,その分散分析の結果を表3に表す.. 語化できずに話し合えないままぎくしゃくした関係が続. この結果から,低不安群と抑圧型群との間,高不安群. き,安心感を抱けずラポールが築けない,あるいは面接. と防衛的高不安群と間に有意な差は見られなかった.従. の継続が困難になるケースがあることが予測される.. って,対人不安の自己報告において,低不安群と抑圧型. Strickland&Crowne(1963)は,MC 尺度得点が高いほど. 群に違いは見られなかった.. 未完全なままに終結に終わった事例が多い(r=.67)こ とを報告している.従って,抑圧型が防衛している不安. 表2   対処スタイルごとの対人恐怖得点平均値 低不安群 〔24〕. を研究し,抑圧型への援助を考える場合,特に抑圧型の 対人不安を理解することが有用だと考えられる. そこで,. F1.自分や他人が気になる悩み. 本研究では,対人不安を, 「現実の,あるいは想像された. F2.集団に溶け込めない悩み. 対人的場面における不安状態」と定義し,抑圧型と対人. F3.社会的場面で当惑する悩み. 不安の関連について明らかにすることとする.. F4.目が気になる悩み. 抑圧型の対人不安の様相を明らかにするためには,防. F5.自分を統制できない悩み. 衛による影響をなるべく避けた方法によって調査する必. F6.生きることに疲れている悩み. 要があるだろう.そこで,本研究では,質問紙法による. 対人恐怖合計得点. M SD M SD M SD M SD M SD M SD M SD. 11.92 6.04 11.54 7.67 9.08 6.77 8.29 7.39 11.42 5.42 7.21 3.74 59.46 25.63. ※〔〕内は度数 高不安群 〔32〕 17.78 5.77 18.53 5.70 18.25 7.32 14.94 8.83 18.25 6.45 15.78 6.11 103.53 23.70. 抑圧型群 〔49〕. 防衛的高 不安群 〔43〕. 11.06 5.28 10.47 6.78 11.08 7.00 8.16 6.91 10.76 6.40 7.61 4.33 59.14 26.95. 18.49 5.58 15.58 6.63 16.58 5.91 12.09 6.50 13.00 5.99 12.86 5.67 88.60 25.28. 平均平方 17102.51 654.45. F 値 26.13***. 584.61 31.38. 18.63***. 505.99 44.52. 11.37***. 620.23 45.39. 13.66***. 370.45 53.74. 6.89***. 395.47 37.77. 10.47***. 594.63 25.90. 22.95***. 調査と併せて,投映法を用いた調査によって,対人不安 を測るものとする.Murray(1943)が作成したTATは, 防衛の影響をのぞいた,より意識的でないレベルでの精 神内界を捉えるのに適切であろう.また,TATは“パ. 表3   対人恐怖得点における対処スタイルの分散分析表 F1.自分や他人が気になる悩み. ーソナリティの主な衝動,感情,情緒,コンプレックス および葛藤を明らかにする一つの方法”で,情緒の側面 を検討することにも適していると思われる.以上を踏ま. F2.集団に溶け込めない悩み. F3.社会的場面で当惑する悩み. え,本研究では抑圧型を中心に不安の対処スタイルごと の対人不安の特徴を投映法の一つであるTATによって 探索的に調査する.. F4.目が気になる悩み. F5.自分を統制できない悩み. 第1研究 方法. F6.生きることに疲れている悩み. 対人恐怖合計得点. 手続きおよび対象者:大学生,大学院生 157 人に質問. 対処スタイル 誤差 合計 対処スタイル 誤差 合計 対処スタイル 誤差 合計 対処スタイル 誤差 合計 対処スタイル 誤差 合計 対処スタイル 誤差 合計 対処スタイル 誤差 合計. 平方和 51307.52 94240.21 145547.73 1753.84 4518.86 6272.70 1517.96 6410.60 7928.56 1111.35 6535.97 8396.68 1111.35 7739.16 8850.51 1186.40 5438.89 6625.30 1783.89 3730.22 5514.11. 自由度 3 144 147 3 144 147 3 144 147 3 144 147 3 144 147 3 144 147 3 144 147. ***p <.001. 紙調査を配布.同時に面接調査の協力を依頼する用紙を 配布. 質問項目への回答記入漏れのあった 9 人を除外し,. 第2研究. 全項目への回答を行った 148 人(男性 97 人,女性 59 人. 予備調査. 平均 22.8 歳,SD=3.90)のデータを分析した.. 本調査で用いるTAT図版の選定.選定基準は, 「なん. 調査内容:1)STAI 特性不安尺度(清水・今栄,1981) ,. らかの対人的な緊張感や不安,葛藤などを感じさせやす. 2)MC 尺度日本語版(佐藤ら,1997) ,3)対人恐怖心. い図版」であることである.対象者は,臨床心理学を専.

(3) 攻する大学院生3名.選定基準と先行研究(坪内,1984;. 不安を体験していることが推測された.また,得られた. 鈴木,1997;木村,1982)を参考に,Harvard 版 TAT 図. 結果から,各対処スタイルの対人不安の特徴および,そ. 版よりいくつかの図版を施行した.施行されたTAT図. の対処をまとめたものを表7,8としてまとめる. (※表. 版のうちどの図版が対人不安を喚起されやすかったかを. 5,表6は個人情報保護のため省略). 尋ね,検討した.その結果,1・2・3BM・4・6BM・6GF・ 12F・13MF・15・16・20 が選定された. 本調査 対象者:第 1 研究において面接調査への協力が得られ たものの中から,低不安群 2 名,高不安群 2 名,抑圧型 群 2 名,防衛的高不安群 2 名の計 8 名(男性3人,女性 5人,平均年齢 20.9 歳)をランダムに選択した. 方法:予備調査の結果選定された TAT 図版1・2・3 BM・4・6BM・6GF・12F・13MF・15・16・20(提示順)の 11 枚を実施した.反応内容の記録は筆記と録音によって 行い,後日逐語録を書き起こした.面接調査の手順と教 示を表に記載する. 表4  面接調査の実施手順と教示 実施手順. 検査者の教示  ()内は備考. これを見て簡単なお話しを作ってください.今どういう場面かということに加 1.物語の作成 え,その前にどういうことがあり,これからどうなっていくかも踏まえて,お 話しにしてください. 2.登場人物の この登場人物がどういう気持ちでいると思いますか(手順1で心理状態が出て 心的内容への言 こなかった場合のみ行う補足的な手段) 及 3.心的内容の 先ほど主人公が○○(※)だといいましたが,その気持ちをもう少し話してい 詳細化 ただけますか(※手順1,2の心理状態についての調査対象者の発言を用いる). 分析:TAT図版によって調査対象者が作成した物語 の中で,4 群の対処スタイルのそれぞれの群について対. 表7    対人不安の特徴 のまとめ 特別な対人不安は感じられない 低不安群 分離不安 評価される,怒られる,見下される不安.孤独感 高不安 取り返しのつかない対象喪失 厳しい両親,社会から罰を与えられる,怒られる不安 抑圧型. プライバシーに進入される不安.内緒にしていたことがばれ る不安. 自分を利用し搾取する相手への警戒心.利用される,搾取さ 防衛的高不安 れる不安. 群 孤独感・自立をめぐる甘え,寂しさなどの葛藤.一人きりに なることの恐怖,怒り. 表8    対人不安への対処のまとめ 他者の助力により危機が立ち去る 低不安群 自分から何かを変えていく努力をする.身近な相手に相談す る.お互いの事を支えにして不安を乗り越える. 状況に抵抗しない.無力感.あきらめ.逃げる. 高不安 解決するかわからなくても行動を起こす.人間関係の援助の 下に立ち直る. 忘れようと努める.現実に立ち向かおうとするが上手くいか ず逃げる.立ち直れなくなってしまう. 抑圧型 対人的な不安や葛藤に直面するも,何もなかったかのように 過ごす.逃げ出す. 怒りや悲しみを感じるが自分でどうにか対処する.助けてく れる人への期待.自分一人で何とかしようとする. 防衛的高不安 自分なりに納得の行く形で折り合いをつける.肯定的に割り 群 切る.面白半分に状況を茶化す.他者からのサポートを待 つ.破滅的な結末を迎える.. 人不安が出てきたとき,1)どのような特徴のものか, そして2)それらの対人不安はどう扱われているのか, を以下の手順で分析した. 1.対象者ごとに全カードへ. 総合考察. の反応を繰り返し読み,2.対人不安として表現されて. 1.対処スタイルごとの対人不安の様相について. いること,および3.対人不安の取り扱いとして表現さ. 第 1 研究の結果,質問紙法による調査によっては低不. れていること,を書き出した.これらの手順は結果の妥. 安群と抑圧型を弁別することができなかった.しかし第. 当性を得るため,対象者がどの群に属するか事前に知ら. 2研究の結果からは,抑圧型は高不安群や防衛的高不安. されていない臨床心理学の専門家 2 名と筆者との協議に. 群と同程度の対人不安を体験していること,それらの3. よって行われた.. 群に比べて低不安群は,対人不安を体験していないこと が推測された.. 結果と考察 得られた結果のうち,特徴的と思われる反応例を表5,. これらのことから,抑圧型は,無意識的水準において 高不安群や防衛的高不安群と同程度に対人不安を体験し. 6にまとめる.分析の手続きによって結果を検討したと. ていることが示唆される.無意識的水準での体験の高さ. ころ,低不安群においては,安心できる対象から離れる. はこれまでの先行研究の結果を支持するものである.. という自立をめぐる葛藤や不安は見られたが,他者から 利用される,怒られる,罰せられる,という強い対人不. 2.抑圧型の対人不安への対処. 安や対人緊張が見られなかった.従って,他の3群と比. 第2研究において対処スタイルごとの対人不安の取. 較すると低不安群は対人不安をあまり体験していないこ. り扱いについて比較したところ,抑圧型は,対人不安や. と,抑圧型は高不安群・防衛的高不安群と同程度に対人. 葛藤を言語化し直面したとき, 「逃げ出す」 , 「忘れよう.

(4) と努める」 「何もなかったかのように過ごす」とそれら. 4.本研究の課題と今後の展望. から回避する傾向にあることが推測された.また,抑圧. 本研究ではデータ数が限られていたため,目的として. 型は他の3群と比較すると,対人不安を取り除いたり,. いたそれぞれの群の対人不安の特徴を詳細に抽出するこ. 救ってくれる登場人物が物語に登場しないことが示唆. とは困難であった.そこで,今後はデータ数を積み重ね. された.. て,それぞれの群の特徴をより詳しく研究することが望. これらの2つのことから,高不安群や防衛高不安群と. まれる.. 違って,抑圧型は精神内界に,不安を適切に取り扱う事. あわせて,臨床群においても,面接経過の流れを追っ. を可能にする対象が存在しない,または存在したとして. た事例研究をすることで,不安の変遷やそれに伴う適応. もそれが脆弱であるために,不安を感じたとしても回避. のプロセスを調査する縦断研究も望まれる.. 的になるのではないだろうか.. また,本研究では,実際に対人不安を語ることで抑圧. TAT図版の反応において対人不安の言語的な報告が. 型が不安を覚知できるようになったことを調査していな. 見られたことは,抑圧型が不安を言語化し意識の水準で. い.生理指標や行動指標などの客観的指標や,投映法を. 取り扱える可能性を示すかもしれない.抑圧型は不安の. 用いた研究を重ねることで,その点について考究するこ. 主観的報告を繰り返し求められた場合,高不安群と同程. とが必要だろう.. 度の不安を報告する,つまり,自らの不安の高さをモニ ターできるという結果を神村(1996)は報告している. これらのことから,抑圧型は日常の生活では不安を取り. 主要参考文献・主要引用文献. 扱わないようにしているが,不安の言語化を繰り返し求. 神村栄一 1996 ストレス対処の個人差に関する臨床心. められるという課題を与えられたなら,不安を報告する. 理学的研究,風間書房. ことが可能になることが予測される.従って,面接場面. 永井撤 1994 対人恐怖の心理,サイエンス社. での抑圧型の対人不安を言語により取り扱いうることが. 佐伯素子. 示されたと言えるだろう.. 2003. 感情覚知と抑圧コーピングスタイル. −感情記述課題の分析より−, 心理臨床学研究, 21 (4) , 353-361. 3.抑圧型の臨床的援助について 抑圧型は対人不安について,言語化したとしてもそれ らから「逃げ出す」 , 「忘れようと努める」 「何もなかった かのように過ごす」というように,不安を避けるような 取り扱いをすることが本研究では推測された.これらは 先行研究を支持していると言える(佐藤ら,1999 など) . このように抑圧型が不安を避けるのは,不安を扱う内. 佐藤 徳・安田朝子 1999 「抑圧」の認知精神病理学 −情緒システムの機能的解離と身体疾患との関連につ いて−,心理学評論,42(4),438-465 鈴木睦夫 1997 TATの世界 −物語分析の実際−, 誠信書房 Weinberger,D.A.,Schwartz,G.E.,& Davidson,R.J. 1979. Low-anxious,high-anxious,and repressive. 的な対象が不在であることも推測されたが,それは実際. coping style: Psychometric patterns and behavioral. に自分の不安を取り扱う外的な対象が存在しなかったか. and physiological responses to stress,Journal of. らであると想像される.つまり,対人的な不安について. Abnormal Psychology,88,369-380. 聞いてくれる相手がいなかったからこそ,自分もそれを 言語化し表現しようとしなかったことが予想されるので ある.そうであるならば,面接者こそがやはりその対象 になり,恐れずに不安を察し,積極的に取り扱うべきで あると筆者は考える.そうすることによって,抑圧型の 内界にも不安を取り扱う対象が内在化されるのではない だろうか.松木(2005)は,クライエントに今うごめい ている広い意味での不安な感情を言語化の中核に含める ことが必要であることを述べており,抑圧型の臨床にお いてはまさにそのことが求められるのではないかと考え られるのである..

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