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Akita International University 秋田県の民俗芸能 : 現状と課題そして今後について 熊谷嘉隆要旨秋田県内には集落単位で数多くの民俗芸能が継承されている 各民俗芸能は集落の歴史や誇りが凝縮されており 加えて集落の絆を深める極めて重要な行事でもある 一方で それら民俗芸能の

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秋田県の民俗芸能:現状と課題そして今後について

熊 谷 嘉 隆 要旨 秋田県内には集落単位で数多くの民俗芸能が継承されている。各民俗芸能は集落の歴 史や誇りが凝縮されており、加えて集落の絆を深める極めて重要な行事でもある。一 方 で、それら民俗芸能の多くは後継者・資金不足、集落内外での興味の低下等からその存 続が危機に瀕しているものが少なくない。平成 5 年に秋田県教育委員会が実施した「秋 田県民俗芸能緊急調査」では 315 件の民俗芸能が把握されたが、本調査(平成 22 〜 24 年実施)で確認できたのは 275 件であった。つまり過去 19 年間で 38 件(毎年 2 件)の ペースで県内から民俗芸能が消滅していることになる。また、民俗芸能によっては今 後 数年以内に消滅を免れないであろうものも散見され、各集落はその存続に懸念を抱い て いるが有効な対策が講じられないまま現在に至っている。一方でいくつかの民俗芸能 保 存 団 体 で は従 来に ない取 り組 みに よ って存 続 を図 ろ うと す る 動 きも 見 られ、今 後 は「 存 続と消滅」の二極化が進むと思われる。本稿では平成 22 年度から 3 年間、文化庁の「地 域伝統文化総合活性化事業」により実施した秋田県内の民俗芸能調査を踏まえ、そこ か ら浮かび上がってきた現状・課題、そして今後について検証する。 キーワード:民俗芸能、消滅危機、存続意義

Traditional performing arts in Akita: the current status, issues, and future

KUMAGAI Yoshitaka

Abstract

Numerous traditional performing arts have been inherited by rural communities in Akita. Those performing arts reflect the communities’ history and pride. They also play an important role in strengthening a bond among residents in the communities. Many of the performing arts, however, are now facing extinction due to few successors and lack of financial support. It is found that 38 performing arts disappeared from 1993 to 2012, that is, two performing arts per year. It is easily predicted that this trend is likely to continue in the future. On the other hand, there are notable attempts to revive the performing arts in several communities. In this article, the current situation and the future challenges of the performing arts in Akita are discussed based on the research results obtained through the project funded by the Cultural Agency.

Keywords: Traditional performing arts, Pride, History, Community bond, Extinction and inheritance, Innovation

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Ⅰ.背景・問題意識 秋田県には全国最多と な る 17 件(平 成 27 年現在)の国指定重要民俗無形文化 財 (文化庁・国指定文化財等データ ベー ス 2016)があることはよく知られているが、 その他にも集落単位で継承されている民俗 芸能が多々存在する。それら民俗芸能の中 には 100 年以上の長きにわたって収穫、冠 婚葬祭、もしくは神事の際に演じられつつ、 各集落の歴史、誇り、愛着、 そして絆の凝縮 として連綿と継承されてきたものもある。一 方でそれらの中には後継者・資金不足、価 値認 識の 低 下等 の 理由から 休止もしくは 消滅の危機に瀕 して い るものも少なから ずあると思われるが、正確な民俗芸能数に 関しては平成 5 年に秋田県教育委員会が 実施した「秋田県民俗芸能緊急調査」で把 握された 315 件以降、実態把握はされてこ なかった。 秋田県は全国一の人口減少率・高齢化 率に直面しているが、 県農林水産部はそ の実態把握を目的として平成 21 年度に「限 界 集 落 」 悉 皆 調 査 を 実 施 し た ( 本 学 旧 地 域 環 境 研 究 セ ン タ ー が 当 該 事 業 を 受 託 ・ 側面支援した)。その調査で交通アクセス、 空き家の増加、冬期間の雪よせ、買い物 難 民 の 増 加 、 と い っ た 多 様 な 集 落 課 題 が 浮かび上がってきた。それら課題の他に 多 く の 調 査 対 象 者 が 指 摘 し た の が 集 落 に お け る 民 俗 芸 能 の 消 滅 危 機 で あ っ た 。 た だ、これは単に文化的財産として一つの 芸 能 が 消 滅 す る こ と を 意 味 す る だ け で な く 、 そ の 芸 能 継 承 作 業 ( 練 習 、 周 知 、 道 具 修 理 等 の 共 同 作 業 ) の 過 程 で 集 落 住 民 が集い合う機会の消滅への危機意識をも 包含している。つまり、それら集いでは集 落内の各種情報共有や、集落の今後等に つ い て か な り突 っ込 んだ 話 し 合 い も も た れ、それが集落の結束力を強化する機能 を有している。要は民俗芸能の消滅は集 落の相互扶助や情報共有の場の消滅も意 味するとの指摘が多く為されたのである。 こ の よ う な 背 景 と 問 題 意 識 の 下 、 よ り 包括的な実態把握の必要性から、平成 22 年度に文化庁「地域伝統文化総合活性化 事業」および平成 23〜24 年度に同「文 化芸術振興費補助金(文化遺産を活かし た観光振興・地域活性化事業)」を活用し 「秋田県内における民俗芸能の調査研究事 業」を実施した。調査では継承中の民俗 芸能数を把握するとともに各民俗芸能保 存会の実態調査、そして全民俗芸能の映 像 収 録 と そのデ ー タベース化 を行 った 。 本稿ではこの 3 年間の調査事業を振り返 りつつ見えてきた現状・課題と今後の 展 望について検証する。 Ⅱ.調査の進め方 本調査実施においては秋田県を県北、 県 央 、 そ し て 県 南 の 3 つ の 地 域 に 分 け 、 その上で平成 5 年に発行された『秋田県 の民俗芸能−秋田県民俗芸能緊急調査報 告書−』 (秋田県教育委員会,1993)に掲 載されている民俗芸能一覧表を参考にし つつ全民俗芸能のリスト構築作業を行っ た。当該作業においては県内市町村の教 育委員会に問い合わせ、各自治体内にお ける民俗芸能を 1) 活動中、2) 休止中、3)

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中止、へ分類しようと試みたが、現況把握 さ れ て い な い も の が 多 々 あ っ た 。 確 認 で き な か っ た 民 俗 芸 能 に 関 し て は 保 存 会 の 連 絡 先 情 報 を 入 手 し 、 連 絡 を 取 り 逐 一 確認作業を行った。 本調査における対象民俗芸能は下記 三 つ の 判 断 基 準 を 切 り 口 に 絞 り 込 ん だ 。 (1) 民間で継承されている民俗芸能 家 元 が あ る 芸 能 は 「 伝 統 芸 能 」 に 該 当 す る と 見 な し 調 査 対 象 外 と し た 。 た だ 、 そ れ が あ る 時 代 か ら 民 間 に 降 り て き て 集 落 単 位 で 継 承 さ れ て い る も の に 関 し て は 調 査 対 象 芸 能 と み な し た 。 ま た 、 興 業 目 的 で 行 わ れ て い る 民 俗 芸 能 に 関 し て も 調 査対象外とした。 (2)民族における歌舞音曲 さ さ ら 、 獅 子 舞 、盆 踊 り 、駒 踊 り 、 番 楽 、 願 人 踊 り 、 神 楽 、 家 元 が な い 歌 舞 伎 な ど の 民 間にお ける 歌 舞音曲 を調 査 対象 と し た 。 ま た 民 謡 、竿 灯 、 なま は げ 、 な どの 民 俗 祭 礼 を 主 と す る も の 、 家 元 が あ る も の (歌舞伎座)、神事・仏事は対象外とした。 ( 3 ) 江 戸 末 期 以 前 か ら 始 ま っ た と 推 測 さ れる芸能 江 戸 末 期 以 前 か ら 始 ま っ た と 推 測 さ れ る 民 俗 芸 能 を 調 査 対 象 と し た 。 し か し 、 民俗芸能の起源は正確にわからないもの が 多 い こ と か ら 、 現 地 で の 聞 き 取 り 調 査 、 前術の「秋田県民俗芸能緊急調査報告書」 の基本調査票、その他の関連文献から得 なみに江戸末期以前を起源とする民俗芸 能で一時的に消滅あるいは休止し、近年 復活したものについては調査対象とした。 その他、起源が不明だったり前述三つの 基準への該当性が曖昧であったりするも のについては入手出来うる既存情報を基 に総合的な判断を行った。 Ⅲ.成果物 3 ヶ 年 に わ た る 調 査 の 結 果 、 秋 田 県 内 には平成 24 年度の段階で 275 の民俗芸能 が 活 動 中 で あ る こ と が 確 認 さ れ た 。 ま た 休 止 ・ 消 滅 し た と 思 わ れ る 民 俗 芸 能 に 関 しては各市町村教育委員会から過去に 撮 影 し た ビ デ オ テ ー プ を 借 り 受 け 、 そ れ ら を DVD 化した。本調査で映像データベー ス化 を行 った 民俗 芸 能 を市 町 村 別 、類 型 別 、 そ し て 開 催 日 時 別 に 分 類 ・ 整 理 し た の が 表 1 で あ る 。 表 が 示 し て い る よ う に 由利本荘市における民俗芸能数が 66 と突 出して多く、以下、横手市(32)、北秋田 市(26)、 に か ほ市(24)、 鹿 角 市(23) と 続 く 。 演目の開催日時であるが 9 月と 8 月に 特 に 集 中 し て い る 。 ま た 開 催 頻 度 は 年 に 1 〜 2 回 が 殆 ど で あ る が 、 演 目 の 前日 や 最中に集落内で不幸があったりすると 演 目それ自体が中止になること多い。 民俗芸能の類型に関しては表 2 の通り で あ る 。 獅 子 舞 ・ 番 楽 が 8 2 件 と 一 番 多 く、ささら・駒踊り (64 件) 、太鼓風流・ 祭 り 囃 子 ( 4 6 件 ) と 続 く 。 ま た 、 映 像 収

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美郷町 2 内の全ての小学校、公民館、図書館に無償 配布した。(写真 1 参照) 加えて、全映像を 2 分間のダイジェスト版に編集し、「秋田民族芸能 アーカイブス」というホームページを立ち上げ (写真 2 参照)、そこにすべてアップロードした。 そ のホ ー ム ペー ジで は全民 俗 芸 能 を 地 域 市 町 村 別 、 類 型 別 、 月 日 別 で 検 索 が か け ら れ る よ う に し て お り 、 さ ら に 各 民 俗 芸 能 頁 に 移 動 す る と 2 分 間 の ダ イ ジ ェ ス ト 映 像が Y o u T u b e 経 由で 鑑 賞で き 、各 芸 能 の 由 来 、 特 徴 、 開 催 場 所 ・ 時 期 が 記 載 さ れ て お り 、 閲 覧 者 が 容 易 に 各 芸 能 映 像 の 情 報 を 短 時 間 で 把 握 で き る よ う に し た 。 表 1 秋田県内市町村の民俗芸能数 写真 1 民俗芸能 DVD 写真 2 秋田民俗芸能アーカイブス HP 表 2 類型別民俗芸能 獅子舞・番楽 82 獅子神楽 18 ささら・駒踊り 64 万歳・語り物 1 延年 1 風流 34 人形劇・歌舞伎 5 田楽・田遊び 1 大神楽 23 太鼓風流・祭り囃子 46 見せ物芸・小歌踊 4 巫女神楽・湯立神楽 5 盆踊り 23 舞楽 1 市町村名 民俗芸能数 由利本荘市 66 横手市 32 北秋田市 26 にかほ市 24 鹿角市 23 能代市 20 大仙市 17 大館市 15 秋田市 13 仙北市 13 三種町 10 湯沢市 8 藤里町 6 小坂町 6 男鹿市 5 五城目町 5 羽後町 5 八峰町 4 上小阿仁村 3 八郎潟町 3 潟上市 2

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Ⅳ.現状と課題 Ⅳ−1.後継者確保 現在、県内の各民俗芸能保存会の中心 的な役割を担っているのは 60 歳代以上 が圧倒的に多い。演目指導、道具の手入 れ と 保 管 、 演 目 当 日 の 段 取 り 、 そ し て 広 報活動 等、 退職 者が 多 いことから、 比 較 的時間に余裕があり、1 年を通じてかな り の 時 間 と エ ネ ル ギ ー を 保 存 会 の 活 動 に 費 や し て い る 。 た だ 、 そ の 世 代 を 引 き 継 ぐ 40 歳代そして 50 歳代の空白化が多く の集落で確認された。一方で、現在中心 的役割を担っている 60 歳代以上の人々に よって、地元の小学校と連携しつつ総合 学習の枠組みで民俗芸能を伝授している ケースがかなり認められた。40〜50 歳代 を飛び越した形での継承への取り組みが どう なる か、 今 後の 推 移 を注意 深く見 守 りたい。 このように地元集落住民が顧問的に参 加しつつ、 学校という 枠組みで継承が 図 られていく事例が県内各所で確認された が 、 こ う い っ た 取 り 組 み に 関 して は、 「担 い手が学校単位で確保でき、年 1 〜 2 回 の演目開催も担保される。」と、歓迎する 言葉がある一方、「民俗芸能の本来の精神・ エッセンスが理解されないまま演じられ ているのではないか?」、とその継承のあ り方に疑問を呈する指摘もあった。 学校単位で集落民俗芸能の継承に取り 組む事例がある一方で、一般論として演 目後継者たる 小・中学生の 多くはスポ ー ツ少年団や塾等の習い事で多忙を極めて お り 、 加 え て 、 テ レ ビ ゲ ー ム を 始 め 、 日 常生活における娯楽の種類も数十年前に 比 べ て 格 段 に 多 様 化 し て き て お り 、 子 供 達 が 民俗 芸 能に 興味 を持 つ こと 自 体が 極 めて困難になってきている。 民俗芸能保存会への参加についてであ る が 、 演 者 、 お 囃 子 に 関 し て は 集 落 内 で の み 募 集 ・ 補 完 さ れ る ケ ー ス が 殆 ど で あ る 。 つ ま り 後 継 者 不 足 で 継 承 が 困 難 な 状 況 で も 集 落 外 か ら 演 者 を募 る こと に 対 し 、 多 く の 保 存 会 そ し て 集 落 住 民 は慎 重 で あ る。 調 査中に よ く 聞 かれ た コメン トの 一 つ に 「 こ の 芸 能 は 集 落 内 の 人 間 で や っ て こ そ 意 味 が あ る 。 集 落 外 の 人 間 が 参 加 す る の な ら 芸 能 そ の も の の 存 続 意 義 ・ 価 値 が な く な っ て し ま う 。 」 と い う も の で あ っ た 。 一 方 で 、 全 国 で 最 も 人 口 減 少 ・ 高 齢 化 の 進 行 し て い る 秋 田 県 の 中 で も 特 に 過 疎 ・ 高 齢 化 が 急 激 に 進 行 し て い る 小 規 模 集 落 にお ける 演者 の確保 はま すま す困 難 に な っ て い る こ と を 勘 案 す る と 、 こ の 「 こ だ わ り 」 が 各 民 俗 芸 能 の 「 継 承 と 消 滅 」 を 分 か つ 、 一 つ の キ ー ワ ー ド に な る か も 知れない。 Ⅳ−2.民俗芸能に対する価値観 一般的に集落民俗芸能の関係者および 民 俗芸能が地元に継 承されてい る集落 住 民 は 他 地 域 の 民 俗 芸 能 に あ ま り興 味 を 示 さ な い 。 そ の 結 果 、 同 類 ま し て 異 な る 民 俗 芸 能 保 存 会 と 情 報 ・ 意 見 交 換 を す る 意 思 ・ 機 会 は あ ま り な い 。 ち な み に 集 落 内 で演ずる機会の他に地元自治体および教 育 委 員 会 が 主 催 す る 「 〇 〇 市 、 町 、 村 民 俗 芸 能 大 会 」 と い っ た イ ベ ン ト で 演 ず る

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機 会も年に 1 度ほどあるが、自らの集落 の演目鑑賞後に帰途につく事が多い。要 は他の集落の演目を積極的に鑑賞しよう と い う 意 識 は そ れ ほ ど 高 く な い こ と が 本 聞 き 取 り 調 査 で 見 え て き た 。 こ れ ら の 事 実は各集落において自らの民俗芸能を相 対化し客観視する機会が少ないであろ う こ と を 意 味 し て い る 。 そ も そ も 各 集 落 に 継承される民俗芸能は他との優劣を競い 合 う 性 質 の も の で な い こ と か ら そ の 必 要 性 が な い 、 と も 言 え る 。 た だ 、 そ の 事 が 集落の民俗芸能の価値の認識低下につな がっている可能性も否定できないであろ う 。 つ ま り 、 相 対 化 の 上 に 自 ら の 集 落 芸 能の価値を再認識する可能性もあるわ け で 、そ の ような機会 を無意 識 的に 排 除 し てい る ことが 、自 らの集 落芸 能 への 眼 差 し の 弱 体 化 に つ な が っ て い る と 、 推 察 も 出来る。 民俗芸能に対する一般人の価値認識に 関しては聞き取り調査対象者が演者およ び関係者であることから間接的かつ断 片 的 情 報 しか無 い 。た だ 、そ れ らを総 合 す ると特に若年世代において、集落の民俗 芸能に対してあまり意味を見いだせない 人 々 が 少 な か ら ず い る こ と が 分 か っ て き た。ただ、多くの集落住民は数世代に わ たってその地域に住んでいることから「地 域 の つ き あ い 」 と い った慣 習 的 な理 由 か ら消極的ながらも民俗芸能開催の折には ご祝義などを差し出すとのことである。た だ、この傾向が将来世代に引きつがれる とますます集落民俗芸能に対する価値認 識の低 下が進むであろ う、との危機 感 が 多くの聞き取り対象者の口から聞かれた。 Ⅳ−3.活動資金 各民俗芸能の活動資金に関しては演 目 実 施 の 際 に 集 落 住 民 か ら 差 し 出 さ れ る ご 祝 儀 が 主 な 収 入 源 と な っ て い る 他 、 自 治 体や県からの助成金も重要な活動資金 源 と な っ て い る 。 実 際 、 こ れ ら 補 助 金 無 し では衣装や道具の修理・購入が出来ない のが現状である。要は県内殆どの民俗 芸 能保存会は慢性的な活動資金不足に直面 し て お り 、 こ の こ と も 継 承 危 機 に 拍 車 を かけている。 Ⅴ.民俗芸能の継承に向けた新たな取り 組み 消 滅 の危 機に 直 面 している 民 俗 芸能 が 多々ある中でいくつか注目すべき取り組 みも散見された。 例えば、能代市の富根報徳番楽保存会 で は練習の様子 や当該番 楽の出演 イベ ン ト情報などを映像も盛り込み、ホームペー ジ や F a c e b o o k と い った ソ ー シ ャルネッ ト ワーキングサービスを活用し積極的に情 報発信している。また、当該保存会にはこ れ ら 情 報 発 信 を 手 が け る メ ン バ ー や 演 者 に比較的多くの 若者が 参加している 実 態 が 浮かび上が った 。 多くの 民俗芸能保 存 会が各芸能をあくまでも「集落内の行事」 と し て 「 閉 じ た 枠 組 み 」 で 実 施 し て い る 中 で、 この 保存会からは意 識的に 外に 開 い ていこうとする意志を感じさせられた。 また仙北 市の石神番 楽保 存会では番 学 の舞い手に 女性を採用している。県内 殆

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どの番楽演者が男性によって占められてい る 状 況 で 、 あ る 意 味 で タ ブ ー に 挑 戦 し た 取 り 組 み と い え よ う 。 女 性 が 演 じ る こ とについては当初集落内でも反対の声が あったようであるが、当該番楽消滅の危 機 下 で ど う し て も 継 承 を 、 と の 保 存 会 メ ンバーそして集落住民の強い思いがこの 取り組みを可能にした。ちなみに現在、 保存会、集落ではこの事に関しては違和 感 な い も の と し て 受 け と め ら れ て い る と のことで、民俗芸能継承に於ける新たな 地平を開拓したと言えるだろう。 上小阿仁村の八木沢番楽は長い間休止 していた民俗芸能の一つであるが外部 出 身者の地域おこし協力隊員が復活を仕 掛 け、それに賛同した集落住民が地元小学 校を巻き込み集落全体で復活に向け取 り 組 ん だ 事 が マ ス コ ミ に も 大 き く 報 道 さ れ 注 目 を集 め た 。復 活 に あ た っ ては集 落 住 民の中に演目、舞、お囃子等についてあ る 程 度 覚 え て い る 者 が い た こ と が 復 活 を 可能にした。この事例は「よそ者」ながら 、 ある程度の期間集落に住み、多様な作業 を 通 し て 集 落 住 民 と 苦 楽 を 分 か ち 合 っ た 若 者の提案を集落住民が受 け入れた こ と に よ る 予 期 し 得 な か っ た 「 化 学 反 応 」 と し て 理 解 さ れ て い る 。 勿 論 、 提 案 を 受 け 入れた背景には民俗芸能復活に対する集 落住民の熱い思いが潜在的にあったこと は想像に難くない。 Ⅵ.秋田県民俗芸能の今後 現在、秋田県内で継承されている 275 の民俗芸能はこのままでは消滅に歯止 め が か か ら な い で あ ろ う 。 い く つ か を 除 き 、 ほぼ全ての民俗芸能保存会が後継者不足、 活動資金不足、集落内住民の価値認識の 低 下 に 直 面 し て お り 、 こ れ ら の 課 題 が 改 善 さ れ る 兆 し は 今 の と こ ろ 無 い 。 一 方 で 、 県内の人口減少は秋田市以外全ての市町 村 で 進 行 し て お り 、 特 に 多 く の 民 俗 芸 能 が 継 承 され てい る 字 単 位 の 集 落 で その 傾 向 は 特 に 強 い 。 前 述 の 集 落 人 口 の さ ら な る減少が相乗的に県内民俗芸能の消滅に 拍車をかけるのはほぼ避けがたい現実で あろう。 今 後 数 年以 内に 多 くの民俗 芸 能が 休 止 も し く は 消 滅 に 直 面 す る 一 方 で 存 続 を 賭 け 、 従 来 に な い 取 り 組 み を し て い る 民 俗 芸能保存会の取り組みについては既に 触 れ た 。 そ れ ら の 保 存 会 も し く は そ れ を 支 え る 集 落 に 共 通 し て い る の は 、 1 ) 集 落 外 支 援 者 も し く は 協 力 者 と の 連 携 を 模 索 し て い る こ と 、 2 ) 演 者 の リ ク ル ー ト に 関 し ては性別等のタブーを取り払い従来番 楽 な ど の 舞 手 に 起 用 し な か っ た 女 性 を 積 極 的に起用、3)集落外へ積極的に情報発信 し 、 外 部 者 の 興 味 や 鑑 賞 を 働 き か け て い る、等である。勿論、これらの取り組み行 っ た か ら と い っ て そ れ が そ の ま ま 民 俗 芸 能 の 存 続 を 担 保 す る も の で は 無 い 。 し か し 、 少 な く て も 民 俗 芸 能 を 取 り ま く 慣 習 ・ 規 範 を 乗 り 越 え な が ら 、 新 た な 取 り 組 み を 実 践 し てい る 団 体 は存 続 へ の 可 能 性 を 感 じさせる。 鹿 角 市 の 大 日 堂 舞 楽 が ユ ネ スコ の 無 形 文化遺産に登録された事で県内外の注目 度が 一 気に 高 まった 。 当 該舞 楽が 1300

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年 の 歴 史 を 持 ち 、 そ の 内 容 も 神 聖 性 に 満 ち て い る と い う だ け で 継 承 さ れ た と 、 み るのは単純すぎる。その背後にはこの伝 統 を 決 し て 絶 や し て は い け な い と い う 集 落住民の 強い思いと誇り が 連綿と続い て き て い る 事 実 を 見 逃 し て は な ら な い だ ろ う 。 地 道 な 努 力 が 当 該 舞 楽 の 荘 厳 さ と 相 ま っ て 世 界 的 な 文 脈 で 評 価 さ れ た の で あ る 。 ま た 男 鹿 の な ま は げ に 関 し て は 観 光 メニューとして体験をする施設を建設し、 そ の 隣 に 博 物 館 を 作 っ た り し つ つ 安 定 的 に 資金を確保し、 かつ広報活動に 努め 、 観 光 客 ら に よ る 興 味 を 喚 起 す る こ と に よって地元集落住民の継承へのモチベー シ ョ ン を 高 め た こ と が 注 目 に 値 す る 。 一 方 で そ れ ら 観 光 メ ニ ュ ー と は 別 に な ま は げ行事が大晦日に各集落で行われており、 その本来の精神は観光メニューとは全く 別の脈絡で行われているのはやはり集 落 住民の 継承への 決意の 表れ だろ う。 ち な み に ハ ワ イ の フ ラ ダ ン ス は も と も と 地 元 住民による神事であったが、その独特の 魅 力 が 映 画 に 取 り 上 げ ら れ た こ と を き っ か け に 、 一 気 に 世 界 の 知 る と こ ろ と な っ た 。 た だ 、 多 く の 人 々 に シ ョ ー や フ ラ ダ ン ス 体 験 を 観 光 メ ニ ュ ー と し て 提 供 し な がら資金確保やその価値の高まりを図る 部 分 と 、 集 落 の 神 聖 な 行 事 と し て の フ ラ は観光客を一切排除して行う取り組みと 前述の ナマハゲのあ り 方に は共通する も のがある。 Ⅶ.結びに グ ロ ー バ ル 化 の 進 展 と 共 に モ ノ 、 ヒ ト 、 情 報 等が ボー ダー レスに移 動 し、混 ざ り 合い、そして淘汰されている。また、「グ ローバルスタンダード」という価値基準 の下、多くのモノ、コトが平等・標準 化 にさらされている現代社会において、本 稿で取り扱っている集落民俗芸能の 保存 に ど の よ う な 価 値 が あ る の だ ろ う か ? 一 つ言えるのはグローバル化の進展する今 だ か ら こ そ 、 自 ら が 寄 っ て 立 つ 地 域 の あ り よ う 、 そ し て そ の 地 域 を 基 層 部 で 支 え て い る 歴 史 、 誇 り 、 愛 情 、 絆 、 そ の 凝 縮 形 と し て の 民 俗 芸 能 へ の 「 こ だ わ り 」 が 自 ら の ア イ デ ン テ ィ テ ィ ー そ し て 原 点 確 認の意味で重要なのではないだろうか? 本 学 は 外 部 の 眼 差 し を も っ て 本 調 査 に 携わり、当事者では無い立ち位置から 民 俗芸能の保存・継承の重要性を提示した。 これを機に県内に於ける本テーマへの 議 論の深まりを期待する。 【参考文献】 秋田県教育委員会, 1993, 『秋田県の民俗芸能 -秋田県民俗芸能緊急調査報告書-』 秋 田県文化財調査報告書第 227 集 国際教養大学地域環境研究センター, 2013, 『秋 田民俗芸能アーカイブス』, 文化庁支援事 業秋田県内に於ける民俗芸能の調査研 究事業総合報告書 文化庁,国指定文化財等データベース,2016 URL w w w . k u n i s h i t e i b u n k a . g o . j p / b s y s / categorylist.asp

参照

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