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目次ア設置の趣旨および必要性 関西医科大学の沿革と建学の精神 看護学教育を取り巻く環境と大学院研究科設置の背景 看護学研究科博士前期課程 後期課程設置の趣旨及び必要性 ) 博士前期課程 ) 博士後期課程 看護学部と看護学

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関西医科大学大学院看護学研究科

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目次

ア 設置の趣旨および必要性 ... 1 1 関西医科大学の沿革と建学の精神 ... 1 2 看護学教育を取り巻く環境と大学院研究科設置の背景 ... 2 3 看護学研究科 博士前期課程・後期課程設置の趣旨及び必要性 ... 3 1)博士前期課程... 3 2)博士後期課程... 4 4 看護学部と看護学研究科の同時設置の必要性 ... 4 1)看護学部と看護学研究科(博士前期課程、博士後期課程)の必要性 ... 4 2)看護学部と看護学研究科を同時設置する意義 ... 5 5 入学者の確保... 8 1)博士前期課程... 8 2)博士後期課程... 10 イ 看護学研究科の特色 ... 11 1 博士前期課程... 11 1)人々の生活に根差した看護実践に必要な高度な専門性を有する人材の育成 ... 11 2)人々の健康に寄与するための教育能力を有する人材の育成 ... 12 3)看護実践を変革につなげる研究者としての基礎的能力を備えた人材の育成 ... 12 2 博士後期課程... 13 1)看護実践を創造し看護学の学術的発展を担う自立した教育研究者の育成 ... 13 2)環境と健康の関連を多角的な視野で捉え看護を革新する力を有する人材の育成 13 3)人々の健康と生活にかかわる社会システムの変革および構築を担う人材の育成 13 ウ 研究科,専攻等の名称及び学位の名称 ... 14 1 研究科・専攻の名称 ... 14 2 学位の名称 ... 14 エ 教育課程の編成の考え方及び特色 ... 14 1 教育研究上の目的 ... 15 1)教育理念 ... 15 2)ディプロマポリシー ... 15 3)カリキュラムポリシー ... 19 4)アドミッションポリシー ... 21 2 教育課程の特色 ... 21 1)4 つの看護分野 ... 21 2)博士前期課程... 22 3)博士後期課程... 30 3 修了後の進路... 35

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1)博士前期課程... 35 2)博士後期課程... 36 オ 教員組織編成の考え方及び特色 ... 36 1 教員組織編成の考え方 ... 36 1)博士前期課程... 36 2)博士後期課程... 36 2 教員組織体制... 37 3 教員組織の年齢構成 ... 37 4 教員の研究体制 ... 38 カ 教育方法、履修指導、研究指導の方法及び修了要件 ... 38 1 教育方法 ... 38 1)博士前期課程... 38 2)博士後期課程... 38 2 履修指導 ... 39 1)博士前期課程... 39 2)博士後期課程... 40 3)長期履修制度... 41 3 研究指導 ... 41 1)博士前期課程... 41 2)博士後期課程... 44 4 研究の倫理審査体制 ... 48 5 修了要件 ... 48 1)科目の評価 ... 48 2)博士前期課程... 48 3)博士後期課程... 49 キ 施設設備等の整備計画 ... 49 1 校地、運動場等 ... 49 2 校舎等施設(研究室及び講義室)の整備計画 ... 50 3 図書等の資料及び図書館の設備計画 ... 51 ク 看護学部及び博士前期課程と博士後期課程の関係 ... 52 ケ 入学者選抜の概要... 52 1 基本方針 ... 52 2 出願資格 ... 53 1)博士前期課程... 53 2)博士後期課程... 54 3 選抜方法 ... 54

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1)博士前期課程... 54 2)博士後期課程... 54 4 募集人員 ... 54 コ 実習(博士前期課程)の具体的計画 ... 55 1 実習の目的 ... 55 1)高度実践看護師コース ... 55 2)臨床看護教育者コース ... 56 3)研究者コース... 56 2 実習先の確保の状況 ... 56 3 実習方法 ... 57 4 実習先との連携と指導計画 ... 57 5 単位認定と評価 ... 57 サ 管理運営 ... 57 1 管理運営のための体制 ... 57 2 看護学研究科委員会 ... 58 3 その他委員会... 58 シ 自己点検・評価 ... 58 1 目的 ... 58 2 実施体制 ... 59 3 公表及び評価項目 ... 59 ス 情報の公表 ... 59 1 実施方法 ... 59 2 実施項目 ... 60 セ 教育内容等の改善を図るための組織的な取り組み ... 62 1 実施体制(規定・委員会) ... 62 2 教員の教育能力に関する資質維持向上のための方策 ... 62 3 教員の実践力と研究力及び研究指導力の資質維持向上のための方策 ... 63

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ア 設置の趣旨および必要性

1 関西医科大学の沿革と建学の精神 関西医科大学(以下、本学)は昭和3 年 6 月 30 日に現枚方市牧野に設立した大阪女子 高等医学専門学校を前身とし、その後、昭和29 年 12 月 1 日に関西医科大学と改称し男 女共学制となった。昭和35 年に医学進学課程(教養課程)、昭和 36 年に大学院(医学研 究科博士課程)を設置し、平成30 年度に開設 90 周年を迎える単科大学である。本学は 「慈仁心鏡」、すなわち慈しみ・めぐみ・愛を心の規範として生きる医療人を育成するこ とを建学の精神とし、自由・自律・自学を学風としている。 本学の教育理念は学問的探究心を備え、幅広い教養と国際的視野を持つ人間性豊かな 良医の育成であり、設立以降 8,260 名の卒業生を学術分野、医療分野に輩出してきた。 本学は医学部医学科、医学研究科に加え、研究施設として附属生命医学研究所を有し、 医学教育・医学研究に邁進している。医学研究科では医学に関する基礎生命科学の基礎 理論ならびに先端医療への応用を学習・研究することにより、医科学研究者として自立 し国際的研究活動を行うに必要な高度の研究能力と、指導的立場たるにふさわしい豊か な学識及び人間性を養うことを理念としている。 また附属医療機関として附属病院(751 床:大阪府枚方市)、総合医療センター(477 床:大阪府守口市)、香里病院(199 床:大阪府寝屋川市)と健診業務を中心とした外来 診療のみの天満橋総合クリニック(大阪府大阪市)を持ち、大学が所在する大阪府北東 部である北河内地区(枚方市、交野市、寝屋川市、四條畷市、守口市、門真市、大東市) の医療の中心を担っている【資料 1】。また高齢化により医療機関を退院後、在宅で療養 する高齢者への医療ニーズが高まってきていることから、平成28 年に香里病院に訪問看 護ステーションを設置した。 本学は医学進学課程を設置以降、牧野地区(枚方市)で教養教育を、滝井地区(守口 市)で基礎医学教育を、平成18 年からは附属病院のある枚方地区(枚方市)で臨床実習 を行っていたが、平成25 年に枚方地区に新学舎を建設し、医学部、医学研究科及び附属 生命医学研究所を移転させ、教養・基礎医学・臨床実習を実施している。 今般申請する看護学部は、少子高齢化社会の進行による疾病構造の変化や人々の生活 様式の変化に合わせた看護の提供ができる実践力を持つ看護職の育成を目的とし、医学 部の位置する枚方キャンパスに設置する予定である。医学と看護学を学ぶ学生が、隣接 する附属病院を主な実習の場として用い、お互いの専門性を高め合い共同して医療に取 り組む医療人を育成する予定である【資料2】。 本学では、医療の進歩や医療現場で求められる多種多様なニーズを満たすため、より 専門性に優れた知識と技術を持つ高度職業人としての看護職の育成と、実践の場で活躍

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する看護職の教育を担う教育者、実践の場を基軸とした研究を推進するための基礎的な 能力を有する研究者を博士前期課程で育成する。さらには自立して看護学の科学的研究 の体系化を推進する教育研究者を博士後期課程で育成するため、看護学研究科を設置予 定である。 2 看護学教育を取り巻く環境と大学院研究科設置の背景 社会環境等の急激な変化の中、わが国において、今後ますます複雑・多様化する人々 の健康状態およびニーズに応じるためには、保健・医療・福祉・教育の連携および充実 が急務である。厚生労働省は、世界各国の中でも類をみないスピードで進む高齢社会に 対応するべく、団塊の世代が75 歳以上となる平成 37 年(2025 年)までに、医療や介 護、予防、生活支援、住まいを一体的に提供する「地域包括ケア」の整備を全国に広げ る目標を掲げている。 高い比率のこどもの貧困問題、さらに日本各地で発生している大規模自然災害の影響 による健康問題等、全てのライフステージにおいて人々が健康で生活することへの課題 は山積しており、健康問題の予防や健康の維持・増進における地域での新たな取り組み が求められている。また、医療の高度化による健康問題の改善・解決への期待は大きく、 一方で大規模都市と地方における健康問題の相違も明らかとなり、また人の尊厳を尊重 する必要性も高まっている。この様な背景からも、看護が人々の生活と健康に関わる役 割は拡大して益々重要となってきており、新たな看護の在り方の検討は急務である。医 療機関内で活用できる知識や技術はもとより、地域社会において、保健・医療・福祉・教 育の連携においても必須の、看護のより専門的な知識、高度な技術、新たなケアプログラ ムおよびシステム開発が求められている。開発したものを実践の場で活用し、人の生活に 応じて修正することで効果的および質の高いケア提供を行うことが必要であり、さらに、 社会システムの改善のための研究の遂行や政策的なかかわりなど、人々の健康のために看 護職は様々な取り組みを行う必要がある。国民のニーズに対応できる人材育成のため、本 学では、様々な健康問題や課題および予防医療へ対応するための基盤となる能力を持つ「実 践者」育成を目的とする看護学部の設置を平成30 年度に予定している。 多様かつ複雑な保健・医療・福祉・教育の課題へ対応するためには、高度な専門的知識 と技術が必要であり、また、優れた研究能力やグローバルな視野の基に看護を取り巻く環 境で生じている現象を多角的な観点から捉え、新たな看護学の知識・技術の創造ができる 高度専門職業人としての看護職の育成が必要となる。この様な看護教育を取り巻く社会ニ ーズに応え、日本看護系大学協議会は、患者・家族に生じている複雑で高度な問題を総合 的に判断し、水準の高いケアを提供することを目的として、平成8 年に専門看護師(Certified Nurse Specialist:以下 CNS)制度を開始した。そして平成 28 年 12 月現在、13 の専門分 野で 1,678 名の専門看護師が全国で活躍している。教育は大学院修士課程・博士前期課程

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で行われており、全国で105 大学が認定された教育課程を設置している(平成 28 年 2 月現 在)。 看護は実践の科学であり、実践と教育・研究が循環することにより、初めて質の高い看 護の提供、さらに教育・研究の発展へとつながる。高度な看護実践および看護実践に主眼 を置いた教育研究を担う教育者には、教育力はもとより高い実践力と実践に根差した研究 力、およびそれらの力を統合しながら社会システムを変革する力が求められる。「教育体制 充実のための看護系大学院における教育者養成に関する調査研究報告」(平成 27 年 3 月) では、教員に必要な素養として、“十分な臨床経験”が求められている。また、“看護学と いう実践科学において、教員には、専門分野の優れた知識及び経験、研究業績、教育力と 多くのことが求められ、これら3つの力をもつ教員をどう育成していくかが課題である” ことが提示された。このように、現在の我が国の看護学教育の課題は、高度専門職業人と しての看護職の育成とともに、十分な看護実践の経験を持ち、実践に根差した優れた教育・ 研究能力を有する教育研究者の育成を早急に進めることである。 また、「新時代の大学院教育‐国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて‐答申」(平 成17 年 9 月)では、今後の知識基盤社会において、大学院が担うべき人材育成機能が 4 つ に整理されており、確かな教育力と研究力を備えた教員の育成が課題とされている。4つ の人材育成機能とは、①創造性豊かな優れた研究・開発能力を持つ研究者等の養成、②高 度な専門的知識・能力を持つ高度専門職業人の養成、③確かな教育能力と研究能力を備え た大学教員の養成、④知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材の養成、 である。 3 看護学研究科 博士前期課程・後期課程設置の趣旨及び必要性 本学は附属3病院と1クリニック、1訪問看護ステーションを有しており、学内におい ても、複雑で解決が難しい諸問題に対応できる専門職業人としての看護職の育成が急務と なっている。また、本学が位置する大阪北河内地区における医療、看護、介護、福祉水準 の向上のためにも、エビデンスに基づいた専門性の高いレベルの専門職業人としての看護 職の育成は重要である。 1)博士前期課程 看護学研究科博士前期課程においては、関西医科大学の建学の精神である「慈仁心鏡」 に基づき、深い教養と高い倫理観および人間愛を基盤とした精深な学識を授け、人々の尊 厳を尊重し、生命・健康、生活を統合した高度な実践力、研究力および教育力を養い、看 護学の進展・革新と共に社会の発展と平和に寄与する人材を育成することを理念とする。 エビデンスに基づいた専門性の高い看護実践および実践の場でのケアの質向上のための研

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究ができる実践者、保健・医療・福祉・教育の連携の実践の場において教育および研究を 通して横断的にケアの質向上に貢献できる教育者、また、看護に求められていること・看 護がなすべきことを多角的視点から捉え科学的根拠のもとに実践の場を基軸とした研究を 推進できる基礎的能力を身につけた研究者の育成を目指す。 博士前期課程では、6 領域、在宅看護学、精神看護学、こども看護学、老年看護学、慢性 疾患看護学、クリティカルケア看護学で高度実践看護師コースを開講予定としている。臨 床看護教育者コースは、西日本で初めての開設となる。疫学的・量的・質的研究方法を学 習し、文献検索・検討や学術論文執筆に関する優れた研究能力の醸成に重点を置いた研究 者コースの3 つのコースを備えている。 2)博士後期課程 看護学研究科博士後期課程では、自立した高度な研究力と教育力、新たなことへの挑戦 力、及び変革力を有し、長期的かつグローバルな視野で看護学の発展に寄与できる、実践 に根差し創造性豊かな高い教育・研究力を有する人材の育成を目指す。 「教育体制充実のための看護系大学院における教育者養成に関する調査研究報告書」 (平成26 年 3 月)では、全国 52 の看護学研究科への調査より、看護系大学院教育の 課題として“看護系教員の不足”、教育力の問題として“教員の教育力のバラつき”が 提示された。本学では、実践力を高める科目と教育力・研究力を高める科目を配置して いる。博士後期課程が目指す看護実践に根差した高い教育・研究力を有する教育研究者 の育成は、看護系大学院教育の課題へ対応できる人材育成であり、博士後期課程を設置 する意義は大きく、必要性は高い。 4 看護学部と看護学研究科の同時設置の必要性 1)看護学部と看護学研究科(博士前期課程、博士後期課程)の必要性 我が国では、近年、世界に類を見ない少子高齢化が進行し、近年社会情勢の変化や医 療技術の発展等により、医療を提供する場は従来の病院等の医療機関に限らず、自宅や 介護施設、訪問看護ステーションの利用など、地域を含めた医療の提供へとその形態が 大きく変化している。また社会・経済状況の影響、生活様式や労働条件の変化などが人々 の身体・精神に影響を与えており、健康な生活を維持する予防医療や暮らしの中での自 立支援など、看護に求められるニーズは多様化し、高度・専門化している。 これからの看護職は社会的要因の変動に対応し、医療機関の中だけではなく、人々の 暮らしの中での医療ニーズに応える必要がある。これらのニーズに応えるために、本学 では3 附属病院、1 クリニック及び訪問看護ステーションを活用することにより、地域に

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おける人々の健康状態を把握し、実践できる学生を学士課程で育成する。 研究科では学部と同様に本学が持つ施設を利用し、より専門的で高度な看護を必要と する場において、卓越した看護技術を持つ高度専門職業人を育成し、さらに看護学の教 育者、研究者、医療機関における管理者等、今後の医療現場に必要となる人材を育成す る。 社会の医療ニーズは、既存の看護の知識だけでは対応できない水準まで多様化してい る。例えば新たな看護の対象として、ゲノム医療の課題、生活体としてのリハビリテー ションの課題、高齢化社会において、加齢に伴う感覚機能の低下を抱えながらの生活の 再構築、労働力人口の高齢化に伴う健康維持課題等を想定する必要がある。社会がより 住みやすいものになるような政策提言を看護の視点から行うことは、今後の健康社会実 現に不可欠であり、これらの課題を理解し、その解決をめざせる人材育成が急務である。 本学の博士前期課程の高度実践看護師コースの修了生は、博士前期課程で修得した知 識と技術を提供しながら訪問看護はもちろんのこと地域医療の場で、老人看護、慢性疾 患看護をはじめとする高度実践看護師としてリーダーとなり、活躍することが見込まれ る。 臨床看護教育者コースの修了生は、臨床における知識と技術を身につけた教育者とし ての立場から地域医療に貢献できる。研究者コースの修了生は、地域のニーズに応える べく地域における課題を見出し、研究的に取り組むことができる。 博士後期課程の修了生は、自立した高度な研究力を用い長期的かつグローバルな視野 で、大学が設置されている枚方市あるいは近隣社会をはじめとして世界のフィールドを 視野に置き、地域で暮らす人々の健康に寄与するためのシステム構築や制度を策定し、 提言することが可能となる。さらに、挑戦力や変革力を基にして、新たに構築したシス テムを地域医療に導入し、今後の健康社会の実現へと導くことが見込まれる。 2)看護学部と看護学研究科を同時設置する意義 看護学を教授し、学問としての発展に寄与することは、大学の使命である。そのため、 大学院において教育・研究・実践経験をもつ教員を採用し、学部と看護学研究科を同時に 設置することとした。 看護学部と看護学研究科(博士前期課程、博士後期課程)を同時設置することで、看護 学を学ぶ学部学生へ、教育・研究がどのように学問としての発展につながるのか、また、 学問を追求し続ける意義を身近な場で示すこととなる。さらに、本学附属医療機関におい て、大学院学生が実習やフィールドワークおよび研究活動を行うことにより、大学と臨床 が協働した教育や研究活動を通じて、実践の質の向上に取り組むことの重要性、および、 実践・教育・研究が連動して看護学の発展につながることを提示することになる。本学看 護学部の1期生から大学院学生および看護職を身近なロールモデルとし、看護専門職のあ

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り方を学ぶことができる。一方、大学院学生は学部学生とのかかわりを通して、基礎教育 を体験的に学習するという利点がある。【図1】。 (1) 医療分野への貢献 本学は附属施設として大学病院、地域中核病院、地域密着病院、検診センター、訪問 看護ステーション等の特色ある医療機関を有しており、健康診断などの予防医療から重 篤な急性期の患者や慢性疾患を持つ患者の受け入れとその退院後のケアを行い、さらに 肥満外来を始めとする専門外来等、ニーズの高まりに応じた医療を提供している。これ ら様々な場所を学部学生から大学院学生までの教育・実習・研究の場とすることで、大 学と附属医療機関が共同で実践の質の向上に努めることになり、多様なニーズに応える 質の高い実践の提供に繋がる。また、学部学生は看護実践を充実させ、大学院学生の姿 や現場の看護職を通じて卒業後の進路を検討できる。大学院学生は実践に即した看護研 究を発展させ、それぞれの立場で、将来の保健・医療・福祉・教育分野に貢献できる人 材育成につながる。 (2) 看護における実践者・看護学教育者の育成 本学の看護学部・看護学研究科では両課程において実践者の育成を目的の一つとして いる。それぞれの課程において教授する内容に違いはあるが、着任予定の教員は博士号、 修士号の学位を有しており、教員が看護における実践者の育成について共通認識を持つ ことで高度職業人としての高い実践力を持つ看護職の育成が可能となる。学部において 様々な暮らしの場を基盤とする実践者を育成し、より高度な専門的知識や技術を持つ看 護職を博士前期課程で育成する。 また、喫緊の課題として、看護学という実践科学の教育を担う教員には、教育力が求 められている。本学の設置する看護学研究科では、博士前期課程と博士後期課程の両課 程において教育力を高めるための科目を配置している。大学院学生が、教育力を高める 科目を履修し、指導教員と共に学部学生の教育にかかわることで、体系的な学部教育に 必要とされる教育力を養うことができる。 (3) 看護学部と看護学研究科の同時設置による教育的効果 学部学生と大学院学生が同じ環境で学ぶことで、学部学生が大学院学生と実習施設・図 書館・シミュレーションセンターなど学内施設で交流を図ることができる。学部学生が大 学院学生の実践を追究する姿勢や、大学院生の教育実習・ティーチングアシスタントなど

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から講義・演習場面で安全で的確な技術力、リーダーシップの取り方などを体験的に学ぶ ことができる。また、看護における課題を探究する大学院学生の姿勢からは、高度職業人 としての看護職や看護学の教育者や研究者等、自身のキャリア像を大学院学生の姿を通し て具体的に描くことができる。 本学は、全教員が博士・修士の学位を有し、大学院教育をこれまでに担い、発展させた 経験を持つ教授陣を上位教員としている。看護における実践者、教育者、および、研究者 を育成する認識を持つ教員が教育にあたることで、質の高い学習を支援することができる。 学部教育では、クラス担任制とチューター制をとりながら、学生一人ひとりを尊重した 丁寧な指導体制を整えることが可能となる。学生は、広い視野と深遠な知識、豊かな臨床 経験を有する教員との相互作用により、専門職に必要とされる知識や技術のみだけではな く、幅広く豊かな人間力を培うことができると考えている。 大学院学生にとっては、教員と共に学部学生の教育に接することで、効果的な教授法や、 リーダーシップのあり方、授業の展開法などについて学ぶことができる。これらにより、 早期から教育者や研究者としての自覚を養うことができる。また、学部学生の柔軟な視点 から新たな学びを得られることが考えられる。大学院学生同士においては、博士前期課程 と博士後期課程の合同授業を配置し、経験や学びの段階が異なる者が様々な視点で学びを 共有する機会を設けることで、自己の考え方の広がりや深まりが期待できる。

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図1 看護学部と看護学研究科の関係性 5 入学者の確保 本学が看護学研究科の開設を予定している附属病院を含む学部校地は京阪電車の枚方市 駅徒歩5 分という立地にあり、京阪電車、JR 線、阪急電鉄などの鉄道網等の交通機関が整 備され、大阪市中心部、京都市中心部から30 分程度でアクセスでき、大阪府下のみならず 京都府や兵庫県、滋賀県南部、奈良県等からも通学することが可能である【資料3】。 1)博士前期課程 平成28 年(2016 年)4 月現在、本学が位置する関西地方では、博士前期課程を設置して いる日本看護系大学協議会会員校は30 大学である。そのうち高度実践看護師の専門看護師 教育課程の設置数は、1 課程から 8 課程とばらつきがあるものの、17 大学である。 本学は4附属医療機関と近畿地区の病院・診療所、介護保健関連施設、訪問看護ステー ション、地方自治体、大学関係者を対象としたアンケート調査を実施した。調査結果は以

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下である。 (1)本学附属施設の高度実践看護師雇用現状と今後の雇用希望 本学附属医療機関の病床数は、附属病院(751 床)、総合医療センター(477 床)、香里病 院(199 床)である。天満橋総合クリニックを含む4施設の各医療機関の看護部長を対象に 実施した調査(平成28 年 11 月 1 日)の結果、4施設における大学院修士課程を修了した 専門看護師資格者数は3 名、専門看護師教育課程在籍者は 2 名であった。 一方、将来の4施設での専門看護師雇用希望数は49 名、また、本学が育成する実践者の 教育を担うことができる臨床看護教育者の雇用希望者数は71 名であり、本学附属医療機関 の看護実践の質向上のためにも博士前期課程開設の必要性は高い。 (2)近畿地区の受験希望 近畿地区の病院・診療所、介護保健関連施設、訪問看護ステーション、地方自治体、大 学関係者888 名への調査から、博士前期課程においては、受験したいと回答したものが 150 名(16.9%)、合格した場合、入学したいと回答したものが 51 名(34.0%)であり、本学 が枚方市に新たに定員20 名の看護学研究科博士前期課程を開設した場合、該当地区におけ る入学希望者数は十分であり、定員は充足すると思われる。また、本学博士前期課程で学 びたい理由については、臨床の現場で活かせる高度な専門知識の習得と研究力を高めたい が、76 名(50.7%)、修士の学位を習得し、キャリアアップを図りたいが、51 名(34.0%) であった。本学博士前期課程では、看護実践、教育及び研究を通して、看護実践の質の向 上に寄与できる人材の教育が特色であり、臨床の場で活かせる高度の専門知識の習得と研 究力を高めるというニーズをも質的に満たすといえる。 (3)近畿地区の採用希望 近畿地区の病院・診療所、介護保健関連施設、訪問看護ステーション、地方自治体、大 学関係者232 件への調査から、博士前期課程修了者の採用希望調査結果は、採用したい 27 件、採用を検討したい45 件、どちらともいえない 130 件、採用しない 26 件であった。採 用可能人数は、1 名採用 24 件、2 名採用 16 件、3 名採用 3 件、4 名または 5 名採用が各 2 件であり、採用希望延べ人数は72 名である。本学で学ばせることに関する意向では、研修 制度(修学助成・休職など)を利用させ、進学・入学させたい4 件、現職のまま(社会人) 進学・入学させたい11 件、進学・入学を推奨するが、本人の意思に任せる 59 件、進学・ 入学を推奨する予定はない103 件であった。 実践に根差した看護に焦点を当てた本学博士前期課程修了生の採用に関する近畿地区の 保健・医療・福祉・教育機関の希望は多く、近畿地区の看護実践および看護学教育の質向 上への貢献としても、本学博士前期課程開設の必要性は高いといえる。

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2)博士後期課程 平成28 年(2016 年)4 月現在、大学院博士後期課程を設置している日本看護系大学協議 会会員校は94 大学である。大阪府と近隣 1 府 5 県で博士後期課程を設置しているのは 11 校、そのうち私立大学は 2 校である。 本学は、近畿地区の病院・診療所、介護保健関連施設、訪問看護ステーション、地方自 治体、大学関係者を対象としたアンケート調査を実施した。調査結果は以下である。 (1)近畿地区の受験希望 調査対象888 名で、最終学歴が大学院と回答した 19 名に対して本学看護学研究科博士後 期課程の受験意志を質問した結果、受験希望者は 8 名であった。合格した場合の入学希望 は5 名、状況により入学を希望する者は 3 名である。入学を希望する 8 名が本学で学びた い理由は、臨床の現場で活かせる高度な専門知識の修得と研究力を高めたい 4 名、博士の 学位を取得し、キャリアアップを図りたい3 名、将来、教育者や研究者になりたい 1 名で あった。また、「受験しない」と回答した 11 名に対して、その理由を質問したところ、4 名 が「もっと詳しい情報を得た上で検討したいから」を挙げており、今後の広報活動を通し て、4 名は将来博士後期課程の志願者となりえる看護職が存在する。 本学の博士後期課程は教育研究コースでありながらも実践に重点をおいていることより、 高度実践看護師である専門看護師が将来的に進学を考えた時、本学博士後期課程は進学の 選択肢として考えやすいといえる。 また、本学の博士前期課程修了生が継続して博士後期課程への進学を希望することは可 能であるため、博士前期課程の完成年度からは本学前期課程修了生も後期課程の志願者と なる。 (2)近畿地区の採用希望 近畿地区の病院・診療所、介護保健関連施設、訪問看護ステーション、地方自治体、大 学関係者 232 件から回答を得た、本学看護学研究科博士後期課程修了者の採用希望調査結 果は、採用したい19 件、採用を検討したい 35 件、どちらともいえない 135 件、採用しな い39 件であった。採用可能人数は、1 名採用 19 件、2 名採用 11 件、3 名採用 2 件、4 名 または5 名採用が各 1 件であり、採用希望延べ人数は 56 名である。本学で学ばせることに 関する意向では、研修制度(修学助成・休職など)を利用させ、進学・入学させたい4 件、 現職のまま(社会人)進学・入学させたい13 件、進学・入学を推奨するが、本人の意思に 任せる102 件、進学・入学を推奨する予定はない 60 件であった。 実践に根差した看護に焦点を当てた本学博士後期課程修了生の採用に関する近畿地区の 保健・医療・福祉・教育機関の希望は多く、近畿地区の看護実践および看護学教育の質向

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上への貢献としても、本学博士後期課程開設の必要性は高いといえる。 また、看護学教育において、「実践の科学」の発展に貢献する教育研究者として、国内外 を問わず社会に貢献するものと考える。

イ 看護学研究科の特色

医療技術や医療機器の発展に伴い、医療現場で看護に求められる実践力が高度化してい る。また近年、少子高齢化等の社会的変化により看護に求められるニーズが多様化かつ複 雑化している。それらの変化に伴い看護の実践の場は、医療機関のみならず、在宅へとシ フトしている。従来の看護領域にのみならず地球環境の変化に伴う災害や国境を越えた 人々の移動に伴い、看護の領域はますます広がりをみせている。そのような看護をめぐる 環境が多様化・複雑化する中で、今後の保健・医療・福祉・教育の現場で求められている 看護の新たな役割を考え、看護が今後どのように変容していくかを予想し、新たな時代に 即した看護を自ら切り開いていく人材を育成する。 1 博士前期課程 「大学における看護系人材育成の在り方に関する検討会最終報告」(平成23 年 3 月)に おいても、大学院における看護系人材育成の基本方針が示され、大学院で育成が期待され る人材として、教育者、研究者、高度専門職業人が挙げられている。 本学の教育理念に立脚し、博士前期課程では大学院で期待される人材の育成を前提にし ながら、本学の医学部、附属病院と隣接している資源を最大限に活かして、1)人々の生 活に根差した看護実践に必要な高度な専門性を有する人材の育成、2)人々の健康に寄与 するための教育能力を有する人材の育成、3)看護実践を変革につなげる研究者としての 基礎的能力を備えた人材の育成を主眼とする。 1)人々の生活に根差した看護実践に必要な高度な専門性を有する人材の育成 人々の生活に根差した看護実践に必要な高度な専門性を有する実践能力を培うためには、 看護の現状を理解し、そこでの気づきを自らの課題として深く掘り下げ、自らの課題を明 確にしていく力が不可欠である。本学博士前期課程では、本学の医学部および附属医療機 関と連携しながら、看護実践に必要な高度な専門性について体系的に学ぶ。

米国をはじめとした先進国では、修士号を持つAdvanced Practice Nurse(以下 APN) の制度が整備されており、ケアとキュアを融合させた看護サービスが提供されている。APN は、予防や生活調整を行うことによって疾病による社会的損失を回避することで国民の健 康に貢献し、医療の経済性の点でもその成果が認められている。我が国では、高度化・複

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雑化する医療への対応として、患者・家族に起きている問題を総合的に判断する力と広い 視野を持って、水準の高い看護ケアを提供することを目的として、平成 8 年に専門看護師 制度が開始されている。本学博士前期課程においても、高度実践看護師コースとして、在 宅看護学、精神看護学、こども看護学、老年看護学、慢性疾患看護学、クリティカルケア 看護学の6つの領域を置く。 2)人々の健康に寄与するための教育能力を有する人材の育成 平成4 年(1992 年)の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の施行を契機に、平 成3 年(1991 年)に 11 大学だった看護系 4 年制の学部学科は、平成 28 年(2016 年)に は 254 校まで増加(日本看護系大学協議会会員校)している。近年、看護学部の設立が急 増したこと、また同様に大学院の設置も増加したことを受け、教員数も必要となり、臨床 における教育を担える人材が不足している。高度化・複雑化する医療の動向を理解し、看 護学を体系的に教授し、学士課程が求める教育を提供できる教育者の育成も看護分野にお いて急務となっている。 実践の科学である看護学の教育には、看護実践における学習のプロセスで得た経験を学 部教育へとフィードバックすることが不可欠である。自らの看護実践経験をもとに、看護 の教育的視点からとらえた様々な課題についてエビデンスに基づき、論理的・多角的に分 析をし、看護の教育者としてふさわしい知識と教育について学習することは、実践者への 教育を通して人々の健康への寄与につながる。実践者への教育を通して人々の健康に寄与 するための教育能力を備えた臨床看護教育者の育成は、卒業後の看護職の離職率の低下を 防ぎ、定着率が安定しない課題へ貢献することになる。 3)看護実践を変革につなげる研究者としての基礎的能力を備えた人材の育成 「チーム医療の推進に関する検討会報告書」(平成22 年 3 月厚生労働省)では、看護師 については、あらゆる医療現場において、診察・治療等に関連する業務から患者の療養生 活の支援に至るまで幅広い業務を担い得ることから、いわば、「チーム医療のキーパーソン」 として患者や医師その他の医療スタッフから寄せられる期待は大きいとされている。多職 種に対して看護の判断に基づく主体的な意見をもって、専門性を発揮するべく自律性がい っそう求められるようになったといえる。 そのため、看護の質向上に向けて実践に即した看護学の研究を推進し、看護実践を変革 につなげることができる研究者の育成が喫緊の課題である。同時にこのような人材を実践 の場において研究指導できる人材の育成も必要である。本学博士前期課程では、実践の科 学における研究者としての基礎的能力を備え、研究疑問から研究課題へとつなげ、実践に 活かすべく臨床研究に積極的に取り組むことのできる人材の育成を主眼とする。

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2 博士後期課程 多様化・複雑化する人々の健康問題や課題に実践の科学である看護が応えるためには、 現在の看護実践を見直し、新たな知の創造や技術の開発を行う必要があり、また、教育を 通して推進することが重要である。本学の教育理念に立脚し、博士後期課程では大学院で 期待される人材の育成を前提にしながら、本学の医学部、附属病院と隣接している資源を 最大限に活かして、1)看護実践を創造し看護学の学術的発展を担う自立した教育研究者 の育成、2)健康と環境の関連を多角的な視野で捉え看護を革新する力を有する人材の育 成、3)人々の健康と生活にかかわり社会システムの変革および構築を担う人材の育成を 主眼とする。 1)看護実践を創造し看護学の学術的発展を担う自立した教育研究者の育成 科学の歴史や哲学と看護との関連、さらに学問体系における看護学の位置づけを理解し、 看護実践に根づいた知識・技術の発展を牽引するために必要な自立した研究力と、生み出 した知識を広く社会に発信する能力を培う教育を提供する。さらに本学では、附属医療機 関および関連施設の教職員と連携した教育・研究活動等を通して、多職種と連携し実践に 根差した教育研究活動を展開し、本学博士後期課程が目指す、自立した高度な研究力と教 育力、新たなことへの挑戦力、および変革力を有し、長期的およびグローバルな視野で看 護学の発展に寄与できる、創造性豊かな教育力と研究力を有する人材の育成を行う。 2)環境と健康の関連を多角的な視野で捉え看護を革新する力を有する人材の育成 世界規模で多発する大規模自然災害、経済成長を主体とすることによる環境汚染、戦争 やテロによる自然環境破壊や人命への影響、貧困による健康問題等、自然環境や社会環境 等が人々の身体面や精神面の健康に与える影響が増大している。この様な環境が人々の健 康に与える影響をローカルおよびグローバルな視点で捉え、人々の生活に根差した文化や 習慣等を考慮しつつ、幅広い視野の基に新たな看護を創造するための知識と看護の学識者 としての責任と役割を果たすべく教育を提供する。多様化・複雑化していく環境問題と健 康との関連を看護職として柔軟に捉え、人々が様々な健康問題や課題に自らの力で対応す る力を支える次世代の看護の構築のため、我が国の医療施設を中心に展開してきた看護の 知識・技術を革新する力を有することができる人材を育成する。 3)人々の健康と生活にかかわる社会システムの変革および構築を担う人材の育成

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人々の健康と生活に直接かかわる看護職は、人々の健康な生活を推進し社会がより住み やすくなるための政策的な働き掛けを担い、また、自ら社会システムの変革や構築を担っ ている。本学博士後期課程では、政策的な働き掛けについて学ぶ科目を配置し、また、専 門科目の演習では各自の目的に応じた保健・医療・福祉・教育等の場所でのフィールドワ ークを行う。これらにより得られた、高い教育・研究力を基に国内外の専門家と協働し、 国内はもとより国際的な場において人々の安全や安心、生活の質(Quality of life:QOL) のために活躍する人材を育成する。

ウ 研究科,専攻等の名称及び学位の名称

1 研究科・専攻の名称 今般設置する研究科、専攻名称は看護学研究科看護学専攻とする。建学の精神である「慈 仁心鏡」に基づき、看護学研究科は、深い教養と高い倫理観および人間愛を基盤とした精 深な学識を授け、人の尊厳を尊重し、生命・健康・生活を統合した高度な看護実践力、研 究力および教育力を養い、看護学の進展・革新と共に社会の発展と平和に寄与する人材を 育成することを教育理念としている。看護学部では、看護学の教育における学問の専門分 野を「看護学」としており、研究科においても専門分野を「看護学」とする。研究科名を 看護学研究科とし、専攻名称を看護学専攻とすることによって、その目的と育成する人材 を端的に表すものである。

1)研究科名:看護学研究科(Graduate School of Nursing) 2)専攻名:看護学専攻

(1)博士前期課程(Master Program in Nursing) (2)博士後期課程(Doctoral Program in Nursing) 2 学位の名称

学位名称は以下の通りとする。英語名称に関しては、国際的な通用性に留意して表現す る。

1)博士前期課程:修士(看護学)(Master of Science in Nursing:M.S.N) 2)博士後期課程:博士(看護学)(Doctor of Philosophy in Nursing:Ph.D.)

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1 教育研究上の目的 1)教育理念 関西医科大学の建学の精神である「慈仁心鏡」に基づき、看護学研究科は、深い教養と 高い倫理観および人間愛を基盤とした精深な学識を授け、人の尊厳を尊重し、生命・健康・ 生活を統合した高度な看護実践力、研究力および教育力を養い、看護学の進展・革新と共 に社会の発展と平和に寄与する人材を育成することを教育理念とする。 (1) 博士前期課程 看護学に必要な広い視野に立った学識を授け、人の生活に根差した看護実践に必要な高 度な専門性を有する実践能力、または、実践者への教育を通して人々の健康に寄与するた めの教育研究能力を養う。看護実践を変革し、研究者としての基礎的能力を養うことで、 国内外において活躍しうる人材の育成を目的とする。 (2) 博士後期課程 自立した高度な研究力と教育力、新たなことへの挑戦力、および変革力を有し、長期的 およびグローバルな視野で看護学の発展に寄与できる、創造性豊かな教育力と研究力を有 する人材の育成を目的とする。 2)ディプロマポリシー 本学の理念や社会の要請などを踏まえ、学生が身につけるべき資質・能力を明確化し、 達成するために、以下のディプロマポリシーを定める。 (1) 博士前期課程 <共通> ① 保健・医療・福祉・教育に関する情報を多面的に収集し、科学的・論理的に考察し、 多職種と協働できる ② 看護実践および教育と関連した研究課題について探究できる ③ 人々の生活の質(Quality of life:QOL)のため、看護実践の変革に寄与できる <高度実践看護師コース> ① 医療の専門家であるという自覚と高い倫理観に基づいた高度看護実践を提供できる ② 地域で暮らす人々の歴史や環境を理解し、生活に根差した健康の維持・推進のため系統 的な高度看護実践を提供できる

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③ 高度先進医療を受ける人々、さらに受けた人々の多様な状況・社会背景を理解し、中・ 長期的な視野での高度看護実践を提供できる <臨床看護教育者コース> ① 看護職の看護実践能力育成のため、エビデンスに基づく体系的な教育プログラムを開 発できる ② 看護職の能力開発のため、個別または集団への教育や支援ができる <研究者コース> 実践に根差した研究課題に必要な研究方法を用い、研究に取り組むことができる 博士前期課程においては、高度実践看護師コース、臨床看護教育者コース、研究者コー スの3コース共通ならびに各コースごとに特徴的なディプロマポリシーを定めた。3つの コースは4つの分野(看護基盤、広域看護、生涯発達看護、治療看護)それぞれに設けて おり、ディプロマポリシーと科目との関係を図2に示す。

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図2 博士前期課程 ディプロマポリシーと科目との関係 <共通科目> 研究法 疫学的研究法、量的研究法、質的研究 法 特別科目 環境看護論Ⅰ看護の課題・展望Ⅰ、家族 看護学、リハビリテーション看護論、災害 看護学 フィ ジカ ル看 護学 共通科目B 高度フィジカルアセスメント、高度病態生 理学、高度臨床薬理学、臨床推論・診断 学 高度 実践 看護 学 共通科目C 高度実践看護師の役割と機能、ヘルスプ ロモーション・疾病予防、プライマリケア看 護、医療の質保障と安全管理 <共通> <研究者コース> ディプローマポリシー  科目 治療看護分野特別研究  ① 保健・医療・福祉・教育に関する情報を多面 的に収集し、科学的・論理的に考察し、多職種 と協働できる ② 看護実践および教育と関連した研究課題に ついて探究できる ① 医療の専門家であるという自覚と高い倫理 観に基づいた高度看護実践を提供できる <高度実践看護師コース> 生涯発達看護分野特別研究  広域看護分野特別研究  精紳看護学 (高度実践看護 師コース) 精神看護関連制度・諸理論、精神看護アセスメ ント技術、精神看護治療技術、精神看護調整技 術、リエゾン精神看護学、精神高度看護学実習 Ⅰ、精神高度看護学実習Ⅱ、精神高度看護学 実習Ⅲ ③ 高度先進医療を受ける人々、さらに受けた 人々の多様な状況・社会背景を理解し、中・長 期的な視野での高度看護実践を提供できる 基盤看護分野特別研究 基礎看護学 (研究者コース) 看護教育学 (臨床看護教育 者コース) 国際看護学 (研究者コース) 共通科目A看護理論、看護管理学、看護教育論、コンサルテーション論、看護倫理、看護政策論 看護 学共 通科 目 <専門科目>基盤看護分野 ① 看護職の看護実践能力育成のため、エビデ ンスに基づく体系的な教育プログラムを開発で きる <臨床看護教育者コース> 看護開発論、看護開発演習、看護生体 情報特論、看護生体情報演習 看護学教育論、看護人材開発・生涯学習論、看 護実践教育カリキュラム開発演習、看護実践教 育実習Ⅰ(基礎教育)、看護実践教育実習Ⅱ (看護継続教育)、看護実践教育実習Ⅲ(統合 実習) 国際看護学特論、国際看護学方法論、国際 看護学演習、国際看護学実践 地域看護学 (研究者コース) 地域看護学特論、地域看護支援論、地 域看護学演習Ⅰ、地域看護学演習Ⅱ 在宅看護学 (高度実践看護 師コース) 在宅看護・福祉関連制度、訪問看護ステーショ ンの管理と運営、在宅看護アセスメント技術、在 宅看護治療技術、在宅看護調整技術、在宅高 度看護学演習Ⅰ、在宅高度看護学演習Ⅱ 、在 宅高度看護学実習Ⅰ、在宅高度看護学実習 Ⅱ、在宅高度看護学実習Ⅲ ③ 人々の生活の質(Quality of life:QOL)のた め、看護実践の変革に寄与できる <専門科目>広域看護学分野 <専門科目>生涯発達看護分野 <専門科目>治療看護分野 ② 地域で暮らす人々の歴史や環境を理解し、 生活に根差した健康の維持・推進のため系統 的な高度看護実践を提供できる こども看護学 (高度実践看護 師コース) こども健康生活論、こども看護援助論、こども臨 床推論・診断学、こども看護治療技術 、こども看 護調整技術、こども高度看護学演習Ⅰ、こども 高度看護学演習Ⅱ、こども高度看護学実習Ⅰ、 こども高度看護学実習Ⅱ、こども高度看護学実 習Ⅲ 母性看護学 (研究者コース) 母性看護対象論、女性健康支援論、女性健 康活動論、母性高度看護学演習Ⅰ、母性高 度看護学演習Ⅱ 老年看護学 (高度実践看護 師コース) 老年看護学理論、老年看護学アセスメント論、 老年看護学援助論、老年看護学病態・治療論、 老年社会システム論、老年高度看護学演習Ⅰ、 老年高度看護学演習Ⅱ、老年高度看護学実習 Ⅰ、老年高度看護学実習Ⅱ、老年高度看護学 実習Ⅲ ② 看護職の能力開発のため、個別または集団 への教育や支援ができる 実践に根差した研究課題に必要な研究方法を 用い、研究に取り組むことができる 慢性疾患 看護学 (高度実践看護 師コース) 慢性疾患看護概論、慢性疾患看護アセスメン ト・治療技術、慢性疾患看護調整管理技術 、慢 性疾患・がん予防看護学、緩和ケア、慢性疾患 看護学演習Ⅰ、慢性疾患看護学演習Ⅱ、慢性 疾患看護学実習Ⅰ、慢性疾患看護学実習Ⅱ、 慢性疾患看護学実習Ⅲ クリティカル ケア看護学 (高度実践看護 師コース) クリティカルケア看護学概論、急性・重症患者看 護治療技術、急性・重症患者看護管理技術、ク リティカルケア・がん治療看護学、クリティカルケ ア看護学演習Ⅰ、クリティカルケア看護学演習 Ⅱ、クリティカルケア看護学実習Ⅰ、クリティカル ケア看護学実習Ⅱ、クリティカルケア看護学実 習Ⅲ

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(2) 博士後期課程 ① 看護実践に不可欠な科学的・学際的な知識を基に看護実践を創造するための自立した 研究活動、および次世代の看護を見据えた教育力をもつことができる ② 国内外の専門家と協働して、人々の健康と生活にかかわる社会システムの構築および 変革を行うことができる ③ 看護が社会に果たすべき役割を自覚し、専門職としての高い倫理観と責任感を基に看 護実践を革新するための開発を行うことができる ④ 人々の生活の質(Quality of life:QOL)、社会の発展および平和に貢献することがで きる。 ディプロマポリシーと科目との関係は、各ディプロマポリシーは共通科目、専門科目、 特別研究と関連しており、ひとつのディプロマポリシーに関連する科目は複数ある。その ため、各々のディプロマポリシーと科目との関連を明瞭とするため、関係を図3 に示す。

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図3 博士後期課程 ディプロマポリシーと科目との関係 3)カリキュラムポリシー ディプロマポリシーを踏まえた教育課程編成、教育内容・方法を明確化し、以下のカリ キュラムポリシーを定める。 (1)博士前期課程 英語論文作成法 看護学特別研究 基盤看護学 特論・演習 広域看護学 特論・演習 生涯発達看護学 特論・演習 治療看護学 特論・演習 <専門科目> <特別研究> 人々の生活の質(Quality of life:QOL)、社会の発展および平 和に貢献することができる 国内外の専門家と協働して、人々の健康と生活にかかわる社 会システムの構築および変革を行う 環境看護論Ⅱ 看護の課題・展望Ⅱ 脳科学と行動 看護が社会に果たすべき役割を自覚し、専門職としての高い 倫理観と責任感を基に看護実践を改革するための開発を行う ことができる 研究計画Ⅰ 研究計画Ⅱ 看護実践に不可欠な科学的・学際的な知識を基に看護実践を 創造するための自立した研究活動、および次世代の看護を見 据えた教育力をもつことができる 質的看護研究法発展 看護介入研究法発展 看護高等統計学     科目 看護と科学 看護の概念・ 理論構築 看護学研究法 看護生体科学研究 ディプローマポリシー   <共通科目>

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医科大学の中の看護学研究科として、附属医療機関をはじめ、総合クリニックや訪問看 護ステーションなど、様々な医療提供ができる施設を併せ持つ本学の特徴を最大限に活か した科目で構成する。 <共通> ① 実践を支えるための基本的な理論を学ぶ授業を配置する ② 環境と健康との関連を、地域、国内、国際的視野で捉え、看護がなすべき方向や課題 を考え、変革する力を養うための科目を博士後期課程と合同で配置する ③ 看護実践、教育と研究を有機的に連動させ、科学的根拠に基づいた看護実践へと変革す るための研究法の授業を配置する ④ 看護の専門的知識を実践に根差して捉えるため、専門領域には講義・演習・実習を配置 する <高度実践看護師コース> ① 人々の多様な状況・背景を理解し、高度看護実践力を獲得するために、実習環境を整 える ② 学生が自ら実践力を客観的に判断し高度看護実践へと導くため、シミュレーション教 育を積極的に導入する <臨床看護教育者コース> 看護基礎教育、新人教育、継続教育等の看護教育を受ける者の発達段階やレディネス に応じた教育が展開できるよう、環境を整える <研究者コース> 一連の研究プロセスを重点的に学び、研究を遂行するために、研究課題を焦点化する目 的で演習(フィールドワーク等)を配置する。 (2)博士後期課程 博士後期課程では、人の健康に関わる多様な自然環境や社会環境等の変化の中で展開さ れている看護実践における現象を、地域に根差しつつもグローバルな視野の基に分析し、 今後、看護が果たすべき方向や課題を見極め、看護実践を革新することができる人材育成 を目指したカリキュラムを編成する。 ① 看護学の学術的発展を教育・研究を通して担う力を修得するための基盤となる看護理 論や研究法を学ぶ授業を配置する

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② 環境と健康との関連を、地域、国内、国際的視野で捉え、看護がなすべき方向や課題 を洞察、革新する力を養うための科目を配置する ③ 専門分野の学識を深めるため、専門分野には特論と演習を配置する ④ 看護を取り巻く環境で生じる現象を多角的な観点から捉え自立した研究能力を培うた め、多様な研究法の講義・演習を配置する 4)アドミッションポリシー ディプロマポリシー、カリキュラムポリシーの目標・内容を踏まえ、受け入れ入学者に 求める能力をアドミッションポリシーとして定める。 (1) 博士前期課程 ① 高い倫理観を基盤に、自らの看護の力について語れる人 ② 看護実践で生じる様々な現象や課題を見極め、看護の質向上に寄与したい人 ③ 看護あるいは保健・医療・福祉・教育における新たな問題を自主的に解決したい人 ④ 実践に根ざした研究課題に取り組むために必要な研究方法を学びたい人 (2) 博士後期課程 ① 人の尊厳を尊重し、高い倫理観のもとで社会に貢献する意思と使命感を有する人 ② 専門分野に精通した知識と柔軟な発想を有する人 ③ 看護実践力を基盤とし看護を取り巻く環境で生じる現象を見極め、教育と研究を推進 できる人 ④ 生活する人の視点とグローバルな視野を併せ持ち、看護の革新を目指す人 ⑤ 看護学の発展につながる研究力・教育力および革新する力を高めることへの強い意志 を有する人 2 教育課程の特色 1)4 つの看護分野 本学看護学研究科の教育課程は、博士前期課程・後期課程ともに基盤看護、広域看護、 生涯発達看護、治療看護の4 分野からなり、各分野は下記領域を含む。 ① 基盤看護分野

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「基礎看護学」「看護生体学」「看護学教育」「国際看護学」の 4 領域を含み、実践の科 学である看護の基盤研究を推進する研究者、臨床看護教育者、および、国際的に活躍す る人材育成を目的とする。 ② 広域看護分野 「地域看護学」「在宅看護学」「精神看護学」の 3 領域を含み、看護を受ける場を限定 せずに広域に対応できる人材育成を目的とする。 ③ 生涯発達看護分野 「こども看護学」「母性看護学」「老年看護学」の 3 領域を含み、発達段階に焦点をあ てた看護を提供できる人材育成を目的とする。 ④ 治療看護分野 「慢性疾患看護学」「クリティカルケア看護学」の2 領域を含み、治療に焦点を当てた 看護が提供できる人材育成を目的とする。 2)博士前期課程 博士前期課程における教育課程の編成において、共通科目は、ディプロマポリシーに則 って、高度実践看護師、臨床看護教育者、研究者の 3 コースの育成に必要な共通科目を配 置している。専門科目では、看護の専門的知識を実践に根差して捉えるため、4 つの分野に 講義・演習・実習を配置し、さらに専門性に焦点をあてた研究課題を探究し、発展させる ために特別研究を設けている。 カリキュラムポリシーと科目の配置【資料4】 (1)実践を支えるための基本的な理論を学ぶ授業 <共通科目A> 3 つのコースに共通の保健・医療・福祉・教育に関する情報を多面的に収集し、科学的・ 論理的に考察し、多職種と協働できるというディプロマポリシーに則り、高度看護実践、 臨床看護教育者、研究者に共通する科目群として、「看護理論」、「看護管理学」、「看護教育 論」、「コンサルテーション論」の看護学共通科目を配置する。高度看護実践の基礎となる 看護理論や医療職におけるリーダーシップと調整等、医療職に対する教育や相談活動に必 要となる知識等、高度実践看護師、医療機関における教育者に必要となる知識を修得し、 専門科目の履修に必要な知識と技術の修得を図る。 「看護倫理」では、看護職として高い倫理的判断を養い、倫理的課題に介入できる能力 を育成する。特に、高度実践看護師コースでは、医療の専門家であるという自覚と高い倫

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理観に基づいた高度看護実践を提供できるというディプロマポリシーに関連した科目であ る。「看護政策論」では看護を巡る我が国の保健政策・社会保障政策について学ぶ。 ① 「看護理論」(2 単位、1 年 1 学期、選択):看護理論の意義、看護理論の機能と構成要 素等、高度実践看護師としての看護実践の基盤となる看護における諸理論について理 解を深める。また自らの関連分野の臨床における課題を記述し、看護実践における中 心概念及び関連する理論を明らかにし、実践への理論活用に向けた可能性を探求する。 ② 「看護管理」(2 単位、1 年 3 学期、選択):看護管理に役立つ理論とスキルとして、看 護マネジメント、看護の質改善、組織マネジメント、人材資源活用等について学ぶ。 またスタッフの育成・教育にかかわる課題や経営的な視点を含めた組織運営にかかわ る課題を調整・解決するための基盤となる力を身につける。 ③ 「看護教育論」(2 単位、1 年 1 学期、選択):経験型実習教育を支える理論を中心に、 看護師育成を支援するための技術や、主体的に学ぶ学習者中心のカリキュラムの提供、 教員と学生の共同作業で探求する教材化の過程、研修プログラムや評価に至るまで、 看護学教育の基盤となる理解を深める。 ④ 「コンサルテーション論」(2 単位、1 年通年、選択):看護コンサルテーションの概念 および実践モデルを理解し、高度実践看護師の役割としてコンサルテーションの具体 的な展開方法を修得する。またコンサルタントの役割、個人もしくは組織を対象とし たコンサルテーションのプロセス、コンサルテーションの意義と成果、実践方法に関 する理解を深める。 ⑤ 「看護倫理」(2 単位、1 年 1 学期、必修):ヘルスケアや保健政策、看護実践、看護研 究などで生ずる倫理的ジレンマについて倫理理論の理解や価値分析を通して自己の考 え方を見直し、考察する。また倫理的課題が浮上する社会的背景について歴史を踏ま え理解し、人それぞれの立場での価値観や意見の違いのために生ずる葛藤について、 分析・発言できる力を身につける。 ⑥ 「看護政策論」(2 単位、1 年 3 学期、選択):保健医療福祉政策と看護サービス提供に かかる政策動向を社会構造や国民のニーズの変化と合わせて理解するとともに、専門 看護師に求められるケアシステムの改善を通して看護実践を向上させるための基本的 な能力の育成を図る。具体的には、政策決定過程の理解とそれに参画するための方法 を学ぶとともに、地域や臨床での看護実践経験と看護政策の関連を考察し、身近な看 護政策を発展させるために必要な政策提言ができるよう授業を展開する。これらを通

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じて、変革者としての専門看護師のあり方を展望する。 (2)看護実践、教育と研究を有機的に連動させ、科学的根拠に基づいた看護実践へと変 革するための研究法の授業 これらは、3 つのコース共通のディプロマポリシーに則り、看護実践および教育と関連し た研究課題について探究できることを目指して配置した科目群であり、研究者コースのデ ィプロマポリシー、実践に根差した研究課題に必要な研究方法を用い、研究に取り組むこ とができることにも通ずる。 「疫学的研究法」では統計処理を含め、「量的研究法」、「質的研究法」では看護の課題に ついて論理的に科学的根拠を持って研究する姿勢を培う。介入研究についての基礎を学ぶ。 ① 「疫学的研究法」(2 単位、1 年 2 学期、選択):看護領域における高度な疫学的研究法 を修得するために、看護研究者による疫学的研究について学ぶ。また研究方法の信頼 性・妥当性、よく用いられる保健統計について、科学的根拠に基づいた看護の実践に結 び付けられるように、統計学的な専門用語と分析結果を正しく理解する力を身につける。 ② 「量的研究法」(2 単位、1 年 2 学期、選択):文献クリティークを通し、システマティ ックレビュー、及びアカデミックライティングを中心に看護研究過程について学ぶ。ま た量的研究法を使った看護研究を実施していくうえで最低限に必要な研究方法につい て、研究デザイン、データ収集(量的測定法)、分析方法(信頼性・妥当性の検証等)、 全般的に学ぶ。 ③ 「質的研究法」(2 単位、1 年 3 学期、選択):文献クリティークを通し、システマティ ックレビュー、及びアカデミックライティングを中心に看護研究過程について学ぶ。ま た質的研究法を使った看護研究を実施していくうえで最低限に必要な研究方法につい て、研究デザイン、データ収集(面接法、参加観察法)、分析方法(質的帰納的方法、 信頼性の確保)等、全般的に学ぶ。 (3)変革する力を養うための授業 ① 「環境看護論Ⅰ」(2 単位、1 年 2 学期、選択):看護の主要な概念である「環境」の意 義や調整する方法について、対象が安全・安楽に過ごす ための物的環境、人的環境、 管理的環境、ならびに生体環境への働きかけに関して、看護学的な視点を体系的に学ぶ とともに、看護技術の原理や工夫について、その科学的な根拠を明らかにしながら、と くに「生活・療養環境のデザイン」、「看護用品・用具の開発」、「看護の情報活用と遠隔 看護技術」など、最新の看護技術の研究成果を紹介しながら教授する。

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② 「看護の課題・展望Ⅰ」(2 単位、1 年 2 学期、選択):過去・現在における国内外の看 護界での重要なトピックや課題等について、その背景を基に考察し、臨床に根差した実 践・教育・研究にかかわる立場から、今後の看護の方向性や課題、および各自の役割・ 課題等について探求する。 ③ 「家族看護学」(2 単位、1 年 2 学期、選択):健康問題をもつ人を含む一単位の家族を 看護の対象として捉え、家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよ う、支持的・予防的・治療的に支援する家族看護学の理念や理論、方法を学ぶ。家族の 病気体験を理解し、家族をアセスメントする視点を学び、様々な健康レベル、発達段階、 状況の家族を取り上げて分析することで、家族像を形成する能力を修得する。また、形 成した家族像に基づき、家族看護の展開方法を検討する。 ④ 「リハビリテーション看護論」(2 単位、1 年 2 学期、選択):心身の機能・構造に何ら かの障害を有し、日々の生活や社会生活に支障をきたした人とその家族が、障害を抱え ながらもその人らしい生活を再構築していく過程を援助するための理論と実践方法を 学ぶ。障害発生の急性期から維持時期にわたり機能障害別に代表的なケースを取り上げ 根拠に基づいたリハビリテーション方法を理解する。リハビリテーション医療における チーム医療の重要性と看護師の専門性を概説する。 ⑤ 「災害看護学」(2 単位、1 年 2 学期、選択):日本で繰り返される災害の体験を歴史的 にとらえ、被災体験から何を学び次にどう伝えるかを考えることが必要となる。日本の 災害から得られた知見は、世界においても「人間の安全保障」の重要な要素として、い かなる災害状況でも個人、家族、集団、地域、国が「その人らしく健康に生きる」ため に支援するために役立つ。グローバルな視点から安全な社会の実現に向け災害看護学を 学び、災害サイクル諸局面における健康に生きるための政策提言の重要性を理解する。 (4)高度な臨床判断や介入治療に必要な知識・技術を理解するための授業 <共通科目B>および<共通科目 C>は、高度実践看護師コースのディプロマポリシー、 地域で暮らす人々の歴史や環境を理解し、生活に根差した健康の維持・推進のため系統的 な高度看護実践を提供できる、高度先進医療を受ける人々、さらに受けた人々の多様な状 況・社会背景を理解し、中・長期的な視野での高度看護実践を提供できることを目指して 配置した科目群である。 <共通科目B>

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