福井県における情報流動からみた交流状況の評価
著者 本多 義明, 福井 卓雄, 一守 由紀夫
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 38
号 1
ページ 43‑58
発行年 1990‑03
URL http://hdl.handle.net/10098/4234
第
3 8
巻 第1
号1 9 9 0
年3
月福井県における情報流動からみた交流状況の評価
本多義明* 福井卓雄* 一守由紀夫**
A n E v a l u a t i o n o f t h e E x c h a n g e C o n d i t i o n o f F u k u i P r e f e c t u r e b a s e d o n t h e I n t e r p r e f e c t u r a l F l o w o f I n f o r r n a t i o n
Y o s h i a k i H O N D A
本T a k u oF U K U I * Y u k i o I C H I M O R I
本 *( R e c e i v e d F e b . l 0 , 1 9 9 0 )
1 n t h i s s t u d y , t h e m a i n a i m i s t o e v a l u a t e t h e
i n t e r p r e f e c t u r a l f l o w o f i n f o r m a t I o n o f F u k u i P r e f e c t u r e . A t f i r s t , t h e p r e s e n t c o n d i t i o n o f t h e i n t e r p r e f e c t u r a l f l o w o f i n f o r m a t i o n i s i n v e s t i g a t e d .
S e c o n d l y . g e n e r a t e d a n d a t t r a c t e d i n f o r m a t i o n v o l u m e o f e a c h p r e f e c t u r e i s e v a l u t e d .
F i n a l y , r e c e i v i n g a n d s e n d i n g c o n d i t i o n o f t h e r e g i o n a l i n f o r m a t i o n i s c o n s i d e r e d .
1
. は じ め に43
第四次全国総合開発計画が策定されてから既に 2年余が過ぎたが,その中で目指した多極分散型 国土の形成については未だ進展がみられず,東京への一極集中はますます進行しており,特に情報 については集中が顕著にあらわれているD 東京中心に形成されている現在の情報ネットワークが有 する弊害についてはし、ろいろと論じられているが,情報の収集にあまりにも東京に依存しているこ とによる情報の均一化・画一化もそのひとつであると考えられるo今後,各県が核となる情報ネッ トワークを形成していくためにも,情報の地域性の確立は必要不可欠であり,それがまた地域アイ デンティティ確立に向けての有効な施策となり得ると考えられるo
本研究では,福井県における情報交流についてまずその現状を把握し,次に重回帰分析を行ない 情報交流指標モデ、ルを構築してそのモデルを用いて評価を行なうO さらに地域情報の受発信強化に よる地域アイデ
γティティ確立の可能性を探るため,意識調査から得たデータを用いて数量化 I I
類 による分析を行なう。*環境設計工学科 **大学院建設工学専攻
44
なお本研究で扱う情報量は,国土庁計画・調整局編集の「地域情報力
J
(19 8 7
年発行)によって いる。2 .
他県との情報交流の現状2 . 1
現状把握に用いる基礎データの概要ここで用いるデータは「地域情報力
J
(前出)の都道府県間情報交流量O D
表より福井県に出入り する情報のみをピックアップしたものである。1 9 8 3
年の福井県に対する情報移動量について発着状 況を表 1に示す。同表において,発生情報量は福井県発・相手県着の情報量を表わし,集中情報量 は相手県発・福井県着の情報量を表わしているO また前者を [A] ,後者を [B] として') [1ー(B/ A)J
という指標を算出し,以下とれを情報発着比指標と呼ぶ。( 1 )
パーソナルメディアについてまず福井県発生情報量をみると,福井県が最も情報を発信しているのは石川県で,次いで東京都,
大阪府,富山県となっているO 福井県集中情報量について,最も受信しているのは東京都からで,
次いで大阪府,石川県からの情報となっているO 両者とも石川県,東京都,大阪府の
3
都府県が上 位に位置しているが,石川県とは地理的な結びつきが,東京都,大阪府とは全国的な情報ネットワークにおける2大拠点としての結びつきが強いためであると考えられるO
また情報発着比指標についてみると全国合計ではー
0 . 1 1
となり,福井県は発生不足・集中過多型 の県であることを示しているO表
l
福井県情報量発着状況(19 8 3
年)NO. 1 W.名 バ(百ソ万ナJヴUーメテF)イ ア (マ十ス億メヲデーィFア1 l │
脅 喧 情 報 電 A 集 中f曹幸霊童 B l 1 ‑ l B / A 発 生 情 司 霊 A 実 中 情 報 室 B j 1 ‑..L5j1A
2
3 L I 5 3 1 2 6 0 . l a l . 1 5 1 2 . l z 4 ・0.85
84 1 82 1 0.02 1 307 1 2341 0.24
85 1 86 ・0.01 1 286 1 1401 0.51
4 "1"!Jol 94 1 871 0.071 4141 1,0471 ‑1.53
5
txa
871 871 0.001 2531 2031 0.20LilB 851 871 ‑0.021 2411 1251 0.48
~ ~ ~ ~~ I ~~・g:g~
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88 1 99 ・0.131 3701 011 0 I i!l!.l!i 78 I 83 I ‑0.06 1 387 I 1 I
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1 3 I Jl:JJ:: 19,825 I 63,292 ・2.191 2.369 I 338,H l
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1 8 1 UJ :1, 84 1 98 ・0.171 168 1 172 ・0.02
1 2 2
2 z 1 0 7 6 1 2 ・4.72 1 448 1 16B 1 0.63
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8 9
6 7 3 7 4 0 . 0 1 1 5 9 2 3 5 ・'1.48
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2
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4 4 4
8 6 8 4 0 . 0 2 3 6 8 2 6 6 0 . 2 s
';3 1 851 ‑0.02 1 2611 1721 0.34
871 821 0.061 2411 1251 0.48
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( 2 )
マスメディアについて東京都などの大都市周辺に存在する県においては,表 1に見られるように福井県との情報交流を 大都市を経由する形で行なっている恐れがあり,単純な県間情報交流としては扱いにくいため,茨 城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県の
1
都6
県を関東圏,大阪府と兵庫県 を関西圏,岐車県,愛知県,三重県の3
県を中京圏とし,それぞれを1
つの県とみなして福井県と の情報交流を考えるOまず福井県発生情報量は,東京都を中心とする関東圏に対して最も多く,次いで大阪府を中心と する関西圏に対して多くなっているD 福井県集中情報量についてみると発生の場合と同様で東京都 を中心とする関東圏,大阪府を中心とする関西圏から集中する情報量が際立って多い。また,愛知 県を中心とする中京圏からの集中情報量も比較的多くなっているD
次に情報発着比指標についてみると,パーソナルメディアの場合と同様,負に絶対値の大きいも のが多く,特に関東圏が
‑47.01
,関西圏が‑10.93と際立った値となっているため全国合計ではと の値は‑5.73
となり,パーソナルメディアの場合と比較しでも発生不足・集中過多の現象をより顕 著に示しているO2.2
情報発生原単位でみた情報交流状況ここで、は情報交流を 発生"という観点からみた情報交流状況について考察する。
まず福井県に出入りする情報量について,移動する情報量を発生側の県人口で除した,情報発生 県人口当たりの発生情報量を算出するO この指標は言い換えれば情報発生原単位であり,情報交換 を行なう相手県への関心の高さ,用件の多さなど,相手県の有するポテ
γ
シャルを表わす指標であ ると考えることができるo パーソナルメディアについては表2
,マスメディアについては表3
に示 す通りである。また情報発生県人口当たりの福井県発・相手県着情報量を [A] ,相手県発・福井 県着情報量を[B]
とし, [1
ー(B/
A)]という指標を算出,情報発生原単位比指標と呼ぶ。両 者とも福井県からの人口当たり情報発生量のほうが大きい場合には正の値をとり,相手県からのそ れのほうが大きい場合には負の値をとるO 以後,これらの指標を用いて考察を行なうO(1) パーソナルメディアについて
福井県から最も多くの情報を発信しているのは石川県で約
2 . 6
万ワード,次いで東京都,大阪府,富山県となっているo また図 1をみると,福井県に隣接する滋賀県,岐阜県,京都府,あるいは東 京,大阪に次ぐ大都市である愛知県や神奈川県への発信も比較的多くなっているo
人口当たりで福井県へ最も情報を発信しているのは石川県の約1.3万ワードで 2番目の東京都 がその半分以下の約5000ワードとなっており,石川県からの情報発信が際立って多い。また,富山 県,滋賀県,大阪府,京都府が比較的多くの情報を福井県に発信しているO 全体的には福井県が発 信する情報の行き先と比べ福井県へ情報を発信している県のほうが特定の都府県に偏っているとい
えよう。
ここで情報発生原単位比指標に注目し,
: t 0 . 1
をボーダーライシとして以下のように3グループ
に分類するDa . 0 . 1 ' " ' ‑ '
情報発生県人口当たりで福井県発生情報量のほうが相対的に多い県b . ‑0 . 1 ‑ ‑ ‑ ‑ 0 . 1
:情報発生県人口当たりで福井県とほぼ均衡な情報状況にある県c. ' " ' ‑ ' ‑ 0 . 1
:情報発生県人口当たりで相手県発生情報量のほうが相対的に多い県46
表2 情報発生県人口当たり発生情報量:パーソナノレメディア(ワード)
各 県 集 中
‑ R 語
f百情万報ワ量ードJI tl
m
:m:.~
坦 {百情万報各 県 発 生 ー 時 !η量ード 情詩鱈量書
JI
mm
:!ll: B。
A ‑ B 1 ‑(B / A Ji 北青海森逗 153 167 126 ・ラ.) 165 0.88
q
・a 84 103 82 54 49 0.48
3 若 手 85 104 86 60 44 0.42
4 宮 城 94 115 87 40 75 0.65
5 秋 田 87 106 87 69 37 0.35
6 山 形 85 1日4 87 69 35 0.34
7 福 島 90 110 92 44 66 0.60
B 茨 娩 92 113 92 34 79 0.70
9 備 木 88 1日畠 99 53 55 0.51
1 0 群 馬 78 95 83 43 52 0.55
11 t奇玉 105 128 334 57 71 0.56
1 2 千 葉 114 139 370 72 68 0.48
1 3 東 京 19.825 24.2H 63.292 5.350 18.896 0.78
14. 神 東 川 1. 591 1.946 5.557 7..8 1.198 0.62
1 5 新 潟 36日 ..40 381 15 .. 267 日.65
1 6 富 山 9.809 11.997 3.881 3.470 8.527 0.71
1 7 石 川 20.968 25.645 14.41 a 12.512 1:3.133 0.51
1 8 山 梨 84 1日3 98 118 ‑15 ‑0.15
1 9 長 野 107 131 612 286 ー156 ‑1.19
2 0 崎 阜 2.233 2.731 975 481 2.250 O. S2
2 1 静 岡 524 6‑11 3‑16 97 5~4 日.85
今 ウ 愛 知 4.659 5.698 1.983 307 5.391 0.95
2 3 三 重 105 128 94 54 75 0.58
2 4 遊 覧 4.838 5.917 3.359 2.9日E 3.011 日.51
2 5 京 都 3.408 4.168 3.100 1.198 2.970 0.71
2 6 大 阪 13.504 16.516 20.613 2.378 14.138 0.86
2 7 兵 庫 660 807 912 17:3 6:).j 0.79
2 8 奈 良 91 111 578 4‑13 ‑:3:32 ‑2.98
2 9 f口歌山 81 99 88 81 1 B 0.1 O
3 0 鳥 取 78 95 74 120 ‑25 ‑0.26
3 I I 島 領 80 98 75 94 3 0.04
95 116 315 164 ‑48 ‑0.41
3 3 広 島 116 142 356 126 16 0.11
3 4 山 口 89 109 88 55 54 0.50
3 5 徳 島 75 92 74 89 3 0.03
3 6 香 川 81 99 81 79 20 0.20
3 7 愛 姫 89 109 90 59 50 O. ‑16
3 8 高 知 85 104 81 96 8 0.07
3 9 福 岡 108 132 106 今・.今ー 11日 0.83
4 0 佐 賀 81 99 85 97 今ー 0.03
4 1 長 崎 93 114 93 58 55 0.49
4 2 熊 本 86 105 84 46 59 0.57
4. 3 大 分 83 102 85 68 34 0.33
4 4 宮 崎 87 106 82 70 ]7 O.H
4
主56 鹿4申児諸島 92 84 103 113 Saミiペ~
i
83 45 ヲ58 .q,、 0.56 日 立E.j 7 『轟拝 250.9:]6 ー ー ー ー 250.936 ー , ー ,
表
3
情報発生県人口当たり発生情報量:マスメディア(千ワード)す
c +
惇器ワ量ー旦ド ー7 福I
昇人情県口緒発当.. 生たAO Lオ
主主曇ヱ量ニ2LL } 手
1持情綿号量号Bり A ‑ B 1 ‑(B / A ) 42S1 1 北脊右E
歯昔 a
手車1.151 307 I I 1.375 408 234 I 153 1.
。
つ034 22 0.59 0.5 77 3286 I 35日 140 I 98 52 0.72
414 I 506 1.047 I 481 25 0.05
5 国 253 I 309 2日3
,
162 148 日.486 241 I 295 125 I 99 196 0.66
7
8 事499男~+ ...~n 1 5 6 1 ? 5 0 408 Q,.I;I.1
19 0 370 I 453 o !
‑2.321
387 I 473 1 i
1 1 1.日47I 1.281 1 日 ‑19.972
113 2 936 I 1.145
。 。
2.369 I 2.897
.1?5430901T7626710 2 4 265 1 1 0 0 7 505 6:8':)
224 I 274 173 i 155 119 0.44
233 : 285 551 i 478 ー193 ‑0.68
2 221 8s 長齢愛山綬製
168 I 205 7 5 2 8 2 0 7 7 11 9 ‑0.01
..48 I 548 469 0.86
2H!...1~ 816 0.93
6.365 1 986 1. 416 0.57 3241
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8 4 4 7 7 2 4 7 1 ~ラ"'l 0.85 225 6i J H I ‑ ...:L~ 日1E7
e 31.7270553.35日000 ・34112 7 ‑00..513I 227 8 9282391.22082 0 1 1 1 1 0 0 2 8 4 1196 0.70
2 9 232 I 284 62 i 57 227 0.80
3 0 129 I 158 125 I 203 ‑45 ‑0.29
332 1 170 i 208 265 ! 333 ‑126 ‑0.60
395 I 483 236 I 123 360 0.75
3 3 625 i 764 1.436 I 509 255 0.33
334 5 360 I 440 187 I 117 324 0.73
159 I 194 235 i 281 町87 ‑日.45
337 6 204 I 250 219 J 214 35 0.14
3日6I 374 672 I 439 ‑65 ‑日.17
3 8 164 I 201 25日 298 ‑97 ‑0.48
3 9 958 I 1 • 172 1. 765 1 374 798 日.68
<1 0 164 I 201 125 I 142 59 0.29
4443 21 334 I 408 297 I 186 ~..,ラ 2 0.54
368 i 450 266 145 305 0.68
261 i 319
:;~ I : ~~
182 0.57241 I 295 186 0.64
409 I 500
2120542:1679 3 432 0.86
!...a ..LI̲̲ ̲̲̲ 221 48 o. 2~
{Q~: ‑ ‑ ー ー 40.166 『 ー ー ー
この分類にしたがし、日本地図上に図化したものが図
2
であるO これをみると,福井県を除く4 6
都 道府県のうち 37県が福井県の情報発生原単位のほうが大きいとするa
グ.ループに属しており,情報 発生県人口当たりでみた場合,情報が福井県から他県へ一方通行的に移動していると考えられるD先にも述べたように,情報発生原単位は情報の受手側が有するポテンシャルの大きさを表わしてい るとも考えられ,その意味では福井県には他県からみて魅力のある情報が少ないということができ るだろう
。
/ / /
万戸'(;;l
図 l 情報発生県人口当たり福井県発生情報量分類図:パーソナルメディア
/ /
f J
聞問国間 以未上満
関凶 開問 問問 幽
F
図 2 情報発生原単位比指標分類図:パーソナルメディア
( 2 )
マスメディアについて福井県から最も情報を発信しているのは東京都(約290万ワード)を中心とする関東圏で,次いで 大阪府を中心とする関西圏となっているO また,その他中京圏,北海道,福岡県といった大都市に 対しても比較的多くの情報を発信している。
人口当たりで福井県へ最も情報を発信しているのは,やはり東京都(約2900万ワード)を中心とす る関東圏,次いで大阪府を中心とする関西圏となっており両者が際立って多い値を示しているo ま た中京圏からも比較的多くの情報が福井県に発信されているo
ここで情報発生原単位比より考察を行なう。ここでもこの指標を::1::
0 . 1
をボーダーラインとして3
グループに分類すると以下のようになるO4 8
a . 0 . 1 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑
情報発生県人口当たりで福井県発生情報量のほうが相対的に多い県b . ‑0 . 1 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 0 . 1 :
情報発生県人口当たりで福井県とほぼ均衡な情報交流状況にある県C ・
‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 0 . 1 :
情報発生県人口当たりで相手県発生情報量のほうが相対的に多い県この分類にしたがって日本地図上に図化したものが図
3
であるO この図をみると,全体的にはパー ソナルメディアの場合と同様の傾向にあるといえるが,大都市圏である関東圏や関西圏が,相手県 の情報発生原単位のほうが大きいとするC
グループに該当しており,マスメディアによる情報発信 が大都市に集中していることを表わしているOF
図
3
情報発生原単位比指標分類図:
マスメディア2 . 3 情報交流状況の総括的考察
2 . 1
では福井県におけるその他4 6
都道府県との情報発着状況について,また2 . 2
では同様に情報 発生県人口当たりでみた情報交流状況について考察したが, 2 . 1
で福井県は全体的にみて発信不足・集中過多型の県であるとしたのに対し, 2.2で情報発生県人口当たりにみると,福井県は発信され るより発信するほうが多いという結果となり,一見相反する結果を示しているようにみえるO しか しこの2つの考察は,前者においては福井県に集中する情報量として扱ったものを,後者において は福井県に発信される情報量として扱っているというように,全く別の観点から考察を行なってい るため,その結果はそれぞれ独立して認識されるべきものであるO
そこでこの
2
つの考察の結果から,総情報発着比指標をX
軸に,情報発生県人口当たり情報発着 比指標をY
軸にとり,福井県における情報交流状況をこの両軸によって図上に2
次元化し,総括的 な考察を行
なう。なお福井県とその他
4 6
都道府県との聞の情報交流について,福井県からの発生情報量をFO
,福 井県への集中情報量をFD
とし,また福井県人口当たり発生情報量を f o
,相手県人口当たり発生 情報量をp o
とすると,各象限には次のようなケースが該当する
OFO > FD
かっf o> p o I I: FO < FD
かっfo>po I I I : FO
くFD
かつf o
くpo N: F O > FD
かつf o
くpo
まず,パーソナルメディアの場合については図
4に示す通りで,全体的にみると原点付近に集中
する傾向があり,福井県との情報交
流がおおよそ均衡状態にある県が多
5
いととがわかるが,第 II象限に位置
言
する埼玉県,千葉県,東京都,神奈
g
川県の首都圏や広島県(第 II象限),
岡山県(第
I I I
象限)の中園地域,また 第I I I
象限に位置する長野県,山梨県 などの地域との情報交流がその他の王 ヨ
5
り 歪i.!.8
t
針育抱宅着比 地域と多少違った状況にあることを示しているといえるO 図
4
福井県情報発着状況総括図:パーソナルメディア 次にマスメディアの場合については図
5
に示す通りで, これをみると5
関東圏,関西圏との交流状況,特に
歪
東京都を中心とする関東圏との交流
合
状況がその他の地域と著しく違うこ
f
とがわかる。これはマスメテ、イアの
5
情報通信体系に起因するところが大
宮
きくわが国の情報ネットワークにお ける東京都の特異性を示していると いえるだろうO
3 .
情報交流指標モデルの構築及び評価2 + . . . . . ;
・ ;...;...11‑1:...:‑... ~...:-... .‑:.... ..~
一
;関西閥 府
ー11・・・ ・l
‑2+.
・・・・ト・・・・!・・・・・〈 イ個ロ ・ l
J
関東閤1
‑50 ‑3日 ー10 10 30 50 自針育報発着比
図
5
福井県情報発着状況総括図:マスメディア3 . 1 情報交流指標モデルの概要とモデル構築の手順
本分析に使用する情報量は,表
4
に示す1 9 8 3
年の都道府県別発生及び集中情報量である。1 9 8 3
年 現在全国でパーソナノレメディアを介して約6 8
兆ワードの情報が発生・集中し,マスメディアにおい ては約1 0 2 8 4 8
兆ワードの情報が発生・集中しているO また発着比(発生情報量/集中情報量)をみる と,両メディアとも東京都,大阪府の値が大きくなっており情報の発信母体としての規模の大きさ を表わしているといえようO なおこの情報量は他県との交流情報量だけではなく自県内で発生・集 中が完結する情報量,言い換えれば今後他県との交流情報に転換し得るであろう情報量を含んでい るため, との情報量は交流ポテンシャルとも考えられるO よってことで構築するモデノレはとの情報 交流ポテγ
シャノレを推計するモデルであるといえるだろう口以下モテソレの構築から評価方法までの 手順について示す口① 相関分析
表
5
に示す指標を用いて相関分析を行ない,その結果から情報交流指標(発生及び集中情報量) と相関の高い指標を把握する。② 重回帰モデ、ルの構築
相関分析に用いた指標を説明変数に,情報交流指標を被説明変数にして重回帰分析を行ない,
その結果より重回帰モデルを構築して同モデルによる理論値を算定するD なお本分析においては
50
表
4
都道府県別情報移動量発着状況( 1 9 8 3 年)
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表
5
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百 万件万体万台件円
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百 円 I 0 8 7 " 運fll縫 涜 統 計 要 覧"
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ステップワイズ法による
3
変数モデノレを基本とするが,最終的にはモデル自体の有意性を考慮し て変数の数を決定をするD③ 重回帰モデ、ルの修正
通常,重回帰モデルは線形・加法性が根本的な仮定となっているO しかしながら重回帰分析を 行なう場合, この仮定が必ずしも満足されているとは限らず,そのために理論値と実測値との聞 に大きな誤差が生じる恐れもあるO そこで②で構築した重回帰モデルにおいて説明変数に採用さ れた指標各々と被説明変数である情報交流指標との聞の相関関係について改めて考察を行ない,
必要があれば非線形重回帰モデ、ルに修正しその修正モデノレを用いて新たに理論値を算定するO
④ 採用モデルの決定
②,③における推計結果より,以下の点に注目して採用するモデルを決定するD
・モデ、ルの有意性:
相関係数 r ・t値あるいは重相関係数
R.F
値 .理論値の現実性:理論値における負の値の有無 .残差の検討:
全体的にみた残差の大きさ
⑤ 評価方法
情報交流指標の実測値と,④で決定した情報交流指標モデ、ルを用いて推計された理論値との聞 の残差について,その標準偏差
(STD)
から対象都道府県を以下の3
グループに分類する。a . +STD
以上:理論的にみるより情報交流指標が相対的に大きい県
b . ‑STD"'‑'+STD
未満:相対的に情報交流指標が理論上とほぼ同等である県
c . ‑STD
未満:理論的にみるより情報交流指標が相対的に小さい県
この結果より対象都道府県,特に福井県における情報交流指標の評価を行なうD
3.2
パーソナルメディアによる情報交流指標モデルの構築及び評価ここでは
3 . 1
で示した手順に従い,パーソナルメディアによる情報交流指標(発生及び集中情報 量)モデ、ノレを構築し,対象4 7
都道府県についての評価を行なうO(1) 発生情報量について
採用された重回帰モデルを式(1)に示す。
A 1 =0.280X 1 0 ‑
5* (H 1 ) 2 +4875.380X 1 0 ‑
5*
(M
5)2 +15.950X 1 0 ‑
5*
(D3)2
十1 0 4 . 1 4 8
… … … (1)R
=0.992
F=88
1.3 9 6
(有意水準1 %
で有意)式
( 1 )
より算定された推計結果を表6
に示す。全体的に過大推計の傾向にある。対象4 7
都道府県に おける残差の,実測値に対する割合の標準偏差を求めると102.043%
となるo この残差の実測値に 対する割合を土102.043%
をボーダーライγ
として3
グループに分類すると図6
のようになるDa . 1 0 2 . 0 4 3 % ‑ ‑ " ' "
相対的にみて発信過多の傾向にある県5 2
b . ‑102.043 ' " ' ‑ ' 1 0 2 . 0 4 3 % :
相対的にみて交流指標が理論上とほぼ同等である県c . ‑102.043% ' " ' ‑ '
相対的にみて発信不足の傾向にある県山梨県,鳥取県,島根県,岡山県,香川県,高知県,長崎県, 宮崎県,沖縄県の
9
県がCグルー プに該当しており,パーソナルメディア発生情報量が他県と比べて不足しているといえるO その他 のすべての都道府県はb
グルーフ。
に属しておりa
ク、
、ループに該当する県はl県もなし、。福井県も
b
ク。ループに属しているが,残差の実測値に対する割合は約一11%
となっており,他県と比べても 比較的小さい値となっているo このことから,福井県におけるパーソナルメディア発生情報量は全 国的にみて相応な量であるといえるO表
6
パーソナルメディア発生情報量:非線形重回帰モデ、ル推計結果~O. 県 名 lit明f玄1牢)EI l IR4明通支)E22 (説人明/玄1〈E1I133
1(+
実fEd吋~kー亙 ド】 │仁十1llE星.川可35ニ,ム86よ3弘 幸 十 去 り456.
」
3‑32 %16.599 99 Iー、 1.809.1S5 25.223
2 ~. 124 64 159 3:31.078 353.2‑12 ‑:!2. 16~ ‑6.695 3 3.8:!3 65 94 ]51. 087 351.482 ‑0.395 ‑0.112 品 8.096 108 299 681 .537 865. ..81 ー 183.9~~ ‑26.990
。 3. 0~3 67 108 5.;7.631 350.662 196.969 ]5.967
6 3.862 63 135 171.398 339.808 ‑168. ‑110 ‑98.257
7 5.749 75 151 481.339 4i0.937 10. ‑102 2.161
B 6.690 57 4.;7 1.002.128 416.875 5e5.25 ‑1 5e. ‑10 1 9 5.835 68 291 32~.6~1 ‑135.150 ‑110.509 ‑:3.. .O~O 1 0 6.1‑16 『・3 302 360.312 ‑186.975 ‑1:!5.6G3 -35.15~
1 ) 12.052 66 1.5‑13 1 . 3~7. 097 1. iO 1.293 275.60': ::!O. C::!S 112 3 9.973 69 1.000 1.9‑12. 6~:3 7i2.60G i . 169.0‑13 60.1 iE
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2勺3 26.313 108 1.257 3.993.9‑13 3.166.1 iO e::!i. e33 20.7::!7
‑1.8‑15 67 302 787.698 ‑103. OC~ 38‑1.69 :3 ';8.ε.3e
2.1 2.621 69 288 1‑39.322 370.078 69. ~-i~ 15.7GI
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3 2 5.513 129 2';0 431.150 1.016.71 S ‑5e5.号68 ‑135.815 334 3 10.8':i 119 33:3 1.032.618 1. i39.335 ‑106.717 ‑10.335
5.275 83 262 33‑1.398 528.939 ‑19‑1.5‑10 ‑58.176
3 O 2.264 73 20 I 321.795 385.116 ‑o3.321 ‑19.677
3 6 4.0i2 9 ‑1 5..3 211.973 626.878 ‑‑11';.905 ー195.7:35 3 7 4.5':0 8 ‑1 270 352.753 519.991 ‑167.238 ‑‑17. 1‑09 3 8 2.506 73 118 1‑11.287 381.033 ‑239.7':6 ‑169.687 3 9 17.579 112 952 1.866.‑103 1 .727.768 1 :38.6:35 目,ー..。、ニ
.1 0 2.487 64 362 202.524 339.777 ‑1:3I.253 ‑67.771 .1 1 .1. 258 70 388 179. ‑187 ‑115.272 ‑235.ie5 ‑¥:31.366 4. 2 4.800 75 248 288. 1‑73 453.219 ‑164.746 ‑57.110 4. 3 3.424 70 197 207.530 379.291 ‑171.761 ‑82.76‑1 4. 4. 3.‑<42 60 152 96.132 318.670 ‑222.5:35 ‑231.1‑92 .1 O ...828 71 199 283.565 424.659 ‑141.09‑1 ・‑26495.ア75276
.1 6 3.165 57 523 91.115
3337344.522B1 ‑・'"412E.U i g 16 Q
~ 7 3.141 iO 195 3:36.4:39 ‑11.321
r
図
6
推計結果:残差分類図(パーソナルメディア発生情報量)( 2 )
集中情報量について採用された重回帰モデルを式(
2 )
に示す。A 2 =10.592 x 1 0 →* (E 1 ) 2 +0.047X 1 0 ‑
5* (H 1 ) 2 +558.746
・・・・・・ー.( 2 )
R
=0.977
F=452.558
(有意水準1 %
で有意)式(
2 )
より算定された推計結果を表7
に示すが,全体的には過大推計の傾向にあるO 対象4 7
都道府 県における残差について,実測値に対する割合の標準偏差を求めると,1 0 2 . 7 1 4
%となり, ,この 残差の実測値に対する割合を:t1 0 2 . 7 1 4
%をボーダーラインとして3
ク守ルーフ。に分類すると図7
のようになるo
a . 102.714%
'""'‑'相対的にみて受信過多の傾向にある県b . ‑102. 714~102. 714%
:相対的にみて交流指標が理論上とほぼ同等である県c . ‑ 1 0 2 . 7 1 4 % ' " " ' ‑ '
相対的にみて受信不足の傾向にある県秋田県,山梨県,鳥取県,島根県,高知県,佐賀県,長崎県,大分県,宮崎県,沖縄県の
1 0
県がCグ.ループに該当しており,パーソナルメディア集中情報量が他県と比べ不足しているといえるO
この
1 0
県のうち,山梨県,鳥取県,島根県,高知県,長崎県,宮崎県,沖縄県の7
県は発生情報量 についても不足しているという結果となっており,パーソナルメディアによる情報の移動がそのポ テンシャルに比して十分に行なわれていないと考えられるO またCグ ノレープに属している1 0
県のほ かすべての都道府県がb
グループに属しておりa
グループに該当する県は 1県もない。福井県もb
グループに属しており,発生情報量の場合の考察結果と併せて評価すれば,全国的にみて,現状 ではほぼ福井県自体が有するポテンシャルに見合うだけの情報移動が行なわれているといえるだろo Aノ
表
7
パーソナルメディア集中情報量:非線形重回帰モテ、ル推計結果:<<0. 帰 省 況f明千:JI:人m〉l 況 明{ZI宇E数〉2 (十実億剖ワ極ー1・1
I ( + t
里雪蹴η幅‑J:) 十I空りー? 主 量 ‑・% 1 3.789.577 16.59白 3.938.~6 日 :1.208.403 1.730.066 ~3.927 '予 6~3. 230 ~, 12~ 395.116 610.452 ‑215.336 ー54.0199
3 3901.833 3,8:13 ‑101.107 582.073 ‑180.965 ‑45.117
4 1.102.503 6.096 698.606 718.107 180.499 :10.087
a 39日.631 3,043 53:1.616 579.248 ‑46.430 ‑8.714 6
7 462.596 3. 86~ 219.070 583. 39~ ‑364. 3~2 ‑166.30‑1 699.254 5.7‑19 605.H5 625.877 ‑20.402 ‑3. :]70
8 795.570 6.690 1.101.901 646.683 455.218 41.312
19 0 65‑1.178 5.835 612.9‑15 E 63193..829321 ‑6.9‑17 ー1.133 7
弓33.451 6.146 469.765 ‑163.466 ‑:]4.797
11 4.04 4.944 12.052 1.555.539 2.499.224 ‑943.685 ‑60.666 112 3 J, 3‑14.199 9.973 2.585.5‑18 1.789.466 796.082 30.790 11,‑183.075 68.1 e2 15.693.721 16.688.410 -99~. 689 ‑6.338 112 5 6.622.9H 1‑1.428 5.133.303 5.301.727 ‑168.‑124 ‑3.281 1.055.261 8.281 1,082.905 708.5‑15 37L360 3L570 116 7 ‑12‑1.04‑1 4.071 :J68.786 585.499 ‑216.713 ‑58.764 53‑1.538 ‑1.613 1‑38.68‑1 598.96‑1 ‑160.280 ‑36.537 1 8 25日.‑187 2.329 136.522 568.375 ‑431.853 ‑316.325 2l g 0 66‑1.224 5.912 424.228 621.709 ‑197.480 ‑46.551 745.654 8.013 498.475 647.568 ‑149.093 ‑2492..09917 0 2
・31 1.8~1.996 13.266 1.727.490 1.日00.263 2.730274..27203 7 222』3 5 q
4.3'.36.5‑19 28.31 : 3 5.2::!7.842 2.923.139 ‑14.085 663.936 4.845 8:30.246 616. :]68 213.876 25.761 336.857 2.621 484.285 573.971 ‑18479..67585 6 ‑16.519 2.055.488 9.694 1.197.5:32 1.049.777 12.3:38 22G 7 8.127.754 '3.786.168 45.712 14.8% 9.4:32.454 こ.i70.219 6.528.598 2.180.23i 589.98:! 90:), e56 291..522927 :2 8 648670..71 913 0 2.048 3D7. :301 610.8:34 ‑303.5:33 ‑9eL 774 2 9 3.458 4日3.:32::! 586. 7~:: ーle3.400 ‑45.472 3 0 161.602 1. &29 131.Hl 56:3, 08之 ‑4:11.641 ‑:328. .3日l 3 1 185.922 2. '352 191.029 564. 9Z~ ‑:373.955 ‑lnS.I5ι 332 3 650.122 5.513 607. :35:3 617.639 ‑10.286 ‑1. 69~
1.650.227 10.847 1.1:3:3.784 901 .860 2 ;J 1.92~ 20. ‑156
3 .1 70~. 556 5.275 4~6. 5:37 624.338 ‑197.801 -46.37~
336 5 228.521 2.264 36~. 722 566.685 ‑201.963 ‑55. :375 330.671 .L07~ 31日.101 578.066 ‑258.965 ‑81.154 3 7 659.099 4.540 404. :337 614.335 ‑209.998 ‑51.936
3 8 322.535 2.506 188.915 572.718 ‑383.803 ‑203.162
310 9 2.988. :378 17.579 2.442.37:3 1.648.206 794.167 32.51 6 8 626423..包30192 2.487 232. i56 567.878 ‑335.120 ‑1‑13.97
‑
l 1 4.258 284.505 613.741 ・3‑12892..263766 ‑115.722 :
‑l 2 672.091 ‑1.800 4:3L622 617.298 ・‑14124..063901
‑l 3 505.031 3.424 275.380 591.213 ‑315.833
‑
l ‑l 458.613 3. 4~2 178.661 586.574 ‑407.913 ‑228.317
‑
l 5 659.516 4.828 :338.618 615.731 ‑2i7.113 ‑81.836 、